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配管コストの削減と メンテナンス性を向上させた、 新しいガスシール
◆ 1 11 発′ ■ : L 本 工 ■1 1 版 h i t p l w w w n k kpob― co p , 小特集 :海 生生物付 着防止技術 2004 た 西fア ン メ 新 しいガスシール ・ユニットの形 です。 授 撥 ゝA¨ 熙 6年 磋 . jノ %れ́′ 物れ .'‐ ,│‐ 二′ ガスシールユニット プレッシャー コントローラー ]ヽ 「 黙饉軍WT会 社 ホ ームベ ー ジアドレス h t t p : 〃w w w k a n e k o c o j p The Piping Engineering .46 No.9 CONTENTS lll l●海生生物付着防止 と後処理技術 員 除 去 装 置 積 :習 裏 尊 3層 芦 州 群 団電力中央研究所 坂 口 勇 ] 」FEエンジニアリング的 此 島信幸 小 木曽康介 6 GAF研 究会 10 カボーテック 大 庭忠彦 五味 誠 システム ス 7ム mナ 主 物 4寸着 │万1LEノ ‖割 ●酸素 による海生生物付着防止 lal東 芝電力 ・ 社会システム社 中島昌二 ・高橋玲樹 稲垣修― 根元 晃 山家信雄 14 ■展望 ・解説 ●北朝鮮 エ ネルギ ー 問題 と北東 アジア天然 ガス ・パイ プラインの実現性 …… ………著者 :北方アラスカ太平洋大学 D「 A‖on R Tussing/訳編者 :エネルギー ア ナリスト 薄 羽景郎 17 ―ィンターバルブテクノロジーい 宮 田 弘 24 ●No.4 Valve World 2004 Conference&Expo一 … … … … 働 電力中央研究所 若 林雅代 杉 山大志 29 ●京都 メカ ニ ズムとはi可か … … … … … …… … ■設計 ●解析 によるプラン ト機器 の寿命評価 システム …… … … … ●化 学 産 業 に お け る リ ス ク マ ネ ジ メ ン トの 現 状 と 展 望 一 … …… 1崎重工業い 」味 曽誠太郎 35 り 曼閉 千代 田化工建言 治 松岡俊介 ・上田ナБ 41 ■運転 。保守 1島播磨重工業い 西里 頁 也 48 ●廃 プラスチ ックの石油化学原料化 とプロセス開発の現状 … …… 石り 予 ‖ ●携帯型遠隔ガ ス検知器 …… 関孝弥/ア ンリツい 菊川知之/東京ガス エ ンジニアリング的 小林 博 55 東 京ガスlal 丼 岩丼隆 60 ●緊急遮断 システム … … … …… … ………… … … … ……… 東 洋バルヴい 」ヽ ー ー ロ 藤 明 65 ●管用テ バ転造おね じカロ エ 自動オ プン転造ヘ ッ ド&搭 載マ シン レ ッキスエ業IAlカ │ │l│E│口 │層 L│ I│ 1 目 障 ●配管設計入門 。再入門講座⑤ …… … PEコ ンサルタン ト高橋 高 橋利彦 ●配管装置の トラブルとその未然防止④ 一 … … 西 野配管装置技術研究所 西 野悠司 フ3 ー … … … …… … ………… … … …91 0 191PIα 均伽sカ … … … … … … … …… …0 4 4 0 広 告 目次 ー ●ベ ンダ ズ リス トー製造販売会社 一 覧 ― - 0 2 9 │=│■ ■│ ●「 水問題」と配管技術 ⑤水道事業の民営化と配管技術 … 本 田久親 85 く1) 海生生物付着防止と後処理技術 ・ H0405‐15 0386‐9894/04/Y500′ 言諮tl」CLS ノ j囀集 :海生生物付着防止技術》 《 海生生物付着防止 と後処理技術 Q電 力中央研究所 坂 口 勇 Isamu Sakaguchi 1. は じめに 海に住む生物の中に基盤に付着 して生息する生物が あ り、付着生物 と呼ばれている。海水の取水管はこう とができる。原子力発電所 に関 してはまだこのような まとまったアンケー ト調査がない。 この調査報告書 に した付着生物にとって格好 の住処 となってお り、付着 生物が原因となって様 々な障害が発生する。火力 ・原 用 い られているかその概要を知 ることがで きる。以 下、火力発電所で用 い られている付着防止技術 の実施 子力発電所 の冷却水路系 において障害を防 ぐために、 これまで付着生物対策技術が開発 され 現在も新 たな 技術開発が行われている。付着生物対策技術 には、付 割合 はこの報告書 による。 (1)防 汚塗装 約 8割 の火力発電所 で防汚塗装を実施 している。用 い られている防汚塗料の種類 としてはシリコー ン系が 着 を防止する技術、復 水器な ど主要な機器 に付着生 物が流入するのを防止す る技術、付着 した生物が成長 す るのを防 ぐ技術、付着 した生物を除去する技術、除 去 された付着生物を処理す る技術 などがある (坂口, 2003)。本稿では、付着を防止する技術 と除去 された 付着生物を処理す る技術 (後処理技術)に ついて述べ る。 2.付 着防止技術 発電所 の冷却水路系 において主に実施 されている付 着防止技術 は、防汚塗装、薬液注入、高流速であ る。 この他、紫外線、超音波、 レーザーなども研究された よりわが国の火力発電所 でどのような付着防止技術が 最 も多 く148発 電所)次 いで亜酸化銅系 (35発電所) である。筆者が これ まで調査 。見学 させていただいた 発電所 では、必ず しも冷却水路系全体にわたって全て の面を防汚塗装 してはおらず、付着 しやすい場所 (例 えば循環水管 の曲管部)や 重要な場所 (復水器な ど) に限定 して塗装する例 も見 られた。 また、塗装する面 が乾燥 していないと塗装できないため、抜水 できない 海底 の取水管や水はけの悪 い取水路底部 には適用でき ないとしヽう施工上の制約がある (写真 1)。 防汚塗装 カミ 紫外線がオー プ ンラック式LNG気 化器 トラフの 海生生物付着防止 に使用された実績がある他 は、発電 所 での実施例はないと思 われる。電気を用 いた防汚技 一 術 は、近年複数の技術が開発 されて 部の発電所 で試 験的な運用が開始されている。 火力原子力発電技術協会が平成 11年 までに運転 を 開始 した我が国108の事業用火力発電所 (1研 究所を 含む)を 対象 にア ンケー ト調査 を実施 し (平成 13年 8月 に記入を依頼 し、14年 3月 に回収)平 成 15年 に 報告書をまとめた (火力原子力発電技術協会,2003)。 調査 した発電所数は105、総ユニ ット数 は305で あっ た。10年前の平成 5年 にも同様に実施 したアンケー ト があ り、 この10年 間の付着生物対策の進歩 を知るこ 写真 1 シ リコー ン系防汚塗装 した取水路壁面と防汚塗装できない底 面の付着状況。ムラサキイガイとヒトデが約 10cmの 厚みで 堆積 配管技術 2004.8.1 ・ (2) 海生生物付着防止と後処理技術・ には付着防止効果が持続する期間 (耐用期間)が あ り、防汚成分が溶出してしまうと付着防止効果がなく なる。平成 5年 度のアンケー ト調査では、塗装頻度が 2年 /回 に対 し、平成 15年 度は 4年 /回 に延長 され る発電所が増加 している。 (2)薬 液注入 薬液注入は約 4割 のユニ ットで実施 されてお り、そ の 9割 が海水電解液を注入 している。海水電解液注入 により次亜塩素酸およびこれがアンモニアと結合 して クロロアミンが生 じ、 これらを合わせて残留塩素 とい う OIS K0102)。 残留塩素濃度 は、冷却水路 を流れ るうちに海水中の物質 と反応 して徐 々に濃度が低下す る。残留塩素濃度が高 い取水口付近の取水路 では付着 防止効果が大 きく、水路壁面は清浄に保たれている が、取水路を流れるうちに残留塩素濃度が低下 して、 取水路下流や復水器ではフジツボ類やイガイ類などの 付着生物力平十着することがある。このため、薬液注入 と防汚塗装など他の対策を併用する例 もみられる。水 路を流れる海水 の水質により残留塩素濃度が変動する ため、定期的に残留塩素濃度を測定 し海水電解液の注 入量を調整 している。多 くの場合、海水電解液 は取水 口に注入 され、放水口で残留塩素濃度の濃度管理をし ている。 (3)高 流速 流速が速 くなると付着生物の付着量 は減少す る。ア ンケー ト調査 によれば約 1割 のユニ ットの循環水管が 平均流速3.4m/sと 高 い流速であった。流れが安定 し ている直管部では付着抑制効果が見 られるカミ 流れが 乱れて低流速の部分が発生する曲管部、分岐部などで は防汚塗装が必要である。 w/m2で ぁった。 取水路壁面に導電性の塗膜 を施工 し、数Vの 直流 電圧 を負荷 する と、陽極表面付近は酸性雰囲気、陰 極表面付近はアルカリ性雰囲気 となる。それぞれが海 洋生物 に対する忌避効果を有 しているので、海洋生物 の付着を防 ぐことがで きる (宇佐美,2001)。 発電所 取水槽 に導電塗膜 を施正 し、 4年 間の通水試験 を実 施 したところ電流密 度を適切に維持すれば良好な防汚 効果が認められた (門谷他,2000)。 コンクリー トにチタン溶射 し触媒を施 した供試材は 設定電位 1.OV(SCE)以 上では、優 れた防汚効果を 発揮 した (大庭,1998)。 このほか、水中パ ルス放電 を用 いた付着防止技術 (国友他,2003年 )、鋼板 にパ ルス電流 を印可す るこ とにより炭酸カルシウムなどからなる皮膜の析出/溶 解現象 を鋼板面に生 じさせ付 着 を防止す る技術 (石 井,2003)な どの研究が行われている。 3.後 処理 技術 冷却水路系に付着 した海生生物は、定期点検時な どに高圧 ジェット洗浄水や人手による掻 き落 としで落 とされた後に、バキューム車などを用 いて排出される。 水中で除去が可能な、水中清掃 ロボットも何種類か開 発 されてい る (山田,1998、 香川他,2001)。 発電所 の取水槽での海生生物の除去作業の様子、取水路に設 置された除塵機により日常的にツト 出されるミドリガイ の状況を示す (写真 2∼ 写真 4)。 取水路な どから取 り上げられた貝類 を処理す る技術 について述べ る。平成 5年 度のアンケー ト調査 では火 (4)防 汚金属 銅は昔から防汚性能があることが知 られていた。キ ュプロニ ッケル、ベ リリウム銅などの銅合金 も防汚性 能を有 してお り、一部の発電所 の小日径配管で使用 さ れた例がある。10%丹 銅溶射皮膜は防汚性能に優 れて いる (安友,2001)、 10%キ ュプロニ ッケル板、亜鉛 板 は強い付着防止効果があった (柳原,2001)な 報告がなされている。 どの (5)電 気を用 いた防汚技術 微生物皮膜の形成 を電気化学的 に防止 して大型生 物 の付着を防止する電気化学的防汚 システムが開発 さ れた。ライニング材 として導電性 ゴムを用 いた試験 力ヽ 125Aの 海水配管で実施 され良好な付着防止効果 が認められた (矢野,2000)。 この試験での電圧は約 2.5V、電流密度は30∼ 100mA、 投入電力は平均0.17 2 配 管技術 2004.8. 写真 2 発 電所取水槽での除去作業の様子。 中央に見えるのは、取水槽の壁面から除去 され たムラサイキガイ、アカフジツボの山 海生生物付着防止と後処理技術・(3) わが国の発電所 の冷却水路系 で最 も多量に付着 して いる生物はムラサキイガイである。 後処理技術 の多 くはムラサキイガイの処理を念頭 に おいて開発 されている。 ムラサキイガイは ヨー ロッパ ではムール貝 と呼ばれ養殖 されてお り、食用にされて いる。従ってきれいな海域に生息するムラサキイガイ で生鮮な状態 で上手 に取ることができれば食用にする ことも夢ではない。 (1)魚 の餌 としての利用 達 していないカミ 魚の餌 現在 は食用までは研究カラ」 にする研究が進んでいる。 ムラサキイガイの貝肉はた んぱく質含量が高 く、必須ア ミノ酸組成 も良いことか ら魚 の餌 の原料 として有望である。 ヒラメの飼育実験 を行 ったところ、ムラサキイガイ肉乾燥粉末により、 ヒラメ飼料中の魚粉 たんぱ く質の60%程 度が置換でき ることがわかった。 ムラサキイガイ肉を含む飼料区で は、 ムラサキイガイを含まない対照区と同等以上の成 長、飼料成績を示 した。殻付 きムラサキイガイを含む 飼料区では、灰分含量が高 いことから、飼料効率、 タ ンパ ク質効率 はわずかに劣ったが成長については対照 区 と差がなく、飼料 として利用 で きることが分かつた (菊池,1"7)。 貝肉を利用す るためには、貝殻 と貝肉を効率的に分 離す る方法が必要である。酵素分解 について検討 し、 パパ インとトリプシンを50∼ 70℃ で用 いると、貝肉 は容易に貝殻か ら分離 ・回収で きることが分か つた。 力発電所 の除貝量 の合計 は 3万 7千 トンであったが、 平成 15年度のアンケー ト調査 によれば2万 トンに減少 得 られた貝肉のパパ イ ン、ト リプシン分解物 を10∼ 20%含 む飼料 を作成 し、初期体重4gの ヒラメを 6週 間飼育 した。酵素分解物 の添加 により、 ヒラメが良 く 餌 を食べて成長が促進されるなど、飼料添加物 として の有効性が確認された。また、 ムラサキイガイから熱 した (火力原子力発電技術協会,2003)。 主な処理方法は、埋立 (63発電所)、焼却 (20発 電所)、有効利用 (30発電所)で あ る。平成 5年 度 と比較すると、平成 15年度の調査では、埋立が76発 水抽 出 したエキスを5∼ 20%含 む飼料を作成 し、初期 体重 10gの ヒラメを 6週 間飼育 した。エキスの添加 に より、 ヒラメの摂餌が増大 し、成長が促進 された。効 一 果 は添加量 によらず 定であった。エキスを添加 した 電所か ら63発電所 に減少 し、有効利用が 8発 電所か ら3Cl発 電所へ と大 きく増加 してい る。また、海生生 区では、飼料効率の向上 も認 められ、飼料添加物 とし て極めて有効であることが分かつた (菊池,2∞ 2)。 物 の種類 によ り、 クラゲは埋立により処理 し、貝類 は有効利用するとい うように処理方法 を分けてぃ る 発電所が複数あ った。有効利用 を行 っている発電所 (2)水 質浄化材 としての利用 ムラサキイガイの殻カミ 魚 の養殖に用 いる濾過槽 の 写真 4 ミ ドリイガイの拡大写真 は、30発電所 と大幅に増加 したが、利用方法別の内 。 3、 訳は、肥料へ の利用が もっとも多 く その他 に土 に 質改良材 ・構内土壌改良材に利用 `汚泥等の固化剤 (1ヽ ・ 原料として提供 ヽセメント原料として提供 埋立 )な どがある。 脱硫剤の補助として利用“ 材として利用②、 濾材 として有効であること、pH調 整能力があること、 破砕 または加熱処理 した殻はりんなどの栄養塩 の吸着 材 として利用で きることが明 らかになった (本田, 2004)。 (3)肥 料 ・土壌改良剤 への利用 肥料への有効利用 に関 して、複数の電力会社 で研究 配管技術 2004.8.3 ・ 4) 海生生物付着防止 と後処理技術・ て された。一部の ものは事業化 されている。代表的な事 例に関 して以下に述べ る。 ① 貝 殻 を肥料 として有効利用 中部電力浜岡原子力発電所 の取水 トンネルは、約 lkmの 長さがあり1号 機から4号 機を合わせた トンネ ルの壁面積は約6Cl,000m2にもおよぶ。 この トンネル壁 面にはム ラサキイガイ、 フジツボなどの貝類が約 15 cmの 厚 さで付着 している。取水槽では、取水 トンネ ルの壁面か ら剥離 した貝類が堆積 し、砂 といっしょに 貝殻 を排 出 してい るが年 間3,000∼4,000m3に 達 して いる。取水槽からツト 出される員のほとんど全てが貝肉 のついてない貝殻の状態 で回収 される。砂 と貝殻 の分 洗浄し、貝と汚泥に選別する。洗浄した貝は、破砕機 で粗破砕 した後、脱水機で脱水する。 この貝は、発酵 槽へ種菌とともに投入する。発酵槽では、24時間とい う高速発酵を行い、その後含水率5%ま で乾燥させる。 乾燥が終了した貝発酵物は規定の大きさ以下になるよ う破砕 し出荷装置へ送 る。洗浄後、貝と分離した汚泥 は、廃水処理系へ送 られ、廃水処理の過程で脱水 した ものを発酵槽へ 投入す る。種菌を加え高速発酵処理 した後、真空乾燥 させ5%ま で含水率 を低下させる。 汚泥発酵処理物も貝と同様、乾燥後出荷装置へ送る (坂井他,2001)(写 真 5)。 離 は、分級機 (大型回転式ふるいでふるいの 目の大 き さは2mm)で 行 われる。貝殻 はス トックヤー ドで半 年から 1年 間仮置きして降雨にさらす ことによ り脱塩 される。貝殻の仮置 き暴露試験の結果によれば塩分濃 度は、分級後 の貝殻塩分量o.3%程 度が 4カ 月後には 0.05%未満へ と減少 した。脱塩 された貝殻原料 は粗大 物 (ごみ)を 除去 し、貝殻の乾燥を行った後に粉砕機 を用 いて最大粒径3mmを 目標 に粉砕 し、20kg単 位で 袋詰 される。袋詰めされた製品は佐倉サービスセンタ ーの直販 と、静岡県経済連 。農協を通 じた販売網によ って周辺地域へ流通 している。肥料販売開始の平成 9 年か ら平成 10年 12月 までの累計で総販売量が約500 トンとなっている (水谷,1999)。 写真 5 貝 処理施設のタト 観 (東北電力新仙台火力発電所構内に設置された施設) ② 発 電所の外部 の処理業者 に委託 して 肥料に有効利用 している例 移動式で 日開き7mmの 網を有 し、振動式あるいは 回転式選別機で貝殻 と貝肉等に分別する。貝殻は移動 式粉砕機により粉砕 し肥料原料 とする。貝肉等は遠心 分離機により脱水 した後、肥料原料 とする。粉砕貝 殻 ・脱水貝 肉は他の食品加工などから出る有機廃棄物 や鶏糞などの有機肥料原料 と混合乾燥 し、水分 を50% とす る。乾燥後、室内に山積みし、下から空気を吹 き 込み発酵 させ、貝類含有有機肥料を製造する。貝類含 Aを 主 有有機肥料 は、全農中央会品質であるため、」 体 とした現状 の販売ルー トに乗せることができる (土 田,私 信)。 この方式 の特徴 は、食品加工廃 棄物などを定常的に 肥料化 している外部業者 に委託 して発電所 の定期点検 時に排出される貝類 を処理するため、 自前の設備や運 転要員が不要なことである。 ③ 除 去貝 。汚泥の肥料化 発電所からり「 出される貝 ・汚泥をバキューム装置で 吸引 し、洗浄装置へ移動 させる。洗浄装置では真水 で 4 配 管技術 2004.8. ④ 低 温条件下での コンポス ト化 の研 究 発電所取水路沈砂池から排出された付着生物を原料 として用い、市販 の コンポス ト類 を副材料 として20% 加えて発酵 させた。冬期間の発酵処理における防寒対 策は、北海道において もビニールハ ウス程度の施設で 十分 と考えられる。仕上がった付着生物 コンポス トの 肥料要素成分は、市販 のコンポス ト品に比べて少ない 仕上が りとなったが、土壌改良剤 として有効な貝殻成 分が豊富に含 まれていた (川北他,1996)。 ⑤ 芝 の刈 りかす、ホンダワラを副材料 とした コンポス ト化の研究 取水路除去貝、芝の刈 りかす、ホ ンダワラを原料 と して発酵槽内で発酵 させて コンポス トを作成 した。貝 殻分を除いた コンポス ト化原料 の含水率を50∼ 65% 程度に、有機分 を強熱減量 で約 27%以 上 に調整 し、 通気を行 うことによ り好気性発酵 させることが可能で あることを確認 した。平成 8年 4月 、肥料取締法に基 づ き特殊肥料 「 富山県第204号 」 として名称 「シェル ・ (5) 海生生物付着防止 と後処理技術。 コンポス ト」 (普通)(粉 末)が 、 さらに同年 H月 に は 微 状)が 受理された (浜田,1"8)。 (4)複 合的な処理 ・千1用システム 貝類 は洗浄分級設備により、洗浄貝、砂、 スカムに 分けられる。洗浄貝は、構内埋め立て処分、セメント 原料化、脱硫剤、緑化基盤材な どに利用 されている。 スカムは固化処理設備で固化 され緑化基盤材に利用さ れる。洗浄貝 と有機系乾燥物 は日本エコサイクル土壌 協会が全国ネットで展開す る緑化基盤材の原料 として 有効利用できる。 このシステムは、複数の発電所に設 置されている (出回,1999)。 (5)残 土改良材への有効利用の研究 建設現場から発生 した残土は、良質土 とそのままで は埋め戻 しに適さない不良土 とに分類 され、不良土は 土質改良プラン トにて生石灰等の改良材 と混合処理さ れ、一定の品質を満たす埋め戻 し材 として再生 され る。従来、残土改良材 として工業用生石灰が多 く用 い られてお り、添加量 は添加率で3∼ 5%程 度で あ る。 工業用生石灰 の代替 として、貝焼却生石灰等 の火力 発電所廃棄物の利用が考えられ 試験施工を行 ったと 今後 もより有効に低 コス トで実施できる付着防止技 術 の開発 と、廃棄物のゼ ロエ ミッション化 のための後 処理技術 の開発が必要 とされている。 <参 考文献> (1)坂 日,発 電所の汚損生物対策技術の展望,Sessile Dr解″Ftts, 20(1), 15, (2003) (2)① 火力原子力発電技術協会,火 力発電所 における海生生物対策 実態調査報告書,157pp, all13) (3)安 友他,丹 銅溶射による防汚技術,2001年 電気化学秋季大会講 演要旨集,21,(2KX11) li物の付蒼防止,2001年 電 (4)野 中他,金 属防汚パ ネルによる海生イ 気化学秋季大会講演要旨集,21,(2∞ 1) (5)失 野他,発 電所への電気化学的防汚 システムの適用試験結果につ いて,2000年 電気化学秋季大会講演要旨集,182,(m∞ ) (6)字 佐美他,導 電塗膜による無公害海洋生物付着防止技術,三 菱重 工技報,3811ヽ48,(2001) 0 門 谷他,海 生物付着防止対策の研究,火 力原子力発電,5■ 4), 473, (2000) ー (8)大 庭他,チ タン溶射皮膜またはチタン材をアノ ドとした海生生 物付着防上方法,1998年 電気化学会秋季大会講演要 旨集,94, (1998) (91 国友他,水 中パルス放電 による貝類付着防止,2003年 電気化学 秋季大会講演要旨集,302,(2∞ 3) 00 石 井他,GAFシ ステムによる防汚実証実験,2003年 電気化学秋 ころ工業用生石灰 と比較 して残土改良材 として同程度 の性能を有 していることが確認 された (高橋,1992)。 そのほか地盤改良材への利用、貝殻微粉 のアスフア ル トコンクリー ト材料へのリサイクルに関す る室 内試 季大会講演要旨集,303,(2003) llll 香 川他,火 力発電所取水路点検 ・清掃 ロボットの実用化,2001 年電気化学秋季大会講演要旨集,25,(2∞ 1) 験が行われ利用で きることが示 されている (貝沼他, 1992)。 池他,養 魚飼料原料 としてのムラサキイガイの利用,電 力中央 l131 菊 4.お わ りに 発電所に付着 した貝類 の肥料化 を図る場合 に以下の ような問題点が指摘 されている (前林,1994)。 ① 発 電所の定期点検時に排出される場合が多く、 原料となる付着生物を確保する時期が限定され る。 ② 貝 類の多 くが取 り上げるときに死亡 して貝肉が ないことがあり窒素分が少なく、このため付着生 物のみでコンポス ト化することは難 しく、C/N比 を適正にするために動 ・植物材料を加える必要が ある。 ③ コ ンポス トの価格 は安 く、販路を確保すること 力諄性しい。 このような問題点を解決するために、(3)項 で述べた ように、貝殻 を肥料とするや り方、発電所で専用設備 は設けずに発電所の外部の処理業者に委託 して外部の 有機性廃棄物の処理に合わせて実施する方法などが工 夫されている。 ⑫ 山 田,日 立造船の各種冷却水系統 メンテナンスロボットの概要, 1998年電気化学会秋季大会講演要旨集,86,(1998) 研究所研究報告U97021,13pp,(1997) 0り 菊 池他,養 魚飼料添加物 としてのムラサキイガイ分解 ・抽出物の 効果,電 力中央研究所研究報告 U01034,19pp,(2002) l151 本 田他,発 電所付着生物の殻を用いた水質浄化 ―濾材および吸着 材 としての特徴 ―,電 力中央研究所研究報告U03034,9pp,ω 004) 00 水 谷他,浜 岡原子力発電所取水槽で回収 される貝殻の有効利用, 電力土木,280,40,(1999) 0つ 坂 井他,火 力発電所除去貝 ・汚泥の全量堆肥化 と集中処理施設 の導入,電 力土木296,111,(2001) ヒ 他,水 産廃棄物の肥料化 に関する研究 ―苫東厚真発電所取水 09 り│‖ 路付着生物のコンポス ト化試験 (中間報告)― ,29pp,(1996) 09 浜 田他,取 水路除去貝等のコンポスト化,火 力原子力発電,4919λ l154,(19%) 1201 出 口,海 水冷却水施設の合理化技術について,無 公害生物付着防 止対策1999,輌夢え イ 鮮 協会海生生物汚損対策懇談会),8_2,(1999) 10 高 橋他,火 力発電所取水路清掃貝等の残土改良材へのリサイク ル,平 成 4年 度東京電力技術研究所報,44,(1992) の 貝 沼他,火 力発電所廃棄物の土木分野へのリサイクルに関する室 内試験結果について,電 力土木,237,11(1992) の 前 林,付 着生物の肥料化 に係わる問題点、海生生物による障害 と ― 対策 -10年 を振 り返 り、10年を展望す ,電 気化学協会,海 生生 物汚損対策懇談会,(1992) (筆 者紹介は■e y " a r 島" 列 い 配管技術 2004.8.5 ・ 取水路内底面堆 積貝除去装置 ・ 〈1 ) H040219 0385‐ 9894/0″γ5oo′ 論X/」CLS 小特集 :海生生物付着防止技術》 《 取水路内底面堆積貝除去装置 <構 造概要及 び除去能 力 の紹介 > F E エンジニアリング榊 此 島 信 幸 」 Nobuyuki Konoshima 小木曽康介 Kousuke Ogiso を取水 し使用 している。 そのため、取水路底面に大量 に堆積 した貝 (ムラサキイガイ、みどり貝等)が 海水 の取水に大 きな影響 を与え、設備の稼働に支障をきた す ことがある。最悪 の場合 には、発電を停止せぎるを 得ない状況 も考えられる。 QM H 8 3 8 R 1. は じめに 火力 ・原子力発電所では、冷却水 として大量の海水 こうした状況を回避するため、当社は取水路底面に 堆積 した貝類 を低速で回転するカッター と水中ポ ンプ 取水路側面図 によ り捕集 し、地上の集積所 に排出する装置 を開発 し、中部電力殿川越火力発電所に納入 した。 取水路平面図 本稿では、 この堆積貝除去装置の概要 とその性能に ついて解説す る。 2.装 置概要 本装置は第 1図 に示す範囲の取水路底面に堆積 した 貝を、水中ポ ンプにより吸引 し、簗場内の風千床に排 出することを目的 とした装置である。また、作業は平 行に並ぶ 2系 列の取水路に跨 るため、装置の駆動範囲 取水路断面図 第 1図 取 水路構造 と除貝作業範囲 に存在する仕切壁及び桁 との干渉を自動的に避けなが ら、除去作業は行われる。 2-1 要 求性能 道路下の取水路底面 には高さlm程 の貝溜 り壁があ り、その上流側に貝が堆積 している。事前に行 った取 水路底 の調査等から 1日 の貝 の処理量は約24m3と 設 を自動的に動 き、 スライ ド管を降下 させカッターを付 属 した水中ポ ンプを取水路底面まで下ろし、ポ ンプで 定され、作業は自動運転 (完全無人化)に より、半 日 の 4時 間で行 うことが要求 された (除去性能 :6m3/ hr以上)。 吸引 した堆積貝を地上 まで排出する。当社で行った調 査結果によると、水中ポ ンプカ潮卜 出する海水中に含ま れる堆積貝 の割合 は、海水 :貝 =93:7で あったた また装置 は取水路内の流水中で作業を行 うため、そ の構造には十分な信頼性 と安全性が求 められた。 2-2 装 置構成 め、6m3/hrの 除去性能を確保するためポ ンプ吐出能 装置概要を第 2図 に、装置仕様を第 1表 に示す。 装置は走行装置 と横行装置 の組合せにより取水路上 6 酉 己 支綱 籠 貯 2004 8. 獣ま 力 は90m3/hrに 設定 した。 取水路上での装置の動 きの概略を第 3図 に示す。 本装置の構成 とその概要を以下に示す。また装置全 景を写真 1に 示す。 ・ 〈2 ) 取水路内底面l t a 貝 除去装置・ (1)駆 動系 帯 ① 走 行装置 2系 列の取水路 を跨 ぐ4本 足 の門型 フレーム構造で あ り、取水路 の上面に敷設された走行 レール上を走行 ウイ ンチ及びワイヤにより上流 ―下流方向に駆動す 横行台車 操作 パネル _市 スライド管 る。リ ミツトスイツチ (以下 LS)に より位置検出を 行 い装置の動作 を制御する。 ② 横 行装置 走行装置上 に敷設 された横行 レール上に設置 され、 横行 ウインチにより回転する車輪で 自走す る。走行装 置 と同様 にLSに より位置検出を行 い、装置の動作 を 市1御す る。 第 2図 装 置概要図 ER某掟 第 1表 装 置仕様 除貝性能 60m3/hr 除貝ポ ンプ吐 出量 9oomシ hr(15m3/min) 貝だまリタンク容量 5.5m3/hr 装置作動時間 1000∼ 14∞ (約4時 間/2取 水路) 走行装置 装置速度 主要材 31m/min 横行装置 2.Om/min 昇降装置 32m/min 没水部 SUS316L 架構 他 SS400 第 3図 装 置の動 き概略図 3) 取水路内底面堆積貝除去装置 ・ 〈 ③ 昇 降装置 横行装置上にセットさオ 仏 スライ ド管 (内管 と外管 の 2重 構造)を 昇降用ウインチ及びワイヤにより、上 昇 ―下降方向に駆動させる。スライ ド管の先端には水 中ポンプ (除貝ポンプ)及 びカッターを組み込んでい る。高さ検出は近接 スイッチ及びロータリーエンコー ダにより行い、装置の動作を制御する。 またワイヤに はロー ドセルが組み込まれており、水中ポンプの下端 設定位置を大きく越える貝が堆積 した場合、昇降装置 下降中にポンプが堆積貝の山に乗 り上げてしまった状 態を検出し、自動的に一定量昇降装置を上昇させ、作 業を続けることができる。この動作 は下端設定位置ま で繰 り返され、最終的に取水路底面までの堆積員を吸 引することができる。 (2)除 貝 ・搬送系 ① 除 貝ポンプ 昇降装置のスライド内管の先端に取付けられた水中 ポンプであ り、カッターとの併用 により取水路底面の 堆積貝を有効に吸引する構造となっている。除貝ポン プの吸引回の上流側に設けられた低速で回転する2個 のカッター (電動機駆動)に より、周辺の堆積貝を有 効 に吸引口に導 くことができる。 ② スライド管 内管と外管の 2重 構造であり内管内を海水 と貝が通 り、外管はその保護の役割を持つ。 ③ 樋装置 横行樋は走行装置上に設置され、 スライド管により 吸引された貝を受け、走行樋まで導 く役割を持つ。ま た走行樋は取水路脇に設置され横行樋からの貝を受 け、貝だまリタンクまで導 く役割 を持つ。 ④ 貝だまリタンク 取水路 より吸引された海水 と集積貝を一旦貯蔵する タンクである。 ⑤ 搬送ポンプ 貝だまリタンクの底部に設置された水中ポンプであ り、海水 と集積貝を風千床まで搬送する役割をもつ。 搬送ポンプの発停は貝だまリタンクに設置された液面 計により制御される。 ② 操 作盤 走行装置上に設置され、主に現場における手動運転 時に使用 される。 ③ 受 電盤 貝だまリタンク脇に設置され、本装置の駆動 ・制御 電源を供給する。 なお、操作盤及 び受電盤には、装置の緊急停止用に 非常停止ボタンカ平寸いている。また、自動運転中に何 らかの異常が発生 した場合には装置は自動停止 し、中 央操作室に警報を発すると共に異常の内容を操作盤に 表示するため、安全な運用が可能 となっている。 2-3 運 転モー ド 本装置 は、状況に合わせて自動モー ド及 び手動モー ドによる運転を選択することがで きる。これによ り、 作業員の省力化 と装置の安全性を図っている。 自動 モー ドは、設定 した時間になるとタイマーによ って起動 し自動的に待機位置から作業を開始 し、2系 統の取水路での作業を順次行い、作業終了後には自動 的に待機位置に復帰 し、翌 日にはまた同様 の運転を行 う。 手動モー ドは、装置の個 々の動作 を全て現地操作盤 のスイツチ、ボタンを操作す ることによ り、状況に合 わせた運転を手動で行 うことができる。 3.性 能確 認 本装置 は、試運転時にシーケ ンスに従った機械的動 作確認に併せて、性能確認試験 (6m3/hr以上の堆積 貝を風干床に排出すること)を 行 い、装置が十分 な性 能を有 していることを確認 した。写真 2に 堆積貝の風 干床への排出状況を示す。 出管 ③ ツト ポンプ 搬送 出側から風干床まで敷設された配管であ (3)制 御系 ① 制 御盤 走行装置上に設置され、予め組み込まれたシーケン スに従 い本装置の全ての制御を行 う。 8 配 管技術 2004.8 写真 2 堆 積貝排出状況 ・ 4) 《 取水路内底面堆積員除去装置・ 性能確認試験 は以下の要領で行 つた。 (1)計 測方法 ●測定時間 :横 行台車片道走行分 (2.5分) ●波1定回数 :3回 (平均値により判定を行う) ●測定方法 :各 測定時の排出貝量 を測定 (2)計 測結果 ● 1回 目 :0.255m3/25分 ● 2回 目 :0.225m3/2.5分 (=6.12m3/hr) (=5.40m3/hr) ● 3回 目 :0.585m3/2.5分 (=1404m3/hr) ●平均値 :8.5m3/hr>6.Om3/hr → 性 能満足 4.お わ りに 本稿では、当社が開発及び製作 を行った堆積貝除去 装置についてその概要 と除去性能について紹介 した。 本装置 は中部電力殿川越火力発電所 に2CX12年2月 に 納入 されてか ら、現在まで順調に運転 を続けてお り、 取水路底面での貝 の堆積 による発電所 の トラブル回避 に貢献 している。 本装置 はその構造上、取水路構造及び水深を選 ばず に流水中の運転力νテえるため、広 く発電所内の取水 ・ 放水設備 において適用可能であると考える。 此 島信 幸 (昭和 38年 10月17日生 ・北海道出身) JFEエ ンジニアリング抑 エネルギーエンジエアリング事業部 エネルギーシステム技術部 設 計室 〒2308611 横 浜市鶴見区末広町2-1 505‐ 8941 7515 FAX:045‐ TEL:045‐ 505‐ eng.co』 E‐ Mall:konoshima‐ nobuyuki@ife― p 」沐 曽康介 (昭和 43年 6月 6日 生 。千葉県出身) FEエ ンジニアリング榊 」 エネルギーエンジエアリング事業部 エネルギーシステム技術部 設 計室 〒230‐ 8611 横 浜市鶴見区末広町2-1 TEL:045-505-7515 FAX:0455058941 E― Mal:ogisckosuke@ife― eng.cojp 写真 3 性 能確認試験状況 │工 1知 │ゆ 1世 │■ │ │ネ 141ヽ ジ│'│お 業■誨1輔 ,■■│■ 1日 1春 インタ│■ 当社では、イ ンターネッ トのホームペ ージを運営 してお ります。 http://www.nikko― p b co.jp/ 一 月刊技術誌 に加 え更に広 く情報受発信 を行 い、明 日の技術 に貢献 してまい りたいと存 じますので、是非 度 アクセス していただ きます様お願 い 申 し上げます。 また、合わせてe_mailによる、当社刊行物へ のご意見 ご要望 もお待 ち してお ります。 社) e=mal!:info@nikko― pb.co ip(本 i k k po b‐ c o J O (本 橋事務所) e― m a i l : i nnf@on― 日 日 本 工 業 出版船 イ ン タ ー ネ ッ ト係 TEL 03(3944)1181 FAX 03(3944)6826 配管技術 2004.8.9 G A F シ ステム¨・ (1) H0402‐ 15 0385‐ 9894/0″ γ500′ 后 命贄OCLS 小特集 :海生生物付着防止技術》 《 GAFシ ステム <環 境 に優 しい海洋生物付着防止システム> GAF研 究会 1.は じめに 臨海発電設備の取水路 や海洋構造物、船舶などで は、海洋生物が付着 ・群生 して、冷却効 率 の低下、 維持管理効率の低下、エネルギ ー効率の低下などの直 接的な トラブルが生 じている。 さらに、付着 した生物 の除去 において生物死滅 による悪臭や産業廃棄物処理 などの環境問題への対応が課題 となっている。 これら海洋生物付着の対策 として、スクリー ンなど を用 いた機械的方法、高水流を利用 した物理的方法、 塩素や銅イオンを利用 した化学的方法、亜酸化銅系 の 防汚塗料の塗布工法などがある。 サブ コール社で開発 されたGAFシ ステムは電気化 学反応を利用 し、有毒な物質 を生成 させることなく海 洋生物 の付着を防止 させるシステムであ る。本稿 は として、-770mV v.s.SCEよ り卑な電位を保持する規 準を採用 している場合が多 い。 (2)防 汚 ・防食のメカニズム 第 1図 にGAFシ ステムの概念図を示す。防汚対象 領域にGAF電 極 と呼ばれる一種の陽極か ら防汚パ ル ス電流を通電する。電流の大 きさの基本は、対象であ る鋼板が防食されるように2-1(1)で 示 した防食規準 を満足す るように決定 している。パルス電流であるた めに鋼板表面上では、アノー ド反応 とカソー ド反応が 生 じることになる。そ こで、それぞれの反応 を(1)式 、 パ となるよ (3)式 うに ルス電流をさらに調整する。 GAFシ ステムの概要、適用事例 を紹介するものであ る。 ス テムの概 要 2.GAFシ GAFシ ステムは、Green Anti― Fouling(環 境に優 しい防汚)の 頭文字で表現 した もので、電気化学反応 を利用 して、防汚対象である炭素鋼板を防汚すると共 に防食するものである(lt 2-1 防 汚 ・防食のメカニズム (1)電 気化学反応と防食規準 海水中で電流を通電した場合、 アノー ド反応〕 〔 40H → 2H20+02+4e 第 1図 GAFシ ・・・ ( 1 ) ・ ・ 。 (2) 2Cl → C12+2e カソー ド反応〕 〔 2H20+02+4e→ 40H 2H++2ご H2 ・ ・ 。 (4) の電気化学反応が電極表面で生 じる。 一方、特殊 な環境 を除 き海中鋼 構造物 の防食規準 10 (3)式の反応により鋼板表面付近 の海水 のpHは アル カリ性に、(1)式によ り酸性 となる。つ まり、パルス電 流を通電することによ り鋼板表面付近 の海水 の pHが ・ ・ 。 (3) → ステムの概念図 酉 己 支引 籠 獣ま 貯 2004.8. アルカリ性、酸性 と変化することになる。この環境変 化が海洋生物の忌避効果 (一次防汚)を もたらす。さ らに、海水 pHの 変化に伴 い基盤表面上では、エ レク トロコーテイングの析出と溶解が繰 り返 される。仮に G A F シ ステム…( 2 ) ー 海洋生物が基盤上に付着 したとしてもエ レク トロコ テイングの溶解 とともに脱落する (二次防汚)。 これ がGAFシ ステムの防汚 ・防食のメカニズムである。 (3)シ ステムの構成 第 2図 に示す ようにGAFシ ステムは、基盤、GAF 電極、照合電極、配線 ・配管、直流電源装置、遠隔 監視 システムか ら構成 される6 汚 ・防食効果の検証 GAFシ ステムの防汚 ・防食効果を長崎港内に鋼板 (2X3ゝ を設置 して検証 した 2-2 防 (1)防 汚効果 防汚効果は、定期的 な目視観察、生物 の出現総種 数 と総湿重量を測定す ることにより検証 した。比較の 対象 として電気防食工法、防汚効果の薄れた旧防汚塗 料工法 とした。写真 1に 目視観察結果を、第 3図 に付 "。 着生物の総湿重量を示ず (al 旧 防汚塗料 第 2図 GAFシ ステムの構成 ① 基盤 対象構造物が鋼構造物 であれば不必要である力ヽ コ ンクリー ト構造物 である場合には、基盤 (炭素鋼板) を対象領域 に設置する必要がある。 │ ② GAF電 極 GAF電 極 は、基盤に防汚パ ルス電流 を通電 させる 役割 を果たす。耐久性能を向上させるために陽極 とし て特殊酸化貴金属被膜を施 したチタンを用いる。 ③ 照 合電極 基盤の分極電位 を測定するセンサーで、電流値を決 定す る重要なファクター となる。 (b)電 気防食 ④ 配 線 ・配管 GAF電 極、照合電極 を直流電源装置に接続す る役 割 を果たす。 ⑤ 直 流電源装置 照合電極 で測定 した基盤電位を基に、基盤に防汚パ ルス電流を通電す る役割 を果たす。 ③ 遠 隔監視制御 システム GAFシ ステムの作動状況 の把握や作動パ ラメー タ の設定 。変更を行 う。専用 回線や電話回線を用 いて事 務所にて操作す ることができる。 (C)GAFシ ステム 写真 1 生 物の付着状況 配管技術 2∞ 4.8.11 ・ 3) GAFシ ステム・ く [ せ]輔即願パ ヨ 日 〕3 2 問 鳴 準 1 0 0 2 4 6 8 実験期間 [月] 10 12 第 3図 付 着生物の総種類 と総重量の経時変化 写真 1に 示す ように、電気防食や旧防汚塗料を適用 した場合、タテジマ フジツボ (BaFanus amphftFitel やワラジムシ類が多 く出現 していた。GAFシ ステム を適用 した場合で も出現はしているものの、その量は 少ない。 また、基盤表面上にはエ レク トロコーテイン グの析出が観察された。 第 3図 に総湿重量 と出現総種数の経時変化 を示す。 適用 した工法によ り出現総種数に大 きな相違は認めら れない ものの、総湿重量は比較工法 と比較すると10% ∼30%と 少なかった。 GAFシ ステムは特定 の生物種 を忌避 させるのでは な く、環境 に優 し く防汚す ることが可能 と判断 で き る。 (2)事 例 2(写 真 3) ●構造物種類 :試験鋼板 ●適 用 面 積 : 2 0 m 2 ●海 洋 環 境 : 長崎港 (2)防 食効果 防食効果は、重量を測定 した試験片の腐食 による重 量減少量 を測定 した後に腐食速度を算出す ることによ (° り評価 した 。 炭素鋼の腐食速度 は、一般海域において0.lmm/yr. に 程度 と報告 されている ヽ 本実験においてもGAFシ ス テムを適用 しない場合 には、0.085mm/yr.と 既往の報 告 と一致する。 しか し、GAFシ ステムを採用 した場 合には、0.01mm/yr.以 下 と非常に小 さく、防食効果 は明確であった。 