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岡崎市民会館改修に関する基本方針(PDF形式:7758KB )

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岡崎市民会館改修に関する基本方針(PDF形式:7758KB )
岡崎市民会館改修に関する基本方針
平成 25 年 10 月
目次
1.序論
1.1 現状分析
1.1.ア
1.1.イ
1.1.ウ
1.2
・・・・・・・・・ 01
市民会館の現状
市民活動や芸術団体の利用状況
交通アクセスと駐車場の状況
市民会館を取りまく課題
1.2.ア
1.2.イ
1.2.ウ
1.2.エ
市民会館を取りまく課題のまとめ
建物の躯体について
設備について
駐車場の確保について
1.3 市民会館に求められるもの
1.3.ア
市民会館の改修の必要性
1.3.イ
長寿命化と市民のニーズに対応した整備計画
2.岡崎市民会館改修方針検討委員会のまとめ
・・・・・・・・・ 05
3.施設概要
3.1 施設概要(現状)
3.2 法的整理
・・・・・・・・・ 13
4.各部改善計画
4.A 外部環境改善
・・・・・・・・・ 17
・・・・・・・・・ 17
4.A.1
現状課題
4.A.2
改善策
4.A.2.ア 北側駐車場区画線拡幅他
4.A.2.イ テラス改善(風雨対策)
4.A.2.ウ 大道具搬入口改善
4.B
ロビー改善
・・・・・・・・・ 23
4.B.1
現状課題
4.B.2
改善策
4.B.2.ア ホール扉の二重化
4.B.2.イ 照明器具・空調更新
4.B.2.ウ その他
4.C ホール改善
4.C.1
現状課題
4.C.2
改善策
4.C.2.ア 座席更新
4.C.2.イ 音響対策
4.C.2.ウ 空調改善
4.C.2.エ 照度改善
4.C.2.オ 天井改修
4.C.2.カ その他
岡崎市民会館改修に関する基本方針
・・・・・・・・・ 27
4.D
舞台改善
・・・・・・・・
33
・・・・・・・・
39
・・・・・・・・
43
・・・・・・・・
47
・・・・・・・・
48
6.今後 20 年間使用するためのライフサイクルコスト(LCC) ・・・・・・
50
7.まとめ
・・・・・・・・
50
8.参考資料【改修計画イメージ図】
・・・・・・・・
51
4.D.1
現状課題
4.D.2
改善策
4.D.2.ア 舞台奥行を迫り装置で拡幅
4.D.2.イ 舞台の安全性確保
4.D.2.ウ 舞台音響設備更新
4.D.2.エ 舞台照明設備更新
4.D.2.オ 舞台機構設備更新
4.D.2.カ その他
4.E
楽屋・リハーサル棟改善
4.E.1
現状課題
4.E.2
改善策
4.E.2.ア 楽屋廊下拡幅
4.E.2.イ 楽屋を北側増設
4.E.2.ウ 楽屋・リハーサル棟の一体化
4.E.2.エ その他
4.F
会議棟改善
4.F.1
現状課題
4.F.2
改善策
4.F.2.ア パーティー室の有効利用
4.F.2.イ 動線の改善
4.F.2.ウ 騒音対策
4.F.2.エ 雨天時動線のための庇・屋根設置
4.F.2.オ その他
4.G
バリアフリー化・省エネルギー化
4.G.1
現状課題
4.G.2
改善策
4.G.2.ア バリアフリー化
4.G.2.イ 省エネルギー対応
5.改修に要する期間・費用
5.1 改修工事期間
5.2 概算費用
岡崎市民会館改修に関する基本方針
1.序論
1.1
現状分析
1.1.ア
市民会館の現状
○ 岡崎市民会館は昭和 42 年に開館し、築 45 年以上を経過する施設です。開館後は、文化の拠
点として市民を中心に幅広く親しまれてきました。開館以降は部分的な建物改修、及び必要
に応じた設備機器類の更新が行われたものの、施設全般に老朽化がすすんでいるのが現状で、
建築、電気設備、空調・給排水設備、舞台廻りなどの設備的な老朽化にとどまらず、設計か
ら時間が経過していることから、施設や設備水準が低くなっており、近年の施設利用者の要
求に機能的に応えられない状況も目立っています。
1.1.イ
○
市民活動や芸術団体の利用状況
1,500 席を有する多目的ホールでは、クラシックコンサートから演劇、講演会、学校行事な
ど、幅広い用途で利用されています。
○
会議室は、会議等での利用のほか、ホール利用とあわせた控室等で利用されるケースもあり
ます。
○
リハーサル室は、リハーサル利用のほかに、ホール利用とあわせた控室や、会議室等として
の利用もあります。
○
甲山会館は、300 席の可動席を有する小ホールであり、講座や演劇などのほか、ピアノの発
表会や太鼓の練習など、幅広い用途で利用されています。
1.1.ウ
○
交通アクセスと駐車場の状況
交通アクセスについては、最寄りのバス停から利用できるバス路線は限定的であり、充分に
利便性が確保されているとは言えない状況です。また、車のアクセス条件が悪く、大規模催
事の際には周辺道路が渋滞する状況も見られます。駐車場は北側平面駐車場に 97 台と南側
立体二層駐車場に 151 台、計 248 台となっていますが、充分な駐車台数を確保しているとは
言えない状況です。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
1
1.2
市民会館を取りまく課題
1.2.ア
市民会館を取りまく課題のまとめ
○
岡崎市民会館は、市民の文化拠点として現在も幅広く市民に利用されていますが、開館から
45 年を経て、ホールに対する利用ニーズも変わってきており、様々な課題が生じています。
平成 25 年2月に実施した構造体耐久性調査や、改修工事に関する基礎調査などの調査結果
や、平成 25 年度に実施した岡崎市民会館改修方針検討委員会での意見等を踏まえ、施設や
機能面での主要な課題を整理しました。
1.2.イ
○
建物の躯体について
築後 45 年以上を経過した市民会館の躯体そのものの耐久性は、平成 25 年2月に実施した構
造体耐久性調査において、20 年以上の耐久性があるという結果が得られました。
1.2.ウ
○
設備について
舞台廻りについて
舞台の奥行きが不足しており、演技スペースが小さく舞台セットを組むスペースも充分では
ありません。また、舞台音響、照明、空調、舞台機構設備および舞台床の老朽化による改修、
更新が必要となっています。
○
楽屋・リハーサル室・会議棟について
楽屋の廊下が狭く、改善が必要となっていることを始め、全体が老朽化しておりリニューア
ルが必要となっています。また、VIP 用の楽屋等の整備も必要となっています。会議棟とホ
ール、リハーサル室との動線の見直し、バリアフリー化を図る必要があるとともに、現在は
あまり利用されていないパーティー室を有効利用するため、防音・空調の改修が必要となっ
ています。
○
ロビー・ホール・外部環境について
ホールへの出入りの際にロビーの雑音や光が入るため、扉の二重化や、ロビーの照明・空調
設備の改修が必要です。ホール座席は幅が狭いうえに老朽化が著しく座り心地が悪いため更
新の必要があります。また、音響が不均一で悪く、空調音などの雑音が大きいため、これら
の改善が必要なほか、ホール内が暗く、照明の改善や、客席天井の耐震安全性の確保のため
の対応が必要となっています。外部環境については、バリアフリー化や搬入口が狭いことな
どへの改善が必要となっています。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
2
1.2.エ
○
駐車場の確保について
駐車場については、現行の 248 台の駐車台数では、大規模催事の際などに必要となる台数が
確保されておらず、利用者の利便性が損なわれているのが現状です。しかし、市民会館が立
地する地域は、風致地区に指定されており、用途地域の制限もあり、高層の立体駐車場の建
設は困難な状況であるため、施設利用者に対し周辺駐車場を積極的に利用してもらうために
使用料をサービスするなどの検討が必要となっています。
ホール棟外観
岡崎市民会館改修に関する基本方針
リハーサル棟外観
3
1.3
市民会館に求められるもの
1.3.ア
市民会館の改修の必要性
○ 建設から 45 年以上が経過し、施設・設備の老朽化が進んでいるとともに設計されてから時間
が経過していることから、施設・設備の水準も低くなっています。
○ 施設・設備に関しては、吊り天井や舞台の吊りもの機構など、東日本大震災などの大規模災
害時を想定した場合、直ちに対策を講じなければならないものもあり、利用者の安全確保に
必要な改修は早急に実施することが必要となっています。
○ 利便性に関しては、演劇、音楽といった舞台芸術の公演活動において、舞台の狭さやホール
音響、リハーサル室や楽屋などの使い勝手の悪さなど、舞台利用者が使いやすいホールとは
なっていません。また鑑賞活動においては、ホールの椅子やロビーの狭さなど、観客が舞台
芸術に集中できる快適な鑑賞環境が整っているとは言えず、バリアフリーについても対応可
能範囲で改善はされているものの、敷地内・施設内とも各部の段差に対して充分対応できて
いないのが現状です。このことから市内にはレベルの高い芸術団体や市民が存在しています
が、他自治体の設置したホールへと活動の場が流出している現状もうかがえます。
○ このように現在の市民会館においては、市民の利用のための安全性確保が急務であることに
加え、文化施設としての魅力が低下している現状もあり、地域の文化振興の拠点としての施
