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すさみ町 第3次 長期総合計画
すさみ町第3次長期総合計画 平成17年9月22日 和歌山県西牟婁郡すさみ町 目 次 はじめに ………………………………………………………………………………… 1 第1章 計画の策定にあたって ………………………………………………… 1 第1節 計画策定の趣旨及び目的 ………………………………………… 1 第2節 計画の性格 ………………………………………………………… 1 第3節 計画の構成 ………………………………………………………… 1 第4節 計画の目標年次 …………………………………………………… 1 第5節 計画の実施と今後への課題 ……………………………………… 1 第2章 町の概要 ………………………………………………………………… 2 第1節 沿革 ………………………………………………………………… 2 第2節 位置・地勢・気候 ………………………………………………… 2 第3節 人口 ………………………………………………………………… 4 第4節 就業人口 …………………………………………………………… 6 第5節 土地利用状況 ……………………………………………………… 8 基本構想 ………………………………………………………………………………… 9 1 まちづくりの目標 …………………………………………………………… 9 2 目標人口 ……………………………………………………………………… 10 3 施策のあらまし ……………………………………………………………… 11 Ⅰ 豊かな自然を守るうるおいのある美しいまちづくり ………………… 11 第1章 基礎的条件の整備 …………………………………………… 11 第1節 交通・通信 ……………………………………………… 11 第2節 土地利用 ………………………………………………… 11 第3節 町土の保全 ……………………………………………… 11 第4節 自然環境の整備保全 …………………………………… 12 第2章 地域住民の安全の確保 ……………………………………… 12 第1節 消防・防災及び防犯対策 ……………………………… 12 第2節 交通安全対策 …………………………………………… 12 Ⅱ 教養を高め歴史と伝統にまなぶ文化のかおるまちづくり …………… 13 第1章 教育文化の振興 ……………………………………………… 13 第1節 生涯学習 ………………………………………………… 13 第2節 学校教育 ………………………………………………… 13 第3節 社会教育 ………………………………………………… 13 第4節 文化の振興 ……………………………………………… 14 Ⅲ スポーツに親しみ健康で希望にみちた明るいまちづくり …………… 14 第1章 生活基盤の整備 ……………………………………………… 14 第1節 環境衛生 ………………………………………………… 14 第2節 社会保障 ………………………………………………… 15 第3節 保健衛生及び医療の充実 ……………………………… 15 第4節 水利用計画 ……………………………………………… 15 第5節 集落の整備 ……………………………………………… 15 Ⅳ たがいに助けあう平和で楽しいまちづくり …………………………… 16 第1章 社会福祉の増進 ……………………………………………… 16 第1節 社会福祉の充実 ………………………………………… 16 第2節 住宅・住環境施設の整備 ……………………………… 16 Ⅴ 働くことを大切にする活力あふれるまちづくり ……………………… 17 第1章 産業の振興 …………………………………………………… 17 第1節 農業の振興 ……………………………………………… 17 第2節 林業の振興 ……………………………………………… 17 第3節 水産業の振興 …………………………………………… 17 第4節 商工業の振興 …………………………………………… 17 第5節 観光業の振興 …………………………………………… 18 第6節 地域間交流事業 ………………………………………… 18 第2章 行財政計画 …………………………………………………… 18 第1節 行政組織 ………………………………………………… 18 第2節 財政 ……………………………………………………… 19 第3節 広域行政 ………………………………………………… 19 基本計画 ………………………………………………………………………………… 20 Ⅰ 豊かな自然を守るうるおいのある美しいまちづくり ……………………… 20 第 1 章 基礎的条件の整備 …………………………………………… 20 第 1 節 交通・通信体系の整備 ………………………………… 20 第2節 土地利用 ………………………………………………… 24 第3節 町土の保全 ……………………………………………… 25 第4節 自然環境の整備保全 …………………………………… 26 第2章 地域住民の安全の確保 ……………………………………… 27 第1節 消防・防災及び防犯対策 ……………………………… 27 第2節 交通安全対策 …………………………………………… 29 Ⅱ 教養を高め歴史と伝統にまなぶ文化のかおるまちづくり ………………… 32 第1章 教育文化の振興 ……………………………………………… 32 第1節 生涯学習 ………………………………………………… 32 第2節 学校教育 ………………………………………………… 32 第3節 社会教育 ………………………………………………… 36 第4節 文化の振興 ……………………………………………… 39 Ⅲ スポーツに親しみ健康で希望にみちた明るいまちづくり ………………… 42 第1章 生活基盤の整備 ……………………………………………… 42 第1節 環境衛生施設の充実 …………………………………… 42 第2節 社会保障 ………………………………………………… 44 第3節 保健衛生及び医療の充実 ……………………………… 48 第4節 水利用計画 ……………………………………………… 50 第5節 集落の整備 ……………………………………………… 52 Ⅳ たがいに助けあう平和で楽しいまちづくり ………………………………… 53 第1章 社会福祉の増進 ……………………………………………… 53 第1節 社会福祉の充実 ………………………………………… 53 第2節 住宅・住環境施設の整備 ……………………………… 58 Ⅴ 働くことを大切にする活力あふれるまちづくり …………………………… 60 第1章 産業の振興 …………………………………………………… 60 第1節 農業の振興 ……………………………………………… 60 第2節 林業の振興 ……………………………………………… 62 第3節 水産業の振興 …………………………………………… 64 第4節 商工業の振興 …………………………………………… 65 第5節 観光業の振興 …………………………………………… 67 第6節 地域間交流事業 ………………………………………… 68 第2章 行財政計画 …………………………………………………… 69 第1節 行政組織 ………………………………………………… 69 第2節 財政 ……………………………………………………… 72 第3節 広域行政 ………………………………………………… 74 はじめに 第1章 計画の策定にあたって 第1節 計画策定の趣旨及び目的 この計画は、幸福と繁栄を前提に、豊かで健康なまちづくりを目標にした『すさみ町長 期総合計画』 (昭和 50 年策定) 、快適かつ住民生活の向上を目指した豊かで、明るく、住み やすいまちづくりを目標にした『すさみ町第2次長期総合計画』 (昭和 62 年)に続くもの で、これまでの取組みの成果と、豊かな自然・歴史・文化等の地域の特性を生かし、町民 一人ひとりが住んで良かったと実感できるまちづくりのために、総合的で計画的な施策の あらましを明らかにし、諸施策の実現を図るための指針として策定するものです。 第2節 計画の性格 この計画は、町行政を総合的かつ計画的に運営するために、現在おかれている本町の現 状を認識した上で、地域の特性と住民の意向を踏まえつつ、望ましい町の将来像及びこれ を達成するために必要な施策の大綱を定めるもので、これからの諸計画及び諸施策実現の ための指針となるものです。 しかし、この計画は拘束性を持つものでなく、社会情勢の変化等によっては必要な検 討・修正を行い、弾力的に対応して進めます。 第3節 計画の構成 この計画は、基本構想と基本計画の 2 編で構成しています。 基本構想では、まちづくりの目標と、目標達成のための視点、施策のあらましを取りま とめています。 基本計画では、基本構想に基づき、 「現況と課題」 「基本方針と主な施策」に分け、施策 の方向性、体系、内容等をより具体的に明らかにしています。 第4節 計画の目標年次 この計画は、 平成 17 年度から平成 27 年度までの概ね 10 年間を目標年次としています。 第5節 計画の実施と今後への課題 この計画は、町民と行政とが協力して進めるまちづくりの目標を示したものであり、こ の計画が成果を上げていくためには、町民が本計画の内容を十分認識、理解し、新しいま ちづくりへの積極的な参加をすることが必要です。 1 なお、本計画の実施にあたっては、和歌山県長期総合計画、田辺周辺広域市町村圏計画 との関連を考慮しながら、その実現を図って行くものとします。 第2章 町の概要 第1節 沿革 本州最南端に近く黒潮が岸辺を洗うすさみ町は、6 世紀代から紀南の拠点であったこと が、昭和 45 年に発掘された「上ミ山古墳」によって裏付けられています。 平安期には、串本町、古座川町とともに牟婁郡三前郷に属し、近世では稲積島が浮かぶ 天然の良港周参見湾があり、枯木灘・熊野灘の要港として栄えていました。 江戸時代には紀州藩の直轄地となり、明暦 3 年(1657 年)周参見に設置された口熊野奉 行所(後に代官所に改組)の管轄下にありました。 東は太田川(那智勝浦町)から西は瀬戸鉛山(白浜町)に至る 162 ヵ村、石高 2 万石の 広大な支配体制を持つ、地方政治の中心地として栄えました。 明治 22 年 4 月、町村制施行により藩制時代の村や浦が合併して、周参見村、大都河村、 江住村、佐本村が誕生し、大正 13 年に周参見村は町制を施行して周参見町となりました。 昭和 30 年 3 月、三舞村大字太間川を周参見町に編入し、同時に周参見町、大都河村、 佐本村の 1 町 2 村が合併し、新しく「すさみ町」が発足しました。 昭和 31 年 4 月、すさみ町大字大鎌を境界変更により江住村に分町し、昭和 34 年 3 月、 江住村を編入合併して現在に至っています。 古くから盛んに行われている農林漁業は、現在でも町の基幹産業です。 農業では、米作のほかレタス等の野菜、カスミソウやストック等の花卉栽培、梅栽培が 主に行われています。 林業では、杉、檜等の用材、紀州備長炭、シキミやサカキ及び椎茸等の特用林産物の生 産が行われています。 また漁業では、カツオ等を対象魚としたハワイ伝来と言われる独特の漁法「ケンケン漁」 (曵縄一本釣漁) 、スルメイカ漁、イセエビ等を対象とした刺網漁等が行われています。 漁業形態も魚礁の設置や水産研究施設の誘致を行い、獲る漁業から育てる漁業へと移行 しつつあります。 第一次産業と並び町の基幹産業である観光では、優れた自然景観や温泉等の地域資源に 恵まれ、宿泊施設等の受入体制や観光施設の整備が進み、現在では年間約 24 万人の観光客 を数えています。 第2節 位置・地勢・気候 本町は、和歌山県の南西部に位置し、東部を串本町、北東部を古座川町、北部及び北西 部を日置川町に接しています。町域は東西 19.3km、南北 15.5km にわたり、行政区域面積 は 174.71k ㎡を有しています。 紀伊山地、大塔山脈の支脈がさらに細分支して海岸に迫り、林野が町面積の約 93%を占 2 め、平野は狭小ですが、約 27km にわたる海岸線は豪壮で風光に恵まれたリアス式海岸であ り、熊野枯木灘海岸県立自然公園の指定を受けています。 主要河川は、周参見川が山間部を蛇行しながら町の中心部を西に向かって流れ太平洋に 注ぎ込み、また一方では、佐本川が東に流れ、古座川本流と合流しています。 本町が町村合併等により誕生したことから、地理的に海岸地域、山間地域に大別するこ とができます。 海岸地域のうち周参見地域は、周参見川と太間川が合流する河口付近に広がる平地に行 政機関や公共的施設の集積し、町の中心地をなしています。口和深、見老津、江住、里野 の各地域も比較的平坦で、集落が形成されています。 山間地域では、まとまった平地は少なく、集落及び耕地はそれぞれの河川に沿った山間 地の盆地や緩傾斜地に散在しています。 地質は、全体として牟婁地帯(新生界)の古第三系に属する牟婁層群に分類され、岩質 は砂岩、泥岩の互層が発達したタービダイトからなっています。 森林土壌は、斜面下部や広い緩傾斜地等は、適潤性褐色土壌が分布し、土性は一般に礫 質土壌です。 気候は、沖合を流れる暖流黒潮の影響を強く受け、昼夜による気温の変化が少ない温暖 な海岸性気候で、ほとんどの山間地でも無霜地帯です。 年平均気温は約 17℃、年平均湿度は約 70%であり、年間降水量は約 2,500 ㎜前後です。 夏~秋期は高温多湿で降水量が多く、植物の成育に適しており、特に海岸線では蔬菜、 園芸、花卉栽培が盛んに行われています。 主な山 主な川 名 称 標高(m) 位 置 重善嶽 607.4 小河内 善司ノ森山 591.2 小附 香ノ塔 566 小河内 大山 548.8 大鎌 周 参 見 気象状況 大 都 河 佐 本 河川名 延長(m) 河川名 延長(m) 河川名 延長(m) 和深川 5,300 城 川 4,700 佐本川 14,000 (古座川上流) 周参見川 15,000 (日置川上流) 太間川 11,000 (潮岬測候所観測 1971 年~2000 年平年値。気温:℃、降水量:㎜) 区 分 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 7.9 8.1 10.9 15.5 18.9 21.9 25.3 26.5 24.0 19.6 15.1 10.3 17.0 最高気温 11.3 11.7 14.5 18.8 22.1 24.6 28.0 29.3 27.0 22.8 18.4 13.7 20.2 4.6 7.4 12.2 16.0 19.6 23.3 24.3 21.6 16.7 11.9 14.1 平均気温 最低気温 降水量 4.7 11月 12月 年平均 7.1 98.7 109.4 168.8 233.5 246.9 358.7 265.2 240.3 332.3 219.2 177.6 83.8 2534.2 3 第3節 人 口 昭和 30 年代後半からの高度経済成長期から昭和 40 年代にかけて、都市での就業機会を 求めた若年層の人口流出により、人口は著しく減少しました。その後は、人口減少率は鈍 化してきたものの、依然として新規学卒者を中心に新規学卒者の都市部への流出が続き、 平成 12 年国勢調査人口は 5,952 人になりました。 若年層の多数の流出は人口の年齢構成も大きく変化させました。 平成 12 年国勢調査では、 65 歳以上の高齢者人口は 2,049 人で全人口の 34.4%を占め、全国平均 17.3%、県平均 21.2%を大きく上回っています。0~14 歳の年少者人口は 679 人で 11.4%にとどまり、少 子・超高齢社会に到来したと言えます。 年層別人口の推移 65歳以上 30~64歳 15~29歳 0~14歳 人口 10,000 929 972 8,000 4,183 1,100 1,177 1,332 3,949 6,000 1,468 1,679 3,710 1,883 2,049 2,669 2,439 801 705 785 1,143 918 809 679 S.55 S.60 国勢調査年 H.2 H.7 H.12 3,606 2,064 3,457 4,000 3,207 1,667 2,911 1,345 2,000 1,268 1,077 3,528 2,674 2,067 1,749 1,433 959 0 S.35 S.40 S.45 S.50 4 人口の推移 (資料:国勢調査) 区 分 総 数 昭和35年 実 数 人 (単位:人、%) 昭和40年 昭和45年 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 人 % 人 % 人 % 人 % 人 % 人 10,704 9,262 △ 13.5 8,222 △ 11.2 7,800 △ 5.1 7,299 △ 6.4 6,777 △ 7.2 6,309 % 人 % △ 6.9 6,066 △ 3.9 5,952 △1.8 % 0歳~14歳 3,528 2,674 △ 24.2 2,067 △ 22.7 1,749 △ 15.4 1,433 △ 18.1 1,143 △ 20.2 15歳~64歳 6,247 5,616 △ 10.1 5,055 △ 10.0 4,874 △ 3.6 4,534 △ 7.0 4,166 △ 8.1 3,712 △ 10.9 3,374 △ 10.1 3,224 うち15~29歳(a) 65歳以上(b) 2,064 1,667 △ 19.2 1,345 △ 19.3 1,268 △ 5.7 1,077 △ 15.1 4.6 1,100 13.2 1,177 7.0 1,332 959 △ 11.0 801 △ 16.5 10.2 1,679 809 △ 11.9 705 △ 12.0 14.4 1,883 679 △16.1 △4.4 785 11.3 12.2 2,049 8.8 929 972 若年者比率 a/総数 19.3 18.0 ― 16.4 ― 16.3 ― 14.8 ― 14.2 ― 12.7 ― 11.6 ― 13.2 ― 高齢者比率 b/総数 8.7 10.5 ― 13.4 ― 15.1 ― 18.2 ― 21.7 ― 26.6 ― 31.0 ― 34.4 ― 5 13.2 1,468 918 △ 19.7 人 第4節 就業人口 産業就業人口は、昭和 35 年には 4,816 人でしたが、過疎化により平成 12 年には 2,408 人に半減しました。 第一次産業就業人口は、昭和 35 年には全就業人口の 58%を占める 2,793 人でした が、平成 12 年には 359 人にまで極めて著しく減少するとともに、高齢化が他の産業 よりも進んでいます。 第二次産業では、比較的幅の小さい増減を繰り返し、平成 12 年には 671 人となっ ています。 第三次産業では、観光施設の整備などにより就業人口はほぼ横ばいの状態で推移し、 平成 12 年には 1,378 人となっています。 古くからの基幹産業であった農林水産業における厳しい労働条件や収入の不安定 さなどによる後継者の減少や、未就業の高齢者層対策に問題と課題が残されていると 考えられます。 産業別就業人口の推移(国勢調査) (人) 第一次産業 第二次産業 第三次産業 5,000 4,000 2,793 2,158 3,000 1,712 1,274 1,225 1,030 719 604 359 2,000 865 671 1,269 1,378 1,378 H.2 H.7 H.12 718 593 766 782 714 728 812 1,305 1,337 1,347 1,371 1,345 1,338 S.35 S.40 S.45 S.50 S.55 S.60 1,000 0 6 産業別就業人口の動向(資料:国勢調査) 昭和40年 昭和35年 昭和50年 昭和45年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 区 分 実 数 総 数 4,816 第一 人口 次 産業 (構成比) 2,793 第二 人口 次 産業 (構成比) 718 第三 人口 次 産業 (構成比) 産業分類: 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 実 数 増減率 4,088 △ 15.1 2,158 (14.9) (14.5) 1,305 1,337 (27.1) (32.7) △ 6.4 3,427 △ 10.4 △ 22.7 1,714 △ 20.6 1,274 (44.8) (37.2) (58.0) (52.8) 593 3,825 △ 17.4 765 29.0 782 (20.0) (22.8) 2.5 1,346 0.7 1,371 (35.2) (40.0) 3,284 △ 4.2 △ 25.7 1,225 △ 3.8 1,030 (37.3) 2.2 714 (21.7) 1.9 1,345 (41.0) 3,096 △ 5.7 2,800 △ 9.6 2,847 △ 15.9 719 △ 30.2 604 (33.3) △ 8.7 728 (23.5) △ 1.9 1,338 (43.2) (25.7) 2.0 812 (29.0) △ 0.5 1,269 (45.3) 1.7 △ 16.0 (21.2) 11.5 865 359 △ 40.6 (15.0) 6.5 671 (30.4) (27.9) △ 5.2 1,378 8.6 1,378 (48.4) (57.1) 第一次産業 … 農業、林業、漁業・水産養殖業 第二次産業 … 鉱業、建設業、製造業 第三次産業 … 卸売・小売業、金融・保険・不動産業、運輸・通信業、電気・ガス・水道業、サービス業、公務、その他 7 2,408 △ 15.4 △ 22.4 0.0 第5節 土地利用状況 本町は、かつての町村の集合体であるため、概して住宅が密集する地域と住宅と農耕地 が混在する地域とに分かれ、不整備な土地利用の形態をなしています。 三方を急峻な山に囲まれた平坦地が少ない当町では、地目の基本的構成には殆ど変化は 見られていません。 また、現在の経済下では投機的な土地開発の可能性は少なく、今後も大きな変動はない と考えられますが、開発を進める場合には優れた自然環境の保護に十分留意し、適切な指 導を図っていく必要があります。 さらに、魅力ある生活環境の整備・充実を図るため、公共用地の計画的な取得や拡大に 努め、地域住民にゆとりと潤いを与える秩序ある土地利用の実現を図らなければなりませ ん。 山林が大部分を占める本町にとって、土地の効果的な利用の方向性確立は、最も重要な ことであります。 