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シナジーセラミックスの技術開発 - 新エネルギー・産業技術総合開発機構
第3回研究評価委員会 資料 3-2-7 「シナジーセラミックスの技術開発」 事後評価報告書(案)概要 目 次 (頁) 1.分科会委員名簿・・・・・・・・・・・・ 1 2.プロジェクト概要・・・・・・・・・・・ 2 3.評価概要(案) ・・・・・・・・・・・・・ 4 4.評点結果 ・・・・・・・・・・・・・・・ 9 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 研究評価委員会 「シナジーセラミックスの技術開発」(事後評価) 分科会委員名簿 (平成16年3月現在) 氏名 分科会 会長 みずたに 水谷 分科会 会長代理 すがの 惟恭 みきお 菅野 幹男 おかだ きよし 岡田 かけもと 分科会 委員 のぶやす 清 ごうき 掛本 剛毅 たなか ひでひこ ふじもと りょういち 田中 藤本 英彦 暸一 所属、役職 東京工業大学 山形大学 大学院理工学研究科 教授 工学部機械システム工学科 東京工業大学 大学院理工学研究科 教授 教授 日本ファインセラミックス株式会社 代表取締役 社長 独立行政法人物質・材料研究機構 非酸化物焼結体グループ アソシエートディレクター 早稲田大学 知的財産本部 物質研究所 参与 敬称略、五十音順 事務局:独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構研究評価部 独立行政法人産業技術総合研究所評価部 1 プロジェクト概要 作成日 制度・施策(プログラ ム)名 革新的部材産業創出プログラム 事業(プロジェクト)名 シナジーセラミックスの技術開発 担当推進部/担当者 ナノテクノロジー・材料技術開発部 0.事業の概要 Ⅰ.事業の位置付け・必 要性について 平成 16 年 3 月 P94001 プロジェクト番号 セラミックスの高次構造制御技術を駆使し、エネルギ−・環境問題の解決に資する高耐 性材料または多重機能たるシナジーセラミックスの創製技術を開発するとともに、具体的 な産業応用を目指した応用基盤技術の確立を図る。 本事業の目的遂行のためには、多額の資金と長い開発機関が必要であり、かつ多大な開発リ スクを伴う。さらに、関連する産業技術分野がエネルギー、環境、航空・宇宙、輸送等 広範であること等から、産学官の広範な分野の研究者の結集が不可欠である。 Ⅱ.研究開発マネジメントについて 事業の目標 セラミック材料の社会・産業分野におけるより一層の高度かつ広範なニーズへの適用を図る べく、相反する特性の調和や種々の機能の同時付与を可能とする高次構造制御技術を用い て、現在のレベルを凌駕する革新的な材料特性を持った材料(シナジーセラミックス)の創 製技術を確立する。 事業の計画内容 主な実施事項 H11fy H12fy H13fy H14fy H15fy H11fy H12fy H13fy H14fy H15fy 一般会計 61 64 74 69 154 422 特別会計 1,567 1,519 1,487 1,355 810 6,738 1,628 1,583 1,561 1,424 964 7,160 高温エネルギー材料技術 超精密材料技術 高機能能動材料技術 先端評価・設計技術 会計・勘定 開発予算 (会計・勘定別に実 績額を記載) (単位:百万円) (電多・高度化・石油) 総予算額 開発体制 情勢変化への対応 Ⅲ.研究開発成果につい て Ⅳ.実用化、事業化の見 通しについて Ⅴ.評価に関する事項 Ⅵ.基本計画に関する事 項 経産省担当原課 産業技術環境局研究開発課 製造産業局ファインセラミックス室 運営機関 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 プロジェクトリーダー 名古屋大学大学院工学研究科 委託先 ファインセラミックス技術研究組合 教授 平野 総額 眞一 基本計画に基づく詳細研究開発目標の一部を変更 研究開発の進捗状況に照らし合わせ、要素技術の目標値の一部を上方修正及び一部の開発対 象部品を変更 材料特性及びそれを発現するプロセス技術については所期の目標を達成。開発材を用いたモ デル部品の実機、実機模擬テストで、現行材、既存材に対する優位性を検証し、産業界にサ ンプル等を提供。成果の知的基盤としての取り纏めも行い、出版物として刊行。 