PDF形式、227KB - RFID A GoGo!

RFID World Watcher Monthly
October/November 2013
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目次
特集 – GS1 が EPC Gen2v2 を承認 ........................................................ 3
RFID 関連ニュース.................................................................................. 5
プロダクト ......................................................................................................................................5
ソリューション...............................................................................................................................5
企業・規制・標準化・レポート...................................................................................................9
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特集 – GS1 が EPC Gen2v2 を承認
2013 年 11 月 7 日、GS1 は UHF パッシブ RFID の新規格 EPC Gen2 V2.0(以下 Gen2v2)の規
格を承認した1。
Gen2v2 は現在の EPC Gen2 Ver.1.2 と完全に互換性を持つ規格で、拡張機能はすべてオプシ
ョンとして提供されている。ファクトシートに記載されている拡張機能は以下のようなも
のだ：
タグとリーダーの暗号化認証
ファクトシートの中で一番目を引く部分ではあるが、Gen2v2 の中での記載は、RFID のセキ
ュリティサービスを利用する際のインタフェース部分を記載するにとどまっており、具体
的な暗号化・認証方式は記載されていない。この部分は、外部規格である ISO/IEC 29167 に
準拠する形になっており、具体的な暗号化・認証方式は審議中の状態にある。
ユーザー・メモリの強化
ユーザー・メモリを複数の「ファイル」に分割し、それぞれに独立してアクセス制限をか
ける機能が追加された。この機能に対応しない場合、ユーザメモリは 1 つのファイルとし
て扱われる。
トレース無効化機能
データの一部を隠したりタグの読み取り範囲を縮小したりといったトレースを妨げる
"Untraceable"設定を行えるようにする。
「取外し不能」フラグ
電子製品の埋め込みタグや衣類の縫い込み式タグで、製品を破壊せずに取り外すことがで
きないことを示す"Nonremovable"という属性が追加された。
実はこの規格、自分でも忘れていたのだが、2011 年 8 月の自動認識総合展で Impinj の CTO
の講演で触れられていた2。当時の講演では同年 10 月にワーキングドラフトを公開し、年内
に最初の IP レビューを終了。
2012 年 6 月に批准というスケジュールだと言われていたので、
約 1 年半予定から遅れたことになる。
1
流通システム開発センターから日本語版プレスリリースが公開されている
http://www.dsri.jp/epcgl/epc/pdf/gen2v2_release_J.pdf
2
RFID a GoGo: 自動認識総合展 2011
http://rfid-a-gogo.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/2011-702b.html
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更に遡ると、2006 年の RFID Journal のコラムで、EPC Gen3 としてこの規格が取り上げられ
ていた3。この時点で、Gen3 で UHF パッシブタグがケース・パレットから個品へとアプリ
ケーションを広げていくにはセキュリティが必要だときちんと説明されている。当時の
RFID チップの能力や価格を考えれば、あるいは Wal-Mart の当初構想の挫折や、その後のア
パレル分野での復権が、少なくともメディアレベルでは認識されていなかったことを考え
れば、規格策定者が将来を見通す力は凄いものだなと改めて尊敬する。
RFID Journal の紹介記事4によると Gen2v2 の ISO 化は来年、対応製品は 18 ヶ月以内に登場
を見込んでいるとのこと。Gen2v2 の全ての機能を実装した製品が出てくるのではなく、例
えばアパレル向けにはセキュリティ機能を、航空部品向けには拡張メモリー機能をサポー
トした製品が出てくると予測されている。だが、今後普及が進むにつれて全ての機能をサ
ポートするチップが増え、新たなアプリケーションが出てくるのだろう。今後の展開が楽
しみだ。
3
RFID Journal: The History of EPC's Future http://www.rfidjournal.com/articles/view?2254