ステムの適用事例 GAFシ ステムは、新設 ・既設構造物や鋼構造物 ・ コンクリー ト構造物 に関わらず、取水 。放水路、船 3.GAFシ 舶、海洋構造物などに適用できる。以下に適用事例 を 示す。 (1)事 例 1(写 真 2) ●構造物種類 :コ ンク リー トケー ソン ●適 用 面 積 : 7 2 m 2 ●海 洋 環 境 : 東京湾 12 配 管技術 2∞ 4.8 写真 3 適 用状況 G A F シ ステム¨・ (4) 4.お わ りに GAFシ ステムの概要 と適用事例 を示 した。防汚 と 防食を兼ね備えた環境 に優 しい工法であ り、広汎な普 (3)事 例 3(写 真 4) ●構造物種類 :鋼管 ●適 用 面 積 : 4 0 m 2 ●海 洋 環 境 : 大阪湾 及を期待 している。 <参 考文献> (1)ヤ ンネ ・コルホネン他,海 洋生物付着防止 システムGAFの 原理, 21X12年 電気化学秋季大会 講 演要旨集,p36 ステムによる防汚実証実験,2003年 電気化 (2)松 下博通他,GAFシ 学秋季大会 講 演要旨集,p303 ステムの防汚実証実験,第 10,lH本 付着生 (3)松 ド博通他,GAFシ 物学会研究集会,2003 “)0沿 岸開発技術センター,港 湾鋼構造物 防 食マニュアル,pl_ 6 GAF研 究会 代表者〉 事務局 lalピーェス三菱 〈 (事務局住所〉 〒104‐ 8 215 東 京都中央区銀座 7-1612 G7ビ ル 的 ピーエス三菱 土 木本部 メンテナンス部 TEL:03-4562-3024 FAX:034562-3045 (事業内容及び会社近況〉 設立 :平成 14年 12月 4日 会員会社 :閉 ピーエス三菱、五洋建設徽、榊 ヒメノ、大 阪 ガスエンジニアリング騰、東京ガス ・エ ンジニアリン グ欄、明星工実抑、 日本サブコール腕 写真 4 適 用状況 事務局 :帥 ピーエス三菱 あなたの ご意見をお聞かせ ください ふだん思っていること、感 じていること、または情報交換等 あ なたのご意見なんでも結構ですので当社へお寄 せください。 ◎内容 :0本 誌への意見 ● 情報の呼掛け、困つていること ● 経験者から若い人への注文、逆 に上司ヘ の提言 ● 売 りたい、買いたい、譲 る、貸 して下 さい ● テクノ俳句 テ クノ川柳 短 歌、写真 (特に技術 に関わ りなくとも結構です) ◎掲載料 :無料…尚、掲載採用文 には薄謝進呈致 します。 ◎署名原稿 または匿名希望 も受付けます。執筆文字数は200字前後 として下 さい。 パソコン、ワープロ等で作成 し、テキス トフアイルにてお送 り下さい。 ◎締切 :毎 月末 日です。順次掲載 を致 します。 m」1又は、FAX・ 郵送で本誌編集部宛お寄せ下 さい。 ◎住所、TELな どご記入 の上、E― ■問合わせ先/日 本工業出版帥 編 集部 まで 〒H3-8610 東 京都文京区本駒込 6-3-26 TEL:03-3944‐1181 FAX:03-3944-6826 mail:infoOn法 よo― E― pb.cOjp 配管技術 2C104.8.13 酸素による海生生物付着防止システム…(1) H0403‐19 小特集 :海生生物付着防止技術》 《 酸素 による海生生物付着防止 システム 腕ナカボーテック 大庭 忠 彦 ・五 味 Tadahiko Ohba 的東芝電力 。社会システム社 誠 ヽIakoto Gomi 中島 昌 二 。高橋 玲 樹 ・稲垣 修 一 ・根本 晃 Sy●i Nak荀ima Reiki Takahashi ttuichi lnagaki Akira Nemoto 1. は じめに 海生生物付着防止対策は、これまで種 々の研究開発 と実証が進められている力ヽ 環境 に優 しく、低 コス ト で長期に亘 り確実 に防汚効果を発揮す る技術は、 これ まで実用化 されていなかった。 このため発電所では、 フジツボやイガイなどの海生生物力゛ 海水系機器内で付 着、繁殖 し、その定期的な清掃作業の実施が必要 とさ れている。また、取 り除いた海生生物を産業廃棄物 と して処理するのにも多大な労力 と費用を要 している。 当社では、この問題に対 して触媒を施 したチタンフ ルム イ をアノー ドとし、酸素 の発生領域 で通電するこ とでチタンフイルム上の海生生物 の付着を確実に防止 す るシステムを開発 した。 。山家 信 雄 Nobuo Yamaga 対象物表面か ら発生する酸素はバ クテリアの着生お よび繁殖に抑制効果を持っている。本 システムは、 こ の酸素の抑tll効 果に着 目し考案 された もので、上述の メカニズムの初期 ステップを断ち切ることによ り、海 生生物の付着 ・繁殖を防止す るとい うものである。 ステムの構成 開発 した海生生物付着防止 システムを熱交換器管板 2-2 シ 面に適用 した場合の概要を第 2図 に示す。本システム は、チタンシー ト (触媒をコーテイングしたチタンフ ィルムに絶縁 シー トを貼 り付けたもの)電 極 (照合電 極、陰極)お よび直流電源装置で構成される。管板面 に貼 り付けたチタンシー トを陽極 として電流を陰極に 流 し、海水 の電気分解 によリチタンシー ト面において 継続または断続的に酸素を発生 させる。なお、微弱 な 2.概 要 2-1 付 着防止原理 海生生物 の付着防止 メカニズムを第 1図 に示す。は 電流を通電するため酸素の発生は目視で確認できるよ うなものではなく、 ご く表層 の数μmの 界面 において 発生、消滅する。なお、チタンシー トの厚 さは0.8mm じめに、海水 に接する構造物の表面 に有機物 (たんぱ く質)力V寸着 し、 この有機物を足がか りとして、バ ク テリアが着生 。繁殖 しスライム層を形成す る。続 いて である。また、チタンシー トの管板への接着に当たっ ては、 海水温度50℃ まで安定 した接 着強度を持 つ、 リコンポ リマー とエポキシ樹脂を主成分 とした 変 V.Lシ スライム層 の上に藻類が着生 し、藻類 を足がか りとし てフジッボやイガイ類な ど海生生物 の稚貝 (幼生)が (1ゝ 付着 ・繁殖 ・成長する 弾力性接着剤を選定 した。 陰極および照合電極は、それぞれ電気防食で実績 の あるステ ンレス 6USU316L)電 極 と海水塩化銀電極 を使用 した。 構造物の表面に有機物 (たんぱく質)付 着 バクテリアの着生 ・繁殖 × スライム層の形成 藻類の付着 海生生物 の付着 第 1図 海 生生物の付着メカニズム 14 配 管技術 2004.8. 3.モ デル試験 による検証 デル試験装置 3-1 モ 発電所構内に写真 1に 示す復水器モデルを設置 し、 海生生物付着防止装置の検証を2年 間にわた り実施 し た。本試験 では同一仕様 の 2台 の復水器 モデルを製作 し、うち一方のモデルの入日、出口水室内に海生生物 付着防止 システムを設置 した。 もう一方は比較のため 海生生物付着防止システムは設置 しなかった。海水 は ・ 《2) 酸素による海生生物付着防止システム・ チタン製管板面 (この上にチタンシー トを貼付ける) %0 ` ゝ 酸素発生 定電位式直流電源装置 絶縁シードチタンフィルム 第 2図 海 生生物付着防lLシステムの概要 (al 海生生物付着防止装置有 り (bl 海 生生物付着防止装置無 し 写真 2 チ タン製モデルコンデンサー試験結果 水中ポ ンプで取水 して 2台 並列に通水 し、同一条件で の運転を行い、両者の海生生物付着状況を比較 して防 した。開放時の比較を写真 2に 示す (チタン製モデル コンデ ンサー)。 付着防止 システム を設置 しない復水器 モデルの入 口 ・出口水室には、フジツボ、ム ラサキイガイ、 ヒ ド ロ虫、 ヒメフサ コケムシなどの海生生物が多量に付着 一 してお り、湿重量は両水室で6kgに もなった。 方、 付着防止システムを設置 した水室内には、海生生物の 止効果 と耐久性を確認 した。 なお、最初 の 1年 間 はモデル復水器をチ タ ン製 と し、残 り1年 はアルミ黄銅製熱交換器 を用 いて鉄イオ 付着が全 く認められなかった。 また、アルミ黄銅製熱交換器 を用 いて電気防食 と鉄 イオン供給条件下での防汚効果の確認を行 った 1年 間 ン供給下での防汚効果の確認を行 った。 定期的に海生生物の付着状態 を確認す るために、水 室にワイパ ー付 きのぞ き窓を設けた。チタ ンシー ト の試験でも同様 な結果が得 られた。 本試験により、このシステムが非常に優れた海生生 物付着防止効果を備えていることが立証で きた。 (陽極)の 電位 を1.0∼1.2Vに維持す ることで酸素 を 発生させ海生生物の付着防止を図 りながら1年 間水室 を開放 しないまま連続で運用 した。 (2)通 電電流密度の経時変化 外部電源装置 は定電位 自動制御 を用 いて陽極電位 を1.0∼1.2Vの間で設定 した。試験期間中は、デー タ 海生生物付着防止装置有 り (左)、海生生物付着防止装置無 し (右) 写真 1 銅 合金製復水器モデル試験装置 3-2 試 験結果 (1)海 生生物付着防止効果 1年 間の連続通水運転を実施 した後、ふたを外 して 水室内に付着 した海生生物の種類 とその湿重量 を計測 ロガにより通電電流を連続 して計測 し、記録 した。チ タンシー トの電流密度の経時変化を第 3図 に示す。入 日、出口水室 とも電流密度 は一定の値で推移 し、安定 した運転状況を確認 した。 配管技術 2004.8 15 ・ く3) 酸素による海生生物付着防止 システム・ α 0 0 FE\く]Ц樺ヽ鱈 0 5/15 2000/5/1 6/1 6/15 月/日 第 3図 電 流密度の経時変化 水系統 へ の展 開 本 システムはチタン復水器への適用を目標 として開 4.海 発、商品化 したが、海水系統の機械設備の他、海水 管、取水路への適用のユーズが高 く、実証試験終了後 順次商品化を進めている。取水路 の干満帯を含む個所 での16ケ 月間の実証試験結果を写真 3に 、また、断 続運用試験状況を写真 4に 示す。 本試験結果 より、千満帯の個所への適用 と断続通電 による運用が可能であることが確認でき、大面積に適 用 した場合のランニングコス トの削減が可能 となった。 5.お わ りに 写真 4 取 水路断続運用試験 以上、海水系統への海生生物付着防止 システムの実 証試験を終え、熱交換器へ の適用の商品化をはじめと して、海水配管、取水路等への実用化を順次進めてい る状 況である。 本 システムは環境に対 して影響 を与 えることなく、長 期にわたり優 れた防汚効果を発揮するため、清掃費及 び産業廃棄物処理費の削減が可能となるとともに、プラ ントの長期連続運用に寄与できるものと考えられる。 <参 考文献> (1)川 辺,第 16回 日本海水学会,材 料 構 造物研 究会資料 ,1‐29, (1991) 写真 3 取 水路実証試験結果 16ヶ月経過 周 囲はシリコン系防汚塗料 試験は65cm角 チタンシー ト使用 16 配 管技術 2004.8. (筆者紹介 は■eyman&sb参 照) ・ イ1) 北朝鮮エネルギー問題 と北東アジア天然 ガス ・パイプラインの実現性・ H0403-18 03859894/04/Y500′ 」 CLS 島 禽文ノ 〔解 説 〕 北朝鮮 エネル ギー問題 と 北東 ア ジア天然 ガス ・パ イプラインの実現性 著者 :北 方アラスカ太平洋大学 訳編者 :エ ネルギー ・アナリス ト Dr.Arlon R.Tussing 薄羽 景 良6 Kageo Usuba 1. は じめに 本稿 は、2004年 3月 9日 ∼ 10日 にかけて、上海で 開催 された第 8回 北東アジア天然 ガス ・パ イプライン 国際会議で発表された講演原稿を訳編者が要約 したも のである。 その内容は、 日下、注 目を集めている北朝鮮エネル ギー問題を米国政府有識者 グループの 1人 である米国 教授が概括 したものである。 しかしながら、著者は経 済学者 であ り、パ イプライ ンの専門家ではないので必 ず しも現在 の韓国の天然 ガス ・パ イプラインの実態を 正確 に把握 しているとは言 い難 いが、`平田 東大名誉 教授等が長年提唱 してきた北東 アジア天然ガス ・パ イ プライン ・ネットワー ク実現のための参考 になるもの 2.概 要 北朝鮮へのロシア産天然 ガスの販売、そして北朝鮮 を縦断するパイプライ ンの短期間での建設可否は、 ロ シアから直接韓国や他 の国々へ天然ガスの輸出が可能 になるかどうかにかかっている。 これまでの半年間で、訳編者 の友人で もある著者 は、非公式 に記録 も残 さず、直接あるいは間接的に、 北朝鮮 のエ ネルギー問題 や地球規模での核拡散 に関 し、北朝鮮 との審議 に参加 してきた関係国や国際組織 の幹部か らの要請に基 き種 々のグループと討論 し、検 討を続けてきた。 これ らの討論 は、主 として、各種グループが天然ガ ス ・パイプライ ンや天然 ガス焚 き発電所を、北朝鮮 の 原子力発電所や核兵器開発計画 を断念 させる代 わりの エネルギー協力 の一環 として、国際共同提案の目玉に しようとする色 々な思惑に焦点が集められてきた。 と思われる。 以下は、ほぼ10年 間に亘る種 々の活動 を通 して得 られた忠告、弁明、そ して一般的 コメン トを反映 した ものである力ヽ 特に、 この数ヶ月間のこれらの思惑 に ついての著者 の考えをまとめたものである。著者は、 “ これまでの経緯 を踏まえて、 米国政府 の政策が、今 や、天然 ガス ・パイプライ ンとパ イプライ ンによる経 済 と安全保障問題 の克服出来ない障害 にはな り得 な "と い 結論付 けている。著者はさらに、要素戦略は、 そういった解決 のために残 されている反対意見を克服 Kwanttu Masan Chinhse 摯難 : 熙 暉 身 彗纂蝿 1野 響蓬窮薫:轟 第 1図 朝 鮮半島 す るために存在す ると信 じるに至った と述べ ている ( 第2 図) 。 しかしなが ら、ここで強調 したいことは、最近の個 人的な討論の場や、あるいは公開フォー ラムにおいて も、 この北朝鮮 の核拡散問題 とその天然ガスによる解 決策 に関 して、著者自身の名前では、如何なる決定的 な提案をどのようなグループに対 しても行 っていない ことである。特に、 ここで提案す る予定 の解決策 は、 配管技術 2∞ 4.8.17 ・ (2) 北朝鮮エネルギー問題 と北東アジア天然ガス ・パイプラインの実現性・ 堅五氏は、北朝鮮への幹線ライ ンから幾 つかの支線を 出し、 ロシアとの国境付近から日本海を海底 パ イプラ インで繋 ぐと言う、 ロシア∼韓国間幹線パ イプライ ン の建設 を強 く提案 している。 新 たな天然 ガス燃焼 ター ビン (CT)が 、原子炉や コンバ イ ン ド ・サイクル発電 CC)、 あるいは石炭や バンカー 。オイルと言 った高汚染源 となる黒 い燃料を 燃焼 させるために当初建設された北朝鮮 での旧式な発 電機を天然 ガスによリリパ ワリングすることに対 して、 第 2図 ロ シアのGazpromに よる北東アジアの天然ガス ・ パイプライン構想 今 だかつて、韓国政府や韓国ガス公社 (KOGAS)と いった最大の責任 を負 う 2つ のパーテイーにはプレゼ ンテーションもしていないことを強調 したい。 さらに、 ここで報告する予定の見解や提案は、著者が知 る限 り においては、韓国政府、あるいはKOGASの 現在の見 解や政策 と一致す るとは考えてもいない。著者は、 こ のプレゼンテーションがそれらのパーテイーに心なら ずも新 たな驚 きや当惑を与える場合には、哀心 よ りお 詫 びするものである。 著者は、サハ リン、 コビクタ、 あるいはサハ共和国 から北朝鮮 を縦断 して韓国へ至る天然 ガス ・パ イプラ インを建設するための技術的、経済的、あるいはその 期待に反す る深刻な事態 に陥ることは無 い と考 えてい る。 ロシアの天然ガス ・フィール ドから韓国へのパイプ ライ ン輸送用 の天然 ガス資源 として最初に考えられた のは、サ ハ 共和 国で、それ は、Sakhaneftegazと GazprOmと 共同で韓国の企業力ヽ 1990年代中頃に実 施 したFS調 査であった。 しか しなが ら、最近の提案 書 の殆 どは、このパ イプライ ンは天然ガスをサハ リン か ら輸 送 し、 韓 国 まで の途 中で、 ロ シア極 東 の Kahbarovskや Prhorye Kraiの 市場 に供給す ること を想定 している。このパ イプライ ンの上流側は、北サ ハ リンか らロシア極束 のKomsomolsk‐na‐ Amureや ・ ー パ ン ル KhabarOvskへの既存の イプライ トに沿 い、 それからNakhodkaや Vladivostokを 経由 し、 ロシア ので と北朝鮮の国境まで伸びるも ある。 これ らの提案 一 は、 般には、平壌近郊の集荷 センターまで北朝鮮を 通 り、最終的には、ソウル近郊のKOGASの パイプラ イ ン ・ネットワークに至る陸上 ルー トが想定されてい る。 しか しなが ら、 日本のエ コ&エ ナジー社 の朝倉 18 配 管技術 2∞ 4.8. 技術的にも、経済的にも優位であることに関す る大 き な論争は見られなかった (第3図 )。 3.核 拡散問題 と天然 ガスによる 解決策 へ の 2つ の反論 天然ガス ・パ イプラインと天然ガス焚 き発電所を朝 鮮半島での核拡散問題の解決のための 1方 策に関 して は、その検討過程 で次のような代表的な 2つ の反対意 見が見 られた。 ① 天 然ガスによる戦略の最大 の障害 は、核拡散に 関する北朝鮮 との交渉経緯 と朝鮮半島の恒久的な 安全保障の確立におけるエネルギーの役割に関 し た拒否権を有する多 くのパーティー を増やす こと を米国政府が長い間反対 していたこと。 ② 今 日、北朝鮮を縦断するパイプラインに関する 重大な障害は、その実際的な実現の詳細 と時期的 な不明確 性に基いている。現実世界では、 ロシア の天然ガス源から北朝鮮を縦断する天然ガス ・パ イプライ ンカミ 種 々のパーテイー間で核拡散論争 の解決策 として採用す ることが合意されたとして も、そのために速やかに組織化 され、設計 され、 資金力平寸与 され、そして10∼ 12年以内に建設 さ れるとい う保証はどこにも無 いこと。 4.1994年 の米朝枠組 み合意 と 天然 ガス代替案 に対 す る米 国 の反対 つい最近 まで、米国政府は、核拡散制限の一環 とし て、北朝鮮へ の天然ガスでのエネルギー供与を行 うと い う代替案にさえ激 しく反対 していた。1994年の所 謂 、 米 朝 枠 組 み合 意 は、 K E D O ( T h e K o r e a n Peninsula Energy Development Organization)国 (韓国、米国、 日本、そ してEU)が 核兵器 を製造す ることが出来ない新たな軽水炉型原子炉を建設するこ とを前提 としたものであった。さらに、原子炉 と発電 機が完成するまで、KEDOは 、既存の蒸気発電プラ ン ト用 の 重油 を提供す る もの と した。1998年 の ・ 3) 北朝鮮エネルギー問題 と北東アジア天然ガス ・パイプラインの実現性・ 〈 KUT% ヽ ︲ a s n ﹃ 。 W ranmuun〕 om 810km 20km 520km 520km ウ 二 耐 1) * ;Exising Trunkline 2)Distances measured on the base map Of 1/1oOQ∞ 0 第 3図 サ ハ リン∼朝鮮半島縦断天然ガス ・パイプライン計画 (エコ&エ ナジー社 ・朝倉氏) Financial Postの 記事 の中で著者が指摘 しているよう ー に、このアプロ チは、経済的にも戦略的にも見るべ きものは無 く、両者 とも最終的に、合意に至ることは 出来なかった。 ´ 天然ガス ・パ イプライ ンと天然 ガス焚 き発電所に基 くより強固な戦略への米国の反対は、北朝鮮 自身と北 東 アジアでの緊密な長期的アライアンスの韓国と日本 力ヽヒ朝鮮 と衝突す るのを最小限に押 さえるための米国 の期待 の裏返 しであった。 この政策は、米国政府が韓 国と日本カミ 米国 と共同の認識を有 し、核武装 した北 朝鮮 の脅威にも比較的動 じない と見たために、天然 ガ スの供給者あるいはパ イプライ ンのホス ト国としての ロシアや中国の参画を必ず しもJ卜除す るものではなか った。 いずれにしても、核武装 した北朝鮮の危険性に対す るロシアあるいは中国の無関心 を憶測すれば、 もは や、それが米国の政策 の基本 とはな り得 ない。反対 に、米国は目下、 ロシアと中国を含む北朝鮮 の近隣国 や国連を含めたあらゆる国々カミ 朝鮮半島の安全保障 に関する審議へ参加することを歓迎すると主張 してい る。 5.プ ロジェク トの詳細 と タイミングに関する疑惑 核拡散に関する審議で目下提示されている交渉上の ッールの 1つ として、北朝鮮への天然ガス焚きエネル ギー戦略の国際支援が実現 されるための最大の障害 は、全てのパイプライン ・プロジェクトの詳細 と実行 に関する複雑さと不確実性である。 現在、いかなる合意もなされていない上に、下記に 関しては全 く先が見えていない。 ① 天 然ガス供給源 とその埋蔵量 ② パ イプラインのルー トと輸送量 ③ 北 朝鮮の需要家から上流へのアクセス ④ パ イプラインの設計、ファイナンス、建設、天 然 ガス ・フイー ル ドの下流 もしくは上流へ の アク セス さらに重要 なことは、そのプ ロジェク トの リー ダー シップをどの国が取 るのか とその商業化 の可能性が ま だ不明 な ことで ある。 さらに言 え:ム 確 立 された市場 メカニズム もなく、そのプロジェク トにリー ダー国あ るいは種 々の要素を選定す るために国際的に承認され た外交的、政治的フォーラム も持たないことである。 配管技術 2004.8.19 ・ 北朝鮮エネルギー問題と北東アジア天然ガス ・パ イプラインの実現性・ 〈4) 無遠慮に言えlよ Jヒ 朝鮮力ヽ 韓国や国際組織力Чヒ 朝 鮮のエネルギー供給のための天然ガス焚き戦略を適用 することに合意したとしても、今後10∼12年以内で、 以下の各項が実施されるとは考えられない。 ① 必 要な商業上の契約や国際法上での合意 ② 必 要な時期に、必要な量で天然ガスを確実に供 給すること ③ 全 体お よび詳細 パ イプライ ン ・ルー トを設定 し、ROWを 確保す ること ④ あ らゆる必要なパ イプライン区間の設計、 ファ イナ ンス、建設を行 うこと ⑤ さ らに加えて、発電基地やそれに付随する送電 線の建設 ⑥ 少 なくとも3カ 国を横断するパ イプラインや付 属設備一式に関する、極 めて対照的な法規制や経 済体制の整合化等 々 南北朝鮮 とロシア極東へ もたらす と思われる強大な 経済お よび安全保 障上の利益にもかかわらずヽ また多 国間に亘る北東 アジア天然ガス ・パ イプライン ・ネッ トワークの構築 のための長期プロジェク トにもかかわ らず、北朝鮮 を縦断す るパ イプラインの建設によるエ ネルギー供給策は、今 日、交渉ツールの 1つ として、 その隣国や国際社会が現実的に北朝鮮に提示すること が出来るものとは思われない。 artist rendering 第 4図 KEDOの 完成予想図 7.第 一 フェース言十画 の提案 第一 フェーズは、2∼ 3年 内に、北朝鮮 との直接雇 用 の下 に、KEDOの 名代 として韓国が直接実行する ものと考えられ、その作業には以下が含まれると思わ れる。 ① 平 壌近郊に、韓国力ヽ その近隣地域の需要を賄 う量を大幅に超えない (恐らく400MW程 度)能 力 を持 つ 天 然 ガス ・コ ンバ イ ン ド ・サ イ ク ル (CC)発 電所 を韓 国が建設す る。 6.現 実的 な出発 点 国際社会が支援するJヒ 朝鮮向けの天然 ガス ・ベース のエネルギー戦略を信頼出来るものにす るには、以下 のことが不可欠であり、それは可能と考えられる。 ① 極 めて単純な物理的、組織的計画 を持 つ実行 可能な第一 フェーズの天然 ガス ・プロジェク トを 特定す ることである。 ② そ れは確実に、北朝鮮、その近隣国、そして国 際組織間で現在審議中の時間フレーム内に、北朝 鮮やその他 のプロジェク ト支援者達にとって確実 な不U益をもたらす ものである。 このため、その第一 フェーズ計画は、そのプロジェ ク トの リーダーシップを明確にす るために、多 くの責 任ある組織や参加者を、徹底 して制限 しな くてはなら ない。 2∼ 3カ 国を横断する数千kmに 亘る全 く新規 な機能を実現するために、全 く新規 の多国間イ ンフラ や管理システムを構築す るのは無理があ り、またすべ きではない。従って、第一 フェーズは出来る限 り、既 存の天然ガス産業のインフラや関連機能の既存 の管理 能力や組織 の操業職員を利用すべ きである。 20 酉 m 2004.8. ② KOGASは 、 ●北朝鮮のこの新規 CC発 電所に天然ガスを供給す るためにインチ ョンに充分余裕のあるLNGを 輸 入する。 ●ソウル近郊からその発電所までの天然ガス ・パイ プライン (延長200km程 度)の 設計および建設 を確約する。 一 第 フェーズ用としてのLNGの 好ましい輸入先は、 以下のように期待されているサハ リンーⅡと考えられ る。 韓国 (米国、 日本、EU)以 外 のKEDO国 は、1994 年の米朝枠組み合意により期待 されたものに近い、第 一 フェーズ用 の 金 と操業補助金の 資 提供を確約す る必 要がある。 北朝鮮は、原子力発電の取 り返 しのつかない結果 と しての核武装 開発、 これらの投資の条件 としての核兵 器用 ウランの国際処理に対 して確約す る必要があ り、 新規天然 ガス焚 き発電所へ燃料が輸送される前にそれ を立証することが不可欠である。 ・ く→ 北朝鮮エネルギー問題と北東アジア天然ガス ・パイプラインの実現性・ 8.第 二 および第 ニ フェース言十画 第一 フェーズの実施 と同時に、韓国および北朝鮮 の 研究機関 は、以下に関 して適切 な第ニ フェーズの交 9.第 四 フェー ズ と しての 北東 アジア国際天然 ガス ・ハ ブ構 想 ー 長期的に、一連の適切な国際貿易パー トナ ととも 渉、計画 を実施 しな くてはならないと思われる。 ① 平 壌から北朝鮮 の北方国境 までの天然 ガス ・パ イプライ ンの拡張を継続す る。 ② 当 時に、 これのパ イプライ ンの北方拡張 に伴 にKOGASは 、初期段階では、以下を目的 とする設備 を建設あるいは拡充する必要がある。 い、適切な間隔で新規発電所を建設する。 さらに、次 の ような第三 フェーズの計画 を実施す 拡張。 ー ミナ ル ② 既 に世界最新で最大 クラスのLNGタ であるインチ ョンにJヒ 東 アジア国際天然 ガス ・ハ る。 ●特 にサハ リン、 コビクタ、そしてサハ共和国の天 然 ガス資源ヘパ イプラインが究極的に連結 される ために、 ロシアの関連組織 とともにその実現 のた めの国際交渉を開始する。 ●ロシア産天然 ガスを韓国、 さらに恐 らくは、 日本 の西部へ、パ イプライ ン輸送す るための輸送量を 特定す る。 第二および第 ニフェーズの活動 は、勿論、以下の各 項 にかかって来るものと思われる。 ① 第 一 フェーズの経験に基 く信頼 と相互理解 を増 長させる ② 北 朝鮮による、同国を縦断する複数本の国際天 然 ガス ・パ イプラインの建設 と操業の 自力推進ヘ の努力を確約する。 ③ 税制、ト ランジット・フイー、他の関連法規制 条項 の適用を合意す る。 ① 再 ガス化 し、北朝鮮 の天然 ガス焚 き発電所に輸 送す るためのLNG用 中間海上基地、およびその ブを構築す る。 そういったハ ブは、最終的には、短期的、価格弾力 的、そしてスポット取引を可能 として、また拡大する 世界的な天然ガス市場 を持つ韓国、東 ロシア、 中国、 そ して 日本 を繋 ぐ相互連携 パ イプライ ンの完成に よ り、天然 ガスを北東アジア全域に供給す ることを可能 にすると考えられる (第1表 、第 5図 )。 10.韓 国にハ ブを建設 すべ き理 由 韓国は、アジアの天然 ガスの最速で成長 している、 最 も地理的に集中 し、最 も統合 された市場であると著 者 は見なしている。20∞年までに、韓国は既に同国を 経由 して新規に天然 ガスを受入、配送が可能な物理的 なイ ンフラを構築 してお り、何時で もロシアからパ イ プライ ンで、あるいは北米、東南アジアあるいは中東 からLNGと して天然 ガスを入手可能な状態 にある。 第 1表 韓 国のLNG基 地計画 Terminal Tank Type Tank Mat'1&Basic Desing Outer Pyeongtaek l kL) (10ヽ4卜 Incheon (248MM kL) Ton"eong (07Mヽl kL) #1-#10 #1-#10 Aboveground Aboveground #11-#12 Inground #13-#14 Inground #15-#16 Inground #17-#18 Inground #1-#3 Aboveground #4-#5 Aboveground Prestressed Concrete Mennbrane Prestressed Concrete Reinforced Concrete Reinforced Concrete Reinforced Concrete Reinforecd Concrete Prestressed Concrete Prestressed Conrete Capacity Inner 9%Ni ヽlernbrane ヽlembrane ヽlembrane ヽ任 embrane 9%Ni 9%Ni I kL 10ヽ1ヽ (01MM kL X 10Units) 10MM kL (01MM kL X 10Units) Iヽ l kL 0 28Ⅳ Status (As ofJun 2001) In Operaton In Operaion CompletiOn #1 : 1986#10 : 1998 #1 : 1996#10 :201Xl Under Construction 21101 °'Under Construction 2002 04卜IM kL (02MM kL× 2Unis) つUnder Construction 2003 04Mヽ l kL υ'Under Constructlon 2004 ° )Under Construction 2002 Under Construction 20113 (014MM kL× 2Units) 任kL 04ヽ1ヽ (02ヽ1ヽ[kL× 2Units) (02MM kL× 2Units) 〔kL 042ヽ4ヽ (0.14MM kL X 3Units) l kL 028ヽ1ヽ (014MM kL× 2Units) Note:(1)EPC Contractor:Daewoo E&C CO,Ltd(#4,5,6 0nly) (2)EPC Contractor:Daewoo E&C Co,Ltd 酉己籠 綱に 2004.8. 21 ・ 北朝鮮エネルギー問題と北東アジア天然 ガス ・パイプラインの実現性・ (0 これは、2003年 9月 26日の米韓アライア ンス50周 年式典に参加 した米国下院国防委員会副議長で ある Weldon氏 が、2003年 9月 28日 に、10月に 4日 間に 亘って北朝鮮 を訪問 し、 ロシアの天然 ガスを利用 し て、北朝鮮 の発電不足を解消す る案を含む 2段 階によ る核問題処理案を討議すると発表 したことから判明 し たものである。 このためジャーナリスト達は、北朝鮮 と米国が非公式 ルートで核問題を解決するため、またそれに関した商談 の一環 として、天然ガスの可能性 を議論 しているのかど │■鷺 tttL うか質問を投げかけたが、ブッシュ政権は、この計画 は 米国政府 とは一切関係ないものと発表 している。 ` Weldon下 院議員は、北朝鮮訪間の間に金正 日主席 と会談 し、さらにソウルで韓国大統領 とも会談 したと : ■ . 轟 勧 哺 ■= ●燻 聰 o い●P 聰 " 滲 第 5 図 韓 国の天然ガス ・パイプライン ( 2 . 4 0 0 k m ) とL N G 基 地 韓国の既存 のLNGタ ー ミナルとその国内天然 ガス 輸送、配送、販売用 の既存インフラは、種 々の供給源 から種 々の市場へ、増大する天然 ガス需要を満たすた めに、理想的に配置 されていると著者は語つている。 伝 え られ て い る。2003年 5月 30日 か ら3日 間、 Weldon氏 は、他の 5名 の下院議員 と北 朝鮮 を訪問 し、核問題の解決策として、北朝鮮がその核開発計画 を公式に破棄 し、国際的核査察を受け入れるならば、 米国が不可侵条約に調印 し、そ して30∼ 50億 ドルの 経済支援を行 う用意があると提案 したとされている。 2003年 6月 2日 、北朝鮮か ら韓国へ入 ったWeldon “ 下院議員は、韓国大統領 と青瓦台で会談 し、 北朝鮮 は、 ロシアの天然ガスを利用す る提案に対 して、大 い "と に前向きの態度を示 した 語 った報道された。 に 6図 たよ に、KoRusパ し 第 示 イプライン ・プロ う ジェク トは、ExxonMobilが 開発権 を有 しているサハ リンの天然ガス田から、韓国までの延長 2,300kmの パ イプライ ンを建設 しようと言 うものである。このため におよそ25億 ドル∼ 40億 ドルカミ 4年 間で投入 され ると伝 えられている。既に東シベ リアのイルクーック で開発力漱台まっているパ イプライ ン建設 プロジェク ト よ りも収益性が劣ると、韓国側により評価 されている ものの、ExxonMobilは 、ブッシュ政権に対 し、 この KoRrusプ ロジェク トの実現 を積極的に働 きかけてい 写真 1 韓 国インチ ョンのLNGタ ー ミナル ると言われている。 2003年 1月 に韓国エ ネルギー研究所主催で開催 さ れた講演会で、米国の コンサルタン トのFSI Energy が発表 した、このKoRusパ イプライ ン構想 の概要は、 ① ル ートは、Lazrev∼ Khabarovsk∼ Vladivostok ∼北朝鮮 ∼韓国。 11.お わ りに 米国の共和党下院議員であるCurt Weldon氏 は、 天然ガス ・パ イプラインにより、 ロシア極東 のサハ リ ン島 と朝鮮半島を連結す る所謂、KoRusプ ロジェク トを北朝鮮に提案 したと伝えられた。 22 酉 己 籠 獣l支 綱 肝 2004.8 ② 全長2,300kmのうち、 ロシア部が1,500km、北 朝鮮部が650km、 韓国部が300km。 ③ ま た、構想中のパ イプライ ンロ径 は、42イ ン チ、初期輸送量 は年間100億m3、 最終輸送量は 3004ま rn3。 … 北朝鮮エネルギー問題 と北東アジア天然ガス ・パイプライ ンの実現性 (7) 贔6■ A■6NAi 6長 ― 写真 2 ExxonMobilの サハ リン天然ガス開発現場 ネルギーが供給され、韓国には、燃料供給の経済的多 様化 が可能 とな り、米国 としては、アライア ンス支 ー 援、韓国における米国のイメ ジ改善、米国企業への ている。 市場 の提供に繋がるとIIPっ しか し、このKoRusプ ロジェク ト提案の背後 には、 。 綺麗 な話ばか りでな く、韓国系米国人や韓国 日本 グ ー ル プカヽ ヨ ヒ東 アジア開発銀行を日本か らの資金を中 一 心に設立させ、朝鮮半島の統 に利用するとか、ある いは 日本 から北朝鮮への戦時賠償金支払 いを急がせ、 これ らのプロジェク トを名 目に一旗挙げ ようと奏 いて 第 6図 延 長 2,300kmの KoRusサ ハ リ ン∼韓国天然 ガス ・ パ イプライン計画 (出典 :FSIEnergy,2003年 1月 ) いる等 と囁かれ、俄かにきな臭 くなってきたとも言わ れている。 このような中で、KEDO問 題ばか りでな く、朝鮮半 島を中心 としたこの地域での、わが国政府 のエネルギ ー安全保障や域内 リーダーシップの確立のために、 こ れまで以上の主体的な言動 が求められている。 (2004年 3月 ) ∼ ④ プ ロジ ェ ク ト ・コス トは、2 5 億 ドル 4 0 億 ド リ レ。 ⑤ 建設には4年 間を想定となっている。 政治的留意点として、ロシア側には、新たな天然ガ ス市場が生まれ 北朝鮮には経済発展の基本 となるエ 緊 cD― ヽ ′ ` 薄羽景郎 エネルギー ・アナリス ト、工博、技術士 R° M tt14● ´ 製品バンフレッ ト 求人バンフレッ ト 閻 瀞 ビジ ① 翻訳 ・編者紹介】 【 熱 357川 /」 プヽヌ うめきを実行に移 します 企業認ん卜 “ 馴 一M Ю 舶 馬 H 酬 ∞ 判 Ю α 0 0031∞ ⑩ U5 支a肝 2004.8. 23 酉己宅 雪才 No 4 Valveヽ Vorld 2004 Conference&ExpO¨ (1) H0405-01 0385‐9894/04解 500信命X/」CLS 一 〓 ロ 党 ”件〒 と田月 No.4 ValvO World 2004 Conference&Expo <第 4回 バルブワール ド・今年 11月 開催 の概要について> インターバルブテクノロジー帥 宮 田 弘 Hiroshiヽ liyata 1. は じめに 我が国バルブ業界 のここ10年 余 は、 国内の景気低 迷による需要不振 と市場の急速な国際化進展に伴 う外 国製品 との厳 しい受注競争下にある。最近 になって、 景気の明るさが見えてはきている力ヽ ノウレブ業界全般 にとって も早晩の業績向上による回復が期待 され、望 まれている。 数、開催年お よび開催主 目的を附記 した、次の英語名 (2004年開催 の例示)で 呼称 される。 No.4 Valve World 2004 Conference&Expo (開催回詢 (開催年) (開 催 目的) このValve WOrldは 、他 の見本市に比べて、 ① 主 催がユーザー (顧客)主 導でのテーマ選 びと 開催 とりわけ、工業用バルブに目を向けてみると、近隣 の中国、イン ド、台湾、韓国製バルプの国際市場での 参入 。売込みカツ舌発である。特に中国製バルブの コス ト競争力をもっての市場での進出と攻勢は、我が国に おいての国際基準に整合 した、「 新JISマー ク制度」ヘ ② 市 場 ニーズとシーズの理解 にふさわしい事例発 表 と討議および製品展示 ③ 市 場 。動向が良 く見え、得るところ多大 などの特徴がある。 の移行実施が、2005(平 成 17)年 にも予定 (見込み) されていることと相 まって、脅威であることは周知の 2-2 VJve Wondの 開催経過 とその要約 スター トとして 6年 目となるが、1998年 に第 1回 (オランダ ・ハ ーグ市)の 開催以来、2年 毎に開催 さ とお りである。 我が国バルブメーカーの中には、早 くから生産や調 れてきてお り、今年 (2004)で 第 4回 目となる。エン ドユーザー とメーカーをはじめとして、建築設備、 プ 達先の中国へのシフ ト実現または予定 している力ヽ 競 争力強化 とサバイバルに向けた動 きであ り、その成果 が期待 されている。これからは、市場 の一層の広範な ラン ト建設、流通、保守 。メ ンテナ ンス等 の業界およ び関係者が、一堂に会 しての展示および会議は、国際 理解 と動向の先取 り発信による、迅速な市場対応 と積 極的な活動展開が求められてきている。 “ "の この点で 見本市 利用は、市場において当該す る製品はじめ、関連技術や業界などの理解にとって、 経済的かつ効率的なマーケテイング手段である。ここ では、世界的規模で開催 される標題について紹介 し、 バルブ業界 (メーカーや トレー ダー)は じめ、ユーザ ーおよび関連業界の参考 に供 したい。 2.VaVe Wo‖ dの 理解 のために 2-‐l Valve Wondとは Valve World(バルブワール ド)と は、2-2項 に 要約のとお り、バルブ類に特化 した、唯一の国際的な 見本市の慣用呼称 の ことで あ る。正式には、開催 回 24 配 管技術 2∞ 4.8. 市場 を理解するのにふ さわ しい機会 と言える (第 1 図)。 2-3 前 回のValve Wondへ の参加経験 からの トビックス 筆者 は、 第 1回 (1998年)の Valve Worldか ら、 毎回参加 して きてい る。前回 (第3回 、2002年 )の 参加経験か ら、 い くつかを トピックスす ると、次のと お りである。なお、詳 しくは報文 「 国際市場における 工業用バ ルブ ー我が国バ ルブ業界へ の期待 ―」 (バル ブ技報 No.51,Vol.18,No.2,2003, 日 本バ ルブエ業 会)を 、ご一読 いただけると幸 いである。 2-3-1 開 催 11月 H日 の ∼ 14日 lkl 期間〕2CIC12年 〔 〔 会場〕オランダ 。マース トリヒ ト市/マ ース トリヒ ト展示 ・会議センター (MECC) No4 Valveヽ Vorld 2004 Conference&Expo¨ 。 (2) (主催)■ Valve WOnd運 営委員会 (SteeAng Committee) 口 委 販CMmm― ¬ 二 三 1蹴鷺穂獄∬ :嘲 塁 島 藁:膳 事務局 :KCI Publishing BV(オ ランダ) 後援者 :サ プライヤー (メーカー、販売者など) (開催)■ 目的 :バ ルプ類に特化 した 『 国際的な関連市場 ・技術会議および製品展示』 ■開催 :2年 毎… 1998年の第 1回 以来、2004年 は第 4回 となる ■場所 :(Main〉 Valve WOrld Conference&Expo・ …オランダ 注]‐ Sub〉 Valve Wond Asia Conference&Expo・ ¨`Main〉 の翌41開催 ・場所 はオラング以外で都度決定 〈 ■ の 5月 注 1)2005年 に中「l(L海 )で 開催が決定 (特徴)■ 内容 :(1)会議…関連市場お よび技術の動向と展宅など ①基調講演 と特別講演、② ワークシヨップ (課題事例紹介 と討議) ・ ③市場、調達、流通、開発技術 ・製品、試験 ・検企、 メンテ 補修技術など (2)製品展示…主にCVを 含む工業用バルブ各種 バルブ製品各種、アクチュエー ター、開発製品、システム設計 ・製品、素形材、関連機器および資材類、安全機器類など。 