土地利用の状況 区分 面 積 (ha) 構 成 比 (% ) 総面積 17,471 100.0% 田畑 面積 林野 面積 242 1.4% 16,193 92.7% 雑種地 宅地 原野その他 129 907 0.7% 5.2% 総面積:平成 16 年 10 月 1 日国土地理院公示 宅地面積:平成 17 年度固定資産概要調書 田畑面積、林野面積:2000 年世界農林業センサス 雑種地、原野、その他面積:総面積から田畑面積、林野面積及び宅地面積を控除した面積 町土の地目構成 宅地 0.7% 雑種地・ 原野他 5.2% 田畑 1.4% 林野 92.7% 8 基本構想 1 まちづくりの目標 すさみ町は、総ての町民が「住んでよかった」「今後も住み続けたい」と考え、町外の 人からは「住んでみたい」 「もう一度行きたい」と思って頂けるまちづくりをめざします。 また、 「すさみ町長期総合計画」は、既に上位計画にあたる和歌山県長期総合計画や田 辺周辺広域市町村圏計画との整合性を保っていく必要もあります。 本町の場合、道路・交通網の整備や生活基盤の充実等によって緩やかな変化は予想でき ますが、都市部等でみられるような急激な変貌は望めず、国の地方財政計画が縮小される 中ではあくまでも地道な計画に留意するのが本質であると考えます。 そのためには、鈍化傾向にあるものの依然として続く若者層を中心とした人口流出によ る過疎化現象を食い止め、超高齢化社会での福祉の充実や、各地域の活性化対策等の施策 とともに、恵まれた自然環境の中、先人が築き上げた歴史と伝統を継承し、次代を担う子 供達が生き生きと暮らせるよう、町民一人ひとりがまちづくりの主体者としての自覚を持 ち、ボランティア団体やNPO法人等を育成・支援するなど、行政と町民が協働して町の 活力を創り出す必要があります。 日常生活圏の町の枠を越えた広域化が進み、住民ニーズも多様化・高度化し、地方分権 が推し進められる中で、町の責任がこれまで以上に重くなっており、行政のより一層の効 率化が求められています。こうしたことから、広域的な行政体制となるように市町村合併 を積極的に検討・推進する必要があります。 この基本構想は、現在与えられている諸条件を勘案し、客観的な視点でとらえた上で明 確な方向付けを試みようとするものですが、ただここで予測した数値は、あくまで町の将 来の姿を考えるにあたっての一つの目安であり、ある程度の幅をもって考えられるべきも のとのとらえ方をしています。 基本計画においては、町民憲章で掲げる 1.豊かな自然を守るうるおいのある美しいまちづくり 2.教養を高め歴史と伝統にまなぶ文化のかおるまちづくり 3.スポーツにしたしみ健康で希望にみちた明るいまちづくり 4.たがいに助けあう平和で楽しいまちづくり 5.働くことを大切にする活力あふれるまちづくり の 5 つの柱を軸に、すさみ町の特色を再認識するとともにその特色を更に磨きあげ、人間 の尊厳、自然と調和、人と人との親密なふれあいを重視し、地方分権時代にふさわしい個 性あふれるまちづくりを目指します。 9 2 目標人口 この総合計画の目標年次は、基本構想、基本計画ともに概ね平成 27 年度(2015 年度) とします。 コーホート法による予測される平成 27 年度の推計人口約 5,454 人に、 新規学卒者の定住 やUJIターンなどによる約 500 人の人口増を想定し、27 年度のすさみ町の人口を 6,000 人と設定し、町政推進の目標値としてその実現に向けて努力します。 コーホート法による推計人口(広域圏等の出生率等を用いて算出) 年 1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 総人口 6,066 5,952 5,820 5,652 5,454 5,226 0~14歳 人口 809 679 604 604 612 580 構成比 (11.3) (11.4) (10.4) (10.7) (11.2) (11.1) 15~64歳 人口 3,374 3,224 3,116 2,981 2,845 2,753 構成比 (55.6) (54.2) (53.5) (52.7) (52.2) (52.7) 65歳以上 人口 1,883 2,049 2,100 2,067 1,997 1,893 構成比 (31.0) (34.4) (36.1) (36.6) (36.6) (36.2) ※ 1995年と2000年は国勢調査結果。2005年以降は推計値。 コーホート法による推計人口と目標人口 6,100 2025年 4,976 520 (10.5) 2,720 (54.7) 1,736 (34.9) 2030年 4,743 466 (9.8) 2,673 (56.4) 1,604 (33.8) 推計人口 目標人口 人口(人) 6,200 (単位:人、%) 6,066 6,000 5,952 6,000 5,900 5,820 5,800 5,652 5,700 5,600 5,454 5,500 5,400 5,300 5,200 5,100 1995年 2000年 2005年 10 2010年 2015年 西暦 3 施策のあらまし Ⅰ 豊かな自然を守るうるおいのある美しいまちづくり 第1章 基礎的条件の整備 第1節 交通・通信 ○ 近畿自動車道紀勢線の早期南進と、白浜~すさみ間の早期供用促進を積極的に要望 します。 ○ 基幹道路である国・県道についても、改修・改良・舗装等について早期完成を強く 要望します。 ○ 生活・産業道路である町道や農林道については、未改良・未舗装区間を重点に整備 を図ります。 ○ 山間地域の唯一の公共輸送機関であるバス運行には、助成制度を継続して維持・確 保に努めます。 ○ 大量高速輸送鉄道については、紀勢本線の高速化、田辺駅以南の複線化、快適性・ 利便性を今後も県下的な取組みを通じて関係機関に強く要望します。 ○ 急速に進むインターネットによる情報受発信については、生涯学習の場での利用・ 活用を推進し人材発掘と育成に努めます。また、テレビ、ラジオの難視聴対策、テレ ビ地上波デジタル放送への対応等、情報通信基盤整備の検討を行います。 また、 携帯電話等の移動通信用施設の民間事業者による整備を積極的に促進します。 第2節 土地利用 ○ 土地利用にあたっては、町域の総合的施策に配慮しながら地域開発・整備を推進し ます。 ○ 公共事業の円滑化、公租・公課等国民負担の公平化、土地に関する紛争防止を目的 とした地籍調査事業を推進します。 ○ 雑種地等の土地の有効活用を検討します。 第3節 町土の保全 ○ 治水対策では、県に対し堤防改修事業による早期改修を強く要望します。 ○ 砂防面では、急傾斜地崩壊対策事業、砂防事業とも、人命に直接関わる事業であり 早期実現を強く県に対し要望していきます。 ○ 森林保全については、保安林の確保に努め、水資源の涵養を図り、復旧治山、予防 治山事業等を実施します。 ○ 海岸保全の施設整備にあたっては、他事業との連携を密に自然との調和を図りなが 11 ら計画を推進します。 ○ 河川については、住民が安全で親しみを持てる河川を目指して整備を促進します。 第4節 自然環境の整備保全 ○ 地域の自然的、社会的条件を考慮しながら、自然との調和、節度ある開発を進めま す。 ○ 世界遺産等に指定されているエリアの保護に努めます。 ○ 県立熊野枯木灘海岸自然公園内では、自然環境の保護に努めるとともに、すさみ海 岸の特色を生かし、地域産業と連携する観光・レクレーション地域として開発します。 ○ 防災広場や安全な遊び場としての公園・緑地の整備を検討します。 第2章 地域住民の安全の確保 第1節 消防・防災及び防犯対策 ○ 大辺路消防組合では、消防防災意識の普及、啓発と予防業務に努め、消防力の強化 に努めます。救急業務では資機材の整備充実と隊員の技能高度化に努めるとともに、 常備消防の在り方についても県消防広域化計画を踏まえ再検討します。なお、市町村 合併に伴う組合の解散後は、常備消防業務を委託します。 ○ 非常備の消防団については、若者の入団促進と資質向上に努め、消防力の強化と機 動力の充実を図ります。 ○ 防災対策に関しては、町地域防災計画により防災体制の強化に努めるとともに、防 災意識の高揚と自治防災組織の育成を図り、災害に強い町づくりを推進します。 ○ 今後数十年のうちに高い確立で発生が予想される東南海・南海地震に備え、公共施 設や一般住宅の耐震化、避難場所・避難路の整備、避難訓練など住民と行政が一体と なって総合的な施策を講じます。 ○ 町民すべての願いである犯罪根絶運動を地域ぐるみで展開します。 ○ 青少年の健全育成に関して、家庭内教育や学校教育の充実に努めます。 第2節 交通安全対策 ○ 今後の交通安全対策に当たって、道路の整備とともに安全施設の整備に努め、交通 弱者保護の立場にたった安全なまちづくりを進めます。 ○ 町民一人ひとりに正しい交通ルールとマナーの実践を図ります。 ○ 町民交通傷害保険制度の加入促進、被害者救済等の交通事故相談の充実に努めます。 12 Ⅱ 教養を高め歴史と伝統にまなぶ文化のかおるまちづくり 第1章 教育文化の振興 第1節 生涯学習 ○ 社会の一員としてその生涯を幸福で有意義に生きるために、人生のあらゆる時期や 場所において、必要に応じて自分の意思で自由に学習することが重要であり、住民の 学習ニーズに応じた生涯学習施策を推進する。 第2節 学校教育 ○ 知・徳・体の調和のとれた、人間性豊かな子どもの育成を目指します。 ○ 自ら学ぶ意欲と力の養成、基礎学力の向上、豊かな心の醸成、心身両面の鍛錬に重 点を置いて取り組みます。 ○ 教職員の資質向上、施設・教材の充実など教育環境づくりを積極的に推進します。 ○ 学校、家庭(児童生徒・保護者)及び地域社会・関係機関が連携して、安全で開か れた学校づくりを推進します。 ○ 保育士の資質強化に努め、保育所が専門的育児センターとして機能するように努め ます。 ○ 幼児期における家庭教育の重要性に鑑み、保護者の教育力を高める取組みを行いま す。 ○ 和歌山県立南紀高等学校周参見分校の存続・振興に努めます。 第3節 社会教育 ○ 公民館活動としては、指導者の資質向上、人材の発掘、各種教室・講座、図書の充 実に努めます。 ○ すさみ町人権学習基本方針に基づき、すべての町民が互いの人権を正しく理解・認 識するための自主的・主体的な学習機会を創出し、当町における人権文化の構築を目 指します。 ○ 家庭教育では、保護者の学習機会の拡充に努めるともに、家庭教育学級の充実を図 ります。 ○ 高齢者教育では、豊かな人生経験を生かした各種学習や活動の充実に努めていきま す。 ○ 若年層の女性の積極的な社会参加を促進するため、学習活動の充実に取り組みます。 ○ 福祉教育の一層の充実を目指して、教育機会の充実と啓発活動を展開していきます。 ○ 青少年教育については、社会参加・活動を推進し、青少年がもつ自主自立意識を啓 発する教育を進めていきます。 ○ 明るく健全な家庭づくりを推進し、社会環境の浄化と健全な社会環境の整備に努め 13 ていきます。 ○ PTA活動では、保護者・教職員の会員相互の連帯と地域社会との連携、家庭教育 の振興、社会環境の浄化活動、啓発を推進します。 ○ あらゆる年齢層や個人に応じた社会体育活動への積極的な参加を奨励するととも に、施設の整備、指導者の育成及び社会体育団体の充実支援に努め、スポーツを通し て町民の連帯意識を高め、町民の健康増進・体力維持向上を図ります。 第4節 文化の振興 ○ 世界遺産「長井坂」をはじめとする指定文化財の保全・保護と活用に努めるととも に、文化財愛護に関する啓発活動を行い、人類・国民にとってかけがえのない共通の 財産を後世に継承します。 ○ 公民館等の文化施設を拠点として地域の芸術文化活動を推進します。 ○ 芸術文化団体・サークルの育成・支援とそれらとの連携に努めます。 ○ 公民館や歴史・文化施設の充実と効果的活用に努めます。 ○ 伝統的な文化や芸能を後世に継承するように努めます。 Ⅲ スポーツに親しみ健康で希望にみちた明るいまちづくり 第1章 生活基盤の整備 第1節 環境衛生 ○ 地域学習会や広報活動により町民の意識の高揚を図りごみの減量化と資源リサイ クル活動を推進します。 ○ 不燃物や廃棄物に関する処理方法や処分適地を検討するとともに、不法投棄の解消 に努め、美しいまちづくりを推進します。 ○ し尿処理・水質保全に関しては、合併処理浄化槽設置費の一部助成を行うほか、下 水処理施設の整備に関する調査を進めます。 ○ 町営火葬施設は、近代的な火葬場に改築し、駐車場拡充にも努めます。 14 第2節 社会保障 ○ 国民健康保険事業では、制度に関する広報、予防業務の充実、傷病時の医療給付に よる健康の回復・保持に努めます。 また、安心して医療を受けられ、保険負担の平準化を図れるように運営基盤を広域 化するなど抜本的な改善を国・県に要望します。 ○ 老人保健事業では、健康診断や健康教室などを通して、疾病の予防・早期発見に努 め、高齢者の健康の維持増進に努めます。 ○ 介護保険事業では、介護状態になることの未然防止、介護状態の軽減、介護状態か らの回復のための諸事業を関係医療機関と連携して迅速に行い、自立した生活ができ るように支援を行います。 ○ 国民年金保険については、給付水準の引き上げや制度内容の充実、改善を国に対し 要請します。 第3節 保健衛生及び医療の充実 ○ 生活習慣病予防対策等の検診体制の充実、強化に努めます。 ○ 疾病予防、治療体系の整備と、自己管理による健康づくりに努めます。 ○ 国保すさみ病院の医療施設の充実、高度化に努めるとともに、病院機能の充実を図 ります。 ○ 保健・福祉・医療の連携を強化し、安心で住みよい福祉のまちづくりを推進します。 第4節 水利用計画 ○ 上水道及び簡易水道施設では、経費の節減と施設整備により安定した水の供給を図 ります。 ○ 生活用水未普及地域については住民の意向を踏まえ、その確保に努めます。 ○ 農業用水の確保は重要な課題であり、全町的視野にたった利用計画の検討を進めま す。また、農業用水の水質保全を図るため、生活雑排水の流入防止に努めていきます。 第5節 集落の整備 ○ 総合的に施策を講じ、集落の維持・存続に努めます。 ○ 漁村集落については、良好な住環境整備の検討を進めます。 ○ 若者定住、UJIターンを促進するため、生活環境、集落の整備について検討しま す。 15 Ⅳ たがいに助けあう平和で楽しいまちづくり 第1章 社会福祉の増進 第1節 社会福祉の充実 ○ 児童福祉については、多様化する保育需要に応え保育内容の充実や、施設整備を図 ります。 思いやりのある児童を育てるため、関係諸団体と連携を保ち、心身ともに健やかに 育つ環境づくりやちびっこ広場などの施設整備の推進を図ります。 ○ 母子・父子福祉に関しては、生活相談の徹底や相談機能の充実を図り、安定した家 庭生活の中で、児童生徒が心身ともに健やかに育成されるよう必要な施策を講じます。 また、母子福祉会の育成強化を図るべく、積極的に指導、助言に努めます。 ○ 高齢者福祉では、高齢者の長年培った経験に学ぶといった敬愛意識の普及に努める とともに、高齢者の社会参加を促進するため、技能や知識を活かした生きがい対策の 推進を図ります。 ○ 介護保険では、必要なサービス量、高齢者のニーズを把握し、最適な支援体制を整 えます。また、介護予防として、生きがい活動としての各種スポーツや文化サークル への参加を促進します。 ○ 生活保護受給開始の要因は疾病による場合が多く、町民に健康管理意識の啓発を行 う一方、疾病の早期治療と回復に努め、自立可能な保護世帯の適業就労を促します。 ○ 障害者(児)福祉については、障害の種別に関わらず、自立支援を目的とした福祉サ ービスの一元化を図るとともに、利用者のニーズに対応できるようサービスの量と質 の向上に努めます。 障害者(児)の社会参加を促進し、障害のある人もない人も共に地域で支え合う町 づくりをめざし、啓発と広報活動の推進に努めます。 ○ 社会福祉協議会での事業意義を啓発し、財政基盤の確立と地域社会での活動拠点と しての充実強化に努めます。 ○ 地域社会の福祉増進を図るため、民生委員やボランティアの発掘・育成と組織づく りを積極的に推進していきます。 ○ 小・中学生のボランティア活動を通じて社会福祉や、社会との連帯の精神を身につ ける教育活動を推進します。 第2節 住宅・住環境施設の整備 ○ 老朽化した町営住宅については、順次その改善に努め、居住水準の向上を図ってい きます。 ○ 公的融資制度の活用を奨励し、積極的な定住対策を講じ持ち家対策の助長に努めま す。 ○ 町営住宅砂子団地については、周辺整備を行い、良好な住環境を創出します。 16 Ⅴ 働くことを大切にする活力あふれるまちづくり 第1章 産業の振興 第1節 農業の振興 ○ 農地を効率的かつ有効的に利用するため、優良農地の確保と保全に努め、農業の担 い手への農地の集積を図り、耕作効率の向上に努めます。 ○ 適地適作の推進、施設栽培の導入と複合経営の促進を図るとともに、生産技術の向 上、生産組織の育成・強化、共選共販体制の確立を図ります。 ○ 新しい産品を開発し、地域全体の自立促進を図ります。 ○ 国または県の農業生産振興対策事業により、耕地の遊休化を防ぎます。 ○ 農業の新たな担い手となる農業生産法人や元気な高齢者や女性、UJIターン者の 農業経営を多角的に支援します。 ○ 農産物の地産地消を推進するとともに、観光と連携した体験農業の導入を検討しま す。 ○ 鳥獣被害については、電気柵の設置や駆除に努めるとともに、鳥獣との共生・共存 に向けて取り組みます。 第2節 林業の振興 ○ 小規模林家や不在村林家に対しては、積極的参加を啓発し林業施業を促進します。 森林組合の体質強化により、合理的、計画的な林業経営に対応できる基盤整備に努め ます。 ○ 林業機械については、森林組合等による地域に適した共同導入を促進します。 ○ 林業生産活動の活性化、就業の確保と労働条件の整備や複合経営の促進を図り、担 い手の確保と育成に努めます。 ○ 森林の公益的機能に鑑み、保安林の拡大に努めます。 ○ 有害鳥獣の駆除に努めるとともに、鳥獣との共生・共存に向けて取り組みます。 第3節 水産業の振興 ○ 魚礁設置による漁場の造成と放流・保護による資源の増殖を図ります。 ○ 魚価の安定向上を図るため、付加価値の高い漁獲物の供給に努めます。 ○ 漁港など漁業生産基盤の整備を進めるとともに、イベント等による都市住民との交 流の場としての利用を図ります。 ○ 漁業協同組合の合併を側面から支援します。 17 第4節 商工業の振興 1.商業 ○ 商工会を中心とした指導体制の強化や商業経営の合理化、効率化を図り、新しい経 営感覚を養い顧客の誘導を図ります。 ○ 商工会活動の一層の充実、商業者の自立的努力を推進します。 ○ 設備投資に関して、税制上の優遇措置や融資あっせん等の側面的支援を行います。 2.工業 ○ 小規模企業が主な本町では、商工会等を通じ経営の合理化、施設の近代化を進め企 業者の自主的努力を促します。 ○ 誘致企業については、側面的支援により雇用の増大と安定、所得の向上を図ります。 ○ 農林水産物を材料とする加工場の設置を推進します。 ○ 設備投資に関して、税制上の優遇措置や融資あっせん等の側面的支援を行います。 第5節 観光業の振興 ○ 地域イベントを活かし、農山村へのグリーンツーリズムを通じ、農林水産業等地域 産業と連携して心癒される観光の振興を図るとともに、世界遺産熊野古道の活用を図 ります。 ○ 枯木灘海岸沿線の整備については、生活環境の保全、自然環境の保護を図りつつ、 地域産業の活性化を図ります。 ○ 設備投資に関して、税制上の優遇措置や融資あっせん等の側面的支援を行います。 第6節 地域間交流事業 ○ 地域の活性化と自立を図るため、都市交流環境のハード、ソフト両面について整備 を促進し、交流人口の増大に努めます。 ○ まちづくりの人材育成や就労機会の拡大等の効果が大きい観光・レクレーション産 業の振興を図ります。 第2章 行財政計画 第1節 行政組織 1.事務管理 ○ 質的、量的に拡大が予想される行政需要に対応するため、行政の効率的運営を一層 推進します。 ○ 行政の機能充実に努めるほか、住民サービスの向上と経費削減、事務効率化・合理 化を積極的に推進します。 18 2.人事管理 ○ 職員一人ひとりが使命感を認識し、高度化・専門化する行政事務に対応する体制を 確立します。 ○ 職務分析、事務量や適性を的確に把握し職員の適性配置に努めます。 3.広報・公聴 ○ 広報について、より一層の充実のため創意工夫に努めます。 ○ 町民が町政に積極的に参加し行動できる体制づくりと情報提供により、町民意識の 的確な把握に努めます。 ○ 今後とも住民との対話を積極的に進め、広報、公聴活動の強化に努めます。 第2節 財政 ○ 施策や事業が円滑に実施していくため、財政の健全化に努めます。 ○ 多様化、増大化する行政需要に対応するため、一層の経費節減と合理化を図り、硬 直化している財政体質の改善に努めます。 ○ 公債費については、過疎債、辺地債を優先させるとともに、事業を厳選し発行額を 抑制します。 第3節 広域行政 ○ より一層効率的に行財政運営を行うため、市町村合併を積極的に推進します。 ○ 日置川町との一部事務組合で処理している業務に関して、日置川町と白浜町の合併 後、し尿処理は新白浜町との一部事務組合で行い、常備消防は新白浜町に委託するよ うに調整・協議します。 ○ 紀南地方の社会経済の振興を図るには、広域的な視点にたった行政の推進に努め、 合理的、効率的な地域の総合整備を図っていきます。 ○ 高速自動車道の紀南延長、主要幹線道路の早期改修、JR紀勢本線の利便性・快適 性向上促進については、広域市町村が一致協力して関係機関に積極的に働きかけます。 ○ 従来の行政枠を越えた総合的な振興整備策と生活環境水準の向上を図り、周辺市町 村と互いに協力し合い、均衡のとれた住みよい地域社会の建設に努めます。 19 基本計画 Ⅰ 豊かな自然を守るうるおいのある美しいまちづくり 第 1 章 基礎的条件の整備 第 1 節 交通・通信体系の整備 1.道路の整備 (現況と課題) 道路は地域開発や産業基盤の強化を図るための基礎的要因を持ち、地域住民が安心して 生活する上で欠かせない生活基盤であると同時に観光の振興を促す意味からも重要な役割 を担っています。 紀伊半島の南部に位置する本町にとって、国土幹線軸に直結する高規格道路の整備の遅 れは、過疎化からの脱却、地域経済活動等の進展を阻害しており、一日も早い完成を目指 し積極的な要望と推進活動を行っています。 本町の道路網は、広域幹線道路としての国道 42 号を軸に、主要県道 2 路線、一般県道 4 路線、町道 281 路線及び農道等により形成されています。 基幹道路である国道は、海岸線に沿って延長 20.5 ㎞が完全舗装されていますが、急曲 部分が多く、通行に時間を要する一方、カーブ区間での車両事故が跡を絶たず、歩道等の 交通安全施設の整備も急がれています。 