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- 地球温暖化観測推進事務局
地球観測連携拠点(温暖化分野)平成25年度ワークショップ 「陸域における炭素循環及び生態系・生物多様性観測の最近の動向」
森林モニタリングにおける衛星観測と
地上観測の連携
ー REDD推進のための森林観測 ー
森林総合研究所
齋藤英樹
背景と内容
• REDDプラス(森林の減少・劣化による排出を
削減するための国際的な枠組み) の国際的
な議論が進んでいる
• REDDプラスには、国レベルの森林炭素モニタ
リングが不可欠
• 森林モニタリングの技術開発
– カンボジアの事例
– マレーシアの事例
※1 t/年で示す吸収量及び排出量は、人間の活動に伴うものである。
※2 森林や農地といった土地の利用管理による吸収量が含まれる。
※3 主に熱帯地域における森林減少によるものである。
林野庁ウェブサイト( http://www.rinya.maff.go.jp/)より
気候変動と森林
• 二酸化炭素の吸収源
• 樹木は成長するとき、二酸化炭素を
吸収して炭素を体内に固定
• 健全な状態に森林を管理して成長を
促進
• 二酸化炭素の排出源
• 途上国における急激な森林の減少・
劣化
• 森林の減少・劣化による排出は人為
起源の排出の2割
• 国際的な取り組みの必要性
2000‐2005年における世界の森林減少
©FAO 2006
REDDプラス
• 気候変動枠組条約で議論されている森林減
少・劣化からの二酸化炭素排出の削減策
• 排出削減量に応じてクレジット・資金が得られ
る(ポジティブインセンティブ)
• 国レベルの森林炭素モニタリングが求められ
ている
• 森林炭素モニタリングは、リモートセンシング
と地上調査の組み合わせによることが条約
交渉で決められている
REDDプラスにおける排出量削減の考え方
削減努力がない場合
の予想排出量
排出量
実際の排出量
排 出 量
予想排出量
参照レベル
排出削減量
削減努力
年
リモートセンシング
各クラスにおける
教師データ収集
画像分類
検証
現地調査
分類クラスの設定
森林タイプ
カンボジア
マレーシア
常緑林
低地林
半常緑林
丘陵林
落葉林
山地林
その他
の森林
マングローブ林
/湿地林
森林タイプ別・劣化度合い別
面積(国レベル)の推定
各クラスにおけ
るプロット調査
劣化度
無/軽度
中度
重度
アロメトリー式
炭素蓄積算定
森林タイプ別・劣化度合い別
平均炭素蓄積量の推定
2000年
NASA Earth Observatory より
2003年
NASA Earth Observatory より
2006年
NASA Earth Observatory より
2010年
NASA Earth Observatory より
森林面積変化の把握
衛星画像の収集
2004
2002
2000
・・・
1992
1990
画像解析
過去の
土地被覆
変化の把握
2008
地上調査による
土地被覆の確認・検証
ベースマップ作成
森林面積変化のモニタリング
2006
2008
リモートセンシングによる森林モニタリング手法
の開発における問題点
植生
非植生
雲
雲陰
水域
雲とその影で観測できないエリアがある
霞、モヤの影響で反射率が一定しない
画像取得時期が異なることによる植生の
フェノロジーの違い
19
カンボジアにおける植生の季節変動
October NDVI
high
low
カンボジアにおける植生の季節変動
November
NDVI
high
low
カンボジアにおける植生の季節変動
December
NDVI
high
low
カンボジアにおける植生の季節変動
January
NDVI
high
low
カンボジアにおける植生の季節変動
February
NDVI
high
low
カンボジアにおける植生の季節変動
March
NDVI
high
low
カンボジアにおける植生の季節変動
April
NDVI
high
low
季節調整手法の開発
調整前のトランセクト
‐ スペクトルに急激な変化がある
‐ 反射率のレンジが異なる
Reflectance
Green band
NIR band
Red band
8
季節調整手法の開発
調整前のトランセクト
‐ スペクトルに急激な変化がある
‐ 反射率のレンジが異なる
調整後のトランセクト
‐ 同じ植生では同じような反射率特
性を示している
‐ 境界線がめだたない
‐ 反射率のレンジが調整されている
Reflectance
Green band
NIR band
Red band
28
季節調整画像から作成した
土地被覆図
30
マレーシア
ランドサット画像の問題点
• 熱帯降雨林では常にどこか
に雲がかかっている。
– 雲の無い画像は得られ
ない。
• 雲がなくても、霞やもやが不
均一にかかる。
– 反射率(色)の比較ができ
ない。
マレーシア
• 雲取り処理
• 大気補正、地形補正
(a) 補正前
雲なし・補正済み画像
半自動化
(b) 大気・地形補正後
• 補正により、画像間の推定
反射率のばらつきが抑制さ
れた。
– 特に可視光(短波長)
• もやの影響大
– 赤外線は変化少ない
• もやの影響小
補正による効果
300.0
標準偏差(補正後)
マレーシア
Band 3 (red)
200.0
内地林
100.0
アブラヤシ林
ゴム林
0.0
0.0
100.0
200.0
標準偏差(補正前)
300.0
地上調査の成果
地上調査による森林タイプ別・撹乱別バイオマス量
•
•
•
丘陵林と低地林で炭素蓄積量に大きな違いはない
伐採履歴の無い林分では、いずれの森林タイプでも高い蓄積量を示す(250Mg‐C/ha以上)
伐採履歴のある林分では、最大胸高直径やフタバガキ科の割合が低下
バイオマス量(地上部+地下部)
フタバガキ科の比率
森林炭素蓄積量の地域差(落葉林の場合)
● クラティエ (n=4)
▲ ラタナキリ (n=4)
2005年時点で
伐採・枯死に
よる減少
カンボジア
今後、森林局の新規PSPと環境省(保護林)のPSPデータを加え、
地域のばらつきとその原因を検証 ⇒ 必要に応じて森林タイプの細分化を提案
36
REDDプラスのための森林モニタリング
• 森林の面積変化だけはなく森林の炭素蓄積変化が求められる
• 炭素蓄積およびその変化の推定には、リモートセンシングと地上調
査との組み合わせが不可欠である
• REDDプラスに対応した森林モニタリングの手順を開発・提案した
• 熱帯季節林では画像の取得時期に応じた補正方法を開発し、それ
を用いて森林分布図を作成した
• 熱帯降雨林では、雲取り処理と大気補正・地形補正を半自動化する
ことにより、広域の森林分布図を作成した
• 地上調査により、森林タイプ別・劣化度別の炭素蓄積量を明らかに
した
• 地上調査の結果を反映させることより、森林分布図の改良が可能で
ある
• 対象国の森林の状況、利用可能なデータ・情報によって可能なモニ
タリング手法が異なることに留意する必要がある
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