た2. ■分野 :主 に■1業用バルプの需要 と供給分野 工業、 (精製/化 注 2)化 学 学)、オイル/ガ ス、オフシヨア、発電、製紙、水関係など 石油 ■参加 :世 界的規模 (先進、中進および開発途上各国)の 参加 (展示)企 業 と参加者 l、台湾、インド』の積極参加が多い ◎特にアジア地区は 『 中国、韓l■ 第 1図 Valve World Conference&Expoの テーマ〕会議 登 録参加者 270名 以上 〔 展示 165ブ ース/193社 ー 2-3-2 会 議 (請演、発表 ・討議テ マ) ー 次の10テ マ毎に区分された、それぞれに該当する 総数50件余の課題事例の発表と討議。発表者 (プレ ゼンター)お よび参加者 によるQ&A、 意見、要望、 助言などの討議 ・交換が活発で有意義であった。 ① 基 調および特別講演 (それぞれ3件) ② 設 計 (5件 ) ③ 駆 動操作 。制御 (10件) ④ 適 用 。選定 (4件 ) ⑤ 信頼陛 (6441 ⑥ 調 達 (7件 ) ⑦ 品 質 。承認 (1件) ーキング (1件 ) ③ PED/CEマ ◎ 外 部漏洩 とISO規 格 (9件 ) ⑩ 製 造 ・組立 。鋳造 (5件) 2-3-3 展 示および注目製品 (1)国 FU展示会社数 国際色が強 く出ており、関心の高さがうかがえる。 地元の欧州勢が多いのは当然として、アジア地区の中 国の急増や台湾、韓国、 イ ン ドの頑張 り、南アフリカ の数が目立った。我が国か らは、Valve Worldそ の も の、情報不足 があってか、1社 のみの展示 で あ った (第 1表 )。 開催要約 第 1表 国 別展示会社数 会社数 展示 国 10以 上 5≦ 9 英国0、 イタリア0、 オランダリ、 ドイツの、中Blla フランス(9)、スペイン(9ヽベルギー(8ヽ米国 8ヽ 台湾 5) 2≦ 4 韓国(3Xイ ンド(3X南 アフリカ(3ヽスイス(2Xチ ェコ(2) l 日本 、 ル クセ ンブル ク、 オ ー ス トリア、 フ イ ンラ ン ド、 ノルウェー、 ルーマニ ア、デ ンマ ー ク、 スロベニア、 アイルラ ン ド、ハ ンガリー、 ロシ ア、 カナ ダ、 メキ シ コ (2)注 目製品 (筆者自身によるビックアッカ 展示された製品群のうち、工業用バルブの市場動向 から据えた、主な注目製品名のみを紹介す る。 ① 環 境対応型バルブ ●TA_Lu乱適合品 (ベローシール型)お よび CAA適 合品 ●ステンレス鋼以上の耐食用 と樹脂製および コーティング製品 ●ノンアスベス トシール材の採用定着 ② メ タルシー トのボールおよびバタフライタジレブ の普及 ③ 鍛 造製ボールバルブの普及 ④ 自 動操作バルプの普及 ⑤ 多 機能 。高性能アクチユエーター ⑥ 多機能バルブ ⑦ 用 途特化型バルプの普及 ③ 高 メンテナンス性バルブ 配管技術 2004.8.25 Vorld 2004 Conference&Expo¨ (3) No 4 Valveヽ ーキング付バルブの普及と定着 ⑨ PED/CEマ ⑩ 高 級合金鋼バルブと中国製品の参入など (3)特 筆できる要点 ① エ ンドユーザーの積極参加 と協力は、参加 (訪 問)者 へのインパクトが大きい。主要なユーザー 名は次のとおりである。 BASF、 BP、 DSM、 Dow、 DuPont、 ExxonⅣ lobil、 Saudi Aramco、 Shell、Statdl ② 特 に、ユーザー 自らの事例紹介による、 当面す る課題や新たな提案 ・提言、働き力ヽすなどは、直 接聞ける得がたしV情報。 ③ こ の分野で活躍 されているエキスパー トやキー パー ソンとの親交 を深めるよい機会 となるなどで ある。 3, No.4 Valve World 2004 Conference& ExpOの 開催 予定 と概要 今年 (2004)H月 8日 の か ら11日 ● まで、オラ ンダ ・マース トリヒ ト市の会場において、開催 される 予定で準備が進められている。ここでは筆者力ヽ この 4月 末時点で得た情報を基に、概要を要約 した。 Valve World運 なお、 この開催準備は第 1図 中の 「 営委員会 lSteering Committee)」で進められている のGunter Spiegel氏 の が、委員長 にはBASF AG社 下に、 日本からの委員 として船 日揮 の水口晋氏 とltlキ ッツの江口将氏力ヽ 他 の外国委員 と共に参画 。活躍 さ れて いる。筆者 は両氏へ の支援 ・協力で関係 してい る。 3-1 ス ケジュール 3-1-1 開 催 期間〕2004年H月 8日 明)∼H日 内 〔 〔 会場〕前回と同 じ。 オランダ 。マース トリヒ ト市 (MECC) テーマ〕前回と同 じ。「 〔 会議」および 「 展示」 3-1-2 会 議 (請演、発表 ・討議の主要テーマ ) ここでは、理解を深めていただ く意味で、主催者発 の 行 パ ンフレッ ト“」OIN THE EXPERIENCE"(第 る見込みである。 ちなみに、 4月 末現在における出展登録状況を、ト ビックスすると、次 のようになる。アジア地区の中 国、韓国およびイン ドの増加が極 まっている。 ① 展 示参加国が、前回より6カ 国増 の34カ国 ポ■ラン ド イラ ン(4)」 ② 新 たに 「トルコ(5)」 「 「 スイス(1)」 (1)」 ホンコ 「ウクライナ(1)」 および 「 「 ン(1)」 が参カロ ③ 国 別展示会社数で、前回より増加 したベス ト5 ●中国 :12→ 22社 ●韓国 :3→ 12社 ●米国 :8→ 10社 ●イン ド :3→ 7社 ●デ ンマー ク/ス ロベニア :1→ 各 2社 (注記):上 記アジア地区からの大巾増加があって力、 欧州地区の主要国 (英国、イタリア、オラ ンダ、ド イッなど)は 、前回より5∼ 7社 3-2 参 減 ったカミ 相変わらず展示会社数は多 い。 加 (訪問)に 際 しての留意事項 まえが きでも触 れた力ヽ Valve Worldへの参加 (訪 問)は 、経済的かつ効率的なマーケティング手段であ り、利用する良 い機会であると捉 えている。 ここで、 参加 (訪問)ま たはその検討に際 して、 い くつかの留 意事項を紹介 し参考 としたい。 (1)今 年 11月 開催 のValve World情 報 は、ホーム ページで : No:4 Valve World 2004 Conference&Expoの 開 催案内 ・スケジュール、プログラム、会議/展 示情報 など および参加 (訪問)登 録手続 き等は、次のホー ムページで調べ られる。 http://www.valve_wOrld.net (2)会 場 と会議 ・展示 : ① 会 場 :Maastricht ExhibitiOn&Congress Center(Ⅳ IECC) ② 会 議 ・展示 :Valve World開 催の主 目的はこ れにある ・ … 〔 会議への参加〕 あらかじめ、参加テーマを決めて ぉく注3) 2図 )を 参照 していただ きたい。 3-1-3 展 示 (主に CV.を 含 む工業用バ ル ブ と関連製 品 ・技術 の展 示 ) Valve Wondで 取上げ対象 とした産業 の主要分野 “ は、前記(2)の Major ields of application"で 示し た 7分 野である。展示は、 これにふさわしい出展 とな るが、その規模は前回 (165ブース/193社 )を 上廻 26 配 管技術 2∞ 4.8 注 3)Conferenceへ の参加登録時 (有料)に 、Programが 配布 され る。そこには、ConferenceとWorkshOpの テーマ別講演 と課 題発表事例の50数件のTime Tableと場所 (Room)が 明示さ れている。あらかじめ、参加 したいテーマを時間帯ごとに2∼ 3件 選択 しておき、当日1件 に決めるのが好 ましい。 No4 Valve World 2004 Conference&Expo・ ・ ・ (4) Vぉol、り Voit●2ξ錫曜 σ埒 ‡咎 wI覇 炒 鸞妙難礼‡難蝙 億簸 ∼犠議 繊 t腕 kt.T驚 螢 、 ,い11ヽ,v゛“腱了 1 奪tt've?V準 鷲豪菫轟幸準ずれ基 Il・ ly「 bec巖戯e a tl繍 o懸o域ed 黛v導溝薔̀ま 鱗職赫豪ttl機 薇苺 oξれ薔 eF蒙翁《傘:o● 驚 議r蟷 5,ず ゃr Cfl穐ぶ 華疑裏斡 舞│‡,Visヽ tぉr肇 ξttβ 諄鬱崎〕サ:‡ f「 慇麟 thごF_・ κ膿,b:懸 on :雄 感難簸ξ「 4鏑 墨よ0暴■ 導豪機 pani滲 3),キ 独嚇 務 or短 sllttp葉 : t h む響銀 継F ぼ懸 ` e s 3 鍮奪 ょ1機織10も´in 裁鱗er ttr中 pa‐ 嚇γ 穣o纂d菫参輔 曹灘: ,務ゅ菫`V康'veゝ `=y雛 ヽ 1鷲 濤te 懸じ磯 熊薫贅visttヤ ex辞會ギ 食 wぐ 子 姿 ‡ 会r ryさ 中 t'中 命 守 ‡ 31o,a:、 辞rttf‡ 蝙 │■ ■■■■■●│ 抒 IN ・ 第2図 配管技術 2004.8 27 ・ N o 4 V a l v eVヽ orld 2004 Conference&Expo¨ (5) ¨見 どころは何力♯4) 〔 展示会場〕・ 3-3 日 本 からの訪問計画 鉛 日本バ ルプエ業会 GVMA)で ` は、会員参加に よるVJve Worldへ の訪間を企画 し、その実施に向け た準備を行 っている。 その概要は、次のとお りである。詳 しくは、JVMA 事務局担 当者 :熊 谷殿 (tel:03‐3434-1811ま たは kumagai@i―Valve.or.ip)までお問合せ いただ くとよ い (第3図 )。 、7 H 間 1 . 期 間 : 2 0 0 4 年1 1 月7 日 m ) ∼1 1 月1 3 H ll■ (1■ 1月 7日 (日 ):結 団 ・出発 (2■ 1月 8HO:Valve WOJd参 加登録、参加者交流会 麟 IHll:翻 :}獣 』 鰤 》 ●■1月 11日● :化学プラン トエ場 とバルプエ場見学 が、開催 回数を重ねる毎 に内容 の充実 と相 まって、 「 市場 ・その動向等が良 く見え」、「 交流 を通 じて、得 マーケテイングには良い機会」な るところ多大で」 、「 ど高い評価 と関心から、参加国、展示や参加 (訪問) 者数が増 え続けてきている。 今回も前回を上廻る状況にある力ヽ なかでも展示会 社数において、中国 (2倍 の22社 )、韓国 (4倍 の12 社)、イ ン ド (約2倍 の 7社 )と 大中に増や し、存在 を強力にアピール しようとしている。台湾 (5社 )を 加えた近隣主要 4カ 国の攻勢力ヽ 国際市場での認知 と シェア拡大に結びつ くと、我が国バ ルブ業界 にとって 脅威であることは言うに及ばない。 日本からは、後援 者 (スポ ンサー)で もある榊キッツ 1社 のみの予定で あるカミ 我が国バ ルブ業界 の存在をぜひアピール して いただきたい ものである。 (6■1月 12日⑥ :検査機関見学 以上、Valve WOndの 概要を紹介 したが、これを機 (7nl月 13日0:帰 国 2.参 加者定員 :20名 (予定) 3.募 集期間 :7月 中旬∼ 7月 末 会 としてバ ルブ業界はじめ、ユーザーおよび関連業界 から多 くの参加 (訪問)ま たは検討の一助 となれば幸 いである。 第3図 <参 考文献> (1)Valve Wond 1998∼ 2004,主 催者発行の案内記事,カ タログ等 (2)宮 田 弘 ,「バルブヮール ド98訪問記」,バ ルプ技報No43 4.お わ りに 今年 11月にオランダ 。マース トリヒ ト市で開催 され る、バルブ類 の見本市であるNo.4 Valve World(第 4回 ノジレブヮール ド)に ついて、その開催、 目的、内 容 ・特徴 の概要 を紹介 した。併せて、前回のValve Wond(第 3回 、2002年)に 参加 した筆者 の経験か ら、い くつかの トビックスを紹介 させていただいた。 このValve WOrldがスター トしてわずか 6年 である 注 4)会 場の大 きさ約10,000m2(このうち、展示スタンド=4,700m2、 ランチスペース =760m2)と 手頃な広さ。展示会社数を約200 社 と見込んだ場合、滞在 日数にもよるがConferenceへの参加 とのや りくりに苦労されることが多い。展示パンフレットやホ ームページ等により、あらか じめ 2日 間の滞在を目標にした、 "し “ てお くことを推奨 したい。 見どころを特定 13)宮 田 弘 ,「国際市場における工業用バルプの動向」,バ ルブ技報 No.51 ( 4 ) V a l V e W o r l d n l a g a z i n e , V o l . 8 , i s s u e 6 ,」 oD ie nc t. 2 t0 h0 e3 , 「 Experience」 (5)Valve World 2002,「Flow Control for the Future,Conferellce Paper」 宮田 弘 イ ンターノシンブテクノロジー帥 テクニカルア ドバ イザー 〒143‐ ∞ 12 東 京都大 田区大森東5-12-14 TEL:03-5741-001l FAX:03-5471-0013 URL:httpノ /www.valve.jp/ Mail:[email protected] E‐ 広告製 品の カタ ログ 等 の 資料 は 、本誌 の 「カ タ ログ ・ 資料請求用紙」 でご請求下 さい。 編集部 では、到着 した資料請求用紙 を1 0 日毎 に処理 し、広告主へ お知 らせ します。 広告主 よ り直接読者 へ その資料が送 られますが、お急 ぎの場合 は直接広告主へ ご連絡下 さい。 28 配 管技術 2XX14.8. ・ 〈1) 京都メカニズムとは何か。 H0404‐08 0385‐9894/04/Y500′論 tl」CLS 〔解 説 〕 京都 メカニズム とは何 か ④電力中央研究所 若 林 雅 代 Masayoヽ Vakabayashi 杉山 大 志 T 」s h i S u g i y a m a 1. は じめに 京都議定書では、締結 した先進国に温室効果 ガス排 出削減 の数値 目標を課す一方で、 この目標を効率的に 達成するための柔軟性措置を認めている。これらの柔 京都 メカニズム」 と総称する。 軟性措置 をまとめて 「 京都議定書が発効 した場合、締結 した先進国 (附属 出量には次のような制約が課 される。 書 I国)の ツト Σ各国の排出量 =Σ 議定書が定める各国の初期排出 割当量 (Assigned Amount Units、 AAUs) +Σ 国内吸収源 にネ ッ トで固定 ・削減 された量 (Removable Units、RMUs) “ "の ここで、上記 の式が Σ 記号 で表されているの は、上式は必ず しも一国で満 たさなければならないの ではなく、締結国全体で達成されれば よいことを示 し て いる。そのための しくみが柔軟性措置、 いわゆる 「 京都 メカニズム」であ り、具体的には下記 のような ものが挙げ られる。 ●クリー ン開発 メカニズム (CDM) ●共同実施 OI) ●排出権取引 (ET) 本稿 では、 これ らの京都 メカニズムの概略および電 Iは、各国 力産業 との関連について述べ る。CDMと 」 の排出量削減 の投資機会を国内にとどめず、国外での 削減 を国内削減に読み替えるしくみであり、次章で紹 介す る。 また、排出権取引 はAAUや 削減 した排出量 出 をクレジット化 して各国が取引することによ り、ツト 量 の削減 目標 を附属書 I国全体 として達成す るしくみ であ り、3章 で紹介する。 さらに、4章 ではこれらの メカニズムを活用する先駆的な取 り組み として、世界 ついて取 銀行 のPCF(Prototype Carbon Fund)に り上げる。 2. CDM・ 」│ 2-l CDM・ 」l とは Iは、プロジエク トを受 け入 れるホス ト国が CDM・ 」 ずれもホス 途上国か先進国か とい う違 いがあるカミ Vヽ ト国に対 し技術 もしくは資金を提供 して排出削減 プロ ジエク トを実施する方法である。プロジェク トがなか った場合 の排出量 (ベース ライ ン)を 何 らかの基準で プロジェク ト開始前 に算定 しておき、プロジェク ト開 始後の排出量 をモニターす ることにより、両者 の差を プロジェク トの削減量 として認める。プロジェク トの 効果 として認 められた削減量は、クレジットとしてホ ス ト国とプロジェク トの実施国 (投資国)と の間で分 け合 うことが許される。ホス ト国が途上国である場合 Iと呼べ この二 つ を をCDM、 先進国である場合を」 区別 している。 C D M に よる肖1 減クレジットはC E R ( C e r t i f l c a t e d E m i s s i o n R e d u c t i o」 nI )による 、 削減 クレジッ トは ERU (Emisslon Reducuon unit)と 呼 ばれる。CER とERUは 、どちらもプロジェク トから発生す るクレジ ットであ り、 これらを獲得 した先進国は自国の排出枠 を広げることがで きる。 しか し、先進国全体 での排出枠を考えた場合、京都 議定書の中で約束された先進国の排出量総枠への影響 という点 において、両者には大 きな違 いがある。CER は数値 目標 を持たない途上国からの排出削減 によるク レジットであ り、先進国が これを獲得すれば先進国全 一 ・ 体 での排出枠 は増加する。 方、ERUは 、 ロシア 東欧諸国が保有する排出枠 の初期害1当量、す なわち Iプ ロジエク トの実施国に移 し替 える AAUの 一部を」 ものであ り、投資国が ERUを 獲得す るとき、ホス ト 国では同量 のAAUが 減少す る。 したがって、先進国 Iは中立的である。 全体での排出量総枠に対 して、」 CDM・ 」 Iでは、プロジェク トによる他国でのJ「出削 配管技術 2∞ 48.29 ・ 2) 京都メカニズムとは何か・ 《 減 について、 自国内での排 出削減 に準ず る効果 を認め る。EUあ るい は 日本 な ど、 自国内での排 出削減があ る程 度進み、追加 的 な肖1減が困難 な国 々に とっては、 肖1減のポテ ンシャルの高 い途上 国や ロシア ・東欧諸国 な どの旧共 産 圏で削減す る機会が与 え られ る。 同時 に、途上 国や ロシア 。東欧 などのCDMあ るいは」 Iの ホス ト国 とな りうる国 々にとっては、温室効果 ガスの 排出削減を理由に新たな資金提供 の機会が生まれるこ とを意味する。このように、CDM・ 」 Iの活用は、 プロ ・ ジェク トの実施国 ホス ト国双方にとって メリットが 期待 される。 2-2 CDM・ 」│の実施 プロセス 以下ではCDMを 例に とり、プロジェク ト申請のプ ロセスについて説明す る。CDMの 実施主体は国、お よび民 間企業 とされ、民 間企業のCDMへ の参加 は当 初か ら想定されている。国内企業がCDMに 参加す る には、 日本政府によるCDMプ ロジェク トの承認を受 ける必要がある。政府による承認は、プロジェク ト内 容の審査 とい うより、政府 として日本企業の関与す る プロジェク トの把握 としての意味合 いが強い。 日本政府 によって承認 されたプロジェク トは、次に ホス ト国の承認を受けてプロジェク ト設計書の作成 に 入 る。この設計書に基づ き、当該プロジェク トが議定 主1)を 書や関連するガイ ドライ ンの要が 満 たし、削減 効果 が認められるか否か、審査 を受けることになる。 このプロセス を有効化審査 と呼餞 CDM理 事会 によ り信任を受けた運営組織 (Operational Entityと 呼ば れる)に よって行われる。 運営組織がプロジェク トを有効 と認めると、審査の 場 はCDM理 事会へ と移 り、理事会の承認を受けて初 めてCDMプ ロジェク トとして登録 される。 さらに、 プロジェク トが実施に移った後 も、事業者によるモニ タリング、運営組織による検証 と認証が求められる。 CDMプ ロジェク トを設計する上で重要な要素 は、 まう。「 的確なベースラインの設定」 はCDMの 有効性 を担保す る上で重要である。 また、モニタリングでは、実際の排出量の正確な把 握が求め られる。モ ニ タリングの手法が曖味である と、排出量を正確に把握できず、従 って削減効果 も正 確 に算出できない。モニ タリング手法は、ベース ライ ンとともにCERの 科学的正当性 の根拠 とな り、京都 議定書の実効性を確保するためにも、厳密に コン トロ ールされる必要がある。 主要プロジェク ト分野における小規模 CDM注 2)に ついては、CDM理 事会の下に設置 された方法論 パネ ルによって、簡素化 された方法論が整備 されている。 ただ し、既に承認されている方法論 を用 いることがで きない一般のプロジェク トについては、事業の実施主 体が自ら新 しい方法論を作 り出す必要がある。 このた め、ほとんどのCDMは 規格化 された方法論ではなく、 プロジェク ト独 自の方法論を適用する必要がある。事 業者が提案する方法論をプロジェク トに適用 す るに は、方法論パネルの審査を経 てCDM理 事会 の承認を 得ねばならない。このために最大で 4ケ 月の時間を要 す ほ力、 条件 ごとに審議されるため、評価はケースバ イケースであ り、現時点ではどのような方法論が承認 されるかの判断が難 しい。 なお、JIの場合にはホス ト国が投資国 との調整の上 で 自らのAAUの 移譲分を算定する場合 (第一 トラッ ク)に はホス ト国が認証 ・検証 プロセスの主体 となる が、ホス ト国が 自国の排出量 を把握で きない場合に は、 第二者 がプロセス を代行す る (第ニ トラック)。 後者 の場合、検証 の実施主体が異なることを除けば、 大方はCDMと 同様 のしくみが用意される。 2-3 CDM・ J!の問題点 CDM・ JIの最 も大 きな問題点は、プロジェク トが承 認 され、実際にツト 出権クレジッ トが発行 されるまでに 多 くの国際的な手続 きが必要とされ、そのプロセス 自 プロジェク トの温室効果 ガス削減効果の算定基礎 とな るベース ライ ンの考え方、お よびモニタリングの方法 である。ベース ライ ンはプロジェク トがなかった場合 の排出量 で、後にCERを 算定す る基礎 となる。ベ ー 体が未だ確立 していないことである。このため、プロ ジェク ト主体者 にとって、一連の手続 きに多大な時間 と労力を費やさねばならず、クレジットが実際に獲得 ス ライ ンを高めに見積 もると、実際の排出量 との差、 すなわち削減効果が大 きく算出されることとな り、温 室効果 ガスのツト 出を抑制するとい う主旨からそれてし 効果を認められるかなa現 時点 では不確実な点が多 く存在する。従 って、民間企業がプロジェク トを推進 できるか否か、獲得で きるとした場合 どの程度の削減 す る場合に大 きなリスクを抱えることになる。 CDM・ JIプ ロジエク トで獲得 したクレジ ッ トは、 注 1)プ ロジェク トがホス ト国の持続可能な発展に寄与 し、収益性 等の問題からCDMの 枠組みがなけれ雌 である、などの厳 しい要件がある。 30 酉 己 支翻 管ま ほ 2004.8. が行われない案件 注 2)た とえば、設備容量が15MW以 下の再生可能エネルギーな a分 野 ごとに決められた基準がある。 京都 メカニズムとは何か…( 3 ) 2008年 か ら開始する排出権取引 の枠組みにおける国 際売買が保証 されている。示都議定書に基づ く国際的 な枠組教では、2008年 以前に取ヲ│を行 うことはで きな いが、事業者間で契約 を結 ぶことは自由と考えられ の 4タ イプがある。CDMや 」I同様、一般に国や民間 企業が取引主体 と考え られるが、排出権取引の場合、 参加者 は限定 されないことが多 い。 このため、個人が 投機 目的で取引に参加す るようなケース も想定 され る。ただし、現状では、京都議定書そのものが発効す るかどうかが ロシアの去就 に委ねられ、未だ不透明で る。 あることか ら、プロジェク トにより発生す るクレジッ トの将来価値は明 らかではなく、プロジェク トの実施 直接 的には国が取引す ると考 えられる。 しか しなが ら、国が国内企業にAAUに 基づ く排出枠を割 り当て た場合、それ らはAAUに 等 しい、あるいはAAUに には相応のリスクカ1半う。 国内削減 コス トの高 い 日本にとらて、cDMや Iを 」 の した か は、 めて重 活用 海外 ら 排出権獲得 極 要であ る。 日本政府 として もプロジェク トに関わるリスクを Iに取 り 減殺 し、民間企業が少 しでも早 くか らCDM・ 」 組 めるような環境 づ くりが求 められる。 3.排 出権 取 引 3-1 排 出権取引とは 排 出権取引は、京都議定書締結国に対 し、市場か らの排出権 (クレジッ ト)獲 得 による目標 の遵守の道 もともとAAUは 国に割 り当て られるものであ り、 準 じる価値を持つ ものとして市場取引される可能性が ある。 民間企業による排出権取引は、政府による取引 より も効率が よいと考えられる。企業 と政府の持つ情報は 必ず しも一致せずヽ 自らの排出肖り 減 コス トを熟知 して いる企業の方力ヽ 取引 を行 う主体 としてふさわしい と いえる。 実際に、EUで 2005年 か ら導入が予定されている排 の対象企業に 出権取引制度では、EU各 国は取ヲltll度 ア ロウア ンス (EU A1lowance、 EUAと 略 される) を与える。これは、京都議定書が定める各国の削減 目 標 に対 し、市場での金銭的取引にようて先進国間で再 調整 を行うのに等 しい。各国が京都議定書で約束 した 数値 目標 は、現実の肖り 減可能性や削減 コス トに基づ く と呼 ばれ る排 出枠 を割 り当て るが、2008年 以降の EUAは 、少 な くともEU域 内 で は各国の保有す る ものではな く、いわば 「 政治的な」合意に よる削減量 の分担 である。例え′ ム 日本 に与えられた90年 比 6% 削減 とい う目標 は、 日本のエネルギー構造、 とくに産 業部門の省エネ水準を鑑みると、相 当に野 さ的な目標 該企業が属するEU加 盟国間のAAUの 移転 とみなさ じる注3)。 ′ 値であり、 日標の遵守 コス トは他国よりも高い。排出 権取引には、このような削減 目標 の設定の不備を、市 場 メカニズムを通 じて調整 し、 コス ト効率的な目標 の 達成を可能にする機能が期待 される。 京都議定書の枠組みによる排出権の国際的取引につ いては、まだ具体化されていない。J卜出権取引を実施 す るには、 ① 取引市場が整備 されること、 ② 取 ヲ1参加国が京都議定書 の規定及 び所定 のガ イ ドラインに基づ き国内での排出量 ・吸収量を算 定できること、 ③ 取 引参加国の国別登録簿が整備 されてい るこ と、 などが要件 となる。市場取引 される排出権 は、議定書 を締結 した付属書 I国に初期に割 り当て られるAAU のほか、CDMに I よる削減 クレジッ トであるCER、 」 による削減 クレジッ トであるERU、 国内吸収源にネ ッ トで吸収され、肖1減されたク レジッ トであるRMU AAUと 等価 として取引される。すなわち、EUの 排出 権取引制度では、域内企業によるEUAの 売買 は、当 EUの 例 のように、国が国内企業に割 り当てた排出 枠 を企業間で国際取引 した場合、 これを当該企業の属 する関係国の国別登録簿上のAAU移 転 とす るには、 締結国の間で何 らかの相 互認承が必要 と考えられる。 EUの 制度では欧州委員会 およびEU指 令がその役割 を果たしている。 理想的には、排出権 に取引可能な範囲や量な どの制 度上の制約はない方がよく、全ての取引主体が同 じ土 俵の上で対等に取引交渉できることが望 ましい。 しか しなが ら、そのための政府間交渉が難航 した場合に は、取引tll度 が経済 。政治的地域プロック、あるいは 相互認承の政府間協定 を結んだ特定国間だけの限定的 なものとなる可能性 もある。 3-2 "卜 出権が発生するしくみ 排出権 は自然界 には存在 しない、人工的に作 り出さ れた財である。排出権取引を行 うには、まず はこの 注 3 ) E U の 排出権取引制度 は2 0 0 5 年から開始が予定 されている が、E じヽとA A U の リンクが生 まれるのは京都議定書が発 効 し、A A U が 発生する2 0 0 8 年以降の第ニフェーズであ り、 第一 フェーズでの取引は、A A U と は関連 しない。 配管技術 2004.8.31 京都 メカニズムとは何か…( 4 ) 「 排出権」を作 り出さなければならない。先に述べ た CDMや Iな ども、「 排出権 を作 り出す しくみ」であ 」 り、技術や資本のある経済主体に、市場価値を持つ排 出権 とい うイ ンセ ンテイブを与 えて削減 を促す。一 方、AAUは 議定書を締結 した先進国が議定書の約束 に従って課 される排出枠であり、排出量の日標値を与 えることにより、肖1減を促す。 AAUは 、先進国に 「 排出枠」をかぶせることを意 キャップ」 とも呼 ばれる。このよ 味するため、俗に 「 うな排出枠を与えることの意味は、それにより排出権 ニーズ」を作 り出す ことにあるといえる。 これに の 「 Iは、主に排出権 の売手 (供給)を 作 対 して、CDM。 」 るしくみである。 当然なが ら、供給だけでは取引は発 生せず、市場 の買手 (需要)が 必要 となる。国であれ 企業であれ 排出のキャップをもつ経済主体がいて初 めて、取引が意味を持つことになる。 排出枠 を経済主体に割 り当てるには様 々な方法が考 えられる。代表的 な考え方 として以下の 3通 りがあ る。 ① 過 去 の排出実績な ど、何 らかのベース ラインに 基づ く割当 (グラン ドファザリング) ② 特 定の技術を基準 とするベ ンチマー ク方式によ ③ る割 当 オークションによる割当 最後のオークションによる割当は、市場 メカニズム の活用によって①、② の方法の弱点を解消する方法で ある。 しか しながら、①や②が基本的に無償で供与 さ れ 割当を受ける企業にとって追加的費用負担がない のに対 し、オークションでは最初に排出権を市場から 購入す るとい う費用が発生す る。このため、例えば産 業界への割当にこの方法を用 いることは、産業界にと って受け入れ難 い とい う問題点がある注4)。 3-3 排 出権取引の問題点 CDM・ 」 Iと同様、排出権取引でも制度の問題が存在 一 する。 番 の問題は制度自体がまだ決まっていないこ とで、現状 では様 々な不確実性下で ご く小規模での相 対取引が行われているに過 ぎない。取引市場が市場 と して成熟す るには、複数 の売手 ・買手が取引に参加 し、取 引が常に動 いてい る必要があ る。そのために も、将来の国際的な枠組みの確立が待 たれる。 そもそも現代社会において温室効果 ガスを発生する ような人 々の活動 は数多ある。このため、排出権取引 制度の導入 は、その影響が多岐 に及ぶ。 さらに、国際競争 に直面す る事業者にとっては、 自 国内の制度のみならず、他国の制度 との整合性が大 き な問題 となる。国際市場 で激 しい輸出競争を展開 して いる事業者力ヽ 国内政策によって厳 しい排出枠が設け られる一方で、競争相手 の国では割当基準が甘 いか、 現在導入されている、あるいは導入が検討されてい る排出権取引制度の大半が① のグランドファザリング 方式を採用 している。京都議定書によるAAUの 割当 も基本的にはグラン ドファザリングであ り、90年 とい 排出枠その ものが設けられていない とい うような状況 に直面する場合、国内からの生産の撤退をも念頭に入 う特定年 の排出量を基準にし、かつ各国で異なる削減 率を設定 している。これは極端な例 としても、グラン ドファザ リングによる割当には、割 当基準をどのよう 力、 ひいては国内の産業構造に影響する可能性 も考え られる。結果 として、 国内では温室効果 ガスを発生す る経済 プロセスが縮小するものの、その実体はツト 出枠 に設 けるかによって割当量を左右 し、公平性を欠 くと い う問題点が指摘 できる。このため、この方法で割当 を受 ける主体間の合意が形成 されることは稀 であ り、 関係者間での利害調整が問題 となる。 ベ ンチマーク方式 は、特定の技術、例えばエネルギ ー効率などの基準 に照 らして割当水準を決める。排出 の設けられていない途上国への生産 シフ トであり、地 出水準は実は減っていない、 といっ 球全体 としてのリト ー ー たいわゆるリ ケ ジの問題 も起 こ りうる。 さらに、排出権の市場価格 は、市場参加者の憶測や 投機的行動などの様 々な要因で乱高下 し、排出量を割 り当てられた国や企業にとって目標 の遵守 コス トの変 権 は、基準 となる技術 より排出削減効果の高 い技術を 導入 した企業にはプラスに、削減効果の小 さい技術を 動要因 となる。加えて、排出権市場は人為的に作 り出 される要素が大 きく、tll度 的なリスクが価格の乱高下 導入す る企業 にはマ イナス (不足)に 割 り当て られ る。ベ ンチマーク方式 に近い政策 として、 日本では ト ップランナー方式 と呼ばれる技術基準がある。この方 を作 り出す面 もある。例え│よ 大口排出源に対 して緩 法 によれば①のような不公平感 はない ものの、カバー する産業が多岐にわたるほa基 準 となる技術の設定 が困難 となる。 32 配 管技術 2004.8. れて対応 を模索することとなろう。 この とき、排 出権取引制度が国内産業の国際競争 注 4)オ ークション制度の持つこの問題点を克服する方法 として、 英国力課 用 したインセ ンティブ (奨励金)に よるオークショ ンシステムがある。これは、政府が提示 した補助金の総枠 を、オークションによって落札 し、落札 した企業は補助金 と 同時に排出枠をかぶるという方法である。 ・ 〈5 ) 京都 メカニズムとは何か。 めの目標 が設定 されると、排出権 の供給過多 によ り価 格力可氏下す る。逆に、大幅な削減が見込まれる大回排 ク トでクレジットの購入手続 きが完了 してお り、手続 きが進められている案件をあわせると26件 のプロジェ 出源を取引制度の対象から除外 し、排出削減が困難な 企業に高 い削減 目標 を設定すれlよ これらの企業が許 ク トが進行中である。 ロシアの批准 の遅れにより、京都議定書その ものの 容す る市場価格につ られて市場価格が高騰する。 JF出権取引は、市場 の取引価格をシグナルとして企 業が適切な排出削減 を行 うことを前提 としている。こ 発効 の見通 しが立たない中では、削減のための努力そ のものが 「ロシアが批准 しなければ無駄になる」 とい 一 うリスクを伴 う。 方、2008年 か らの排出削減 目標 の しくみが有効に機能するためには、排出権価格 の適 を達成するためには、今現在何 もしないことにも、将 来必要 となるであろう対策を先 に延ばし、結果的に対 策 ゴス トを高めるとい うリスクがある。国際制度の基 度な安定が求められる。市場 の不確実性 を排除 して削 減 目標 の遵守 コス トを安定させ、かつ低減す る方向に 導 くためには、排出権市場 の適切な設計が不可欠であ る。 ′ 本的な合意 も進 まず、先 の見通 しが立たない中で、 リ スク分散は当然必要な措置 である。PCFは 単独事業 での排出権獲得 よりはリスクが少ないことカミ 企業を 先駆的取 り組 み CDM・ 」 Iの先駆的な取り組 みであるPCF(Prototype Carbon Fund)は 、政府お よび民 間企業 の 出資 に こうした取 り組 みに駆 り立てているともいえる。 よ り設立 され、世界銀行が運用 を担 当す る トラス ト ・ファン ドである。PCFは 、その名が示す とお り 温暖化対策 は、まさにプラン トエ ンジニアの出番で ある。経済学風 に言えiよ 経済産出Qは 資本 K、 労働 L、 エネルギー投入Eの 3者 の関数であるか ら、経済 産出Qを 犠牲 にせずに、エネルギー投入 Eを 減 らして 4.PCFの Iプ ロジエク プ ロ トタイプ (試作)で あ りt CDM・ 」 トの市場育成のための先駆的な取 り組み とい える。 参加企業 にとってはプ ロジェク トに参加する ことに よるノウハ ウの蓄積が最 も大 きな メリッ トであ り、 経済的 リター ンは二の次 といった感があ る。 京都 メカニズムを実際に どのような形で利用 してい くべ きか、経験 の蓄積がない中で、一政府あるいは一 法人が単独で投資 に乗 り出す にはまだリスクが大 き い。 このため、PCFで は共同出資 という形でリスク分 散が図 られる。世界銀行が フアンドの運用を行 い、情 報公開や投資先 の環境 。社会面への影響を配慮す ると い う点で、信頼が得 られやすい という強みもある。 PCFで は出資者 から集められた資金をまとめ、途上 国や東欧 。ロシアなどでの温室効果 ガス削減 プロジェ ク トに投資する。投資 したプロジェク トの活動で得 ら れるクレジットは、出資比率に応 じて出資者に還元さ れるしくみである。すなわち、通常 の トラス ト ・フア ン ドでい う配当金の代わりにクレジットを得る。資金 は、出資者が拠出する総額をコミットし、実際にはプ ロジェク トの進捗状況に応 じて順次拠出される。 PCFに よる活動 は2000年から始まり、2012年 には 終了す る予定である。 6カ 国の政府 と日本企業 8社 を 含む合計 17企業の出資による総額 1億 &000万 ドル規 模 の基金 であ り、最終的には30∼ 40件 のプロジェク トヘの資金供与を想定 している。現在 のところ、 中南 米を中心 に廃棄物処理、風力発電、バ イオマス発電や 小規模水力発電な どによる温室効果 ガス削減 プロジェ 5.お わ りに 温暖化対策 を進めるためには、資本 Kを 大 きくす るこ とが必要になる。 より直感的には、例えlよ 原始的で効率 の低 いボイ ラに代 えて、高効率なボイラで燃焼することである。 ボイラの コス トは上がるが、燃料費が下が り、 これに よって経済産出 レベルを維持 しつつ、温暖化対策を進 めることになる。 さらに将来まで思い描けlよ 炉で燃焼 して発生 した C02は 全て回収 して地中へ処分す るようになるかもし れない。 この場合、高効率の燃焼設備、C02輸 送の配 設備 のかたま り」 に 管、C02処 分設備な ど、莫大な 「 の よって、化石燃料から 温室効果 ガス排出を最小化す ることと、なお経済性 を維持することが求 め られる。 この可能性は、単なる夢物語ではな く、 日本のRITE をはじめ、米国や豪州でも真剣 に検討 されている。 現在 のところ、C02の 価格はプラントの設備費 ・運 転費 と比べ ると低 い し、CDMの 制度設計 も民間が活 発に投資活動 をできるレベルまで進捗 しているとは言 えない。 このため、CDMに よって、省 エネルギーの 設備導入がただちに途上国で進むとは限 らない。 しか し、省エネルギー機会 の多 くは投資回収年数が少ない ために、経営者のアウェアネス (意識)さ え向けば、 一気に投資が進展する可能性がある。CDMの 効果 は、 C02の 価格 によって投資収益 を改善す るだ けではな い。CDMが 存在す ることで、経営者が自社 のエネル 配管技術 2004.8.33 ・ 《6) 京都 メカニズムとは何か。 ギー コス ト構造を調べ なお し、低 コス トな省エネ投資 を発見するきっかけとしても作用す る。 これを環境政 策論ではシグナル効果 とよぶ。 このような効果 は石油 ショックのときにも見 られた。CDMを うまく使え│よ 日本の高効率なプラン ト製造 。運用技術を途上国で活 【 筆者紹介】 若林雅代 0電 力中央研究所 社 会経済研究所 〒1∞‐ 8126 東 京都千代田区大手町1‐ 6‐ 1 大 手町 ビル TEL:03‐ 3201-66Cll FAX:03‐ 3287‐ 2805 Mall:m‐ [email protected] E‐ 用する機会 となる。 杉 山大志 ② 電力中央研究所 社 会経済研究所 〒100‐ 8 126 東 京都千代田区大手町1‐ 6‐ 1 大 手町 ビル TEL:03-32016601 FAX:03-3287‐ 2805 本誌 の複写利用 について 日頃より本誌をご購読 いただき誠にあ りがとうございます。 ご承知 の通 り、出版物の複写は著作権法の規定により原則 として禁止されてお り、出版物 を複写利用する場合は著作権者 の許諾が必要 とされています。当社は本誌の複写利用にかかる権利 の許諾並びに複写使用料の徴収業務を的 日本著作出版権 ILSは 21102年4月 1日 より複写許諾 と複写使用料徴収の業務 を開始致 しますの 管理 システム CCLS)に 委託 してお ります。コ で、同日以降本誌を複写利用される場合にはヨ CLSに ご連絡の上、許諾を得て下さい。11LSの連絡先は以下の通 りです。 株式会社 日本著作出版権管理 システム 01LS) ∞33 東 京都文京区本郷4-16 本 郷416ビ ル 8階 所在地 〒 113‐ 電 話 03-3817-5670 FAX 03‐ 381531" e― mail [email protected] なお、著作権法は著作権者の許諾無 しに複写できる場合 として、個人的にまたは家庭内その他 これに準ずる限られた範囲 で使用すること、あるいは政令で定められた図書館等 において著作物の一部 (雑誌にあっては掲載されている個 々の文献の半 分以下)を 一人について一部提供すること、等を定めています。これらの条件に当てはまる場合には原則 として許諾は不要 と されていますが、それ以外の場合、つ まり企業内 (政令で定められていない企業等の図書室、資料室等 も含む)、研究施設内 等で複写利用する場合や、図書館等で雑誌論文を文献単位で複写する場合についてはすべて許諾が必要です。 複写許諾手続の詳細 についてはJ01Sにお問い合わせ下 さい。 日本工業出版株式会社 株式会社 日本著作出版権管理システム 34 配 管技術 2004.8. ・ 〈1) 解析によるプラント機器の寿命評価 システム・ H0403・14 03859894/0″ Y50α 属 命t7」cLS 〔解 説 〕 解析 によるプラン ト機器 の寿命評価 システム <FEMと 簡易法によるクリープ疲労損傷評価 システムの紹介 > │ 1奇 山 重工業鞠 小 木曽 誠 太郎 り Seitaro Ogiso 1. は じめに 従来火力設備 の余寿命評価技術 は、検査による方 法が主流 であ り、設計者やプラン トユーザーにとって は、機器の健全性に関 して専門家 の診断結果のみに頼 らぎるを得ないのが実情である。一方原子力分野では 解析による設計、損傷評価技術 が進んでお り、軽水炉 の定期安全 レビューでも解析主体 の寿命評価技術が確 立 されている。 