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ゆめ実現班

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ゆめ実現班
ゆめ実現班
1
活動
小中高一貫教育の目標「小中高の学びの連続性を高め、生きる力を育み、個に応じた進路実現を図
る」ために、ゆめ実現班では、育てたい資質・能力を「将来の進路について主体的に考え、自己実現
できる能力」とし、以下の方策を実践してきた。
○
夢の設定・情報の活用・職業調べ・職場見学・職場体験・進路適性・進路選択・夢の実現など、
12年間を見通した切れ目のない効果的な進路指導を計画し、生き方を考えさせる。
○
基本的生活習慣やしつけ、行動様式を身につけ、個人や社会人として望ましい人間関係の形成
や集団の一員として、社会に参画することの意義をとらえさせる。
1 年目は、宇久・実践の授業において、生徒の夢を実現させるためには、教師の指導に加え、地域
の優れた人材を活用することによって、よりよい進路学習を行えるのではないかと考え、
「地域の人材
発掘・人材バンク表」の作成に取り組んだ。また、前年度までのカリキュラムの見直しを行い、各学
校では下記のような活動を実施した。
○
宇久小学校(6年生)…
食品会社の見学を行い、働くことへの意識向上を図った。
○
神浦小学校(6年生)…
畜産農家の見学を行い、働くことへの意識向上を図った。
○
宇久中学校(1年生)…
将来の夢を考え、働く人々や職業について学習した。
(2年生)…
ゆめ実現のための道筋を考えるために上級学校調べを行い、1年生
からの継続として職業について学習した。
(3年生)…
職場体験学習を行い、事前学習や事後のレポート作成を通して、自
分の将来の夢をしっかりと考えさせた。その上で、自己の将来設計レ
ポートを作成した。
○
宇久高校 (1年生)…
年間指導計画に基づく「進路ノート」を作成し、計画的に進路学習
を行った。また、自分の立てた将来設計を発表する場を設けた。
(2年生)…
学校調べや企業調べに随時取り組み、進路適性検査を行うことで、
進路に対する意識を高めた。加えて、職業研究の一環として、職場訪
問を行う進路学習型の修学旅行を行った。
(3年生)…
個々の進路実現のために個別の進路学習を行った。
以上のように、1年目は今後の基礎となる取組が各校
種で計画的に行われた結果、進路希望が具体化し進学の
割合も増えた。しかし、まだまだ校種間での情報の共有
化や連携が十分とは言えず、次年度の課題が見えてきた。
2年目 では1年目の取組を更に充実したものとする
ために、児童生徒の実態を把握することを目的とした「ゆ
めアンケート」を、小学校6年生、中学校3年生、高校
1年生に5月と12月の年2回実施し、その後の取組に
役立てた。各学校の取組は以下のとおりである。
○
小学校合同(5・6年生)…
アスパラ農家の見学(小学校合同)
合同でアスパラ農家への職場見学を実施し、働くことへの意識
の向上を図った。また、合同の修学旅行を行い、職業に対する情報
の共有化を図った。
○
宇久中学校
(1年生)…
1年生では職業調べを行った。
(2年生)…
2年生では上級学校調べを行った。
(3年生)…
職場体験学習を主に行い、よりよい進路選択ができるよう3年
間継続した進路学習を行った。また、宇久高校の課題レポート発表
会へ参加し、進路に対する意識づけをした。その後、課題レポート
を作成し、個々の考えを整理することができた。
○
中学校教員
…
宇久高校の1、2年生の学力検討会および、3年生の進路検討
会へ参加し、進路に対する指導力の育成を図った。
○
宇久高校
…
年間指導計画に基づく「進路ノート」を2年生の分まで作成し、
より計画的に進路学習を行った。
(1年生)…
課題レポート発表会を行った。
(2年生)…
進路学習型修学旅行、進路適性検査を行った。
(3年生)…
個別の進路学習を行い、将来を見通した進路学習を行った。
さらに、人生の達人セミナーを実施し、人生の先輩から話を聞く
ことで、進路に対する考えをさらに深めることができた。
以上のように、2年目となると校種間の連携もよりいっそう強いものとなり、内容も多面的、計画
的に取り組めるようになった。
3年目は、全体の取り組みとして、昨年に引き続き「ゆ