設の設置目的に鑑みても改修が必要となっていると言えます。
1.3.イ
長寿命化と市民のニーズに対応した整備計画
○ 文化政策のもっとも基本的な目標は、人間が持つ文化的尊厳を護り、市民一人ひとりが芸術
文化を享受し創造性を発揮できる社会を構築することにあります。あらゆる市民は、芸術文
化に親しみ創造活動を行う権利をもっています。人間の文化的尊厳を護ることは、市民の文
化的人権を保障していくことに繋がります。すべての文化政策は、市民が芸術文化を享受で
き創造性を発揮できる社会の実現に寄与するものでなければなりません。芸術文化への関心
は、まず芸術文化に親しみ鑑賞する人々の裾野を広げることが原点です。そのことが芸術文
化の担い手を掘り起こし、育てることへと繋がり、市民一人ひとりが芸術文化を享受し創造
性を発揮できる社会の実現に繋がっていきます。
○ 市ではこの考えに基づき、舞台利用者が使いやすい施設、観客が舞台芸術に集中できる快適
な施設、質の高い舞台芸術を鑑賞できる場の提供、文化団体の活発な活動拠点の提供、芸術
文化情報を収集、発信する拠点の創設など、市民ニーズに対応した施設の整備を図ります。
○ また、昨今の財政事情等を踏まえ、市では公共建築物の目標耐用年数を 80 年と定めた「岡崎
市市有建築物管理保全基本方針」に従い、施設・設備の有効活用を進めています。市民会館
についても、これに基づき構造体耐久性調査を実施し、20 年間の耐久性があるとの結果を得
ました。
○ これらを踏まえ、現行施設・設備の有効利用を図りつつ、市民ニーズにも対応した魅力ある
施設とするための整備計画を策定し、今後 20 年間、地域の文化活動の場として整備していく
ことが必要と考えます。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
4
2.岡崎市民会館改修方針検討委員会のまとめ
○ 岡崎市民会館については、これまで利用者や専門家の意見を聞きながら、何年もかけて新文
化会館の構想策定に取り組んできたという経緯がありましたが、公共建築物の目標耐用年数
を 80 年と定めた岡崎市市有建築物管理保全基本方針が出されたこともあり、学識経験者及び
市民会館を主に使われる団体の代表者など8名の委員からなる「岡崎市民会館改修基本方針
策定委員会」を設置し、現施設の長寿命化を検討することになりました。
○ 委員会では、平成 25 年6月より、音楽・舞台芸術の公演活動と鑑賞活動にとって、施設・設
備の現状にどのような問題点があるのかを再検証しながら、市民会館をリノベーションによ
ってより魅力ある施設に再生させるべく、改善すべき諸課題を解決するための検討を行って
きました。具体的な改修内容については、平成 24 年度に実施した「岡崎市民会館改修工事に
関する基礎調査」に基づき、以下のスケジュールで全5回の委員会を開催しました。
委員会で出された意見は、以下の「課題管理表」にまとめ、これを踏まえて「岡崎市民会館
改修基本方針」の策定を行いました。
■委員名簿
区
分
役
職
氏
名
委員長
静岡文化芸術大学准教授
永井 聡子
委
員
岡崎文化協会会長、岡崎演劇集団代表
浅井 克彦
委
員
岡崎フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者
小澤 一俊
委
員
岡崎演劇鑑賞会代表
岡田 亮一
委
員
岡崎音楽家協会顧問
反田 憲男
委
員
岡崎文化協会芸能部会長、髙橋流渡辺会代表(民謡)
髙橋 傳次郎
委
員
岡崎活性化本部事務局長
白井 宏幸
委
員
文化芸術部長
木俣 弘仁
■委員会の開催
回
数
実
施 日
時
間
内
容
第1回
6月 17 日(月) 13:30~15:30
委嘱状交付、基礎調査報告、意見聴収(総論)
第2回
7月 22 日(月) 13:30~15:30
意見聴取(舞台改善を中心に)
第3回
8月 26 日(月) 13:30~15:30
意見聴取(楽屋・リハーサル室、会議棟等の改善を中心に)
第4回
9月 30 日(月) 13:30~15:30
意見聴取(ホール、ロビー、外部環境の改善を中心に)
第5回
10 月 7日(月) 13:30~15:30
意見集約
岡崎市民会館改修に関する基本方針
5
■検討対象外事項
委員会の開催にあたり、以下の事項については検討の対象としないものとしました。
・建物の躯体に手を加えなければならないこと
・許容面積を超える建築面積の増減を伴うこと
・周辺整備等の用地取得を伴うこと
・新文化会館建設に関わること
・駐車場に関すること
■委員会設置要綱
(設置)
第1条 岡崎市民会館の改修にあたり、各分野の専門家から意見を求め、諸課題を整理・検討する
ため、岡崎市民会館改修方針検討委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(所掌事務)
第2条 委員会の所掌事務は、次に掲げるとおりとする。
2
岡崎市民会館の改修方針の検討
3
前号に掲げるもののほか、岡崎市民会館の改修に関して必要と思われる事項の検討
(組織)
第3条 委員会は、委員 10 名以内をもって組織する。
2
委員は、施設の利用に関し見識を有する者のうちから市長が委嘱する者及び文化芸術部長とする。
3
委員の任期は、委嘱を受けた日から平成 27 年3月 31 日までとする。
(委員長)
第4条 委員会に委員長を置く。
2 委員長は、委員の互選により定める。
3 委員長は委員会を代表し、会務を総理する。
4 委員長に事故あるとき又は欠けたときは、あらかじめ委員長が指名する委員がその職務を代理する。
(会議)
第5条
委員会の会議(以下「会議」という。)は、あらかじめ必要に応じて委員長が召集し、必
要な事項を審議する。
2 会議は、委員の過半数以上が出席しなければ開くことができない。
3 委員長は、必要があると認めたときは、委員以外の者を会議に出席させ、その意見を聴くこと
ができる。
(庶務)
第6条 委員会の庶務は、文化芸術部文化総務課において処理する。
(委任)
第7条 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が定める。
附
1
則
この要綱は、平成 25 年5月 23 日から施行する。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
6
■課題管理表
項目
課
対
題
応
(○=可能、△=保留、×=不可、-=対象外)
上下迫り機構を備えた前舞台の設置
○
椅子にはキャスターを付け作業効率を上げる
○
前舞台
椅子を客席下に電動収納とすることによ
り、舞台となる床面の強度も確保される
三分割(上手・中央・下手)の迫り
機構とする
3~4席ごとのキャスター付きが一
般的な仕様
掲
載
P
36P
36P
×
構造体に影響するため不可
36P
○
客席の配置検討
27P
○
適正な位置に適正数を配置
○
今後、具体的な提案を行う中で検討
37P
○
スピードアップ及び速度の可変に対応
36P
上下迫り機構(椅子収納式でない)を採用
するなら、取り外す座席数を 110 席にこだ
わる必要はない
前舞台のモニター位置などの検討が必要で
はないか
前舞台の幕はどのようなものとするか
舞台特殊設備
緞帳の速度調節ができるようにしたい(現
在 18 秒かかっている)
33P
41P
映写スクリーンは設置する(ホ
リゾント幕では奥行がありすぎ
映写スクリーンの更新は必要ないのではな
いか、耐震上更新が必要なら、ホリゾント
○
使いづらい
36P
既存スクリーン幕の流用は設計時の
幕で代用してはどうか
調査により決定
舞台
袖幕での対応も可能ではないか検討
プロセニアム開口部にスライドパネルによ
る可変機構の設置について
備品
リノリウムシートの設置について
岡崎市民会館改修に関する基本方針
△
(現在、運用上行っている防火シャ
36P
ッターの使用は不可)
○
7
収納場所等検討
-
項目
課
対
題
応
(○=可能、△=保留、×=不可、-=対象外)
現行のリハーサル室は舞台のリハーサルを
掲
載
P
×
躯体の変更を必要とするため不可
-
リハーサル室のモニターの設置
○
設置する
41P
リハーサル室の机が邪魔である
○
運用で対応
-
×
構造体に影響するため不可
-
○
設置する
41P
○
設置する
41P
○
自動扉化する
41P
楽屋前の廊下を拡幅したい
○
廊下を 2.4 メートル程度に拡幅する
41P
楽屋の狭さを解消できないか
○
廊下幅との相関関係で設計時に対応
41P
行う広さが確保されていない
楽屋3号をつぶし、舞台袖の拡張はできな
いか
楽屋・リハーサル室
新設する楽屋にゲスト用のトイレを設置し
たい
VIP用のシャワー付きの楽屋を設置したい
扉の自動化ができないか(出入りの際
に風や排気ガスが入る)
ホールとリハーサル室の一体化、移動の負
担を軽減したい
ホール、リハーサル室とのスムーズなアク
セスとバリアフリー化
○
○
会議棟にリハーサル室を設置する場合、大
型の楽器等の運搬用にエレベータを設置し
○
会議棟
たい
段差の解消や、段差部への手すり等
の設置
可能なスロープ化・雨除け庇の設置等
設置するが、地下構造体や地下水位
との取り合いは設計時の検討による
41P
41P
47P
45P
ホールマネジメントの観点からも必
文化団体が活動の拠点として活用できる
「溜まり場」を設置したい
要と考えており、「旧式場」「現給湯
○
