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科学技術分野の高度専門人材の流動化

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科学技術分野の高度専門人材の流動化
NISTEP ブックレット-2
NISTEP ブックレット-2
イノベーション人材育成をめぐる現状と課題
-科学技術分野の高度専門人材の流動化・グローバル化・多様化の観点から-
文部科学省
科学技術・学術政策研究所
2013 年 7 月
NISTEP ブックレット-2
NISTEP ブックレット-2
イノベーション人材育成をめぐる現状と課題
-科学技術分野の高度専門人材の流動化・グローバル化・多様化の観点からー
目次
頁
Ⅰ.若手研究者の育成と活用
1.博士課程修了者の進路動向
1
2.ポストドクター等若手人材の活用状況
5
Ⅱ.グローバル人材の育成と多様な人材の確保
1.大学及び研究機関の人材の国際流動性
13
2.グローバル人材の集まる環境構築の現状
15
3.女性研究者の活用
18
Ⅲ.高度専門人材のキャリアパスの多様化
1.ポストドクターの雇用・進路動向
20
2.博士課程修了者の就職意識
22
3.企業が期待する人材
24
NISTEP ブックレット-2
博士課程修了者をはじめとする高度専門人材は、科学技術イノベーションの基盤であ
り、付加価値の高い知識創出に欠かせないばかりか、グローバルな経済競争の最前線と
切り離すことのできない重要な要素である。このため、これまでに高度人材の育成に関
し種々の取組みがなれされるとともに、活性化の手法として人材の流動化、多様化のた
めの方策がとられてきたところである。本資料では、科学技術分野の高度専門人材に関
する調査等を俯瞰的にとりまとめ、若手研究者を中心とした科学技術分野の高度専門人
材の育成と活用、グローバル人材の育成と多様化の現状と課題を簡潔にとりまとめる。
NISTEP ブックレット-2
Ⅰ.若手研究者の育成と活用
1.博士課程修了者の進路動向
(1)博士号取得者の数は、科学技術人材の質を測る上での重要な指標の一つと考えられる
が、博士号取得者数は 2006 年度をピークに減少し始めている(
【図表 1】
)
。
%
35
工 学
20
25
千件
理 学
20
博
士
号 15
取
得 10
者
数 5
10
構 成 比
30
30
人文社会その他
0
(10)
保 健
農 学
(20)
工 学
0
1981 83
85
87
89
91
93
95
97
99
01
03
05
理 学
(30)
07 2008年度
注:1)「保健」とは、医学、歯学、薬学及び保健学である。
2)「その他」には、教育、芸術、家政を含む。
資料:1986 年度までは広島大学教育研究センター、「高等教育統計データ(1989)」、1987 年度以降は文部科学省調べ。
【図表 1】 博士号取得者数の推移
出典:科学技術政策研究所「科学技術指標 2012」, 調査資料-214, 2012
人口100 万人当たりの博士号取得者数(2008 年度)を各国と比較すると、日本は 100
万人当たり 131 人であり、他国に比して少ない(【図表 2】
)
。
人
人
口
百
万
人
当
た
り
の
博
士
号
取
得
者
数
350
その他
300
教育・教員養成
250
医・歯・薬 ・保健
200
農学
150
工学
100
理学
50
理学+工学+農学
法経等
0
00 08 00 08 07 09 00 09 00 08 03 09
日本
米国
ドイツ フランスイギリス 韓国
人文・芸術
注:
<日本>当該年度の 4 月から翌年 3 月までの博士
号取得者数を計上。
<米国>当該年 9 月から始まる年度における博
士号取得者数を計上。
<ドイツ>当該年の冬学期及び翌年の夏学期に
おける博士試験合格者数を計上。
<フランス>当該年(暦年)における博士号(通
算 8 年)の取得者数。理学、工学、農
学は足したものを同時計上。
<イギリス>当該年(暦年)における大学及び高
等教育カレッジの上級学位取得者数を
計上。
<韓国>当該年度の 3 月から翌年 2 月までの博士
号取得者数を計上。理学、工学、農学
は足したものを同時計上。
資料:文部科学省、
「教育指標の国際比較」、各国
の人口は参考統計Aに同じ
参照:表 3-4-1
【図表 2】 人口 100 万人当たりの博士号取得者数
出典:科学技術政策研究所「科学技術指標 2012」, 調査資料-214, 2012
1
NISTEP ブックレット-2
(2)博士課程修了者(2002~2006 年度の合計)の約半数が大学教員(専任、その他)、ポ
ストドクター等(※1)及びその他研究開発関連職に就いており、次いで医師等(※2)
が 13%、医師等以外の専門知識を要する職が 4%を占めるが、不明の者(海外転出者を
含む)も 2 割強を占める(
【図表 3】
)
。
ポストドクター等,
11,033
(15%)
不明, 17,332
(23%)
大学教員(専
任), 8,311 (11%)
その他, 7,266
(10%)
大学教員
(その他), 5,973
(8%)
医師、歯科医、 その他研究開発
獣医師、薬剤師, 関連職, 12,254
(16%)
10,140
(13%)
専門知識を要す
る職, 2,888
(4%)
【図表 3】博士課程修了直後の職業内訳(2002-2006 年度修了者全体)
出典:科学技術政策研究所「我が国の博士課程修了者の進路動向調査
0%
20%
60%
40%
全体
15%
11%
8%
16%
(n=75197)
大学等
29%
28%
(n=28699)
その他教育機関
13%
7%
13%
11%
(n=2111)
公的研究機関
40%
(n=4358)
民間企業
65%
(n=10608)
その他・無所属
3%
12%
66%
(n=7559)
ポストドクター等
その他研究開発関連職
その他
報告書」, NISTEP REPORT No. 126, 2009
80%
13%
4%
100%
10%
19%
23%
7%
14%
37%
14%
48%
6%
5%
13%
11%
6%
大学教員(専任)
医師、歯科医、獣医師、薬剤師
職業不明
3%
5%
11%
大学教員(その他)
専門知識を要する職
【図表 4】 博士課程修了直後の職業と所属(2002-2006 年度修了者全体)
出典:科学技術政策研究所「我が国の博士課程修了者の進路動向調査
2
報告書」, NISTEP REPORT No. 126, 2009
NISTEP ブックレット-2
(3)博士課程進学時には、就職先として大学等(※3)の教育機関を希望している者が最も
多く、次いで民間企業、公的研究機関(※4)の希望が同数程度見られる(【図表 5】)
。
500
0
1,000
(人)
1,500
1,292
教育機関(大学、大学共同利用機関、高専・短大)
831
民間企業(外国法人、日本企業の外国法人を除く)
756
公的研究機関
公益法人(社団、財団、医療、NPO法人等)
161
官公庁
157
123
その他
教育機関(幼稚園、養護学校、小・中・高等学校)
70
教育機関(その他)
68
【図表 5】 博士課程進学時に修了後の進路として意識していた就職先(国内)
出典:科学技術政策研究所「我が国の博士課程修了者の大学院における修学と経済状況に関する調査研究」,
調査資料-206, 2012
博士課程に進む以前の進路選択の検討にあたっては、修士課程の学生が、博士課程進
学ではなく就職を選んだ理由として、「経済的に独立したい」「修了後の就職が心配」な
ど、経済的負担及び修了後の経済的自立の見通しの低さを挙げている(【図表 6】
)
。
また、博士進学を検討する際、進学を考えるための最も重要な条件として、経済的支
援の拡充を最も多く選択しており、次いで民間企業による博士課程修了者の雇用増加を
選択している(
【図表 7】
)。
経済的に自立したい
社会に出て仕事がしたい
博士課程に進学すると修了後の就職が心配である
博士課程に進学すると生活の経済的見通しが立たない
そう思う
博士課程進学のコストに対して生涯賃金などのパフォーマンスが悪い
どちらともいえない
大学教員などの仕事に魅力を感じない
そう思わない
博士論文に値する研究テーマを見つけられない
社会人入学制度を利用すればいつでも博士課程に進学できる
現在の成績では博士課程への編入学・進学は厳しい
大学よりも企業の研究環境がよい
0%
20%
40%
60%
80%
100%
【図表 6】 博士課程進学ではなく就職を選んだ理由
出典:科学技術政策研究所「日本の理工系修士学生の進路決定に関する意識調査」, 調査資料-165, 2009
3
NISTEP ブックレット-2
博士課程在籍者に対する経済的支援が拡充する
民間企業などにおける博士課程修了者の雇用が増加
する
賃金や昇進が優遇されるなど、博士課程修了者の民
間企業などにおける雇用条件が改善する
博士課程修了者がアカデミックポストへ就職する可能
性が広がる
任期制が見直されるなど、若手を対象としたアカデミッ
クポストの雇用条件が改善する
研究や実験設備などの研究環境が充実する