県道 6 路線については、 総延長は 83.3 ㎞であり全体の改良率は 31.9%、 舗装率は 86.7% となっています。 また、町道は一級 8 路線、二級 9 路線、その他 264 路線の合計 281 路線、総延長 111.1km であり、全体の改良率は 31.8%、舗装率は 72.3%となっています。 このように、地域における定住基盤、生活基盤としての地域内幹線道路である県道及び 町道については、広範な町域及び山間に集落が散在しているため、その整備率は悪く、幅 員も狭いうえにカーブが多く、車の対向困難箇所も随所にあり、豪雨等の異常気象時に通 行止めや通行規制を必要とする等により、連絡道を中心とした拡幅整備改良が進められて います。 農林道については、過疎化による労働力の高齢化や、省力化のための機械化により、一 層の整備が不可欠となっています。 20 国・県・町道の整備状況(平成 17 年 4 月 1 日現在) 区 分 路線数 国 道 県 道 1 6 2 4 281 8 9 264 288 主 要 一 般 町 道 一 級 二 級 その他 合 計 延長 20.5 83.3 52.8 30.5 111.1 17.8 13.6 79.7 211.2 (単位:km、%) 改良済 改良率 舗装済 舗装率 20.5 100.0 20.5 100.0 26.6 31.9 72.2 86.7 21.5 40.7 44.8 84.9 5.1 16.7 27.4 89.8 35.3 31.8 80.3 72.3 9.2 51.7 15.2 85.4 4.5 33.1 10.3 75.7 21.6 27.1 54.8 68.8 78.5 37.2 170.1 80.5 (基本方針と主な施策) (1)国道等 本町の基幹道路であり、また近畿経済圏と結ぶ産業、観光道路でもある国道42号は、 重要な役割を果たす大動脈であるので、急勾配、急カーブの多い区間及び歩道のない箇所 について、早期改修を国に対し強く要望していきます。 また、近畿自動車道紀勢線は地域の発展や地域の住民の生活向上には不可欠な「命の道」 であります。白浜~すさみ間は、平成 15 年に新直轄方式で整備されることになり、広域的 な取組みを通じて早期整備を強く要望するとともに、早期供用のための促進活動を積極的 に行います。 (2)県道 県道については、国道に次ぐ重要な役割を持つ道路であるから、未改良区間の改良、舗 装の促進、不通区間の解消を重点に強く県に要望し、その実現を図っていきます。 特に、小河内~上戸川間、平松~本城~田中間、防己~江住間の未改良区間については、 早期完成を県に要請していきます。 また、佐本栗垣内~大附間、小河内~大附~日置川城間、佐本深谷~古座川町三尾川間、 太間川~日置川町大字城の不通区間の解消を重点に積極的に要望し、過疎化する奥地山村 の振興を図っていきます。 広域的な取組みとして、当町から古座川を経て本宮町に至る道路(仮称参宮本線)をは じめとする広域幹線ルートの整備についても、県に対し要望していきます。 (3)町道 町道は、集落~集落及び市町村間を結ぶ暮らしに密着した生活道路であり、今後も利用 者の増大が予測される道路交通需要に対応すべく未改良、 未舗装の道路整備に重点をおき、 順次推進を図っていきます。 21 また、橋梁関係についても、歩道橋の設置や自動車の大型化に対応できるよう架換等、 その実現を図っていきます。 (4)農林道 町の基幹産業である農林業の活性化を図るため、投資効果を勘案の上、その整備に努め ます。 2.公共輸送機関 (1)バス (現況と課題) バス交通は、山間地域住民の買い物等、日常生活の身近な公共交通機関として重要な役 割を果たしており、現在本町では、明光バス(日置~周参見~江住線) 、熊野交通バス(串 本~里野~江住線)及びすさみ交通(周参見~大附~佐本線、周参見~太間川線)の民間 会社3社により、いずれも一日3往復運行されています。また、周参見~和深川は、スク ールバスとしてすさみ交通が受託運行しています。 過疎化と自家用車の普及により利用者は年々減少傾向にあり、いずれも不採算路線とな っています。 この赤字欠損額に対して、本町では過疎バス維持負担をしていますが、事業者の経営状 況は更に悪化していく事が懸念されます。 また、山間地域のバス路線から遠距離にある集落については、交通アクセスの確保が望 まれています。 (基本方針と主な施策) バス路線は、利用者の減少と不採算性は今後も続くことが予想されますが、山間地域に おいては自家用車以外では唯一の公共交通手段であることから、バス運行についての助成 継続とともに、バス業者の企業努力を促しその維持・確保に努めます。 また、バス路線まで遠距離にある住民への助成も継続します。 (2)鉄道 (現況と課題) 大量高速輸送の特性を持つ鉄道は、通勤・通学、商用あるいは観光にと幅広く利用され、 公共的な輸送機関として大きな役割を果たしています。 過疎化による人口減や自動車の普及により、減少傾向にあった利用人員は、特急電車の 新大阪駅、京都駅の乗入れ等で定着化の傾向が見られます。 普通電車は日常の生活圏である田辺市や串本町等への通勤・通学者が主として利用して いますが、便数が少ないため不便であり、周参見駅以南については一層その状況が著しく なっています。 こうした状況の下、田辺駅以南の複線化等、紀勢本線の高速化や快適性・利便性を向上 させる目的で「紀勢本線活性化促進協議会」が設立され、県下的な取組みが進められてい ます。 22 管内各駅別年間乗車人員数 (資料:西日本旅客鉄道株式会社) 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 周参見駅 見老津駅 江 住 駅 合 計 118,436 9,944 18,082 146,462 106,858 6,707 13,686 127,251 104,196 4,669 10,430 119,295 95,498 4,428 7,621 107,547 91,671 3,658 6,598 101,927 84,198 3,151 5,191 92,540 (基本方針と主な施策) 将来においても、モータリゼーションの時代は続くと予想されますが、利便性・快適性 とともに、大量高速輸送面における鉄道の公共輸送機関としての果たすべき役割は大きい ものがあります。 紀勢本線の高速化や田辺市以南の複線化、増便や新型車両の促進を関係機関に強く要望 していくとともに、町の玄関口でもあるコミュニティープラザの利用促進や、バリアフリ ー化を目指した跨線橋改修と合わせて都市計画区域としての駅前開発を検討します。 3.情報・通信 (現況と課題) 情報化は、情報処理技術や通信体系の急速な発達により、日常生活や各種産業活動に大 きな影響力を持つ時代の幕開けを意味しています。 地理的条件や交通基盤整備の遅れ等による過疎化・高齢化が進む本町にとっては、情報 化時代到来はある面で町発展、振興の起爆材になりうる要素を含んでいるため、情報通信 基盤の整備、情報受発信機能の強化とともに、人材育成に取り組む必要があります。 行政事務の効率化、行政サービス向上を目的とした情報システム体系を築くとともに、 小・中学校での情報教育の充実による情報化時代を担う人材育成が必要となってきていま す。 産業の活性化の面からも増加が見込まれる情報需要に対しては、情報提供できる基盤整 備と人材育成が必要です。 海岸部から山間部に至るまで、広範囲にわたり集落が散在する本町にとっては、有線・ 無線などの通信網は非常に重要な役割を果たすものであり、昭和59年に設置した町防災 無線放送施設により、 情報の伝達がより円滑に行なわれ、 生活の利便性が向上しています。 テレビやラジオは現在では重要なマスメディアの一つであります。主として山間地域の テレビ、ラジオ難視聴区域については、その対策が必要になっています。2011年度を 目標に進められている地上波デジタルテレビ放送への対応も、近い将来の課題となってい ます。 また、携帯電話については、山間部においては利用できないのが現状であります。 (基本方針と主な施策) 急速に進むコンピュータ等による情報受発信については、小・中学校での情報教育の充 実とともに、生涯学習の場での利用・活用を推進します。 主として山間地域におけるテレビ、ラジオの難視聴について調査を行い、必要に応じて 23 その対策を講じるとともに、CATVやデジタル放送受信等、情報通信基盤についても検 討を行います。 携帯電話等の移動通信用施設については、民間事業者による整備を積極的に促進します。 基幹産業である農林漁業情報の受発信、観光情報の提供等の基盤整備とともに、人材発 掘と育成に努めます。 第2節 土地利用 (現況と課題) 本町は、和歌山県の南西部、県都和歌山市まで直線距離にして約 100km、大阪都心部 から約 140km、時間距離にして鉄道で和歌山市まで約 1 時間 40 分、大阪まで約 2 時間 40 分に位置しています。 林野面積が町面積の約 93%を占める町土は、現在及び将来における町民の限られた資源 であるとともに、人々の生活や生産活動にとって欠かすことができない基盤です。 約 27kmにわたる豪壮なリアス式海岸線は昭和 29 年県立自然公園の指定受け、平成 11 年には 1,207ha が都市計画区域に指定されています。 まちづくり、地域づくりの基礎的条件でもあるため、自然環境の保全と均衡ある発展を 図りつつ、健全で調和のとれた秩序ある地域開発、整備を推進しなければなりません。 土地利用の状況 総面積 田畑 面積 田 17,471 159 243 (単位:ha) 畑 84 普通畑 23 樹園地 55 林野 面積 現況 森林以外 牧草地 森林 の草生地 6 16,193 16,193 - 雑種地 宅地 原野 その他 129 906 総面積資料:国土地理院公示面積(平成 16 年 10 月 1 日公示) 宅地面積資料:平成 17 年度固定資産税概要調書 田畑資料:農林水産省 和歌山統計情報事務所「和歌山農林水産統計年報」 (平成 13 年 8 月 1 日現在) 林野資料:農林水産省統計情報部「2000 年世界農林業センサス林業地域調査」 (平成 12 年 8 月 1 日現在) (基本方針と主な施策) 土地は、自然的、社会的や経済的に種々の性格を持っているため、その利用を図るうえ においては、現況を的確に捉え、将来の見通しのもとに、その特性に最も適した利用方法 を考慮する必要があります。 したがって、今後の土地利用にあたっては、各法に基づき、町土がもつ特徴と問題点を 十分考慮し、優良な農用地の確保、木材生産機能及び公益的機能を有する森林整備や、恵 まれた自然環境の保全、或いは公害防止や治山、治水対策等、町域の総合的施策に配慮し ながら地域開発、整備を推進します。 また、土地の所有・利用関係を明らかにして地籍の明確化を図り、公租・公課等国民負 担の公平化、土地に関する紛争の防止を目的とした地籍調査事業を推進します。 24 第3節 町土の保全 (現況と課題) 山林が町土の 9 割以上も占めているため、紀伊山系に連なる急峻な山々が住宅地の背後 や海岸線まで迫り、また年間降水量も 2,500mm 程度と非常に多い温暖多雨な地域、気候と なっています。 集落の大半は、谷あいを流れる河川に沿って形成された僅かな平坦地や、山裾に点在し ており、急峻な地形と脆弱な地質が多い関係から、短時間の比較的少量降雨での土砂流出 や地すべり、がけ崩れや、豪雨による河川の氾濫等の災害を受けやすく、また太平洋に面 している海岸は台風による波浪、 津波、 高潮等の災害を受けやすい自然条件下にあります。 防災の基本は、災害要因の排除であり、このため治山・治水事業、砂防事業や森林保全 や海岸保全を図ることが、住民生活の安全性と快適性を確保するために欠くことができな い要因であります。 (基本方針と主な施策) 1.治水 本町の県管理の 2 級河川 8 本については、洪水等の防止対策としての堤防改修事業を実 施しています。今後とも早期改修を図るため強く県に要望します。 また、町管理の普通河川については、準用河川として国費事業を受けられないため、災 害復旧事業で取り組んでいきます。 2.砂防 急傾斜地を流れる谷川による土砂流出や、河床の浸食等を防止するため、砂防えん堤を 主体に事業を進めています。今後とも緊急度を勘案しながら重点的に工事を推進します。 また、地形が急峻なため危険な急傾斜地がいたるところに散在していますが、これまで ほとんどの箇所の整備を進めてまいりました。残された箇所については緊急度の高いもの より重点的にその防止工事を進めます。 構造改革により公共事業が削減されていますが、急傾斜地崩壊対策事業、砂防事業は直 接人命にかかわる事業であり、早期実現、早期完成を強く県に対し要望していきます。 3.森林保全 木材資源の造成と森林のもつ公益機能の両者を多角的、かつ高度に発揮させるには山地 荒廃の復旧と災害予防に努め、流域の保全を図っていかなければなりません。 今後とも水資源の涵養を図り、水需要の増大対策、山地に起因する災害防止のための保 安林の機能維持と、地域社会の振興やその他の公共目的を達成するため、復旧治山、予防 治山事業等を実施します。 4.海岸保全 本町は、外洋性で波浪が高い太平洋に直面しているため、台風時には常に高潮、高波の 脅威に見舞われており、海岸の保全整備に努めることは極めて重要です。 25 今後、海岸保全の施設整備にあたっては、漁港整備や河川改修等、他事業との連携を密 にするとともに、自然との調和を保ちながら計画を推進します。 第4節 自然環境の整備保全 (現況と課題) 熊野地域における歴史的・文化的遺産が、平成 11 年に紀南地方を中心に開催された南 紀熊野体験博を契機として全国的にクローズアップされ、平成 16 年 7 月に「紀伊山地の霊 場と参詣道」としてユネスコ世界遺産に認定されました。加えて、太平洋に面した熊野枯 木灘海岸県立自然公園に代表される本町の自然豊かで景観にも恵まれた海・山・川は、町 民の誇りであり、後世に受け継ぐかけがえのない財産です。 地域開発にあたっては、環境の保全と利用に関する諸計画に十分配慮しながら、開発と 保全の調和に努めていかなければなりません。 (基本方針と主な施策) 1.自然環境の保全 快適な生活環境と良好な自然環境との共存への要望があるなかで、恵まれた自然環境を 次の世代に引き継いでいくためには、計画的に整備保全を図る必要があります。 地域の自然的、社会的条件を考慮しつつ、自然との調和、節度ある開発を進めます。 2.紀伊山地の霊場と参詣道 紀伊山地の霊場と参詣道は、 自然と文化の複合遺産として世界遺産に登録されたもので、 これらの保全、保護あるいは活用については、十分な配慮が必要であります。本町に位置 する大辺路街道長井坂にあってもその歴史的、文化的な背景に鑑み、後世に受け継ぐため の保護、保全に努めます。 3.公園の整備 (1)県立自然公園 我が国で海岸美を誇る地域は数多くあるが、素朴で豪壮、雄大なすさみ海岸は、他の追 随を許さないものがあります。 こうした素晴らしい自然景観のもと、年間を通じて温暖な気候の影響を受け、暖地性植 物群落が天然記念物として保護されている稲積島、江須崎島を中心に、白浜から串本に至 る海岸線約 70kmに及ぶ 2,043ha の地域が、熊野枯木灘海岸県立公園として指定され、こ のうち本町の区域は 941ha で、全体の 46.1%を占めています。 この自然公園は、出入りの多いリアス式海岸美と海食による奇岩や磯の変化が特色とな っており、中でも稲積島、江須崎島及び黒島は第1種特別地域として、その自然景観が強 く保護されています。 今後は、すさみ海岸の特色を生かし、また地域関連諸産業の効率的な活用を図り、観光・ レクレーション地域として再開発し、地域経済の振興を図ります。 26 熊野枯木灘県立自然公園(昭和 43 年 10 月 17 日指定) (単位:ha) 特 別 地 域 区分 普通地域 合 計 町名 白浜町 日置川町 すさみ町 串本町 計 第1種 27 5 32 第2種 第3種 182 242 278 71 773 245 236 597 44 1,122 計 427 478 902 120 1,927 50 11 39 16 116 477 489 941 136 2,043 (注) (第1種)風致維持の必要度が最も高いところで、公園の核心的景観の存する地域 (第2種)風致維持の必要度が中位のところで、産業的利用との調整がある程度はかられる地域 (第3種)風致維持の必要度が比較的少ない地域で、通常産業行為は原則として許される地域 (2)公園 本町のように周辺に木々の緑に恵まれた環境のなかでは、これまで公園や緑地を整備す る必要性はあまり高くありませんでした。 しかし、快適な住民生活と良好な都市環境を維持し、防災面をも考慮した公園・緑地等 の建設は、幼児期の安全な遊び場確保とともに今後高齢化率の高い本町にとっては必要な ことと考えています。 第2章 地域住民の安全の確保 第 1 節 消防・防災及び防犯対策 1.消防 (現況と課題) 消防組織は、常備消防として日置川町と共同で設置した大辺路消防組合と、非常備消防 のすさみ町消防団の 2 組織から成り立っています。 大辺路消防組合では、昭和 49 年の設立時の地理的条件から本町と日置川町の両町に消 防署を置く 1 本部 2 消防署体制をとっています。 組合の運営費の大半は、両町からの負担金で賄われていますが、両町の財政が厳しい状 況にあり、現体制下では慢性的な職員不足が生じています。 このことから、消防本部体制及び予防業務体制が弱く、充実強化が課題となっています。 また、救急業務では高齢化等社会情勢の変化を反映し、出動件数が増加の傾向にありま すが、管内には一次医療機関しかないため田辺市内の医療機関に頼らざるを得ず、長時間 の出動を余儀なくされる現況にあり、救急業務の高度化並びに充実強化がより一層求めら れています。 こうした中、県では消防広域化計画を示しており、これらのことを踏まえ、組合発足か ら 30 年を経過した現在、 常備消防体制の在り方について再検討する時期にあると言えます。 また、こうした状況下で日置川町と白浜町との合併が平成 18 年 3 月にせまっており、 本町としての消防体制の充実・強化及びこれに対する早期確立が望まれます。 27 一方、すさみ町消防団は、3 分団、134 名によって構成されていますが、過疎高齢化の 進展に伴い、団員の高齢化が進みつつあります。 また、住民の意識等社会情勢の変化によって、団員定数の確保が困難となる傾向にあり、 これらの是正が今後の課題となっています。 更に、人的消防力を補完することも含め、消防活動のもう一つの基礎的要件である消防 施設、設備の増強整備と機動力の充実・強化が求められています。 救急出動 (資料:大辺路消防組合 内容:すさみ署分) 出動件数 搬送件数 不搬送件数 搬送人員 平成13年度 305 287 18 293 平成14年度 283 261 22 283 平成15年度 326 314 12 320 平成16年度 347 327 20 331 救助出動及び火災出動 (資料:大辺路消防組合 内容:すさみ署分) 救 助 出 動 火 災 出 動 出動件数 救助人員 建 物 林 野 その他 平成13年度 3 1 3 2 3 平成14年度 5 1 2 平成15年度 4 2 平成16年度 4 1 2 (基本方針と主な施策) 常備消防は、大辺路消防組合の解散に伴い、新白浜町に業務を委託するように調整・協 議します。 災害を未然に防止するため、地域住民に対する消防防災意識の普及、啓発と予防業務に 努めるとともに、火災による被害を最小限に止めるために、消防施設の整備を行い、広域 的な範囲での消防力の強化に努めます。 また、増加傾向にある救急業務について、病院との連絡を密にし、救急車及び資機材の 整備充実と救急救命士の養成等、隊員の技能向上による高度化に努めます。 消防本部体制については、県の消防広域化計画を踏まえ、常備消防の在り方について再 検討します。 消防団においては、若者の入団促進と資質向上に努めるとともに、施設、設備の整備を 進め、消防力の強化と機動力の充実を図ります。 2.防災 (現況と課題) 自然災害から住民の尊い生命と財産を守り、日常生活の安全性を確保していくことは、 火災事故防止とともに、安全な社会を形成していく上で重要な課題です。 本町は紀伊半島の南西部で太平洋に臨んでいるため、毎年台風による風水害を受けてい 28 ます。また、平成 15 年 12 月 17 日に、和歌山県全域を含む 21 都府県 652 市町村(当時)が 東南海・南海地震で著しい被害が予想される地域として指定され、これらの防災対策が急 がれています。 一方、町の大部分は、急峻な山地で構成され、山峡を流れる河川に沿って耕地や集落が 点在しているため、短時間の比較的少量の降雨量でも土地の崩壊を生じることも少なくあ りません。 このため、町土の保全と災害防止の観点から、様々な施策を行ってきましたが、まだま だ危険箇所は数多く残されています。 (基本方針と主な施策) 災害の拡大を防止することを目的として、「すさみ町地域防災計画」が策定されています。 防災関係機関との連携を更に密にし、関係資機材の備蓄をはじめ、避難、救助等の組織 体制の充実を図る等、防災体制の強化に努めます。 治山、治水や河川改修、急傾斜崩壊対策等については、関係機関との協力のもとに積極 的な施策の推進に努めます。 安全な地域づくりのため、町民に対し防災意識の普及に努め、自治会組織等を核とした 自治防災組織の育成を図り、災害に強い町づくりを推進します。 地震防災に関しては、本町は約 27 ㎞に及ぶ海岸線を有していることから、東南海・南 海地震での津波災害や火災などの二次災害が想定されています。このことから、防災意識 の高揚や防災訓練の充実、防災施設の整備、避難場所の確保と整備など、すさみ町地域防 災計画に則った防災対策を推進し、自助・共助・公助による一体的な防災体制づくりを推 進します。 3.防犯 (現況と課題) 犯罪や非行のない明るい社会を築くことは、町民共通の願いです。 犯罪は私達の共同社会を脅かす最大の障害であり、町民一人ひとりが、地域社会それぞ れで犯罪防止に積極的に取り組んでいかなければなりません。 青少年の健全な育成のためにも、犯罪の発生を未然に防ぎ得る環境づくりを推進してい く必要があります。 刑法犯罪種別認知件数 (資料:県警察本部「犯罪統計書」 ) 総 数 凶悪犯 粗暴犯 窃盗犯 平 平 平 平 平 成 成 成 成 成 1 1 1 1 1 0 1 2 3 4 年 年 年 年 年 53 30 76 81 88 ― ― ― ― ― 1 ― 4 4 1 侵入犯 乗物犯 非侵入 45 23 62 62 66 29 6 2 8 2 7 7 11 9 24 17 32 10 45 36 42 知能犯 風俗犯 ― ― 4 4 6 ― ― ― ― ― その他 刑法犯 7 7 6 11 15 (基本方針と主な施策) 犯罪の根絶は町民すべての願いであることから、町民の社会道徳の高揚に努め、犯罪防 止についての万全の体制を期する必要があります。 