室」の転用を検討する
45P
(「現給湯室」を転用する場合は 20
㎡程度の部屋の設置は可能)
パーティー室を転用して、音が出せるよう
な練習場所としたい
岡崎市民会館改修に関する基本方針
○
8
防音・遮音のリハーサル室へ変更し
ます
43P
項目
課
対
題
応
(○=可能、△=保留、×=不可、-=対象外)
ホール入口扉の二重扉化(すべて対象とす
る必要はあるか)
ロビー
ホール正面玄関にテント式のものの設置は
景観上どうか
開場待ちの人をホワイエへ誘導するなど運
用でカバーできないか
ロビーに総合案内カウンターを設置し、コ
ンシェルジュを置いてはどうか
○
○
ホール天井
いか、利用料金に影響しないか
P
23P
いことによるが、搬入口で検討する
19P
鋼製の屋根と入れ替えを検討
-
-
○
れか
天井を取ると気積が増え空調費がUPしな
載
建築基準法上、建築面積を増やせな
残響効果を延ばすために最も効率的な天井
改修案は(提案されている)3案のうちど
すべて二重扉化する
掲
○
運用による対応はいろいろな制約が
あり困難
施設運営上、必要性を今後検討する
最も大きな気積が確保できる①案で
あり、改修での対応が可能
本改修の程度では、空調機器の運転
費用の増加はないと考える
-
-
31P
31P
天井を取るとキャットウォークがむき出し
になるが、本番中にそこでの作業が鑑賞の
妨げになるため、足音、人影が見えないよ
○
歩行音のしない床構造とし、壁は小
31P
さな孔の有孔ボードとする
33P
うな措置を最低限してほしい
音響検討中間報告では、天井空間を
改修により残響時間を 2.00 秒程度に延ばし
ライブにしたうえで、演劇など用途に応じ
利用した新しいホールデザインを採
○
用することで 0.2 秒程度延ばし、
31P
1.78 秒 の 残 響 時 間 を 確 保 で き る
てデッドとするような検討はできないか
音響
(2.00 秒は不可)
残響可変装置は、残響を付加するような電
気的な装置でなく、吸音パネルや反射板を
幕設備利用時に低音域の調整の必要
○
があり、舞台部壁面に吸音材を追加
使用した建築的な装置を採用してほしい
する
音楽利用の場合、2.00 秒の残響時間確保の
設置をすることは可能だが、委員会
ために電気的な残響可変装置は設置すべき
○
ではない
岡崎市民会館改修に関する基本方針
で検討の結果、設置を検討する必要
はないとした
9
29P
29P
項目
課
対
題
応
(○=可能、△=保留、×=不可、-=対象外)
掲
載
P
木造フローリングとすると床が
客席椅子・通路改善
床材はコルクタイルでなければならないのか
△
100mm 程度上がり支障となるため、フ
ローリング材を直接コンクリートに
31P
貼る工法を含め設計時の課題とする
無垢材をそのまま使用すると空調な
地元の額田の無垢材を使用できないか、音
響の良さは残響時間だけではない
どの影響で反り、隙などの支障が出
△
るため、集成材に加工が必要となる
31P
が、部分的には使用できるよう設計
時の課題と考えている
ホール(その他設備)
文楽等、難しいセリフをテロップで表示す
る装置を設置したい
客席での舞台設備操作については、位置を
固定しない方が良い
2階客席に車椅子用のエレベータの設置の
必要はあるのか
○
○
○
バリアフリー設備として、外に設置された
ステンレス製の手すりは、夏季の日中は暑
その他
置してほしい
篭田公園地下駐車場のバリアフリー化(エ
レベータ設置)を検討してほしい
岡崎市民会館改修に関する基本方針
検討
仮設定の必要はある
バリアフリー化の観点から、設計時
の課題とする
屋外の木製手すりは耐久性に課題が
○
くて持つことができない
事務室からホールに続く階段に手すりを設
利用頻度から、設置またはリースを
あるため、材質を含め設計時の課題
とする
○
-
10
設置する
今回の市民会館の改修の対象外だ
が、今後の整備の課題とする
37P
31P
47P
43P
47P
43P
47P
-
■その他
項
目
課
題
対
応
大ホールを「生音」で利用するケースはどれ
「平成 24 年度大ホール音響設備利用状況調」
くらいある
参照
音響
1,500 人規模のホールの残響時間はどれくら
「類似ホールの音響データ」参照
いか、また演劇利用時の残響時間のデータを
集めてほしい
ホール
音響シミュレーションの結果について
「音響シミュレーションまとめ」参照
大ホールの利用状況について
「年度別市民会館大ホール利用状況」参照
■「岡崎市民会館改修方針検討委員会」報告
岡崎市民会館改修方針検討委員会委員長
静岡文化芸術大学准教授
永井 聡子
公立文化施設においては、改修や新築のいずれの場合も、市民の存在を基礎として、専門スタッフと
行政職員との堅固な連携体制が組めるような支援こそが重要である。劇場ではないのだから、と区別さ
れ、貸館の利用が大半をしめる市民会館であっても、舞台と客席がある以上は「劇場空間」としての議
論が必要となろう。
「日常」
「非日常」の創造に寄与するようなきめ細かい環境、すなわち、作品やそれ
を取り巻く人間関係を創造するというプロセスを経験として積み重ねるための体制があれば、貸館利用
も劇場の創客づくりに重要な要素となる。この度の委員会は、こうした地域に根差した活動をされてい
る委員の皆様にご意見をいただき、岡崎市に必要な文化創造への議論が「改修」という機会を捉えて行
われたものであったと思う。そこには、市民をいかに位置づけて劇場を運営するかという観点を抜きに
しては地域の劇場は成立しないことを改めて考える会となった。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
11
平成 13 年「文化芸術振興基本法」の制定後、平成 15 年には地方自治法の一部が改正され、平成 18
年「指定管理者制度」が導入された。以後、現在までに専門家の配置や民間事業者の参入が進んでいる。
だからこそ、その運営の方法論に関しては、舞台芸術作品の製作環境との接点において、「公共性」と
「創造性」が共存することを前提とし、合わせて教育的配慮が重要で、これらのバランスをとる人材を
いかに配置するということが重要となってくる。創造性という「劇場の宇宙観」や「感性の産物」がも
たらす劇場の特質は、教育的側面にも大きく影響し、それは公共の劇場こそ必要なものである。そこに
地域における劇場の存在意義があると同時に、抱えている大きな課題がある。地域に一流の舞台を鑑賞
する機会は必要で、その取り入れ方に工夫が必要なのである。そのためには、改修という制約があった
にせよ、専門家とともに行政側も何を生み育てたいかという舞台創造だけではない視点が必要である。
つまり、劇場には「舞台創造」
「市民による文化創造」、また両者の融合といった3つの観点がそれぞれ
にプロフェッショナルな価値が認められ、評価対象となり、支援されるという仕組みが必要である。劇
場がもつ拠点性の理解や組織体制の整備、市民参加の機会などの環境づくり、多目的ホールの使いこな
しなど、様々な角度からの議論も引き続き期待したい。長い期間に渡って、地域における多くの公立文
化施設が「劇場ではないから」ということを理由に、「創造する現場」であるという環境整備をしない
まま今日に至っているのは日本の劇場環境の大きな損失でもある。劇場そのもの発展のためには、「専
門の領域」と「市民の領域」があることを基本に据えることが重要である。地域の劇場こそ専門的なま
なざしが必要であろう。劇場において「市民の領域」を拡充させるためには、「専門領域」の確保と支
援という徹底した改革を推進していく必要がある。文化事業と公共事業の両立という視点の上に立った
「新しい組織の構築に必要な人材の確保」という視点が特に必要となろう。
委員の皆さんからはさまざまなご意見をいただいたが、躯体には手を加えられないという制約によっ
て、取り上げることができなかったものがあり、また、市民会館に対するそれぞれの「思い」とお立場
から、意見が分かれるような場面もあったが、最終的には、ある程度皆さんにご納得いただける内容の
改修方針を取りまとめることができたと思う。利用者の立場になれば、必ずしも改修がベストではない
とは思うが、委員会で検討してきたような改修が実現したとすれば、今よりも使い勝手のよい施設に生
まれ変わることは可能であり、次の新文化会館建設に向けての重要な一歩になると考える。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
12
3.施設概要
3.1
○所 在
施設概要(現状)
地 ・・・ 愛知県岡崎市六供町字出崎 15-1
○地域・地区 ・・・ 用途地域
第一種住居地域
防火地域
準防火地域
風致地区
甲山風致地区(第三種風致地区)
許容建ペイ率 40%(風致)
、60%(建基)
許容建築面積
6,962.76㎡
許容容積率 200%
許容延床面積 32,564.00㎡
※平成8年の用途地域変更により既存不適格
9,442.33㎡×1.2=11,330.79㎡
○敷 地 面 積 ・・・ 17,406.92㎡
○建 築 面 積 ・・・
6,579.64㎡
(内訳) ホール棟
3,588.48㎡
リハーサル棟
449.00㎡
駐車場棟
1,556.88㎡
甲山会館
979.31㎡
トイレ
○延 床 面 積 ・・・
5.97㎡
9,442.33㎡
(内訳) ホール棟
5,589.10㎡
リハーサル棟
910.72㎡