産業界で幅広く活躍できるようなスキルが身に付く
博士課程に優秀な学生が集まる
国際学会への参加や留学など国際的な経験を積む機
会が多い
インターンシップや共同研究を通じて企業等とのつな
がりを持つ
1番重要
自分の研究に直接関連しない学内業務が少ない
2番重要
当てはまるものはない
3番重要
進学や編入学が容易になる
0
500
1000
1500
【図表 7】 博士課程進学の検討に重要な項目
出典:科学技術政策研究所「日本の理工系修士学生の進路決定に関する意識調査」, 調査資料-165, 2009
博士号取得者の数は減少しはじめており、人口あたりの割合も主要国に比して低い。
博士課程修了者のキャリアパスの把握は、博士課程修了時点においても 2 割強が不明で
ある。優秀な人材の博士号取得への進路選択を促すためには、博士課程修了後のキャリ
アパスを明示することが必要である。
博士課程進学にあたっては、在籍中の経済的状況に加え、修了後のキャリアパスの不
透明さ、進路の不安定さが積極的な選択を妨げている。また、雇用環境の改善といった
外的環境の変化に対する期待が先行している。
※1ポストドクター等:博士の学位を取得後、任期付で任用される者であり、①大学等の研究機関で研究業務に従事して
いる者であって、教授・准教授・助教・助手等の職にない者や、②独立行政法人等の研究機関において研究業務に従
事している者のうち、所属する研究グループのリーダー・主任研究員等でない者とします。
(博士課程に標準修業年限
以上在学し、所定の単位を修得の上退学した者(いわゆる「満期退学者」
)を含みます。)
※2 医師等:医師、歯科医師、獣医師、薬剤師
※3 大学等:国・公・私と高専・短大、大学利用機関を含む
※4 公的研究機関:独立行政法人、特殊法人、国立試験研究機関、公設試験研究機関
4
NISTEP ブックレット-2
2.ポストドクター等若手人材の活用状況
(1)ポストドクター等の雇用状況
進路選択において、ポストドクター等となる者の割合は、理学、工学分野が最も多く、
それぞれ約 3 割を占める。次いで人文・社会科学(14%)及び保健分野(14%)
、農学
(11%)となっている(
【図表 8】
)
。
理学の中では、生物(32%)の割合が最も高く、次いで物理(20%)が占める。工学
ではその他(30%)を除けば、電気・通信(21%)、材料(13%)の順である。保健に
おいては、医学が 75%を占める(調査資料-202 の記述より)
。
分野不明
54人
0.4%
その他の分野
264人
1.7%
理学
4,754人
31.2%
人文・社会科
学
2,133人
14.0%
保健
2,107人
13.8%
農学
1,641人
10.8%
工学
4,267人
28.0%
【全体:15,220人】
【図表 8】 ポストドクター等の分野内訳
出典:科学技術政策研究所「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査 -大学・公的研究機関への全数調査
(2009 年度実績)-」, 調査資料-202, 2011
ポストドクター等の所属機関の 7 割を大学が占め、次いで公的研究機関(
【図表 9-1】
では「研究開発法人」
)
(27%)となっている(
【図表 9-1】
)
。特に、国立大学法人に所属
するポストドクター等が、全ポストドクター等の半数(51%)を占めている。また、雇
用財源の約半分(46%)は競争的資金等の外部資金であり、約 3 割(34%)が自主財源
で雇用されている(【図表 9-2】
)。
公設試験研究
機関
126人
0.8%
国立試験研究
機関
249人
1.6%
研究開発法人
[独法]
4,079人
26.8%
大学共同利用
機関
623人
4.1%
私立大学
2,118人
13.9%
雇用関係なし
1,352人
8.9%
主な雇用財源
判別不可
227人
1.5%
グローバルCOEプログ
ラム
794人
科学研究費補助金
5.2%
1,372人
戦略的創造研究
9.0%
推進事業
511人
3.4%
国立大学法人
7,701人
50.6% 運営費交付金・私学助成
その他の競争的資金
1,772人
11.6%
その他の自主財源
5,203人
34.2%
公立大学
324人
2.1% 【全体:15,220人】
大学
10,766人
70.7%
【図表 9-1】 ポストドクター等の所属機関種内訳
フェローシップ
1,448人
9.5%
競争的資金以外の外部資
金
2,237人
14.7%
【全体:15,220人】
科学技術
振興調整費
304人
2.0%
競争的資金・
その他の外部
資金
6,990人
45.9%
【図表 9-2】 ポストドクター等の主な雇用財源内訳
出典:科学技術政策研究所「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査 -大学・公的研究機関への全数調査
(2009 年度実績)-」, 調査資料-202, 2011
5
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(2)ポストドクター等の研究活動・生活実態
ポストドクター等の研究活動及び生活実態に関する分析から、以下のようなポストド
クター像が浮かび上がる(調査資料-159 の記述より)。
―
任期は 3 年弱(平均 2.7 年)
―
平均月給は、約 30 万円(税引き前)
さらに、
― 「自分の主たる研究」(約 7 割)の他、「自分の研究以外の研究・教育業務」(1.7
割)及び「その他の業務(雑務)」(1.3 割)をこなし
―
「論文の執筆」に関しては約半数がある程度以上の自立性を与えられつつも、共
同研究の選択などの決定に関われる者は少ない(【図表 10】)
ことがうかがわれる。
論文の執筆
22.2%
著者の決定
15.9%
グラントの申請書作成
17.7%
新規研究プロジェクトの計画
問題のあるプロジェクトの中止
10.1%
7.5%
0%
自分が全部
20.5%
10.7%
31.6%
20%
自分がある程度
半分
21.4%
16.8%
19.3%
17.0%
40%
15.6%
12.2%
32.0%
25.2%
8.9% 7.3%
16.3%
26.4%
19.0%
15.0%
30.8%
31.7%
22.3%
12.1%
共同研究者の選択
30.7%
60%
指導教官がある程度
20.1%
30.3%
33.1%
80%
100%
指導教官が全て
【図表 10】 ポストドクター等の研究活動における決定権
出典:科学技術政策研究所「ポストドクター等の研究活動及び生活実態に関する分析」, 調査資料-159, 2011
6
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(3)ポストドクター等の若手人材の活用
教員の任期付雇用の適用率は増加を続けており、特に若手人材では、2006 年度時点
において、大学全体の助教の 27%が任期付での雇用である(
【図表 11-1】
)
。
また、国立大学における任期付雇用者の数は、2006 年度時点で 2001 年度の 5.3 倍で
ある(【図表 11-2】)。
研究者に対するアンケート調査(2008 年度)では、34 歳以下の若手研究者の約半数
(大学: 54%、独立行政法人・国立試験研究機関:45%)が任期付きの雇用となって
いる(【図表 12-1】、【図表 12-2】
)
。
0%
5%
10%
15%
20%
20.0%
14.6%
14.2%
16.4%
7.3%
公立大学
26.4%
22.5%
講師
16%
2,000
1,000
助手
14%
14.6%
12%
11.4%
10%
9.0%
8%
3546
3,000
26.7%
13.9%
5485
4,000
27.7%
13.8%
助教授
18%
6956
5,000
16.7%
8816
8453
教員比率
6,000
16.7%
8.5%
9.0%
教授
任期付教員数
8,000
13.1%
全体
20%
10,000
7,000
15.8%
8.0%
6.6%
私立大学
30%
9,000
8.4%
10.1%
国立大学
25%
6%
5.8%
1666
4%
2.7%
2%
0%
0
職階計
2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度
注:文部科学省調べ
注:文部科学省調べ
【図表 11-1】 大学における教員の任期付適用率
【図表 11-2】 国立大学における任期付教員の推移
出典:科学技術政策研究所「科学技術人材に関する調査 ~研究者の流動性と研究組織における人材多様性に
関する調査分析~」, NISTEP REPORT No. 123, 2009
0%
全年齢 ( N=7,012 )
20%
26.3%
~34歳 ( N=1,224 )
35~44歳 ( N=2,439 )
45~54歳 ( N=2,089 )
55~64歳 ( N=1,165 )
40%
60%
80%
100%
全年齢 ( N=1,084 )
73.7%
53.6%
25.5%
18.3%
14.0%
46.4%
74.5%
81.7%
86.0%
任期あり