投稿論文 「査読付き」576件、「その他」12件 特 許 「出願済」151件、「登録」8件、「実施」0件(うち国際出願14件) ユーザー企業等に開発材をサンプル供与し、企業自身が開発材の優位性を確認。開発成果の 実用化への見極めを行い、実用化に向けての共同研究を開始するとともに、一部はプロジェ クト参加企業が販売を計画。携帯燃料電池用燃料改質用触媒、精密セラミック型、自動車用 等排ガス浄化システム等はプロジェクト参加企業及び外部ユーザー企業により数年内に実用 化すべく展開を図る。 評価履歴 平成13年度 中間評価実施 評価予定 平成16年度 事後評価実施予定 策定時期 平成11年3月 変更履歴 無し 策定 2 「シナジーセラミックスの技術開発」プロジェクト全体の研究開発実施体制 経済産業省 製造産業局 ファインセラミックス室 経済産業省 産業技術環境局 研究開発課 ☆:プロジェクト外部 委員を含む NEDO材料技術審議会 NEDO推進委員会☆ 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (社)日本ファインセラ ミックス協会☆ (NEDO) 共研 産業技術総合研究所 シナジーマテリアル研究センター 共研・再委託 ファインセラミックス技術 研究組合 大学 (共同研究4大学6件) 海外研究機関(再委託研究3件) 技術委員会 業務委員会 研究体会議 3 技術分科会(3グループ) 評価設計技術委員会 グループ会議 GL, SGL プロジェクトリーダー プロジェクトリーダーグループ (PLG) グループ会議 GL, SGL 外 注 ・ 成 果 普 及 総合技術検討会 総合調査研究会(シンポジウム) 研究企画委員会 成果普及委員会 グループ会議 GL, SGL グループ会議 GL, SGL 高温エネルギー材料技術 超精密材料技術 高機能能動材料技術 先端評価・設計技術 総合調査研究 産業技術総合研究所 ファインセラミックス技術研究組合 石川島播磨重工業 東芝 旭硝子 横浜国立大 ケンブリッジ大 スウェーデンセラミック研究所 リムリック大 産業技術総合研究所 ファインセラミックス技術研究組合 住友電気工業 いすゞ中央研究所 日産自動車 トヨタ自動車 電気化学工業 大阪大 ハンブルグ工科大 産業技術総合研究所 ファインセラミックス技術研究組合 日本ガイシ 新日本製鐵 日立製作所 名古屋大 東北大 ペンシルバニア州立大 ファインセラミックス技術研究組合 ファインセラミックスセンター 新日本製鐵 旭硝子 大阪大 名古屋大 静岡大 ファインセラミックス 技術研究組合 シナジーセラミックス研究体 GL:グループ リーダー SGL:サブグループ リーダー 「シナジーセラミックスの技術開発」 (事後評価)評価概要(案) 1.総論 1)総合評価 「高次構造制御」という新しい概念の基に行われた本プロジェクトは、原子 サイズからマクロスケールまでの複数の階層にまたがって材料の特性や機能の 本質を究明しつつ材料創製技術を開発しようとするものであり、意義深いもの である。 このためには、広い領域の科学技術、多額の開発投資、多くの人材と時間を 必要とするため、優れたリーダーズグループの下、産学官が連携してそれぞれ の機関の強さを生かした適切な管理運営により行われたものと評価する。 開発は難度の高い目標を設定して、その目標をクリアしていることを数値に より証明した。最終段階では、試作品の公開など実用化の段階まで到達したこ とを実証しており、実用化のための基盤技術構築という所期の目的を達成して いる。 一方、第 2 期の研究開発は、第1期と異なり具体的ターゲットを設定したが、 各グループ間の相互関係が希薄になり、事業の総合化は弱い面があった。開発 基本概念にリサイクルとリユースの考えが含まれていないことは、やや物足り なかった。 2)今後に対する提言 プロジェクトの真価は、実用化後に問われるべきである。実用化が図られる ことなく終了すれば、注いだ努力と資本の大半は無為になり、成果は水泡に帰 する。本プロジェクトは、実用化の視点からみればモデル化部材による検証を 終えた段階であり、開発過程の黎明期に相当する。民間の手だけで実用化に移 すにはまだ多くの解決すべき問題が残されているので、少なくとも実用化の目 処が立つ段階までは、事業の継続や実用化補助金などの国の支援が必要である。 研究開発の成果は論文や特許として公開されるが、実用段階では技術的ノウ ハウがより重要である。