駐車場棟
1,545.08㎡
甲山会館
1,391.46㎡
トイレ
○駐 車 台 数 ・・・ 248台(内
5.97㎡
北側平面駐車場 97台)
○ホール客席 ・・・ 1,556席(固定 1,420席、可動 128席、車椅子 8席)
岡崎市民会館改修に関する基本方針
13
3.2
法的整理
○許容建ペイ率・・・・ 40%(風致地区による)
○許容建築面積・・・・ 6,962.76㎡
17,406.92㎡(敷地面積)×0.4=6,962.76㎡
○増築可能建築面積・・ 383.12㎡
6,962.76㎡(許容建築面積)-6,579.64㎡(建築面積)
=383.12㎡
○許容容積率・・・・・ 建築時 200%
現在の既存延床面積の1.2倍まで(平成8年の用途地域変更による)
○許容延床面積・・・・ 11,330.79㎡
9,442.33㎡(既存延べ面積)×1.2=11,330.79㎡
○増床可能床面積・・・ 1,888.46㎡
11,330.79㎡(許容延床面積)-9,442.33㎡(既存延面積)
=1,888.46㎡
○自動車駐車場・・・・ 用途規制により2階まで可能
○楽屋とリハーサル棟接続
・・・ 接続部分を別棟構造として、渡り廊下端部に特定防火設備を設ける必要有
鉄筋コンクリート造(耐火構造)で幅6mまで許容
○既存不適格事項・・・ 防火区画、排煙、非常照明など
○建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年 10 月 27 日法律第 123 号)による耐震診断
・・・ 耐震診断(平成9年に実施):Is値 0.6 以上
構造体耐久性調査(平成 25 年 2 月実施)
:残存耐用年数 20 年以上
○消防法(定期査察による項目:平成 24 年9月 28 日消防法第4条第1項による立入検査指摘事項)
①
カーテン・じゅうたん類は防炎物品とし、性能表示(リハーサル棟)
②
階段室内の可燃物を除去
③
避難口の施錠方法を改修
④
自動火災報知設備の受信機を再鳴動機能付きのものに変更
(市民会館、特定1階段等防火対象物のため)
⑤
自動火災報知設備の未警戒部分に感知器を増設
(市民会館、特定1階段等防火対象物のため)
岡崎市民会館改修に関する基本方針
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○消防法不適合事項(現状) 凡例) ◎=至急実施を要望 ○=早期に実施を要望 ・=実施を要望
① 火災感知システム
◎常時人のいる場所に副受信機を移設する。(旧宿直室に現在設置)
◎自動火災報知設備の常用電源配線を自家発電設備に接続し、耐火配線とする。
○受信機を R 型又は GP 型に変更する。
※ 防災センターで区画防火シャッター及び防火戸は制御できるようにする。
1) 煙感知器連動シャッターを設ける。
2) 防火シャッターに手動起動装置を設ける。
3) 防火戸に注意表示を記入する。
※ lTV による火災早期発見
設置場所=主要な居室、避難経路、出火危険の高い場所
② 消火システム
スプリンクラー設備
◎新設ポンプを設ける。(ポンプを取り替える。) 容量不足の恐れあり。
◎未警戒部分にスプリンクラーヘッドを設ける。
(地下2階・地下1階「舞台部を除く」閉鎖型ヘッドを設置)
(舞台西建具置場の物入れ内ヘッド1箇所未警戒)
(舞台西建具置場南天井部ヘッド1箇所未警戒)
ポンプ室・アラーム弁室に非常照明を設置
屋内消火栓設備(スプリンクラー設備の補助散水栓に切り替えも検討)
・新設ポンプを設ける。(ポンプ取替え。)
自家発電設備
◎容量不足の恐れがある。
(スプリンクラーポンプ制御盤から変電設備及び建物内配線を耐火配線とし、建物内で火
災が発生した場合は、必ず電源が供給できるように暫定的に実施する。)
※ 地下2階変電室及びボイラ一室に屋内消火栓及びスプリンクラー設備対応不能部分
における特殊消火設備を設置する。
③ 情報伝達システム
非常放送設備(アンプ容量計算)
・アンプを新基準に適合させる。(音声メッセージ有)
(スピーカー旧基準 25m 包含を 10m 包含とする、また、階段部分にスピーカーを設ける。)
◎地下2階及びペイントハウスにスピーカーを設ける。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
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④ 避難誘導システム
◎ホール内に客席通路誘導灯を現行基準に適合するよう設ける。
◎誘導灯を会議棟西側地下2階の階段出入り口に設ける。
○ピクトグラフ以外の誘導灯パネルを変更する。
○3階部分に増設する。(照明室・映写室及びその階段部分)
高輝度誘導灯に変更
誘導音、点滅式誘導灯の設置(最終避難口、直通階段入り口)
非常照明装置未設置
(避難階段等には、階段通路誘導灯が必要。(非常照明でも現行法令は問題無し「規制緩和」)
⑤ 消防活動支援システム
連結散水設備未設置(スプリンクラー設備設置)地下1階部分
(地階の面積 700 ㎡以上)
※連結送水管を設ける。(地下1階部分岡崎市火災予防条例第 41 条の2)
※排煙設備未設置
消防隊非常進入口設置及び表示を設置(岡崎市火災予防条例第 41 条の5)
⑥ 開口部(窓・出入口)を設ける。
◎有窓階にする。(1階・2階)
(1階ロビーの開口部等内部側において施錠方式であり、来館者自身開錠して避難できな
いことから、外部からは施錠方式、内部からはサムターンでキャップ付きにする。)
岡崎市民会館改修に関する基本方針
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4.各部改善計画
4.A
外部環境改善
4.A.1
現状課題
○甲山を背景にした閑静な高台にあり、市民文化のシンボルにふさわしい環境である。
○敷地全体の高低差により、施設間にも段差がありバリアフリー対応には支障がある。
○車利用中心の利用実態に対応できる駐車スペースが不足している。
○北側駐車場の駐車区画枠幅が小さく、安全な駐車に支障がある。
○もぎり前ロビーがなく、冬季・夏季・雨天・強風時には居場所がない。
○リハーサル棟・甲山会館など別棟に移動する際に屋外にでなければならない。
北側駐車場
南側立体駐車場
敷地全体配置図
岡崎市民会館改修に関する基本方針
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北側駐車場
会議棟 南面
南側立体駐車場 西面
ホール棟 テラス
大道具搬入口 西面
リハーサル棟 西面
岡崎市民会館改修に関する基本方針
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4.A.2
改善策
4.A.2.ア
北側駐車場区画線拡幅他
①既存区画線を拡幅する。
・アスファルト等で既存線を消去し、現状 2.3m を 2.5m とする。
・通行指示矢印なども更新する。
②北側駐車場からホール、ロビーへの車椅子アクセスを改善する。
・北側駐車場からの段差があり、スロープの新設を計画した。設置適当と思われる場所には、
館名石や旗ポール、石垣などがある。
③北側緑地部を一部駐車場として造成する。
4.A.2.イ
テラス改善(風雨対策)
①ロビー前に風除けスクリーンとガラス屋根を設置する。
・ガラススクリーンは、自立式で高さ 2.4m 程度とし、冬季の風を避けられるものとする。
・外部階段・テラスの増設を行う。
ホール棟テラス
ホール棟入口
ガラススクリーンフィルムイメージ
岡崎市民会館改修に関する基本方針
ガラス屋根イメージ
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北側駐車場区画線検討図
テラス改善検討図
岡崎市民会館改修に関する基本方針
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4.A.2.ウ
大道具搬入口改善
①搬入口に 2 台の搬入車が寄りつけられるものとする。
・プラットホームを前に延長し、横出し用プラットホームも新設する。
・搬入口上には、開閉式テント式の上屋を設置する。
・既存の電気室への出入りのために、プラットホームには上げ蓋と階段を設ける。
・大道具搬入口とホール舞台との遮音性能を向上させるために、拡幅プラットホームには防音
シャッターを新設する。
・楽屋入口と大道具搬入の交錯は、リハーサル棟への新規ブリッジ設置により解決する。
・搬入口廻りの改善に伴い、照明設備の改修なども合わせて行う。
・プラットホーム拡幅には、ガス配管や各種設備配管取り合い・移設などを設計段階で検討す
る必要がある。
・大道具搬入口に大型車が2台同時搬入可能とし、横開きトラック搬入への対応が必要。
大道具搬入口 西面
岡崎市民会館改修に関する基本方針
電気室 南面
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大道具搬入口廻り 現状平面図
大道具搬入口廻り 改修平面図
岡崎市民会館改修に関する基本方針
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4.B
ロビー改善
4.B.1
現状課題
○ロビーでの空調騒音が大きい。
○ロビー、客席などの照度が低く、印刷物などが読みにくい。
○トイレ数が足りない。
4.B.2
改善策
4.B.2.ア