0%
20%
80%
100%
78.3%
44.8%
55.2%
21.2%
45~54歳 ( N=291 ) 6.5%
78.8%
93.5%
55~64歳 ( N=64 ) 1.6%
任期なし
60%
21.7%
~34歳 ( N=250 )
35~44歳 ( N=477 )
40%
98.4%
任期あり
任期なし
注:年齢層は研究者の当時の年齢をあらわす。
【図表 12-1】 年齢層別任期適用割合(大学)
【図表 12-2】 年齢層別任期適用割合
(独立行政法人・国立試験研究機関)
出典:科学技術政策研究所 「科学技術人材に関する調査 ~研究者の流動性と研究組織における人材多様性に
関する調査分析~」, NISTEP REPORT No. 123, 2009
7
NISTEP ブックレット-2
(4)論文生産活動における若手人材の役割
ポストドクターの経験を有する研究者の比率は若い世代ほど高く、ポストドクターの
経験は、研究者の経歴として一般的になってきていると推察される(
【図表 13-1】
)
。
ポストドクター経験のある研究者の英語論文数は多く、特に 45 歳以上の年齢層にお
いて、論文数の違いが大きく現れている(
【図表 13-2】
)
。
0%
全体
( N=9,369 )
34歳以下
( N=1,746 )
35~44歳
( N=3,306 )
45~54歳
( N=2,699 )
55~64歳
( N=1,325 )
65歳以上
( N=102 )
20%
40%
60%
80%
100%
英語論文
6%
60%
26%
24%
43%
25%
5%
5%
8%
57%
32%
6%
71%
23%
5%
75%
18%
7%
81%
9%
ある(現在)
ある(過去)
15
最
近
3
年 10
間
の
論
5
文
数
9%
ない
13.2
日本語論文
5.7
3.8
1.8
2.5
1.2
4.1
3.0
7.9
7.8
3.2
13.1
8.8
9.0
6.9
6.1
4.1
3.1
1.8
1.4
0
無回答
25~34歳 35~44歳 45~54歳 55~64歳 全年齢 25~34歳 35~44歳 45~54歳 55~64歳 全年齢
( N0=738, ( N0=1794, ( N0=6795, ( N0=3809, ( N0=5369, ( N0=747, ( N0=1808, ( N0=1813, ( N0=935, ( N0=5395,
N1=766 ) N1=1153 ) N1=1824 ) N1=721 ) N1=2762 ) N1=784 ) N1=1170 ) N1=620 ) N1=226 ) N1=2812 )
ポストドクター経験なし
【図表 13-1】 ポストドクター経験の状況
ポストドクター経験あり
【図表 13-2】 ポストドクター経験の有無と論文発表数
出典:科学技術政策研究所「科学技術人材に関する調査 ~研究者の流動性と研究組織における人材多様性に
関する調査分析~」, NISTEP REPORT No. 123, 2009
論文筆頭著者の日米比較をみると、日本より米国の方が、学生やポストドクターが論
文筆頭著者として貢献している割合が高い(物理科学系分野)ことがうかがえる。
生命科学系では日米いずれにおいても論文生産における若手研究者の寄与が大きく、
ポストドクターが高被引用度論文(トップ 1%論文)において筆頭著者として寄与する
比率が高い(【図表 14】
、
【図表 15】
)
。
日本(大学,物理科学系分野)
トップ1%論文(158)
15.2%
14.6% 18.4%
3.2%
22.2%
25.3%
1.3%
米国(大学,物理科学系分野)
トップ1%論文(129)
2.3%
35.7%
18.6%
8.5% 22.5%
8.5%
3.9%
修士または学部学生
博士課程学生
ポストドクター
助教レベル
通常論文(448)
15.2%
16.5%
8.7%
7.1%
21.4%
29.0%
2.0%
通常論文(298)
5.0%
32.9%
15.4%
13.8% 19.5%
4.4%
9.1%
准教授レベル
教授レベル
その他
0%
20%
40%
60%
80%
100%
0%
日本(大学,生命科学系分野)
トップ1%論文(66)
18.2%
1.5%
通常論文(270)
6.7%
0%
31.8%
27.4%
11.1%
20%
40%
18.2%
21.5%
60%
40%
60%
80%
100%
米国(大学,生命科学系分野)
16.7% 10.6%
3.0%
トップ1%論文(59)
18.9% 12.6%
1.9%
通常論文(177)
80%
20%
11.9%
1.7%
5.6%
0%
100%
27.7%
20%
11.9% 10.2%
8.5%
5.1%
50.8%
27.1%
40%
9.6% 13.6%
11.9%
4.5%
60%
80%
100%
【図表 14】 論文生産性における筆頭著者の職位別内訳
出典:科学技術政策研究所、一橋大学イノベーション研究センター、ジョージア工科大学
「科学における知識生産プロセス:日米の科学者に対する大規模調査からの主要な発見事実」, 調査資料-203, 2011
8
8
NISTEP ブックレット-2
若手研究者の割合
回答数
日本
通常論文
米国
日本
トップ1%論文
米国
ポスト
ドクター
学生
自然科学系
849
35%
25%
10%
物理科学系
448
31%
22%
9%
生命科学系
270
45%
34%
11%
自然科学系
606
49%
31%
19%
物理科学系
298
53%
38%
15%
生命科学系
177
60%
33%
27%
自然科学系
274
39%
19%
20%
物理科学系
158
33%
18%
15%
生命科学系
66
52%
20%
32%
自然科学系
261
51%
23%
28%
物理科学系
129
57%
38%
19%
生命科学系
59
64%
14%
51%
【図表 15】 対象論文の筆頭者における若手研究者(学生、ポストドクター)の割合
出典:科学技術政策研究所、一橋大学イノベーション研究センター、ジョージア工科大学
「科学における知識生産プロセス:日米の科学者に対する大規模調査からの主要な発見事実」, 調査資料-203, 2011
科学における知識生産の過程において、ポストドクターをはじめとする若手研究者の
役割は大きいが、日米を比較してみると、日本では米国に比してポストドクターなど若
手が研究を主導する機会はまだ少ない。
9
NISTEP ブックレット-2
(5)若手教員の登用の実態
大学における本務教員に占める若手教員(40 歳未満)の割合は、減少を続けている(
【図
表 16-1】
、
【図表 16-2】)
。さらに、本務教員であっても任期付の雇用である者も増加し
ている。これらに加え、相当数のポストドクターが雇用されている状況であるが、大学
におけるポストドクターの数の把握状況はまちまちで、統計上の実態は不明の部分が大
きい。
(人)
200,000
167,971
159,724
150,000
35%
151,593
146,153
本
務
教
員
数
40%
本務教員数
本務教員に占める40歳以下教員数
本務教員に占める40歳以下教員の割合
31.6%
29.5%
100,000
30%
27.5%
27.2%
50,000
25%
46,154
44,722
45,691
44,002
0
20%
1998年度
2001年度
2004年度
2007年度
本
務
教
員
に
占
め
る
4
0
歳
以
下
教
員
の
割
合
注:文部科学省「学校教員統計調査報告書」各年度より作成
【図表 16-1】 大学における若手教員(40 歳未満)の状況(国公私全体)
出典:科学技術政策研究所「科学技術人材に関する調査 ~研究者の流動性と研究組織における人材多様性に関する
調査分析~」,NISTEP REPORT No. 123, 2009
教授
(人)
25,000
21998
20,000
20211
22365
80%
講師
(人)
80%
16390
17011
17583 17728
25,000
80%
20,000
25,000
40%
10,000
10,000
20%
5,000
0.4% 0.5% 0.4% 0.4%
1998 2001 2004 2007
年度 年度 年度 年度
0%
40%
29%
20%
1998 2001 2004 2007
年度 年度 年度 年度
47%
44%
5,000
0%
0
75%
73%
17872 17528
80%
70%
67%
16700 16437
37%
40%
40%
10,000
5294 5196 4981 4839
1998 2001 2004 2007
年度 年度 年度 年度
20%
0%
20%
5,000
0
1998 2001 2004 2007
年度 年度 年度 年度
本務教員数
教員数
40歳以下の占める割合
注:文部科学省「学校教員統計調査報告書」各年度より作成
【図表 16-2】 職階別教員に占める若手教員(40 歳未満)の割合(国立大学法人)
出典:科学技術政策研究所「科学技術人材に関する調査 ~研究者の流動性と研究組織における人材多様性に関する