めアンケート」を小学校6年生、中学校3年生、高校1年
生で5月と12月に実施した。さらにキャリア教育におけ
る基礎的・汎用的能力の調査のために、12月に「ゆめア
ンケート2」を
実施した。その
結果、より細や
かに生徒の実態
を把握できた。
課題レポートへの参加(宇久中)
また、小中高のつながりをより深めるために、小学校5
年生から高校3年生までに進路学習に関わる資料を保管さ
せるための「ゆめファイル」を作成した。その中には、小
中高12年間を通して進路に関わる学習内容をチャート化
したシート「ゆめ・実現マイライフプラン」を差し込み、
児童生徒がより見通しを持って進路学習に取り組める環境
を整備した。各学校の取組は、以下のとおりである。
○
小学校合同(5・6年生)…
ゆめファイル
畜産農家への見学、体験学習を行った。6年生は、合同の修学
旅行を行った。
○
宇久中学校
(1年生)…
職業調べを行った。
(2年生)…
上級学校調べを行った。また、職場訪問を行い、働く方へのイ
ンタービューをとおして、働く意義についての考えを深めた。
(3年生)…
課題レポート発表会への参加、職場体験学習を行い、それぞれ
レポートやパワーポイントにまとめることで、進路に対する考え
を深めた。また、課題レポート作成にも取り組み、自分の考えを
整理することができた。
○
宇久高校
…
人生の達人セミナーの実施、進路講話の実施、職業観について
の大学模擬講座への参加など、進路学習の充実を図った。
(1・2年生)…
進路ノートに基づく進路学習を行った。また、希望者が離島半
島インターンシップへも参加した。
(対
(1年生)…
課題レポート発表会を行った。
(2年生)…
進路学習型修学旅行、進路適性検査を行った。
(3年生)…
個別の進路指導を行った。
中学3年生)…
学習に対する意識を高めるために、宇久高校合格者による学力
確認テストを3月に行った。
以上のように、3年目となると、学習内容もかなり充実してきており、児童生徒も真剣に自己の将
来像を思い浮かべながら学習に取り組むことができた。
「ゆめアンケート」の結果を見てみると、「将
来の夢がありますか」という問いに対して、小中高ともに2回目のアンケートでは「夢がある」と回
答した割合が増加している。特に中学校3年生においては意識の変化が大きい。
また、
「あなたは将来の夢をきちんと決めたほうがよいですか。」という問に関しては、5月の段階
で「たいへんそう思う」と「そう思う」をあわせた割合がすでに90%と高かったが、12月になる
と96%へとさらに高まった。これまでの「ゆめ実現」に係る取組によって、児童・生徒の意識がよ
り高まったことがわかる。また、職業名や事業名も具体的に書かれ、取組に対しての一定の成果は得
られた。しかし、個々に対する細かい観察、理解をもとにした指導が必要であることもわかった。
○あなたは将来の夢がありますか。
5月
12月
○あなたは将来の夢をきちんと決めたほうがいいですか。
5月
12月
一方「ゆめアンケート2」の項目1から3の「人間関係形成能力、社会形成能力」に関しては、小
中高ともに高めの到達度を示したが、項目9の計画立案といった「課題対応能力」や、項目10の学
ぶことや働くことの意義、項目11の将来設計、項目12の努力や工夫・行動の改善といった「キャ
リアプランニング」能力に関して小中高ともに到達度が低い結果となった。
また、全体的にも上級学校に進級するほど数値が低くなる傾向が見られ、この改善が次年度の大き
な課題の一つになると考え、個々の項目について調査結果を精選し、中でも「キャリアプランニング
能力」に関する各要素を育てていく方策に関して、次年度に向けての小中高全体の課題として指導法
を模索し確立していかなければならないと考えた。
昨年度までの考察を踏まえ、現在は「ゆめファイル」の充実を図るために、宇久高校ですでに取り
組んでいる進路ノートを参考にした資料の作成に各校種ともに取り組んでいる。作成するに当たって、
キャリア教育の視点における基礎的・汎用的能力の関連を図り作成している。今後は、その資料をも
とにした取組とともに、小中高のよりいっそうの一貫した指導ができるよう資料を精選していくこと
で、さらに充実した学習を行うことができると思われる。
ゆめアンケート2(アンケート用紙)
ゆめアンケート2の結果