ホール扉の二重化
①ホールへの入口を前室付の二重防音扉にする。
・防音間仕切り、天井設置など。
・照明器具、防災器具など。
4.B.2.イ
照明器具・空調更新
①ロビー照明の照度アップなどの改善を行う。
・LED 化とともに、メリハリがあり華やかな空間演出など。
②ロビーの空調騒音を改善する。
・ダクト系統の消音処置と吹き出し口の風切音の低減など。
③空調効率の改善を行う。
・客席系統とロビー系統を分離する。
エントランスロビー
客席入口扉
東ホール
岡崎市民会館改修に関する基本方針
ホール扉
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ロビー
ロビー廻り 現状平面図
ロビー廻り 改修平面図
岡崎市民会館改修に関する基本方針
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4.B.2.ウ
その他
①ホールトイレの和式便器を洋式便器化する。
・必要便器数を検討するにあたり公益社団法人空気調和・衛生工学会による衛生器具の適正個数算
定法に基づき算出した結果、充足していることを確認。
・男女共和式を 1 個所ずつ残し洋式化する。
・女子トイレブースの仕切りには目隠しパネルを設置する。
・目隠しパネル設置により、LED ダウンライト照明器具を各ブース上に設置する。
②女子トイレに幼児用小便器を設置する。
・各トイレに 1 個所設置し、電源は露出でモールカバーとする。
・エアタオルを各入口に設置する。
③玄関ガラス扉の避難可能対応を行う。
・ロビー内部から開錠できる錠前(サムターン付)に更新する。
④ロビーの内装を更新する。
・床タイルカーペット、壁塗装、天井塗装など。
⑤ロビー廻りの家具を更新する。
・ソファー、ベンチなど。
⑥ロビー廻りのサインを更新する。
・催し物案内・誘導サインなど。
⑦喫茶室内装を更新し、併せて設備改修も行う。
・床カーペット、壁クロス、天井塗装など。
・照明器具も LED 化など。
・空調吹き出し口などの美装化など。
東ホール家具
岡崎市民会館改修に関する基本方針
喫茶室
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1 階ホールトイレ位置
地下 1 階
ホールトイレ位置
ホールトイレ位置図
1 階ホールトイレの洋式化検討図
地下 1 階ホールトイレの洋式化検討図
岡崎市民会館改修に関する基本方針
26
4.C
ホール改善
4.C.1
現状課題
○床材などの内装は、部分保全がなされているが、新築当時の華やかなイメージはない。
○照明の蛍光灯化など設備も部分保全はされているものの、全体的な更新時期に来ている。
○各所ロビー間に段差があり、スロープなどでの対応には空間が不足している。
○ホール各所入口扉が一重であり遮音性が悪く、光漏れがある。
○ホール天井は大・中地震への安全性の確保が必須である。
○客席椅子仕上げも経年劣化で座り心地が悪く、椅子幅も 470 ㎜と狭い。
○客席で音が聞き取れない場所がある。
○客席での空調騒音が大きい。
○客席などの照度が低く、印刷物などが読みにくい。
○舞台の花道は、日本舞踊の利用時などでは必須であり維持したい。
客席
4.C.2
改善策
4.C.2.ア
座席更新
客席 側部
①椅子を更新する。椅子幅は現在の 470 ㎜を 520 ㎜程度とし、前部客席の前後間隔を現在の 900mm か
ら 950mm 幅とする。また、後壁に傾斜反射壁を設置する。この結果、客席数は現状の 1,556 席から
1,290 席(前舞台を客席利用の場合)となる。
・前舞台として利用する場合、オーケストラピット部可動席分 110 席減で 1,180 席となる。
★900 ㎜案とした場合は 44 席確保することが可能。
②客席縦通路・横通路を現行法規に適合させる。
・客席中央部の縦通路を減少させて一体感を持たせることと、通路 1 列分の客席が増となる。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
27
ホール 現状平面図
ホール 改修平面図
(※改修図は椅子幅を 520mm とし、前部客席の前後間隔を 950 ㎜幅とした 1,290 席案)
岡崎市民会館改修に関する基本方針
28
4.C.2.イ
音響対策
ホール音響
建築残響時間
空席時1.57秒、満席時1.35秒
ホール容積(音響反射板設置時)
10,650㎥
ホール壁面面積(音響反射板設置時)
4,250㎡
空調騒音値(NC)
35dB
(現状測定結果による)
①花道部に拡散と反射性の高い壁面を新設し、客席への側方反射音を増やす。
・花道利用のために、下部は開閉式パネルとする。
②客席側壁に拡散と反射性のある壁面を新設し、客席への側方反射音を増やす。
・反射壁面設置によりサイド投光室を客席に張り出して設置する。
(音響と照明の調整室は既存の位置とする。)
③前舞台上部には、拡散と反射する天井を設ける。
・前舞台機構設備・照明設備のバトンとの取り合いとなる。上部は天井間に隙間を設けて天井内
との一体空間とする。
④音響反射板の隙間を最小限とする。
・反射板は厚板とする。正面反射板には厚板増し貼りを行う。
⑤屋根スラブの遮音性を向上させる。
・ALC 板(気泡コンクリート板)の遮音性を向上させるために、屋根防水上に遮音ボードを貼り、
外断熱と防水を行う。
・屋根荷重増のための鉄骨トラス補強の具体案は設計段階で検討するものとする。
⑥舞台部の内壁に吸音材を設置する。
・空調の保温性も向上できる。
⑦客席の屋根スラブ(ALC 板)下部に、厚膜塗装を行う。
・多孔質材の表面の吸音性低下対策のために黒塗装でなく吹き付けタイル程度とする。
⑧生音重視のため電気的な残響可変装置は設置しない。
※NC 値とは、室の静けさを表す指標です。
評価する騒音をオクターブ分析し、どの周波数帯でも NC 曲線を上回らない最低の数値を NC
値とします。NC 値は、その値が小さいほど静かであることを示し、NC-25 の室は NC-40 の室
よりも静かであることを表します
岡崎市民会館改修に関する基本方針
29
4.C.2.ウ
空調改善
現状の音響測定を実施した結果は、NC-35 レベル程度であった。
①現在の NC-35 レベルを NC-25~30 レベルを目指す。
・ダクトの各部に、ダクト内消音のためのサイレンサー・消音トラップなどを設ける。
・ダクト内消音のため、客席上部のダクト内風速は5m/sec 以下に低減化し適切なダクト計画を行
う。
・騒音値低減のため、客席の吹出し口は客席と離隔の取れた位置に分散して設けるよう配置の
改善計画を行う。その際、客席部の気流分布均一化にも配慮した配置計画を設計段階で検討
をするものとする。
・各部の吹き出し口からの風速は3m/sec となるよう検討する。
・吹き出し口は、風切音が低減でき、到達距離の確保できるものに更新する。
・空調の吹き出し風速低減による客席前部の暖房効果の低下対策として、客席の花道側壁部の
拡散・反射パネルにより生まれる三角空間を利用し、ダクトを下げて吹き出す。
②天井露出ダクトに耐震性を考慮する。
・吊工法を強固にし、触れ止めも設置する。
③天井露出となるダクトの吸音性に対応する。
・軽量鉄骨下地の上、ボード貼り、黒塗装を行う。
④客席前部の断熱性を向上させる。
・既存温水暖房用コンクリートを撤去し、断熱材施工と木造揚げ床に改善し、暖房効率を上げる。
4.C.2.エ
照度改善
①客席でパンフレット・講演資料などが読めるように照度を 500~600lx 程度とし、調光可能とする。
・天井の鉄骨露出に対応した取り付け器具に、LED ダウンライト照明器具を取り付ける。
・前舞台の拡散・反射天井には、LED ダウンライト、緞帳照らし、コンダクタースポットを設置す
る。
天井照明
岡崎市民会館改修に関する基本方針
舞台廻り照明
30
4.C.2.オ
天井改修
○地震を含め、大規模空間を有する建築物において天井の落下事故が多数生じていることから国
土交通省は平成 25 年8月に特定天井及び特定天井の構造耐力上安全な構造方法を定める件に
ついて建築基準法改正、告示改正を公布し、更なる詳細技術基準とともに平成 26 年4月1日
から施行することとなった。
○また、改修方針検討委員会からの要望において、できるだけ建築残響時間を延ばしたいとの意見か
ら、現状音響測定を行った結果、500Hz で残響時間は 1.57 秒との結果であった。
〇上記の観点より、天井の落下防止および音響的に有利な効果を得られる「既存天井撤去の上、鉄骨
トラス空間露出案」に絞り込んだ。
〇音響コンサルタントの考察においても、天井空間の気積を利用する効果により、建築残響時間は
0.21 秒延ばす 1.78 秒との結果を得られた。客席・舞台各部の吸音性だけでなく、拡散・反射を行
うことで、既存客席各部での響きのムラが改善できることも併せて検証された。
①天井の耐震化のため、既存天井を撤去し、天井裏空間を建築音響的に利用する。
・天井裏空間の屋根裏、天井内壁面、設備ダクト(ボード囲い)、設備機器などは黒塗装する。
②客席天井内露出でシーリングを既存位置に新設する。
・歩行音のしない床構造(鋼製メッシュとカーペット上敷き)とし、壁面、天井はシースルーで
吸音のないようにする。
③天井内にキャットウォーク(点検桟橋)を設置する。
・スピーカ-、照明器具、防災器具、ダクト、吹き出し口などを点検する。
④前舞台上には、拡散・反射天井を設置する。