このため、防犯関係機関との連携をより緊密にし、広報紙や住民運動を通じ、住民によ る地域ぐるみの犯罪根絶運動を展開します。 また、青少年の犯罪防止については、社会教育諸団体との連携を密にしながら家庭内教 育や学校教育の充実に努めます。 第2節 交通安全対策 (現況と課題) 今や自動車や単車等の交通手段は、町民の生活や産業活動にとって欠かせない手段の一 つとなっています。しかし、このことが様々な形での交通事故の増加を招くことになって います。 急カーブや幅員の狭い道路の多い本町では、交通事故の発生する危険性も高くなってい るのが現状です。 交通事故は、人、車、交通環境の三要素が、複雑にからみ合って発生するものであると の認識から、カーブミラー等の交通安全施設の整備、交通指導員を中心としての街頭啓発 や広報紙等による交通安全意識の普及に努めてきました。 今後とも、交通事故発生ゼロをめざして、交通安全運動の推進、交通安全教育の強化、 交通安全施設の整備等、交通環境の整備充実に努めなければなりません。 町民が交通事故による被害者対策として、昭和 47 年度に民間保険会社とタイアップし た町民交通傷害保険制度を創設し、交通事故にあった被害者の救済に努めてきました。こ の保険制度の趣旨を今後も広く町民に広報する必要があります。 交通事故発生件数及び死傷者数 (資料:県警察本部「交通年鑑」 ) 発生件数 死者数 傷者数 平成12年 29 3 27 平成13年 29 0 35 平成14年 23 0 33 平成15年 18 1 28 平成16年 25 2 33 (基本方針と主な施策) 1.施設の整備 今後の交通安全対策に当たっては、交通量の増大や交通機関の大型化、高速化に対応し た道路等の整備を進めるとともに、道路の構造や交通の状況等を十分に把握し、防護棚、 カーブミラー等の安全施設の整備に努めます。同時に、歩行者、特に老人や子ども、身体 障害者等、いわゆる交通弱者保護の立場にたった安全なまちづくりを進めていきます。 30 2.交通安全運動の推進 本町における交通安全運動の中心的役割を果たしている交通指導員会は、現在指導員 22 名により、毎月 2 回町内で定例街頭指導を行うほか、小・中学生への交通安全教育や、四 季の交通安全の啓蒙、啓発に努めています。 事故原因の一つは、交通モラルの低位性にもあることから、広く町民一人一人に交通安 全思想や、交通道徳の普及徹底し、正しい交通ルールとマナーの実践を図ります。 今後とも関係機関や交通安全母の会等の各種団体、交通指導員会等と協力して、町民総 ぐるみのより強力な交通安全運動を推進します。特に運転者に対する意識教育とともに、 歩行者に対する交通安全教育を重点的に推進し、交通モラルの高揚と交通安全知識の普及 を図っていきます。 3.被害者対策 今後とも本制度の趣旨や長所を広く町民に広報し、加入促進を図っていきます。 また、交通事故相談事業についても、その体制の整備充実に努めます。 31 Ⅱ 教養を高め歴史と伝統にまなぶ文化のかおるまちづくり 第1章 教育文化の振興 第1節 生涯学習 (現況と課題) すさみ町では平成 5 年度に「生涯学習モデル事業」の指定を受け、住民参加による社会 教育や関係諸団体の活動を図る方向で取り組んできました。 近年は国際化や情報化等の急激な社会変化に伴い、高齢化や広域行政、地方自治等に関 する課題がより明確になり、生涯学習社会構築のための体制づくりが必要になってきまし た。 そのため本町では、平成 11 年 9 月に生涯学習推進本部・推進協議会の組織による生涯 学習推進会議を結成しました。 生涯学習推進協議会には、総務・人権・健康・文化・地域づくりの 5 つの専門部会を設 置しています。 生涯学習は個人の興味・関心に沿って、それぞれ自分に適した手段・方法により学びた いことを学ぶ活動です。 推進協議会の専門部会では、家庭や職場、学校や地域社会で行うさまざまな学習活動に ついて、 生きがいや喜びが感じられるように、 意見交換や交流を推進することが課題です。 また、生涯学習推進のために、どう具体的に取り組んでいくかが問われています。 (基本方針と主な施策) 当町の特色に根ざした心豊かな町づくりを目指します。 心豊かな町づくりとは、教育の振興、福祉の充実・人権の確立、地場産業の育成と地域 の活性化を柱として、町民憲章の具体化を図ることが生涯学習の目標です。 生涯学習推進のために、町民はそれぞれの趣味、スポーツや文化活動等を通して、受身 の学習から主体的な学習へと転換を図る必要があります。 主体的に個人で学習していくと、一人では学習が進みにくい場合も生じてきます。 そのため、グループやサークル活動の充実、地域社会で連携協力する活動の促進を図り ます。 また、地域の教育力の向上を目指したコミュニティーづくりに取り組みます。 今後、町民の主体的な自己学習を保障・援助するために、各種の条件整備に努めます。 第2節 学校教育 1.義務教育 (現況と課題) 過疎化による児童・生徒数の減少に対応し、教育水準維持向上のため、小中の合同運営 32 や、交流学習の推進等により、学習指導の効率化に努めてきました。 現在、小学校は周参見、江住、見老津、佐本の 4 校があり、児童数の少ない江住、見老 津、佐本の 3 校では複式学級を編成しています。 また、中学校は周参見、江住及び佐本の 3 校となっています。 平成 17 年 5 月 1 日現在の児童総数は 250 人、生徒総数は 124 人ですが、過疎化及び少 子化の進行により漸減しています。 特に山間地域では、その傾向が顕著であります。このため、佐本小学校と佐本中学校は 平成 10 年度から合同運営を行っています。 学校施設では江住小学校のプール建設や、周参見中学校の校舎、屋内運動場の改築を行 ってきましたが、今後は昭和 40 年代に建設した小学校の統合校舎の建替や、江住中学校の グラウンド拡張、見老津小学校のプール建設等が課題となっています。 また、これらの施設整備とともに、一層教育効果の向上をめざし、全ての子どもの能力 を最大限に発揮させるため、教育諸条件の整備充実が必要です。 国際化に対応するため、平成 5 年度から日置川町と共同で実施してきた外国青年招致事 業については、平成 14 年度から単独で実施しており、外国語教育の充実と国際交流を図っ ています。 情報化社会への取組みに関しては、平成 3 年度から小・中学校7校に対し、年次的にコ ンピュータの設置を進め、情報教育の充実に努めてきましたが、今後時代の進展とともに 更に高度化する情報通信技術や国際化への対応としてコンピュータの増設や、高速インタ ーネットへの接続等を強力に推進していくことが必要となります。 一方、教育効果を高めるためには、教職員の指導力の向上が不可欠の要件であり、時代 の要請に対応できる教職員の育成と、資質向上を図るため研修の充実に努めることが必要 です。 小学校の児童数の推移 (資料:学校基本調査) 学 校 名 昭和44年 昭和50年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 周参見小学校 465 525 388 305 302 226 197 佐本小学校 79 60 30 9 8 13 10 江住小学校 141 102 41 34 42 31 28 見老津小学校 47 51 34 14 19 12 15 昭和46年1月 周参見小へ統合 大附小学校 11 昭和46年1月 周参見小へ統合 競智小学校 16 昭和46年1月 周参見小へ統合 上戸川小学校 9 昭和48年4月 周参見小へ統合 太間川小学校 17 昭和48年4月 周参見小へ統合 協和小学校 39 昭和45年4月 佐本小へ統合 大己小学校 26 昭和46年4月 江住小へ統合 里野小学校 31 大鎌小学校 14 9 昭和53年4月 江住小へ統合 合 計 895 747 493 362 371 282 250 33 小学校の概要 (資料:平成 17 年 5 月 1 日 学校基本調査) 学 校 名 周参見小学校 江住小学校 見老津小学校 佐本小学校 合 計 男 児 童 数 女 計 103 14 10 7 134 94 4 5 3 106 197 18 15 10 240 学級数 教職員数 教員 職員 10 4 3 3 20 13 7 6 5 31 2 2 2 1 7 所在地 設置年月日 周参見4027 江住670 見老津405 佐本中92 M.8.5.20 M.6.3.15 M.36.11.23 M.10.3.10 中学校の生徒数の推移 (資料:学校基本調査) 学 校 名 昭和44年 昭和50年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 周参見中学校 310 276 220 190 155 145 93 江住中学校 130 86 68 35 23 28 25 佐本中学校 71 36 7 14 8 6 6 合 計 511 398 295 239 186 179 124 中学校の概要 (資料:平成 17 年 5 月 1 日 学校基本調査) 学 校 名 周参見中学校 江住中学校 佐本中学校 合 計 生 徒 数 男 女 計 46 11 6 63 47 14 0 61 93 25 6 124 学級数 教職員数 教員 職員 4 3 2 9 12 9 6 27 所在地 設置年月日 3 周参見3685 S.22.5.3 S.22.5.3 1 江住812 佐本中105 S.22.5.3 1 5 学校施設整備状況 (資料:平成 17 年 5 月 1 日 学校施設台帳) 危険校舎 プール 備 考 施設の面積 (㎡) 区分 児 童 校 舎 生徒数 屋 内 の面積 の有無 普 通 特 別 運動場 学校名 運動場 (㎡) (㎡) 教室数 教室数 (人) 鉄 筋 木造その他 計 周参見 197 3,153 150 3,303 4,154 604 2,846 366 7 14 小 江 住 28 1,506 34 1,540 7,244 587 375 4 7 学 93 748 43 791 2,873 3 4 校 見老津 佐 本 10 976 44 1,020 2,523 532 3 7 93 2,848 8 2,856 4,885 1,138 4 12 中 周参見 学 江 住 25 1,454 23 1,477 4,856 462 3 8 校 佐 本 6 1,115 169 1,284 3,941 2 6 (基本方針と主な施策) 義務教育過程においては、自己教育力を養成し、豊かな情操と道徳性を育て、心身とも に健全で調和のとれた人間性豊かな子どもの育成を図ります。 このためには、教職員の学校経営への参加意識の高揚、安定と特色ある学校経営を図る とともに、教職員の資質の向上に努めます。 また、保護者や社会教育と連携して、家庭教育の啓発を行い、学習会等の開催に努める 等、学校と児童・生徒及び保護者との緊密化を図ります。 34 また、教育の機会均等と質的向上のため、必要に応じて学校施設の整備と教育機器や教 材備品の充実等を図り、教育環境づくりを積極的に推進するとともに、学校施設は生涯学 習や生涯スポーツの場としての開放を図ります。 2.幼児教育 (現況と課題) 人間形成の基礎は幼児期に培われると言われています。 幼児教育においては、近年、少子化、核家族化や仕事を持つ母親の増加等、幼児を取り 巻く環境が著しく変化してきましたが、日常の習慣や社会生活に対する正しい理解と態度 を養い育てるという大切な役割を担っています。 本町における幼児教育施設は、周参見、江住、見老津、佐本の 4 ヶ所の保育所がありま す(入所希望がない佐本は休園中) 。 過疎化と少子化により、入所者数は減少を続けてきましたが、児童福祉法の改正により、 措置から保育の実施となり、基本的には乳幼児を含めた全ての児童を保育しなければなら なくなりました。 保育施設の状況 (資料:住民福祉課) 周参見保育所 見老津保育所 江住保育所 規 模 園 児 数 建 物 定 員 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 828㎡ 130人 112 120 128 108 102 95 183㎡ 30人 6 8 10 12 16 13 佐本保育所 256㎡ 30人 15 13 14 13 13 6 108㎡ 30人 9 8 7 2 0 0 合 計 1,375㎡ 220人 142 149 159 135 131 114 (基本方針と主な施策) 地域における保育需要の多様化に応え、一時保育や障害児保育等の保育内容の充実と、 保育設備の整備を図るとともに、保育士の研修強化により資質強化に努め、保育所が専門 的育児センターとして、その機能を果たしえるように努めます。 少子化対策として、平成12年4月から周参見保育所で乳幼児保育を開始しました。 また、幼児期における家庭教育の重要性に鑑み、基本的生活習慣等を身につけさせるた め、父母の教育力を高める取組みを行います。 3.高等教育 (現況と課題) 本町には、和歌山県が南紀高等学校周参見分校を設置しています。周参見分校は、昭和 29 年 4 月に県立田辺高等学校定時制普通科が周参見小学校内に併設され、昭和 31 年 9 月 に周参見中学校へ移転し、 昭和 38 年 4 月に田辺高校定時制が南紀高校として独立したのに 35 際して南紀高校周参見分校となり現在に至っています。 周参見分校では平成 16 年度までに 368 名の卒業生を送り出し、平成 17 年 5 月 1 日現在 では 21 名の生徒が同校で勉学に勤しんでいます。 周参見分校は、南紀高校本校と新宮高校、新宮商業高校を除けば紀南で唯一の定時制高 校となっています。 県教育委員会では、平成 18 年度と 19 年度の入学者募集を行い、18 年度以降、2 カ年連 続して入学者数が募集定員の 20%に満たない場合は募集を停止するという再編整備の方 針を打ち出しています。 周参見分校は、在籍生徒数は少ないものの、通学の手段や所要時間、不登校経験者・中 途退学者や社会人への教育機会の保障、地域文化の拠点となる高等教育機関の地理的な配 置などを考慮すれば、周参見分校の存続は地域の悲願であります。 (基本方針と主な施策) 南紀高校周参見分校が 50 年以上にわたって果たしてきた役割と、 勤労学生等への高等教 育の保障などに鑑み、同校の教育の充実・振興に対する地域住民を支援し、入学募集の広 報などを行い、同校の存続と昼間定時制課程への移行のために住民一丸となった取組みを 推進します。 第3節 社会教育 1.社会教育活動の振興 (現況と課題) 住民一人一人が自らの資質の向上を図り、健康で情操豊かな社会人としての形成を目指 すためには、社会教育は極めて重要な教育活動であり、地域コミュニティーの形成におい ても果たす役割は大きいものがあります。 近年、生活文化の向上とともに、住民の学習要求も多様化、高度化する傾向にあり、生 涯学習の機会を提供すべく、公民館においては各種学級や講座等を開設し、教養、文化水 準の向上を期するとともに、体育協会や文化協会等の育成を図り、住民相互の啓発を通じ て、その資質向上に努めています。 今後とも、各種学級や講座の充実、地域における団体活動の活性化、社会教育指導員の 充実と資質の向上が望まれています。 平成16年度各種学級講座の実施状況 公民館 事業内容 (資料:公民館) 周参見公民館 江住公民館 佐本公民館 回数 参加人数 回数 参加人数 回数 参加人数 119 1,011 110 1,055 53 283 高齢者教室 7 203 5 78 6 101 教育講演会 1 120 1 185 各種教室(陶芸他9教室) 江住文化展 36 (基本方針と主な施策) (1)家庭教育 家庭教育は、情意の発達や基礎的生活習慣の体得を主なねらいとするものですが、最近 の少年非行・犯罪の現状を考えると、日常家庭生活の中での自由と規範あるいは、個人と 集団の秩序の関係等が明確に指導されておらず、親等の教育観の不確立が子どもに対する 過保護や期待過剰、あるいは放任等が家庭教育そのものの機能を著しく弱らせています。 家庭教育学級への保護者の自主的、積極的な参加が見られず、学習意欲の欠如もうかが えます。 調和のとれた子どもの育成は、乳幼児期における家庭教育の充実、学校教育と家庭教育 の相互補完により生み出されるものであり、今後一層、保護者の学習機会の拡充に努める とともに、学習内容を精選した家庭教育学級の充実を図っていく必要があります。 (2)高齢者教育 60歳以上の高齢者を中心とした高齢者教育は、健康、趣味、教養、歴史文化財のほか、 家庭や地域での役割や福祉行政についてなど様々であり、また、その組織化や学習意欲の 旺盛さで深まりをみせています。 高齢者がもつ社会での役割や分担等を、いかに明確にすべきかが大きな課題です。 今後益々進展する高齢化社会での社会参加と、豊かな人生経験を生かした役割分担を行 うことを目的に、各種学習や活動の充実に努めていきます。 (3)女性教育 女性の取り巻く生活環境やライフスタイルの変化や、余暇時間の増大や就労に対する意 欲が強くなっています。そのため、女性活動団体である単位女性会としての組織は極めて 弱く、しかも若年層の女性活動への参加や加入が少ないのが現状です。 女性の積極的な社会参加を促進するため、若年層の参加、加入に重点をおいた、趣味、 スポーツ、教養等の学習活動の充実に意欲的に取り組みます。 (4)福祉教育 公民館関係団体として親切運動推進協議会が結成され、明るい豊かなまちづくりや、住 民福祉の充実を目指し啓発や実践活動を中心的に行っています。 今後は、福祉教育の一層の充実を目指して、障害児(者)、母子・父子家庭、老人問題 等を学習諸講座に取り入れる一方、 社会教育関係団体にも福祉教育機会の拡充を図ります。 また、障害児(者)教育の普及、充実に努め、町民全般に障害者問題の認識を高める啓 発活動を展開していきます。 (5)人権教育 旧地域改善対策事業や同和教育が各分野で一定の成果を上げ、特別施策が一般施策へ移 行してきました。教育の分野においても人権教育を生涯学習推進のひとつの大きな柱とし て位置付け、取り組んでいきます。 行政、地域社会、学校、家庭、各種団体との連携のもとに、あらゆる年代・職種に応じ 37 た学習機会の提供と学習内容の充実を図り、町民がお互いの人権を正しく理解認識するた め、 また基本的人権が尊重、 保障される地域社会実現のための教育体制づくりに努めます。 (6)青少年教育 青少年の問題行動が社会問題となっている現状を鑑み、本町においては青少年の健全育 成のため、学校及び青少年健全育成町民会議をはじめとする地域社会との緊密な連携によ る青少年育成の推進を図ってきました。 マスメディアによる青少年の犯罪や問題行動報告は、凶悪化の一途をたどっています。 これは物質的な生活水準の向上が、物質本位の生活に甘んじ、青少年がもつ積極的な活 動意識や行動力を阻害し、また、青少年の余暇利用や価値観の多様化等が、青少年相互の 結びつきを弱めています。 青少年の発達段階における人格形成には、団体(グループ)活動が必要不可欠との視点 から、親子クラブ、地区子ども会、スポーツ少年団、青年学級あるいは青年団活動等を通 じて、組織化や学習活動に積極的な取組みを展開します。 それとともに、文化祭や体育祭等の町行事やボランティア活動等の社会参加、活動を推 進し、本来青少年がもつ自主自立意識を呼び覚ます教育を進めていきます。 また、家庭は社会生活の基礎単位であり、教育の原点であることから、明るく健全な家 庭づくりを推進し、青少年を非行から守るため、社会環境の浄化と補導体制の強化に努め ていきます。 (7)公民館活動 公民館活動は、住民の生涯教育態勢の確立を図り、その資質の向上を目指す事を目的と しており各種教室や講座の他、文化祭、講習会、展示会等を年間行事として位置付け開催 しています。 社会教育は、社会教育主事及び公民館主事等の人的要素に負うところが大きく、その活 動上不可欠な要因である指導者の資質の向上に努めるとともに、 指導者の人材発掘を図り、 各種教室や講座の充実にも努めます。 図書事業については、自主学習に応え、さらに高度な簡単に知識、情報を提供する施設 であるため、その充実に努めます。 (8)PTA活動 当町では、児童生徒の健全育成の一環として、保護者と教師が協力して家庭及び地域社 会における教育に関して、相互理解を深めています。 特に、青少年健全育成町民会議、親子クラブ、親切運動推進協議会等にPTAの代表を 送り連携を深める一方、保育所保護者との保小中保護者会の組織化や、単位PTA、町P TA連合会の活動や研修会は定着しています。 しかし、PTA本来のあり方についての意識高揚は認められるが、家庭教育学級への参 加等、自主的活動に乏しい面もみられます。 今後は、保護者と教師のより緊密な連携促進と、児童生徒の健全育成に必要な家庭教育 のあり方についての学習の浸透と、社会環境の浄化活動、啓発を推進します。 38 2.社会体育活動の推進 (現況と課題) 人々の生活におけるゆとりや自由時間の増大、また健康を自主管理する意欲の高まり等 が相まって、社会体育の重要性が認識され、本町でもスポーツや運動に親しむ住民が増加 してきました。 年々高まるスポーツ熱に対応するとともに、心身の健全な発達と町民相互の親睦交流を 図るため、学校体育施設の開放や、各種施設の整備を行ってきましたが、まだまだ体育施 設は不足している状況にあります。 一方、地域におけるスポーツ振興は、指導員やボランティアの活動に負うところが大き く、講習会や研修の機会を増やし、指導者やボランティアの育成が求められています。 体育協会加盟団体 (資料:公民館) ク ブ 名 野 球 バレー 女子 バレー 婦人 ソフトボール男子 テニス レクレーション サッカー 陸 上 バドミントン ゲートボール インディアカ 野 球 少女バレー サッカー 空 手 剣 道 成 人 ラ 子 供 江住ジュニア陸上 陸 上 (基本方針と主な施策) スポーツ活動は、町民の健康と体力の向上を図るとともに、互いの親睦と、人と人との 協調性を培う等、健康な心身の発達を促すうえで重要な役割を果たしています。 効果的なスポーツ振興を推進していくため、指導者の発掘、資質の向上に取り組み、各 種団体や地域での指導体制の確立を図っていきます。 同時に、町民の多様化、高度化する体育・スポーツ需要に対応すべく、総合運動場等の 施設整備を計画的に進めます。 また、年齢層や体力に応じた体育、スポーツ活動を定着させ、体力の向上や健康増進に 努めます。 さらには体育協会の組織を充実強化し、スポーツ諸団体の育成強化に努めます。 第4節 文化の振興 (現況と課題) 町民の文化活動については、各種文化サークルにおいて活発に活動しているところであ り、町文化協会には 14 団体が加盟し、会員数は 290 人となっています。 