有限要素法 (FEM)に よる評価 は既存炉の寿命評 価 を行なう上で必須の技術であり、 メーカーのみなら ず電カユーザーにとっても自社技術 としての確立が望 きに蓄 まれてきた。そこで、 これまで原子力分野 を中′ ー ベ ス 化 し、かつ複 積 されてきた解析評価技術 を知識 雑 な作業手順 を自動化する ことで、機器 の損傷評価 を、設計者や電力会社 の技術者が自前でも行なえるこ とを目標にシステム開発を行 った。 た詳細設計解析が行われ、疲労評価等の評価が行われ てきている。さらに、新型炉に位置づ けられる高速増 殖炉 (FBR)で は、機器の金属温度が500℃ 以上に達 するために疲労 とクリープに対す る損傷評価が必要で あり、解析による損傷評価技術 の高精度化 に重点を置 いた高温構造設計法にかかわる開発研究が長年実施さ れて きた。現在、 これ らの研 究成果 を反映 して、 ASME Sbc.Ⅲ 、NH(1)をはじめとして我が国FBR指 針 5) BDS2)/DDS(3、 仏国RCC―MR14、 ぁるいは英国R♂ 等に代表 されるように、原子力先進各国で解析による 高温構造設計指針類 も作成 されている。 3.プ ラント機器 寿命 シミュレーションシステム 3-1 解 析による寿命評価の流れ 配管要素あるいは接続する機器ノズル等 を対象 に、 解析 による寿命評価 を行 う場合の概略的な流れを第 1 図に示す。 2.解 析 による寿命評価 システム開発 の背景 火力発電プラ ン トにおいては、プラ ン トの高経年 化、DSS(Daily Start and Stop)運 転等運用の多様 化が進 んでいる。この現状 を鑑み、従来か らおこなっ ているクリープ評価 だけでな く、今後は疲労損傷 も含 めた余寿命評価 も必要 となって くると考えられる。 従来の火力発電プラン トの余寿命評価 は、連続運転 実績 に基づ き、非破壊検査やサ ンプ リングデー タによ る加速破壊試験等によリクリープ損傷度を推定する方 法等が主流であるカミ より複雑 となった運転履歴を反 映 したクリープ疲労損傷を評価す るためには、解析 に 基づ く余寿命評価手法の開発が有効 となる。 原子カ プラン トでは、現有の軽水炉において最 も重 要度が高 い第 1種 容器、配管な どの構造健全性評価 は、「 解析 による設計」 (Design by Analysis)を 基 本思想 としてお り、 このため従来か らFEMを 利用 し (1)配 管系 の全体解析 システム 一 機器、配管系 で考慮す る荷重は、 般的に以下のよ うなものとなる。 ① 内圧 ② 長 期機械荷重 (自重) ③ 短 期機械荷重 (衝撃、機械振動等) ④ 熱 膨張 ⑤ 内 部熱過渡 ⑥ 地震 寿命評価 を行 う上では、評価部位を選定する必要が あり、荷重種別ごとに高応力部位を評価する。 上記荷重に対 して発生する応力は、①、⑤を除き、 系全体の構造、変形特性 を考慮 して求められるので固 定端間全体 を模擬 した配管系モデルで解析することに なる。 ここでは、梁理論に基づ きエルボ等の変形特性 一 (フレキシビリテイー)を 考慮できるパイプ要素が 配管技術 2004.8.35 解析によるプラント機器の寿命評価システム…(2) 構造条件 ①幾何形状 ②使用材料 荷重条件 ① 自重、圧力、機械荷重 ②熱 ③地震、etc 配管系全体解析システム 板厚内温度荷重算出システム (非定常温度分布解析) 〇不連続部温度差 (TaTb) ②管壁温度差 (△Tl、△T2) 特殊配管要素の 3D解 析システム C管 台モデル ②エルボモデル 容器ノズル 部 解析評価 システム ( 2 D t t Xl・ 称) き裂 ・欠陥の考慮 配管応力係数に よる評価 1 0 評 価要否の半り 定 │ ● き裂進展評価 ク リー プ ・疲労損傷評価 寿命評価 第 1図 解 析による寿命評価の流れ 般的に使われる。 (2)内 部熱過渡による荷重評価 配管内の流体温度が急激に変化する運転事象では、 管板厚内温 度追従性の差のために、板厚方向温 度差 荷重 lzTl、∠T2)、 あるい は構造不連続部において 総体的な温度差荷重 (TaTb)力 ` 無視 し得ない場合が ある。これらを解析する場合には、1次 元あるいは 2 次元軸対称 の局所簡易モデルによる温度分布解析 を行 って評価することになる。 (3)応 力分類 と応力係数 上記の解析で得 られた応力は、荷重種別、形状 ある いは評価する損傷モー ドに応 じて応力分類を行 う。内 圧、 自重、機械荷重等の荷重 制御型の応力 は 1次 応 力 と呼伐 一方、熱応力や拘束点 間の相対変位による ものは変位制御型に分類 され、2次 応力 と呼ばれる。 また、断面内の応力分布を断面内平均あるいは曲げ成 分に分離 して、それぞれ、膜、曲げ応力 と呼ぶ。さら に疲労損傷 を評価す るための集中応力をピーク応力 と して分類す る。配管系の解析では、通常(1)、 (2)の 簡 36 配 管技術 2004.8. 易解 析で得 られる断面力あるいは温度荷重に応力係数 を考慮 して、上記分類 に応 じた各種応力を算出する。 本手法は、ASME Sec.Ⅲ の解析設計手法に基 づ き、 国内原子力設備 の構造等 の技術基準 (告示501号 )° にも古 くから取 り入れられている。 0)特 殊配管要素の詳細解析 管台やエルボ等 の高応力部では、損傷事例が多 い。 前述の応力係数による簡易評価手法では保守的過 ぎ る、温度分布やピーク応力を十分な精度で推定できな い、あるいは運転中に腐食や減肉等で板厚が 変化する 場合があり、し ばしば管台部をズー ミングした詳細 3 次元解析 が必要 となる (第2図 参照)。 (5)ノ ズル部の詳細解析 配管が接続する容器ノズル部 は、一般的に熱応力が 厳 しくなる部位であり、やは り損傷事例 も多い。 ノズ ル部 の熱応力は通常 2次 元軸対象 モデルで温度 。応力 解析を実施 して損傷評価 を行 う。 (6)ク リープ ・疲労損傷評価 上記 の解析で得 られた分類後の応力 (あるいはひず ¨ 3) 解析 によるプラント機器の寿命評価 システム 〈 使えるシステム開発を目指す。 ( 2 ) シ ステムの特徴 ① 計 算機能の集約 構造評価に必要な全ての計算機能、 ソフトウェアな らびに材料DBを 1つ のPCシ ステムに集約する (第 3図 参照)。これにより、解析 ・評価用データ収集に かかる煩雑な作業手順の簡略化並 びにソフトウェア間 でのデータ受渡 し管理が不要 となる。 解析条件設定 第 2図 管 台の 3次 元ズー ミング解析 解析モデル作成 み)を 用いて損傷評価 を行う。繰返 し変動荷重 に対 し ては、疲労損傷 を評価 し、短期荷重以外 の応力に対 し てはクリープ損傷を評価する。両者 ともにある場合 に は、疲労 とクリープの相互作用を考慮 した評価 を行う 必要がある。損傷評価法の特徴 に関 しては、4項 で後 述す る。 なお、実プラン トの環境条件が影響する場合 には損 傷評価 の中でも考慮 される。 (7)き 裂 ・欠陥の評価 寿命評価 を行 う上で、定期点検等の検査 でき裂ある いは欠陥が発見された場合には、 き裂の進展評価 を実 施す る。第一段階 として、進展するき裂か どうかを判 定 し、進展の可能性がある場合 には、進展解析 を行 う。 (8)寿 命評価 上記の一連 の解析結果 に基 づいて、寿命評価 を行 う。余寿命評価 では、評価時点までの運転実績に基づ く荷重条件の特定 と、そこまでの損傷度を評価 し、 こ れに、プラン ト寿命末期あるいは次評価時点までの予 測荷重による損傷分 を加えた累積損傷値に基づ き判定 す ることになる。 ステム開発 3-2 シ (1)開 発 コンセプ ト で述べた解析 による寿命評価 システムを構 築す る上で、当社 では以下の コンセプ トでシステム開 3-1項 発 を行ってきた。 ユーザーターゲットとして、構造解析専門者だけで なく、設計者あるいは電カユーザー技術者 自らが使 え ることを念頭に、GUI(グ ラフイカルユーザーイ ンタ ーフェイス)を 駆使 したユーザー フレンドリーで、か つ、PC l台 に全機能を入れ (Allin One)、現場 でも nO‐ n e 解 析 システム概念 第 3 図 P C に よるA l li‐ ② エ キスパートシステムの導入 3-1項 で説明 した解析、応力分類から評価 までの 一連の手lllEは 解析専門者 にとっても正確 に行 うのは容 易なことではない。 したがって、システム化 にあたっ て、解析エキスパー ト (熟練者)の 複雑な刊 順に対す る知識、経験 に基づ く解析 ・評価 ノウハ ウをシステム 内部にブラックボツクス化す ることで、使用者 の負担 を極力軽減する。 ③ 対 話型処理によるデータ入力 評価対象部位の形状寸法、材料物性、荷重、ある いはサポー ト条件などの解析用データ入力を、極力解 析専門用語 を用いずに設計用語 を用いて対話型入力が できる (第4図 参照)。 ④ 専 用プリ/ポ ス トプロセツサの開発 対話型処理やGUIな どを用いた専用のプリ/ポ ス ト プロセ ッサを独 自開発 した。各モジュールは、配管 系、管台解析あるいはノズル解析 に特化 したメニユー ー 構成 とし、ツールバーに応 じた入カデ タ作成、ある いは解析要素選択や境界条件設定 といった解析専門知 識を要す るような入力が不要なため、市販の汎用 プ 己 支1肝 2004.8. 37 酉 管ま 4) 解析によるプラン ト機器の寿命評価システム¨〈 第 5図 ノ ズル解析 システムデータ入力画面例 第 4図 配 管解析用モデル作成の操作画面例 り 。ポス トプロセ ッサーを使用す る場合に比べて操作 材料 (告示501号や FBR用 材)、火力設備用の材料デ ー タを包絡するASME Sec.Ⅱ Part― D の 材料 デー タを 習得にかける時間を必要最小限にすることが可能とな る (第5図 参照)。 ⑤ 作 業 フローのメニュー化 複雑な作業フローをメニュー化 し、メニューの順番 整備 している。将来的には、国内の民 間基準化で進め られている」 SMEの 原子力及び火力基準 の材料 デー タ 集 も随時整備 してい く。 に沿 ってデー タを入力することで自動的に作業が進行 するようなシステム構成を工夫 している。これにより、 経験 の乏 しい技術者でも構造解析 ・評価 をスムーズに 行なうことができる (第4図 、第 5図 参照)。 ⑥ 材料 DBの 整備 備 している。 材料 DBに 関 しても専用 のユーザフォームを開発 し てお り、第 6図 に示すように、材料分類や記号 による 検索等で迅速に必要デー タを抽出 し、温度依存性等を 解析 システムでは、解析、評価用 の材料DBの 充実 が重要なポイントになる。本システムでは、原子力用 "イ'",編鈎 “刊 欽 0響 01"││"■ さらに、損傷評価用デー タとして、別途クリープデ ータ、各種材料構成式やき裂進展デー タを 収集 し、整 グラフ表示 で確認できる機能を有 している。 ル ´ '的り`わ0 ●ウ ・│ ♂│ め│ ち │: 1 ●│ ■ ■ ■■ お ■・・ N ・ 囲 1 ●鷹│ ●■■■ 嶽 ■ : ■│ ■ ■│ 口 '1‐ ‐ 轟 ‐ 鱚 ¨ 一 ¨ 一 一 一 ﹁ 講 中 一 一¨ │■││■ rl"n素 ││││││││ │ │││ ‐ │││ ‐ ││ ││││││‐ │‐ ││‐ │‐│ │ │ │ │ ‐ 一 一■ ” =、 │‐ ■「¬雛 ⅢⅢ I ==」│1111Ⅲ 螂 ¨ 1胤 α 《》■│ “'な0●‐ ¨ │ ー t労 ‐ ■α Ⅲ Ⅲ ■●‐ ・ロ 1讐71│ ■ │■│■ ‐・ ー 啜収"イ │ ■ vi● 饉 "│'■く 1 辞●`,黒 ヽ│││││■ ‐ ■│ │ ■ ■ ■ 1 1 1■ 1‐ 響■ │ ■. ■ ■ │ │ 第 6図 材 料DBの ユーザ専用画面の例 38 配 管技術 2r104.8. ・ ・ 解析 によるプラント機器の寿命評価 システム 《→ 4.ク リープ疲労損傷評価法 第 7図 の右側は、高温時のひずみと応力に関する材 料挙動 を模式的に表 している。高温時 には金属 の降伏 応力が低下す るために、降伏後の応カ ーひずみ関係 (図中では繰返 し応カ ーひずみ曲線に相当)に したが t関係で表 って塑性ひずみが生 じる。また、図中のσ― ー す ように、 クリ プ現象は、時間とともにひずみが増 加するだけでなく応力緩和 (リラクゼーシヨン)力,起 必要な材料 デー タの例 を第 8図 に示す。 ここでは、弾 ー 性解析から得 た応力から簡易式 (ノイバ 則)で 非弾 性ひずみ範囲を算定 し、さらに、簡易計算により緩和 後応力 を推定する簡易非弾性評価法を採用 してい る。 疲労損傷 Dfは 、マ イナー則 と呼 ばれ、ひずみ範囲 により決まる破損繰返 し数Nfに対す る繰返 し数Nか ら計算される分数和 ΣIN/N♪ で評価 される。 こる。同図には、弾性解析で得た応力 と実際の非線形 ー 挙動 との関係を概念的に示 しており、クリ プ疲労損 傷を評価する上で、これら材料の非線形特性を考慮 し ないと正確な予測はできない。具体的な計算手順及び 弾性応力 (FEM) ノイバ ー 則 ひずみ範囲の算定 疲労損 傷I 中 応力緩和挙動 ▼ クリー プ損 嗽一 一 腕 初期応力 の ψ クリー プ疲: 損傷 Df+Dc<D 第 8図 ク リープ疲労損傷計算の手順 (BDS/DDS) 第 7図 弾 性応力と非線形挙動 との対応 壼 ´嘔8o4ni …… T:「……‐ ■∬ ℃ Sp:「 ¬ 任 げ m m2 1H:― N: 1 hr 値 5,臨霧 ツ │: °翻]罷↓mm2烹 羅瑞│‖ 鰍11 :[1‐ 5』 訓豊鼎隕 97∞ ― フ リ 興 傷値 Dc = 07団 100C cvLb べ101"― 夫橿 檻 酬 限 値 クリープ初期応力綴 彙定 l¨ ● 弾雪 ll応力△ σ●・ 霜 『こ ]・T= 0}曽 炒 酬歴配 鯉 ま =i :開 囃I r△ ●/2が初期応カ ∞“21●は "ヽ ■■ ‐ oG 輩 察 ヽ , 3ヽ 第 9図 簡 易 クリープ疲労損傷計算モジュール 配管技術 2004.8.39 6) 解析によるプラント機器の寿命評価 システム¨〈 一方、 クリープ損傷 Dcは 弾性 ピー ク応力か ら初期 応力を設定 し、緩和後応力を考慮 して得 られるクリー プ破断時間tRに対す る高温保持時間 、lとの分数和 Σ 一 (ち 1/tR)で計算する方法が 般的である。 (時間消費貝1 と呼ばれる)Dfと Dcを 合 わせた損傷値は、両者の相 {6)T Shimakawa,et al,“ B e n c h m a r k S t u d y o f C r e eFpa‐ tigue life Predicted by Elevated Temperature Design Standards Of Every Country'',Tlle 7th lnt Collference on Creep and Faigue at Elevated Temperature,June 2001,Tsukuba,」apan (7)通 産省資源エネルギー庁,原 子力設備の技術基準 (解説),1994, 電力新報社 互作用による低下を考慮 した許容値Dで 評価 される。 以上の方法 は国内のFBR指 針 (BDS/DDS)の 方法 を中心に説明 した力ヽ 初期応力の設定や緩和後応力の 考え方、あるいは、破損制限や破損デー タに対する安 全係数等で各国の基準間で多少の違 いがある。ただ し、いずれも弾性解析ベースの簡易非7iii性 によるクリ ープ疲労損傷計算手法を与えている・t 本 システムでは、上記の手法に基づ き対話型処理で クリープ疲労損傷を評価する簡易計算モジュールを開 発 した。材料 を選択 し、温度、 ピー ク応力、保持 時 間、及 び回数デー タ等を入力すれば直ちに損傷値を計 算 で き、結果 のデジタル表示 とプロッ ト出力を行な う。 また、各基準手法の選択に加え、各種安全係数を変 えた場合の評価 も選択できる。 さらに、補助機能とし て緩和応力やクリープ損傷 の履歴表示機能等があ り、 使用者に結果の直感的理解 を提供する (第9図 参照)。 5.お わ りに 実際 のクリープ疲労デー タのばらつ きを勘案す る と、汎用的な適用に対する精度が材料デー タの充実度 に依存するといった課題 もあ り、本 システムがす ぐに 従来の検査による余寿命診断技術にとってかわれるも のではない。検査 と解析を補完する運用を行なうこと で、両者 の予汲1値に対する相互評価 が可能 にな り、両 技術 の高精度化を図ることに も有効である。 【 筆者紹介】 小木 曽誠太郎 (昭和31年 5月 19日生 。東京都出身) 川崎重工業抑 プラン ト・環境 。鉄構カンパニー 技術開発部 開発一 グループ ■ ■■■│■■■■ 参事 〒136‐ 8 588 11-1 東京都江東区南砂 2‐ TEL :03-3615‐ 5163 FAX:03‐ 3615-6986 E‐ Mail:ogiso―[email protected] 主なる業務歴及び資格〉 〈 1980年 入社以来、原子力機器、■ ■1薦 配管の構造評価にかかわる設計解析、研究開発に従事。近 年は火力や原子カプラン ト機器の構造評価や寿命評価 を実 施するとともに、社 内の構造評価システム開発 の中心 とし て活動 している。 (主なる執筆〉 SMiRT、 ASME、 JSME、 FAPIG、 川重技報 川崎 重 工 業株 式会社 (代表者〉 社長 田 崎 雅元 6116 東 京都港区浜松町241 (本社住所〉 1 =105‐ 世界貿易センタービル TEL :03‐3435211l FAX:033436‐ 3037 URL :http:〃 www khi.cOJp (資本金) 81,427(百 万 円) (年 商 〉 1,239,500(百 万円) < 参 考文献 > (従業員数〉 22651名 (1)ASME Boiler&Pressure Vessels Code,Sec Ⅲ SubsectiOn 主要取引先〉 〈 NH,1998 ユーザ プラント部門では電力会社等プラン}ヽ (2)K Iida,Y Asada K Okabayashi and T Nagata,“ Simpli■ed (事業内容及び会社近況〉 Analy● s and Design for Elevated Temperature Components of 川崎重工業は製鉄、セメント、化学などの基幹産業から Moll」u'',Nuclear Engng.&DeSgn,98(1987), pp 305‐ 317 輸送、物流なと社 会資本関連に至るあらゆる産業分野で、 (3) “Demonstration Design Standard at Elevated Temperature 計画から設計、製作、建設、そして試運転 まで トータルエ (in Japan)'lJAPC,1998 ンジエアリングを行 い、多 くのプラン トを納入 してきた。 (4)“ DeSgn and Construcion Rules foF Ⅳ leChanical Components .リ of FBR Nuclcar lsiand,RCC‐ ヽlR'', AFCEN,1985 トー タルエンジニァ ングを支えているのが高度な要素技 ールです。 (5).`An Assessment Procedure for High Temperature 術 R eと s 豊富な設計支援ツ ponse of Structures'',Nuclear Elect五 c R5,Issue 2,1996 40 酉己籠 支剰 まま 貯 2004.8 化学産業におけるリスクマネジメントの現状 と展望…(1) 〔解 説 〕 化学産業 にお ける リスクマネジメン トの 現状 と展望 l 松 千代日化工建設l■ 岡 俊 介 Shunsukeヽ latsuoka 上田 邦 治 Kunlharu Ueda 企業を取 り巻 くリスクには、事故、 自然災害、製品 安全、環境、法務、財務、労務 、社会、政治、外交 など様 々なものが考えられる。これらが顕在化 したと RMシ ステムに関す る是正、改善の実施 (Act)、そ し て組織 の最高経営者に よるレビューヘ と至 るPDCA サイクルによる継続的改善の概念図が示されている。 一方、「リスクアセスメント」 の用語 は上記JISでは きの被害は企業運営に多大な影響 を与えるばか りでな く、その存続をも脅か しかねない。現実にそのような ケースが国内においても発生 してお り、その背景 とし 発行 している 使用 されてい ない。AIChE/CCPSが (1)で CPQRAガ イ ドライ ン は、 リス クアセスメン トを 「リスク解析 の結果 を用 いて、 リスク低減方策 をラン てリスクマネジメン トの不備が指摘 されることも多 い。 本稿では、主に化学産業分野 における事故 リスクを ク付けするか、 リスク基準 と比較す ることによって意 思決定するプロセス」 と定義 している。 対象 として、 リスクマネジメン トの中核をなす リスク アセスメン トの現状 について述べ るとともに、 リスク アセスメ ン トの今後 について私見 を述べ る。なお、 リ スクアセスメン トに関する各種 の手法については、す これを」ISの 定義 に当てはめ ると、RM計 画策定 (Plan)段 階で実施される 「リスク分析 (リスク発見、 、「リスク評価」、及 び リスク特定及 びリスク算定)」 ン トの範囲に スクアセスメ 「リスク対策 の選択」が リ でに解説書やハ ン ドブック等が発行されているので、 ここでは読者の情報収集 の手がか りとなる情報源 を示 相当す ると考えてよい。 第 1図 に一般的なリスクアセスメン トの手順 を示 ISに おける 「リスク発見」及 び す。 この図では、」 好 ましくない事態 の発 「リスク特定」を、それぞれ 「 1. は じめに す にとどめた。 2. リ ス クマネ ジメン トとリス クアセ ス メン ト リスクマネジメントシステムに関す る国内規格 とし てはJIS Q 2001「リスクマネジメントシステム構築の ための指針」 があり、制定後 3年 を経て定着 しつつあ る。この規格では、 リスク及びリスクマネジメントを それぞれ次のように定義 している。 〔リスク〕 事態の確 からしさとその結果の組み合 わせ、又は事 態 の発生確率 とその結果の組み合わせ。 〔リスクマネジメン ト〕 リスクに関 して、組織を指導 し管理する、調整 され 重大 な事態 の特定」 と言 い換えて い る。これ 見」、「 ISにおける 「リスク発見」 の定義は 岬 は、」 して影響 を及 ぼす事態及びその結果を発見及び認識す る過程」であり、下線の部分 は上記 した 「リスク」の 定義 に合致 しないためである。化学産業 の分野では、 ハザー ド (Hazard)」 この部分は 「 、「 滞在危険陛」な どと呼 んでいる。ちなみにCPQRAガ イ ドライ ンでは、 ハザー ドを、「 人、財産または環境 に被害を与える可 能性 をもつ物理的 または化学的な条件」 と定義 してい る。 リスクアセスメントの主要部分はリスク分析 (また 好 ましく はリスク解析)で あり、その出発点である 「 た活動。 また、 リスクマネジメント (以下RM)の 具体的な 活動 として、RM方 針 の策定 に始 まり、RMに 関す る 計画策定 lPlan)、RMの 実施 (Do)、RMパ フォーマ ない事態の発見」 は定性的な手法によるカミ 特定 され た重大な事態に対す るリスク算定 (またはリスク推 定)で は、定性的な方法 (ランク付けなの か定量的 ンス評価及 びRMシ ステムの有効性評価 (Check)、 (数理的)な 方法が採用される。 配管技術 2004.8.41 ・ 化学産業におけるリスクマネジメントの現状と展望・ (2) これらをどのように採用す るかは、その企業のマネ ジメントの意思決定に委ねられることになる力ヽ その リスクアセスメントの範囲 判断材料を提供するため、 リスク低減対策に関する検 討 (費用対効果分析を含む)カ ミ リスクアセスメ ン ト の中で行われる。 好ましくない 事態の発見 3.リ ス クアセスメン トの手 法 化学産業におけるリスクアセスメン トでは、主に、 ① 機 械に巻 き込まれる等の機械設備に関わるケガ を中′ さとした労働災害 ② 設 備 ・機器からの漏洩 に伴 う火災 ・爆発や毒 性 確 からしさ (発生確率)の算定 リスク評価 企業マネジメントに よる意志決定 第 1図 一 般的なリスクアセスメントの手順 リスク評価の段階では、算定されたリスクをあらか じめ設定 されたリスク基準 と比較 す ることによって、 許容 の可否、対応すべ きリスクの特定及び対応の優先 度が決定 される。 現在、国内で実施 されている リスクアセスメン ト では、原子力等一部 の分野で定量的なリスク算定及 び評価 が行われて いるものの、その他の分野では定 性 的な方法 を採用 して い るケ ー スが 一般 的である (4項 を参照)。 これに対 して、欧米の化学産業分野 では、人の死亡確率 を数量的に推定 し、与 えられた リス ク基 準 に よって 評価 す る定量 的 リス ク解析 (Quantitative Risk Analysis、 QRA)(Analysisの 代 り にAssessmentを 使 う場合 もある)が 定着 して いる。 リスクアセスメン トの最終段階はリスク対策の選択 である。 リスクに対する対策は、一般に、回避 (計画 の変更、撤退などに よるリスクの排除)、移転 (保険 などによリリス クを他者 と分担)、低減 (リスクの発 生確率及 び//または損失を低減)、及び保有 (損失負 担の受容)の 4つ の選択肢及びこれ らの組み合 わせに 分類される。 42 配 管技術 2004.8. ガス拡散などの設備災害 を対象 とする。労働災害及び設備災害 に対する4つ の リスクアセスメン ト手法 とその特徴 を第 1表 に示す。 また、その中の定量的 リスクアセスメン ト (QRA) に使用 される主な解析 ツール及び解析に利用可能なデ ー タベースを調べた結果をそれぞれ第 2表 、第 3表 に 示す。海外 の QRAで はプラン ト敷地外 の第三者 の死 亡 リスクに重点が置かれる力ヽ 死亡 リスクに対す る許 0を 容 リスク基準については高だ 参照 されたい。 4.リ ス クアセスメン トの 実施状況 国内におけるリスクアセスメン トの実施状況につい て、最近の文献、雑誌等 に紹介された事例から類推す ると、以下のような特徴が見 られる。 もとよ り、広範 なデー タに基づいて統計的に得たものではなく、限 ら れた資料 に基づ くサ ンプル的な傾向であることをご了 解願 いたい。 4-1 労 働災害に対するリスクアセスメン ト 「 職場 の リス クアセスメ ン トの実際」 (1999年 発 つ 行)。とい う事例集には、化学産業 7社 及 び非化学産 業 6社 、合計 13社 のリスクアセスメン ト実施例が紹 介 されて い る (化学産業 :化 学、石油、石油化学、 ガス、硝子、医薬品等。非化学産業 :電 気、自動車、 精密機器、輸送機器、鉄鋼、非鉄金属等)。対象 とし ているリスクは、労働災害 (ケの が 9社 で最 も多 い (他に火災 。爆発、各種災害、化学物質)。以下にい くつかの特徴 を述べ る。 (1)好 ましくない事態の発見方法 チェックリス ト、危険 リス ト、事故 ・災害リス トな どあらかじめ用意された リス トを使用 している例が 5 社、作業観察によるところが 3社 、HAZOPを るところも1社 みられる。 使用す (2)リ スクの算定、評価方法 労働災害 リスクについてみると、可能性、接近性、 ・ (3) 化学産業におけるリスクマ ネジメントの現状 と展望・ 第 1表 化 学産業におけるリスクアセスメント手法の特徴 備考 主な対象 特徴 e 定 性的なランク付けのため、評 機 械 設 備 に ●用意された標準チェツクリストを用いて、潜在危険性を洗い出す。 価者によるバラつきが考えられ 関わるケガ等 ●潜在危険性の影響度 と発生頻度を定性的にランク付けする。 ●最後に、リスクマ トリクスを用いて、リスクの人小に応 じて安全対策を る。 の労働災害 (EN 10m//1so 14121) 検討する。 2.化 学プラントに 火災 ・爆発 ●各エレメント(機器)の潜在危険性 を独特の評価基準を用いて得点化 ●LNG、 LPC等 の低温 の危険性 は評価されない。 し、ランクI、1、Ⅲに分類する。 かかるセー フティ・ 8`「 ●危険性が最も高いランクIの 設備にはHAZOP等 を、ランクⅡの設備 ●発熱反応 プロセスを有しない設 アセスメント 備のランクは低い。 にはWhatlf等 を実施して、港在危熙 _をFl確認する。 0ブ生労働省) ●最後に、ランク毎に定められた安全対策を講じる。 i 象を選定する。 ●対象とすべ き設備やり1全'li象 が 爆発や ●お1 防庁指夕1 を参考に、対象 とする設備 と' i 故のり1 金嗜 イf 油コンピナ ー トの 火災 ・ ・. れるように'L意が必要。 ‖ 網lilさ ′ 防災 アセスメント ケ性 物 質 の ●E T A 、 F T A や 影響解l l (‐物理) モデル等の確 立された解析手法をり ●影響解析 (物理1)モデルは簡易 いて、影響解析と頻度解析を行う。 (消珈 i:) 漏洩 ●平常H ↓ のリスクと地震時のリスクを分けて評価する。 的なものが多い。 ●最後に、半定景的なリスクマトリックス( 影響度 ×発生頻度) をり ‖いて、 ●本アセスメントを事業所で準用 する場合、リスクランクに応 じた リスクの大小に応 じて安全対策をa r ・ l する。 対策の実施方法 について独 自 の基準が必要。 4.定 量的リスク 火災 ・ 爆発や ●プラントの全設備 に対してHAZOP等 を実施 して、浩在危険性を洗い ●平常時のリスクと地震時のリス 1.機 械類 の リスク ' アセスメ ン ト アセスメント 毒性物 質の (QRA)(海 外) 漏洩 助 (Leeζ、ァメリカ '9ヽ AIChE/CCPS・ ∼い オランダT N O 。。 など のガイドブック) クを特に区別しない。 出し、代表的な危険源を特定する。 ●飛散物による被害 とドミノ効果 ●影響解析には、最新の物理 (計算)モ デルを用いる。 の リスクに対 して種 々の物理 ●漏洩や単一の故障 ・ 破損の発生頻度のデータは、種 々のデータベース (計算)モ デルが提案 されてい から引用する。 ●影響解析と頻度解析には、コンピュータープログラムを用いる。 るが、確立されていない。 ●プラント敷地外の第二者へ のリスクも考慮する。 ●気象条件の出現確率等を加味して、個人リスク注1'を 算出する。 ●プラント敷地内外の人口密度等 を加味して、社会リスク注2,を 算出する。 ●最後に、社会リスクを許容値以下に低減する対策を講じる。 注 1)個 人リスクとは、ある地点において、そこに人がいた場合 にその人が死亡する頻度。例:1げ 回/年 などと表わす。 注 2)社 会リスクとは、死亡者数がある数以 上となる頻度。例 :10人 以上死亡する頻度は1♂ 回/年 などと表わす。 ケガの大 きさの 3項 目を点数で評価 し、それらの合計 点 (または乗 じて得 られた点数)を ランク付け してリ スクを評価するところが7社 と最 も多 く、2項 目又は 3項 目のマ トリクスで評価す る例 も 2社 あ る (EN 1050 11S014121)等 に準拠)。 (3)リ スク低減対策の選択、評価方法 対策が必要 と評価 されたリスクの低減 については、 対策 ごとにあらか じめ決められた低減効果 (点数また は%)を 考慮 して、採用後のリスク再評価 を行ってい 備災害 に対するアセスメン ト 。 8に 我が社 の環境安全活動」 雑誌 「 安全工学」 は、「 )と い う連載記 我 が社の安全対策」 (1999年 までは 「 4-2 設 事が掲載されている。その1997年 2号 か ら2004年 1 号 まで の25回 分 の紹介事例 (ほとんどが化学産業) を調べてみた。 安全に関 しては労働災害 に対する取 り組みの内容が ′ 中 さで、また、本来 アセスメン トに焦点をあてた記事 ではないが、設備災害に対するアセスメントあるいは る例が 5社 あ り、対策実施後、2回 目のアセスメン ト を実施 して再評価する例 も2社 ある。なお、対策の実 施優先度 の決定方法 を決めている例は 1社 だけであ 安全性事前評価 を紹介 している企業が 8社 含 まれてい る。 これ らの企業 は、新 ・増設 の設備 に対 して、設計 る。 時、工事時及 び試運転開始前な どに安全性事前評価 を実施 してお り、既存設備に対 して再評価 を行ってい るところ もある。手法はチ ェ ックリス ト、What‐IR (4)ア セスメン ト効果及び実施上の問題点 ほとんどの企業カミ リスクアセスメン トの効果を認 めている。一方、より易 しく実施できる方法、可能性 や接近性 についての評価 のば らつ き、人や時間の負 担、 といつた課題 も挙げ られている。 HAZOPな どで、合 わせてリスクのランク付けを行 つ ているところもある。また、次に述べ る防災アセスメ ン トや毒性 ガスの拡散計算 といつた定量的な評価によ ― ― ― ― ― ― ― ― ― 化学産業におけるリスクマネジメントの現状 と展望…(4) 注3) 第 2表 定 量的リスクアセスメン ト (QRA)の 主な解析ツール 解析項 目 1.解 析対象の選定 ●潜在危険性の洗い出し ●事故拡大 シナリオの想定 ●対象 とする引金事象 と最終事故事象の選定 解析 ツール 解析手法 O DNV‐Pro(DNV)www dnヱ com OPHA‐ Pro(Dyadem)www dyadem com ●PHAWorls(PHmatech)www primatech com O HazardRe宙 ew LEADER(ABS/JBF) HAZOP、 What‐ If、 ・ “ チェックリス ト 3 wwwabsjbfacom 2.影 響解析 (最終的に、輛射熱、爆IV■、 ) 毒性 ガス、飛故物等の影響範囲を求める。 0流 出 ・ガス/液 /気 iit i射 1流 ●蒸発 ・フラッシュ/プ ール蒸発 0拡 散 ・ガス/エ アロゾル ・空気より重いガス/軽 いガス ・ジェット拡散 ・瞬間/連 続、点源/面 源 ●PHAST(DNV)(既 出) O FRED(Shell)www shellglobalsolutions com 物理モデ ル ( シミュ レー シ ョン ) O EFFECTS/DAMACE(TNO)www meptnonl ●SafeSite(BakerRisk)www.bakerrisk com O TRACE(DuPont/Safer)www safersystem com O SuperChems(ADL/ioMosaic)www iomos」 O US EPA Models yosentite epa gov/Oswer/ceppoweb nsycontent/ dbSoftware htm?OpenDocument 0火 災 ・ プール火災/ジ ェッ ト火災/フ ラッシユ火災 ●ファイアボール/BLEVE(Boiling Liquid ※半密 閉空間で の蒸 気雲爆発 の詳細 な解析 には以下のCFD (ComputaIOnal Fluid Dynamics)ツ ー ルカ汗」 用 可能 ●FLACS(CascOn)www gexcon com Expanding Vapor Exp10sion) 0爆 発 ・蒸気雲爆発 (非密閉系/半 密閉系) ・容器爆発 O EXSIM (Shel1/EXSIM)www exsimconsultants com O AutoReaCas(TNO//Century Dynarnics) ●飛散物 ● ドミノ効果 3.頻 度解析 ●引金事象 (漏洩)の 発生頻度 ●安全 システムの不作動確率 ●事故拡大 シナリオの分岐確率 0最 終事故事象頻度 4 . リ スク算出 0 個 人リスク ●社会リスク ccom eCANARY(Quest)www questconsulttom ヽ VWW Century‐dynamics co uk OBWTI(BakerRIsk)(既 出) ETA、 FTA、 FMEA'“ 数学モデル ' O CARA (SINTEF/Sydvest)"ww.sydvestcom ●RiskSpectrum(DNV//彼ELCON)www riskspectrum com O PDSTool(SINTEF/Sydvest)慨 出) O AvSim+(Isograph)www isograph‐ software com e MAROS(」 ardine)wwwiardinesolutions.cOm o MIRIAM (Lilleaker/CognIT)www lilleaker com O SAFETI(DNV)(既 出) e Shepherd Chell)(既 出) ●RISKCURVES(TNO)(既 出) ●M a x L o s s ( B a k e r R s k ) ( 既 出) 注 3)著 者が知 り得たものの内、主要なもの。 って防災対策を検討 している例が 2社 みられた。 4-3 防 災アセスメン ト コン ビナー ト防災アセスメン ト実施 の推進に 「 石油 9に 関する調査研究報告書」 (2001年3月 発行)。 は、28 都道府県 の石油 コンビナー ト防災担当部署及び275事 業所 の環境 ・保安担当部署から得 られた防災アセスメ ン トに関す る意識調査の結果がまとめられている。 (1)都 道府県 (石油 コンビナー ト防災担当部署) 消防庁 の 「 石油 コンビナー トの防災アセスメン ト指 針」 (1994年3月 発行)は 、都道府県が防災計画を策 定する ときに実施する災害想定 の方法を示 したもの で、20C11年3月 には改訂魔 °が発行 されている。 44 配 管技術 201D4.8. 意識調査によれlよ この指針 に基づいてすでに防災 アセスメン トを実施 したところは 7都 道府県 (25%) にとどまっている。ほとんどが居住地域に隣接 した比 較的大規模なコンビナー トを有 し、防災アセスメン ト の必要性 を感 じているところである。 防災計画における災害想定の方法 としては、「 経験 的に起 こり得 ると考えられる事故を想制 が17161%) と最 も多 く、次 いで 「 最大規模の施設 での事故 を想 定」及び 「 防災アセスメン トの結果をもとに想制 が それぞれ 6(21%)と なっている (複数回答)。 災害の起 こ りやすさと影響の大 きさを組み合わせた リスクの概念の理解については、 「よく知 っている」H 化学産業におけるリスクマネジメントの現状と展望…(→ 注4 第 3表 利 用可能な主なデータベース して い る。 1.化 学プラント (潜在危険性の洗い出しや事故拡大シナリオの想定を行う際の 参考情報) ●PSID(AIChE/CCPS)www ttche.org/ccps/11db.htm O FACTS(TNO) ては、都道府県 と同様に 「 経験的に起 こり得 ると考え られる事故を想定」が226182%)と 最 も多 く、次い で 「 最大規模の施設 (タンクやプラン ト等)で の事故 www meptno.n1/softu・are/MilieuIV/Kort/FACTSkorten htnll O The Accident Databasc(IchemE) wwwichemeor3/1earning/accdb=form htm O MHIDAS(UK HSE/AEA) VW hSe gOv uk/infoserv/mhidas htm ヽ Vヽ ●M A R S / S P I R S ( E U / M A H B ) inovvatorjrc it/mars/Default htnll ●US EPA yosemite epa gov/oswer/ceppoweb nsycontent/ap‐ch」htm ●US DOT/NRC www nrcuscg milバ nsum html ●US CSB www csbgov ●産業技術総合研究所 www aistgOjp/RIODB/RISCAD ●安全工学協会 wwwsoC.nl acjp/jsse3/1nfo/Jireisyu htnll O高 圧ガス保安協会 ww“ khk.o埼ノjikttirei htm ●危険物保安技術協会 www3.khk‐ syoubou orjp ●損害保険料率算出機構 www nliro or」 p/conten、/database/index html 2.機 器故障率データベース (機器等の単一の故障 ・破損の発生頻度や不作動確率の情報) 0 0REDA(DNV/SINTEF) wwwЫ nteinO/s●Ic/TL/praects/oreda ●PERD α ヽ IChE/CCPS)wwttache.Org//ccPs/perd O PDS Data Handbook(SINTEF//Sydvest) d ata ヽ Vヽ VW Sydvestcom/Products/pds‐ ●ESReDA(ESReDA)www vtt.■ ●DSC(US DoD//RAC)rac alionscience com/consorium OIEEE Std● 3/5∞ (IEEE) ●GADS(NERC)www nerccom/∼ gads OルIIL‐ HDBK‐ 217(US DoD) ●CIDEP(US Government)wwπ 」dep.org O WASH‐ 1400(US NRC) ●IAEA‐TECDOC‐ 478(IAEA) ●EIReDA(EU/1SIS) 3.配 管漏洩確率データベース (配管等か らの漏洩 の発生頻度 の情報) ●LEAK(DNV)www dnv.com ●AP1 581(API) 注 4)著 者が知 り得たものの内、主要なもの。 防災マニュアルを作成する際の災害想定の方法 とし 128(46%)、 「リスク解析手法 (ETA、 FTA して想定」62(22%)の 順 となって いる 適用 等)を (複数回答)。 ここで 「リスク解析手法 (ETA、 FTA を想赳 等)を 適用 して想制 は、消防庁指針 の使用を示 して いると考えられる。なお、「 災害想定 は行っていないJ はわずか 4(1.5%)で あり、ほとんどの事業所が何 ら かの形で防災 アセスメン トを実施 していると考えられ る。 リスクの概念 の理解 については、 「よく知 っている」 知 らな 166160%)、 「 聞いたことがある」8300%)、 「 かった」26(10%)で 、事業所ではかなり浸透 してい るとみ られる。また、 この概念の石油 コンビナー ト地 受け入れられる 区における受け入れ予想に関 しては 「 受け入れ られない と思 う」93 と思 う」106(38%)、 「 わからない」52(19%)で あり、都道府県に (34%)、 「 比べ て楽観派がやや多 い。 