その貴重な知的財産は、試験片・試作品や研究者の知 識・経験として残っているので、それらの資産を保存し有効活用するためのシ ステムと技術拠点(場所)が必要である。 今後は、我が国の工業基盤の維持・向上のためにも、新たな国家プロジェク トとして、シナジーセラミックスの発想をさらに進化させた、構造材料と機能 材料とを区別しない融合的発想による取り組みを期待したい。 2.各論 1)事業の位置付け・必要性について 4 セラミックスの分野で世界のリーダー的立場を担う我が国が、技術的優位性 を維持すると共に、省エネルギーと環境負荷の低減という産業・社会の要請に 応える有意義なプロジェクトであった。 また、新機能創出への期待度が高い材料について、品質の安定度などの課題 を克服し実用的な部材への適用を進めるものであり、「革新的部材産業創出プロ グラム」の中での位置付けも妥当であった。 目標の設定内容、関連分野の専門性と技術領域の幅広さ、想定実用部材の多 様性など、いずれの点においても単一機関で達成できる範囲や規模を超えてお り、産学官が三位一体の体制で取り組む必要があった。多額の資金や長大な時 間を必要とすることから、民間のみで開発を遂行することは困難であり、 NEDO の関与は妥当である。 2)研究開発のマネジメントについて 開発体制は産学官の優れた指導者や研究者が集結しており、管理・運営はリー ダーズグループがシステマチックかつ円滑に遂行しており、他の模範となるプ ロジェクトであったと高く評価できる。 技術動向や社会的ニーズを十分意識して、数値目標の一部上方修正や実用化 想定部材の高度化を図るなど、進捗状況や社会の情勢変化と動向に対しても機 敏かつ適切に対応していたことは、優れた成果につながった要因と評価できる。 材料応用基盤技術の開発と平行して研究開発項目毎にモデル化・部材化技術 開発を組み込んだ計画を採用しており、開発技術を具体化して製品イメージと ビジネスモデルの策定を実施し易くしたことは、本プロジェクトを成功へと導 く秀逸な施策であった。 なお、材料の研究過程における新発見を成果として出す仕組みや、産業基盤 の拡大のため技術移転に力点を置いたマネジメントは、今後の課題として欲し い。 3)研究開発成果について 目標は事前に十分検討され、各グループにより掲げられた高い数値目標をク リアした。成果の多くは間違いなく世界最高レベルにあり、特に高温エネル ギー材料の非酸化物セラミックス材料技術(高耐性耐熱材料と耐熱性損傷許容 材料)は世界の追従を許さない。 産業への貢献でも、材料応用基盤技術は産業界で実際に使用されている素材 の特性を大幅に改善するものであり、汎用の新素材としての用途拡大が予想さ れる。実用化想定部材も、多くの具体的工業製品が考えられており、将来の幅 広い分野への市場拡大が期待できる。 全体として特許出願や論文発表の件数は十分にあり、産業界・一般社会に向 けた情報発信も積極的に取り組んでいた。しかし、海外への特許出願はもっと 5 多くても良く、費用面の問題を含めて検討する余地がある。なお、プロジェク ト終了後の人材や知の成果の継承は、今後の課題である。 4)実用化、事業化の見通しについて 材料応用基盤技術は、どのテーマも高い達成度を示しており、実用化される 可能性は非常に大きい。モデル化・部材化技術開発は、多岐多様の分野に対し て具体的検討がなされており、技術的にも経済的にも関連産業界への大きな波 及効果が期待できる。実用化までにはなお克服すべき課題はあるが、事業化に 到達するまでの堅実なシナリオとして、課題内容とタイムスケジュールおよび ロードマップが具体的に示されており評価できる。 今後は、モデル部材を対象とした評価だけでなく、実機部材を用いて生産性、 成形加工性、信頼性、経済性などを検討する必要がある。シミュレーション技 術に関しては、技術公開と普及方法についての取り組みが必要である。 なお、実用化を促進するために、サンプル提供などの多様な形で企業を支援 する体制が望まれる。 6 個別テーマに関する評価(1) 成果に関する評価 7 実用化の見通しに関する評価 今後に対する提言 計画当初の目標値を超える特性と機能を有する材料 開発を実現しており、プロジェクトとしての所期の目 的を十分に達成したと評価できる。特筆できる成果と して、高耐性耐熱材料における高損傷許容性と高耐熱 衝撃性を有する多孔質窒化ケイ素材の開発や、耐熱性 損傷許容材料における世界最高水準の耐熱損傷許容性 の達成が挙げられる。