また、熊野古道大辺路街道の復元を推進する民間団体、佐本小・中学生による清流太鼓 の活動や、町内外の俳句愛好家による琴の滝俳句の里設立等、新たな文化活動が芽生えつ つあります。 39 昭和 54 年度に設置された歴史民俗資料館には、本町の歴史に関する貴重な考古資料や 古文書、生活文化資料等が収集、保存されており、広く一般に公開し、町民の文化的向上 のために利用されています。 文化財に関しては、江須崎島と稲積島が暖地性植物群落が国の天然記念物に指定されて いるほか、町文化財保護条例に基づく文化財の指定は 11 件があります。 地域には祭典での獅子舞や精霊流し、柱松等の伝統芸能や伝統行事がありますが、過疎 化による後継者不足等の悩みが生じています。 文化協会加盟団体 (資料:公民館) 囲碁・将棋 婦人団体 青年団 佐本エビネ 佐本カラオケ 盆 栽 手 芸 渚句会 短 歌 華 道 獅子保存会 柱松保存会 大正琴 調 光 国指定天然記念物 名 称 所 在 地 指 定 年 江須崎暖地性植物群落 すさみ町江住 昭和28年 稲積島暖地性植物群落 すさみ町周参見 昭和46年 県立自然公園等 名 称 所 在 地 指 定 年 熊野枯木灘海岸県立自然公園 すさみ町周参見、見老津、江住の一部 自然環境保全地域 琴の滝 すさみ町上戸川 昭和29年 昭和55年 町指定文化財 名 称 所 在 地 指 定 年 王子神社奉納絵馬 52点 歴史民俗資料館保管 昭和51年 長沢芦雪 「梅月図」 周参見 持宝寺 〃 長沢芦州 「十六羅漢図」 〃 〃 和深川区文書 130点 歴史民俗資料館保管 地蔵菩薩立像 大谷 大蔵寺 〃 大蔵寺所有文書 118点 〃 〃 中山神社参道石橋 佐本中 中山神社 〃 王子神社所蔵棟札 115点 周参見 王子神社 〃 王子神社青銅製十一面観音御正躰 〃 〃 里野八幡神社暖地性植物群落 里野 昭和53年 昭和58年 (基本方針と主な施策) 文化活動は、調和のあるまちづくりの上では、健康で情操豊かな町民性を培うために、 欠くことができない分野であり、今後、労働時間や余暇の増大が予測されるなかで、文化 に対する欲求が増大すると考えられることから、文化施設の整備と文化団体、サークル等 40 の育成に積極的に努めます。 文化財は、歴史的、文化的に価値が高く、文化財の適切な保全と愛護精神の徹底を図る ため、啓発活動を推進し、また、これを有効に活用するよう努めるとともに、文化資源の 発掘とその活用、 伝統芸能の継承を支援して文化の振興とふるさと意識の高揚に努めます。 さらに、地域間や都市住民とのコミュニティー形成のため団体活動の活発化を推進しま す。 41 Ⅲ スポーツに親しみ健康で希望にみちた明るいまちづくり 第1章 生活基盤の整備 第1節 環境衛生施設の充実 1.ごみ処理 (現況と課題) 近年、生活様式の変化に伴って、ゴミは多様化し、増加する傾向にあります。わが国で は今日的課題として、従来からの大量生産―大量消費―大量廃棄型の社会経済活動を見直 し、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用等を行う循環型社会への転換が求められていま す。 こうした中、平成 16 年 1 月から、燃えるゴミ、資源ゴミ、埋立ゴミ、有害ゴミ(乾電 池、蛍光灯、体温計、鏡の 4 品目)に分別して収集を行っています。 燃えるゴミについては従来どおり町営の焼却施設で焼却し、資源ゴミについては民間業 者に搬出して処理を行っています。埋立ゴミについては、平成 15 年まで埋立ゴミとしてき た缶やビン、ペットボトルなどを資源ゴミとして分別収集を始めたことで排出量が減って きていますが、埋立処分地施設の処理能力が限界に近付いてきているため、さらに分別を 細分化して埋立処分量の減量化を図る必要に迫られています。有害ゴミは、町内数箇所に 収集容器を設置し、定期的に回収して一定量になるまで保管し、その後専門の処理業者に より処理を行っています。 焼却施設に係るダイオキシン類の対策については、平成 13 年度から 2 ヵ年で集塵機の 更新などを行い、現状では環境基準以下の排出量となっています。 ごみ処理状況の推移 平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 (資料:公共施設状況調査) 処理状況(t) 処理施設 (推 計) 年 間 焼 却 埋 立 稼動日数 職員数 収集車両 処理方式 総排出量 処理等 処理等 (日) (人) (台) 2,136 1,615 521 245 3 4 機械化バッチ 2,007 1,483 524 256 3 4 〃 3,158 1,848 1,310 258 3 4 〃 3,596 1,960 1,636 252 3 4 〃 2,950 2,014 936 264 3 4 〃 2,469 2,250 219 241 3 4 〃 2,028 1,819 209 236 3 4 〃 (基本方針と主な施策) 社会問題となっているゴミ減量化とリサイクルの推進については広報活動や地域学習 会の開催などにより、住民意識の高揚を図ります。 42 ゴミの分別収集については、さらに検討を行い、なお一層の改善に努めます。 住宅の解体など事業者の責任で処理するべき廃棄物や、家電製品など自己責任で処理す べき粗大ゴミについては、 専門の処理業者を紹介するなど、 適正な処理に努めるとともに、 各種団体や有志による清掃ボランティア活動の支援を行い、不法投棄抑制に努めます。 老朽化しているごみ焼却場については、修繕等を行って適正な維持管理を行います。 埋立処分場については、さらに減量化を図って延命に努めるほか、新たな処分適地を検 討します。 一般、産業の両廃棄物を処理した残渣(ざんさ=灰など)を処分する廃棄物最終処分場に ついては、紀南地域廃棄物処理促進協議会を通じて建設を促進します。 2.し尿処理 (現況と課題) し尿処理は、許可業者が収集し、すさみ町・日置川町衛生施設組合が管理・運営してい る「すさみ町・日置川町衛生センター」で処理しています。 平成 18 年 3 月 1 日に日置川町と白浜町が合併する予定であり、衛生センターの管理運 営形態の決定が急がれています。 この施設は昭和 56 年に建て替えられたもので、処理方式も当時の国の指針に沿って改 善しましたが、浄化槽の普及に伴い増加する処理量に対応できる検討が必要です。 公共下水道施設は、過疎地域の集落規模、散在住居等地理的条件や財政的理由から、そ の整備は行なわれていませんが、住宅建設に伴う浄化槽施設の設置には、設置費用の一部 を助成しています。 し尿処理状況の推移 (資料:環境保健課) 処 理 状 況 年間総処理量 し尿浄化槽 平成 9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 3,576 3,660 3,661 3,685 3,542 3,546 3,699 2,076 2,028 1,821 1,890 1,714 1,839 1,931 処 理 施 設 能 力 浄化槽以外 稼動日数 1,500 273 1,632 280 1,840 296 1,795 313 1,829 342 1,706 348 1,768 343 職員数 4 4 4 4 4 4 4 処理能力 30kl/日 30kl/日 30kl/日 30kl/日 30kl/日 30kl/日 30kl/日 ※処理方式は当初から「低希釈二段活性汚泥処理」方式。 (基本方針と主な施策) すさみ町・日置川町衛生センターについては、日置川町の合併後は新白浜町と一部事務 組合方式により運営し、今後予想される処理量に対応した処理機能を確保できるように改 築を検討します。 水質保全と快適な生活環境を確保するため、合併処理浄化槽の設置費の一部助成を行う ほか、下水処理施設の整備に関する調査を進め、その基本計画を策定します。 43 3.火葬場・墓地 (現況と課題) 町内における唯一の火葬施設としての「あさら霊園」は、昭和 39 年に建設した重油焼 却機ロータリー式による 2 炉の火葬炉施設です。築後 35 年を経過し老朽化した設備、建物 は、修理等では対応できない状況下にあります。 墓地については、町民の墓地の確保を図るべく、昭和 53 年に火葬場の隣接地である朝 来谷に1区画 2.7 ㎡の共同墓地「やすらぎ苑」を建設しており、全区画 179 区画のうち、 約 7 割近くが町民に貸与し、利用に供しています。 (基本方針と主な施策) 町営火葬施設である「あさら霊園」については、近代的な火葬場を建設し、駐車場の拡 充にも努めます。 第2節 社会保障 1.国民健康保険 (現況と課題) 国民健康保険制度は、国民の健康保持及び医療費負担の軽減等、健康で豊かな住民生活 の維持向上のための社会保障の一役を担っています。本町の国民健康保険会計は、社会保 険の普及や若年者層の減少と高齢者層の増加による保険税の減少が著しく、事業運営は極 めて厳しい状況下にあります。 昭和 55 年度と平成 15 年度の状況を比較して見ると、加入者数は 5,247 人から 3,503 人 に減少していますが、一人当りの医療費は高度な医療機器や薬剤の使用等により 87,155 円から 197,833 円に増えていることから、全体の医療費はほぼ同額になっています。 被保険者の減少と高齢化が進む中、保険税の増収は見込めないので一般会計からの繰入 金も受けて事業運営を行っていますが、本町国民保険財政は極度に窮迫している状態にあ ります。 被保険者数と医療費保険者(町)負担分の推移 (資料:国民健康保険事業年報 単位:人) 被保険者数 医療費 年度 療 養 高 額 加入者 老人保健 一般 老人 退職者 計 療養費 合 計 給付金 療養費 1人当り 拠出金 人 人 人 人 千円 千円 千円 千円 円 千円 S.55 4,550 697 ― 5,247 415,041 3,439 38,820 457,300 87,155 ― S.60 H.7 H.12 H.15 3,832 898 2,210 1,108 1,942 1,249 2,001 1,254 222 247 252 248 4,952 3,565 3,443 3,503 312,390 390,338 338,036 390,972 3,346 4,387 3,522 2,567 41,541 43,443 40,436 51,387 357,277 88,130 438,168 178,335 381,994 174,108 444,926 197,833 221,655 182,986 213,079 172,030 被保険者数は各年度末現在。 44 平成 15 年度末の国民健康保険加入状況 (資料:国民健康保険事業年報) 加入世帯数 加入者数 年層別加入者数(人) 上段( )は構成比% 20歳 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70歳 総数 加入率 総数 加入率 未満 29歳 39歳 49歳 59歳 69歳 以上 戸 % 人 % (10.3) (4.5) (6.0) (7.0) (13.2) (20.5) (38.5) 1,815 73.0 3,503 62.0 359 158 209 246 464 717 1,350 (基本方針と主な施策) 町民が保険制度を正しく理解し、適切に運用されるように啓発を推進するとともに、保 健衛生施策と連携して予防業務の充実強化を図ります。 国民健康保険事業特別会計に関しては、保険税等の引き上げや一般会計からの繰り入れ にも限度があることから、医療保険行政の充実のためには、補助金の引き上げ等、制度の 抜本的な改善を国に要請します。 2.老人保健 (現況と課題) 老人保健制度は昭和 58 年 2 月から、疾病の予防や健康づくりを含む総合的な老人保健 対策を推進し、老人(75 才以上)の医療費を国民皆で公平に負担する制度として、老人保 健法に基づき実施されています。 全国的にも高齢化が進むなか、当町においては老人比率が非常に高く超高齢社会となっ ています。そのため老人医療費の町負担額も毎年増加する一方です。老人医療費の抑制と 健やかな老後生活を送るために実施されている保健事業は、 重要な役割を果たしています。 被保険者数及び加入割合 総人口 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 6,040 5,795 5,719 5,648 5,583 5,523 老人医療費の動向 (資料:環境保健課 各年度末現在) 被保険者数 加入割合(%) 1,509 1,546 1,567 1,569 1,503 1,338 25.0 26.7 27.4 27.8 26.9 24.2 対象年齢70歳 対象年齢71歳 対象年齢71歳 対象年齢72歳 (資料:環境保健課 各年度末現在) 件数 日数 診療費(円) 1人平均診療費 平成11年度 22,555 91,898 922,535,730 611,355 平成12年度 22,586 86,558 950,500,170 614,812 平成13年度 23,459 70,002 939,508,000 599,558 平成14年度 23,302 77,994 849,453,030 541,397 平成15年度 22,686 71,686 837,149,140 625,672 45 (基本方針と主な施策) 今後益々増加の傾向をたどる老人医療費に対し、医療費の適正化に力を入れ、重複多重 診等を改善する指導を行って医療費の抑制を図ります。 また、保健事業を行うことで、健康管理、生活習慣病予防を総合的に行い、町民が健や かな老後生活を送れるよう努めていきます。 3.介護保険 (現況と課題) 介護保険制度は、我国の高齢化社会の到来に対応して、加齢に伴って生じる心身の変化 に起因する疾病等により常時介護を必要とする状態となり、介護、機能訓練や看護及び療 養上の管理その他の医療を必要とする方々について、それぞれの能力に応じて自立した日 常生活を営むことができるよう必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行 い、 国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的に平成 12 年 4 月 1 日より開始 されました。 本町の 16 年度末住民基本台帳での高齢者比率は 37.3%と高く、 10 年後の総人口は約 6% 減少する一ものの、高齢者比率は横ばいとなるものと推計され、介護保険による保険給付 は今後ますます増加すると見込まれます。 被保険者数の推移(単位:人。16 年度までは県介護保険事業年報、17 年度以降は住民福祉課推計) 年度(平成) H.12 H.13 H.14 H.15 H.16 H.17 H.18 H.19 H.20 H.21 H.22 第1号被保険者 2,061 2,071 2,074 2,081 2,065 2,098 2,093 2,085 2,079 2,072 2,066 第2号被保険者 1,893 1,853 1,814 1,776 1,769 1,748 1,722 1,695 1,669 1,642 1,616 要介護者数の推移(単位:人。16 年度までは県介護保険事業年報、17 年度以降は住民福祉課推計) 年度(平成) H.12 H.13 H.14 H.15 H.16 H.17 H.18 H.19 H.20 H.21 H.22 要支援 58 58 59 61 60 60 28 37 43 63 55 1 62 88 90 92 92 92 95 66 82 69 73 2 32 56 58 60 61 64 64 37 51 51 52 3 42 59 60 63 64 65 65 47 42 47 47 要介護 4 57 63 65 68 69 71 73 64 67 61 56 5 43 63 64 66 69 71 73 48 38 42 51 計 236 262 280 270 279 329 337 349 355 363 370 合 計 264 299 323 333 334 387 395 408 416 423 430 (基本方針と主な施策) 本町の介護保険事業は、介護保険法に規定する介護給付(法第 40 条) 、予防給付(法第 52 条)及び保健福祉事業(法第 175 条)を実施します。 実施にあたっては、サービス提供の迅速化により被保険者の要介護状態の固定化を避け、 要介護状態の軽減化や悪化の防止又は要介護状態の予防に資する保険給付が行われるよう 46 関係医療機関との連携に十分配慮します。 生涯スポーツに親しむとともに健康意識を高揚させ、介護状態にならないように予防を 推進します。 4.国民年金 (現況と課題) 国民年金は、すべての国民を対象として、老齢・障害・死亡に関して必要な給付を行い、 健全な国民生活の維持・向上に寄与することを目的としています。 20 歳以上 60 歳未満で日本国内に住所のある人は、被用者年金制度の老齢(退職)年金 を受け取られる人を除いて、国民年金の被保険者になり、また、20 歳未満または 60 歳以 上であっても、被用者年金制度の加入者は、 国民年金の被保険者になることになっています。 急速な高齢化とともに、加入者は年々減少の状況にある一方、年金の受給権者は一層増 加するものと考えられます。 公的年金制度の果たす役割は一層重要なものとなってきていますが、現行の給付水準を 維持するためには、加入者負担の増大は避けられず、今後の大きな課題となっています。 年金受給権者数と年金額 (資料:住民福祉課 平成13年度 受給者数 国 民 年 金 旧 法 老齢(通産)年金 障害年金 母子年金 遺児年金 寡婦年金 老齢福祉年金 小 計 新 老齢基礎年金 障害基礎年金 法 遺族基礎年金 小 計 厚生年金(新・旧) 船 員 年 金 合 計 820 31 0 0 11 26 888 1,005 85 6 1,096 1,047 37 3,068 単位:人、千円) 平成14年度 平成15年度 年金額 受給者数 年金額 受給者数 年金額 321,074 27,544 0 0 5,290 10,712 364,620 655,671 79,619 4,296 739,586 584,746 52,983 1,741,935 764 36 0 0 11 19 830 1,080 84 6 1,170 1,082 34 3,116 298,850 31,566 0 0 5,260 7,828 343,504 708,091 78,613 4,297 791,001 595,303 48,354 1,778,162 717 32 0 0 10 19 778 1,158 80 9 1,247 2,025 278,357 28,693 0 0 4,759 7,828 319,637 759,227 73,725 6,540 839,492 1,159,129 (基本方針と主な施策) 国民年金制度は、老齢者等の所得保障にとって重要な制度です。 今後も国民年金の趣旨が十分生かされるよう加入者についての広報活動と、将来無年金 者とならないよう適用対象者の完全把握と、未加入者の加入促進を図ります。 47 第3節 保健衛生及び医療の充実 1.保健衛生 (現況と課題) 近年健康水準は、医療技術の進歩や生活水準の向上、公衆衛生思想の普及等による平均 寿命の伸長にも見られるように大きく改善されてきています。 しかし、その反面、体力の低下、脳卒中、ガン、心臓病等の生活習慣病の増加や、うつ 病、神経症等の精神疾患の増加が社会問題化されています。 健康の保持、増進は、基本的には町民一人一人が自覚し、実践する必要があります。 現在本町では、乳幼児から高齢者に至る各層を対象とした検診や、健康教室や健康相談 による知識の向上に努めていますが、検診の受診率の向上や、事後指導、健康づくり事業 等に課題が残っています。 高齢化の進む本町にとっては、町民自らが健康について考え実践し、元気で長生きでき る健康づくり事業を推進いくことが重要となってきています。 各種検診の状況 (資料:環境保健課) 昭和60年度 区 分 成 人 病 乳 幼 児 対象者数 受診者数 基本健康診査 胃 検 診 大腸ガン検診 子宮ガン検診 乳ガン検診 肺ガン検診 かく痰検査 3~4ヶ月児 9~10ヶ月児 1才6ヶ月児 3 才 児 3,058 3,058 ― 2,137 2,137 3,058 3,515 81 70 70 51 216 547 ― 129 218 143 3,087 74 62 58 42 平成16年度 受診率 7.6 17.9 ― 6.0 10.2 4.7 87.8 91.4 88.6 82.9 82.4 対象者数 受診者数 1,687 1,687 1,687 989 989 1,687 ― 25 31 26 34 697 430 502 169 211 1,469 ― 23 29 25 33 受診率 41.3 25.5 29.8 17.1 21.3 87.1 ― 92.0 93.5 96.2 97.1 (基本方針と主な施策) 心身の健康は、人間にとって最も大切な財産であり、一切の活動の基盤であり、幸せな 明るい社会を築くための基礎的条件です。 町にとっても、町民の健康は町発展の原動力と考えています。 健康に対する町民の認識は向上していますが、今後も生活習慣病予防対策等の検診体制 の充実、強化に努めます。 また、従来の疾病予防、治療体系の整備とともに、町民一人一人が健康の自己管理に対 する自覚と実践の定着化を図られるような健康づくりに努めます。 そのため、地域住民及び各種団体との連携を密にし、体力の向上と運動不足の解消にレ クレーション活動の普及や、各種スポーツを取り入れた健康づくり運動を積極的に推進し ます。 48 2.医療の充実 (現況と課題) 現在、本町における診療施設としては、町立国保すさみ病院のほかに、民間による 2 ヶ 所の診療所と 3 ヶ所の歯科診療所があります。 国保すさみ病院は、本町における医療施設の中で中核的役割を果たしています。 現在 76 床のベッドを有し、CT撮影機、人工呼吸器、超音波診断装置等の医療機器の 整備により、医療水準の向上に努めています。 また、佐本、大鎌、大附に診療所を設置する等、福祉行政の根幹である医療の確保のた めに積極的に対策を講じてきました。 しかし、医療の主体となる医師については、依然として都市偏在が強く、安定した医療 の確保が難しい状況下にあります。 また、すさみ病院は、昭和 47 年度に改築されたもので、医療技術、医療施設が向上す る中にあって狭隘化しており、十分な医療機能を発揮できなくなってきています。 医療需要増大の中で、本町には小児科、眼科、耳鼻科等の特定専門医療医がなく、田辺 市等の診療施設に通院しなければならないのが現状です。 