・非構造部材の耐震安全性の建築基準法改正・告示改正・技術基準に基づき設置する。
このために、天井直上には補助鉄骨材を設ける。
4.C.2.カ
その他
①客席床・段床の仕上げを更新する。
・木質とし、既存コンクリート床に直貼りするパーケットブロック程度とする。
・客席の通路誘導灯を更新する。
②客席壁面内装を更新する。
・現在の塗装中心から、拡散と反射壁とともに木質系内装とする。拡散・反射壁は鋼製壁下地
に不燃木質系化粧ボード厚 12 ㎜程度とする。コンクリート下地部も、木質系シート貼りボー
ドを直貼り(接着剤と固定ビス併用)する。
・天井内となっていた壁面は、立体トラス下までを木質化粧パネル貼りとする。
③客席内でのミキシング可能とする。
・中通路の上手、中央部、下手でミキシングが可能な配管経路を確保する。
④冬季の外壁面からのコールドドラフト防止に配慮する。
・舞台部の暖房負荷低減と冬季のコールドドラフト対策に配慮し、外壁面の暖房設備を設置する。
⑤客席にケーブル引き込み用開口を設ける。
・上手客席後部に1個所。二重扉仕様とする。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
31
ホール改修後イメージパース
岡崎市民会館改修に関する基本方針
32
4.D
舞台改善
4.D.1
現状課題
○舞台奥行が基本的に狭いことは演出・舞台転換などに支障がある。
○舞台床にささくれなどの経年劣化がある。
○舞台床および下地軸組が経年劣化しており、かつ床強度が低い。
4.D.2
改善策
4.D.2.ア
舞台奥行を迫り装置で拡幅
①楽屋側への拡張は構造上不可能であるため、舞台前のオーケストラピット部を利用して上下迫
り機能付の舞台を設置。
②迫り機構の設置による 3.4m 程度の拡幅を行う。
・前舞台は固定でなく、迫り機構を採用し舞台面レベル・客席レベルおよび中間レベルでの停
止が可能なものとし、多様に使用できるものとする。
・迫りは上手・中央・下手の3分割することで、さらなる演出上の工夫ができるようにする。
③建築音響改善のために花道部に拡散と反射壁を設置するが、花道利用のために下部は舞台機構
による開閉パネル式とする。
④各楽屋、リハーサル室に設けるモニターカメラを適正位置に適正数設置する。
4.D.2.イ
舞台の安全性確保
①既存すの子の鉄骨構造体を耐震性と吊荷重増に対応するための補強を行う。
・現状吊物荷重 230kg/㎡から 300kg/㎡程度とする。
②吊物のレール・レール取り付け間隔・カウンターウェイト枠などは耐震性を考慮したものとす
る。
③舞台綱元の耐震安全性のために安全ネットを全面新設する。
・舞台床からぶどう棚下までとし、鉄骨骨組とクリンプネットで構成する。
・安全ネットの下部は、操作用に鋼製骨組とクリンプネットによるバランス上げ下げ戸を設置
する。
④ぶどう棚への点検を安全に行える鉄骨階段を新設する。
・階段は歩行音がしにくい鉄骨骨組と網床(エキスパンドメタル)とする。
・既存のタラップにも、鋼製安全籠設置と途中階で中継床を設けて安全性を高める。
⑤舞台と客席の防火戸は、ドレンチャー設備(開放式消火設備)に更新する。
・非常用発電機も増設する。
⑥舞台床仕上げの全面張替更新をする。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
33
舞台全景
舞台 鼻
花道部
花道上部
舞台袖
舞台 すの子
網元
すの子へのタラップ
緞帳
緞帳防炎加工
岡崎市民会館改修に関する基本方針
34
4.D.2.ウ
舞台音響設備更新
①舞台音響設備を全面更新する。
・プロセニアムスピーカー、サイドスピーカー、フロントスピーカーなど。
・プロセニアムスピーカーはセンター1個所とし、露出タイプとする。
・花道部のサイドスピーカーは既存コンクリート壁に埋め込み、スピーカー裏には耐火壁を設置す
る。
・音響調整卓などは、既存の更新機器再利用も考慮。
②プロセニアムスピーカーの点検用キャットウォークを設ける。
③客席での調整可能の配管ルート・電源を設置する。位置は客席中通路の中央・上手・下手とす
る。
④運営用音響設備、舞台間の連絡用アンプ、ワイヤレス、レシーバ等を更新する。
4.D.2.エ
舞台照明設備更新
①前舞台の上部に照明バトンを2列設置する。
②舞台照明設備を全面更新する。
・既存舞台上にある照明設備と同等の更新を行う。
・天井反射板の照明器具埋め込みを行う。LED 照明器具とし、調光可能とする。
・ホリゾントライト、ボーダーライトは、改修工事時点では LED 器具を採用できるものとしコ
ストは計上しておく。
③天井シーリングを新設する。
・客席天井上部の現状とほぼ同位置に、黒色の露出型で新設する。
・鉄骨軸組とし、床は鋼板+エキスパンドメタル+ニードルパンチカーペット貼り、壁は有孔ボ
ードとする。
④映写室をピンスポット室とする。
・床は 400 ㎜木造揚床とする。
・スポットの耐震時止め用ワイヤーのとめのパイプを天井と床面に設置する。
④舞台の音響天井反射板は埋め込みとし、LED ダウンライト照明器具を設置、調光可能とする。
⑤大型プロジェクターを現状の映写室中央に設置する。
音響設備
岡崎市民会館改修に関する基本方針
照明設備
35
4.D.2.オ
舞台機構設備更新
①オーケストラピット深さを利用して「迫り機構」を設ける。
・迫りは舞台レベル・客席レベル・任意の中間レベルの停止可能とする。
・迫りは、上手・中央・下手に三分割し、多様な公演に対応する。
・オーケストラピット上にある客席椅子は、3~4席ごとの可動キャスター付とし、迫り機構
で舞台レベルに上げて、舞台脇に収納する。
②オーケストラピット迫りの床仕上げ
③前舞台のために、上部に吊物と照明設置のためのぶどう棚を設置する。
・ぶどう棚新設による鉄骨トラス補強を行う。
④前舞台には、電動照明バトン2列・吊物バトン2列・簡易遮蔽幕(ジョーゼット幕等)1列を配
し、ぶどう棚新設による鉄骨トラスの補強を行う。
⑤舞台機構設備を全面更新する。
・電動吊物・手動吊物・舞台迫りなどの更新を行う。昇降は時間短縮と多段とするなどの改善
を行う。
・照明用吊物は既存の手動式から電動式とし、安全に使用できる舞台機構を目指す。
・第一緞帳・第二緞帳は既存をクリーニングと防炎加工を行い再利用するものとする。
・緞帳の開閉速度の向上と速度可変タイプに更新する。
・袖幕などの位置・幅については、客席からの見切りを考慮して改善する。
・映写スクリーンには、幕類を相吊できる鉄管を併設する。
・音響反射板の天井隙間や側面反射板の隙間を無くするよう新設する。
・天井反射板には、照明器具を内蔵させる。
・音響反射板は、木質厚板仕上げとする。
・舞台開口幅調整機構として、上部吊レールによるパネルを設けられるよう対応する。
調整幅は 1.5m 程度とし、黒色ボード仕上げとするか、現状の袖幕とするかは検討する。
・既存の防火戸を取り止め、上下開口調整可能パネル及び幕等の設置について検討する。
客席全体
岡崎市民会館改修に関する基本方針
客席椅子
36
4.D.2.カ
その他
①舞台各部の扉幅拡幅と防音性能を向上させる。
・上手、下手の親子扉を両開き扉とし、防音仕様とする。
・下手の出入り口は片開きを両開き戸とし、防音扉仕様とする。
・大道具倉庫の扉は幅 1.2m 引き戸を 2.0m 引き戸とする。
②舞台床にフロアコンセントケーブル収納用溝を設置する。
・舞台上手、下手に2個所、花道入り口2個所、客席側方出入り口2個所とする。
③プロジェクター設備を設置する。
・現状の映写室に設置する。
・映像入力は舞台・客席に端子を設ける。
・コントロールは舞台脇でも行えるようにする。
④前舞台はたくし上げカーテン又は引幕を設置し、音楽ショーの演出効果を向上する。
⑤前舞台は可変対応とし、中央部の利用、前舞台のみの利用を可能とする。
⑥客席の字幕案内装置を設置する。
・舞台上または側の花道に設置した字幕装置で公演内容や解説の案内をする。
・オペラハウスや商業劇場などでは設置例もあり、今後のリースを含めて検討課題とする。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
37
舞台機構検討図【改修前】
前舞台すのこ
前舞台ライトバトン
前舞台
前舞台迫り
舞台機構検討図【改修後】
【参考事例】大阪市中央公会堂
岡崎市民会館改修に関する基本方針
38
4.E
楽屋・リハーサル棟改善
4.E.1
現状課題
楽屋
○楽屋廊下が狭く、楽器を持っての行き交いなどに支障がある。
○楽屋が使い勝手の良い和洋室になっていない。
○楽屋入り口の雰囲気が寂しい。
○楽屋の給湯設備が竣工当時のままである。
〇楽屋のトイレ数が不足している。
○楽屋玄関が大道具搬入口と交錯している。
○楽屋入り口・大道具搬入・別棟リハーサル室などの玄関が交錯し狭隘である。
リハーサル棟
○地下へのエレベータがない。道具類の搬出入りにも支障がある。
○隣室との遮音性が悪い。
○リハーサル棟に大型鏡がない。
○別棟に移動する際に屋外にでなければならない。
リハーサル棟入口
接続部
リハーサル室
楽屋廊下
楽屋
楽屋主催者室
岡崎市民会館改修に関する基本方針
39
楽屋・リハーサル棟廻り 現状平面図
楽屋・リハーサル棟廻り 改修平面図
岡崎市民会館改修に関する基本方針
40
4.E.2
改善策
4.E.2.ア
楽屋廊下拡幅
①廊下を既存 1.2m から、人がすれ違える有効 2.4m に拡幅する。