RFID Journal: GS1 Ratifies EPC Gen2v2, Adds Security Features, More Memory
http://www.rfidjournal.com/articles/view?11168
4
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RFID 関連ニュース
プロダクト
[ハードウェア]
イギリスの RFID メーカーEPix 社は酒瓶用の UHF パッシブタグを開発した。このタグは注
ぎ口の金属ラッピングをアンテナとして利用することで、
11m 先からの読み取りを指向性な
く行うことができる。
Apple は Bluetooth Low Energy を利用したアクティブタグ機能、
iBeacon を iOS7 に搭載した。
このため Bluetooth Low Energy を利用したスマホ連動のアクティブタグが注目を集めている。
MLB.com は iBeacon と連動する球場アプリを開発したし、PayPal は Android でも利用可能
な非接触の決済システム PayPal Beacon を発表した。
[ソフトウェア]
CribMaster 社はアクティブ RFID とパッシブ RFID を組み合わせた工具管理ソリューション
Live Tracking をリリースした。これは、同社が以前から提供していたパッシブ UHF タグに
よるソリューションに、同社の兄弟会社である AeroScout 社の WiFi タグを利用した器材・
人員の RTLS 機能を追加したもの。
Zebra Technologies 社はリーダーや PDA などの所在をクラウドで管理するサービス、Zatar
を開発し、いくつかのクライアントとの間でトライアルを行っている。このソリューショ
ンは、各拠点にある PC が USB 接続や WiFi からデバイスの接続を感知、クラウドに送信す
るもの。利用料金は 1 デバイス当たり月額 2 ドル。
ソリューション
[パッシブ]
ドイツの鞄メーカーBagjack 社は偽造防止のために NFC を利用している。同社は Serfides 社
が開発したソリューションと HID Global 社の NFC タグを利用し、鞄が正しいサプライチェ
ーン上にあることを確認できるようにした。
ワシントン州運輸局は NFC 対応携帯電話を使って有料道路ゲートで料金支払いを行うシス
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テムのトライアルを実施している。このシステムは GeoToll 社が開発したもので、NFC モジ
ュールと UHF モジュールを内蔵した携帯電話ケースになっている。NFC 対応携帯電話をこ
のケースにセットすることで、ケースの NFC タグに対応する支払情報を携帯電話から NFC
経由でケースに送信すると共に、NFC の電波を使って給電も行い、UHF モジュールから電
波を発信している。
インドのバンガロール市交通局ではバスの運行状況の管理に RFID を利用している。同市の
中央バスターミナルには毎日千台のバスがそれぞれ日に 8 回～10 回出入りするため、バス
の実際の到着・出発状況を人手で管理することはほぼ不可能だった。同局ではバスに UHF
パッシブタグを、ターミナルの出入り口にリーダーを設置することで、到着・出発の状況
を自動的に取得できるようにした。
真珠核を製造する香港の福井製核所では、真珠核に RFID チップを埋め込んで真贋判定に用
いる技術を開発した。利用されるのは UHF パッシブタグだが、同社はタグの名称やサイズ
を公開していない。
台湾の傑農合作農場は RFID を利用して果物のサプライチェーン内のトラッキングを行っ
ている。同社はプラスチック製のカゴに UHF パッシブタグを貼付し、トラッキングに利用
している。ソリューションは EPC Solutions Taiwan が開発した。
フランスの電力会社 EDF 社は発電所のガスタービン部品のために RFID を利用している。
同社はガスタービン部品に Omni-ID 社の UHF タグを貼付し、Nexess 社が開発したアプリケ
ーションを利用して、必要な部品の所在を迅速に見つけることができるようにした。
スイスの病院 Riviera Hospital ではがんの放射線治療で RFID を利用している。同院では患者
に RFID カードを持たせ、放射線治療で利用する器具に RFID タグを貼付、検査機で読み取
りを行うことにより、患者や器材を取り違えて治療をすることを防いでいる。
インドの大手セメント会社 ACC 社は工場構内のトラックの作業効率化のために RFID を利
用している。同社はトラックのフロントガラスに UHF パッシブタグを貼付し、どのトラッ
クが構内のどこでどのような作業をしているかを集中監視している。
豊胸手術用のシリコンパッドを製造している Establishment Labs 社は、VeriTeq 社の LF パッ
シブチップを埋め込んだシリコンパッドの販売を開始した。現在販売しているのは認可が
取れたイギリスで、アメリカでは認可手続き中。
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テキサス州議会議員に立候補した Rico Reyes 氏は 5 千人に NFC タグを貼付したダイレクト
メールを送付した。受け取った人は NFC 対応機器でタッチすることで Reyes 氏の Twitter ア
カウントをフォローできる。利用したシステムは Camintel 社が開発したもの。