また、夜間急患診療については、すさみ病院による診療体制をとっていますが、疾病に 応じた医師が不在である場合が多く、重症救急患者は町外の病院等へ搬送しなければなら ない等の問題も残されています。 平成16年度入院・外来延患者数 国保すさみ病院 外 来 入 院 人 日平均 2,859 20,430 117.6 55.9 (資料:国保すさみ病院) 佐本診療所 大鎌診療所 大附診療所 人 人 人 日平均 2,092 ― 28.2 ― 193 ― 日平均 7.7 ― 日平均 288 ― 11.5 ― 入院・外来患者数の推移(資料:国保すさみ病院。佐本、大鎌、大附診療所を含む。 ) 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 34,957 35,136 33,918 34,069 31,171 20,703 21,837 20,583 19,070 20,430 55,660 56,973 54,501 53,139 51,601 外 来 入 院 合 計 病院施設の状況 名 称 国保すさみ病院 (資料:国保すさみ病院) 規 模 鉄筋3階建 2,056㎡ 建設年月 病床数 医師数 その他職員 昭和48年6月 76床 5人 52人 そ の 他 の 職 員 の 内 訳 (人) 薬剤師 レントゲン技師 理学療法士 検査技師 看護師 看護補助 栄養士 給食婦 事務職員 2 1 1 ― 31 49 6 1 4 6 (基本方針と主な施策) 医療需要が増大する中で、町民がいつでも必要に応じた医療が受けられるよう、地域の 中核医療施設である国保すさみ病院の医療施設の充実、高度化に努めるとともに、医師の 長期的、安定的な確保に努める等、病院機能の充実を図ります。 それに加え、町内民間診療所や町外病院等との連携を密にし、有機的な活動を促進する ことで、過疎地域における高齢化と医療機関の不足に対応します。 さらに、保健・福祉・医療の連携を強化し、在宅医療の推進についての検討を進め、安 心で住みよい福祉のまちづくりを推進します。 すさみ病院については、診療施設の整備による医療水準の向上を図りつつ、長期的展望 に立って建替を行うものとします。 また、各種スポーツを取り入れた健康づくり運動を積極的に推進するとともに、健康診 断体制の整備と受診率の向上、正しい医療知識の普及を図り、疾病の予防、早期発見、早 期治療に努めます。 第4節 水利用計画 (現況と課題) 水道は、町民の健康で文化的な生活を保障し、社会経済の発展や日常生活の向上を図る ためには欠くことのできないものであり、生活様式の近代化等により、水の需要は減少傾 向にあります。 本町の水道施設としては、周参見地区を中心とした上水道施設と、主な地域毎に設置さ れた 8 ヶ所の簡易水槽施設の他、山間地の小集落を中心に飲料水供給施設があり、これら 全ての水道施設の人口普及率は 95.5%となっています。 水道施設が未整備である一部の地域では、現在もなお自然流水を直接飲用水として利用 している状態であり、渇水期には水不足をきたし、また降雨期には増水により濁水が流入 する等、衛生管理で問題が残されています。 周参見地区を中心とした上水道施設は、昭和 28 年から 34 年にかけて創設され、その後 拡張整備を経て現在に至っています。 現在の給水状況は概ね良好でありますが、浄水、配水設備(配電盤等)も耐用年数が経 過し、 維持修繕か取替による改善を行っており、 既設の配水管等の老朽化による漏水が度々 あり、配水管等の布設替の必要が生じています。 簡易水道施設は主な地域毎に 8 ヶ所設置されていますが、中には確固たる水源がないこ とから、安定した水の供給ができない施設もあります。 50 上水道施設の状況 項 目 行政区域内人口 人 給水区域内人口 口 現在給水人口 給水普及率 行政区域内世帯数 世 給水区域内世帯数 帯 数 現在給水世帯数 給水普及率 ( ヶ 家 基本水量 庭 用 基本料金 料 金 水量料金 一 ) 月 メーター使用料 15使用料金 20使用料金 現施行年月日 料 現料金改定率 金 前回改定月日 (資料:水道課 平成16年度末現在) 数 値 項 目 数 値 導水管延長 230m 年 年間配水量 間 管 3,402 路 送水管延長 740m 配 内 有効水量 水 3,397 延 配水管延長 22,480m 量 訳 無効水量 長 給 計 23,450m 配 1日最大配水量 99.8 5,559 水 量 一 人 給 配 水 量 1日平均給水量 2,472 消 地 上 73 火 1日最大配水量 地 下 1,418 20 栓 1日平均給水量 1,413 数 その他 1人1日施設能力 99.6 施 取 台 数 3 水 8 設 等 揚水量 4.3/分 施設能力(/日) 別 861円 ポ 送 台 数 2 1日最大稼動率 契 13㎜ 115円 ン 水 揚水量 2.7/分 口 プ 約 94円 設 台 数 5 径 30㎜ 者 計 別 備 数 計 1,764円 揚水量 7.0/分 2,341円 用 年 生活用 429千 間 H9.4.1 途 有 営業用 77千 別 料金収入総額(千円) 2.00% 状 収 その他 水 H1.5.1 況 量 計 506千 職員数 簡易水道施設の状況 太間川 項 目 数 値 710千 506千 204千 2,878 1,386 847L 408L 1,042L 3,800 75.74% 1,612 40 1,652 63,901 3人 (資料:水道課 平成16年度末現在) 口和深 見老津 江須之川 江 住 里 野 佐 本 立 野 簡易水道 簡易水道 簡易水道 簡易水道 簡易水道 簡易水道 簡易水道 簡易水道 地区名 太間川上村 口和深 見老津 江須之川 江 住 里 野 佐本中追川大谷 立野・原 S34.3 S51.8 S33.3 S31.3 S29.3 S35.6 S29.12 H7.3 改良年月 S45.10 S54.6 S49.3 S50.10 H15.4 計画給水人口 200 1,070 800 800 440 770 229 270 給水区域人口 58 164 340 189 428 172 180 231 現在給水人口 58 164 340 189 428 172 180 231 給水戸数 18 49 151 96 194 92 146 95 1日最大給水量 10 42 179 150 399 120 76.94 180 年間給水量 3,662 19,220 50,100 28,922 87,754 17,396 18,770 32,737 年間有収水量 2,967 15,569 40,581 23,472 71,081 14,091 15,204 26,517 水質不安定 給水状況 水量不足 良 良 良 良 良 良 10立方メートル当り(円) 820 820 820 820 820 820 820 820 年間総収入(調定) 358千円 2,654千円 4,919千円 3,415千円 9,423千円 2,127千円 2,379千円 1,869千円 1戸当り料金負担 19,888 54,163 27,027 20,572 32,832 16,748 16,294 18,323 創設年月 51 (基本方針と主な施策) 1.生活用水 上水道及び簡易水道施設では、老朽化した配水管等の布設替により漏水を防止し、有収 率の改善による経費の削減と安定した水の供給を図ります。 また、江住簡易水道施設では、近畿自動車道紀勢線南進に伴う取水井の掘削と配水池の 移転、里野簡易水道は水源が乏しく安定した水の供給を図るために、江住簡易水道との統 合を図ります。 江須之川簡易水道では、老朽化したろ過池、配水池等の整備を図ります。 このほかの未普及地域については、住民の意向を踏まえ生活用水の確保に努めます。 2.農業用水 農業用水の確保は、農業の育成、振興していくうえで極めて重要な課題であり、農業用 水の効率的活用を図るため、全町的視野にたった農業用水利用計画の検討を進めます。 また近年、農業用水路に生活下排水が流入し水質が悪化する等、農業生産に支障をきた している状況もみられることから、農業用水の水質保全を図るため、住宅地での下水排水 路の整備を進める等、農業用水への生活雑排水の流入防止に努めていきます。 第5節 集落の整備 (現況と課題) 本町における過疎化と高齢化の進行は、町の中心部である周参見地域では比較的緩やか である一方、山間地域の大都河地域や佐本地域では依然として著しい状況下にあります。 山間地域の集落の中には、65 歳以上の高齢者人口比率が 50%を超え、若者が少ないた め社会機能が低下する等、集落存続を危惧する声も出ています。 漁村集落では、住宅が密集し、地区内道路が狭隘であり、震災等の場合には大災害が発 生する恐れがあります。 近年、国民的価値観の変化から地方が見直されてきており、UJIターン等移住希望者 から空き家や土地の購入等についての問い合わせも多くなってきています。 若者の定住等を促進するためには、就労機会の増大等のほか、生活環境の整備、集落の 整備が必要です。 (基本方針と主な施策) 長年の生活基盤であるとともに、豊かな自然や歴史、伝統を育んできている地域に対す る愛着心は強く、基本的には集落の維持・存続に努めます。 このためには、地域産業の振興、交通通信体系の整備、地域間交流の推進、生活環境の 整備、医療・福祉の増進及び向上等、総合的に施策を講じていきます。 漁村集落については、良好な住環境整備の検討を進めます。 UJIターン等移住希望については、空き家調査等受入体制を検討します。 若者の定住、UJIターンを促進するため、就労機会の増大に努め、良好な生活環境の 整備と集落の整備について検討します。 52 Ⅳ たがいに助けあう平和で楽しいまちづくり 第1章 社会福祉の増進 第1節 社会福祉の充実 1.児童福祉 (現況と課題) 現在では周参見、見老津、江住、佐本の各地域にそれぞれ保育所を設置しています。こ のうち佐本保育所は入園希望者がいないため、平成 16 年度から休園しています。 近年における社会情勢の変化による核家族化の進行や、家庭婦人の職場への進出等によ り、家庭保育を困難とする社会要因が増大しており、保育を必要とする乳幼児童を持つ家 庭が増加し、保育所への期待も一段と強くなってきています。 児童福祉法の改正により、措置から保育の実施となり、基本的には乳幼児を含めた全て の児童を保育しなければならなくました。 今後はより一層、保育施設の充実と健全な育成に努めていく必要があります。 保育施設の状況 建 物 定 員 平成12年 平成13年 園 平成14年 児 数 平成15年 平成16年 平成17年 規 模 (資料:住民福祉課) 周参見保育所 見老津保育所 江住保育所 佐本保育所 828㎡ 183㎡ 256㎡ 108㎡ 130人 30人 30人 30人 112 120 128 108 102 95 6 8 10 12 16 13 15 13 14 13 13 6 9 8 7 2 休園 休園 合 計 1,375㎡ 220人 142 149 159 135 131 114 (基本方針と主な施策) 近年、夫婦共稼ぎ家庭の増加や婦人の就労機会の増大に伴い、地域における保育所の役 割は益々重要視されつつあります。 このため、保育需要の多様化に応え、長時間保育や障害児保育等の保育内容の充実と、 保育施設の整備を図るとともに、保育士の研修強化により、資質向上に努め、保育所が地 域における専門的育児センターとして、その機能を果たしえるよう推進していきます。 また、安全なちびっこ広場等の遊び場確保を積極的に推進します。 さらに障害児との触れ合い、老人との触れ合いを通じて、思いやりのある児童を育てる ため、民生児童委員会や青少年健全育成町民会議等と連携を保ち、心身ともに健やかに育 つ環境づくりの推進を図ります。 53 2.母子・父子福祉 (現況と課題) 母子家庭は近年、離婚を原因とするものが増加傾向にあります。 母親が自ら生計を支え、子どもを養育する重責を担うため、過重な労働を余儀なくされ、 社会的、経済的あるいは精神的にも不安定な状況におかれています。 母子福祉資金の貸付及び児童扶養手当、ひとり親家庭医療費等の助成を行い、経済的自 立と生活意欲の助長を図っているところでありますが、今後も、自立促進のための援助施 策及び自立意識向上のための施策を積極的に推進していく必要があります。 父子家庭についても、母子家庭同様、増加傾向にあることから、父子家庭に対するひと り親家庭医療費の助成に努めます。 (基本方針と主な施策) 激動する社会情勢の中、児童の養育等、一般家庭に比べ社会的、経済的な負担を負って いる母子家庭の精神的、経済的な負担の軽減を図るとともに、自立意識の高揚を目指した 活動を推進し、健康で文化的な生活の保障に努めていきます。 そのため、母子家庭の経済的自立を積極的に指導し、経済及び精神両面にわたり活力を 与えるべく、生活相談の徹底や相談機能の充実を図ります。 経済的に基盤の薄弱な多くの母子家庭にとっては、医療費は深刻な問題であるため、現 在実施しているひとり親家庭医療費支給事業においては、 十分協議し、 検討していきます。 それとともに、母子家庭の組織である母子福祉会の育成強化を図るべく、積極的に指導、 助言に努めます。 母子家庭とともに、生活及び養育等、深刻な問題を抱えている父子家庭についても、安 定した家庭生活の中で児童が、 心身ともに健やかに育成されるよう必要な施策を講じます。 3.高齢者福祉 (現況と課題) 65 歳以上の人口構成比率は、平成 12 年国勢調査では 34.4%、平成 17 年 3 月 31 日現在 の住民基本台帳では 37.3%となっています。 高齢者層では、寝たきり、認知症等の援護対象が増加しつつあり、高齢者のひとり暮ら しや高齢者夫婦のみの世帯が増加するといった家族構成の変化や、扶養意識の変化等によ り、家庭での介護機能は低下の傾向にあります。 平成 12 年 4 月 1 日から開始された介護保険制度は、近い将来予測される本格的な高齢 化社会に対応するために創設されたものであり、 これからの高齢者福祉の重要な施策です。 介護保険制度の開始に伴い、町内 2 箇所のディサービスセンターのうち「ふれあい園」 を介護保険専用施設に、また「地域福祉センター」を元気高齢者専用施設にそれぞれの用 途に分け、より適切なサービスができるよう体制を整えました。 また、介護予防生活支援事業としても、介護保険に該当しない一人暮らし老人にも町負 担による安否確認のためのヘルパー派遣事業を実施し、在宅福祉の充実に取り組んでいる ところです。 高齢者の生きがい対策については、今後も老人クラブの活動等による社会参加活動の推 54 進、スポーツ等を通じての健康増進を図っていく必要があります。 65 歳以上の人口及び人口構成比率の推移 昭和40年 65歳以上人口(人) 人口構成比率(%) 昭和50年 (資料:国勢調査) 昭和60年 平成2年 972 1,177 1,468 1,679 8.3 15.1 21.6 26.6 高齢者等の見込み等人口推計 平成7年 平成12年 2,049 1,883 31.0 34.4 (資料:住民福祉課) 平成13年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 40~64歳(人) 前期高齢者(人) 85歳以上(人) 40歳以上計(人) 65歳以上計(人) 総 人 口 (人) 1,874 1,010 498 512 1,054 467 296 291 3,938 2,064 5,899 1,807 990 478 512 1,065 448 316 301 3,862 2,055 5,803 1,779 971 464 507 1,090 448 335 307 3,840 2,061 5,765 1,753 953 451 502 1,117 449 355 313 3,823 2,070 5,733 1,724 932 445 487 1,123 444 354 325 3,779 2,055 5,670 1,698 912 439 473 1,132 440 354 338 3,742 2,044 5,613 高齢化率(%) 35.0 35.4 35.8 36.1 36.2 36.4 65~69歳(人) 70~74歳(人) 後期高齢者(人) 75~79歳(人) 80~84歳(人) (基本方針と主な施策) 高齢者に対する正しい理解と認識を持って、長年培った経験や知識に学ぶといった敬愛 意識の普及に努めるとともに、高齢者の技能や知識を活かした生きがい対策としての社会 参加活動を促進するためシルバー人材センター(仮称)の設立に努めます。 介護保険制度が開始されたことにより、医療と介護が区分され、それぞれの分野での充 実を図らなければなりません。 介護保険ではその事業計画に示しているとおり、将来必要であるサービス量及び高齢者 のニーズを把握し、それぞれに最適な介護支援体制を整えます。 また、介護予防としての元気高齢者対策では、地域福祉センターを中心にして、生きが い活動として、各種スポーツや文化サークルへの参加を促進します。 4.生活保護 (現況と課題) 生活保護制度は、憲法第 25 条の理念に基づき、健康で文化的な最低限度の生活を保障 し、併せてその自立を助長することを主な目的とした制度です。 近年の社会情政により、生活保護世帯は急増しております。 これら保護世帯及び低所得者に対しては、民生委員や民生児童委員協議会、社会福祉協 議会と連携を密にし、社会保障制度の適正な活用を図るほか、就労指導及び生活福祉基金 の貸付等によって自立助長に努めているところです。 55 受給の理由としては、生活中心者の疾病や傷害あるいは稼動能力の欠如等によるものが 多く、また本人の稼動能力に応じた仕事がないため、失業中の者もあり、今後は受給者の 身体的、能力的にそれぞれ適応した就労の場の確保が重要な課題となっています。 生活保護の状況 区分 年度 (資料:西牟婁振興局) 保護世帯 保護人員 世帯 保 護 の 内 容 生活扶助 人 住宅扶助 世帯 教育扶助 世帯 医療扶助 世帯 世帯 昭和60年 29 47 23 6 5 20 平成10年 29 39 23 14 1 26 平成17年 54 67 51 31 2 - (基本方針と主な施策) 生活保護受給開始の原因の多くが疾病によるものであることから、健康管理の意識を町 民に深く浸透させるよう啓発を行う一方、 保護世帯に対しては、 公的扶助を行うとともに、 医療機関との連携のもと、疾病の早期治療と回復に努め、自立可能な保護世帯の適業就労 を促します。 さらに自立意欲の向上のため、民生委員及び社会福祉協議会を通じて組織的取組みによ る適切な相談・助言等、指導、援助の一層の充実を図りつつ、保護の適正実施とその処遇 の充実に努めていきます。 5.障害者(児)福祉 (現況と課題) 本町の障害者(児)数は、身体障害者手帳所有者 415 人、知的障害者の療育手帳所有者 48 人、精神障害者保健福祉手帳所有者 23 人となっており、障害の重度化、重複化と障害者の 高齢化が進んでいます。 障害者(児)福祉については、平成 15 年度より支援費制度が開始され、措置制度から障 害者自らがサービスを選択し、契約によりサービスを受ける仕組みへと移行されました。 また、精神障害者の福祉サービスについては、平成 14 年度に市町村に事務が移管され、精 神障害者居宅生活支援事業として展開されています。 さらに、国の方針では身体障害者、知的障害者、精神障害者の福祉サービスが一元化さ れようとしており、近年の障害者福祉を取り巻く情政は大きく変化しております。 こうした状況の中で、サービス提供の主体として、利用者の選択に十分応えることがで きるようサービスの量と質の向上を図ることが求められています。 56 等級別身体障害者数 区 分 視覚傷害 聴覚障害 言語障害 肢体不自由 内部障害 計 構成比 % 1級 8 0 3 52 39 102 24.6 療育手帳所有状況 (平成 17 年 4 月現在) (資料:住民福祉課) 2級 7 15 3 60 1 86 20.7 3級 4級 2 10 1 35 7 55 13.3 5級 2 13 0 45 33 93 22.4 3 1 0 27 1 32 7.7 6級 3 32 0 12 0 47 11.3 計 25 71 7 231 81 415 100.0 構成比 6.0 17.1 1.7 55.7 19.5 100.0 (平成 17 年 3 月現在 資料:住民福祉課) 知的障害児 知的障害者 A 1 25 A1 1 10 A2 ― 15 2 B 20 B1 1 11 B2 1 9 計 3 45 計 26 11 15 22 12 10 48 (基本方針と主な施策) 障害者(児)福祉については、障害者基本法に基づく障害者計画に則り、身体障害、知的 障害、精神障害といった障害の種別に関わらず、自立支援を目的とした共通の福祉サービ スの一元化を図ります。 また、障害者(児)の社会参加を促進するとともに、働く意欲のある障害者が一般就労へ 移行できるよう、関係機関と連携をとりながら支援を行います。 公的施設でのバリアフリーの整備は一定の成果が得られたものの十分とは言えず、さら なる整備を促進します。また、こころのバリアフリーを目指し、啓発と広報活動の推進に 努めます。 6.地域における社会福祉(地域福祉)の推進 (現況と課題) 社会福祉とは、自らの努力だけでは自立した生活を維持できなくなるという誰にでも起 こりうる問題が、ある個人について現実に発生した場合に、当該個人の自立に向けて、社 会連帯の考え方に立った支援を行うための施策を指すと同時に、家庭や地域のなかで、障 害の有無や年齢にかかわらず、当該個人が人としての尊厳をもって、その人らしい安心の ある生活を送ることができる環境を実現するという目標を指すものであります。 少子高齢化の進展による要介護高齢者の増加や介護予防への取組み、児童虐待の防止を 含む児童福祉の推進、障害者の社会参加と生活の場の確保、災害弱者対策など、課題は山 積しています。平成 17 年度には、社会福祉法第 107 条に規定された「地域福祉計画」を 57 策定し、行政はもとより民間の社会福祉団体や関係団体・住民自身の参加により「知恵」 と「力」を出し合い福祉の町づくりを推進していくこととしています。 (基本方針と主な施策) 社会福祉法第 109 条で「地域福祉の推進を図ることを目的とする団体」と規定されてい る社会福祉協議会は、その役割を認識し、住民の福祉ニーズの把握に努めるとともに、そ の解決方策として平成 17 年度策定の 「地域福祉計画」 に則り、 ①住民の福祉活動と連携し、 住民の生活を総合的に支えるサービスを実施するとともに、②介護保健事業者を通して介 護予防事業への地域での取組みを図り、③新たなサービスの開拓等を推進します。 