調査分析~」, NISTEP REPORT No. 123, 2009
10
60%
15,000
40%
10,000
27% 26%
5,000
0
60%
15,000
32%
20,000
60%
15,000
15,000
100%
100% 30,000
20980
20,000
助教
(人)
100% 30,000
25,000
60%
0
准教授
(人)
100% 30,000
30,000
0%
NISTEP ブックレット-2
2009 年 11 月に在籍したポストドクター等の採用前の所属機関は、約 6 割が国内大学
であり、約 1 割の国外からの採用及び若干(3.7%)の民間企業からの採用を除けばほと
んどが国内の大学・研究機関からの採用である(【図表 17-1】)。
また、約半年後(2010 年 4 月 1 日時点)の移動状況をみると、ポストドクター等の継
続が 7 割強を占め、1 割強がポストドクター等から職種を変更し、大学教員や研究開発
等の職を得ている(【図表 17-2】)。
その他の機関
401人
2.6%
無所属
392人
2.6%
前所属不明
1,145人
7.5%
国内の国立大学
6,716人
44.1%
民間企業
558人
3.7%
公的研究機関
2,072人
13.6%
国内大学
9,159人
60.2%
国外の教育機関
1,416人
9.3%
大学以外の
国内の公立大学
国内教育機関 大学共同利用機
349人
77人
国内の私立大学
関
2.3%
0.5%
1,905人
189人
【全体:15,220人】 12.5%
1.2%
【図表 17-1】 ポストドクター等の採用前の所属機関の内訳
出典:科学技術政策研究所「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査 -大学・公的研究機関への全数調査
(2009 年度実績)-」, 調査資料-202, 2011
転職
その他(学生、専業主 転出後の職業不明
夫・婦など)
または転出の状況不明
非研究開発職
198人
1,781人
151人
1.3%
11.7%
1.0%
ポストドクター等・大学
教員以外の研究開発職
629人
4.1%
大学教員
1,239人
8.1%
ポストドクター等を継続
11,222人
73.7%
ポストドクター等から職
種変更2,217人
14.6%
他の機関・他の研究室・
雇用財源でポストドク
ター等
2,122人
13.9%
【全体:15,220人】
同一機関で同一の状態
でポストドクター等を継
続
9,100人
59.8%
【図表 17-2】 ポストドクター等の継続・職種変更の状況内訳
出典:科学技術政策研究所「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査 -大学・公的研究機関への全数調査
(2009 年度実績)-」, 調査資料-202, 2011
11
NISTEP ブックレット-2
大学・研究機関等のテニュアポスト(※5)を含む研究職員の採用時の平均競争倍率
は高く、約 3 割の大学でグループリーダー・准教授クラス以上のポストの競争倍率が 10
倍以上である。(【図表 18】)。
組織割合
組織割合
0%
大学 (N=435)
国立大学(大規模)
(N=97)
国立大学(大規模以外)
(N=106)
公立大学 (N=38)
私立大学 (N=194)
独法・国研 (N=75)
1倍程度
5~10倍程度
採用実績無し
20%
7%
11%
6%
40%
18%
17%
17%
45%
20%
18%
10%
80%
28%
15%
7%
60%
13%
16%
9%
16%
13%
15%
11%
2倍以上~3倍未満程度
10~20倍程度
8% 5%
国立大学(大規模)
(N=94)
国立大学(大規模以外)
(N=105)
21%
5% 5%
公立大学 (N=33)
15%
14%
49%
9%
大学 (N=423)
9%
7% 4%
24%
21%
19%
11%
19%
37%
0%
100%
私立大学 (N=191)
独法・国研 (N=72)
1倍程度
5~10倍程度
採用実績無し
3~5倍程度
20倍以上
20%
14%
15%
11%
12%
9%
15%
8%
11%
7% 6%
2倍以上~3倍未満程度
10~20倍程度
13%
10%
15%
12%
7%
9%
19%
24%
12%
100%
19%
28%
17%
15%
15%
30%
15%
20%
80%
20%
18%
18%
15%
60%
17%
13%
7%
40%
5%
9%
9%
18%
9%
49%
3~5倍程度
20倍以上
グループリーダー・准教授クラス
部長・室長・教授クラス
【図表 18】 職階別採用時の競争倍率(セクター別)
出典:科学技術政策研究所「科学技術人材に関する調査 ~研究者の流動性と研究組織における人材多様性に
関する調査分析~」, NISTEP REPORT No. 123, 2009
テニュアポストの数に対して求職者の数は多く、若手の登用のための環境は厳しい競
争に晒されている。ポストドクターが一つの場所での任期を終了しても安定的な職を得
られる者は限られている。
専攻分野による状況は異なるものの、大学・公的研究機関における任期付雇用の増加
により若手研究者は不安定な立場で成果を出し続けなければならない。
※5 テニュアポスト:機関において、任期の定めがない職、又は、任期の定めがあっても再任回数の限度がない常勤の職。
12
NISTEP ブックレット-2
Ⅱ.グローバル人材の育成と多様な人材の確保
1.大学及び研究機関の人材の国際流動性
(1)博士課程修了者の進路動向とポストドクター等の国際流動性
日本人博士課程修了者の 73%は修了直後に国内に留まっており、海外へ移動したもの
は 2%程度に過ぎない。海外の行き先は米国、ドイツ、イギリスなど欧米が中心である
(【図表 19】)。
2002 年から 2006 年までの就職者動向を比較しても、就職者数の増加によらず国外に
出る者の割合は低位で推移している(【図表 20-1】
)
。
さらに国外就職者の職業に注目すると、ポストドクター等が 65%、公的研究機関や民
間企業の研究開発職(【図表 20-2】においては「その他研究開発関連職」)が 17%であ
り、職業選択の指向性が明らかである(【図表 20-2】
)
。
アメリカ合衆国,
737 (1.2%)
国内, 44,149
(73%)
国外, 1137 (2%)
ドイツ, 83 (0.1%)
不明・非該当,
15,170
(25%)
イギリス, 47 (0.1%)
カナダ, 44 (0.1%)
フランス, 40 (0.1%)
中国, 39 (0.1%)
韓国, 27 (0.0%)
タイ, 7 (0.0%)
ロシア, 4 (0.0%)
その他, 109 (0.2%)
【図表 19】 日本人博士課程修了者の修了直後の所在地(2002-2006 年度修了者全体)
出典:科学技術政策研究所「我が国の博士課程修了者の進路動向調査
100%
12000
10103
10000
8000
7699
8256
8849
9242
80%
未就職
不明
40%
20%
2000
0
3.0%
2.7% 1.4%
3.0%
17.0%
5.3%
3.0%
22.4%
国外
4000
21.0%
60%
国内
6000
4.1%
5.3%
5.4%
報告書」, NISTEP REPORT No. 126, 2009
9.3%
255
249
227
245
9.7%
4.2%
不明
16.2%
専門知識を要する職
17.1%
64.6%
15.0%
17.5%
240
19.5%
7.2%
11.3%
14.8%
その他
医、歯、獣、薬剤師
その他研究開発関連職
大学教員(その他)
大学教員(専任)
ポストドクター等
0%
国内就職者国外就職者
(44179名) (1216名)
2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度
日本人全体
(60535名)
注:日本人全体には、未就職者、就職先所在が不明の者が含まれる。
【図表 20-1】 日本人博士課程修了者の国内・国外
就職者数の推移(2002-2006 年度修了者全体)
【図表 20-2】 国内・国外別日本人博士課程修了者の修了
直後における職業内訳(2002-2006 年度修了者全体)
出典:科学技術政策研究所「我が国における博士課程修了者の国際流動性」, 調査資料-180, 2010
13
NISTEP ブックレット-2
米国においてポストドクター等になった者のその後については、不明が多いものの、
博士課程修了後 5 年を経過した者は、帰国者と現地に留まる者の比が 2 対 1 にまでなっ
ており、多くの者が日本に帰国している(【図表 21】
)
。
100%
80%
32.1%
28.1%
31.7%
2.1%
1.0%
60%
39.6%
40%
30.8%
27.5%
0.8%
2.0%
23.6%
19.6%
不明
61.5%
20%
0%
28.3%
その他
30.2%
47.2%
36.5%
51.0%
現地(米国)
帰国(日本)
6.4%