さらに、流体透過機能材料では 世界で初めて耐熱性を持つ高機能多孔体を創製し、エ ネルギー吸蔵材料ではセラミックス多孔体を触媒担体 高温エネル とした高効率の燃料改質(水素転換)の開発に成功し ギー材料技術 た。 現状では機械的特性は静的特性の検証が主なので、 実用化に向けて動的特性の検証が必要である。耐久性 や信頼性は具体的な数値で示す必要があり、将来的に は、大型化やコスト削減などが課題である。 全体として論文などのアウトプットは質、量ともに 十分なレベルにあるが、集中研以外は特許出願が少な く海外出願が無かった点は改善の余地がある。 ガスタービン用静翼、連続鋳造用ブレークリング、高 温排ガス用フィルターなど、いくつかの用途開発が検討 されており、将来的な実用化が期待できる。 課題として、実機モデルでの信頼性を検証するととも に、量産化と低廉化の克服が挙げられる。これらが克服 できれば、社会的ニーズの高い領域なので、関連産業界 への大きな波及効果が期待できる。 今後は、本プロジェクトの担当機関・実施企業に限ら ず成果を大いに開示して欲しい。用途開発と新材料の接 点をシステムとして組み込む方法も検討する必要があ る。 高耐性耐熱材料の開発は、長期にわたる忍耐強い 研究が必要である。今後は、タービン静翼モデルの 研究など国家主導型のプロジェクトにより推進され るべき課題と、産業界に委ねるべき研究開発とを見 極めながら、成果の実用化に向けて推進して欲し い。 また、環境保全と省資源の実践という観点から、 損傷部材の修復法やリユースとリサイクル方法の検 討も必要である。 世界的レベルの高い目標値を設定したにも拘らず、 それを超える特性と機能を有する材料開発を実現して おり、初期の目標を十分に達成したと評価できる。 材料応用基盤技術では、酸化物、窒化物、炭化物、 無機有機ハイブリッド材料等を対象材料に摺動特性の 高度化と共に相反する特性との共生を図り、目標値を 凌駕する成果を収めた。モデル化・部材化技術では、 超精密材料技 世界最高水準を達成していると評価できる。 術 耐摩耗性の評価に関しては、同種の材料間の特性評 価が主であるが、実用化を考慮すると異種材料間の特 性評価が必要である。より広範な材料間について、多 様な実験環境化下における検証が求められる。今後の 課題として、機械部品としての信頼性と寿命の見極め や破壊等の予測診断が挙げられる。 従来、高速回転軸受、シールリング・スラスト軸受、 精密型などは、金属あるいは一部にはセラミックス材料 が利用されてきたが、破壊損傷や脆さの点で不十分で あった。開発された材料は、摩耗・摩擦特性と機械的特 性の共生により、従来の性能を著しく向上させた。モデ ル部材による具体的な特性検証が行われていることか ら、自動車エンジン部材への適用の可能性は高いと判断 する。さらに、半導体製造用などの想定要素部材以外へ の汎用性も期待できる。今後は、なるべく早い時期に実 用化テストや使用環境テストを行い、実用化における問 題点の顕在化をはかるべきである。 課題として、部品のバラツキによる信頼性や量産によ る低コスト化が挙げられるので、それらを克服して幅広 い分野に対する実用化を期待する。 自動車産業や精密機械産業など、巨大な市場規模 を有する重要な産業分野において実用化の道が拓け ている。一般産業機械においても、低摩擦部材は消 費エネルギーを低減する効果が期待できる。重要か つ多様な工業製品に応用できる技術なので、セラ ミックス材料創製の研究と実用化技術の開発は継続 すべきと判断する。 今後は、個々の取り組みは使用者側の視点で考え る必要があり、実機条件下における特性検証が行わ れることを望む。 個別テーマに関する評価(2) 成果に関する評価 今後に対する提言 計画当初の目標値を超える特性と機能を有する材料 開発を実現しており、プロジェクトの所期の目的を十 分に達成したと評価する。テーマによっては世界の トップの成果を出しており、その他も十分なレベルを クリアしている。 特筆する成果として、YSZ-NiO 電気化学セルが挙げ られる。自動車排気ガスの酸素共存下で NOx を選択的 に分解する材料で、従来の触媒より1/2の低エネル 高機能能動材 ギー消費で NOx の分解が可能である。この技術は世界 料技術 で初めての成果であり、新たな市場開発につながるも のと高く評価できる。 