本町では、現在 400 名を越えるボランティアが地域で活動していますが、今後は、障害 の有無や年齢にかかわらず、福祉ボランティア、環境ボランティアの育成やシルバー人材 バンクの設置等、全ての住民が気軽に参加できるボランティア活動のメニューの開拓・推 進を図ります。 また、保育所、小・中学校の児童生徒等が社会福祉への理解と関心を高め、ボランティ ア活動を通じて社会奉仕、社会連帯の精神を身につけるためのボランティア協力校の指定 を継続するとともに福祉教育活動を推進します。 第2節 住宅・住環境施設の整備 (現況と課題) 本町における住宅事情について、平成 12 年国勢調査の結果によると、持ち家住宅世帯 は全体の約 79%であり、続いて公営・公団・公社の借家が約 12%となっており、町民の持 ち家志向や核家族化の傾向等を反映して個人住宅の建設が進み、持ち家世帯が圧倒的に多 くなっています。 住宅水準は、持ち家住宅世帯と借家住宅世帯との間には著しい格差がみられます。 本町の公営住宅は、町営住宅 187 戸、その他が 73 戸の計 260 戸、県営住宅 24 戸、雇用 促進住宅 80 戸の合計 364 戸となっています。 町営住宅のうち約半数は、居住面積が狭く、耐用年数の大半を経過し老朽化しています。 老朽化した住宅については、周辺地域も含めた良好な住環境整備が急務となっています。 また、若者の定住とUJIターンを促進するためには、公営住宅の建設の他、住宅を自 力で建設するための宅地の確保に努めなければなりません。 58 住宅の所有関係別世帯数及び人員 一般世帯 総数 区分 世帯数 世帯員数 1世帯当たり人員 1世帯当たり延べ面積 1人当たり延べ面積 (資料:平成 12 年国勢調査) 住宅に 住む 一般世帯 持 家 公営等 借家 2,301 5,804 2.52 103.4 41.0 1,838 4,625 2.52 115.2 45.8 288 770 2.67 53.5 20.0 2,335 5,848 2.50 - - 町営住宅の状況 給与 住宅 106 243 2.29 59.3 25.9 間借り 52 132 2.54 67.8 26.7 18 木造 第 二 種 簡平 簡二 耐平 耐二 中耐 2 17 34 2.00 50.0 25.0 34 44 1.29 - - 4 新法 その他 建設 22 6 13 5 5 3 12 10 7 5 5 4 5 5 12 18 8 10 江須之川 計 住宅以外 に住む 一般世帯 (平成 17 年 4 月現在) (資料:総務課) 第 一 種 木造 簡平 砂 子 観音谷 本 城 石 橋 防 地 神 田 堀 切 松の本 追 川 江 住 見老津 佐 本 民営 借家 23 4 24 21 25 3 27 30 8 30 0 計 42 10 13 20 15 12 5 4 5 17 18 18 8 187 (基本方針と主な施策) 住居及びこれらを取り巻く環境は、住民生活の基本であると同時に、豊かな人間性が育 まれる場でもあります。 老朽化した町営住宅については、定住条件の整備を図る上からも、順次その改善に努め 居住水準の向上を図っていきます。 町民の一戸建て志向や、老朽住宅の建て替え等に対しては、公的資金による融資制度の 活用を奨励し、自力建設の促進を図る等、積極的な定住対策を講じ持ち家対策の助長に努 めます。 町営住宅砂子団地については、住宅の建て替えを実施中であり周辺の整備により、良好 な住環境を創出します。 また、地域住民の集会所や、住宅が老朽化している団地の再生と、自力建設を推進するた めの宅地造成について検討を進め、若者定住、UJIターン施策を促進します。 59 Ⅴ 働くことを大切にする活力あふれるまちづくり 第1章 産業の振興 第1節 農業の振興 (現況と課題) 近年の農業を取り巻く環境は、農業従事者の減少と高齢化による労働力の低下や、国際 化の進展による輸入農産物の増大などにより、厳しさを増してきています。また、農産物 の残留農薬問題にも消費者の関心が集まり、食の安全・安心への信頼を求める動きが高ま ってきています。 黒潮暖流の影響を受けて温暖な気候に恵まれた本町は、米作を中心とし、戦後にはレタ ス等の野菜やストック、カスミソウといった花卉栽培が盛んに行なわれていましたが、近 年では農業従事者の高齢化、後継者不足、また価格低迷と不安定等により、作付面積はか なり減少傾向にあります。 農業センサスによる総農家数は、昭和 60 年には 673 戸、平成2年には 544 戸、平成7 年には 451 戸、平成 12 年には 387 戸と減少してきています。 耕地面積は、地勢的に林野が多いことから、242ha(2000 年農林業センサス)に過ぎず、 そのうち経営耕地面積は 151ha(同)となっており、経営耕地面積が 0.5ha に満たない農 家は、全農家数の約 8 割を占めています。 農業の経営規模は全般的に小規模零細で、生産性は極めて低く、高齢者や女性の労働力 の比重が高い状況下にあります。 山あいの耕地では、イノシシ、シカ、野ザルなどの鳥獣による作物への被害が深刻にな ってきています。 近年では、都会から農山村へ移住して農業などに従事する方が見られるとともに、観光 農園や体験型農業など観光産業との連携が注目されています。 専業・兼業別農家数の推移 (資料:農業センサス 単位:戸) 区分 総農家 販売農家 年 計 専業 兼業 第 1種 第 2種 S.40 95 8 107 8 51 26 0 5 91 S.45 90 8 151 7 57 14 2 6 15 S.50 77 8 142 6 36 10 1 5 35 S.55 70 5 173 5 32 81 4 51 計 自給的農家 専業 兼業 第 1種 第 2種 計 専業 兼業 第 1種 第 2種 S.60 67 3 217 4 56 93 3 63 H .2 54 4 201 3 43 60 2 83 3 24 11 4 210 55 155 220 87 13 3 5 12 8 H .7 45 1 170 2 81 45 2 36 2 82 10 2 180 38 142 169 68 10 1 7 94 H .1 2 38 7 2 11 71 140 16 124 176 斜線部分の項目の集計は行われていません。 60 経営耕地面積規模別農家数 (資料:農業センサス 単位:戸) 区分 年 総農家数 0.3ha 0.3~ 0.5~ 1.0~ 1.5~ 2.0~ 2.5~ 3.0ha 未満 0.5ha 1.0ha 1.5ha 2.0ha 2.5ha 3.0ha 以上 S.40 S.45 S.50 S.55 S.60 H.2 H.7 958 908 778 705 673 544 451 418 404 354 336 327 245 188 308 261 243 220 202 176 162 220 220 168 133 130 107 82 10 18 6 12 10 12 15 1 2 4 2 3 1 1 1 1 1 1 H.12 387 185 113 72 10 1 総農家の経営耕地面積 区分 面積合計 年 S.45 342.25 S.50 331.67 S.55 279.64 S.60 227.59 H.2 202.00 H.7 178.00 H.12 151.00 3 2 1 1 1 1 1 1 1 - 1 3 2 (資料:農業センサス 単位:ha) 田 畑 264.39 256.28 208.37 171.93 152.00 133.00 118.00 樹園地 53.39 43.63 36.83 28.39 23.00 15.00 14.00 茶 24.06 31.58 28.16 25.41 27.00 30.00 19.00 桑園 0.22 0.15 0.15 0.09 0 0 0 その他 0 0.03 0.13 0 0 0 0 農産物販売金額規模別販売農家数 0 0 6.00 1.77 0 0 0 (資料:農業センサス) 区分 販売農家数 年 販売 なし 15万円 未満 15万~ 50万円 50万~ 100万~ 200万~ 300万~ 500万円 100万円 200万円 300万円 500万円 以上 H.2 324 62 75 69 46 49 15 8 H.7 282 54 66 64 39 26 15 12 6 H.12 211 60 47 41 30 13 7 10 3 (基本方針と主な施策) 圃場整備が完了している立野、防地、太間地、口和深及び佐本の一部を合わせた 58.3ha を除いては、極めて小規模な農地が分散しています。今後、区画整理、基盤整備や環境整 備が可能な地区については、関係事業を導入し、圃場、農道、用排水路その他の関連施設 の整備に努めます。 効率的かつ有効的に農地を利用するため、優良農地の確保と保全に努め、遊休農地や不 在地主農地の流動化を促進し、 町域をこえた農地の賃借の斡旋や農作業の委託などを進め、 農業の担い手への農地の集積を図ります。 新たな農業の担い手となる農業生産法人(団体)、元気な高齢者、UJIターン者等の農 61 業経営を多角的に支援します。 適地適作の推進、施設栽培の導入と複合経営の促進を図るとともに、生産技術の向上、 生産組織の育成・強化、共選共販体制の確立を図ります。また、地域住民の意識改革を図 り、新しい産品を開発して地域全体の自立促進を図ります。 町単独事業である農業生産振興対策事業により、土づくり、梅、シキミ、ビシャコ苗の 植栽を継続し耕地の遊休化を防ぎます。 高齢者や女性を中心とした生きがいづくりの一環として、道の駅や直売所での販売を通 じて農産物の地産地消を推進するともとに、体験型農業の導入について検討を進めます。 鳥獣による作物への被害については、電気柵等の設置により被害の防止に努め、鳥獣と の共生・共存を確立できるように種々の対策を実施します。 第2節 林業の振興 (現況と課題) 全国的な林産業は、外材製品の輸入量増加や低価格製品の増加により、価格・品質競争 が激化しています。 また、木材需要の低迷等により林業経営は深刻化し、森林の荒廃化が懸念されています。 本町の林野面積は 16,193ha(国有林 1,072ha、公有林等 313ha、私有林 14,808ha)で、 町土の約 93%を占めています。 これまで造林適地への拡大造林を推進した結果,国有林以外の林野面積 15,121ha のう ち人工林面積は 10,422ha(68.9%)となり、今後、保育、間伐を適正に実施していくこと が重要です。 幼齢林の大半は、小規模林家と不在村林家が資産保有的に所有しており、加えて、長期 にわたる厳しい林業諸情勢のため、系統的な森林施業の実施が困難であり、林業生産活動 は全般にわたり低迷しています。 林業労働は他の産業と比べて労働条件が過酷であり、林業従事者の所得水準は他の産業 や労働内容から見ても低水準であることから、担い手の確保が困難であり、林業従事者の 減少と高齢化の問題は深刻化しています。 また、農業と同様に、鳥獣による樹木等への被害が跡を絶たない状況にあります。 林野面積 (資料:2000 年農林業センサス 単位:ha) 国有 林野庁 民有 林野庁 公有 合 計 緑資源 計 以外の 計 私有 公団 小計 都道 市区 小計 分収林 その他 官庁 府県 町村 3 15,121 89 224 1 223 14,808 16,193 1,072 1,069 178 891 62 林種別森林面積 (資料:2000 年農林業センサス 単位:ha) 樹林地 合 計 計 計 人工林 小計 天然林 針葉樹 広葉樹 16,193 16,055 11,237 11,224 国有 1,072 1,049 810 815 民有 15,121 15,006 10,422 10,414 13 5 8 小計 伐採 未立 跡地 木地 竹林 針葉樹 広葉樹 4,818 234 4,584 41 4,777 5 121 12 0 41 234 4,543 0 5 23 98 0 12 保有山林規模別林家数 (資料:農林業センサス) 林家数 (戸) 調査年 昭和55年 平成2年 平成12年 1~5ha 0.1~ 5~ 10~ 20~ 30~ 50~ 100ha 計 1~ 3~ 10ha 20ha 30ha 50ha 100ha 以上 1ha 3ha 5ha 172 452 147 47 46 14 10 9 7 165 429 154 47 29 8 18 6 2 209 106 23 36 23 4 8 4 5 保有山林 面積 (ha) 3,727 2,727 2,222 ※ 調査対象林家の保有面積基準は、平成 2 年までは 10a 以上、平成 12 年は 1ha 以上。 所有規模別面積表 (資料:2003 年森林簿 単位:人、ha) 1ha未満 町 内 町 外 合 計 員 数 面 積 員 数 面 積 員 数 面 積 322 145 119 57 441 202 1~ 5ha 432 1,082 237 610 669 1,692 5~ 10ha 138 966 95 636 233 1,602 10~ 20ha 101 1,377 79 1,160 180 2,537 20~ 30ha 28 681 37 908 65 1,589 30~ 50ha 17 581 23 927 40 1,508 50~ 100ha 18 1,319 12 877 30 2,196 100ha 以上 7 1,349 15 2,425 22 3,774 合 計 1,063 7,500 617 7,600 1,680 15,100 在村者・不在村者別私有林面積 (資料:農林業センサス 単位:ha) 在村者 昭和55年 平成2年 平成12年 8,464 5,712 7,245 不在村者 小計 6,397 9,184 7,563 県内 3,998 6,530 4,571 県外 2,399 2,654 2,992 合 計 14,861 14,896 14,808 (基本方針と主な施策) 小規模林家や不在村林家に対しては、間伐及び保育の必要性と林業振興に対する積極的 参加を啓発し、林業施業を促進します。 森林施業においては、中核的役割を果たす森林組合の体質を強化し、森林組合への施業 委託を推進して組合作業員の安定した雇用体制の確立に努め、若者の新規参入を促進し、 森林所有者の合理的、計画的な林業経営に対応できる基盤整備に努めます。 作業能率と安定性の向上、省力化に資する林業機械の導入については、林家の大半が零 63 細・不在村林家であることから、森林組合等による地域に適した機械の共同導入を促進し ます。 森林施業の円滑化による林業生産活動の活性化、年間を通じた就業の確保と安定及び社 会保障制度等、労働条件の整備、複合経営の促進を図り、後継者の確保と育成に努めます。 森林は林産物の生産の場であるだけでなく、国土の保全や水資源の涵養、さらには保健 休養等の場の提供等、公益的機能を有していることから、その機能の高度化と充実強化を 図るとともに、保安林の指定拡大に努めます。 また、鳥獣による樹木等への被害が発生した場合には、速やかに対応するとともに、鳥 獣との共生・共存を確立できるように種々の対策を実施します。 第3節 水産業の振興 (現況と課題) 沿岸部の漁業が中心で、曵縄一本釣漁業とイカ釣漁業、磯根漁業がその主たるものであ り、専業漁業がほとんどで兼業は少ないのが現状です。 沖合で黒潮に乗って来遊するカツオやマグロ類等の大型回遊魚を対象とした曵縄一本 釣漁業、イカ漁が行われている一方、起伏に富む岩礁地帯ではイセエビ類を対象にした刺 網漁業、アワビ、トコブシ、天草等を対象とした採貝・採草漁業が行われていますが、年 間を通じての漁は難しく、閑漁期には遠く対馬及び五島列島や静岡方面等、全国各地へ出 漁する漁船もありますが、漁業従事者の高年齢化、後継者不足、不漁、魚価の低迷等の問 題を抱えているほか、漁港の多目的利用が課題になっています。 浅海の岩礁域では、海藻の群落(藻場)が季節や経年による消長の範囲を越えて著しく衰 退または消失する「磯焼け」により、アワビやトコブシ、磯付き魚などが減少し、沿岸漁 業に大きな影響を及ぼしています。磯焼けの原因としては、気象・海況の変化、生物相の 変化、人間の活動が関わるものなど、多様な原因が考えられています。 平成 8 年にすさみ漁業協同組合や町内の民宿経営者などが出資してスキューバダイビン グサービス会社を設立し、 「観せる漁業」にも取り組んでいます。 すさみ漁業協同組合では、経営の合理化と強化のため、田辺~すさみ間の漁業協同組合 との合併協議を進めています。 漁港施設の状況 (平成 15 年度末 区分 漁港 けい留施設 外かく施設 漁港名 周参見漁港 口和深漁港 見老津漁港 江須之川漁港 江住漁港 里野漁港 計 種別 の延長(m) の延長(m) 2 1 1 1 1 1 1,485 0 503 109 112 56 2,265 5,292 227 1,321 711 737 314 8,602 64 登録漁船 隻数 123 7 54 27 5 9 225 資料:産業経済課) 利用漁船 隻数 259 13 73 36 5 11 397 利用 トン数(t) 490 50 302 111 5 11 969 階層別動力漁船数の推移 (単位:隻 資料:産業経済課) 総 数 1t未満 1~3t未満 3~5t未満 5~10t未満 10~15t未満 15t以上 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 249 240 237 230 225 55 56 55 55 54 漁種別漁獲量の推移 魚 類 イカ類 えび類 貝 類 海藻類 計 23 18 19 17 15 59 53 53 52 51 (単位:トン 110 111 108 104 103 2 2 2 2 2 0 0 0 0 0 資料:産業経済課) 平 成 1 1 年 平 成 12 年 平 成 13 年 平 成 14 年 平 成 1 5年 423 1,170 698 820 900 167 115 219 239 87 6 9 5 4 6 4 5 7 2 1 14 14 13 8 15 614 1,313 942 1,073 1,009 (基本方針と主な施策) 本州南岸における黒潮の流軸は一定でなく、流軸の変動に伴って漁場も変動します。 そのため、その日の漁場選定が曵縄一本釣りの漁獲を左右するので、魚群を沖合の浮漁 礁等に一日でも長く滞留させる方法を検討します。 また、魚価の安定向上を図るためには、陸揚げされた鮮魚には清浄海水を使って市場内 の衛生管理を行い、付加価値の高い漁獲物を供給することに努めるとともに、磯根漁業の 資源確保にも努めます。磯焼けに関しては、試験研究機関と連携して多角的な取組みを行 い、漁場の回復・維持に努めます。 漁港などの漁業生産基盤の整備を進めるとともに、漁港を海洋レジャー基地として利用 したマリンスポーツフェスティバル等のイベント開催やスキューバダイビングなどを通し て、漁業と観光との連携にも努めます。 漁業協同組合の合併に関しては、その推進を側面的に支援します。 第4節 商工業の振興 1.商業 (現況と課題) 近年における交通通信体系の整備やモータリゼーションの発達により、住民の購買活動 は、食料品等の日常性の強い必需品についても近郊都市部に流出する傾向が一層強いもの になっています。 特に若い世代においては顕著であり、地元商店における年間販売額の伸びは年々減少し てきています。 とりわけ、大型小売店の直接的影響を受ける小売業を取り巻く環境は、非常に厳しい状 況に置かれています。 65 過疎化による消費人口の減少はもとより、小売店主の高齢化による所得の減少が、この 傾向を一層強めるものと予想されます。 商店数・従業員数・販売額 区分 平成9年度 平成11年度 平成14年度 (資料:商業統計調査) 商 店 数 計 法人 個人 122 15 107 126 16 110 115 15 100 従 業 員 数 年間販売額 計 男 女 (万円) 314 139 175 541,213 353 156 197 505,126 404 ※ ※ 447,971 ※ 項目集計なし。 (基本方針と主な施策) 各種金融制度の活用を図るとともに、商工会を中心とした指導体制の強化や研修会、先 進地視察又はコンピュータ等の導入による商業経営の合理化、効率化を図り、大規模小売 店には無い、きめ細かいサービスと専門店化を進め、消費者のニーズに順応した新しい経 営感覚を養い、顧客の誘導を図ります。 設備投資に関しては、税制上の優遇措置や融資あっせんなどの側面的支援を行います。 商工会活動の一層の充実、商業者の自立的努力を推進します。 2.工業 (現況と課題) 本町の工業資源は、木材加工場や魚加工場、家庭内職的な縫製工場があるだけでした。 誘致企業による雇用は、過疎の進行を防ぐ大きな要素です。 近年、企業誘致に積極的に取り組み、釣具製造工場、地域改善対策事業による産業就労 対策としての梅加工場、林産加工大型共同作業場が建設され、若者を中心とする就業の定 着化が促進されています。 工業の推移 調査年 (資料:工業統計) H.9 H.10 H.11 H.12 H.13 H.14 H.15 事業所数 26 26 24 23 16 16 23 従業員数度 394 276 294 205 184 185 198 (基本方針と主な施策) 本町の工業は小規模企業が主で、そのため商工会等を通じ、経営の合理化、施設の近代 化を進め企業者の自主的努力を促します。 誘致企業については、側面的な支援を行い、事業の発展による雇用の増大と安定、所得 の向上を図ります。 今後とも農林水産物を材料とする加工場の設置を推進します。 設備投資に関しては、税制上の優遇措置や融資あっせんなどの側面的支援を行います。 66 第5節 観光業の振興 (現況と課題) 交通網の整備等により、京阪神地方との時間、距離が短縮されつつあります。 こうした中で、熊野・枯木灘海岸県立自然公園の指定を受けている複雑なリアス式海岸 を活かした海岸リゾートをはじめ、森林及び峡谷等の自然資源の活用による、都市との交 流を推進するとともに、世界遺産登録を受けた大辺路街道への受入体制の整備充実を図る 必要があります。 自然とのふれあい、心の豊かさを求める人が増えるなか、長期滞在型、体験型の観光、 リゾート空間の整備が求められています。 イノブータン王国祭(イノブタダービーとなんでも朝市)、マリンスポーツフェスティ バルや熊野古道ウォーク等の多彩な地域イベントの開催や、受入体制の充実に努め、年間 約 21~24 万人を超える観光客の誘致を行っているところです。 若者定住には不可欠な雇用や、地域の活性化・自立のためには、起業促進を積極的に行 う必要があります。 