1年経過 2年経過 3年経過 4年経過 5年経過
2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度
修了者
修了者
修了者
修了者
修了者
(109名)
(96名)
(104名)
(127名)
(102名)
【図表 21】 米国でポストドクター等になった者のその後の帰国状況の推移
出典:科学技術政策研究所「我が国における博士課程修了者の国際流動性」, 調査資料-180, 2010
(2)日本への留学生の流動性
途上国からの留学生は、工学及び農学の専攻割合が高く、中国は保健、韓国は人文・
社会系の専攻割合が高い(
【図表 22-1】
)
。また、中国、韓国からの留学生は他国の留学
生に比して、博士課程修了後に日本に留まる割合が高いが、他のアジアからの留学生は、
帰国者が日本に留まる者を大きく上回っている(
【図表 22-2】
)
。
中国(4930名)
中国(4930名)
韓国(2223名)
韓国(2223名)
タイ(626名)
タイ(626名)
インドネシア(604名)
インドネシア(604名)
ベトナム(259名)
ベトナム(259名)
バングラデシュ(653名)
バングラデシュ(653名)
留学生全体(12633名)
留学生全体(12633名)
0%
理学
工学
農学
20%
保健
40%
人文
60%
社会
80%
その他
0%
100%
帰国
不明
【図表 22-1】 留学生修了者の国別研究分野内訳
日本
20% 40% 60% 80% 100%
第3国
未就職
不明
【図表 22-2】 留学生修了者の国別帰国状況
出典:科学技術政策研究所「我が国における博士課程修了者の国際流動性」, 調査資料-180, 2010, 図 2-7, 図 2-12 より抜粋
若年層に限って見ても、日本の高度人材の国際的流動性は低く、大半は数年後には日
本に戻ってきており、中長期的な“還流”にはほど遠い状況である。
アジアからの留学生に関しても、十分な活躍の場が提供できているとは言い難い。
14
NISTEP ブックレット-2
2.グローバル人材の集まる環境構築の現状
(1)組織・研究チームの国際性
日米の研究チームにおける論文筆頭著者の生誕国に注目すると、米国の方が大幅に多
様性に富み、6 割以上の若手研究者は米国以外が生誕国である。
日本では若手研究者の 3 割、
シニア研究者の 1 割が日本以外の生誕である。
(【図表 23】)
大学等
日本
他の
アジア
中国
欧州
その他・
不明
米国
若手研究者(297)
71.4%
10.1%
7.7%
3.4%
1.3%
6.1%
シニア研究者(552)
89.5%
2.7%
2.4%
2.7%
1.1%
1.6%
若手研究者(299)
2.7%
14.7%
13.7%
20.4%
37.8%
10.7%
シニア研究者(307)
3.3%
6.5%
13.4%
13.7%
53.7%
9.4%
日本
米国
注 1: 通常論文の高等教育部門、自然科学系の分析結果。著者の配列が「調査対象論文への貢献の順番」とされた回答を対象とした。
注 2: ここでは、学生(学部、修士、博士)やポストドクターを若手研究者、講師・助教、准教授、教授、その他をシニア研究者とした。
注 3: 日米の分野構成の差異は調整していない。
【図表 23】 対象論文の筆頭著者の国籍(通常論文、高等教育部門、自然科学系)
出典:科学技術政策研究所、一橋大学イノベーション研究センター、ジョージア工科大学
「科学における知識生産プロセス:日米の科学者に対する大規模調査からの主要な発見事実」, 調査資料-203, 2011
(2)研究チームの国際化と論文生産
論文著者の生誕国を職階別にみると、米国ではポストドクターの 7 割、博士課程学生
の 5 割が外国生誕となっている。他の職階においても 3~4 割が外国生誕の研究者である。
日本でも、ポストドクター、博士課程学生の外国生誕の者の割合は、他の職階と比べ
ると高くなっている。(
【図表 24】
)
日本(著者のべ 4,351 名)
米国(著者のべ 3,900 名)
教授クラス(1459)
98%
0%
2%
教授クラス(1194) 1%
71%
3%7% 9% 9%
准教授クラス(707)
97%
0%
1%
0%
1%
准教授クラス(428) 0%
70%
5%8%10%7%
講師・助教クラス(753)
97%
0%
1%
1%
0%
1%
講師・助教クラス(419) 1%
0%
12%5%
3%
4%
ポストドクター(579) 5%
76%
ポストドクター(225)
87%
大学院生(PhD)(473)
0%
5%6%
0%
2%
大学院生(PhD)(598) 1%
修士・学部(498)
97%
0%
1%
1%
0%
1%
修士・学部(176) 0%
その他(236)
95%
0%
1%
1%
1%
2%
その他(506) 1%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
日本
米国
中国
アジア(日中以外)
ヨーロッパ
59%
30%
9%11%12% 9%
19% 13%
49%
24%
9%
18% 15% 6%12%
78%
61%
3%
6%
3%10%
8%6%7% 18%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
その他
日本
米国
中国
アジア(日中以外)
ヨーロッパ
その他
【図表 24】 国内論文における研究者の生誕国の分布(自然科学、大学)
出典:科学技術政策研究所「研究チームに注目した「科学における知識生産」の分析 ~大規模科学者
サーベイから見えてきた日米の相違点と類似点~」, 科学技術政策研究レビュー 第 5 巻, 2013
15
NISTEP ブックレット-2
日米で研究チームがカバーする専門分野を比較すると、日本は米国に比して研究チー
ムの多様性が低いことがうかがえる。
日米ともに、高被引用度論文(トップ 1%論文)では 2 分野以上の専門分野の協働に
よる論文生産割合が高い(
【図表 25】
)
。
米国(大学,自然科学)
日本(大学,自然科学)
47%
33%
トップ1%論文(398)
26.9%
0.3%
5.3%
0.8%
66.8%
0.0%
24.5% 3.6%
0.2%
通常論文(1135)
28%
71.7%
トップ1%論文(486)
通常論文(990)
3 分野
4 分野
5 分野
22.7%
31%
2 分野
1 分野
日本(大学,医学系)
29.7%
33%
0.0%
3.6%
1.8%
0.0%
3.2%
0.0%
56.4%
67.1%
トップ1%論文(104)
4 分野
5 分野
1 分野
3 分野
4 分野
31.4%
46%
5 分野
1.0%
9.6%
1.9%
49.0%
通常論文(210)
1.0%
11.0%
2.4%
38.5%
54.3%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
2 分野
3 分野
62%
38.2%
通常論文(155)
68.9%
米国(大学,医学系)
44%
トップ1%論文( 55)
0.2%
7.2%
1.0%
53.3%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
2 分野
0.4%
7.4%
1.2%
37.7%
2 分野
1 分野
3 分野
4 分野
5 分野
1 分野
【図表 25】 研究チームがカバーする専門分野(10 分野分類)
出典:科学技術政策研究所「研究チームに注目した「科学における知識生産」の分析 ~大規模科学者
サーベイから見えてきた日米の相違点と類似点~」, 科学技術政策研究レビュー 第 5 巻, 2013
ポストドクター、博士課程学生の外国人比率は他の職階に比べれば高く、キャリアパ
スの工夫によりグローバル化の加速は不可能ではない。
加えて、多様なバックグラウンドを有する人材の流動が新たな知識・技術の融合を促
し、イノベーションを生み出す基盤を形成することも可能となる。
16
NISTEP ブックレット-2
(3)研究者の国際性と論文生産性
日本は、論文の国際共著率の高い英・独・仏(
【図表 26】では英・独を引用)に比し
て、2 国間共著と多国間共著ともに低い割合である(
【図表 26】
)
。
Top10%補正論文における国際共著論文(2 国間、多国間)は、英・独・仏では、6 割
以上であり、被引用数の高い論文の産出において大きな役割を果たしている(【図表 26】、
【図表 27】)。
3 年移動平均値
論文数
3 年移動平均値 Top10%補正論文数
14,000
90,000
80,000
16,882
17,216
70,000
3,297
17,907
27,322
12,102
21,986
27,280
4,549
4,277
10,000
14,649
1,285
6,686
2,402
3,703 18,642
8,000
12,288
6,000
59,947
60,245
56,022
53,196
30,000
47,429
41,630
42,659
40,440
45,961
1,900
2,000
10,000
4,167