5。 リスクア セスメン トの展望 4項 に述べ たリスクアセスメン トの実施状況 から、 リスクアセスメントの今後 の展望お よび進め方につい て、何点か述べてみたい。 5-1 労 働災害 リスク 労働災害 リスクに対す るアセスメ ン トは、化学産 業、非化学産業 を問わず広 く普及 していると考え られ る。KY、 ヒヤ リハ ッ ト等 の伝統的なゼ ロ災害へ の取 の手 り組 み実績をベースにEN 1050(IS0 14121)等 法を加 え、より定量的、効果 的な方法、手法を確 立 し ようと各企業が工夫を凝 らしている。その努力 は、今 後、着実 に労働災害の減少 に寄与するものと期待 され る。 知らなかっ ある」 9(32%)、 「 聞いたこと力` (38%)、「 た」 8(29%)と ほぼ3分 している。この概念の石油 コンビナー ト地区での受け入れ予想に関しては、「 受 受け入れられない け入れられると思う」 8129%)、 「 と思 う」 5(18%)0「 わからない」13(46%)で 、楽 観的な見方はそれほど多 くない。 (2)事 業所 (環境 。保安担当部署) 回答 した275事業所のうち、ほぼ75%が居住地域か ら離れたところに立地している。消防庁の指針につい ては、130事業所 (47%)が 読んだことがあると回答 ・ 備災害 リスク 化学産業 の設備災害リスクに対 しては、チ ェツクリ ス ト、HAZOP、 What‐If等のプロセス危険性解析手 法を活用 したアセスメントが普及 しつつある。新、増 5-2 設 設 プラン トヘの適用が多 いが、新設計画がそれほど見 られない現状では、既設設備 についても同様のアセス メントの継続的な実施が望 まれる。 その場合、 ① 増 設、改造 の繰 り返 しに伴 うシステム上の 不整合 配管技術 2Cll14.8.45 化学産業におけるリスクマネジメントの現状 と展望…( 6 ) ② 腐食、疲労等による設備の劣化、損傷 ③ 設 備の転用、使用条件変更等による新たな 危険性 ④ 要 員特にベテランオペ レータの減少 など、変更管理、設備保全、要員計画等に視点を置 いた総合的なアセスメン ト手法を確立することによ り、一層効果的なアセスメントが期待できる。 5-3 防 災アセスメン ト セスメン 防災ア ト、災害想定は、石油 コンビナー ト の大半 の事業所で実施 され、防災対策、緊急対応計 画の立案等に役立て られているようである。 これは、 消防庁指針 の存在や、都道府県及び消 防当局の指導、 助言が効果を発揮 しているもの見 られる。 消防庁指針の根幹 として取 り入れ られているリスク の概念の普及に関 しては、現在のところ悲観的な見通 しである力ヽ 国内において具体的に提唱された数少な い定量的な考え方であ り、伝統的な絶対安全からの脱 皮 の切 リロとして、企業側 でもなお一層、適用 し、評 価す る努力が望 まれる。 特 に、 ① 起 因事象の発生頻度や分岐確率の設定 ② リ スク評価結果のリスク低減方策への反映の 仕方 ③ リ スク低減方策の有効度評価 果 の信憑性に対する疑問 も手伝 って、QRAの 普及に はまだまだ時間を要するものと思 われる。 しか しながら、企業が自主保安の立場からリスクマ ネジメン トにQRAを 導入する場合、独 自のリスク基 準に基づ くリスク低減対策を一定 の合理性をもって選 択、実施する事が可能となり、その利用価値は高い と いえよう。また、そのような事例が公表されてい くな ら│よ リスクの概念および許容 リスクレベルについて の議論の醸成 に役立つ ものと期待 される。 6。 おわ りに 現在、エンジエアリング企業における海外 プラン ト 建設プロジェク トでは、EIA(環 境影響評価)と とも に QRAを 実施するケースが増 え、設計の現場 では、 個人リスクや社会 リスク、許容 リスク基準を満たすた めのリスク低減対策 といった議論が行われ、プラン ト の リスク対応について、国内の現状 との隔た りを実感 している。 しか しながら、従来、原子力な ど限られた分野で し か取 り扱われなかった確率論的なリスク評価 力ヽ 消防 庁指針に見 られるごとく化学産業分野でも実際に行わ れるようになっている。上に述べたように定量的なリ スク評価の定着 には様 々な壁力` ある力ヽ プラン トの安 全をより合理的に確保する上で一つの有効な手段にな り得 ると考える。 じっ くりと時間をかけて有意義な議 (特に影響度低減効果) などに関 して、デー タおよび考え方が積極的 に開示、 提案 されることを期待 したい。 論力考予われることを望みたい。 最後 に、 リスクアセスメン トの現状把握 のために発 5-4 定 量的 リスクアセスメン ト (QRA) 現在の防災アセスメント、災害想定の方法は、災害 行誌、発行文献を利用 させていただいた中央労働災害 防止協会、安全工学協会、0消 防科学総合 センター の大 きさに関 しては、火災の輻射熱の強度、毒性 ガス の拡散濃度あるいは爆発の爆風圧 といった影響度を計 算 によって求め、人に対す る許容値 と比較することに よって評価す るものである。 これ に対 し、欧米で実施 されて い る QRAで は、 Probit関数やあらか じめ設定 した評価基準 を用 いて、 その影響度を人の死亡する割合に換算 し、数値的に求 めた災害の発生頻度と組み合わせることによって、死 亡確率 としてプラントのリスクを推定す る ものである (個人 リスク及 び社会 リスク)。 この考え方は、消防庁指針のリスク概念をさらに超 え、人の死亡 とい う冷厳なリスクによってプラン トの 安全 レベ ルを数値的に評価 しようとす るものであ り、 国内の現状を考えると、より受け入れ難 い ものか もし れない。加えて、必要な各種デー タの不確実性、多数 の仮定条件、災害現象 モデルの限界などによる評価結 46 配 管技術 2004.8. に心 よ り感謝す る次第である。 <参 考文献> (1)AIChE//CCPS, “ CPQRA", Cuidelines for Chemical PrOcess Quantltauve Risk Analysis,2/e,(2000) 12)池 田博康,機 械設備のリスク低減の手順 と拡張の考え方,安 全工 学,Vo1 41,No6,(2002) 0 労 働省労働基準局,化 学プラン トにかかるセーフティ ・アセスメ ントに関する指針,(20110) “)硫 酸協会 化学プラン トにかかるセーフティ ・アセスメントについ て,硫酸 と工業,Vd 53,No9,(2000) (→厚 生労働省安全編,化 学プラン トにかかるセーフティ ・アセスメ ントー指針 と解説,中 央労働災害防止協会,(2001) (6)消 防庁特殊災害室,石 油 コンピナー トの防災アセスメン ト指針, (2∞1) 0 山 瀬敏郎,石 油 コンビナー トの防災 アセスメン ト,安 全工学 , VOl.40,No.1,(2001) (8) Lees,FP,Loss Prevention in the Process lndustries,2/e, ButterwOrth Heinemann,(1996) (9)AIChE//CCPS,Guidelines for Hazard Evaluauon PrOcedures 化学産業におけるリスクマネジメントの現状 と展望…(7) 00 高 木伸夫,プ ロセスプラントの安全設計基礎講座(8ヽ安全工学, 、 vithヽVorked Examples,2/e, (1992) ( 1 0 T N O , “Y e l l o w B o o k " , N 7 1 e t h o d s f o r t h e c a l c u l a t i o n Vo1 o f 39,No4,(2000) 00 高 木伸夫,化 学プラントの リスク評価 と許容リスクレベル,安 全 physical effects,3/e,CPR 14E,(1997) (lD TNO, “Red Book", MethOds for deterrnining and process‐ ing probabilides,CPR 12E,(1997) (10 工学,Vo141,No6,(21X12) 0つ 中 央労働災害防止協会編,職 場のリスクアセスメントの実際,中 央労働災害防止協会,(1999) 03 安 全工学協会編,我 力壮 の安全対策/我 が社の環境安全活動 (全 25回),安 全工学,Vo1 36,No2∼ Vo1 43,Nol,0997∼ 2004) 09 0消 防科学総合センター,石 油 コンビナー ト防災アセスメント実 TNO, “Green Book", ヽ 任 ethods for determlning the possible damage,CPR 16E,(1992) (19 TNO, “ Purple Book", Cuidelines for Quantitative Risk Assessment,CPR 18E,(1999) 施の推進に関する調査研究報告書,(21101) 0り 高 木伸夫,プ ロセスプ ラ ン トの安 全設計基礎 講座(7ヽ安全 工学 , Vo139,No3,(2000) 【 筆者紹介】 松岡俊介 (昭和17年4月24日生 。熊本県出身) 千代日化工建設躙 プ ロセス技術本部 システム設計部 HSEグ ループ 〒230‐ 1 8601 横浜市鶴見区鶴見中央2‐ 12‐ 1231 FAX:045‐ 503‐ 0 200 TEL:045‐ 521‐ URL i http://www.chiyOda― corp.com TEL:045‐506つ423 FAX:045-506‐ 7359 E― Mail:smatsuoka@ykh chiyodacojp (主なる業務歴及び資格〉 E‐ 石油精製装置基本設計、化学プラントの安全設計および 安全性評価 (HAZOP、 FTAな ど)、防災アセスメント、 QRA 〈 (主なる執筆〉 〈 ペ トロテック シ Mail:[email protected] 資本金〉 12,027(百 万円) 商 ) 2Q000(百 万円) 従業員数)2,316名 (連結) 主要取引先〉 ェル、エクソンモービル、BP、新 日本石油、東京電 力、東京ガス等 業内容及び会社近況〉 (事 油化学プラント、LNG液 化プラント等の設計 (エンジ 石 アリング)。調達 。建設 ニ 上田非6治 (昭和43年 4月 17日生 ・愛媛県出身) 千代田化工建設閉 プ ロセス技術本部 システム設計部 HSEグ ループ 〒230-8601 横 1 12‐ 浜市鶴見区鶴見中央2‐ TEL:045-5067404 FAX:045‐ 代田化工建設株式会社 表者〉 関 誠 夫 社住所〉 8601 横浜市鶴見区鶴見中央212-1 230‐ 千 (代 (本 〒 〈 (年 506-7359 E INIail i [email protected] (主なる業務歴及 び資格〉 Chemical Process Safety,Loss Prevention,Engineer‐ in,HSE,QRA 一―一 ● 優 良技術 図書 案 内 ●初歩と実用のバJレ ブ講座 新改訂版 第 5版 バル ブ講座編集委員会編 A5判 450頁 定価 :4,200円 (本体 4,000円 ) ●最新 の プラン トメ ンテナ ンス 手法 と配 管 設 言 配管技術 ム ック誌 定 価 :2,500円(税込) お問合せは日本工業出版腑販売課 まで 販 売直通 03(3944)8001 FAX o3(3944)0389 配管技術 20114.8.47 廃 プラスチ ックの石油化学原料イヒとプロセス開発 の現状 ¨(1) H0404‐ 09 0385‐ 9894/04/Y500′ CLS 員 含文/」 説〕 〔解 廃 プラスチ ックの石油化学原料化 と プロセス開発 の現状 │1島 石り 播磨重工業帥 西 野 順 也 Junya Nishino プラスチ ックのケ ミカル リサイクル と フ ィー ドス トック リサイクル の現状 1.廃 プラスチックは軽量で成形が容易な ど優 れた特性を 有 していることから、 日常生活に深 く浸透 し、欠 くこ とので きない材料 となっている。一方、使用済みの廃 プラスチ ックは直接埋め立てあるいは焼却 などの中間 処理後、残澄を埋め立て処分されている力ヽ 埋立地の 逼迫や焼却時のダイオキシン発生を抑制する観点か ら 処分ではな く資源 としてリサイクル し、再利用する動 きカツ舌発化 している。 とくに、 プラスチックは大部分 石油由来であ り、廃 プラスチックを化石燃料の代替や 石油化学原料 として再利用することで化石資源 の消費 を直接抑制できる効果がある。 廃プラスチックは現在、一般廃棄物 と産業廃棄物を あわせて 日本で年間 1,016万トン C2001年)カ リト 出さ (ltそ の れている うち50%以 上がポリエチ レンとポ リ プロピレンであ り、約47%が 容器包装品の廃棄物であ る。 と くに、一般廃棄物 1528万 トン)で は容器包装 品の廃 プラスチックが約70%を 占めている。環境省 は 容器包装品の廃プラスチックを対象 にリサイクルを目 的として、1997年 度か らPETボ トル、2000年 度から 「 その他プラスチック」について容器包装 リサイクル法 (容り法)を 施行 し、自治体 には分別収集 に努めるこ とを、事業者には自治体が分別収集 した容器包装品の 再商品化を義務付けている。2001年 度の実績では 「 そ の他プラスチック」の分別収集 を実施 している自治体 は全 国の市町村 の約 35%(人 ロカバー率約 44%)で あ り、再商品化量は約 18万 tである。 容 り法 で定められている廃プラスチックの処理方法 には材料 リサイクルとケミカルリサイクルがあるが、 廃 プラスチ ック処理全体 でみる と材料 リサ イク ル 14%、ケミカルリサイクル2%であり(1ヽ 全体の2割に ルの ミ カル た と に サイク も満 ず、 く ケ リ 割合が極端に 48 配 管技術 2004.8. 少ない。発電つ き焼却および熱利用焼却によるサー マル リサイクル (36%)あ るい は未利用 の まま処分 (lt循 (47%)さ れているのが大 部分 で ある 環型社会 形成に向けて円滑で効率的なリサイクルの社会システ ムを構築す るためには、未利用の まま処分 されている 割合 を減 らす ことは当然であるカミ 廃プラスチックの 種類や質に応 じて、カスケー ド的な利用 も含めて、最 適なリサイクル方法を選定できるように、材料、ケ ミ カルおよびサーマル リサイクルがそれぞれ量的にある 程度バ ランス していることが望 ましく、 と くにケ ミカ ル リサイクルの割合 をもっとのばす ことが求 め られ る。 ケミカルリサイクルは廃プラスチックを化学原料と して再利用する方法である。方法には油化° ヽガス 4、コ_ク ス め (° ビ、高炉原料イ イ ビ 炉還元 および溶媒抽 “ Xの 出 があるが、大 きく分けて、廃 プラスチ ックを熱 や溶媒を使 って分解 し、 モノマー原料 などの化学原 料 を製造する方法 と、廃 プラスチ ックを直接 化学原 料 として利用する方法 とがある。前者が フイー ドス ト ックリサイクルであ り、油化、ガス化お よび溶媒抽出 がこの方法に属す る。その中で、油化はポリエチレン (PE)、 ポ リプ ロピレン (PP)、 ポ リスチ レン (PS) などの熱可塑性のプラスチックを熱分解 し、プラスチ ックの原料である油を製造す る方法であ り、 この油が 石油精製原料や石油化学原料 として再商品化 されれ ば、石油 資源 の循環的な使用が実現する。後者には 高炉原料イヒとコー クス炉還元がある。「 その他 プラス チ ック」の場合、高炉原料化 とコー クス炉還元で再 利用 されているのがケミカルリサイクルの 8割 以上で あ り、油化は全体 の 1割 程度にす ぎない。廃 プラス チックの油化設備 は国内に30数 施設あるが、一般廃 棄物を対象に年間5,000t以上処理 しているのはわずか X° これは 3施 設である° 。 高炉原料や コー クス炉還元 ・ 廃プラスチツクの石油化学原料化 とプロセス開発の現状 (2) 廃プラ年 間排 出量 トン 約1.016万 対 し、油化は化学原料 の製造に新 たな設備投資 と運 転費用が必要なため、 コス ト面で厳 しい状況にある。 前処 理工程 力〕 兜プラスチックを直接化学原料 として利用でき、か つ既存 の大型設備 を活用 し、大量に処理で きるのに ポリオレフィン(PE、 生成 した軽質油 をナ フサ として石油精製設備 にリサ イクルす る実証試験 が開始 され、年間1.500kL処理 さ れる予定であるlt廃 プラスチ ックの石油精製原料ヘ のフイー ドス トックリサイクルとして新たな展開が期 待 される。 また、油化 の一種であるが、触媒を用 い、 触媒 A/B: 並ダ1 / 直 列 の処理 最適 化 オレフインガス llt級 低級オレフインガス 精 製 工程 生 成 物 利 用 特定 の石油留分や石油化学原料 を製造する技術の開 ・ 。 発 も試み られてお り 、 日本ではゼオライ ト系 の触媒 を用 いてC5∼ C20の灯 ・軽油留分 を選択的に生成する ° 接触分解 プロセスが実用化 され、稼動中である t 触媒 分解 ︱ ︱租 また、 これまで単なる熱分解油化で得 られた製品は燃 料や石油化学原料 として使 いに くい とい う技術的な 課題 もあった。 しか し、 この 4月 か ら熱分解油化で 2.廃 プラスチックの石油化学原料化 プロセスと 開発 の現状 ロセスの概要 2-1 プ ロセス スチ ックの中でも量の多 いポリ プ は廃プラ 本 エチレンやポリプロピレンなどのポリオレフイン類 を 成 し、廃 プ ラスチ ツクを化 学 原料 と して石 油化 学 の フ 対象に触媒を用 いて燃料やナフサより付加価値 の高 い 石油化学原料 を製造するフィー ドス トックリサイクル 。 巣a。 の全 システ そ プロセスの実用化を目指 している 体 ィー ドス トックにリサイクルす るシステムである。 本 プロセスのフローを第 2図 に示す。プロセスは光 選別 と比重差選別を直列 に組み合わせた前処理過程 と ムの概要を第 1図 に示す。 2種 類 の触媒を製品の用途 に応 じて使 い分け、低級 オレフイン C2∼ C4)や ベ ンゼン、ト ルエン、キシレン lBTX)お よび水素 を生 溶融押 出機、熱分解反応槽 、触媒分解槽か らなる分 解過程、還流 ・冷却器からなる気液分離過程 から構成 される。 第 1図 廃 プラスチックのケミカルリサイクルシステム 廃 プ ラスチ ック ポ リオ レフ イン以外 の廃 プ ラスチ ツク 廃ポリオ レフィン 分解過程 ガス (H2,Cl C5) 気液分離過程 第 2図 石 油化学原料化プロセスのフロー 配管技術 2004.8.49 廃プラスチックの石油化学原料化 とプロセス開発の現状…(3) 2-2 前 スチ ック」 を用 いて光選別お よび比重差選号U装置をそ 処理過程 第 3図 に光選別装置の概略を示す。 この装置は紙お よびプラスチックの 自動選別装置 として開発 したもの で、紙およびプラスチックに近赤外線を照射 し、その 反射 スペ ク トルのパ ター ンか ら材質 を識別 し、選別す る装 置である。最大処理量 lt/hrから4t/hrまで 4機 。 0。 種ある 識別できる材質はポリエチレン (PE)、ポリ プロピレン (PP)、ポリスチレン (PS)、PET、 ポリ 塩化 ビニル (PVC)、 ポリ塩化 ビニ リデ ン (PVDC)、 ABSお よび紙である。試験 は最大処理量2t/hrの装置 れぞれ単独および光選別、比重差選別の順に直列に組 な合わせて選別 したときの試験結果を示す。それぞれ 単独 で処理 した場合 でも、選別 した廃ポリオ レフィン の 9割 以上がPEと PPで あるが、塩素が5000ppm以 上含 まれてお り、分解過程 で触媒に悪影響を及ぼす こ とが懸念される。両者を直列に組み合わせることで塩 素 の合有量を1,Oooppm以下にまで下 げることがで き る。 2-3 分 を0.5t/hrの 速度で運転 し、PEお よびPPを 識別する設 定で行 つている。第 4図 は比重差選別装置のフローで 解過程および気液分離過程 第 5図 は分解過程および気液分離過程 のフローであ る。ここではガリウムシリケー ト系 ゼオライ ト触媒を ある。第 1表 に自治体力刊蝶 した容 り法 「 その他プラ 使用 し、ベ ンゼン、ト ルエンおよびキシレン (BTx) 磁選 機【 =B 紙 ・プラスチ ック自動選別装置 識別装 置 その他プラスチ ック 固形燃料 (RPF) 固形燃料 (RPF) 第 3図 光 選別装置の概略図 発 泡 PSl 発泡 疑2 2 重 プ ラ2‐ 第 4図 比 重差選別装置のフロー 第 1表 前 処理選別品の純度および粗成 純度 光選別単独 PE CI Eppm]注 1 PP 591111 44 比重差選別単独 4 5,300 光選別 +比 重差選別 0 850 注 1)ハ ログンのF、 Brは 検出限界以下 (F i 20ppm、 Br i 20ppln) 50 配 管技術 2004.8. [wt%] C H N 80.3 O 灰 46 ND 分 ・ ・4) 廃プラスチックの石油化学原料化 とプロセス開発の現状 〈 ー 第 5図 廃 プラスチックの分解および粗精製過程のフロ の混合油 を製品として回収する場合を想定 している。 プロセスの開発 は主に連続供給式の小型試験装置を 用 いて触媒の性能評価を行ってお り、 ここでは連続供 給式 (処理量 1.Okg/hr)装 置での結果 を紹介する。 試験 に用 いたプ ラスチ ックは高密度ポ リエチ レン (HDPE)ペ レットである。触媒はガリウムシリケー ト系 ゼオライ ト (Ga/Si=25)の 成型品を用 いて い る。 装置は第 5図 のフロー と同様 に熱分解槽、触媒反応 熱 槽 と還流 ・冷却ユニ ットか ら構成されている力ヽ カロ ー はすべて電気 ヒ タを用 いている。 プラスチック原料は450∼ 510℃ に保持 された熱分 解槽に連続的に供給 され、溶融、熱分解 される。熱分 解 ガスは触媒反応槽に導かれる。触媒分解槽に供給 さ れた熱分解ガスは温度500∼ 590℃ で接触 分解 される。 生成 したガスは還流器および冷却器で分留 されガスと 液に分け られる。液は冷却器下部の油水分離器で水分 を分離 し、貯留器に抜 き出す。生成物はガスおよび液 が得 られ、ガスの主生成物は水素、 メタン、 エ タン、 エチレン、プロバ ン、プロピレンおよびブタン類 とブ テ ン類、液 はベ ンゼ ン、 トルエ ン、o― キ シレン、 m― キシレン、p― キシレンおよびエチルベンゼンで ある。その他 の生成物 はほとんどC9以 上の芳香族化 合物である。 第 6図 に連続運転時間とガスおよび液生成物の組成 との関係 を示す。液成分は運転時間 とともに減少 し、 ガス成分が増加す る。BTXの 合計 は反応初期には約 ∞wt%あ るが触粛 古性の劣化 とともに減少する。適当 な経過時間で触媒の再生が必要になる。 第 7図 にLDPE、 HDPE、 PPペ レッ トおよび廃 プ ラスチックの分解 で得 られる液生成物 の収率を比較 し た。プラスチ ックの種類が異なってもベ ンゼン、ト ル エン、キシレン CTX)の 各収率 はほとんど同 じであ る。BTXの 中では トルエ ンの生成が もっとも多 く、 キシレン異性体 の構成比 は熱力学的な平衡組成にほぼ 等 しく、m― キシ レンが多 く、o― とp― キシレンが ほぼ同量生成する。 3.製 品およびプロセスの評価 3-1 石 油化学原料 としての評価 ロセスの 生成物を石油化学原料 として既存の石 プ 本 油化学精製装置 に受け入れてもらう場合、既存設備の 運転操業 に支障を与えないこと、あるいは支障を及ぼ さない範囲で原料に添加 して使用 してもらう必要があ る。本 プロセスの場合、BTXを 石油化学原料 として ケミカル リサイクルす ることが当面の目標 となる。ス ルホラン抽出装置の原料 として受け入れてもらうこと を想定 し、原料中に含 まれるオ レフィン類お よびジエ 。 (⇒ 廃プラスチックの石油化学原料化 とプロセス開発の現状・ 。 60 。 ト 唇 報 40 ― ベ ンゼ ン ー トルエ ン ー キシ レン ー BTX合 計 半 液成分合計 ― 水素 B 炭 化水素 ( C l ― C5) 一 合計 HDPE供 給 量 lkg/hr 触 媒分解温 度 5 9 0 ℃ W/F=39g・ nlin/g 30 40 50 経過時間 [hr] 第 6図 高 密度ポリエチレン (HDPE)の 連続分解試験結果 LDPEVヽ レット Zベ ンゼン して問題 ない レベ ルと考 えて い ロ トルエン る。 また、液生成物 中の金属 や So― キシレン ハ ログ ン成分 の分析 も行 った。 目 m ―キシレン HDPE´ くレット ロ p―キシレン ロ エチルベンゼン ロ その他の芳香族化合物 Caと Clが 数 ppm検 出 され た 力ヽ それ以外 の金属 やハ ロゲ ン は検 出 されなかった。既 存 の石 油化学 プ ロセス に原料 と して フ ィー ドス トックリサイクルで き る可能性 が十分 にあると考 えて 廃プラスチック 触媒層温度 550∼ 580℃ W/F=15-46(g・min/g) 20 40 60 生成物収率 [wt%] 第 7図 プ ラスチック分解における液生成物の比較 いる。 3-2 プ ロセスのLCA評 価 本 プロセス を用 い て廃 プラス チ ックを処理 し、製品を石油化 学原料 として フィー ドス トック に リサイクルす る ときのエ ネ ル ン類濃度 の指標 となる臭素価お よびジエ ン価 を測定 し、石油化学原料 としてリサイクルできる可能性 を検 ギ ー 消 費量 お よび環境 負荷 物 質 の 排 出量 に つ い て り L C A 評 価 を試みた。。 ここでは本 プ ロセスを使 って廃 討 してみた。 HDPEペ レットおよび廃 プラスチックか らの液生成 物について分析 した結果を第 2表 に示す。廃 プラステ ポリオレフィン 141.2t)からBTX 02t)を 製造する システム(A)のエネルギー消費 と環境負荷物質の排出 ックの臭素価 およびジエン価 はHDPEペ レットの値 に 比べて高いが、既存 のスルホラン抽出用原料の性状 と 第 2表 液 生成物の石油化学原料 としての性状 プラスチ ックの種類 HDPE 臭素価 (g/100gl ジエ ン価 (g/10og) 52 配 管技術 2004.8. 不検 出 廃 プラスチ ック 量を評価するために、原油からBTX(22t)を 製造す るシステムに廃ポリオ レフィン (41.2t)を焼却 。埋め 立てす るシステムを合算 したケース(B)および直接埋め 立てするシステムを合算 したケース(C)について比較 し ている。その結果が第 8図 である。本 システム(A)のエ ネルギ ー消費 自体 はケース (B)および(C)に比べ て約 10%多 い が、プ ロセ ス 内 で生 成 す る エ ネ ルギ ー ベて 1∞Gcalを利用することでケース(B)および(C)によヒ 廃プラスチックの石油化学原料イヒとプロセス開発の現状…(6) 石油化学原料 (BTX) ¨ 回 ¨ ¨ ¨ 回 C02 emiSSion [t] プラスチ ツク SOx emission NOx emission [kg] [kg] Solid waste [t] .つ 第 8図 廃 プラスチックの石油化学原料イヒプロセスのLCA比 較 約 40%削 減で きる。エネルギー消費の内訳で見ると電 カエネルギーを使用する前処理プロセスが38Gc」と最 も多 く、ついで熱分解、接触分解の順となる。廃プラ スチックの分別収集、輸送および生成物の冷却分離に 係わるエネルギー投入量は比較的小さい。また、C02 出量 出量の比較においては、本システム(⇒でのお卜 リト が最も小さく、特に廃プラスチックを燃焼するケース (B)と比較すると大幅に低減できることがわかる。その ほかの環境負荷物質であるSOxお よびNOx排 出量に ついても本 システム0カ 浸 も月ヽ さい結果となった。 このように、本 システムはBTX回 収 システムとし エ て ネルギー消費および環境負荷物質の排出量が少な く、本来埋め立てされるべ き廃 プラスチックを減量で きる等、廃プラスチック処理の一試行策として有用で あることがわかる。 4.お わりに 廃プラスチックを触媒分解 し、製品を石油化学のフ イー ドス トックにリサイクルするプロセスの開発状況 を紹介 した。技術的には触媒の寿命や選択性の改善な 凛 題が残 っている力ヽ 石油資源の循環的な使用 とい う高邁な理想に近づ く技術 として期待できると考えて いる。廃プラスチツクから石油化学原料 を製造す るこ とはLCA評 価 で もエ ネルギー消費お よび環境負荷 の 点で原油から製造 しプラスチツクを処分するよりも有 利 であ り、意義のあることである。 問題 はコス トであ 一 る。 コス トは社会構造的な要素が大 きく影響 し、 企 業の努力には限界がある。処理設備 の建設や運転の費 用を考慮す ると、やはリスケールメ リットを活かす必 要があ り、廃 プラスチック収集システムの整備が不可 欠である。現在、容 り法が施行 さな 自治体で分別収 集されているカミ 収集量 は廃プラスチックの半分近 く 一 を占める容器包装品のご く 部にすぎない。また、製 品を石油化学 のフイー ドス トックにリサイクルす るた めには品質管理が必要であり、良質で均質な廃 プラス チックが望 ましい。廃プラスチックの種類 と質 に応 じ て材料、ケ ミカルおよびサーマルリサイクルを使 い分 け、 カスケー ド的に再利用す る仕組 みが必要である。 最後 に勝手な意見 を述べた力ヽ プラスチックに限 ら ず、経済性の原理 に従 い物が流れる製品の製造、物流 一 および消費過程 に比べて、 端広 く薄 く分布 し廃棄さ れたものを収集 し、原料 としてフイー ドス トックに戻 す逆 生産過程には手間と費用がかか るのは当然であ り、整備に時間がかかるのは否めない。循環型社会形 ・ 廃プラスチックの石油化学原料化 とプロセス開発の現状・ 〈7) 成基本法の理念にあるように国、地方自治体、事業者 と国民がそれぞれの役割を分担 し、協力して取 り組む 必要があるように思 う。 00 J NishinO,M Itoh,T IshinomoH,N Kubota and Y Ue面 chi: Development of a catalytic cracking process for converting w a s t e p l a s i c s t o hp e mt ir c∝a l s J M a t e r . C y c l e s w a s t e M a n a g 5 (2003), pp 89‐ 93 0 西 野順也 ・伊東正皓 ・藤吉裕信 ・石野森禎 ・久保田伸彦,石 り 11 (謝辞〕 本研究はNEDO技 術開発機構、基盤技術研究促進 廃プラスチックの高効率石油化学原料化技術開 事業 「 発」 として平成 13年度から5年 間の予定で室蘭工業 大学、卿産業技術総合研究所北海道センター、神奈 川県産業技術総合研究所の協力を得て実施されていま す。 ここに記 し深 く感謝いたします。 島播磨技報,44(1)(21XM),pp12・ 18 (131 http://www ihicojp/environ/Products/environ/kdiv/ kami‐ pra htm 0 4 1 K a t s u h i t o N a k a z a w a , K et‖ i Katayama, 〔 aヽs a a k i l t o h , Hiroyasu Sakamura,Itaru Yasui,J Jpn lnSt Energy, 82 (4) (2003), pp208‐ 213 <参 考文献 > (1)lll,プラスチ ック処理促進 協会 :プ ラスチ ック製品の生産 ・廃棄 ・ 再資源化 ・処理処分の状況 -2001年 ,2003年 1月 (2)佐 藤芳樹 ・斉藤喜代志 ・橘 秀 昭 :一 般 プラスチ ックの油化 ,廃 106 棄物学会誌,第 13巻 第 2号 ,2002年 3月 ,pp 99‐ (3)C Steiner,0.Kameda,T Oshita and T SatO:EBARA's luidized bed gasiicaton : atmospheric 2x225し /d for shredding residues recycllng and two・ sねge pressu五zed 30プd for ammonia synthesis from waste plastics Proc of 2nd lnternational Symposium on Feedstock Recycle of Plastics & Other 【 筆者紹介】 西 野順 也 (昭和 29年 2月 22日 生 ・宮城県出身) 石川島播磨重工業開 技 術開発本部 総 合開発センター 環境 ・化学 システム開発部 部 長代理 〒235-8501 横 浜市磯子区新中原町1 lnnovative Plastics Recycling Techniques Sep 8‐11 (2002), TEL:045-75)2872 Ostend BelJum E― Mail:junyttnishin。@ihi.cojp (4)T.Yamamoto,H Sato,Y Matsukura,S Sak江 and Y Hata: GasiicatiOn and smelting system using oxygen blowing fOr 、 vaste plastics Proc of 2nd lnternational Symposium On Feedstock Recycle of Plastics&Other lnnovative Plastics R e c y c l i n g T e c h n i q u e s S e p 8 1 1 ( 2 0 0 2 ) , O s t e nudm B e l 」 (5)K Kato,SI Nomura and H Uematsu:ヽ Vaste plastics d lnternational recycling prOcess using coke ovens Proc ofが Symposium on Feedstock Recycle of Plastics & Other lnnovative Plastics Recycling Techniques Sep.8‐11 (2002), Ostend Belgum (6)N Kusaka■ a:Environmental regulations and polymer FAX:045-75)2210 主なる業務歴及び資格) 〈 昭和 58年入社。技術開発本部で廃棄物処理、排 ガス処 理関連の技術開発に従事。都市 ゴミ焼却残澄 ・飛灰 の溶融 処理、ダイオキシン低減化技術の開発を実施 した。平成 13 年か ら廃 プラスチックの石油化学原料化技術開発のプロマ ネを担当している。 工学博士 主なる執筆〉 〈 廃棄物処理、 リサイクル、エネルギー、有害排出物関連 で学会誌、業界紙に投稿。 recycling in Japan Proc Of 2nd lnternational Symposium on Feedstock Recycle of Plastics&Other lnnovative Plastics Recycling Techniques Sep蓼 (7) H Leitner,P Cruciflx and」 11(2002), Ostend Belttum ヽl Yarnaux:VinyloOp,the new process that regenerates PVC compounds out of PVC composite residues Proc of 2nd lnternational Symposium on Feedstock Recycle of Plastics&Other lnnovative Plastics Recycling Techniques Sep.811(2002), Ostend BelJum 秀 昭 :ケ ミカル リサイクルの動 向 と将来展望 ―廃 プラスチ ッ クの油化技術 を中心 に ―プラスチ ックエ ー ジ,2∞ 3年 臨時増刊 号 , 18)橘 pp.72-79 ( 9 ) 日 経産業新 聞, 2 0 0 4 年 1 月 2 8 日 , 週 間循環経 済新 聞, 2 0 0 4 年 3 月2 9 日 00 J Aguado, D. P Serrano and J M Escola l Feedstock recycling of polyoleines by catalytic cracking : an overview Proc of 2nd lnternaional Symposium on Feedstock Recycle of Plastics&Other lnnova」 ve Plastics Recycung Techniques Sep 8‐ 11(2002), Ostend Belgium 54 配 管技術 2CX14.8. 石川 島播磨 重工 業株 式会社 代表者〉 伊藤源嗣 〈 本社住所〉 〈 〒1008182 東 京都千代田区大手町2-2-1 TEL:03‐ 3244‐ 5 11l FAX:03‐ 3244‐ 5 131 URL:httpノ /www ihi.cO.jp (資本金) 64,9∞ (百万円) (年 商 〉 68Q8∞ (百万円) (従業員数〉 8,836名 事業内容及び会社近況〉 〈 創業以来 150年。陸上機械 ・プラン ト、船舶 ・海洋、 航空 ・宇宙機器の製造。2∞3年 6月 、取締役会改革 と執 行役員制度導入 を骨子 とする経営機構改革 を実施。同年 12月、コーポレート・ スローガン“ Explore the Engineering Edge"(エ ンジニアリングの最先端 を探求する)を 制定。 ・ (1) 携帯型遠隔ガス検知器・ 03 H0404‐ 0385‐ 9894/04/Y500媚 命X/」CLS 翌干 缶月 説〕 携帯型遠隔 ガス検知器 <世 界 で初めてのポータブルな遠隔ガス検知器 > 京ガス榊 東 井関 孝 弥 Takaya lseki ア ンリツ欄 東京 ガス ・エ ンジニア リンタ榊 菊川 知 之 Tomoyuki Kikugawa 小林 博 Hiroshi Kobayasi 1. は じめに ガス配管を有す る設備 ・装置の管理者 にとって、漏 洩検査 は、設備 ・装置の安全 な稼動のために必要不可 らに小型軽量化 ・低 コス ト化 ・高機能化をはかった後 継器 (型名 :SA3C05A)を 商品化 している。 ー ー 第 1図 にこの後継器の外観を示す。 このレ ザ メ 欠な業務である。従来、漏洩検査には、可燃 性ガス検 知器、サー ミスタ式ガス検知器、半導体式 ガス検知 器、水素炎 イオ ン化式 ガス 検知器 (FID:Flame タン検知器 (以下、本検知器 と記す)を 使用すれば、 出射部を検査 したい箇所 に向けるだけで、漏洩検査を 遠隔から行 うことができる。なお、本倹知器は、 メタ ずれ lonization Detector)などが使われてきたカミ Vヽ の の検知器を使 う場合 も、作業者 はガス配管上 検査 し たい箇所に検知器を近づけるようにして漏洩検査を行 ン分子 の赤外吸1又を利用 した光学式 ガス検知器であ り、検出対象はメタンおよびメタンを含むガス (天然 っている。 しか しなが ら、 ガス配管は、 しばしば高所 。狭院部 など容易に近づ けない場所 に配置 されてお り、この こ とが安全かつ効率的な漏洩検査業務を行 う上での制限 となっている。また、気密試験によリガス配管に近づ くことな く漏洩の有無を確認す ることも可能ではある 力ヽ この場合 は、設備 ・装置の稼動を一定時間停止 し なければならない うえ、仮 に漏洩が疑われ る場合 に は、漏洩箇所を特定するため、結局はガス配管に近づ ガスなど)に 限定されている力ヽ 本検知器の検出原理 は、メタン以外の気体へ も容易に応用可能である。 レーザー光 出身 寸音F 放熱フイン害測ボタ ン 外部インターフェース部 計波1ボタンロックレバ ー 第 1図 携 帯型遠隔ガス検知器 かなければならない という問題がある。 このため、従来から、 ガス配管に近づ くことなく遠 隔 (非接触)で ガスを検出す る技術に大 きな期待が寄 せ られている。 このような遠隔検出は、①音響式 (漏 洩音 を利用)、 または②光学式 (ガスの赤外吸収等 を 一 利用)に よってはじめて可能 となる力ヽ 般に、①音 響式 は比較的大 きな漏洩の場合 しか検出できないとい ・ う欠点をもっている。一方、②光学式 は、単色性 直 パ ネル部 (レーザーメタン検知器SA3C05A)外 観 本稿 では、本検知器 の検出原理、性能および仕様、 適用事例、 メタン以外 の気体への応用可能性 について 紹介す る。 2.検 知原理 線性 に優 れたレーザー光を使用すれlよ 遠隔から微小 な漏洩を高感度に検出できる可能性があり、国内外 で 多 くの研究開発がなされている。 ー ー 筆者 らのグループは、近赤外半導体 レ ザ を使用 外吸収 を利用 した ガス遠隔検出の基本原理 る あらゆ 気体分子 は、分子種 ごとに特有な波長 (吸 1期動 の赤外線を吸収す るとい う性質 を有 している。 す ることによって、2001年 に世界で初めて、携帯可能 な遠隔 ガス検知器 を商品化 した (品名 :レ ーザーメタ ン検知器、型名 :SA3C01D)(ltま た、現在では、さ このため、検出対象 としたい気体分子 (本検知器では メタン分子)の 吸収線 の一つに合致 した波長のレーザ ー光 (赤外線)を 利用す ることができれ│よ そのレー 2-1 赤 配管技術 20048.55 携帯型逮隔ガス検知器…(2) ザ ー光 の吸収率 を測定す ることによ り、光路上 の気体 射光 を (1)式において、仮に光学系の受光効率K出 力光強 度よ 気体分子 の吸収係数αが既知量であれ│よ 受光 強度Pを 測定することにより、メタンの濃度距離積 ε 利用する ことで、遠隔検 出 を実現 して い る。 第 2図 そ を求 めることができる。実際には、(1)式の受光効率 κ 分子 の総量 を知 ることがで きる。 さらに、本検知器 は、 ターゲ ッ トか らの乱反 の基本原理を示す。検知器は、ターゲット (ガス配 管、天丼なの に向かってレーザー光を出射 し、 ター ゲットでの乱反射光の一部 (検知器の方向へ戻 って く る光)を 受光す る。 