また、無機−有機ハイブリッドの化学親和力制御を 応用して NOx 分子選択率3以上を達成したこと、高次 構造制御を抵抗率とエネルギ−処理能力制御に応用す る技術開発に成功したことなど、新規性、先進性に富 むものと評価できる。 高機能能動材料技術は、目前の環境やエネルギーに直 結した問題を扱っているので、将来の市場規模は確度高 く予測できる。既にいくつかのテーマではユーザー側を 含めて実施に向けて進んでおり、低廉化への努力はその まま実用化の促進に繋がると考えられる。 廃棄物発電用固体電解質形燃料電池と物質・光選択機 能材料は非常に有望ではあるが、大型のシステムに応用 されるためには解決すべき問題が残されている。 今後は、各用途における課題を検討しながら、信頼性 と生産性のさらなる向上に留意しながら、実用化技術開 発を進めて欲しい。 より一層の機能特性の向上と多様・多重化技術開 発を期待する。特に社会的なニーズの高いテーマに 関しては、今後とも産学官が連携しながら積極的に 研究開発を推進して欲しい。 プロジェクトの統一性と個々のテーマは必ずしも 整合性が十分とは言えないが、ある一つの製品を ターゲットとしている研究開発は、ユーザー側と煮 詰めながら実用化を目指すことを望む。 材料を実用化するには性能以上に信頼性が重要なの で、本プロジェクトにおいて評価技術に積極的に取り 組んだことは賢明な選択と評価する。 先端評価・設計技術を応力解析技術と破壊挙動予測 技術に分けて、ミクロ領域の材料特性情報をマクロ領 域の部材設計に反映させるとの理念の下に改善・発展 させることにより、世界のトップレベルにありかつ独 先端評価・設 創的な成果を得たことは評価に値する。 計技術 課題として、ミクロ情報からマクロ状態への拡張の 妥当性や、シミュレーション結果の信頼性などが挙げ られる。また、次の研究課題の明確化のためにも、現 段階での未解決な項目を明示する必要がある。 今後は、他の材料開発への適用による具体的な貢献 や、評価ソフトの普及に全力を挙げることを望む。 材料物性のマルチスケールでの測定結果を素材開発へ フィードバックすることを可能にする技術として、広範 囲の分野への実用化が期待できる。 ミクロ・マクロ域の幾つかの応力解析技術は既に実用 化レベルにあるが、現状では操作の熟練と解釈の専門的 知識が必要なので、普及には簡易化のための努力が求め られる。また、いずれの機器も高額なので汎用普及型を 開発する必要がある。 応力解析技術と破壊挙動予測シミュレーション技術の 公開方法を検討すべきであり、今後とも講演会やワーク ショップ等による PR が重要である。 セラミック部品の実用化には、機械的強度は極め て重要である。マクロ物性である機械的強度がセラ ミックスのミクロ組織に依存することは明らかに なってきたが、靱性や強度などの具体的強化方法や 製造技術への応用などは未解決なので、今後ともセ ラミックス材料の開発と呼応した研究開発が必要で ある。 計測技術やシミュレーションによる解析技術は、 製造プロセスの開発には必須であるが、装置に組み 込まれる計測機器の多くが外国製品にとって換わら れていることに現れているように、近年我が国の技 術レベルの低下が危惧される。国際競争力を獲得す るためにも、早急に重点的に開発研究するべき領域 と考える。 8 実用化の見通しに関する評価 評点結果 3.0 1.事業の位置付け・必要性 2.8 2.研究開発マネジメント 2.7 3.研究開発成果 2.3 4.実用化、事業化の見通し 0.0 1.0 2.0 3.0 平均値 評価項目 平均値 素点(注) 1.事業の位置付け・必要性について 3.0 A A A A A A 2.研究開発マネジメントについて 2.8 A A A A A B 3.研究開発成果について 2.7 A A A B B A 4.実用化、事業化の見通しについて 2.3 A B B A B B (注)A=3、B=2、C=1、D=0 として事務局が数値に換算し、平均値を算出。 <判定基準> (1)事業の位置付け・必要性について (3)研究開発成果について ・非常に重要 ・重要 ・概ね妥当 ・妥当性がない、又は失われた ・非常によい ・よい ・概ね妥当 ・妥当とはいえない →A →B →C →D (2)研究開発マネジメントについて ・非常によい ・よい ・概ね適切 ・適切とはいえない →A →B →C →D (4)実用化、事業化の見通しについて →A →B →C →D 9 ・明確に実現可能なプランあり ・実現可能なプランあり ・概ね実現可能なプランあり ・見通しが不明 →A →B →C →D 10