1,268
2,638 3,187
752
465
3,137
2,570
4,576 4,577 4,408 4,767
825
279 1,349 1,461 1,681
892
1,749
4,000
42,159
40,590
38,052
1,434
4,224
754
40,000
20,000
2,432
1,430
22,686
3,761
3,233 3,680
4,498
3,561 3,951 3,724 3,743
ドイツ
国内論文
国際共著論文(2国間)
英国
日本
国内論文
国際共著論文(多国間)
ドイツ
国際共著論文(2国間)
2009-2011年
2004-2006年
1999-2001年
1994-1996年
2009-2011年
2004-2006年
1999-2001年
1994-1996年
1994-1996年
2009-2011年
2004-2006年
1999-2001年
1994-1996年
2009-2011年
2004-2006年
1999-2001年
1994-1996年
2009-2011年
2004-2006年
1994-1996年
1999-2001年
英国
2009-2011年
0
0
2004-2006年
50,000
11,027
7,212
5,478
13,612
1999-2001年
60,000
6,542
10,868
12,000
3,946
2,572
10,280
日本
国際共著論文(多国間)
(注 1)Article, Article&Proceedings (article 扱い), Letter, Note, Review を分析対象とし、整数カウントにより分析。3 年移動平均値である。
(注 2)Top10%補正論文数とは、被引用回数が各年各分野で上位 10%に入る論文の抽出後、実数で論文数の 1/10 となるように補正を
加えた論文数を指す。
(注 3)国内論文とは、当該国の研究機関の単独で産出した論文と、当該国の研究機関の複数機関の共著論文を指す。
(注 4)多国間共著論文は、3 ヶ国以上の国の研究機関が共同した論文を指す。
トムソン・ロイター社 Web of Science を基に、科学技術政策研究所が集計
【図表 26】 論文数と Top10%補正論文数の構造の比較
出典:科学技術政策研究所「科学研究のベンチマーキング 2012」, 調査資料-218, 2013
論文数あたりの被引用数
論文対象期間
全体
英国
ドイツ
フランス
米国
日本
中国
1999-2001年
2009-2011年
1999-2001年
2009-2011年
1999-2001年
2009-2011年
1999-2001年
2009-2011年
1999-2001年
2009-2011年
1999-2001年
2009-2011年
27.4
4.1
24.9
3.9
23.6
3.5
33.4
4.1
19.3
2.7
12.8
2.2
国内論文
国際共著論文
2国間共著論文
22.4
3.1
20.1
2.9
18.4
2.5
31.9
3.8
16.8
2.2
10.4
1.9
31.9
3.9
28.8
3.8
26.5
3.3
35.5
4.1
27.1
3.3
18.6
2.8
多国間共著論文
49.9
6.9
42.3
6.5
44.4
6.3
49.2
6.6
42.5
6.0
31.8
5.0
(注 1)Article, Article&Proceedings (article 扱い), Letter, Note, Review を分析対象とし、整数カウントにより分析。3 年移動平均値である。
(注 2)国内論文とは、当該国の研究機関の単独で産出した論文と、当該国の研究機関の複数機関の共著論文を指す。
(注 3)多国間共著論文は、3 ヶ国以上の国の研究機関が共同した論文を指す。
トムソン・ロイター社 Web of Science を基に、科学技術政策研究所が集計
【図表 27】国内論文と国際共著論文における論文あたり被引用数
出典:科学技術政策研究所「科学研究のベンチマーキング 2012」, 調査資料-218, 2013
我が国では、米国に比して研究チームがカバーする研究分野の多様性が乏しく、また、
欧米諸国に比して国際共著率も低いため、研究成果への注目が高まらないばかりか、新
しい分野の確立に遅れをとっているのではないか。
17
17
NISTEP ブックレット-2
3.女性研究者の活用
(1)博士課程修了者・大学教員の女性比率
博士課程修了者及び大学教員のいずれの職階でも、過去 30 年にわたる推移を見れば、
その割合は着実に増加している(
【図表 28-1】
)
。
しかしながら、専攻分野間の女性比率には偏りが大きく、その傾向は学部及び修士課
程時点において既に顕著である(【図表 28-2】
)
。
35%
助教(助手含む)28.7%
博士課程修了者28.4%
30%
26.2%
講師 28.3%
25%
24.2%
24.1%
20.0%
20%
20.6%
14.7%
15%
10.5%
14.1%
13.7%
10.3%
10.4%
10%
14.5% 15.6%
7.1%
5.8%
6.5%
6.1%
4.3%
3.6%
3.1%
5%
17.0%
14.0%
12.0%
12.5%
13.1%
11.8%
9.8%
7.6%
20.4%
18.8%
16.4%
10.1%
10.2%
8.0%
7.9%
6.1%
5.0%
0%
1975
1980
博士課程修了者
1985
1990
助教(助手含む)
1995
講師
2000
2005
准教授(助教授含む)
2010
教授
【図表 28-1】博士課程修了者・教員の女性割合の推移
出典:科学技術政策研究所「日本の大学教員の女性比率に関する分析」, 調査資料-209, 2012
工 学
30%
20%
40,000
全 体
35,000
30,000
理 学
0%
25,000
工 学
-10%
20,000
(人)
10%
250,000
200,000
(人)
100,000
50,000
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
0
30%
20%
10%
8,000
7,000
全 体
理 学
6,000
(人)
0%
5,000
-10%
4,000
工 学
-60%
40%
30%
20%
10%
0%
-10%
人文・
-20%
社会
-30%
-20% 3,000
人文・
-30%
社会
2,000
-40%
-50%
理工系 1,000
-20%
人文・ 15,000
社会
-30%
10,000
-40%
5,000
-50%
理工系
0
-60%
150,000
40%
50%
9,000
-40%
理工系
-50%
0
-60%
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
300,000
理 学
40%
50%
45,000
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
350,000
50%
(女性比率)
400,000
全 体
大学院(博士課程)
(女性比率)
450,000
大学院(修士課程)
(
女性比率)
大学
【図表 28-2】大学・大学院(修士・博士課程)の分野別卒業者数(女性)と女性比率の推移
出典:科学技術政策研究所「日本の大学教員の女性比率に関する分析」, 調査資料-209, 2012, 図表 3, 4 及び
文部科学省「学校基本調査」各年度より作成
18
その他
社会
人文
保健
農学
工学
理学
理学
工学
全体
NISTEP ブックレット-2
(2)日本の研究者に占める女性比率の推移(セクター別)
セクター毎の研究者に占める女性比率の伸びは、2002 年から 2010 年の間でいずれも
約 3 ポイントであり、大学等に比して企業等における女性比率が少ない(
【図表 29】
)。
30%
25%
20%
19.4%
19.9%
20.4%
21.1%
21.5%
22.1%
22.7%
15.1%
15%
10%
23.3%
15.4%
23.9%
16.1%
14.3%
15.9%
15.2%
15.0%
13.3% 13.5%
14.2%
12.6%
14.4%
12.9%
12.1% 12.2%
13.9% 13.8%
12.7% 12.5%
13.1%
11.3% 11.7% 12.2% 12.3%
12.6%
11.1%
8.3%
8.3%
11.1%
7.8%
7.4%
7.1%
7.0%
6.9%
6.3%
5.9%
総数
企業等
非営利団体
公的機関
大学等
注:総務省「科学技術研究調査報告書」
5%
各年度
0%
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
【図表 29】日本の研究者に占める女性比率の推移(セクター別)
出典:科学技術政策研究所「日本の大学教員の女性比率に関する分析」, 調査資料-209, 2012
博士課程に占める女性の割合と研究者に占める女性の割合には正の相関があるが、我
が国では一定の増加を得つつも、研究者に占める女性の割合は世界の主要国よりも低い