②既存、楽屋廊下壁を撤去し、軽量鉄骨壁下地とボードによる遮音間仕切りなどを新設する。
③廊下拡幅により楽屋関連室の更新を行う。
・楽屋事務室、男女便所、共用男女シャワー室、湯沸かし、小楽屋、中楽屋を設ける。
・楽屋事務室は、カウンターとカウンター上の窓付とする。
・男女便所は、大楽屋のある奥側に設け、洋式でウォシュレット付、洗面、小便器を設置する。
・小楽屋には、シャワー、トイレ、更衣台、更衣台照明、洗面台、化粧前カウンター、化粧前
照明、姿見、目隠しカーテンなどを設ける。
・中楽屋には、洗髪可能洗面台(個別給湯)、化粧前カウンターと化粧前鏡、更衣ブース、目隠
しカーテンなどを設ける。
・各楽屋、リハーサル室にモニターを設ける。
④既存大楽屋の内装・設備も更新する。
・洗髪可能洗面台(個別給湯)、化粧前カウンターと化粧前鏡、更衣ブース、目隠しカーテンなどを
設ける。
4.E.2.イ
楽屋を北側増設
①内装、設備は中楽屋程度とする。
・ゲスト用トイレ、シャワー室を設置する。
・楽屋が狭小のため拡幅する。
②建築基準法上の別棟建物とする。
・既存楽屋と増築楽屋には其々に防火戸を設置する。
4.E.2.ウ
楽屋・リハーサル棟の一体化
①楽屋側の玄関を改造する。
・既存サッシと入り口と扉を撤去し、新規サッシ、入り口扉を自動扉化して設置する。
・建築基準法上の別棟建物とするため、其々に折り畳み防火戸を設置する。
・楽屋とリハーサル棟間の扉は自動扉とし、楽屋側は2枚引き込み戸、リハーサル棟側は両引
き分け戸とする。
②既存楽屋ロビーとリハーサル棟ロビーを共通のロビーとする。
③楽屋とリハーサル室間の段差改修用簡易スロープを設置する。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
41
4.E.2.エ
その他
①西側にブリッジを設置する。
・鉄骨架構とコンクリート床など。
②既存リハーサル棟のブリッジ取り合い改修を行う。
・外壁、サッシなどの改造など。
③新設玄関を設ける。
・間仕切り・扉を改造・新設など。
④13 人乗り程度のエレベータを新設し、楽屋とリハーサルの荷物搬出入りにも使用する。
⑤地下既存リハーサル室と隣室間に防音性能の高い扉を設置する。
・既存の三方枠共撤去し、新設する。
リハーサル棟
リハーサル棟玄関スロープ
リハーサル室
岡崎市民会館改修に関する基本方針
リハーサル室
42
4.F
会議棟改善
4.F.1
現状課題
○各階へのエレベータがない。
○事務室前のガラス扉が重くて開きにくい。
○パーティー室の利用率が低いため、リハーサル室などに変更したい。
○パーティー室を廃止した場合、会議棟配膳室が広すぎる。
○集会各室の遮音性が悪い。
4.F.2
改善策
4.F.2.ア
パーティー室の有効利用
①遮音性と吸音性の高いリハーサル室とする。
②リハーサル室だけの単独空調とし、他の施設との音響干渉(クロストーク)がないようにする。
4.F.2.イ
動線の改善
①段差の手摺充実
・各部の段差部と階段部に、片側のみを両側設置とする。
・外部の既存ステンレス手摺を金属製でないものにする。
②会議棟のエレベータ設置により、動線の改善を行う。
・11 人乗り程度とする。
4.F.2.ウ
騒音対策
①1階、2階の各室入り口扉を防音扉とする。
②各室のリターングリルに消音トラップを設けることにより、空調系統から発生している音漏れ
対策を行う。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
43
会議棟階段
会議室
会議棟廻り 現状平面図
会議棟廻り 改修平面図
岡崎市民会館改修に関する基本方針
44
4.F.2.エ
雨天時動線のための庇・屋根設置
①甲山会館からの渡り廊下を設置する。
・鋼製支持とガラス庇とする。
・鋼製片持ち構造とし、溶融亜鉛めっきと合わせガラスによる。
②鋼製支持とガラス庇とする。
③鋼製片持ち構造とし、溶融亜鉛めっきと合わせガラスによる。
4.F.2.オ
その他
①エレベータシャフト確保と出入りロビー空間のために、自動車通路を一方通行とする。
②各階に廊下・物入・多目的室・パントリーを計画する。
③厨房スペースの有効利用
④文化団体が活動の拠点として活用できるスペースを設置する。
会議棟 ロビー1 階
会議棟 配膳室
会議棟 玄関扉
エレベータシャフト確保と出入口ロビー
岡崎市民会館改修に関する基本方針
45
渡り廊下検討図
岡崎市民会館改修に関する基本方針
46
4.G
バリアフリー化・省エネルギー化
4.G.1
現状課題
○屋根断熱性能・外壁断熱性能(サッシ・ガラスを含む)などは、建設当時はあまり一般化してお
らず、空調に対する外気負荷を防げていない。
○設備機器の全てに省エネルギーなどの指向はされていない。
○衛生器具なども、節水型ではない。
○バリアフリーについては対応可能範囲で改善されているが、敷地内・施設内とも各部の段差に
対して充分ではない。
○段差部の手摺は片方にはあるが、少ない段差部にはない箇所がある。両側にも設置が望まれて
いる。
○雨天時の施設内移動に際して、雨風にさらされてしまう。
4.G.2
改善策
4.G.2.ア
バリアフリー化
①会議棟~リハーサル棟~楽屋間の動線確保のためエレベータを設置
②北側駐車場からのスロープ設置
③段差部の手摺充実
・各部の段差部と階段部に、片側のみを両側設置とする。
・外部の既存ステンレス手摺を金属製でないものにする。
④雨天時動線、開演を待つ来場者のため、ホール等テラスに庇設置
4.G.2.イ
省エネルギー対応
○建築としての省エネルギー方策は、断熱強化に尽きる。屋根への断熱材付加、外壁ガラスの複
層化、サッシの二重化、屋根・外壁の緑化であるが、建築全体の形体や荷重制限及び各室のス
ペースなど建物の基本に関わる項目がほとんどのため除外した。
○電気設備の省エネルギー方策は、空調システムなどとリンクすることが多く、単独での方策で
はホール・ロビーなどの LED 器具照明化を計画した。
照明設備の全館 LED 化、人感知センサーによる点灯時間短縮は今後の保全工事に合わせて実施
することする。
○空調設備の省エネルギーの方策は、建築による外部負荷低減と空調システム全体に関わる。当
面は、会議棟や楽屋などは各室の単独利用のための個別空調化を保全工事に合わせて実施し、
ホール・舞台は大規模改修で計画することとする。
○衛生設備の省エネルギーの方策は、給水の直結可能を確認した上で揚水ポンプの動力削減など
である。節水には自動洗浄の手洗い化・節水コマ設置、自動洗浄小便器化などは今後の保全工
事にて実施することとする。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
47
5.改修に要する期間・費用
5.1
改修工事期間
■マスタースケジュール
平成26年度
4
設計
5
6
7
8
9
平成27年度
10 11 12
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12
平成28年度
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12
1
2
3
( 7ヶ 月)
予算書作成
建築確認申請
見積・ 入札
( 2ヶ 月)
( 2ヶ 月)
( 3ヶ 月)
閉館期間( 12.5ヶ 月)
準備工事
( 2.5ヶ 月)
( 11.5ヶ 月)
現場施工
( 1ヶ 月)
備品・ オープ ン 準備
オープ ン
岡崎市民会館改修に関する基本方針
リ ニュ ーアルオープ ン
48
5.2 概算費用
○ 建物の防水・外装・基本設備などの保全工事費用は概ね 3.7 億円。改善の初期費用および舞台
機構設備・舞台照明設備は概ね 18.2 億円となり、全体費用は 21.9 億となった。
○ 現在の市況単価およびヒアリング等を基に、推定した数量より概算工事を算出した。軽微な変
更および諸経費等は見込んでいるが、今後の経済状況の変化による物価変動および大幅な改修
項目の変更に伴う予備費等は見込んでいない。
■概算工事費一覧表
(単位:円、金額は税抜)
項 目
A 外部環境改善
B ロビー改善
C ホール改善
改
修
基
本
方
針
解 決 案
既存区画線幅の拡幅、スロープ設置
イ
テラス改善(風雨対策) 風除スクリーン・仮設屋根設置
ウ
大道具搬入口改善
搬入空間の整備
エ
その他
外灯・サインの更新
3,780,000
ア
ホール扉の二重扉化
ホール入口二重扉化
28,851,000
イ
照明器具・空調更新
照明器具の更新、空調設備改善
58,000,000 B.ロビー改善
ウ
その他
ア
座席更新
イ
音響対策
ウ
空調改善
椅子の再配置と通路の見直し
客席側壁に拡散・反射パネルを設置
内装を木質不燃板化
空調設備の改善
エ
照度改善
照明器具の更新
65,000,000
オ
天井耐震対応他
既存天井撤去し、鉄骨トラス露出
55,034,000 C.ホール改善
カ
その他
ア
舞台奥行を迫り装置
により拡幅
19,575,000 A.外部環境改善
16,895,000
69,414,000
会議棟等の改
善
74,000,000
4,928,000
31,253,000
ウ
舞台音響設備更新
音響設備改修
193,860,000
エ
舞台照明設備工事
286,200,000
オ
舞台機構更新
カ
その他
ア
楽屋廊下の拡幅
舞台照明更新
機構設備の更新及び前舞台吊物用ぶ
どう棚の設置
舞台部の空調騒音の低減