観光客入込数の推移 (資料:産業経済課) 年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 宿 泊 67,510 68,690 64,473 58,042 46,181 日帰り 253,048 249,495 215,003 185,657 167,827 合 計 320,558 318,185 279,476 243,699 214,008 月別観光客数 (資料:産業経済課) 平成15年 1月 2月 3月 4月 5月 宿 泊 4,335 4,306 6,310 3,946 4,115 日帰り 12,598 10,419 12,455 10,788 35,779 計 16,933 14,725 18,765 14,734 39,894 平成16年 1月 2月 3月 4月 5月 宿泊 2,640 2,283 2,757 3,549 3,649 日帰り 10,932 8,866 11,407 11,848 35,012 計 13,572 11,149 14,164 15,397 38,661 宿泊施設数 区分 国民宿舎 ホテル ペ ンシ ョン 民宿等 町営施設 合 計 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 総 数 3,181 6,165 9,548 3,314 3,752 5,182 3,888 58,042 10,831 15,972 28,029 10,464 11,858 12,269 14,195 185,657 14,012 22,137 37,577 13,778 15,610 17,451 18,083 243,699 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 総 数 2,192 5,465 9,254 3,581 3,147 4,454 3,210 46,181 13,717 11,781 15,437 10,937 13,219 11,530 13,141 167,827 15,909 17,246 24,691 14,518 16,366 15,984 16,351 214,008 (平成 17 年 4 月 1 日現在) 周参見 1 2 1 8 1 13 見老津 江須之川 里 野 1 1 1 1 1 1 67 合 計 1 2 1 11 1 16 (基本方針と主な施策) 緑豊かな地域で自然と親しみ余暇を有意義にするためや、心の豊かさを得るための旅行 をはじめとする余暇活動が活発となっています。 豊かな自然と地域の産業や生活とふれあいに重点をおいた、マリンスポーツフェスティ バルでの海洋レジャーやフィッシング、イノブータン王国祭(イノブタダービーとなんで も朝市)や熊野古道ウォーク等の地域イベントを活かした長期滞在型リゾートの整備とと もに、農山漁村の自然や生活、文化などに触れながら体験活動をする旅「グリーンツーリ ズム」を通じ、心癒される観光の振興を図ります。 特に、枯木灘海岸沿線の整備については、生活環境の保全、自然環境の保護を図りなが ら地域産業の活性化を図ることを十分配慮します。 また、雇用とまちづくりの人材育成という両面の要素で促進の必要がある起業家に対し ては、税制上の優遇や地域総合整備資金の融資制度活用による環境整備を図ります。 第6節 地域間交流事業 (現況と課題) 昭和 51 年 5 月に大阪府寝屋川市と友好姉妹都市提携を締結し、物産、スポーツ、文化 等、様々な分野で少年少女から高齢者まで幅広い年代層による交流事業が継続されてきま した。 また、イノブータン王国祭(イノブタダービーとなんでも朝市)やマリンスポーツフェ スティバルや熊野古道ウォーク等の遊び心を活かした地域イベントには、町内外から多く の参加者を集め、都市住民との交流を深めているところです。 近年、余暇の増大と国民的価値観の変化等により、地方が見直されるようになり、本町 の観光客入込者数は観光施設の整備等により、20 万人を超えています。 (基本方針と主な施策) 国民の価値観の変化と自然回帰ニーズの高まりを的確に把握し、都市住民に豊かな自然、 文化、歴史に育まれた、ゆとりのある生活体験を提供し、逆に都市の持つ経済力や情報を 受けることにより、地域の活性化と自立を図ります。 そのため都市交流環境のハード、ソフトの両面について整備を推進します。 また、イノブータン王国祭やマリンスポーツフェスティバルでの海洋レジャーやフィッ シング、琴の滝俳句の里句会等、年中繰り広げられる多種多様な地域イベントの活動と、 農林水産資源を活用した観光・レクレーション産業の振興を図ります。 こうした取組みは、観光客の誘致や都市との交流事業に資するだけでなく、まちづくり の人材育成や就労機会の拡大等の効果が大きいことから積極的な支援を行います。 68 第2章 行財政計画 第1節 行政組織 (現況と課題) 近年における社会情勢の変化や、地方分権の推進により地方公共団体の行政需要は拡大 し、量的、質的にも複雑かつ高度化の傾向を見せています。 しかし、町税などの自主財源は、過疎化と少子高齢化の進行やバブル経済崩壊後の景気 低迷等のために大幅な増加は見込み難く、また国の地方交付税交付金総額は財源の減少に よって抑制されてくるなど、町財政の収支の均衡を図ることが困難になってきています。 行政需要の拡大や、住民ニーズの多様化・高度化に対応できる効率的な行政運営の推進 を期するため、収入確保と歳出抑制による財政の健全化、組織機構の合理化、事務の効率 化とスリム化、適正な人事管理と職員研修の充実及び広報・公聴体制の確立を図り、より 一層開かれた行政をめざしていく必要があります。 行政機構図 議 会 議 長 議会事務局 常任委員会 総務民生常任委員会 議会運営委員会 産業建設常任委員会 議会広報編集委員会 特別委員会 69 財政検討特別委員会 行政機関 町 長 助 役 総 務 課 庶務・人事・文書・管財・財政・人権 消防・交通・税務・電算処理 佐本出張所 住民福祉課 窓口・戸籍・年金・福祉・介護 保育所、住民交流センター 地域福祉センター 環境保健課 国保・衛生・公害 ごみ焼却場,診療所 産業経済課 農林水産業・商工・観光 建 設 課 土木建築・工務・検査 企 画 課 総合企画開発・統計・広報・企業誘致 地籍調査課 地籍調査 水 道 課 簡易水道 江住支所 水 道 課 収入役 上水道 会 計 課 国保すさみ病院 教育委員会 公民館 教 育 長 給食センター 事 務 局 小学校(4校) 中学校(3校) 委員会等 監 査 委 員 事務局(議会事務局) 農 業 委 員 会 事務局(産業経済課) 選挙管理委員会 事務局(総務課) 固定資産評価委員会 事務局(総務課) 土地開発公社 事務局(企画課) 70 (基本方針と主な施策) 1.事務管理 行政需要は、地方分権による国・県からの権限移譲の推進や、過疎化と少子高齢化の進 行により、質的かつ量的に拡大することが予想されます。このため、各課・職員相互の意 思疎通が一層図られるよう行政機構を整備・充実させ、公共施設の管理運営等に民間活力 を導入するなど行政をスリム化するなどして事務処理の合理化・効率化と、経費の削減を 図ります。 2.人事管理 組織を運営する職員一人ひとりが、町民の奉仕者としての使命感を認識し、高度化、専 門化する行政事務に対応する体制を確立します。 そのため、組織における人材の育成が今後の町政の発展に欠かせないものと言えるため、 人材育成基準方針に基づく職員研修の計画的な推進に取り組み、町独自の一般研修をはじ め、国及び県等が実施する研修会に積極的な参加派遣を促し、職員の資質向上と、行政事 務を能率的かつ的確に処理する能力開発を図ります。 また、職員数については、増員は極力抑制しながら職務分析及び事務量の検討と、職員 の適性を的確に把握し、限られた職員数の中で、人員の適正な配置に努めます。 さらに、職場環境の向上と職員の健康管理の徹底を図り、福祉厚生面の充実に努めます。 3.広報・公聴 当町では、公民館が毎月1回発行する「公民館報」と、議会が年4回定例会後に発行す る「議会だより」等に町行政の内容や連絡事項を掲載して、広く町民への周知に努めてい ます。また、毎月1回、民放ラジオでもイベントなどの広報を行っています。 防災行政無線は、広報の手段としての利用価値は極めて高く、町民への情報伝達でも幅 広く行われています。 今後、より一層の充実のため、広報についての創意工夫に努めます。 一方、行政にあっては、町民が町政に積極的に参加し行動できる体制づくりと、広く町 民に資料や情報を積極的に提供するとともに、町民意識の的確な把握に努めます。 町民の意見、要望及び将来に対する行政提言等を町政に反映するため、今後とも行政懇 談会等による住民との対話を積極的に進めて、広報、公聴活動の強化に努めます。 71 第2節 財政 (現況と課題) 平成 13 年度以降、 「三位一体改革」により収入の 4 割以上を占める地方交付税が大幅に 削減されたことなどから、本町の財政状況は急激に悪化し、平成 15 年度決算では実質収支 が約 4,300 万円の黒字となったものの、経常収支比率は 98.9 を示し、基金残高は平成 11 年度に比べ約 5 億円減の約 7 億 6,500 万円、うち財政調整基金及び減債基金は合わせて約 6億 200 万円となっています。 このような状況から、早急に財政健全化に取り組まなければなりませんが、歳入につい ては、不況及び過疎化・高齢化による税収の伸び悩み、三位一体改革による地方交付税及 び国庫支出金の削減など、増収が見込めない状況にあることから、歳出において、相当の 経費削減に努める必要があります。 また、地方債残高については、平成 15 年度末で約 53 億 2,600 万円となっていますが、 この中には過疎債、辺地債など償還金の一部が地方交付税に算入されるものが多くふくま れており、町財政にとっては大きな救いとなっています。 財政力指数及び地方債(普通会計債)現在高 財政力指数(単年度) (資料:総務課、県市町村課) 地方債(普通会計債)年度末現在高(単位:百万円) 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 県合計 すさみ町 0.333 0.199 0.340 0.210 0.352 0.227 522,619 519,068 518,548 523,541 529,325 4,208 4,440 4,699 5,228 5,326 歳入の構成 (単位:千円、%) 歳 入 の 構 成 一 般 財 源 国・県 地方交付税 地方税 その他 計 支出金 4,194,477 10.0 43.9 2.6 56.5 17.2 平成15年度 歳入総額 歳出の構成 平成15年度 歳出総額 人件費 4,138,927 21.1 地方債 その他 12.3 14.0 (単位:千円、%) 歳 出 の 構 成 義 務 的 経 費 投資的 扶助費 公債費 計 経 費 3.4 12.7 37.2 21.7 72 物件費 その他 12.0 29.1 町財政の状況 (単位:千円) 区 分 歳 入 総 額(A) 一般財源 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 うち地方交付税 国庫支出金 県支出金 地方債 うち過疎債 その他 歳 出 総 額(B) 義務的経費 投資的経費 うち普通建設事業 その他 歳入歳出差引額 C(A-B) 翌年度へ繰越すべき財源 D 実質収支 C-D 単年度収支 実質単年度収支 ※1 実質単年度収支 ※2 財政力指数(3カ年平均) 公債費負担比率 起債制限比率 経常収支比率 地方債現在高 5,364,936 4,726,493 4,688,171 4,756,901 2,931,574 2,961,460 2,798,168 2,617,807 2,383,857 2,383,060 2,237,745 2,061,064 511,773 345,534 225,421 113,105 495,345 402,034 591,387 608,530 835,900 643,200 688,575 946,580 49,500 249,800 237,800 161,200 590,344 374,265 384,620 470,879 5,238,817 4,600,866 4,583,696 4,637,315 1,598,659 1,624,210 1,628,310 1,582,267 2,110,331 1,592,087 1,562,408 1,588,639 2,110,310 1,591,560 1,474,769 1,588,639 1,529,827 1,384,569 1,392,978 1,466,409 126,119 125,627 104,475 119,586 24,327 39,786 15,198 11,949 101,792 85,841 89,277 107,637 19,634 ▲ 15,951 3,436 18,360 40,259 ▲ 44,938 3,587 ▲ 117,017 40,489 ▲ 111,301 ▲ 128,335 ▲ 117,014 0.175 0.180 0.182 0.190 16.0 15.7 16.7 16.1 9.4 9.4 9.9 10.2 91.9 92.3 96.1 98.1 4,207,690 4,439,840 4,699,339 5,227,669 4,194,477 2,370,902 1,841,124 185,396 535,414 514,300 0 588,465 4,138,927 1,541,597 897,098 897,087 1,700,232 55,550 12,222 43,328 ▲ 64,309 243,211 ▲ 99,305 0.201 15.7 10.7 98.9 5,325,888 実質収支……………… 歳入歳出差引額から翌年度へ繰越すべき財源を差し引いた額。 単年度収支…………… 当該年度の実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額。 実質単年度収支※1… 単年度収支に地方債の繰上償還額と財政調整基金への積立金を加え、財政調整 基金からの積立金取り崩し額を差し引いた額。 実質単年度収支※2… 単年度収支に地方債の繰上償還額と財政調整基金と減債基金への積立金を加え、 実質的に一般財源となる積立金取り崩し額と一般寄附金を差し引いた額。 基金残高の状況 区分 (単位:千円) 平 成 11年 度 平 成 12年 度 平 成 13年 度 平 成 14年 度 平 成 15年 度 財政調整 積立 減債 基金 その他特目 計 定額 土地開発 運用 その他 基金 計 合計 4 1 5 ,2 4 4 2 7 6 ,3 8 4 5 4 6 ,5 5 0 1 ,2 3 8 ,1 7 8 6 ,9 3 0 1 5 ,5 6 6 2 2 ,4 9 6 1 ,2 6 0 ,6 7 4 3 8 6 ,2 5 7 2 1 0 ,0 2 1 4 7 3 ,2 7 9 1 ,0 6 9 ,5 5 7 6 ,9 4 1 1 3 ,2 6 6 2 0 ,2 0 7 1 ,0 8 9 ,7 6 4 73 3 8 6 ,4 0 8 7 8 ,0 9 9 4 6 9 ,1 5 2 9 3 3 ,6 5 9 6 ,9 4 6 1 1 ,1 5 4 1 8 ,1 0 0 9 5 1 ,7 5 9 2 5 1 ,0 3 1 7 8 ,1 0 2 4 6 3 ,7 7 1 7 9 2 ,9 0 4 6 ,9 4 6 8 ,5 5 4 1 5 ,5 0 0 8 0 8 ,4 0 4 5 5 8 ,5 5 1 4 3 ,1 0 3 1 4 8 ,8 3 8 7 5 0 ,4 9 2 6 ,9 4 7 7 ,7 1 4 1 4 ,6 6 1 7 6 5 ,1 5 3 地方債現在高の状況 市町村名 平成15年度末 借 入 先 内 訳 現在高倍率 住民1人当たり A/標準財政規模 地方債現在高 地方債現在高 政 府 銀行等 その他 A/住基人口 A 資 金 縁故 ×100 (千円) (%) (%) (%) (%) (15.3.31)円 田辺市(旧) 白浜町 中辺路町(旧) 大塔村(旧) 上富田町 日置川町 すさみ町 串本町(旧) 西牟婁計(旧) 県合計 37,691,541 6,642,058 5,584,506 3,098,218 6,414,438 6,386,662 5,325,888 6,064,849 39,516,619 529,325,151 56.4 81.9 66.5 77.7 61.0 81.2 86.0 78.1 76.1 67.9 30.5 9.1 26.0 19.4 35.4 7.1 7.0 12.2 16.6 21.4 13.1 9.0 7.5 2.9 3.6 11.7 7.0 9.7 7.3 10.7 270.3 157.5 317.4 198.6 198.7 337.2 261.9 170.9 234.6 238.3 533,875 333,621 1,464,212 915,279 419,217 1,312,440 942,802 393,515 825,869 885,523 (基本方針と主な施策) 過疎化、高齢化の進行や基幹産業である農林漁業が低迷する中、自主財源の伸びには限 界があるため、本計画に盛り込まれた施策や事業を円滑に実施していくためには、財政の 健全化を図る必要があります。 しかし、現状の財政を短期的に改善することは非常に困難であることから、当面は限ら れた財源を計画的、効率的に配分し、施策の選択的、重点的な実施に努めつつ、多様化、 増大化する行政需要に対応するため、一層の経費の節減と合理化を図り、硬直化している 財政体質の改善に努めていきます。 そのため、業務の民間委託や施設の統合とともに、適正なる人事管理や事務管理を積極 的に推進し、効率、効果の向上に努めます。 本町における地域性、施策や地方分権に係る委任事務等、経常収支比率が非常に高くな っています。 改善策として人件費の抑制を図るほか、補助金の洗い直し、補助効果を勘案します。 公債費については、過疎債、辺地債等といった交付税算入のある起債を優先させるとと もに、事業を厳選していく必要があります。 第3節 広域行政 (現況と課題) 日常生活圏の拡大や交通通信網の整備等により、町民にとっても市町村間の行政の場で も広域化が浸透してきています。 市町村においては、当該市町村区域を越えて広域的に処理しなければ困難な、また、非 能率的な事務も増加しています。 こうした状況のもと、市町村にとっても住みよい豊かな地域社会を形成するためには、 生活面、産業面を有機的に結びつけた各行政分野での広域的な事業の実施を勧める必要が 生じてきました。 74 現在本町では、田辺市を中心とした 1 市 5 町で構成されている田辺周辺広域市町村圏に 属しており、総合的な広域行政の推進に努めています。 また、隣町日置川町とは、し尿処理・不燃物処理に関しては昭和 39 年に、消防につい ては昭和 49 年に一部事務組合を設立してその対応に当たってきました。また、介護保険認 定審査に関しても共同で審査会を設置し、両町の地域の振興と行政の効率化に努めていま す。日置川町は、平成 18 年 3 月に白浜町と合併して新白浜町となる予定です。 一方、白浜町を中心とした西牟婁郡内 7 ヶ町村で設立し、その後構成市町村の合併によ って現在は 1 市 5 町で運営を行っている、老人福祉施設組合及び児童福祉施設組合におい ても、それぞれ地域住民の福祉向上に大きな役割を果たしています。 地方分権時代が到来した現在、新たな行政需要への対応と町財政の一層の効率的な運営 を目指すためには、市町村合併に向けて積極的に取り組むとともに、複数市町村での一部 組合や広域連合による行政運営を行う必要があります。 一部事務組合設置状況 組 合 名 設置年月日 業 務 内 容 紀南地方老人福祉 養護老人ホーム 椿園 S27.4.16 施設組合 特別養護老人ホーム 百々千園 すさみ町・日置川町 S39.9.22 し尿処理・不燃物処理 衛生施設組合 紀南地方児童福祉 S45.3.20 白浜母子寮 施設組合 田辺周辺広域 広域市町村圏計画の策定 S46.3.16 市町村圏組合 連絡調整 構成市町 白浜町・上富田町・田辺市 日置川町・すさみ町・串本町 大辺路消防組合 すさみ町・日置川町 S49.4.1 消防 すさみ町・日置川町 白浜町・上富田町・田辺市 日置川町・すさみ町・串本町 田辺市・みなべ町・白浜町 上富田町・日置川町・すさみ町 事務の共同処理 組 合 名 設置年月日 すさみ町・日置川町 介護認定審査会 H12.4.1 業 務 内 容 介護認定審査 構成市町村 すさみ町・日置川町 田辺周辺広域市町村圏の人口と総面積 区分 市町村別 田辺市 みなべ町 上富田町 白浜町 日置川町 すさみ町 計 人口 総面積 (人) (km2) 85,646 1,026.63 14,734 120.26 14,501 57.49 19,722 64.71 4,841 136.31 5,952 174.71 145,396 1,580.11 (参考) 合併市町名 旧市町村名 人口 総面積 田辺市 旧田辺市 70,360 136.43 旧龍神村 4,461 255.13 旧中辺路町 3,710 211.95 旧大塔村 3,246 219.06 旧本宮町 3,869 204.06 みなべ町 旧南部川村 6,626 94.18 旧南部町 8,108 26.08 人口は平成 12 年国勢調査、総面積は平成 16 年 10 月 1 日現在国土地理院公表値。 75 (基本方針と主な施策) 行財政運営の効率化を図るため、市町村合併を積極的に推進します。 紀南地方の辺地性、過疎性を解消し、地域に活力を与え、社会経済の振興を図るために は、 田辺周辺広域市町村圏組合を中心にした関係市町村の協力のもと、 各自治体の主体性、 自主性を尊重しつつ、広域的な視点にたった行政の推進に努め、合理的、効率的な地域の 総合整備を図っていく必要があります。 特に、近畿圏や中部圏との結びつきを更に深める高速自動車道紀勢線の紀南延長、或い は地域経済を支える主要幹線道路である国道 42 号の早期改修、 JR紀勢本線の輸送力増強 及び利便性・快適性の向上促進については、紀南地域全域が経済的浮上の鍵を握るものと して、関係市町村が一致協力して早期実現、早期完成を関係機関に積極的に働きかける必 要があります。 それに合わせ住民の日常生活圏の広域化が進む中、もはや単独市町村では対処できなく なったゴミ処理施設を含む環境問題、高齢化に伴う医療・福祉問題とともに、地方分権に よる複雑かつ多岐にわたる新たな行政需要への対応には、従来の行政枠を越えた総合的な 振興整備策が必要です。 日置川町の合併後は、し尿処理と不燃物処理については新白浜町と一部事務組合で共同 処理し、常備消防については新白浜町に業務委託するように協議を進めます。介護認定審 査については、当分の間は本町単独で処理します。 生活環境水準の向上を図り、行政サービスの向上や、一層の組織力の強化・充実を図る ため周辺市町村と互いに協力しあい、均衡のとれた住みよい地域社会の建設に努めます。 76