(【図表 30】)。
Estonia
Portugal
(UNESCO Institute for Statistics)
【図表 30】研究者に占める女性比率と博士課程の学生に占める女性の割合
出典:科学技術政策研究所「日本の大学教員の女性比率に関する分析」, 調査資料-209, 2012
この 10 年間で、高度専門人材における女性比率は一定の増加がみられるものの、欧
米との比較においては割合、活用の度合いともに著しく低い。
特定の分野においては、現状でも女性研究者活用に促進の余地があるが、女性比率を
増加させるには、修士課程以前の専攻分野選択の変革が起こらなければ、大きな変化は
望めない。
19
NISTEP ブックレット-2
Ⅲ.高度専門人材のキャリアパスの多様化
1.ポストドクターの雇用・進路動向
(1)ポストドクター等からの異動・転職者
2009 年 11 月時点でポストドクター等に在籍していた者のうち、約半年後(2010 年 4
月 1 日時点)に約 15%が職種を変更している(
【図表 31-1】
)
。転職者のうち半数強は大
学教員であり、次いで公的教育機関等の研究開発職となっている(
【図表 31-2】
)
。
その他(学生、専業主 転出後の職業不明
夫・婦など)
または転出の状況不明
非研究開発職
198人
1,781人
151人
1.3%
11.7%
1.0%
ポストドクター等・大学
教員以外の研究開発職
629人
4.1%
大学教員
1,239人
8.1%
ポストドクター等を継続
11,222人
73.7%
ポストドクター等から職
種変更2,217人
14.6%
他の機関・他の研究室・
雇用財源でポストドク
ター等
2,122人
13.9%
【全体:15,220人】
同一機関で同一の状態
でポストドクター等を継
続
9,100人
59.8%
【図表 31-1】ポストドクター等の継続・職種変更の状況内訳
出典:科学技術政策研究所「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査 -大学・公的研究機関への全数調査
(2009 年度実績)-」, 調査資料-202, 2011
助教・助手
464人
20.9%
その他 (学生、専業
主夫・婦など)
198人
8.9%
非研究開発職
151人
6.8%
研究補助者・その他
の研究開発職
154人
6.9%
大学教員
1,239人
55.9%
講師、准教授、教授
320人
14.4%
公的研究機関等の
研究開発職 (ポスト
ドクター等を除く)
299人
13.5%
民間企業の研究開
発職
176人
【職種変更者:2,217人】
7.9%
その他の大学教員
(非常勤、特任、職
階不明)
455人
20.5%
【図表 31-2】ポストドクター等の職種変更後の職業の内訳
出典:科学技術政策研究所「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査 -大学・公的研究機関への全数調査
(2009 年度実績)-」, 調査資料-202, 2011
20
NISTEP ブックレット-2
(2)人文・社会分野の進路動向
博士課程修了直後の進路に関する把握率は、保健、農学、工学、理学の順に高いが、
人文科学、社会科学、その他の分野(
「家政」
、
「教育」
、
「芸術」など)の把握率は低い(
【図
表 32-1】)
。
博士課程修了時における人文・社会・その他分野の学位取得率は、人文科学分野の平
均で約 3 割、社会科学、その他の研究分野で 5 割を下回っており、理系分野に比して低
い(【図表 32-2】)
。
理学(9047名)
77.9%
22.1%
工学(17896名)
79.2%
20.8%
82.5%
17.5%
14.1%
人文(7023名)
65.1%
34.9%
社会(6960名)
64.2%
35.8%
67.1%
その他(3439名)
32.9%
25.0%
不明(1622名)
社会
85.9%
その他
農学(6055名)
保健(23155名)
人文
人文・社会・その他分野の博士課程修了直後の職業は、不明の者を除くと専任及びそ
の他の大学教員の割合が 4 割強を占める(
【図表 33】
)
。
75.0%
30.2%
29.1%
21.7%
41.4%
37.6%
50.3%
34.6%
49.5%
38.6%
45.1%
50.7%
文学(797名)
史学(372名)
哲学(132名)
その他(1034名)
法・政治(631名)
商・経済(1461名)
社会学(365名)
その他(654名)
家政(64名)
教育(785名)
芸術・その他(778名)
0%
77.0%
全体(75197名)
0%
20%
40%
把握
あり:博士号
23.0%
60%
80%
20%
40%
なし:満期退学
69.6%
70.4%
78.3%
58.6%
62.3%
49.7%
64.8%
50.5%
61.4%
54.9%
48.4%
0.9%
60%
100%
80%
0.3%
0.5%
0.1%
0.1%
0.6%
不明
100%
不明
【図表 32-1】研究分野別職業把握率
【図表 32-2】人文・社会・その他分野における学位取得状況
出典:科学技術政策研究所「我が国における人文・社会科学系博士課程修了者等の進路動向」, 調査資料-215, 2012
100%
23%
22%
21%
10%
4%
40%
13%
16%
11%
5%
19%
11%
15%
0%
43%
33%
その他
17%
14%
18%
医師、歯科医、獣医師、薬剤師
7%
5%
5%
7%
その他研究開発関連職
19%
13%
15%
大学教員(その他)
13%
10%
16%
17%
8%
10%
7%
7%
8%
6%
10%
30%
16%
36%
6%
3%
7%
8%
35%
専門知識を要する職
34%
6%
34%
9%
3%
25%
4%
5%
8%
20%
8%
5%
不明
14%
6%
80%
60%
17%
大学教員(専任)
ポストドクター等
合計
農学
人文
理学
工学
保健
社会
その他
(n=75197) (n=9047) (n=17896) (n=6055) (n=23155) (n=7023) (n=6960) (n=3439)
研究分野
【図表 33】研究分野別に見る博士課程修了直後の職業(2002-2006 年度修了者全体)
出典:科学技術政策研究所「我が国の博士課程修了者の進路動向調査
報告書」, NISTEP REPORT No. 126, 2009
博士課程修了直後の職業は、専攻分野による差異が大きい。また、人文・社会分野の
博士課程修了者の動向把握は、他分野に比して不明の割合が大きい。
21
NISTEP ブックレット-2
2.博士課程修了者の就職意識
博士課程進学時に修了後の進路として想定している職種は、工学系においては約7割
が民間企業を意識している。理学、農学、保健分野では、大学等教育機関が最も多いが、
民間企業を意識している者も 4 割以上(保健分野は約 3 割)みられる。人文・社会分野
では、9 割以上が大学等教育機関を想定している(【図表 34-1】
)
。
これに比して、博士課程修了時には、理工学系いずれの分野においても進学時に想定
しているほどの民間企業への就職者(
【図表 34-2】では「その他の研究開発関連職(※
6)」
)は見られない(【図表 34-2】
)
。
100%
80%
92.8%
73.1%
71.0%
66.0%
59.9%
60%
67.9%
67.6%
44.9%
41.8%
40.5%
40%
68.5%
96.3%
30.8%
20%
15.0%
8.2%
16.2%
0%
全分野
(1,442名)
理学
(390名)
工学
(379名)
農学
(127名)
保健
(237名)
人文
(97名)
社会
(107名)
その他
(105名)
日本国内/教育機関(大学、大学共同利用機関、高専・短大)
日本国内/民間企業(外国法人および日本企業の外国法人を除く)
注:本設問は意識していた進路をチェックボックス形式により複数回答で尋ねている。本図表の比率は当該進路を意識していた
と回答した数を本設問に 1 つ以上答えた回答者数で徐しパーセント表示で表している。
【図表 34-1】 博士課程進学時に修了後の進路として国内の教育機関・民間企業を意識していた割合
出典:科学技術政策研究所「我が国の博士課程修了者の大学院における修学と経済状況に関する調査研究」,
調査資料-206, 2012, 図表 93 より改変
100%
22%
80%
60%
11%
5%
19%
40%
21%
8%
5%
6%
その他
43%
医師、歯科医、獣医師、薬剤師
その他研究開発関連職
7%
8%
8%
6%
10%
30%
13%
16%
8%
0%
理学
(n=9047)
不明
専門知識を要する職
25%
4%
5%
34%
9%
3%
14%
34%
6%
20%
17%
工学
(n=17896)
農学
(n=6055)
大学教員(その他)
大学教員(専任)
ポストドクター等
保健
(n=23155)
研究分野
【図表 34-2】 研究分野別に見る博士課程修了直後の職業(2002-2006 年度修了者全体)