プロジェクター設備を設置
廊下拡幅に伴う楽屋エリア見直し
イ
楽屋を北側増設
楽屋の北側増設
ウ
ウ
楽屋・リハーサル棟の一体化 楽屋とリハーサル棟の一体化
甲山会館から会議棟への渡り廊下を
その他
設置
パーティー室をリハーサル室として
パーティ室の有効利用
使えるように防音・単独空調改修
地下1階駐車場からの動線、館内動線
動線の改善
確保
騒音対策
会議棟会議室等の扉の防音
エ
空間の合理的利用
平面配置の変更
オ
その他
手摺設置
イ
48,952,000
舞台床の改修、緞帳の更新
10,733,000
186,476,000 D.舞台改善
44,550,000
13,933,000 E.楽屋・リハーサル
30,090,000 室の改善
7,020,000
105,599,000
22,719,000
42,420,000
6,602,000
0 F.会議棟等の改善
( F.イに含む)
改修基本方針
小計
1,823,369,000
114,300,000
電気
145,300,000
空調
31,000,000
衛生
74,300,000
昇降機
3,000,000
保全工事
49
934,595,000
54,556,000
建築
岡崎市民会館改修に関する基本方針
470,975,000
127,643,000
サイド投光デッキ・調整室設置
舞台の安全性確保
ア
156,265,000
84,794,000
46,525,000
舞台を前に拡張
84,194,000
145,622,000
イ
エ
F
5,603,000
38,341,000
D 舞台改善
楽屋・リハー
サル室の改善
項目 小計
北駐車場の安全利用
安全性
E
保
全
工
事
概算金額
ア
小計
367,900,000
総合 計
2,191,269,000
71,741,000
6.今後 20 年間使用するためのライフサイクルコスト(LCC)
○更新・修繕費用について
市民会館を平成 28 年から平成 47 年までの 20 年間利用するためには最低でもおおよそ 372,700
千円の費用が必要となる。平成 23 年度の調査による平成 24 年から平成 34 年までの 10 年間の LCC
には外壁や防水の大規模な修繕は計上されていたが、小規模な修繕費用は計上されていなかった。
その為、作成した 20 年間のものも同様に中小規模な修繕費用は計上していない。運用において
はそういう費用も発生する事を認識しなければならない。
○15 年目から 20 年目について
周期的には 15 年目から 20 年目に更新が発生する部材もあるが、更新して 5 年以内に使用し
なくなるというのでは投資効果が良くない為、そういう部材については更新を見送っている。
(単位:千円、金額は税抜)
年度
改修基本方針
H27
1,823,369
H28
0
H29
0
H30
0
H31
0
H32
16,100
H33
0
H34
0
H35
0
H36
0
H37
86,100
建築
電気
114,300
145,300
0
0
0
0
0
0
10,000
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
空調
衛生
31,000
74,300
0
0
0
0
800
10,500
0
0
0
0
11,100
17,500
0
0
0
0
0
0
0
0
3,000
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2,191,269
昇降機
その他
0
0
11,300
10,000
16,100
28,600
0
0
0
86,100
基礎調査案
建築累計
合計
0
0
0
0
0
0
0
10,000
16,100
10,000
16,100
10,000
16,100
10,000
16,100
10,000
16,100
10,000
102,200
10,000
電気累計
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
空調累計
0
0
800
800
800
11,900
11,900
11,900
11,900
11,900
衛⽣累計
0
0
10,500
10,500
10,500
28,000
28,000
28,000
28,000
28,000
昇降機
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
その他累計
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
累計
0
0
11,300
21,300
37,400
66,000
66,000
66,000
66,000
152,100
年度
H38
改修基本方針
H39
H40
H41
H42
H43
H44
H45
H46
H47
H28~H47
0
0
0
0
88,700
0
0
0
0
0
190,900
建築
42,630
0
0
0
43,570
0
0
0
0
0
96,200
電気
8,000
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8,000
空調
34,400
0
3,300
0
0
0
0
0
0
0
49,600
衛生
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
28,000
昇降機
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
その他
合計
0
85,030
0
0
0
3,300
0
0
0
132,270
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
372,700
102,200
52,630
102,200
52,630
102,200
52,630
102,200
52,630
190,900
96,200
190,900
96,200
190,900
96,200
190,900
96,200
190,900
96,200
190,900
96,200
190,900
96,200
電気累計
空調累計
8,000
46,300
8,000
46,300
8,000
49,600
8,000
49,600
8,000
49,600
8,000
49,600
8,000
49,600
8,000
49,600
8,000
49,600
8,000
49,600
8,000
49,600
衛⽣累計
昇降機
28,000
0
28,000
0
28,000
0
28,000
0
28,000
0
28,000
0
28,000
0
28,000
0
28,000
0
28,000
0
28,000
0
その他累計
累計
0
237,130
0
237,130
0
240,430
0
240,430
0
372,700
0
372,700
0
372,700
0
372,700
0
372,700
0
372,700
0
372,700
基礎調査案
建築累計
7.まとめ
本改修に関する基本方針の策定は、今後 20 年間使用するために必要な現状の課題を総じて取り上
げることができた。改修費用は、改善項目の抹消や追加を含めて、少しでも具体的な仕様や工法を
設定した結果であるが、あくまでも概算レベルにとどまる。
また、LCC は市で作成した 10 年間を機械的に 20 年間としたものであり、かつ部材の更新項目中
心であることから、今後の基本計画では小・中修繕費の計上を行い、実際に 20 年間(最後の5年
間は小修繕にとどめ、大更新・中修繕などは除外)に必要なコストを把握する必要がある。
この施設は、ホール建築という特殊建築物であることから一般的な建築の設計に加えて、音響コ
ンサルタントとの協働にて、市民が望むより良いホール音響環境を実現する必要がある。
岡崎市民会館改修に関する基本方針
50
■参考資料
1.
ホール内観イメージパース
・・・・・・・・ 52
2.
現状図・改修イメージ図
2-1 法的整理図
2-2 配置図(現状図)
2-3 配置図(改修イメージ図)
2-4 地下 1 階平面図(現状図)
2-5 地下 1 階平面図(改修イメージ図)
2-6 1 階平面図(現状図)
2-7 1 階平面図(改修イメージ図)
2-8 2 階平面図
2-9 2 階平面図(改修イメージ図)
2-10 断面図
2-11 断面図(改修イメージ図)
・・・・・・・・ 53
3.
平成 24 年度大ホール音響設備利用状況調
・・・・・・・・ 64
4.
類似ホールの音響データ
・・・・・・・・ 66
5.
音響シミュレーションまとめ
・・・・・・・・ 67
6.
年度別市民会館大ホール利用状況
・・・・・・・・ 78
岡崎市民会館改修に関する基本方針
51
1.
岡崎市民会館改修に関する基本方針
52
ホール内観イメージパース
岡崎市民会館改修に関する基本方針
53
岡崎市民会館改修に関する基本方針
54
岡崎市民会館改修に関する基本方針
55
岡崎市民会館改修に関する基本方針
56
岡崎市民会館改修に関する基本方針
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岡崎市民会館改修に関する基本方針
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