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マイコプラズマ感染症とサーコウイルスによる PMWS
マイコプラズマ感染症とサーコウイルスによる PMWS マイコプラズマワクチンの臨床試験 ● 平均母豚数353頭規模の16の閉鎖豚群 ・ A 群・B 群に同じ条件で群分けした。 ・ オーエスキー病以外のワクチン接種はしない。 ・ 1豚房内にプラセボ及びレスピフェンド MH 接種豚を同居させ比較。 ・ ワクチンは1週齢・3週齢で2回接種。 臨床結果 プラセボ レスピフェンド p値 群あたり肥育頭数 108 108 0.536 1日増大量 720 749 0.011 飼料要求率 2.68 2.57 0.030 死亡率 2.7% 2.3% 0.564 治療率 12.1% 7.0% 0.277 と畜日齢 190.7 189.6 0.268 と畜時体重(生存時) 110.9 113.3 0.041 上の表から体重1kg当たり110gの飼料が節約できる。 マイコプラズマワクチンの効果的な使い方 ● 接種のタイミング ・ 季節 ・ 飼養管理方法 これらの違いで、感染の度合いが異なる。 ・ 子豚の導入元 ワクチンは曝露前に実施する為8週までに十分な免疫が成立している必要がある。 免疫が成立するには、2回目の接種後1週間が必要で、2∼3週目で最高となる。 一般的には分娩舎にいるうち(生後6週齢以内)に2回の接種をおえると良い。 1 ● 移行抗体の影響 妊娠後期のワクチン接種による高レベルの抗体が原因であり、子豚接種の効果が 減弱される以上、早期感染の危険性・頻度が高いなどの理由がない以上、母豚への ワクチン接種は勧められない。 ● 単回接種ワクチン 近く日本でも販売される。労働コストの軽減になるのが大きな利点とされているが、 免疫持続時間が十分でないのでは(?)という指摘もあり米国、イギリスおよび ドイツでは2回接種が再び主流になって来ている。 PMWS(離乳後多臓器性発育不良症候群) PMWS の第一の主要原因は、豚サーコウイルス2型(PCV―2)である。 臨床的:発育不全、蒼白、黄疸 肉眼的病変:肺虚脱(69.8%)、リンパ節腫大(69.8%)、肺の硬化(53.4%) 胃潰瘍(37.8%)、腎臓の白斑(18.2%)、黄疸(6.1%) ※ これらは PMWS の特異病変ではない。 PMWS の組織学的病変 病変 度数 % リンパ節のリンパ細胞減少 129/148 87.2 組織球浸潤 114/148 77.0 封入体 67/148 45.3 融合細胞 54/148 36.5 リンパ節の壊死 18/148 12.2 間質性肺炎 130/148 87.8 中程度の肝炎 82/148 55.4 強度の肝炎 11/148 7.4 間質性腎炎 67/148 45.3 サーコウイルス2型の感染経路・・・唾液・鼻汁・糞尿・精液などを介して水平感染 PMWS の発症には一定のウイルスの増殖が必要ですが、その引き金となる最も大きな 要因は「 環 境 ス ト レ ス 」 と考えられています。 2 PMWS 罹患豚の月齢分布 (頭) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (n=308) 月齢 1 ● 1.5 2 2.5 3 3.5 4 5 6 (月齢) PMWS の対処法 ・ 確 実 な 初 乳 の 摂 取 ・・・ 子豚が初乳を摂取し始めるのが早い程、子豚は「濃い」(PCV2移行を多く含 む)乳を吸収することが出来る。 子豚の腸壁から移行抗体が吸収され易い時期は、生後数時間以内である。 ・ 母 親 群 の 免 疫 の 安 定 化 が・・・ PVC2の移行免疫は5ヶ月齢まで持続すると言われており、移行免疫が切れる 頃には子豚は発症に耐え得る大きさに成っている。ですから母豚が PCV2 に 対して確実に免疫を獲得していることが重要である。 ・ 小 群 管 理 ・・・ 環境ストレスの中でも移動や群編成は大きな要素になり得る。ですから分娩か ら出荷まで「群」を再編成しない小群抗体(13頭以下)の管理が望ましい。 又適切な洗浄、消毒を伴うオールイン・アウトが発症を抑えるには不可欠です。 ・ 適 切 な ワ ク チ ネ ー シ ョ ン プ ロ グ ラ ム の 実 行 ・・・ 必要のない過度のワクチネーションをすると、豚の免疫を刺激しマクロファー ジ細胞をより多く発現させその事により PCV2 が増殖し、PMWS の発症を 促す結果となる。 [参考文献] フランス食品安全庁獣医学研 「マデック20の法則」 フランソワ ・マデック 「マイコプラズマ感染症とサーコウイルスによる PMWS」 3 マーク・モンバー