このとき、 レーザー光の吸収は、 ランバー ト ・ベー ル (Lambert_Beer)の法貝1によっ て以下のように表される。 P=KSexp(-2α 0 が未知量 であるので、なんらかの方法で受光効率κの 影響 を打ち消 さなければならない。 これは、例えば、 メタン分子に吸収 される波長と吸収 されない波長の 2 波長を使用 し、前者に対する信号強度を後者に対する 信号強度で割ることによ り実現で きる。 2-2 光 ・・・ ( 1 ) ここで、Pは 受光強度 (W)、 Sは 出力光強度 (W)、 κは光学系 の受光効率、αはレーザーの発振波長にお けるメタンガスの吸収係数 (ppm・― m 1)、Cは メタン ー ー の濃度距離積 (濃度をレ ザ 出射部からターゲット まで光路に沿って積分 したもの)(ppm‐ m)で ぁる。 なお、(1)式に係数 2が 入る理由は、 レーザー光が検知 器 とターゲットの間を往復するからである。 このとき、本検知器によって測定可能な物理量は、 メタンの (濃度ではな く)濃 度距離積 である点に注意 したい。例え│よ 第 2図 は、7it度100ppmの メタンが 分布長 lmで 滞留 して いる状況 (左)と 、7il度200 ppmの メタンが分布長0.5mで滞留 している状況 (右) を示 している力ヽ 両者は、 いずれも濃度距離積 にす る とC=looppm―mで あ り、本検知器は両者を区別する ことはで きない。 源と吸収線の選択 赤外吸収 を利用 して気体分子検出 を行 う場合、高 い検出感度を実現するためには、できるだけ吸収の強 い吸収線 を選択することが望 ましい。一般に気体分子 は、普通赤外領域 (2∼60μm)に 比較的強い吸収線 を有す るので、この波長領域 の レーザ ー を使用すれ ば、比較的高 い検出感度が期待で きる。 しか しなが ら、普通赤外領域のレーザーは、 ① 液 体窒素や電子クー ラーなど冷却機構を必要 と する ② 大 型で消費電力が大きい ③ 構成が複雑で保守が必要である ④ 高 価である なa何 かしら実用上の問題を有してお り、その使用 は主として研究用途に限られている。 実用用途に適 したレーザーとしては、可視∼近赤外 (0.6∼2μm)に 発振波長をもつ Ⅲ_V属 半導体 レーザ ーがよく知 られている。この種 のレーザーは、元来、 光記憶 。光通信用光源として開発されたものであり ① 室 温で動作する ② 極 めて小型軽量かつ低消費電力である ③ 構成が単純で保守が不要である ④ 比 較的安価である なa実 用上の優 れた特長を有 している。ただ し、可 視∼近赤外領域に位置する気体分子 の吸収線 は、普 通赤外領域の吸収線に比べ て 1∼ 3桁 も吸収力渇,い。 このため、気体分子 の検出に可視∼近赤外領域の吸収 線を利用す る場合には、微小 な吸収を高感度に検出す る技術が求められることになる。 V属 半導体 レーザーの中で、 現在普及 している Ⅲ‐ 最 も長い (最も普通赤外に近い)発 振波長を持 つ もの は、InGaAsPレ ー ザ ー であ る。 この レーザ ー は、 第 2図 メ タン遠隔検出の基本原理 56 配 管技術 2CX14.8. InGaAsPの 組成比 を変えることによって、1.2∼2.1 ー μmの 波長領域をカバ できる。 また、 このレーザー は製造技術が成熟 してお り、DFBレ ーザーなど、極 めて単色性に優れた (単一モー ド)、良質で信頼性 の ・ (3) 携帯型遠隔ガス検知器・ 高 い分光用光源が実用化 されている。 ない)の で、受光素子 出力 には、 メタンの濃度距離 上記のような理由により、筆者 らは、本検知器の光 ーザー を選択 した。 ま 源 として、InGaAsP DFBレ 積 とは無関係 に、変調周 波数 の基 本波 (r)成分が観 た、 その設計波長は メタン分子 の2v3帯 R(3)線 Q= 1.6537μ m)に 一致 させた。この吸収線を選択 した理 測 される。 ここで、上記のイ 成分およ町 成分は、位相敏感検 波 (ロッタイ ン検波)に より、高感度に検出すること 由は、可視∼近赤外領域に属するメタン分子の吸収線 の中では最 も吸収が強 く、かつ空気中の他 の気体分子 ができる。 さらに、グ 信号を/信 号で割 ることによつ の受光効率 κの影響 を打ち消 し、濃度距離 て、(1)式 には吸収 されないためである。ただ し、吸収が強いと いって も、その吸収係数は高 々3.8×lrppmヨ _In¬ に 積 力球 めることが可能となる。 過 ぎない。例え│よ 第 2図 に示 したような濃度距離積 100ppm―m相 当のメタンを検出するためには、光学深 ml× 100ppm―m=) 度に して (2× 38× 10 5ppm・― 3.性 能 および仕様 3-1 本 検知器 の特長 7.6×103と い う微小 な吸収 を感度 よ く検出す る必要 がある。 2-3 波 長変調分光法 (2′ 検波法)(a では、 な吸 を感度よく 本検知器 微小 計測するため 収 に、波長変調分光法、 なかで も2/検 波法 と呼 ばれる 方法を採用 した。 第 3図 に2/検 波法 の原理を示す。 ここでは、 レー ザーの発振波長を周波数 /の 正弦波で変調 し、さらに 温度制御により波長変調 の中心 をメタン分子 の吸収 ス ペ ク トルの中心に安定化 している。InGaAsP DFBレ ーザーのような単一モー ド半導体 レーザーでは、注入 電流を変調することで、 このような波長変調を容易に 実現可能である。 本検知器は、従来型のガス検知器 と比較 して、以下 のような特長がある。 ① 遠 隔検出が可能である ② メ タン選択性に優れる ③ 高 速測定が可能である ④ 保 守が不要である ここで、「 ①遠隔検出が可能である」ことについて はすでに述べた。 「 ② メタン選択性に優れる」のは、気体分子の吸収 │メタ 線が分子種に特有であるためである。すなわち、 ン分子の多数の吸収線の中から、空気中の他の気体分 子 に吸収 されない波長 を選べ │よ 原理的にメタン以外 には反応 しない。 「 ③高速測定が可能である」 のは、気体分子による 赤外吸収が瞬時 に起 こる現象 であるためである。一 方、化学変化 (燃焼な0を 利用 した従来型 ガス検知 尺■中棋択ポ 器 では、反応時間は化学変化 に要する時間によって規 定される。 また、 ガスを吸引す るタイプの従来型ガス 2/成分が 生 じる。 検知器では、反応時間は吸引に要する時間によっても 制限される。 `イスである 1靭 守が不要である」のは、キーデタ ー ー 半導体 レ ザ が極めて堅牢で振動に強 く、半永久的 なものであるからである。一方、化学変化 を利用 した 従来型のガス検知器では、センサー素子 の感度が経時 的に劣化 (または鋭敏化)を す るので、定期的に素子 を交換する必要がある。 第 3図 波 長変調分光 (イ検波法)の 原理 このとき、受光素子出力には、吸収 の深 さ(メタンの 濃度距離積)に比例 して、変調周波数の 2倍 波 (ィ)成 分が生じる。また、注 入電流 により発振波長 と同時 に出力強度 も変調 される (第 3図 には明示 されてい ス漏洩遠隔検出試験 本検知器の検出限界 は、受光強度すなわちターゲッ トの反射率 。距離 。入射角に依存する。例えlよ ター 3-2 ガ ゲットの反射率が低 い (色が黒 い)、距離が遠 い、入 射角 が大 きい などの理由で、受光強度が小 さ くな る と、本検知器の検出限界 は大 きくなってしまう。 ここでは、標準的な受光強度 (100nW)を 与 える ー タ ゲットを標準 ターゲットとし、 このターゲットに 配管技術 2004.8.57 ・ (4) 携帯型遠隔ガス検知器。 対 して、本検知器のガス漏洩遠隔検出試験 を行 った。 試験に使用 した標準 ターゲットは、距離 :5m、 入射 角 :60度 となるように置いたコンクリー トブロックで ある。 試験では、換気扇をつけた屋内において、標準 ター ゲ ッ トの 手前で都市 ガス (メタン濃度 :80%)を 10mL‐mhコ の流量で漏洩 させた。 この漏洩量は都市 ガスの漏洩検査で検出するべ き最小 レベ ルの流量であ る。試験では、漏洩開始 5分 後 に計測 (検査箇所 を 手動 スキヤン)を 開始 し、メタンの濃度距離積の測定 値 (検知器の内部デー タ)を 記録 した。 第 4図 に試験の結果を示す。試験では、 レーザー光 がガス漏洩中を通過 したときに、メタンの濃度光路長 m相 当の信号が得 られた。 こ 積 にして100∼400ppm‐ の性能試験に よ り、室内の標準 ターゲットに対 して、 10mL―min・の後 lヽ 漏洩を遠隔検出で きることが確認 された。 第 1表 携 帯型遠隔ガス検知器 (型名 :レーザーメタン検知器SA3C05A)仕 様 検出対象 メタンおよび メタンを含むガス(天然ガス等) 検出原理 赤外吸収分光 最小検出可能量 1 0 0 p p mm‐ 以 下 ( L o w レンジ) 1 , 0 0 0 p pmm ‐ ンジ) 以 下 (Highレ 最大検出可能量 10,000ppnl‐ m 'スJヒ 検出距離 1∼ 10m(Lowレ ( L o w レンジ、H i g h レンジ共通 ) ンジ) (リフレクター無 し) 1∼ 30m(Highレ ンジ) 使用状 況 による 検出距離 ンジ) 10∼ 50m(Lowレ (リフレクター有 り) 10∼ 150m(Highレ ンジ) 使用状 況 による 警報方法 LED表 示 、ブザ ー 外部出力機能 検知データ、イヤフォン、警報時電圧 電源 専用 バ ッテリパ ック バ ッテリ駆動時間 15時 間以_L(ca125℃) 防爆 非防爆 防滴 ・防塵 IEC529(JIS C0920)IP64 準 拠 I E C 6 2 0 8 5l‐ l J I S C 6 8 0 _ラス 2 ) ク2 レ ーザ ー製品 レーザー光をのぞ きこまないこと 目に対する安全性 日, 日QB 腰繊雲燃寝 [ 動作温度範囲 0∼ 40℃ 動作湿度範囲 20∼ 90%(結 露しないこと) 外形寸法 W112 X D250× 質量 1 3kg(バッテリパックを含む) H248[mm] に、この閾4● Lを小 さく設定すれば (Highレ ンジ)、最 小検出可能量は大 きく、検出距離は長 くなる。 さら に、ターゲットとしてリトロリフレクター (光を入射 方向に反射する反射体、交通標識などに応用 される) を利用すれ│よ 大 きな受光強度が得 られるので、長距 離遠隔検出が可能となる。 次に、本検知器の防爆 睦能について述べ る。本検知 10 時間 [ 秒] 第 4 図 ガ ス漏洩遠隔検出実験結果 3-3 本 検知器 (SA3C05A)の 仕様 第 1表 に本検知器 (SA3C05A)の 主な仕様 を示 す。すでに述べ たように、本検知器 は、メタンガスお よびメタンを含むガス (天然ガス等)以 外 には全 く反 応 しない。 また、本検知器では、受光強度力Ⅵヽさくなると検出 限界は大 きくなるので、受光強度に関値を設け、受光 強度が関値以下の場合には 「 計測不能」 となるように いる して 。この闘値 を高 く設定すれば (Lowレ ンジ)、 最小検出可能量は小 さく、検出距離は短 くなる。逆 58 配 管技術 20C14.8. 器は非防爆であるので、本検知器を使用する場合は、 検知器の周囲のガス濃度な爆発下限界 (メタンガスの 場合、約 5.3%)以 下であることを確認 してか ら使用 しなければならない。なお、爆発下限界以上のガスが ‐ 滞留 して いる領域に向かって レーザ ー光 を出射 して も、 レーザー光 自体が着火源になることはない。 した がって、本検知器を使用することにより、爆発の危険 がある領域に近づ くことなく、 ガス滞留を遠隔検出す ることがで きるとも言える。 最後 に、本検知器の 目に対する安全 性について述べ る。本検知器は、 メタンガス検出用の近赤外半導体 レ ーザー光以外にも、視認用の赤色 レーザー光を出射 し ている。 ここで、近赤外 レーザ ー は、 出力強度が 10 mW未 満に抑えられてお り、極めて安全なクラス 1レ ーザーである。一方、赤色 レーザーはクラス 2レ ーザ ・ 〈5) 携帯型遠隔ガス検知器・ ―であ り、その結果、本検知器全体 としてはクラス 2 レーザー製品に分類 される。 とはいえ、赤色 レーザー は会議等で使用するレーザーポインター と同クラスの レーザーであ り、直接 レーザー光を覗 き込んだ りしな 子 の吸収線に合致 した光源を使用すればよい。ただ し、気体分子によっては、吸収力渇弓く、高い検出感度 が得 られないこともある。 い限 り、それほど危険はない。 第 2表 に、本検知器 と同様 の原理で検出が可能な気 体分子 とその吸収帯 (吸収線のグループ)の 位置を示 す。 ただ し、実際に気体分子 の高感度検出を行う場合 4.適 用事例 第 5図 に、本検知器 の適用事例 を示す。本検知器 を使用すれば、工場の天丼や ビルの地下などの (a)天 には、吸収が強 く、空気中の他 の気体には吸収 されな い吸収線 を注意深 く選択 しなければならない。また、 複雑な分子 (第 2表 ではC3H8)で は吸収 スペ ク トル 井吊配管に対 して、脚立なしで漏洩検査を行 うことで きる。同様に、 ビル ・マンションなどの(b)パイプシャ が広がってお り、本検知器のような波長変調分光法に よる高感度検出は困難である。 フ ト内配管に対 して、足場を組むことなく漏洩検査を 行 うことがで きる。 また、(C)天然 ガス輸送パ イプ (露出管)な ど、長 延長の検査対象 については、パ イプ自体の反射塗料を 塗る、あるいはその背後 にリフレクターを設置するこ 第 2表 代 表的な気体分子 とその吸収帯 (1.2∼21μm) [単位 :μ五] CH4 131-134 1 6 3 ∼1 7 0 C2H6 136-141 137´‐140 167-178 C3氏 とにより、最大 150mま での長距離検出が可 能 となる。 C2H2 151∼ 1騨 さらに、本検知器は光学式であるので、ld)施錠 さ れた室内であっても、窓ガラス越 し (透明 ガラスに限 C2H4 る)に 、室内の漏洩検査 を行 うことがで きる。 ¶ (b)パ イプシャフ ト内配管 168∼ 177 161-1.70 NO 178∼ 1“ HCl 172-187 CO 156-160 C02 143-145 NH3 146-155 H20 135-140 200-2.05 179-196 6.お わ りに 近赤外半導体 レーザーを用 いたポ‐ タブルな遠隔ガ ス検知器について述べ た。この種のガス検知器は、国 内外を問わず、従来なかつた全 く新 しいタイプのガス 検知器 である。現段階で商品化 されているのは、メタ ンを検出対象 とす るものに限られるが、すでに日本国 一 内で120器以上普及 してお り、 層 の普及拡大が見込 まれている。 (Cl 天然ガス輸送パイプ(露出管) 5.メ 施錠 された室内 タン以外 の気体 へ の応用 本検知器の検出対象カミ メタンおよびメタンを含む ガスに限定されるのは、メタン分子 の吸収線に合致 し た光源を使用 しているためである。 したがって、メタ ン以外 の気体を検出対象 としたい場合 は、その気体分 今後 は、検出対象 をメタン以外の気体へ と広哄 遠 隔ガス検知器のライ ンナップを増や してい きたい と考 えている。同時に、環境計測 の分野へ応用範囲を広 │六 メタンをはじめ二酸化炭素、一酸化炭素、窒素酸 化物、 アンモニアなどを検出対象 とす る高速かつ高感 度な計測器 を実用化 してい きたい と考えている。 <参 考資料> "検 査技術, 半導体 レーザーを用いた遠隔ガス検知器 (1)井 関孝弥 :“ 42 第 6巻 ,第 12号 (21X11)鍵 (2)井 関孝弥 ・田井秀男 :“レーザー分光による可搬型遠隔ガス漏洩 "レ ー ー 146 ザ 研究,第 29巻,第 3号 (2001)142‐ 検出器 (筆者紹介は■eyman Lsね参照) 配管技術 2004.8.59 ・ 〈1) 緊急 速断 システム・ H0405‐12 0385‐ 9894/0″γ500′ 論X/」CLS 〔製品 と技術 〕 緊急遮断 システム <緊 急時 または異常時 に設備配管の遮断 を行 う自動弁閉止システム> 東洋バルヴ抑 小 岩井 隆 Takashi Koiwai 1. は じめに 2.緊 急遮断 システムの構成 建築衛生設備受水 タンク廻 りの配管については、 国 土交通省機械設備工事標準図や官庁施設 の総合耐震 計画基準 に 「 緊急遮断弁」を設置す ることが記載され 当社 「 緊急遮断 システム」は、水槽出回の配管に設 置す る他 力式 on_0∬自動弁 (電動バ タフライバ ルブ) とバルブ制御盤 との 2点 で構成 している。更に、 当社 ている (第1図 参照)。 独 自のオプション対応 として、流量センサや圧カ セン サなどを追加 して、地震以外 の遮断作動要素を入力 し て、「 常時監視 。制御 システム」を構築できる特長を 併せ持つ。 システムでは、標準仕様 である地震 常時監視 ・tll御 に起因する作動や停電継続時、手動遠隔操作 に加 え て、管の破裂などに起因 して発生す る異常流量増加や 異常圧力低下な どに対応 しても、緊急遮断を行なうこ 第1図 (機械設備工事標準図 受 水 タンク廻 り配管施工要領 より抜粋) とができるシステムである。 当社 の緊急遮断 システムの構成概要 を第 2図 に示 す。緊急速断 システムが作動 した場合、動作表示 を遠 隔出力することや水槽の一次側 の揚水ポ ンプを停止す 阪神淡路大震災時、高架水槽や受水槽 に水道水 が 残 されていたケースでは、震災後ライフラインが復旧 するまで当座 の生活用水を確保す ることができた教訓 から、官庁建築物件 を主体 として震災時に機能する配 管緊急遮断 システムの設置が増加 している。この緊急 遮断システムは、水槽の出日付近に取付けられること 流量 セ ンサス イ ッチ から、槽内連通式のタイプと外部配管式のタイプとが あり、近年は他力式自動弁を用いて配管を遮断す る外 部配管式 の ものが主流を占めている。 高架水槽や受水槽は、定期的に清掃 を行なうことが 義務付けられてお り、清掃時にも自動弁で遠隔操作遮 断することが兼用 してできれ│よ より便利 である。東 TOYO緊 急速断 洋バ ルヴは、このニーズに応えて 「 システム」を発売 したので、その特長を紹介 したい。 60 配 管技術 2004.8. 第 2図 常 時監視 ・制御システムを加えた例 (瞬時流量作動) ・ く2 ) 緊急遮断システム・ 盤」 と 端子台、及びこれらの機器類 を装備内蔵する 「 からなっている。制御盤内部の構成概要 を第 3図 及 び るなどの 「 出力」に関する要求や、手動インタァロッ クスイッチ動作など 「 入力」に関する要求にも遠隔対 システムを 応できる入出カ 制御盤 に標準装備 してい る。 第 4図 に示す。 電動 バルブは、バルブの要求仕様に合わせ各種 の 弁、サイズを品揃えしているカミ 最近水道の水槽廻 り では、第 2図 に示す ゴムシー ト中心型電動バ タフライ 第 1表 に制御盤及び標準 タイプの遮断弁の仕様を示 盤の構成は、地震 を感知 して作動判断 を行な す。tll御 、停電時にも一定時間作動 を確保するた 感震器」 う 「 バ ルブが経済性に優 れ、多 く用 い られている。 バ ッテリ電源」 めの 「 、自動/手 動運転モー ド切替 。 リセットなど各種スイッチ、各種表示 ランス 配線用 3.操 作 フロ ーチ ャー ト (第5図 ) 制御盤 無停電電源 装置 ( U P S ) 第 4図 制 御盤 内部 第 3図 操 作盤内 の構成 第 1表 標 準仕様 材料 鋼 板、外面粉体 塗装 (クリーム色) 表示 電源、操作電源、UPSア ラーム、バルプ開閉 操作スイッチ 定格電源 tu御盤 消費電力 バルブ制御電源 地震感知作動方式 感震設定加 速度 バ ッテリ消耗限界時動作 AC100V(50/60Hz) 主 電源/UPS 電子式感知器 80・ 100・ 150・ 200・ 250GAL(震 度 5範 囲に相当する値)5段 階可能 連続停電 3時 間後 (約5分 間∼ 3時 間設定可能)に バルプ閉止 使用環境 ポンプ停止用 :無 電圧 lc接点、外部警報用 :無 電圧 lc接点 屋内防滴型、環境温度範囲 :-10∼ 40℃ 質量 約 35kg 外部出力 構造 ゴムシー ト中心型バ タフライバルプ ・操作機 :結 露対策品 型式 10L5‐MTUE 材料 本体 :ダ クタイル鋳鉄/シ ー ト:EPDM/ジ スク i SCS13 接続端 電動/ACll10V(50/60Hz) ー 地震作動時、バ ッテリ消耗限界時 (停電)、操作盤手動モ ド操作時 エハ ランジ ウ 接続) 形 (10Kフ 製作範囲 50´-200A 適用流体 呼 び圧カ 常温水 (低濃度塩素含有に限る) 手動操作 付属のハンドルで現場手動操作可能 操作方式/電 源 遮断弁 自動/手 動操作、 リセット、バルプ開閉、主電源遮断 AC100V又 は、AC200V単 相 (50/60Hz)ご 注文時指定 監視時 :約 20W、 UPS充 電 +バ ルプ (呼び径 100A-1台 付 き)動 作時 :最 大120W 動 作 (閉) 注)バ ルプは、標準仕様品10L5‐MTUEを 1.OMPa(10K) 示 します。標準以外に各種のバルプを選べ ます。 配管技術 2004.8.61 緊急速断システム…(3) 鍮 躙 鞭 翻 鮮薔醤 彗 1苺 榊 手動―自動切替スイッチを 無停電電源装置充電 無停電電源装置充電 感震1器│,:ヤ :シ │ト 憮 : 輔 藩晰 :D 停電から設定時間 (約5分間∼3時間) 後弁を全閉に作動 感震器リセット 手動―自動切替スイッチを 手動側とする (注)1.停 電時バルプ作動回数 :開 閉1∼3回作動 可能 (バッテリの容量による) 2.バ ツテリ寿命 :3年 3.バ ツテリ充電時間 :8時 間 (全放電の場合) 第 5図 操 作フローチャ‐ ト 4.仕 様 及び特長 第 1表 に緊急遮断 システムの仕様概要を示す。 〔 特長〕 ●誤動作を極限まで防止 した ●使 い勝手を考慮 し、人にやさしい設計採用 ●遮断弁のバ リエーションが豊富 ●遮断 と同時にポンプ停止や警報出力が可能 ●節電対策を施 した省エネ設計採用 ●規格型量産でイニシャルコス トの低減を実現 4-1 誤 動作の防止 高性能電子式感震器を採用 したので、瞬時の衝撃な ど地震発生判定に起因す る誤動作 を大幅に低減 した。 無停電電源装置 (UPS)を 採用 したので、一時的 上下のサイ ドルーバーで 盤内の熱滞留防止実現 第 6図 屋 外防雨 ・防滴仕様 な電圧降下や瞬時停電などの給電条件に起因する誤動 作 を防止 した。 い勝手 を考慮 し、人にやさしい設言† 4-2 使 採用 (1)制 御盤 通常盤外に露出して設けられるスイッチやランプを 内部にす っきり収納 し、操作必要時以外は盤を施錠 し いたず ら防止」や 「 て第三者への 「 感電防止」対策を 施す と同時に、防滴性能 も向上 した。 落雷によるサージ電圧伝播障害防止に対応する 「 避 雷対策」をオプションで用意 している。 標準品は、屋外防滴仕様 となっている力ヽ 野外の暴 露雰囲気では、長期の使用 はできない。盤の設置場所 (2)感 震器 通常設けられる 「 機械作動式」に代 え 「 電子作動 式」 を採用 した。地震の伝 わ り方は、感震器を設置す る場所 によ り様 々で、感震器の作動 ポイ ン トを設定す るには蓄積 されたノウハ ウが求め られる。機械式は、 鋼球落下構造のため作動セットポイ ン トを既定値から まった く変更できないが、「 電子式」は、設置場所 の 感震 レベ ルに合わせて 5段 階 (震度 :5相 当範囲内 で)設 定変更することが可能。 が 「 屋al・ 」又 はこれに準 じた環境の場合は、第 6図 に 屋外防雨 ・防滴」仕様品をオプションで対応 し 示す 「 また、機械式は、設置時に盤の垂直取付け (いわゆ る芯だ し)を 正確に設定 。施工することが必要だが、 電子式は、多少ラフで良いので施工にわず らわしさが ている。 ない。 62 配 管技術 2∞ 4.8. 4) 緊急速断 システム¨《 電子式は、「自己診断機能」 を備えているので、事 前に不具合があった場合は、表示す る。また、作動時 による塩素アタックなど、バルブシー トに対する使用 条件が予想 を超えて厳 しく、短期間にバルプの不具合 の感震表示値が リセッ トす るまで残 っているので、現 場 ノウハ ウの蓄積に利便 陛が高 い。 が発生す る事例が多 く見 られる。 当社 としては、長期間安定 して使用 いただ くため、 写真 1に 示すステ ンレス製 PTFEシ ー トバ タフライバ (3)無 停電電源装置 (以下UPSと 称す) 通常設けられるバ ッテリ電源に換え、UPSを 採用 し た。停電時 にも 「 交流電源」 を出力するので、電動バ ルブとして汎用性 の高い 「 商用電源対応」の電動バ ル プを利用できコス トパ フォーマンスに優 れている。 UPSは 、「自己診断機能」 を備えているので、事前 に不具合があった場合は、表示する。 盤に連動 して備えた 「タイマー」 により、停電後 5 電源異常」 と判断させ、バ ッテ 分∼ 3時 間の範囲で 「 リ残存電圧が使用 で きない状態以下に低下す る前 にバ ルブを一旦遮断することができる。国内電源事情にお いては、2時 間以上の連続停電状態 は、「 異常時」 と い る故である。 ても し と し 差 支えな 思われ 判定 バ ッテリの交換時 (通常 の使用状態 で約 3年 後)は、 UPSを 盤から引き出して、容易 に専用のバ ッテリを交 換 できる。 4-3 遮 断弁のバ リエーションが豊富 工業用ボ ルブを奨めている。その他、写真 2に 示す 「 ールバルブ」や写真 3に 示す雨水 。河川水な どスラリ ー混入水に対応す る 「 ナイフゲー トバルブ」な ども品 揃えしている。 4-4 遮 断と同時にポンプ停止や警報出力が可能 最近では、 ビル計装 システムは、多 くが 「コン トロ ール室」 による一元管理 となっている。遮断弁の作動 に連動 して、揚水ポ ンプを自動的 に停止 した り、作動 発生を警報又は表示 として知 らせる外部出力が標準仕 様 として求められる。 当社は、 これらの要求 に標準仕様で装備対応するこ とに加え、イ ンターロック (手動非常時停止信号)な どの外 部信号入力 をオプ ションで対応 している。 ま た、バ ルブが実際に作動閉上 したかをフィー ドバ ック バルブ異常警報出力」 もオプシヨン 信号 で確認す る 「 当社 では、各種用途に豊富な自動バルブを品揃えし てお り、適正かつ経済的なバルブの選定が可 能であ る。通常、建築設備衛生配管 については、経済陛を重 視 してゴムシー ト中心型バ タフライバルブ (呼び径 : で対応 している。 4-5 節 電対策 を施 した省エネ設計 各種表示 ランプを盤内に収納 し、LEDを 採用 した ため、消費電力 を節減 した。 4-6 規 格型量産でイニシャルコス トの低減 を 50A∼ 200A)が 多 く用 い られるが、最近では水質 の 悪化対策 としての塩素注入や、水槽清掃時の塩素洗浄 実現 手作 り」を 従来の操作盤 は、電線引 き回 しによる 「 ハイフローT 」 写真 1 バ タフライバルブ 「 ( ステンレスボデー ・テフロンシー ト) 写真 2 フ ランジ形ボールバルブ (ステンレスボデー ・テフロンシー ト) 写真 3 雨 水用ナイフゲー トバルブ (ステンレスボデー ・EPDMシ ー ト) 配管技術 20K14.8.63 ・ 〈5 ) 緊急遮断システム・ 余儀なくされていたが、当社緊急遮断システム盤は、 基板制御回路構成を採用 して電線の接続を極 力低減 した。 このため、誤配線 による不具合が減少すること が期待 されると共に、品質 を担保 しつつ量産効果によ るイニシャルコス トの低減 を実現 した。 5.選 定 。使用上 の注意 本 システムは、「 大震災発生時」に作動するとい う 特質か ら、通常作動する ことはほとん ど考えられな い。 このため、「 信頼性」を担保す るため、定期的な ・ 維持管理 定期点検が必須である。 uPS内 のバ ッテリは、消耗品であ り寿命の 目安は3 レブ動作回数 年間であるカミ 盤の設置 された環境 やバ ′ などの影響で寿命は異なる場合がある。設置後 3年 目 に入ったら、細かなスバ ンで点検するなど、維持管理 計画をお願 い したい。 4章 でも説明 したカミ 設置現場毎の地震 の作動 ポイ ン トの設定については、地盤の状態 。建物 の耐震設 計 ・配管設計など種 々の条件 を総合的に判断 したノウ ハ ウの蓄積が求 められる。今後 の設備設計施工担当企 業などとの共同研究成果に期待 したい。 建築設備の設計 ・施工専門誌 6.お わ りに 緊急遮断 システムは、建築衛生設備用途に既に多 く の機種が販売されている。 当社緊急遮断 システムは、 お客様のお困 りの声 や要望を最大限取 り入れると同時 に、経済性を追求 し標準化 した製品に仕上げた。 緊急遮断 システムは、建築衛生設備 の水槽を対象 に 商品化 した力ヽ 大震災や停電時に配管を遮断すべ き用 途としては、雨水流入配管、燃料 タンク系配管、工場 のユーテイリテイ設備配管、流出す ると危険な流体用 途など多 くのアプリケー ションが考えられる。 とか く官庁物件にのみ偏 りがちの適用が予想 される ハ 民間 ビル設備でも地震対策 としての差別化にこ 卦J 用 いただけたらあ りがたい。 【 筆者紹介】 小岩井 隆 東洋バルツ鞠 開 発技術部 部長代理 〒103‐ 0022 7 東京都 中央区 日本橋室町 1-5‐ TEL :03‐3242‐ 3319 FAX:03‐ 32412020 E‐ Mail:[email protected] 針と 本誌は、空気調和、給排水衛生、電気、特殊設備等の設 備技術の専門誌 として 35年 余の歴史を もち、超 高層 ビル か ら、ホテル、病院、劇場、工場、ク リー ンル ームや研究 施設、一般商業 ビル、集合住宅、地域冷暖房を含む都市設 ●創刊年月 日 :1963年 (昭和 38年 )11月1日 ●発 行 日 :毎 月1日発行 ●発 行 部 数 :24,000部 144頁 ●判型 ・総頁 :B5判 ・ ●定 :2,000円 価 (本体1,905円送料別) ●年間購読料 :14冊 (増刊号 2冊含) 24,000円(税・ 送料込) 購読のお申 し込みは ◎ 日=I茉出版 本 社 〒113-8610東 京都文京区本駒込6-3-26日 本工業出版ピル TEL 03(3901181(代 ) FAX 03(3906826 http:7www n kko pb colp/ ma‖ e‐ nfo@n kkO‐ pb co,p 64 酉 己 支 管ま 綱 庁 20o4.8. 備、バ イオや最近のイ ンテ リジェン トビル にいたるあ らゆ る建築設備 について 、そのシステムか ら材料、機器 ・施工、 運転 ・保守、設備更新 にいたる技術 について コス ト ・法規 な ど多角的かつ実務面か らとりあげ、設備技術者 に実際に 役立つ雑誌を編集指針 と してお ります。 39448001 大 阪 営 業 所 〒5 4 1 - 0 0 4 6 大阪市中央区平野町1 - 6 - 8 - 7 0 5 TEL 06(6202)8218 FAX06(6202)8287 バ i期 髪 鶯 朧 爾 I篇 餃削 (1) 管用 テーパ転造おねじ加工 自 動オープン転造ヘ ッド&搭 載マシン ・ H04o5‐ 11 0385‐ 9894/04/Y500′ 論X/」CLS 〔製品 と技術 〕 管用 テーパ転造 おね じ加工 自動 オープン転造へ ,ド &搭 載 マシン <「耐環境」 、「 耐振性」対応管用ねじ及び加工について> ‐ レッキスエ薬榊 加 藤 明 Akira Kato 1. は じめに 当社 は日進月歩する配管機材、施行技術 の多様化 に積極的に対応する一方で、この度多 くの皆様に利用 していただける 「自動オープン転造ヘ ッド」「自動 オ ープン転造ヘ ッド搭載ねじ加工機」を商品化すること ができた。「 管用テーパ転造おねじ」 (以下転造ねじ) を時代のキーワー ドである 「 対環境」と 「 耐震性」 と いう視点から、さらに身近な立場でご理解頂ければ幸 いである。 2.ね じ接合 配管用鋼管 のね じ込み接合で、特に呼 び50A以 下 の鋼管用ねじ接合は、他の工法に変える代え難 く、今 日も広 く一般的に使用 され 技術的革新が行われてい なかった。配管部自体の 「 耐欠L」 の向上、地震時の 対環 「 耐震性」の向上、ねじ加工時の環境保全への 「 境性」の向上と言った時代背景の要請に応えるため、 転造ね 切削ねじ結合の欠点を大幅に改善 したものが 「 じ」である。 平成 9年 度版建設省 (現国土交通省)の 機械設備 ねじ加 工事共通仕様書から 「 ねじ切 り」ではな く、「 工機」 と表現が改められ、管端防食継手との接続部に 、その他のねじ継手、ねじ式 フランジ は 「 切削ね じ」 転造ねじ」の選択ができ 切削ねじ」及び 「 等には、「 るようになった。 3.管 用 テーパ転造 ね じ (1)転 造加工とは 金属材料にある一定の力を加えると、外力除いても 元に戻 らず変形が残 る。このように変形が残る事を塑 性変形 といい、その変形を転がしながら加工を行うの が 「 転造加工」である。 (2)転 造ねじの加工方法 ボル ト等の棒材でのねじ加工は転造加工が一般的で ある。内径部が中空の薄肉管 に転造加工でねじ加工を するには一般機械加工の転造加工方法では、ねじ山が 規格 どお りに出来なかった り、管がつぶれた りして、 ねじ転造加工が困難であつた。 (3)転 造ねじ加工 と切削 ねじ加工 写真 1に示すように、切削ねじはチェーザという切 削工具で切削によりねじ加工を行 い、転造ねじは転造 ローラで塑性カロ エによりねじ加工 をお こなう。 (4)歩 み転造方式 (弊社転造ねじ加工機) 型軽量化す るため、丸ダイ 当社 ではねじ転造機を月ヽ スを使用 し鋼管 の管端 からひと山ずつ加工す る 「 歩み 転造方式」 を採用 し商品化 を行った。 「 歩み転造方式」では、管端部外周 の真円度を出す ため、管端からa寸 法 (基準径 の位置)ま でテーパ状 に表面 を削る (第1図 (a))。回転 している鋼管 のテー パ削 りした管端に丸ダイスを押 し付け、管端か らひと 山ずつねじ山を加工す る (第 1図 (b》。 4.転 造 ね じの特徴 切削ねじとの比較で転造 ねじの特徴 をあげると、 (1)折 れにくい (2)錆 びに くい (3)漏 れにくい (4)環 境に優 しい の 4つ がある。以下にそれぞれの特徴 を説明する。 (1)折 れにくい 転造ね じは切削ね じに比べ機械的強度が強い理由は 下記の内容である。 ① 転造ね じの断面形状 (転造ねじは残肉が確保) 切削ねじは鋼管を削 り取 りながらねじ山を加工する ため、管端に行 くほど肉厚が減る力ヽ 転造ねじは転造 配管技術 2004.8.65 ・ (2) 管用テーパ転造おねじ加工 自 動オープン転造ヘ ッド&搭 載マシン・ ゝ (a)切 削ね じはチ ェーザでね じ加工 (bl 転 造 ね じは転造 ロー ラでね じ加工 写真 1 転 造ねじ加工と切削ねじ加工 鋼管 テ ーパ に真 円削 り 丸 ダイス ` │● 管端 加工始め (al 真円削 り工程 加工完了 (b)歩 み転造工程 第 1図 転 造の工程 丸 ダイスでねじ山を盛 り上げて加工す るため (塑性変 形)、肉厚 はほぼ均等 となる。 また転造ね じ内径 は、 管の先端でわずか狭 くなるカミ 量は管肉厚の半分以下 なので、流体の流れを阻害するといった問題はほとん 66 配 管技術 "“ .8. どない (第 2図 )。ただ し転造ね じの加工では管内径 へ向け管が絞 られるため、SGPの 自管では、内径面の メッキはがれを発生する場合が希に発生す るため、メ ッキはがれ部を補修 して使用 す る必要がある。 ・ 。 管用テーバ転造おねじ加工 自 動オープン転造ヘ ッド&搭 載マシン (3) 一 日日]叫 超喘く Oe [ ― ,二́ ノ ‐r ― 切 削ね じ ―― 転造 ね じ ヽ原 管 25/ヽ 32A ヒ 40A S C P 管 呼 び径 第 2図 転 造の断面形状 い。比較試験 の結果 を以下に説明す る。 ② 転 造ね じ加工部の断面組織 (ファイバー フローが存在) 切削ねじは第 3図 の様 に、金属の結晶組織がねじ山 毎 に切 られているのに対 し、転造ねじは金属 の結晶組 織がねじ山に沿らて流れるので、連結 した繊維状組織 (ファイバーフロー)と なっている。 さらに転造ね じは切削ね じに比べ機械的強度が高 ③ 転 造&切 削ねじの引張 り試験 第 4図 に試験方法、第 5図 に試験結果を表示す。 転造ね じは切削ねじに比べ、引張強さは1.5倍、突き 合わせ溶接 と同等の強さである。 ④ 転 造&切 削ねじの曲げ試験 第 6図 に試験方法、第 7図 に試験結果を示す。転 切断された繊維状組織 押 し込 まれ た部分 盛 り上が った 部分 転造ね じ 切削ね じ (b)転 造 ね じ加工 {al 切 削ね じ加工 第 3図 転 追加工部の断面組織 配管技術 2004.8.67 ・ 4) 管用テーパ転造おねじ加工 自 動オープン転造ヘッド&搭 載マシン・ 〈 〔 試験条件〕 ●試料の両端に引張り荷重を負荷し、封入圧力 5kJ/cm2)で 漏れ発生時の荷重を測定 〈 鋼管 : 配 管用炭素鋼鋼管 ( S G P ) 継 手 : ね じ込み式 画 般 鋳鉄製管継 丁 第 4図 引 張 り試験方法 ︲︲ ヽ 一 ︲︲ 切削ね じ イ ジ 転造ね じ 0 5 ∞ Z 倒 仁 C歯期 ぶく 蝶 突合せ溶接 / ど ざ 争 25 32 鋼管の呼 び径 転造ね じ :25A 切 削 ね じ :25A 第 5図 引 張 り試験結果(2) 造ね じは切 削ね じに比べ、曲げ試験強さは1.5倍の強 メーカ2社 間での腐触性能に差異はなかった。 さである。 継手か ら出ているね じ部 にめっき層 (20∼30ミ ク ロン)が あるため、ね じ部 と母管部の腐触速度に変化 はない状態である。切削ね じの加工面の腐蝕速度 は、 (2)錆 びに くい 転造ねじ接合 の耐久性 (耐触性)〕 〔 転造ねじの表面 にはメッキ層が残存 じ、ねじ部は有 効防錆効果を発揮す る。 SGPの 自管に転造加工 し、ねじ接合後のめっき層の 残 ったねじ部の状況を第 8図 に、継手はみ出 し部の耐 触性試験方法を第 1表 、試験結果 (塩水噴霧試験 」 IS Z2371)を 第 2表 、写真 2に 示す。 転造ねじは切削ねじに比べ耐防触性は良好 (ねじ部 と母材部の腐食速度に大 きな差はない)で あり、鋼管 68 配 管技術 2004.8. 転造ねじに対 して速 くなる。 (3)漏 れに くぃ 転造ねじは機密性の高いねじ CISB0203付属書 2) 力ヽ 安定加工できるため、切削ねじより漏れに対 して 信頼性が高くなる。 耐密性 の 向上 を 目的 とした管用 テ ーパ おね じ 「 JISB0203付属書 2の 管用テーパおねじ」はねじ接合 した時、「 JISB0203管用テーパおねじ」より漏れにく … 管用 テーパ転造おね じ加工 自 動 オー プ ン転造 ヘ ッ ド& 搭 載 マ シン ( 5 ) ( 試験条件〕 ●試料の両端m m m を 受け、継手の中央に曲げ荷重を負荷 し、 封入圧力 (5kJ/cm2)で 漏れ発生時 の荷重を測定 鋼管 : 配管用炭素鋼鋼管 ( S G P ) I 鍛鋳鉄製管継手 継手 : ね じ込み式 ● 第 6図 曲 げ試験 方法 / 一 40,000 35000 Z] 倒 恒 C 士 期 燎 城 理 [ 30,000 11: J∠1撃 │ / 25,000 / 20.000 / / 15,000 / / 10,000 5,000 ・ . ″ ″″ ″ ・ れ ゛“ ″ 0 25 32 鋼管の呼び径 転造 ね じ :25A 切 削 ね じ :25A 第 7 図 曲 げ試験結果( 2 ) メッキ層は20∼30μm メッキ層が残 り錆 びに くい部分 第 1 表 塩 水噴霧試験方法 〔目的〕 ●転造ねじは継手接合後、外部に露出するねじ部に メッキ層が残 るため耐食性に優れている。 ●耐食性の優位性を塩水噴霧試験で実証する事を 目的とする。 C P 管に転造、及び切削でね珈 工 鴨 切肖 1ねじ2本、転造ねじ3本 ●継 ぎ手よりはみ出したねじ部には、シール剤及び 防錆剤の塗布無しにて評価 第 8図 転 造ねじ表面状態 試験条件〕 〔 o塩 水噴霧試験 :」 IS Z2371に 準拠。 24時間毎に観察、240時間まで実施 支引 酉己籠 雪ま 肝 2004.8. 69 ・ (6) 管用テーパ転造おねじ加工 自 動オープン転造ヘッド&搭 載マシン・ 第 2表 塩 水噴霧試験結果(1) 母材部 ねじ部 継手 継手か らのはみ出 しね じ部を観察 24Hr 48Hr ∼240Hr後 72Hr 転造 ね じ部 白錆発生 変化なし `:構業第鷺発彗 勢子 じな轟1 A社 け材部 白錆発生 変化なし 変化 な し 転造 ね じ部 白錆発生 変化なし 着鸞幕鋪壺菫 轟襟苺 変イ 母材部 由錆発生 変化 な し 変化 な し 蕃藩赤鈴発壼 輪 BネL いねじ山形寸法が規定 されている。 この山形は転造で ねじ山を加工する事で可能となった。 「 JISB0203管 用テーパおねじ」 と 町ISB0203付 属書 2,耐 密性管用テーパおねじ」 との違 いを第 9図 に示 SCP鋼 管 (240時間後) す。継手 「 JISB0203管 用テーパ めね じ」に管用テー パ転造 おね じ 「 ISB0203付 属書 2,耐 密性管用テー 」 パおねじ」を接合 した状態を写真 3に 示す。 SGP:50A ( a ) 切 削ね じ (b)転 造ね じ 写真 2 塩 水噴霧試験結果( 3 ) 基準径 の位置 11山の 場合 (a)手 締めの位置 6)締 写真 3 JISの 継手 と耐密性管用テーパおね じ (管用テーパ転造おねじ)の 締め込み状態 基準径の位置 一 郎燿檬 セ"。│′づ (b)JБ B0203付属書 2 ISB0203付 第9図 JISB0203管 用テーパおねじと」 属書2. 耐密性管用テーパおねじの違い 70 配 管技 術 20048. 付が完了 した時 ・ ・ 管用テーパ転造おねじ加工 自 動オープン転造ヘ ッド& 搭 載マシン { 7 ) ② 混 合廃棄物処理問題を解消 混合廃棄問題に関しては、転造ねじで外面被覆鋼管 の塩 ビ又はポリエチレン被覆層を先ず剥離する事がで きるため、鉄 と樹脂材 との分別廃棄が可能である。 ③ 省 資源化に役立つ。 (4)環 境に優 しい 地球環境にやさしく、切粉 もほとんど出ず、加工 「 油の消費が少ない」 といった利点力ヽ 現場 の環境保全 とい う時代の要請 にマ ッチ し、近年は大規模箱物物件 でも消火 ・空調配管を中`いに 「 転造ねじ」 は急速に普 切削油の飛び散 りや鉄屑 とともに廃棄してしまう事 から、切削油 も約 6割 に削減できる (切削油の消費が 減少 してコス ト削減にも役立つ)。 及 してきた。 産業廃棄物 のJ卜出の割合が高 い建設業界全般 では、 産廃 の減少、 リサイクル可能な機材 。再生材 の使用、 一 分別廃棄等、産廃処理が コス トの 部 となってきてい 5.自 動オープン転造 ヘ ッ ドの動作 (1)転 造ねじ加工機構動作 ① 加 工鋼管をパイプマシンのチヤツクで固定 して 鋼管を回転させる。 ② 真 円加エスクレーパで管端部の外径を僅かに真 。 円加工を行う (第10図(a》 ヘ 工鋼 に押 しつける事 によ ッド を 造 加 管端面 ③ 転 ー パ 部に くわえ込まれ 転造丸ダイス」のテ り、「 あゆみ転造」が開始され、転造ねじ力]順送 りに 「 塑性加工されてい く。 る。 ① 転 造ねじ加工は切粉が大幅に減少 切粉が出ません。ねじ加工時の切粉発生 「0」。 油 の飛び散 りがなく現場 の養生が簡単。油の消費量 も従来の約 1/2∼ 3で す。 「 転造ねじ」 は真円削 りでの切粉が少 し出るだけで、 ベ鉄屑発生率は容量比 ・質量比で約 9割 切削ね じl計ヒ 削減する (写真 4、 写真 5)。 加 工鋼管 テーパ ね じ {a)切 削ねヽじ加工 lbl 転 造ね じ加工 切粉発生量 :切削加工の1/10以上 (パイプの真円加工時に少量の切粉 が発生します) 転 造 ロー ラ 写真 4 環 境に優 しい転造ねじ レー ト ´ノ〆 カムプ ‐ ヽ ――一一― ス ライ ドカ ム カム リング “) 写真 5 SPC:25Aを 100回加工 した時の切粉量比較 第10図 転 造ねじ加工機構動作 配管技術 2004.8 71 管用テーパ転造おねじ加工 自 動オープン転造ヘ ッド&搭 載マシン…(8) (2)転 造丸ダイス自動オープン機構動作 ① 転 造ねじ加工が所定の長さまで加工されると プッシュリング」によリカム機構連鎖で 「 カム 「 プレー ト」のロックが開放される (第10図(b))。 ② 「カムプレー ト」のロック解除により、「 転造 ロ ーラ」を 「 スライ ドカム」により保持 している (カムリング)が 回転 して、 (転造 ローラ)が 外周 方向に移動、加工ね じ部から開放され、一連の 加工が終了する。 以上の説明のように、自動オー プ ン転造機NZT 50Aで のねじ加工は切削ねじ加工と同じ感覚で作業が 可能となっている。 6.お わ りに レッキスエ業掬は 「 ね じ接合」 の持 っている特徴を よ り高め、 これか らの時代 のニーズである 「 対環境」 .可 「 耐振性」に適用する商品を求め、 鍛式で多 くの皆 様に御使用 いただける、安価 なね じ転造機の開発に取 組んで来た、優れた性能を持つ転造ねじ力ヽ 従来のパ イプマシンに搭載でき、従来のパ イプマシンと同様の 操作で、加工で きる、「自動オープ ン転造ヘ ッド」「自 動オープ ン転造ヘ ッド搭載機」を商品化することがで きた (写真 6)、 今後 「 管用テーパ転造おね じ」が消 火用配管を始めとし、建築設備配管等はもとより、そ の他産業機械 の配管 「 ねじ接合」 に使用 される事によ りねじ接合 の信頼性がより高められるものと確信 して いる。 【 筆者紹介】 加 藤 明 (昭和22年 1月 24日生 。埼玉県出身) レッキスエ業抑 開 発事業部 部 長 〒578‐ 0948 大 阪府東大阪市菱屋東 1-93 TEL:0729‐ 61‐ 2383 FAX:0729-666716 E― Mal:[email protected] レ ッキ スエ 業株 式会社 (代表者〉 宮川恭一 (al 自動オープン転造ヘ ッド loA∼ 65A (本社住所) 大 阪市中央区西心斎橋 145 URL:http:〃 www.re対 nd.cojp (資本金) ∞ (百万円) (年 商 〉 5,500(百 万円) (従業員数)250名 主要取引先〉 配 管工事関連各社 〈 (事業内容及び会社近況〉 現在REXで は配管に関連する 「 配管機器」「 環境機器」 「ダイヤモン ドエ具」「 融着機器」 といった分野を事業の基 幹 としていますが、これか らも、今までに構築 してきた技 術 の深耕 と、時代 の変化への敏速な対応 を通 じて、設計、 デザイン、製造販売か らアフターサー ビスにいたるまで、 ユーザニーズに応えてまい ります。 ( b ) N Z T 5 0 A マ シン ( 転造 タイプ) 写真 6 ――― ● 優 良技 術 図書 案 内 ● イラス トで学ぶプラン トの安全 ヒ ヤ リ ハ ッ ト 体 験 実 例 集 奈川県高圧 ガス協会編 B5判 llll神 150頁 定 価 :2,500円 (本体2,381円 ) お問合 せは 日本工業出版lll販売課 まで 販 売直通 03(3944)8001 FAX 03(3944)0389 72 配 管技術 2004.8. 一般高圧ガス編 ・ (1) 配管設計入門 。再入門講座⑤・ H0405‐ 04 0385‐ 9894/04/Y500ノ 論5υ」 CLS 〔連載講座│ 〕 酉己管設計入門 ・ 再入門講座⑤ P E コンサルタント高橋 高 橋 利 彦 Toshihiko Takahashi ラン トを構成する機器類の構造 と の そ 種類について 石油精製、石油化学、一般化学、 エ ネルギー関係 1-3 プ プラン ト等で用 い られる機器は、オフサイ トにおいて は原料貯蔵 タンク、中間製品貯蔵 タンク、製 品 タン ク、空気分離器、ポ ンプ等が主であり、石油精製関係 で言えばその貯槽 (タンク)に 入る流体は原料の原油 であ り、製品 もしくは中間製品ではガソリン、軽油、 灯油、重油、LPG、 アスファル ト等 であ り、そのタン ク は 浮 き屋 根 式 タ ン ク (FLOATING R00F TANK)、 コ ー ンル ー フ (CORN R00F TANK) LPGの 場合 は球形タンクである。液体の計量出荷の為 に流体が流量計に入る前に空気分離器を通過させ流体 中の気泡 を分離 除去する目的で空気分離器が使用され る。これは通常 タテ型の ドラムで内部には内筒力ヽまい っている。 オンサイ ト (装置側)領 域では、原料をプラントヘ 供給する為 のポンス 熱交換器、加熱炉、蒸留塔、精 留塔、吸収塔、反応器、槽、圧縮機 (プロセス用)、 用役用 のボイラー、用役用空気圧縮機、エヤー ドライ ヤー等がある。 ンクの種類 とその構造 1-3-1 タ ー ① フ ロ テ ィ ング ル ー フ タ ンク (Floating r00f Tank)(第 1図 (a》 ② コ ー ンルーフ タ ンク (COrn Roof Tank)自 已支持屋根、支柱支持屋根式 (第 1図 (bX第 1 図(C》 ③ 球 形タンク (Sphere Tank)(第 1図 (d)) ヽ Vind Cuarder Floating roof Tank(Double Deck type) Floating roof Tank (Pontoon type) Air foam Chamber Inside Ladder Man hole Sheli nozzle (b)Corn Roof Tank lSelf support type) 第 1図 (つ づ く) 酉己籠 讐l支綱 ほ 2004.8 73 ・ 21 配管設計入門。再入門講座⑤・ 〈 e、 鈍 R榔 町 塩ポ 浴 安全フード Vent nozzle with Breather valve 尾根マンホール 保安点検用歩廊 vay Stair、 移 常 ず 側板 ガイ ト パ イプ 液圧計 、 面 瞬 内部は しご 加熱 ( 冷却) = コ イル ドレンノズル 液出口 ノズル 球 形 タ ンク (Sphere Tank) この タンクの内圧は人気圧力貯蔵である。但 し揮発性 液体 の場合"mmAq程 度のN2シ ル をするこ ともある。 このタンクは大 気 圧 力 以 上 の圧 力 で内 部 液体 を貯 留 す る (LPG等 ) 幾何 学 的利 点 を採 用 して球 形 とな っ て い る。 (C) Corn roOf Tank (Post Support Type) (d)球 形 タンク (Sphere Tank) 第 1図 (つ づ き) 1-3-2 カ ロ 熱炉 加熱炉はプロセス流体 (石油精製装置 の場合 はその 流体 は原油、脱硫装置 の場合 はその流体 は軽油、灯 油、重油等)を 加熱炉の中のチューブ (PIPE STILL パ イプ ス チルと呼ぶ)を 通過させてそのプロセス流 体 は加熱させるという単位操作を行う装置である。加 熱炉 には様 々な形式があ るが、大別す る と箱形 (BOX Type)第 2図 (b)、 第 2 図 ( C ) と円 筒 ( C y l i n d r i c a l t y p2e図 )第 (d)で ある。 臓 炉 {li[[│::I肛 町筒型 (b) 箱形垂直燃焼水平管 箱形垂直燃焼式加熱炉の構造 配管設計入P ] ・再入門講Ю ・ ・ く3 ) 1-3-3 蒸 留塔 (Distillation Tower) 二つ 以上の揮発分を含んだ液体混合物 を加 蒸溜塔 は 熱するとその蒸気の組成は一般に液体におけるよりも 一層揮発分に富んだものが多 くなる。 この蒸気を冷却 して液体 とて製品 とする、この液体混合物 より各成分 に分離する方法を蒸留という。 この蒸留塔の構造の例 を第 3図 にその左右に組み込まれるトレイの種類の構 ― ガス採取 用ノズル 造図を示す。 ー 煙 突 ダンパ ー じゃま板 (バッフル) ハウジングカバー シート チュープ・ スート・ プロワ■ 一 流体入 「1 対流部加熱管 対 流 ス タッド管 部 クロスオーバー ◎ ヒ部踊場 加熱管 支持金物 上部のぞき窓 轟 ふく射 部加熱管 かご付さるばしご ウインド ボックス (a)バ ラストキヤップ V型 下 部 のぞき窓 (b)バ ラストキヤツプ A型 バ ラス トトレイ (Ballast Tray) ― ` ダンノ 操作台 (d)垂 直円筒形加熱炉の構造 (Cylndrtal type) 第 2図 (つ づ き) 興※ ‐ ―― ⑥ (bl フ レキシトレイA型 フ レキ シ トレイ (Fle対 Tray) 」 _ 匙 板金プレス丸型 キャップ ( 組立式) “) 鋳 物キヤップ ( 組立式) _ 全開 e Tray) フロートノウレプ トレイ ( F l o a t v 」 ld)板 板金 または鋳物 キ キャップ (組立式) 金プレス丸型 ャップ(溶接) ③ 匡 板 トレイ 多=し (Sieve Tray) 泡鐘 トレイ (Bubble cap Tray) チムニー トレイ (Chimney Tray) 第 3図 蒸 留塔の構造の例 配管技術 20“ .8.75 ・ 4) 〈 配管設計入門 ・再入門講座⑤。 ガス出ロ ノズル ダビッ ト Davit 1-3-4 精 精程知ま畑 還 流液入 ロ ノズル Re■ux Line Manhole Platform 留塔 (Rectincadon Tower) ( F r a c t i o n a l D i s t i l l a tも i oいい n)と 、 液体混合物を蒸留するとき発生する蒸気混合物 をこれ と向流 に降下す るその蒸気 の冷縮液 (環流)に 直接接 触 させることによって冷縮を行い同時に上昇蒸気 との 熱交換によって加熱された冷縮液中よりさらに低沸点 成分を蒸発 させる操作の繰 り返 しを行う機器が精留塔 (第4図 (a》でぁる。 1-3-5 吸 収塔 (AbsOrber TOwer) 混合 ガス中のある成分を液に吸収 させてガス成分の 分離を行わせる機器が吸収塔である。この吸収塔 (装 置)は 、大別すると液分散型 とガス分散型の二つにな る。液分散型 には、充填塔、 スク ラバ ー、 ス プレー 中間留分抜き出しノズル 塔、ぬれ壁塔がある。 この うち充填塔は気液の接触面 ィ トレイ (Tray) 積 を大 きくす るためと気液を乱状態にし吸収速度を高 めるために陶磁器、 カーボン等 で造 られた充填物を塔 内に充填する。充填物 としてはラシヒリング、 レッシ ングリング、 ベ ルルサ ドル、イ ンタロ ックスサ ドル テラレッ ト、ポー ル リングが ある。 これ らの充填物 (第5図 )は 磁性、カーボ ン、金属製、プラスチック 原料 入 ロ ノズ ル 溢留堰 Downcomer ガス出 口 液入口 塔底液出口 ① ② ③ ④ ⑤ la)精 留塔の構造 溢流管 デス トリ ビュ ー ター (Dist五butor) 再 分散器 が こ(Shell) ′多月 同イ 充填層 ( 第5 図 ( b ) に 示 す物が選定充填 される) ー ・ サポ ト グリッド .Zを生トロ 液 出口 lb)ト レイ構造 (バブルキャップの例) 第4図 76 配 管技術 2∞ 48. (al 充填塔 第 5図 (つ づ く) ・ 《5) 配管設計入門 ・再入門講座Э・ 充填塔 (Packed Tower)(第5図 (al) スクラバー :液 を噴霧状にしてガス中に分散させ吸収させる方法 ベンチュリースクラバー) (サイクロン ス クラバー、 サイクロンスラバーは円筒塔内を旋回上昇するガスと噴霧液と反応吸収させる。 ベンチュリースクラバーは円筒形サイクロンのガス導入部にベンチュリー管を挿入したもので、 そのスロート部から波を管内のガス中に噴霧する方法。 スプレー塔 :液 を噴霧状にしてガス中に分散させ吸収させる方法 ぬれ壁塔 :垂 直円筒の内壁に液を液膜状に流しガスと向流させる方法 ガス分散型 ー 気泡塔 (Bubble TOwer):塔の底部からガスを多fL質板やガス分離器 (スパ ジャー)によつて塔内の 液中に吹き込み気泡群と液とのriでガス吸収や反応をさせる塔である。 気泡攪拌槽 :バッフル付き攪拌槽の底からガスを液中に吹き込む方法 トレイ塔 ( a ) ラシヒリング :前 じ 述の蒸留塔の構造と1司 9冬 R軋 ( b ) レ ッシングリング ( C ) ベ ルルサドル ( d ) イ ンタロックスサドル ( e ) テ ラレット (f)ボ ールリング (b)充 填物の種類 第 5図 (つ づ き) 製の ものである。 これらの機器を用いる吸収プロセスは沢山あるが吸 収液 にモノエタノールアミン (MEA)水 溶液 を用 い 反応塔張り込み (原料油 十循環ガス) て原料 ガス中の硫化水素 lH2S)を 除去するプロセス 等がある。 1-3-6 反 応器 (Reactor) 反応器 (装置)は 大別す ると装置形状による分類 と 操作方法 による分類 となる力ヽ ここでは装置形状によ る分類で記述する。その種類は塔型反応器、流動層反 応器、槽型反応器、管型反応器、 スラリー反応器 と なる。 (1)塔 型反応器 (第6図 (a)) 管型 に比べて反応器 の直径が大 きい垂直円筒構造が 矢 印は反 応 塔 シェ 1筈 群 落 ガスが 流 れ る こと を示す この反応器の特徴である。固体充填物や触媒粒子を充 填 したり、バ ッフルプレー トを取 り付けることもある。 気一 液反応 ではスプレー塔、ト レイタワー、又は潅液 充填塔等の物質移動作用の装置構造をとることが多 く 石油留分の水素化説硫反応等がある。 (2)流 動槽反応器 (第6図 (b》 触媒あるいは反応物質である微細 な固体粒子 を含む 垂直円筒容器へ底部から流体反応物質を送入 して固体 粒子を流動化 の状態 に保ち反応が進行する。石油の接 触分解、石炭 のガス化等の反応に利用されている。 配管技術 2004.8.77 6) 配管設計入門 ・再入門講座⑤¨〈 ガ ス化 エ チ レ ン ジャケット ∝)槽 型反応器 に)ス ラリー反応器 に) 管 型反応器 第 6図 ( つ づ き) (3)槽 型反応器 (第6図 (C》 一般的に攪拌機がつけられ熱交換器 としてジャケッ にスラリー状態 に懸濁をさせた垂直の容器であ り、こ れにガス状 の反応物質 を吹 き込んで液中に溶解 させ トや コイルが設けられている。 “)管 型反応器 (第6図 (d)) 管型反応器は単一管や多管型 にも配列される。反応 て、ここで触媒反応が起 る。石炭 の液化、石油残澄油 のハ イ ドロクラッキ ング等 にこの反応カテJ用されてい る。 器の一端か ら原料が入 り他端か ら生成物が出て くる。 接触反応 では管内 に触媒粒子が充填 されてい る。 NH3の 合成、ナフサの熱分解、高圧 エチレン重合装置 高橋 利彦 PEコ ンサルタン ト高橋 代 表 〒230‐ 0074 横 浜市鶴見区北寺尾6-29‐ 9 等 で用 い られている。 (5)ス ラリー反応器 (第6図 (e》 触媒粒子を液体 の触媒あるいは、液体 の反応物質中 T E L : 0 4 5 ‐5 7 2 - 8 3 0 7 FAX:045‐ 572-8307 ――― ● 優 良技術 図書 案 内 ●新編 温度計の正 しい使 い方 [第 2版 ] 工 業会編 A 5 判 l l l l本電気計測器 日 330頁 定 価 :2,625円 (本体2,500円 ) ●差圧伝送器 の正 しい使 い方 0日 本電気計測器 工 業会編 A5判 220頁 定 価 :2,100円 (本体 2,000円 ) お問合せは日本工業出版帥販売課 まで 販 売直通 03(3944)8001 FAX 03(3944)0389 78 酉己籠 讐lttaに 2004.8. ・ く1) 配管装置のトラブルとその未然防止④・ H0405-03 CLS 9 8 9 4 / 0 4 / Y 5 0 0 論文/ 」 0385‐ 〔連載講座 〕 配管装置のトラブルとその未然防止④ <失 敗 を繰 り返 さないために> こ 西野酉 支術研究所 西 野 悠 司 管装置才 Ytlji Nishino 配管装置 トラブルの具体的要因 と事例 の内、今月は 12.ト ラブルの具体的要因 と事例 (つづ き) 管形状」 に関連す るものの、後 前月に引 き続 き、円己 1表 に示す)。 を紹介する (第 半部分 第 1表 今 月号で紹介する項 目 チェック対象項 目 気相巻込むドレン管 蒸気管の ドレン滞留 蒸気管/T分 岐 . ︲ ︲ 7 9 l ・A ・A .A . ・矯A ・A A クー リングタワーの配管 合流/水 平管 可能性あるトラブル チ ェックポイ ン ト 参照番号 配管形状 水管の気相部 Uシ ール 気相部の存在 “ "の U字 管の 脚 寸法 水 気泡混入流体 水 ウオータハ ンマ 柱加速→弁 に衝突 真空破壊、空気吸込み 水平管 高 ・低温流体の遭遇 セ 配管口径、勾配 ドレン滞留部の存在 高 平管エレベーション 流量不足、振動 バウイング、熱疲労 層 化流動 ルフベン ト 不安定流動 熱衝撃、 クラック 温管壁の急冷 励 減圧弁下流大径、薄肉、高流速 A‐7 水 管に気相部の存在 質量 mを 持 つた流体 (水)が 、速度Vを 以ってある障壁にぶつか ると、障壁には衝撃的な力が生 じる。その力の大 きさは、その質量 が持 つ 運動量 :mVに よって代表 される。mVの 次元 は、kg・ m/sec=■ g(m/sec2)sec=N・ sで、これは力積 と呼ばれる。運動 量が一定であれば、力は力 のかかる時間が短い方が大 きくなる。 流体が水の管に気相部があり、気相部下流に通路を塞 ぐようなバ タンク水位 まで 落水 し、起動時 ハ ンマー ルプ類があった場合には、ポンプで送 られた流速Vの 水が、弁体な どの障害物にぶつかり、殆 ど瞬時に流速が 0と なり、大 きな力を生 ずる。 また、その力は、運動量の式からわかるように、衝突す る流体の 質量 と流速に比例する。 従 って、管径が大 きい程、流速が速いほど、水柱衝突による衝撃 力はおおきくなる。導水管のように管径がlmを 越えるような大きな ものになると、流速が遅 くても、衝突 した弁や接続する機器を破壊 してしまう程の大 きな力 となる。 1図)〕 例 1.ポ ンプ出口逆止弁 (第A-7‐ 〔 ポンプ出日の逆止弁が水源のレベルよ り高い位置にあると、ポン プ∼逆止弁間の水は水源のレベルまで、落ちてしまい、ポンプが起 動 した際、一過性ではあるが、RIllが、閉 じている逆止弁の弁体に 衝突し、弁体は急開してス トツパ にぶつか り、その際、衝撃 。振動 を引 き起 こす。対策 としては、逆止弁のレベルを水源の水位より低 ポ ンプ 1図 ポ ンプ出口逆止弁の例 第A-7‐ くすることにより、ポンプ起動時、逆止弁上流側 に水が満たされて いる状態 になり、水柱が弁体に衝突するような激しい運動量の変化 を軽減 し、衝撃力 を緩和す ることができる。 配管技術 2004.8.79 ・ 2) 配管装置のトラブルとその未然防止④・ イ 7‐ 2図 )〕 〔 例 2.ポ ンプ出口の大径管 (第A‐ 大径の導水管において、ポンプ起動時、ポンプとポンプ出口弁の 間に気相がある場合、弁開き始めと同時に、空気力t急激に弁開口部 “ "、 から抜け、その後を 迫いかけてきた ポンプより送 り出された水 柱が弁体に激突する。従って、ポ ンプ出口弁を開ける前 に、ポンプ 出日にあるベ ント弁 (通常、フロー ト式)に より、ポ ンプ∼出L]弁 間の空気 を、抜 いておかないとウオー ターハ ンマー現象をおこす。 ポンプ起動時にポンプ出日弁を微開して、空気を抜 く方法 もあるが、 開度が大 きす ぎると、ハ ンマをおこすので、適切な開度の選定は微 妙なものとなる。 ポンプ起動時、 弁開、開始 対策 自動 空 気抜 弁 る。機器停止時においては、U字 部にム の高さまで水が満たされて いる。機器が運転され、最高真空 島12x"122■ 9に なった時、右側の “ "か “ "へ らた の 脚 脚 移動する水の高さがム 以 下であればU字 管 “ "の 底部に水が残 り、シールは保たれる。 この時、左の水柱の 脚 高さは2ム となり、こ れが島〕 axmmAcよ り大きいことが、シールの 条件である。 以上をまとめると、このようなUシ ール系が成 り立つ寸法条件は、 Ll>鳳 ら>=max、 2L>二 "パ+余 裕となる。 "と “ 解説 :U字 管の流れは、1上 本の世界では 逆サイホ ン 呼ぶ。 これは第A8‐6図 に見るとお り、U字 管の流れも、サイホンと同 じよ うに、2点 ]1の水頭差により、流れが起るのであ り、逆U′I:形のサ イホンに対 しU字 形をしているので、逆サイホンと呼ばれることに なったのであろう。逆サイホ ンは水路が力 fや谷、或いは鉄道などを 横切る時、使われる。 弁か ら空気が 抜け水柱が 弁に衝突 弁上流の空気を 完全 に抜いてか ら 、 弁開を開始 第A‐7-2図 ポ ンプ出口大径管の例 A-9 ク ー リングタワーからの配管 A‐3で 、ボイラー給水ポンプ吸込管の管 は高所にある貯水 タンク を出たら、フラッシュ防止のため、発生する管内圧力損失に先ん じ て、速やかに静水頭をかせ ぐ配管 ルー ト、即 ち管を出来るだけ垂直 に下ろす話をした。 ここでは、ビルの配管における同 じ様な事例を り 紹介する。第A9‐1図参照 。 ー ビルの屋上にク リングタワーがあ り、地下室にポンプがあるよ うな場合、クー リングタワーから充分な立ち下げ管を持たず、横に 長 く引き出した管を設けると、その横引き管の損失水頭がA点 の圧 A‐ 8 Uシ ール Uシ ールは水の介在により、二つの機器間をつなぎ、水 (ドレン) 力水頭を上回るとa点 で負圧 となり、タワーで水に混入 した気泡が 水から分離 し、水平管の末端のエルボ付近にたまり、流路を狭め、 は移動 0卜出)さ せるが、気相は移動させないための装置である。 二つの機器間に圧力差があっても、封水深さ (水頭)を 適切にとる それにより圧力損失が更に増えて負圧 を高め、ますます空気が溜 ま り、不安定な流動状態 となって、大きな蝙動 を起こす。 クー リングタワーの付近で、充分立ち下が り管をとれば、このよ ことにより、圧力差を保ちつつ、水を流すことができる。 Uシ ールの 目的としては、 うなことは防げる。 上記の現象 を水力勾配線で表せば図の破線のようになり、水力勾 ① 圧 力 の低い機器 (例えば負圧)か ら、圧力の高い機器 (例え ば大気圧)へ 、その圧力 を保ったまま、重力により水を流す。 →水 の水頭 を利用 ② 水 槽からの重力流れの流量調整を行う。 ③ 封 水部により、有害なガスや臭気を遮断する (建築設備配管)。 いずれの場合 もUシ ールの基本は、第A3‐1図で、右側の図に見 るように、圧力の変動がなければ、水柱の脚の長さHの 2倍 の水頭 差 (圧力差)ま で、封水が破 られることはない。 1図 の方法だと、流体が流出し始めると、サイホ ン効果に 第A‐8‐ より、流体が全部流出 して、シール (封水)が 切れることがあるた め、逆U部 の頂上にベ ントを設けるのが一般的である。 上記Эの 目的の場合のUシ ール部各寸法はどのように決められる かを考える。 ここでは、大気圧 より若千低 い負圧の機器から、負圧を維持 しつ つ、ド レンを大気へ排出してかつ容器底部に水位が上がらないよう なUシ ールを考えてみる。今仮に、容器の通常真空度 :―HmmAq、 最高真空度 :―HmttmmAqの 条件下で、シールが切れず、容器底部 に水位が上がらないUシ ール各部の寸法を決定する。 第 A82図 は通常 ドレンの排出状況である。 第A83図 は ドレン量が多 く、オーバーフロー管を使 って ドレンを 排出している時でも、ド レンが容器底部に達 しないための条件であ る。 第A‐84図 は最高真空時でも、通常 ライ ンにより、ド レンが容器 底部に達することなく、ド レンを排出できる条件である。 5図 は最高真空時でも、シールが切れないための条件であ 第 A‐8‐ る。即ち、シールの条件 は底部の管に水が満たされていることであ 80 配 管技術 2∞ 4.8 配線が管軸の レベルを下回る部分力ヽ 負圧 となる (解説参照)。 〔 解説 :水 力勾配線 とエネルギー勾配線〕 2図 のような管路を考える。この管路のところどころに液柱 第A‐9‐ 計を立てる。管路の出口にある弁を全閉 した状態では、各浪柱計 の 水位は水槽の水位 と同 じになる (第A92図 の破線)。管路の出口弁 を開けて水を流すと、液柱計の水位が下がる (第A‐9‐ 2図 の大い実 線)。これは上流の水槽から液柱計までの間の管摩擦損失、管継手 ・ 弁などの抵抗損失により、エネルギーの一部が消耗 されるためと、 圧力のエネルギーの一部が速度エネルギーに変換することによる。 図のAと Cの 間にベルメーイの定理を適用すれ│よ 島 =ζ+;+券 +JIL ここにffOはAに おける全水頭、力ιは損失水頭である。 Z+;=rfO― ι 券み Z+;あ るいは島 ― ―り 券 は基準線か捌 った液柱計水位で、 ま え 慮 省 [衝 [モ 寛 繁 It握 宮 覆 「 乗 憾 署 粟 雲 季 奮 套 曾 i羹 誉 吾 套 開水路自由表面嘲 当する水位」冒倉λ躙 颯 葛孟頗」身:「 管軸と水力勾配線間の高さは、管軸における圧力水頭 ;を 表し 兵 た 爆 侵 Yttil:獣 彙 馨 il、 1 9履 壼 焦 り 套 ,lF響 laI 彗 負の圧力水頭、即ち負圧になることを意味する。 ・ {3) 配管装置のトラブルとその未然防止④・ 〔 第A8‐1図〕 2図〕 〔 第A‐8‐ Llン H 〔 第A8‐3図〕 ―HmaxmmAq L2'Hmax 〔 第A‐84図 〕 2L3'Hmax+余裕 8‐ 5 図〕 〔 第A ‐ 8 図 U シ ール 第A ‐ 9-1図 ク ーリングタヮーからの配管 第A‐ 第A-9-2図 水 力勾配線 配管技術 2∞ 4.8.81 ・ 配管装置のトラブルとその未然防上④・ (4) 水力勾配線に速度水頭分のエネルギー ぅFを 加えると、エ ネルギ ー勾配線、 一 となる。 島 九 水力勾配線 : 島 → ―れ 、エネルギー勾配線 : F f c 力 L の式からわ 暑 ベ かるように、両者とも管路のレ ルzが どうなっていても、影響 され ない。 蒸気管の場合〕(雑誌POWER,1999年 〔 9/10月合併号より) 水平の高温蒸気ライン底部に、高温部に対 し充分な温度差 と充分 な量の、ド レンのある状態が繰 り返されると、水管の場合 とは逆に 下に凸のバウイングを起 こすことがある。 . 事例としては、次のような場合に起 り得る。 ① 蒸 気ライ ンが適切にエアパージされず、或いはウォー ミング されずに、蒸気が流入 した場合、空気 と蒸気が層化現象をおこ す。 A‐10 温 度差のある流体の合流 温度差のある流体の合流では、金属面に温度差のある流体が交互 に接触 して起こす金属疲労 と、ここに述べ る、バウイング (′ りなり 現象)に 注意せねばならない。 〔 水管の場合〕 ② 不 適切な ドレン勾配、過小な ドレン管Il径、ト ラップ能力不 足などによる。 ③ 蒸 気のないわ藩 の高,ilパイプに、減,11スプレー水弁の漏洩 に より水が 商ドする。 ④ そ の他 停滞 した、あるいは比較的ゆっくりした流れの低温水のfサ 管に高 ,ilの 管が水11であると、低 ・高温の 水力報 管から流人する場合、1サ 水が充分混合することがで きず、比重の軽い高,ル水がlチ 管の li隅部 を流れる、いわゆる層化流動現象を起こし、配管ラインに沿って、 母管断面の L下 に温度差がつ き、管の熱膨張に差が出る。母管_L部 が母管下部より伸びるため、母管は上にJlの弓なり状に変形する。 この変形により、管に過剰な熱膨張応力を発生させ、また、サポー ト、アンカー類の変形、破損などを引き起 こす。この管が弓なりに なる現象 をバ ウイングという。低温水が停滞 している場合は、合流 部の下流だけでなく、上流側にも層化現象 を引き起 こす。その過程 1図の上の部分に示す。 を第A-10‐ 〔 起 きるメカニズム〕 に充分な11と充分 第A‐102図 に4tすように、高il蒸気管の管lrt部 大 きな温度差の ドレンがあると、低温の管の底部は高温の管 L部 に 引っ張られ、降伏応力を超えて、永久変形 (延ばされる)を 起 こす。 管断面の温度が均 一化すると、管 11部よりも長くなった管底部が “ "よ 突っ張る うになり、大きな曲げモーメン トを生 じ、下に凸のパ ウイングを起 こす。 蒸気管の場合 蒸 気 \ \ 水冷 水管の場合 一 一 パ イプ上下に 大 きな温度差 高 温 (温度均 一 ) バ ウイ ング ドレン管追設 当初からの ボ トム ドレン管 第A-10-2図 蒸 気管のバウイング 1図 水 管のバ ウイング 第A‐10‐ 防止策〕 〔 原因は低温水 と高温水がよく混合 しないために、起 きるのである から、両者がよく混合する配管形状 にすることにより、バウイング 防止策〕 〔 一旦、下に凸のバウイングがおきると、管底 に益々 ドレンが溜 部 まるようになり、バウイングを加速するので、第A‐10‐ 2図 の最下部 に示すように ドレン抜 きを設けて、その ドレンを配管のポ トム ドレ ンを通 して逃がすようにする。 を防止できる。 1図の下の部 即ち、低温水に高温水が流入する合流部を、第A‐10‐ 分に示すように、上方向に直管部を持つ垂直配管の下部に高温水 を 流入させ、高温水が上部の水平管に達する前に、十分混合 されるよ うにする。 82 配 管技術 2004.8. A-11 気 相を巻 き込む ドレン管 水位の出ない容器の出口で、気体を巻 き込みながら流下するドレ ン管は、下流側が非開放 タンクの場合、流入する気体を逃がすベ ン ト管 (圧カバ ランス管)が ない と、流入する気体が閉塞することに ・ (5) 配管装置のトラブルとその未然防止④・ より、上流側容器 と下流側容器の差圧が逆転 し、不安定な流れ (流 量変動)、それによる下流側 タンク水位のハンチングなどを引 き起 こ より、C=■ 1、 コはマニングの粗度係数で鋼管の場合、OЮ14をとる。 したりする。 このような現象を防止する方法に、別個のベ ント管で両タンク問 但 し、実プラントの運転経験 より、Sは 1/24よ り小 さくしない 〕 こと 。 l EXl)と 、ド レン管口径 をつなぐ 「 非セルフベ ント」方式 (第A‐11‐ セルフベ ント」方式 に余裕を持たせ、ド レン管自身でベン トする 「 2図)と がある。セルフベ ントを採用するとして、流量Q (第A ll‐ A-12 蒸 気管の ドレンポケッ ト (熱衝撃) 蒸気により高温になっている金属表面に冷たい ドレンが当たると、 その部分のみ急収縮 しようとするが、高温の ままの周辺部や金属内 部に拘束されて、収縮することができず、その部分に高い引っ張 り m3/sを流す管内径 とドレン勾配を求める。 タのllIない 容 器 水イ 応力が生 じる (熱衝撃)。これが繰 り返されることにより、金属疲労 が進み、ヘアークラックが4iじ、放Fiすればクラックが4i長し、や がて漏洩にいたる。 この現象は、卜 系統 に繋がる補助系統や、ド レンラインなどに、 │:力変動 る部分があると、補助系統が活 きた時や、サ ドレンが滞rillす があった時などに起こり得 る。 拿 そのり 例を紹介する。 例 1:蒸 気系 主 ラインと補助ライン〕 (第A‐121図 ) 〔 通常運転されている主ラインに、通常は使われず、主系統のバ ッ クアップをする補助 ライ ンがつながっている場合、補助 ラインの止 め弁にリークがあ り、エルボ部に ドレンの滞留があると、 されてお り、補助 ① 主 ライン運転中、Pl>ら で、逆止弁がFll鎖 ライ ンのエルボ部に ドレンは滞留 し、エルボの ドレンは主ライ ンの蒸気温度よりかなり低い温度 になっている。 ② 補 助蒸気によるバ ックアップ運転に入 ると、PIくら となり、 逆止弁が開き、冷たい ドレンが高温の主ライン側に流入 し、逆 止弁出回の熱い金属表面を急冷却させ、これが繰 り返されると、 熱疲労によリクラックを生 じる。 第 A ll‐1図 非 セルフベ ン ト方式 同じような事例 として、第A‐121図 の左側に示すように、主ライ ンのバイパスラインの弁を開けた時、弁上流にたまっていた冷 たい ドレンが、主 ライ ンに流入 して、熱衝撃をお こす ことがある。対策 としては、逆止弁 上流に ドレンのたまらない処置 (トラップやオリ /水 位の出ない容器 フィスによリドレンを除去、回収するなど)を とる。 バ イパ ス 圧 力 Pl 蒸 執ン ン ↓ 1′ V力 1 材 ・ ″ 榊・ 励 蒸気主ライン 類型の 配管 傾斜管断面 第A-11-2図 セ ルフベ ント方式 ドレン ( 立面図) ・3こ ー ∝ ヽ ル ェg:重 フ 力 加 速 度9amん ド 数4=浩 D:管 内径 m、 ■ :管 を満たして流れた場合の流速m/secより、 D>128Q。 4 こ こにQは 流量m3/seC 傾斜管におけるセルフベン トの条件〕 〔 管内にベントスペースをとり、水深hがD/3に なる勾配を求める。 ドレン勾配Sは シェジーの公式より、 (シェジーの式 :yョ 対TS〃 scc) S=洗 こ工 y:卿 囲 のA の面積をQ が流れる流速、 R:動 水半径 m、 C:シ ェジーの流速係数であるが、マニングに クラ ック発 生 部 第A-12‐1図 補 助蒸気ラインの ドレン溜 まり 2図 ) 例 2:同 一系統蒸気管のコモンになった ドレン管〕 (第A‐12‐ 〔 同一系統の複数 (A,B)の 蒸気管の各 ドレン管に通常開の手動止め 弁をつけ、ド レン管合流後に常時閉の電動 ドレン弁を設けた場合、 各蒸気管に固有の圧力変動があると、電動弁上流に溜まった ドレン 2 がA、 Bの 圧力差により、Aま たはBの 母管に吹 き出し (第A‐12‐ 図の上図)、ド レンロの反対側の管壁に当たり、高温の金属表面を急 冷させ、クラックを生 じさせることがある。 対策 は一次弁 も電動化 し、常時閉にしてA、 B管 の共通部分にド レンが溜まらないようにする (第A‐122図 の下図)。 配管技術 2∞ 4.8.83 ・ 6) 配管装置のトラブルとその未然防止④・ 〈 み場 の圧力変動があると、 ドレンはB の 管に吹 き出る。 B ヾノ ゝ \ / M ・ J■ 動 し易い配管 形状 立面図 町 E 1 3 図 減 圧弁下流配管 第A ‐ ¬│ M が振動 し、サポー ト用 ラグや、小径管の母管取付け部付近 にクラッ クを生 じることがある。 〔 対策〕 2図 共 通 ドレン管 第A‐12‐ 減圧弁下流では適正流速になる配管サイズを選ぶと同時に、弁直 後は弁メー カが推奨す る長さの直管部を設け、T字 管 (Tピ ース) による曲げや合流、分岐はさけ、ロングエルボ、Yピ ース、ラテラ A-13 減 圧弁下流の配管形状 蒸気の減圧弁下流は、蒸気が膨張 し高流速となり、流れが乱れる ルなどスムースな流路 とする (第A‐13図 )。また、適所にア ンカー 設置、肉厚に余裕を持たせるなどの処置を必要に応 じて、とる。 ので、配管が振動 し易 くなる。特に管が大径、薄肉の場合 は、管壁 < 参 考文献> 【 筆者紹介】 (1)PIPING HANDB00K,第 7版 :Mohinder L Nayyar,McGraw Hill社 干U (a ポ ンプの上手な使い方 :須 藤寿雄 ・横山重吉著,パ ワー社刊 西野悠 司 西野配管装置技術研究所 〒143‐ 0022 東 京都大田区東馬込2-175 TEL:03‐ 3776‐ 6 691 FAX:0337766691 一―― ● 優良技術 図書案内 ●次世代 プラン ト配管用材料 配管技術 ム ック誌 B 5 判 150頁 定 価 : 3 , 0 0 0 円 ( 税込 ) お問合せは日本工業出版帥販売課まで 販 売直通 0 3 ( 3 9 4 4 ) 8 0 0 1 F A X 0 3 ( 3 9 4 4 ) 0 3 8 9 84 配 管技術 2004.8. ・ (1) 水道事業の民営化 と配管技術・ H0404‐10 CLS 0385‐9894/04/Y500′ 言自文/」 連載 :「 水問題」 と配管技術⑤》 《 水道事業 の民営化 と配管技術 本田 久 親 Hisachika Honda 前号で水 ビジネス全般についてレビュー し、その代 表的な 3つ の分野、即ち タンカーやバ ッグによる大量 水輸送貿易、パ イプライ ン或 いは水路に よる水輸送、 及 びボ トルウォー ター ビジネスについて観てきた。 など全世界に拡大 しつつある。 近隣諸国におけるフランスのオンデオ社 (スエズ) やヴィヴェンデイ社 (ヴェオリア)の ここ数年だけの 事業展開を一瞥 して も、韓国のソウル市郊外、仁川 しか し何 と言っても、水 ビジネスの中でもそのスケ ールや影響の大 きさからして他 を圧倒 し、現在最 もホ ットな動 きを見せている分野力ヽ 次に述べ る水道事業 市、釜山市、フイリッピンのマニラ市、イ ン ドの コル カタ、中国の天津市、上海市、成都市 などでその動 き が報 じられている。 である。 中でも彼等のこれからの最大の関心 は、 巨大な市場 である中国にあると言われている。中国では民営化反 対が有効な発言力 にまで発展することはあり得ず、政 府 自身が積極的に民営化を追及 しているか らであると υヽ う。 本号 では水道事業の民営化 に関する現況 を、配管技 術 の立場から概観す る。 5-4 水 道事業の自由化 とグローバリ 晰ヒ へ の世界的な奔流 (1)水 道事業民営化 水 ビジネスには、前号で述べた水 自体 の商取引以外 に水道事業があり、 これこそ力ヽ 水 ビジネスの中でも 世界水会議や世界水 フォー ラムの水政策を受けて、最 も急速な拡大 を遂げて いる分野 で あ り、かつ また、 残念なことに、 日本 のODA援 助に よるアジア諸国 における上下水道施設の建設 も、建設後 はその殆 どが 英仏の民間事業会社によって運営 されているというこ 配管技術」に対 しても最 も大 きな影響を及ぼすであ 「 ろ う分野でもある。 この他、上記 フランスの 2大 巨人の他、フランス、 一 米国、ド イツ、イギリスなどの 部の大手企業 も、国 境を越えた提携や買収で多国籍化 して、 中東、東 。中 周知のように、現在水道事業は世界的に自由化 (民 営化 と規制緩和)の 動 きと相侯 って、グローバル化ヘ の勢 いが奔流 となっている。 前月号 「 水 ビジネス」 の冒頭 でフォーチュン誌 の記 21世紀の水 は20世紀の石油同様の価値があり、 事の 「 国の富を左右す る貴重な商品である」 というフレーズ を引用 した力ヽ これは実 はグローバルな水道産業の特 集記事中の 1節 である。 欧米では水道事業の民営化が先行 している力ヽ 中で もフランスでは、皇帝ナポレオンの治下 に民営化力政台 とである。 欧、アフリカ、 ラテ ンアメリカなど世界中で活発な事 業活動を展開している。 世界的には民営化率 はまだ、たかだか10%程 度であ るとされているが、それでも人口にすれば既に4億 人 の住民が民間による水道事業のサー ビス を受け、 しか も民営化 は着実 に進行 していて、2015年 には世界で 10億人が民間による上下水道サー ビスを受けるように なるであろうと予測 されている。 まり、既に150年 の歴 史を有 していて、現在民間参加 によるものが全人口の80%に も達 しているという。 民営化 自体は、英国、米国、 スペイン、ド イツなど でも進 んでお り、更には、ラテ ン ・アメリカ諸国、ア 水道事業の大勢は民営化へ向けて奔流 となって動い てお り、そしてそれは 「 配管技術」 にもいろんな形で 影響 を及ぼす ことになるであろう。 前述のように、世界水会議や水 フオーラムや世界水 ビジョンなどの国際的な水政策は、水 を 「 必需品」 と フリカ諸国、カナダ、オース トラリア、アジア、中東 水を供給する費用を利用 規定 しており、 ここから、「 配管技術 2004.8.85 曇 嘲呻徊a 匡道 者が負担す ること」が明確にされて、世界銀行 と国際 通貨基金 (IMF)は 途上国へ の融資条件 として 「 上 下水道の民営化を推進すること」を奨励 してきた。 これに対 し民営化に反対す る人たちは、 「 世銀は、 ・ 水不足 を水企業のためのビジネス チャンスに変えよ 、或 いは 「 うとしている」 世銀は多国籍企業に依存 し た民営化の中心的唱道者である」 と非難 している。 しかし現実的には、現在、世界各地で水道事業関連 企業が激 しい営業活動を行っている。 その背景には世界的なグローバ リゼー ションに伴 う 規制緩和 の動 き、旧社会主義国の国営事業改革、上 記の途上国の発展が世界銀行から民営化を手段 として 要求 されていることなどがあ り、世界的にはまだ揺藍 期 にある水道民営化事業の今後の急成長が見込まれて いるからである。 モー ド ・バーロウ女史はその著書 “ Blue Gold"(1)の (水道部門は傘下 のヴェオリア/VeOha)注 1)とォンデ オ (OndeO)(元 スエ ズ 。リコネーズ 。デ ・ゾー/suez 2)で Lyonnaise des Eaux)注 ぁる。 この 2社 は水道事業 のパ イオニアであ り、世界 150 ケ国、2億 人以上人 々の水道事業を支配する水帝国 3)。 