項
目
番
号
人間関係形成
社会形成
自己理解
自己管理
課題対応
キャリアプラン
ニング
神 宇
浦 久
小 小
宇
久
中
全
体
平
均
宇
久
高
1
3.1
3.4
3.3
3.3
2
3.3
3.4
3
3.2
3
3.3
3.3
2.9
3.1
4
3.3
2.9
3
3
5
3.4
2.9
2.3
2.9
6
3.3
2.8
2.4
2.8
7
2.8
2.9
2.7
2.8
8
3.3
3.1
2.6
3
9
3
2.6
2.5
2.7
10
2.6
3.1
2.6
2.8
11
2.1
2.8
2.4
2.5
12
2.3
2.6
2.4
2.4
3
3
2.7
2.9
平均
3.5
アンケート2の結果
3
宇久・神浦小
2.5
宇久中
2
2
成果
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
宇久高
3カ年の活動より、成果として以下の4点が挙げられる。
(1) 小中高一貫した進路学習の確立…12年間を見通した進路学習の確立を目指し、ゆめファ
イルを導入することで、各年代の進路における学習内容をしっかりと把握した上で、進路学
習を行うことができるようになった。現在では、キャリア教育における基礎的・汎用的能力
を構成する4つの能力を意識した授業の略案やワークシートの作成、そして、それら資料の
蓄積を行っている。また、乗り入れ・つなぎ・出前授業などを行うことで、小学校から中学
校、中学校から高校への不安感が減少している。
(2) 「ゆめアンケート」における実態把握…「ゆめアンケート」、
「ゆめアンケート2」を行う
ことで、現在の宇久地区の児童生徒の実態や変容を把握することができ、これまでの取組の
改善や、新たな指導法を模索する手立てを得ることができた。
(3)
体験学習、講話などの充実…各年代に応じた体験学習や、講話を行うことで、誇りを持っ
て仕事に取り組む姿勢、仕事にきつさや大変さ、やりがい等を学び、今後の進路に対する考
えを更に深め、生かそうとする姿勢が見られた。
(4) 中学校3年生での課題レポートにおける具体的な進路の分析・考察…自分の将来像を、そ
れぞれの職業の仕事内容、就くための方法、必要な能力・資質・資格の情報を収集し、分析
を行い、自己理解をした上で、今後しなければいけないことを考察するので、今後の具体的
な進路を真剣に考える良い機会となっている。
「ゆめ実現」における取組により、
「夢や将来の目標」を持つ生徒が増えてきている。具体的な「ゆ
め」を持つことで児童生徒はそれに向かって「努力」し、その努力の継続が「夢を育む」という相乗
効果を生み、自らの力で生き方や進路を選択し、自己実現を図ることができる児童生徒の育成につな
がるものと考えられる。
3
課題
3カ年の活動より、課題として考えられるのは、以下の3点である。
(1)
考え方の多様化…考え方が多様化する一方で、逆に不安や悩みを抱える児童生徒が増加し
ている。下の表は、今年度の「ゆめアンケート」の「あなたは将来の夢がありますか」とい
う問いに対する結果である。
5月
10月
全体で見ると、
「夢がある」
、
「ぼんやりとした夢がある」は5月、10月ともに高い数を示
しているが5月に比べると、
「夢がある」と答えた児童生徒が高1、小6で減少していること
がわかる。多様な考え方がある一方で、それゆえ悩んでいる児童生徒が出てきていることも
事実である。よって児童生徒個々の興味・適正・能力に呼応した手立ての研究が必要である。
(2) 中学生の学習に対する意識の低さ…小中高一貫教育を実施することで、上級学校への進学
の不安は軽減されたが、緊張感が低下し、学習面にも影響が出ていることは否めない。つな
ぎ授業や学力確認テストで学習意欲の向上を図ってはいるがまだ十分とはいえず、今後の大
きな課題といえる。
(3) カリキュラムの見直し…現在の取組をさらによいものとするためにも、校種間でさらに情
報交換を密にし、合同でできる学習題材を模索する必要がある。また、小中高一貫教育の集
大成として、高校卒業時に自分の希望する進路を実現するための12年間を見通した、切れ
目のない効果的なカリキュラムの見直しと編成が必要であると考えられる。
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