ノルウェーの国際フェリー会社 Fjord Line は乗船チケットを IC カード化した。現在は乗下
船の確認に利用されていますが、将来は食事やインターネット利用の支払いにも利用する
予定。
イタリアの宝飾店 Matranga では店内の宝飾品の管理を RFID で行っている。同店ではそれ
ぞれの商品に UHF タグを貼付することで棚卸しの時間を 96%削減したほか、試着・取り置
き中の商品をタグで識別することで誤って他の顧客に販売してしまうことを防止している。
干し草農家向けの機材メーカーHarvest Tec 社は RFID を利用した干し草の検品システムを販
売している。これは干し草の束に UHF パッシブタグを取り付け、トラックに乗せたまま門
型リーダーで入出庫検品を行うことができるもの。
Checkpoint Systems 社は商品保護クリアケースに RFID を利用している。商品保護クリアケ
ースは、高額商品の保護と盗難防止に用いられ、従来は万引き防止(EAS)タグが埋め込まれ
ていたが、
新たにパッシブ UHF タグを埋め込むことで棚卸しにも利用できるようになった。
アイルランドのコーク港の浚渫船で作業記録のために RFID が利用されている。この浚渫船
は旧式で浚渫用のバケツをいつ降ろしたかを自動的に記録する機能を持っていないため、
バケツの綱のドラムにパッシブ HF タグを、対向面にリーダーを取り付け、読み取り情報か
らドラムの回転を検出するようにした。
ペンシルバニア州の Robert Packer Hospital では RFID を利用して手洗いの監視を行い、感染
症の発生を減らした。このシステムでは、部屋に入ったことと石鹸のディスペンサーを使
ったこととの 2 種類を監視できるアクティブタグを利用し、スタッフがきちんと手を洗っ
たことを確認するもの。
カタール大学ではドーハのキャンパスにある 3 万個の資材を RFID を用いて管理しており、
この秋に郵便物とスタッフの所在管理に拡張することを計画している。このシステムはパ
ッシブ UHF タグを利用したもので、RTLS 機能を持つ Impinj xPortals
リーダーを採用した。
フィンランドの楽器メーカーGiulietti 社が自社のアコーディオンのアフターサービスのため
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に NFC を利用している。同社は FinnCode 社のソリューションを導入し、楽器に NFC タグ
を貼付することによって、流通ルートを追跡すると共に修理に持ち込まれた品が純製品で
あることを確認する。
オンライン小売業の Vente-privee.com 社は商品サンプルの管理に RFID を利用している。同
社は期間限定の特売に特化した会社で、プロモーション用のサンプルは非常に短期間にメ
ーカーに返却する必要がある。サンプルの管理を迅速に行うため、同社はサンプルに UHF
パッシブのタグを貼付して所在管理を行っている。
Global Registration Solutions 社は展示会の参加者のトラッキングを UHF パッシブで行うソリ
ューションを開発した。このソリューションは参加者が軽食が提供されるエリアに入ると
きのチェックを行うもの。
[アクティブ・RTLS]
インドの TVS Motor 社は工場への訪問者のセキュリティ管理のために RFID を利用している。
同社は訪問者を社員、コンサルタント、サプライヤーに分け、それぞれ正しい立ち入り可
能エリアを出なかったかを監視していたが、これは手間のかかる作業であった。Gemini Traze
社の 866MHz アクティブタグを内蔵したバッヂを訪問者に配布することでこの手間が解消
された。
アルゼンチンのブエノスアイレスにあるラプラタコンテナターミナルでは RFID を利用し
た冷凍コンテナの管理を行っている。冷凍コンテナが蔵置エリアに到着すると、Identec 社
の i-Q350 RCM アクティブタグが磁石で装着され、コンテナのシリアルポートに接続される。
このタグは無線モデムとして動作し。冷凍コンテナの温度などの運転状況を送信すると共
に、管理センターから冷凍コンテナに発信される命令を中継する。
ルイジアナ州の病院、Our Lady of Lourdes Regional Medical Center は、スタッフや機材の所
在、稼働状況を把握するために RTLS システムを導入した。このシステムは Skytron 社が開
発したもので、900MHz のアクティブタグが利用される。
スイスにある匿名の 5 つ星ホテルでは顧客サービスの向上のために RFID を利用している。
このシステムは、顧客に 433MHz のアクティブタグが入ったキーホルダーを貸し出し、そ
れを読み取ることで、バーで顧客に先回りしてサービスを提供するというもの。このサー
ビスを希望しない顧客は部屋にキーホルダーを残しておけばよい。
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企業・規制・標準化・レポート
Motorola Solutions 社と Smartrac 社は、パテントトロール会社の Round Rock 社と特許紛争に
ついて和解した。Round Rock 社は同社が保有する特許を侵害したとしてユーザー企業相手
に訴訟を起こしており、Motorola Solutions 社と Smartrac 社はこの和解により顧客企業が紛
争に巻き込まれることは無くなったとしている。
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