である注 この 2社 に、最近イギリスのテームズ ・ゥォー ター (Thames water)と アメリカのAWW(American Water WOrks)を 買収 した.(それぞれ2000年 及 び 2001年 )ド イツのエ ル ・ヴ ェー ・エ ー (RWE)注 4) (本社 :エ ッセ ン)を 加 えた 3社 が現在世界の民営会 社 の約80%を 独 占してお り、完全な寡占状態 にある。 最新のデー タではヴィヴェンディ、オ ンデオ、及び シェアーはそれぞれ31%、 30%、 及 び16%と 報 じられている。 この他、フランスのブレイグ ・サウル、米国とイギ RWEの 中で、水道産業を 「『 青 い』鉱脈 を掘 り当てる」 もの であるとして、その巨大 ビジネスヘ の成長 の可能性 を、『フォーチ ュー ン』誌な どの記事 を引用 しなが ら リスのベ クテル ・ユナイテッド ・ユーティリテイーズ、 米国のエンロン ・アズリックス、イギリスのバ イウォ ー ターなどがこれに次いでお り、 これ らを加えた10社 言及 している。 それによれlよ 「 水産業 は現在既に年間4,000億ドル のビジ スに ネ なってお 相当 り、その収益は石油部門の 程度が現在世界中の水道事業を支配 している。 また、スペイ ンのアグアス ・デ 。ノウレセローナは主 としてラテン ・アメリカを牛耳 ってお り、米国のジェ ネラル ・エ レク トリックやモ ンサ ン ト注5)、ド ィッの およそ40%に 達 し、製薬部門 よ り約30%も 多 い。短期 的な見通 しはそれよりず っと明るい、 と産業アナリス トは指摘 している。19%年 に世銀は水 のグローバル貿 易が 8,000億ドル産業になると予測 した力ヽ 2001年 に は 1兆 ドルに上方修正 している。 こうした驚異的な成 長が予測 されるのは、グローバ ルな民間の水道会社が まだ5%に しか水を供給 していないか らであ り、現在 の成長率が続けlよ 水はいずれ数兆 ドル規模 の産業 に なると予測されている。控えめの予想でも、民間の水 関連企業 は年 10%以 上の成長を遂 げると予想 されてお り、大手の水関連企業が次 々と証券市場に上場 されて いる」 という。 そ して上記種 々の予測デー タを示 し、「 世界中の都 市が次 々と水道事業の民営化に踏みきった場合、水の 経済価値 は益 々上昇 し、水道産業は、グローバル経済 が既に確立され成熟期にある他分野に代わつて、 国の 富を左右す るほどの産業になる」 としている。 注 1)水 道 ・建設業の老舗ジェネラル ・デゾー として150年の歴史 がある。上下水道経営の安定 した利益 と信用を使って企業買 収を行い、今では一大メディア複合企業へ変身している。ア メリカのユニバーサル ・スタジォも傘下に収める巨大メディ ア企業へ成長 してお り、水道事業は約100ヶ国に進出し、現 在、傘下のヴェオリアで行っているが、通常従来のヴィヴェ ンディの名が用いられるので、本稿でもヴィヴェンディを用 いる。 注 2)元 社名のスエズは1858年にスエズ運河を建設 したことに由来 する。旧社名はリヨネーズ ・デゾー、世界最ガ級の水道事業 会社で、世界約130ヶ国に進出している。現在オ ンデオの名 で水道事業を行っているが、通常スエズの名が用い られるの で本稿でもスエズとする。 注 3)水 道事業の事業化のスピー ドは 目まぐるしく、前掲文献油 ) スエズとヴイヴァンディ両社は合わせて世界の水 によれば 「 市場の70%以 上を占めている。スエズは130ヶ国で事業を展 開し、ヴイヴァンデイの顧客 も90ヶ国以上である。 注 4)llXl年以上の社歴を有する老舗企業で、元 々は電力会社であ (2)水 道事業の担い手 グローバルな水道事業の強力な推進力 となっている るカミ 現在は中核業務 として、電力、天然ガス、水、廃棄物 処理、サー ビスの 5部 門を抱 えて いる。RWEの 由来は、 lm8年 に設立されたライン ・ヴェス トファー レン (地名)電 のは熾烈な国益を賭けた ビジネス戦争である。 際限なく拡大する巨大 マーケットを見据えた水の巨 人の代表選手が、水道事業のゼネラルモーターズとフ 力である。 注 5)モ ンサントは総合化学会社であるが、バイオ関連 も幅広 く手 掛けている。バイオには水は必須であ り、ここからボ トル ・ ウオー ターや更には水道 といった水関連分野にも進出しよう ォードとも呼│ゴ れるフランスのヴイヴェンディ(Vivendi) 86 配 管技術 2004.8. としている。 ・ (3) 水道事業の民営化と配管技術・ EONな ど、従来水道 とは直接的な縁の無かったよう な企業も、数兆 ドルのグローバルな水市場への参入の 動きを見せているという。 しかし、それでも現在これらの民間企業が支配して いるのは世界の水道の約50%に過ぎず、今後益々水の ビジネス戦争は熾烈さを増 していくことは必定とされ ている。 ボ トル ・ウォー ター ビジネスや水道事業で、欧州 勢、特にフランス勢 の後塵を拝 していた米企業などが 水道民営化事業 に熱 い視線を注 いでお り、その影響 は 世界の経済をも揺 るが している。 米国系のエンロン ・アズリックスやベ クテル ・ユ ナ イテッド・ユーテイリテイーズの挑戦や、9/11事件 の 己憶も生 々 しい最中に発表され、前年のテームズ 。ウ 言 オー ターの買収 と併せて、近年の世界経済界最大 のビ ッグニュー ス として衝 撃 を与 えた ドイツ系 RWEの AWW買 収 など一連 の拡大戦略 はその端的な例であ り、また米 。現政権 との親密な関係が指摘 されている ベ クテルがイラク復興のイ ンフラ整備 事業 に深 く関わ っている事実なども、ド ラスチツクな表現を用 いれlよ 今や水 ビジネスは形を変えた植民地戦争の様相 を呈 し ° ているということもできよう t これ らメジャー リー グや3Aの メンバ ー に対 して、 わが国はどう対抗す るのであろうか ? 「 配管技術」 の記事 としては場違 いであるかもしれ い な 力ヽ フランスのシラク大統領がエ ビアンを2003年 6月 の第 29回 サ ミッ ト (G8:エ ビア ン ・サ ミッ ト) の地に選び、早 くから 「 水問題」 の討議が提案 されて いたこと、或いはブッシュ米大統領が このサミットに 1日 しか出席 しなかった こと、イラク問題 に影を落 と しているアメリカとフランス ・ドイツの対立などtビ ジセスの立場か らは超越 した存在であることはで きな い。 エビアンの水 或いはまた、 この時期、アメリカで 「 質が信用できない」 との声が出始めたとの報道がある が、これも直接的にはイラク戦争へのフランスの参戦 拒否に対す る反応 とい うのが表面的な理解であろう が、根底はフランスの水支配へのアメリカの反発があ るといわれており、まさに国益を賭した激烈なビジネ ス戦争を垣間見る。 (3)水 道事業のグローバル化と配管技術 以上のような水道事業の民営化とグロ早バル化の渦 中にあっては、わが国の水道事業関係者は、それによ って生じる影響 を充分に把握 し、対応できる態勢を整 えておく必要がある力ヽ われわれ配管技術関係者にと って も、 それ は極 めて重 要 な こ とで あ る。 特 に、フランスの主導で検討が始まっている上下水 道サービスのISO化 の動向には目が離せなく、それは 配管技術 に絞った面からも重要な問題を抱 えているの で、重大な関心 を寄せなが ら対処 していかなければな らないと考える。 水道事業のISO化 については、これまでも逐次その 経過 は紹介されてお り、最近 も現状が報告 されている '、 の 巴握 し、 が そ 影響す る具体的 な点 までを充分 にオ 重要視 して対処策を講 じている人は、水道事業実務者 や配管技術実務者の間にもさほど多 くないのではなか ろうか。 ISO/TC224(飲 料水 の供給及 び下水道に関する ー サ ビスの規格化、サー ビス事業の標準化)は 、事業 体 の業務 に関わるものであり、直接的には配管技術に 関係す るものではないかもしれないが、 いろんな形で 配管 システム、管材 の規格、施工方式な ど配管 ビジネ スや配管技術に大 きく影響す ることになるであろうこ とは充分考えてお く必要がある。 この規格 は2001年 にフランスか ら提唱 され、現在 審議が進められ、急速な展開が見 られてお り、2006年 にはISO規 格 として発効する ことになってい るとい う。 しか しこれはフランス協会規格 (AFNOR規 がベースとなっているものである。 格) ISOは もともと民間規格 で あ り任意規格 であるの で、わが国は国情を考慮 した国内規格を充実 しさえす ればよいとの考えもある。 しかし、IS0 9000の 実績が ー 示す ように、 いずれデファク ト ・スタンダ ドとして 実質的に強制力 を持つことになるであろうし、本来規 一 格化 の発想そのものがそれを意図 した戦略の 環であ るとの認識が必要であろう。 体 の範疇 ではないか もしれ 例 えばISO/TC224自 い されている多 くの配管技 ISOに は既に規格化 カ ミ な 規格化に よっ 術関連 の規格があ り、ISO/TC224の てそれらの強制力が強 くなってくることが考えられる。 これによって事業体、管材 メーカー、設計 。エンジ ニアリング業者、配管施工業者など広範囲にわたって 大 きな影響 を受けることを予想 しておかなければなら ない。 特にビジネス面 に関 しては、世界 の貿易障壁 をなく す とい うWTOの 大義名分の もとに、 このISOの 適用 が現実的に義務付け られることにな り、鎖国状態 にあ ったわが国の水道事業市場が門戸開放を迫 られ、同時 に、海外進出に際 してもこの規格に従 わざるを得なく なるであろうことは必定である。 配管技術 2004.8.87 ・ 水道事業の民営化 と配管技術・ (4) つ まり技術基準である」 ISな どに比 し、 このISOは 財政面や経営面までが網羅 されて規格化 されるであろ うからである。 しか しなが ら、かかるグローバ リゼー シヨンの中に あって、小泉改革の一環 として水道事業の規制緩和 と 民間的経営手法の導入が示 されたものの、 これ まで水 道事業は官が担 い、蛇口をひねれば飲める水が出て く ることになんの疑問 も感 じていないわが国では、これ らの周辺状況に対 して無関心な実務者 も多 く、違和感 や抵抗 も強いカミ 鎖国状態 は脱す る時期に至っている のではなかろうか。 5-5 水 の商品化 への反対 (1)水 の商品 化反対論 一方、淡水資源の 危機や生態系保護の面からも、 こ れ ら大企業主導 の 「 水 の価格化」や 「 水道民営化」 など、単純に水をビジネス とす ることに強い警戒感を 示す声 もある。 これを最 も熱心 に訴え続けている一 人が環境保護 NGO「 カナダ人評議会」のモー ド ・バ ー ロウ女史で あることはよ く知 られている。 ブルー ゴール ド (Blue Gold)一 独 占 彼女は著書 「 される水資源 (市民 フォー ラム2001)」や、いろんな 筆者が実際に接触 した或る地方の水道事業の実務責 任者か ら、「 水道事業 の規制緩和によって水道配管技 術 のレベル低下」を愁 うることに汲 々としている声 の み聞かさオ 仏 これらグローバ ルな背景には全 く無関心 場所での講演や、フォー ラムの発言などで水の商品化 と民営化 の危険性を厳 しく糾弾 している。 であることを見聞するに至っては驚 くばか りである。 真剣な対応努力を行 っている一部 の関係者を除 い 「 基本的人権」論 に立脚 し、「 水 の商品化は、倫理的 彼女たちは、「 水 は、人類は勿論、地球上のあらゆ る生物に帰属する空気 と同 じ公共財で あ る」 とする わが国の水道事業 は、質の面、安定供給 の面、技術 面などあらゆる面で世界最高のレベルにあ り、国際金 にも、環境上 も、社会的にも間違っている。それは水 の配分に対する決定を環境や社会的公正 の観点ではな く、主にグローバ リゼー ションの名 の下に商業の観点 (1)注 6)と から行 うことにつ ながる」 主張 している。 本稿は 「 水 の商品化」論争にまで立ち入る意図はな いので客観的な現状のみをレビューす る力ヽ このNGO 融機関の融資 も必要 としない とい う自負 もあ り、グロ ーバルなモノポリーに対するプロックも充分であると は基本的に現状のグローバ リゼーションに批判的な立 場で、グローバル経済 の民主的なコン トロールをめざ の考えもある。 す組織である。 しかしながら水道料金 だけで 3兆 円に達する日本は 魅力ある市場 であ り、前項で述べ たような海外企業が 「 最後 のイ ンフラ投 資のフロンティア」 とも言われて いるこの分野へ の参入 の動 きを見せてお り、わが国の 皮肉なことに、モー ド ・バー ロゥ女史の住むカナダ は世界 で最 も水資源 の豊富な 「 水 のサウジアラビア」 であ り、水輸出をめ ぐる議論の発信地 となっている。 勿論 カナダ内部にも 「 水 の商品化」や水の大量輸出 総合商社や水関連企業にも、既に動 き始めているとこ ろがある事は周知の通 りである。 に対 しては賛否両論があ り、「カナダは世界 の貯水池 になる意志はない」 と宣言 して水 の大量輸出の禁上を 支持する動 きが国や州政府 にもある一方、或 る州の知 事は 「 水によって世界経済を支配する地位に立つ こと ができる」 として賛成の立場を明確にしてお り、 これ に呼応 して、関連企業は当然のことなが ら一般市民に て、かかる多 くの実務 レベルの認識を尻 目に、冒頭に 記 したように、 もはや世界は民営化に向けて トップギ ヤーで走 り出しているのである。 筆者 は永年水道用配管 ビジネスの渦中にあって、わ が国水用配管技術の閉鎖性に危惧 の念を覚え、その間 題点を指摘 してきた。 「日本 を包囲する国際標準」 の脅威については、こ れまでも多 くの識者が指摘 し、世界戦略 としての国際 規格に無関心が故に、如何に国益 を損なってきたかを 例示 して、「 国際規格 に対す る能動的な取 り組み」 の “ 重要性を力説 している t 水関連のビジネスや技術に携わる者にとっては、こ れらマクロな動向を的確 に把握 して対処することが肝 要であり、 これ らモノポリーの攻勢に対する堅実な対 抗策の一つが 「 配管技術」にも求められているのでは なかろうか ? も多 くの輸出賛成論 もあるとい う。 この他にも多 くのジャーナリス トや環境学者が、 い ろんな実例 を示 して水 の商 品化に対する反対論を展開 してお り、それらはそれぞれ特有の世界観に基づいて 刺激的な表現で紹介 されているのでインパ ク トはあ り 説得力 もある。 第 3回 世界水フォー ラムにおける水道事業の官民連 注 6)モ ー ド ・バー ロウ女史はカナダの市民活動家、作家、評論 家。10万人の会員を擁するNGO「 カナダ人評議会」の議長。 88 配 管技術 2004.8. ・ 〈5) 水道事業の民営化 と配管技術。 携 (PPF)の 会合においても、水道施設への民間資本 と技術導入 を推進するとするWWCと 、 これに正面か ら反対 し、壇 上 にか けあが つて 抗 議 した とい う NGO。 カナダ人評議会 の双方 の主張はかみ合 わず に 終わっている。 これら反対論の多 くは、グローバ リゼー ションによ り被害を蒙 ると考え られる第三世界か ら発せ られるこ とは当然考えられるが、必ず しもそれが全てではない ところに水の商品化問題に対す る複雑な点 もあるよう 好ましい方向であろうと考 える。 反対論者 が例示す る民営化による失敗例はまた、水 道事業施策上の問題点 を示唆 しているものであり、そ の数多 くある問題の うちの一つが配管技術上にもある と考えられるところに配管技術 の役割がある。 現在 の世界経済は 「自由化 と民営化 が経済 の効率 化 と発展をもたらす」 との見解 の もとに動 いているの に対 し、米政府主導のWTOや IMFが グローバ リズム を推進 し、結果的に米系企業を潤 しているとい う発展 途上国や市民活動家な どの批判 も跡を絶たない。 である。 メキシコの第三世界 ・水管理センター所長であるア シット ・ビスワス教授 は、特 に第二世界の市民 にとっ IMFサ イ ドはこれに対 し、「 水や電気 といった公共 い しているかとい う かに金を消費 事業が非効率的で、 て稀少財 になりつつある水の危機 は指摘 しつつ も、水 のリサイクル性 を重視 し活用す ることによって、水 の 商品化や民営化 が今後のデマン ド ・マネジメン トを促 事実 を示 し、これを改善する手助 けをしているのみ だ」 と反論 し、途上国側の意思を最大限に尊重 してい ることを強調 している。 進 し、水需要 を下げる ことになるであろうと示唆す 勿論各国特有の事情があるので、最適 の方法を見出 し実施 しなければならない。例えば英国の水道事業民 る。 更に技術の進歩により、適切な地下水開発利用 の可 能性や、脱塩や、水輸送 (前号参照)を 有効 に利用 す ることにより、供給は増 しても相対的な需要 につい ては楽観的な見方 をする。 一方、世界で最 も著名な環境学者の一人であるであ るワール ドウォッチ研究所 のレスター ・ブラウン氏な ど、環境保全 の立場 から水問題 についても警告 を発 し 続けている人たちもいる。 地球環境デー タブック』 を年 地球自書』や 『 彼は 『 次刊行 し、帯水層 の枯渇や汚染、砂漠化などから水危 機 について警告 し、提言を行 っているが、WTOや IMFの 水問題 の取組みを建設的 なものとして肯定的 に捉えている。 サ ン ドラ ・ポステル女史も、『 水世界が世界 を脅か す (Pillar Of Sand)(福岡克 也監訳 ,家 の光協会, 2000)』 や 『 最後 の オア シス :水 不足 に直面 して などで、主 (Last Oasis:Facing Water Scarcity)』 として灌漑の歴 史を考察す ることによって水危機の現 状 を指摘 しているが、 これを綿密 に分析、検証す る中 か ら、建設的に方向性 を示唆 している。 われわれ配管技術 の実務者 としては、観念的な議論 一 はさてお き、「 水 の貿易 自由化 の流れは 度開けたら コン トロールで きなくなる危険性がある」 ことを十分 念頭におきなが ら、効率的な水 の配分のため、現に水 不足 に悩んでいる人 々に、ベス トではないにしてもベ ターな方法で水を届けるべ く努力す ることが使命であ ろう。そのための現実的な手段 として、WTO体 制下 での秩序 ある水 ビジネスを行 うこと力ヽ 水問題解決の 営化 の経緯 においては、水道料金の高騰や上水道利用 解約者数の増加 などの負 の側面 も報告 されてはいる が、比較的に成功 した例 として注 目を集めてい るの で、一つの方向性 を示唆 しているといえよう。 英国で も危機的状態にあった水道事業 が 1989年 、 サッチャー首相によるビッグバ ンによって大混乱を来 たし、ブレア政権による修正、つ まり料金の規制、水 質規制等の外部機関であるOFWAT(The Offlce of Water Service)や DWI(Drinking Water lnspec― torate)の設立 な どの施策 によって現 在 の成功が導 か れたという経緯が民営化 の手本 として示 されることが ある。 われわれ水問題の最先端で実務に携 わる者にとって は、不毛な神学論争よりも先ず現実的な対応の方が重 要であると考える。 (2)水 道事業民営化に際 しての混乱 水道事業 の民営化が惹 き起 こした出来事 として、水 の商品化反対論者たちがしばしι 餌 1合いに出す最 も有 名な事例 は、南米ボリビアの コチヤバンバの物語であ ろう。 ボリビア第三の都市、人 口50万 人ほどの コチャバ バ ン は半砂漠地帯 にあ り水 は貴重品である力ヽ ここで 2000年始めか ら数ヶ月にわた って水道事業 の民営化 に端を発 した騒動が続いた。 この一連の事件は暴動というよりは内乱、或いはグ ローバル化に対する反乱と言えるようなものであった 力ヽ 当時の国際社会はさほど注目せず、大半のニュー ス ・メデイアもこの事件を無視した。 配管技術 2∞ 4.8.89 ・ 6) 水道事業の民営化と配管技術・ 《 わが国のメデイアも殆 ど無視 に近 く、水問題 に関心 が集 まって きた現 在、改 めて当時 の全 国紙 を読みなお してみても、「 地方の騒乱が拡大 してボリビアが非常 事態を宣言」、或 いは 「 水道料金の引上げに反対する 暴動に対 し全閣僚が辞任」 という数行のべた記事が新 聞の片隅に報 じられているのをやっと捜 し出せるのみ 上記 2つ の文献には、グローバ リゼー ションや民営 化反対の立場から、これ以外にもい くつかの事例が紹 介されている。 1990年代、南アフリカやフイリッピンやイ ン ドネシ アなどで、仏 ・スエズや英 。テー ムズ ウォー ターゃ 米 ・ベ クテルなどが繰 り広げた政治を巻 き込んだ熾烈 な営業活動 も、 これ ら反対の立場からはしばしば糾弾 の対象 とされる。 である。 この事件 の一連の経緯 については多 くの文献 で紹介 されお り、中で も米国のジャーナ リス ト、ジェフ リ ー ・ロスフェダー氏 のレポー ト(5)は 、ジャーナリス ト としての綿密な取材に基づ くものであるので読み応え がある。 また、イ ン ドの環境学者 ヴァンダナ ・シヴァ ° 女史の記事 は、女史独特 のラデイカルな表現 で記述 されてい るので、賛否 は別 に して一読の価値 はあろ 術などは、枝葉末節のこととして殆 ど水問題からは無 視されている力ヽ これら事例 は水道配管網の劣化への う。 投資をただひたす らに低 く抑えることのみによって水 詳 しくはそれらに譲る力ヽ あまりにも有名な事件 で 注7)。 あるので無視はできず簡単に要約 してお く 道料金を安 く維持 しようとし、それによる品質低下や 効率の低下 に対す る対策を講 じない まま、更に救 いが しか し、これら失敗事例 をよく検証 して見ると、事 業運営上の問題の影に隠れている技術上の問題 も一つ の要素 となっているのではないかと考えられる。 配管技術、つ まり、配管 システム、配管材、施工技 たい状況を導 いているとい う事実が読み取れる。 注 7)1990年 代終 わり頃から、世界各地で巨大水メジャーによる水 道事業参入が始まり、水需要の高まりにつれて、地方自治体 からの水道事業の買収や管理 ・運営の委託力功口 速された。ア ルゼンチンで も1993年に首都 ヴェノスアイレスの30年 間の 水道事業認可契約をスエズ 。リヨネーズとヴイヴェンデイと の間に結んだが、結果的にはこれは失敗 している。こうした 失敗例があるにもかかわらず、水道民営化は各地で進め ら れ、世界銀行が コチャバ ンバの地方水道会社にベ クテルヘの 水道事業譲渡を推薦 し、1999年ベ クテルが参加する企業共 同体 と水道民営化契約 を結んだ。 民営化移行 と同時に水道料金が大幅に値上げされたことに反 対 して、2000年 1月 、労働組合などを中核 とした 「 水 と生 活防衛連合」という市民連合が結成され、 4日 間、町をロッ クアウトしゼネス トを行うなどして激 しく抗議 した。彼 らの スローガンは 「 、「 水は神 の贈 り物だ。商品ではない」 水は命 だ」であった。市当局 との話 し合いはこじれ、抗議デモは暴 動 となり、脚府も軍隊を出動させて鎮圧 に当 り、夜間外出禁 <参 考文献> (1)原 著,Maude Barlow&Tony Clarke“ Blue Gold"、 日本版 ブルーゴール ドー独 占される水資源J市 民フォーラム訳現代企画 『 室,20111、全体の約75%を 訳 した日本語新書版 『 「 水」戦争の世紀』 鈴木主税訳,集 英社新書,20113 ② 毎 日新聞,2003年 8月 13日 『 民主帝国 ・アメリカン ・パ ワー、 世界の水」支配下に、流れ止まらぬ水 ビジネス』 「 13)『草案作 りに入ったISO/TC22」 ISO/TC224国 内委員会水道 パネル事務局J水 道公論,2003年 10月号、及び、『 素案調整で議 論、水道 ・下水道規格 2本 立てにJ「日本水道新聞,2003年 10月 9 日」 “)藤 田昌宏 『 国際標準が日本を包囲するJ日 本経済新聞社,1998 (5)ジ ェフリー 。ロスフェダー著,古 草英子訳 F水をめ ぐる危険な 話 ―世界 の水危機 と水戦略』河出書房新社,2002 (61 ヴァングナ ・シヴァ著,神 尾賢二訳 『 ウォーター ・ウォーズJ緑 風出版,2003 止令、そして戒厳令がしかれた。内乱状態 は 3ケ 月続 き、少 なくとも6人 の死者 と数万人に上る負傷者 (死者 9名 、重傷 者約ll10名との報道 もある)が でたといわれている。事態の 予想外の悪化にあわてた政府は、4月 になって全面的に水道 事業民営化を撤回し、 コチャバ ンバ市はベクテルとの契約を 破棄 した。 水道事業は市民参加 という条件で再びコチヤバンバ市の手に 委ねられた。以上がジャーナリズムによつて報 じられている コチャバンバ騒乱の概要である。 90 配 管技術 2004.8. 本 田久親 〒87α0875 大 分市青葉台2‐ 5‐ 20 TEL:∞ 7-5434013 FAX:097‐ 5434013 E― Ⅳrail:hondahi@oct‐netnejp 坂口 勇 い 電力中央研究所 環 境科学研究所 バイオテクノロジー領域 上 席研究員 〒270-1194 千葉県我孫子市我孫子 1646 71833347 TEL:04‐ 71821181《O FAX:04‐ 中島昌 二 欄東芝 電 力 ・社会 システム社 原子カ ター ビン ・ユーテイリテイ設計部 主 務 〒2358522 横 浜市磯子区新杉 田町8(横 浜事業所) TEL:045-7702013 E‐ Mal i [email protected] 高橋 玲樹 的東芝 電 力 ・社会 システム社 原子カ ター ビン ・ユーテイリテイ設計部 部 長 〒2358522 横 浜市磯子区新杉 田町8(横 浜事業所) 大庭 忠 彦 (昭和 28年2月5日生 ・山口県出身) 帥 ナカボーテ ック TEL:045‐770‐ 2 013 陸上施設事業部 技 術部 〒104‐ 0 033 稲垣修 ― 的東芝 電 力 ・社会 システム社 電力 ・社会システム技術開発センター 金属 。セラミックス材料開発部 高湿材料 ・プロセス技術担当 主 査 4 〒230‐ 0045 横 浜市鶴見区末広町2‐ 2 5‐ 東京都 中央区新川2‐ TEL:03‐ 5541-5803 FAX:03-5541-5832 E‐Mall:[email protected] 主 なる業務歴汲 び資格〉 〈 TEL:045-510-6682 昭和 51年 入社。 主に火力原子力発電所の海水による機器の腐食を防止す るための電気防食装置の設計、海生生物付着防止装置の開 発業務に携わる。 技術士 主なる執筆〉 〈 数種金属 の腐食 と付着生物着生の関係」 (2001)Sess. 「 根本 晃 欄東芝 電 力 ・社会 システム社 京浜事業所 タ ービン機器部 熱 交換器設計担当 主 務 4 〒230‐ 0045 横 浜市鶴見区末広町2‐ TEL:045-510‐ 6168 Org"18(2) 五味 誠 帥ナカボーテック 陸 上施設事業部 〒104-0033 東京都中央区新川25-2 TEL:03-5541‐ 5832 5803 FAX:03‐ 5541‐ 山家信 夫 帥東芝 電 力 。社会 システム社 火カエンジニアリングセンター 火 力改良保全技術部 国内改良保全担当 主 務 〒2300045 横 浜市鶴見区末広町24 TEL:045‐500-1639 株式会社ナカボーテック 代表者〉 木 下芳明 〈 2 K1033 東 本社住所〉 〒 104‐ 京都中央区新川2-5‐ 〈 TEL:03-5541 5803 FAX:03‐ 55415832 URL:http://www.nakabohtec.co.ip 万円) (資本金〉 866(百 年 商 〉 9,145(百 万円) 〈 従業員数〉 305名 〈 事業内容及び会社近況) 〈 当社は 「 顧客 ニーズを先取 りし、創造にチヤレンジし、 社会に貢献 し、社業の発展を期する」を経営理念に掲げて、 様 々な環境の中で使用される金属材料 を腐食から守ための 防食関連材料や装置の製造 ・販売及び防食設計 。施工 ・管 理 を主たる業務 としている。電気防食 を主力事業 とし、被 覆防食、塗装防食事業を展開。 配管技術 井 関孝弥 (昭和45年 9月 23日生 ・徳島県出身) 東京 ガス帥 R&D本 部 技術開発部 計 測技術センター 〒1160003 1 東京都 荒川区南千住3-13‐ TEL :03-5604‐8C106 FAX:03‐ 56t14-8050 Mail:iseki@tokyo―gas.cojp E― 東京 ガス株式会社 代表者〉 市野紀生 〈 5‐ 20 本社住所〉 〒 105-8527 東京都港区海岸 1‐ 〈 TEL:03-34332111《 0 URL:http://www.tOkyO gas.cojp/ (資本金) 141,844(百 (年 商 〉 992,236(百 従業員数〉 11,000名 〈 万円) 万円) 菊川 知之 (昭和29年 1月 6日 生 ・静岡県出身) アンリツ帥 コ アテクノロジーR&Dセ ンター ガスセンサ開発プロジェク トCチ ーム 〒243‐ 8 555 神奈川県厚木市恩名 1800 TEL :046-2%‐6530 FAX:046223-1600 E‐ Mail: [email protected] (主なる業務歴及び資格〉 業務歴 :ア ンリツ帥入社後計測器 事業部 にて光スペ ク トラムアナライ ザ、OTDR等 光通信用計測器およびその部品の開発に従 事、研究所 に移 り光通信用半導体 レーザデバ イスの研究開 発を経て レーザ応用のガス検知 ・分析機器の開発お よび同 機器の事業化に関する業務をマネージャー として現在遂行 中。 (主なる執筆〉 応用物理,第 68巻 ,第 2号 (1999)技 術 ノー ト 「 結合 量子丼戸構造高出力 SLD」 Sensors and Actuators B74 (2001)等 学 会論文誌への投稿多数。 ア ン リツ株式会社 代表者〉 塩見 昭 〈 (本社住所〉 〒 243-"55 神 奈川県厚木市恩名 1800 TEL:046223-1111 URL:http://www.anritsu.cojp (資本金) 14,043(百 万円) 年 商 〉 78,554(百 万円)(連結) 〈 従業員数) 1,261名 (単独) 〈 主要取引先〉 〈 NTTグ ループ、 日本電気、オリックスレンテック (事業内容及び会社近況〉 事業内容 :電子 ・光計測器、情報通信機器、デバ イス等 の開発、製造、販売。 プロ トコル解析」等 の最先 会社近況 :「 光」「 超高速」「 端技術で第 3世 代携帯電話やIPネ ットワークなどの通信イ ンフラを支える計測器事業に注力。最近では半導体 レーザ 応用のガス検知 ・分析器で環境は安全の分野にも取 り組ん でいる。 小林 博 (昭和 29年 2月 15日生 。長野県出身) 東京 ガス ・エ ンジニ アリング抑 営業本部 機 器 ・開発営 業部 開発営 業 グルー プ 課 長 〒163-1018 東京都新宿 区西新宿 3-7-1 新宿 パ ー クタワー 18階 TEL :035322‐ 7505 FAX:03‐ 5322‐ 7524 E‐ Mail:h‐ [email protected] 東京ガス ・エンジエアリング株式会社 (代表者〉 取締役社長 廣 岡武機 本社住所〉 〒 16311018 東 1 〈 京都新宿区西新宿3-7‐ TEL:03‐5322-7505 FAX:03-5322-7524 URL:http://www.tge cojp/ 資本金) 100(百 万円) 〈 (年 商 )30,000(百 万円) (従業員数〉 240名 主要取引先〉 〈 全国ガス事業者、国内重エメーカー、電力会社 〈 事業内容及び会社近況〉 都市ガス事業のコンサルティング ガス製造プラント建設 ガスホルダー、′ヾ イプラインの建設 ステンレス継手 EJ― SUSシ ステム SUSは 、MIM(メ タルインジェクションモール ド)製 法によって製作 されたステ ンレス製ホース継手。 町― このMIMに よって製作 されたE」‐ SUSは 、従来の切削製品では困難だったY字 やT字 のような複雑な形状 の継手製作 を 可能にした。 また、生産性の向上により、製品は高いコス トパ フォーマ ンスをあわせ持つ。 用途は柔軟性のある各種ホース、たとえばPVC、 シリコー ン、フッ素 ゴムなどを使用する配管に適する。 長 特 ① ② ■ ス トレー トから異径T字 、Y字 まで全 7形 状。 適合チュープ内径 は1/8"(約 3mm)∼ 3/4"(約 19mm) 備①② ■ までをカバー。 ③ 素 材のステンレスは、薬品への高い耐性を有する。 ④ 弊 社同形状のプラスチツク ・モデルに比べて、堅牢性がある。 本体材質 :SUS316Lグ レー ド 適合ホース内径 :内 径 1/8"(約 3mm)∼ 3/4" /問 い合わせ先 サ ンワ ・エンタープライズlal 丁EL :03‐ 3271-5501 LAROX FLOWSY O.Y。 社製ホースポンプ ロLPPシ リーズ 備①②③ ■ ー 従来のホースポンプとは異なり、偏心型 ロー ター を使用する事により、ホ スとの間の摩擦熱 を無 くし、 メンテナ ンス ー バル のピンチ ブ フリ で長期間ポンプを使用できる。LAROX FLOWSY社 分野での経験 を生かされたもので、取 り扱 い の難 しいスラリー等に強い耐久性 を発揮する。 ホースが流体 と接触する唯一の箇所 とな り、経済的ランニ ングコス ト、容易なメ ンテナ ンス作業 を実現できる。 また、 回転当た り正確な比例吐出量 を実現 し、プロセス制御が容易 となる。 口径 : 2 5 A 、 4 0 A 、 6 5 A ( 3 タ イプ) _20.Om3/h 流量 : 2.2m3/h´ 吐出圧力 i max 10BAR *オ プションとして、 コン トロールユニッ トー体型 を納入可能。また、補助部品 と して、圧カ リミットスイッチ、圧カ トランスミッター、漏洩感知器、回転検出器 等を取 り付け可能。 /問 い合わせ先 日 本海事産業lal TttL :03-3508‐ 8861 酉己管才支綱に 2004.8 93 環境に優しい放射線遮蔽材 鉛に替わる新素材、高比重タングステンシー ト 同製品は、高比重のタングステンシー ト (比重 F12)。 長年培っ ■用途 重 9以 下)為 、鉛 と同等の遮蔽能力は得 られず、鉛代替にならな ① ハ ンダ接合部のX線 透過検査装置。 ② 医 療用のX線 検査装置。 ③ 原 子力関連施設の放射線遮蔽材や放射線防護機器。 ④ 一 般放射線防護用 (X線技師のエプロン等)の 遮蔽材。 ⑤ 3次 元形状にも成型可能であり、制振用、ウエイト用、遮音 用 (音響用)、等の民生用への利用。 かった。 ⑥ 鉛 毛マットの代替として原子炉内配管のγ線遮蔽。 てきた粉末冶金の技術を応用 してお り、特殊な調整方法で混合 した タングステン粉末と樹脂を合成 し、シー トに成形 したもの。鉛の代 替用をターゲットとしている。タングステン合金は、高価で加工 し にくい等の難点があ り、その適用範囲は限定されていた。タングス テンシー トは、商品化 されたものも従来有ったカミ 密度が低 い (比 ■特長 ① 鉛 と同等の遮蔽能力 (例えば12mm厚 さのタングステ ンシ ー トは13mm厚 さの鉛板 と同等の遮蔽能力を有する :13mm 鉛当量)を 持つ。 ② 価 格は同等の遮蔽能力を持つ タングステン合金の半分以下。 ③ 加 工性 家庭用のハサ ミで裁断、穴明けが可能であ り、どの ような曲面にも対応可能且つ、鉛より柔 らかく、伸縮、折 り曲 げ自在で、繰 り返 し曲げて使用することができる等、鉛以上の 加工のしやすい。 ④ 取 扱いの容易 (鉛害の危険 性もない)。 ⑤ 熱 可塑性に優れ、円筒形状、複雑曲面形状 にも加工が可能。 タングステンシー ト / 問 い合 わせ先 日 本 タングステ ンl a l TttL :092‐415‐5652 URL:http:〃 www nltan co.ip 環境にやさしく耐震性抜群 日本初、ポリエチレン製フレキシブル配水管 従来、給水管、排水管 とも塩化 ビニル製であった。塩 化 ビニル製は安価で耐久性はある。 しかし、リサイクルが 困難で環境問題の原因ともなり、地震にも弱かった。 ■特長 ① リ サイクルが容易で、燃えても有害ガスが発生 し ない。 ② 柔 軟で免震機能を有する。 ③ 施 行時にエルボが不要なため、配管に専門技術が 不要である。 ④ ワ ンタッチ継 ぎ手なので、接続が容易。 ⑤ 扁 平力がある。 ⑥ 軽い。 /問 い合わせ先 l■l日本テクノ TttL :0567‐23‐3570 94 酉己管才 支和 に 2004.8 レツレブ 高圧システム (69.OMPaま で)に 対応する鍛造製ボデイのニー ドノ ー ー ロ 日本スウエ ジロック F10シ リ ズ スウェー ジロ ック鍛造製ニー ドルバルブ、F10シ リー 「 ズ」 は、最高使用圧力が690MPaま で可能な鍛造製ボデ ィのニー ドルバルブ。 ス トレー ト型、アングル型 (90度)、および傾斜型のボ ディ形状があ り、硬化処理 された無回転ステム式 のニー ④ 確 実なハン ドル操作性 と耐震 ロック ・ナットの装 着も可能なステンレス鋼製ハンドル ⑤ パ ッキン材質は、PTFEま たはグラフアイトから選 択可能 ドルが確実な締 め切 りを実現す る。 同製品は、現在国内 に11あるスウェージロ ック指定販売会社 を通 じて販売が 開始 される。 ■特長 ① 強 度が高 く、スムーズに動作する冷間加工された ステムねじ ② ス テムねじが、パ ッキンより上部に位置し、システ ム流体から保護された構造 ③ ス テムねじへ汚れやはこりの侵入を防止する構造 ー / 問 い合 わせ先 日 本 ス ウ ェ ジ ロ ックl a l 丁巨L :0798‐ 41-2043 www.swagelokoco.jp URL:http:〃 コンパクトな構造の分岐マニホール ド スウェージロック ロJ6シ リーズ スウェー ジロ ック分岐マニホール ドJ6シ リーズ」 は、 「 コンパ ク トで汎用性に優れた分岐マニホール ド。軽量で高 い強度の一体型ボディに より、従来 の分岐マニホール ド に比べ て漏れが生 じる可能性 を低減す る。最高使用圧力 は414MPaま で可能。 同製品は、現在国内に11あるスウェージロ ック指定販 売会社 を通 じて販売が開始される。 ■特長 ① 単 一入口か らのガスや液体 などの流体 を複数の出 ロヘ分岐するバルブ。 ② 4個 から最大 18個までの分岐出回数が選択できる。 ③ 個 々のニー ドル ・バルブによって、各 々で精密 な 制御を行 うことも可能。 /問 い合 わせ先 日 本 ス ウェー ジロ ックlal TEL :0798-41‐ 2043 URL:http:〃 www.swageiokoco.lp 酉己管1支a貯 2004.8. 95 「 掲 載 予定報 文 ■小特集 :分解炉チューブコーキング防止技術 0エ チレン製造用熱分解炉コーキング抑制技術 0内 部突起 ・フイン付チューブPEP Oエ チレン製造装置用分解炉管 0ク ラッド鋼管 ■連載特集 :プラントライフサイクル⑤ 。設備保守管理システム ■解説 O国 際天然ガス ・パ イプラインの展望 と課題 (その 1) 。石油精製プラントメンテナンス作業用安全教育支援 シネテ ムの開発 °C°2排出量削減装置の開発―ボイラー安全弁の機能製品― 。電気事業法 ・溶接技術基準の改訂について O差 圧式流量計の新 しい提案 0ノ ンアスベス ト化対応ガスケットの現状 0非 石綿うず巻形ガスケットの現状 ■連載講座 。酉 ]管言 投言十 ヌ、 P号 輌 。配管装置の トラブルとその未然防止⑤ ■連載 01蕊 題」 と配管技術⑥ ■編集顧問 近藤 識 ③ 発電設備技術検査協会 池座 秀 夫 黒川 明 夫 ■編集委員長 (平成 16年度) 千代田化工建設い 清水 俊 晴 ■本誌編集委員 (平成 16年度) 日揮 船 東洋エ ンジエアリングい 三菱重工業い 石川島播磨重工業い 旭エンジニアリングい 的 NIPPOコ ーポレーション 高圧 ガス保安協会 インターバルブテクノロジーい 本橋 芳 久 金重 正 規 官田 弘 ■本誌企画委員 (平成 16年 度) 三菱化工機い 神鋼検査サービス爛 出光石油化学い 栗田エンジエアリング的 防衛大学校 住友金属テクノロジーlbl 池田 大中 大野 川辺 佐藤 糖木 本田 久 親 ③ 大和バルブ 三菱化学い 出光エンジニアリングい 小笹山弘之 春田 公 仁 高井 慎 吾 八十 芳 樹 木村 修 二 勇 雅夫 晋 允志 紘志 義淳 松崎 茂 宮澤 正 純 四辻 美 年 ●本誌 に掲 載す る著作物の複製権 翻 訳権 上 映権 譲 渡権 公 衆送信権 (送 信可能化権 を含 む)は 日本工業出版株式会社が保有 します。 ● 曖口 <佛 日本著作出版権管理システム委託出版物> 〕 〔 掲載予定報文は編集部の都合で変更になる事があります。 乱丁、落丁本 は、 ご面 倒ですが 小社 までご送付 くだ さい。 送料 小社負担 にてお取 替 えいた します。 本誌の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています。複写される場合 は、そのつど事前に俯日本著作出版権管理 システム (電話 0338175670、 FAX 0338158199)の 許諾を得てください。 〈 東京本社付近図〉 所人 本 集 行行 発発 編 社 大 阪営 業所 日本橋事務所 中国事 務 所 販 売 専 用 振 替 酉己管技術編集委員会 日本工業出版株式会社 〒 H3-8610 東 京都文京区本駒込 6-3-26 TEL 03〈 3944)1181《O FAX 03(3944)6826 TEL 06(6202)8218 FAX 06(6202)8287 TEL 03(3808)1021 FAX 03(3808)1023 TEL(FAX) (691)7855622 TEL 03(3944)8KXll FAX 03(3944)0389 14874 ∞ HO-6‐ http://www.nikko‐ pb.cojP/ e― mdlinfooikk。 ‐ pb.cojp 定価2 , 0 0 0 円 ( 本体 1 , 9 0 5 円 ) 年間購読料 。年 1 4 冊2 4 , 0 0 0 円( 税込) 六 ≡□曇 ]□□l18 □□lり 」 都 営 三田線 自山通 り み ず ほ銀 行 ' EIIヨ 言 │ l l寺