出典:科学技術政策研究所「我が国の博士課程修了者の進路動向調査
2009, 第 36 図表より改変
報告書」, NISTEP REPORT No. 126,
※6 その他研究開発関連職:大学以外での研究グループリーダー、主任研究員及びその他の研究・開発者であり、公的研
究機関・民間企業を含む
22
NISTEP ブックレット-2
ポストドクター等の就職意識について、さらにみてみると、大学・公的研究機関の研
究者を志向する割合が最も高く、他の職業を積極的に志向する傾向は見られない。(
【図
表 35-1】)
博士課程修了直後にポストドクター等になった者については、修了後からの期間が長
いほどポストドクター等に留まる者は減少するが、不明者も多く、ポストドクター等の
キャリアパスの実態は明らかになっていない(【図表 35-2】
)
。
是非就きたい
就いても良い
どちらともいえない
0%
あまり就きたくない
20%
40%
大学・公的研究機関の研究者(短大・高専教員を含む)
23.3%
ベンチャー企業の研究者・技術者
12.3%
大学・公的研究機関の研究支援者・補助者(技官など)
12.5%
学術関連のコミュニケーター職(科学記者など)
産学連携コーディネーター職
9.5%
29.4%
10.7%
26.8%
企業(ベンチャー企業を含む)の研究者・技術者以外の職
4.3%
17.1%
小学校・中学校・高等学校の教員
4.1%
17.2%
大学・公的研究機関の上記以外の職(事務など)
経営専門職(公認会計士、税理士など)
塾・予備校の講師
3.7% 1.9%
2.4%
8.3% 10.2%
6.4%
14.1%
20.8%
17.3%
27.9%
26.5%
17.7%
19.1%
13.8%
11.3%
21.9%
12.6%
24.6%
29.7%
16.5%
35.9%
22.9%
33.4%
19.6%
28.6%
14.9%
23.7%
15.1%
24.7%
22.3%
12.8%
18.1%
25.3%
22.0%
6.8%
100%
18.2%
28.5%
5.1%
起業家
80%
44.1%
39.3%
知的財産関連職(弁理士など)
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師
60%
73.8%
企業(ベンチャー企業を除く)の研究者・技術者
国家公務員、地方公務員
就きたくない
40.0%
10.0%
41.3%
4.2% 12.5%
27.2%
16.4%
3.4%
11.3%
15.8%
23.8%
1.4%
7.8%
22.3%
18.4%
0.8%
24.0%
7.4%
15.8%
39.7%
45.7%
50.0%
52.0%
【図表 35-1】ポストドクター等の職業別就職意欲
出典:科学技術政策研究所「ポストドクター等のキャリア選択に関する分析」, 調査資料-161, 2008
100%
不明
80%
34%
60%
5%
3%
7%
36%
34%
34%
その他
40%
20%
34%
47%
7%
3%
11%
39%
8%
3%
16%
9%
3%
11%
3%
専門知識を要する職
20%
24%
医師、歯科医、獣医師、薬剤師
31%
27%
23%
その他研究開発関連職
大学教員(その他)
0%
2年経過
1年経過
3年経過
4年経過
5年経過
(2006年度修了) (2005年度修了) (2004年度修了) (2003年度修了) (2002年度修了)
(n=2457)
(n=2298)
(n=2194)
(n=2181)
(n=1903)
修了後経過年数(2008年4月時点)
大学教員(専任)
ポストドクター等
【図表 35-2】 博士課程修了直後にポストドクター等となった者の現在の職業
出典:科学技術政策研究所「我が国の博士課程修了者の進路動向調査
報告書」, NISTEP REPORT No. 126, 2009
博士課程修了者は、高度専門人材として、社会の多様な場での活躍が期待されている
が、長期的観点からの人材の需給バランスを見据え、博士課程進学者、修了者(ポスト
ドクター等を含む)の柔軟な進路選択を可能とする仕組みが必要である。
23
NISTEP ブックレット-2
3.企業が期待する人材
企業が研究開発者に期待している能力や資質の重視度(【図表 36】)をみると、博士号取
得者に対しては「専門分野への深い知識」が最も重視されており、専門知識への期待がう
かがえる。他方で、企業活動において重要と思われる、「プレゼンテーション能力」
、「進
行管理能力」
、あるいは、
「会社の研究方針に則った専門以外の分野への展開能力」を重視
する割合が低い。
専門分野への深い知識
会社の研究方針に則
り、専攻以外の分野へ
展開する能力
4.64
国際感覚・語学力
4.08
責任感・社会性
3.78
3.91
4.19
4.13
独創性
4.44
新発見・発明への高い
意欲
3.87
4.47
プレゼンテーション能力
課題設定能力・解決能
力
4.35
3.29
修士号取得者
4.33
4.03
4.12
4.6
3.46
3.84
4.6 論理的思考
博士号取得者
4.12
3.63
4.41
3.93
総合的判断力・俯瞰的
能力
進行管理能力
【図表 36】 修士号・博士号取得者に求める能力・資質の重視度
出典:文部科学省「平成 19 年度民間企業の研究活動に関する調査報告」, 2009, 第 7・8 図より改変
博士課程修了者に対する民間企業の期待は専門知識という観点からは高いものの、会
社組織への適応に関しては、さほど重視されていないことがうかがえる。企業活動の主
要な要素に関する期待が低いことは、すなわち採用が専門知識を要する部署に限定され
ることを示している。
24
NISTEP ブックレット-2
NISTEP ブックレット-2 参考資料
1.
科学技術政策研究所「科学技術指標 2012」, 調査資料-214, 2012
2.
科学技術政策研究所「我が国の博士課程修了者の進路動向調査 報告書」,NISTEP REPORT
No. 126, 2009
3.
科学技術政策研究所「我が国の博士課程修了者の大学院における修学と経済状況に関す
る調査研究」, 調査資料-206, 2012
4.
科学技術政策研究所「日本の理工系修士学生の進路決定に関する意識調査」, 調査資料
-165, p 22, 2009
5.
科学技術政策研究所「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査 -大学・公的研究機
関への全数調査(2009 年度実績)-」, 調査資料-202, 2011
6.
科学技術政策研究所「ポストドクター等の研究活動及び生活実態に関する分析」, 調査資
料 159, 2011
7.
科学技術政策研究所「科学技術人材に関する調査 ~研究者の流動性と研究組織における
人材多様性に関する調査分析~」, NISTEP REPORT No. 123, 2009
8.
科学技術政策研究所、一橋大学イノベーション研究センター、ジョージア工科大学、
「科
学における知識生産プロセス:日米の科学者に対する大規模調査からの主要な発見事実」,
調査資料-203, 2011
9.
科学技術政策研究所「我が国における博士課程修了者の国際流動性」, 調査資料-180,
2010
10. 科学技術政策研究所「研究チームに注目した「科学における知識生産」の分析 ~大規模
科学者サーベイから見えてきた日米の相違点と類似点~」, 科学技術政策研究レビュー
第 5 巻, 2013
11. 科学技術政策研究所「科学研究のベンチマーキング 2012 -論文分析でみる世界の研究活
動の変化と日本の状況-」, 調査資料-218, 2013
12. 科学技術政策研究所「日本の大学教員の女性比率に関する分析」, 調査資料-209, 2012
13. 科学技術政策研究所「我が国における人文・社会科学系博士課程修了者等の進路動向」, 調
査資料-215, 2012
14. 科学技術政策研究所「ポストドクター等のキャリア選択に関する分析」, 調査資料-161,
2008
15. 文部科学省「平成 19 年度民間企業の研究活動に関する調査報告(平成 19 年度)
」, 2009
25
NISTEP ブックレット-2
イノベーション人材育成をめぐる現状と課題
-科学技術分野の高度専門人材の流動化・グローバル化・多様化の観点から-
2013 年 7 月
文部科学省
科学技術・学術政策研究所
編集: 渡辺 その子(第 1 調査研究グループ)
篠田 裕 美(第1調査研究グループ)
(本ブックレットは、これまでに刊行された人材分野を中心とした資料を基に、
データの更新と編集を加えたものである。
)
本ブックレットに関する問い合わせ先
〒100-0013 東京都千代田区霞ヶ関 3-2-2
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本ブックレットの内容の引用を行う際には、出典を明記願います。
各図表に出典が付記されている場合は、それもあわせて記載してください。
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