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1級 経営情報システム - 中央職業能力開発協会

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1級 経営情報システム - 中央職業能力開発協会
禁転載複製
「中央職業能力開発協会編」
平成28年度 前期 ビジネス・キャリア検定試験
経営情報システム分野
1級
経営情報システム
試
験
問
題
(6ページ)
1.試験時間
150分
2.注意事項
(1) 試験問題は、係員の指示があるまで開かないでください。
(2) 試験問題は、3題あります。
(3) 試験問題の配点は、次のとおりです。
問題1 20点、問題2 30点、問題3 50点、合計 100点
(4) 解答用紙は、問題ごとに各1枚あります。すべての解答用紙に、必ず、①生年月日、
②受験番号、③座席番号、④氏名を正確に記入してください。
なお、受験番号の最後の桁は、アルファベットですので、数字と間違えないように
注意してください。
(5) 解答には、HB又はBの黒鉛筆、シャープペンシルのいずれかを使用し、問題文に
かい
従って、解答用紙に楷 書で丁寧に記入してください。
なお、判読できない場合には、解答が無効となる場合がありますので 、注意して
ください。
(6) 解答に当たっては、問題ごとの解答用紙(各1枚)を使用してください。
なお、文字数の制限はありません。ただし、 解答は、解答欄内のみに記入し、裏
面や余白は使用しないでください。
(7) 下書きや計算等が必要な場合には、下書き用紙を使用してください。
(8) 記述されている内容の正確さ・専門性に加え、結論に至る論理展開、記載形式、文
字の正確さ・丁寧さ等、読み易さも採点の対象となりますので、解答に当たっては、
その旨も留意してください。
なお、論述に当たっては、文章を補助するため、図表等を使用しても構いません。
(9) 試験問題の内容に関する質問には、一切お答えできません。
(10) 試験中にトイレへ行きたくなった場合は、黙って手を挙げて係員の指示に従ってく
ださい。
(11) 試験終了時刻前に解答が済み、退出する場合は、黙って手を挙げて係員の指示に
従ってください。ただし、試験開始後30分間及び終了前10分間は、退出できません。
なお、退出する場合は、周りの受験者に配慮して、静かに退出してください。
(12) 試験終了の合図があったら速やかに筆記用具を置き、係員の指示に従ってください。
(13) 試験終了後、解答用紙を必ず提出してください。ただし、試験問題及び下書き用紙
は、持ち帰ることができます。
なお、解答用紙が提出されていない場合は、失格となります。
(14) 試験問題の転載、複製などを固く禁じます。
H28前-070S01-表紙
[配点:20 点]
問題1 上場企業を念頭に、企業とステークホルダーとの関係について、以下の設問に答え
なさい。
企業が様々なステークホルダーの要求を満たそうとすると、企業行動において対立 ・
矛盾が生じることがある。その具体例を2つ列挙しなさい。さらに、 列挙した対立・矛
盾を解消し、より良い企業経営を実践するために必要な姿勢や取組を明示した上で、期
待される効果を論述しなさい。
H28前-070S01-1
[配点:30 点]
問題2 以下に示す【事例】に基づいた場合、IT関連コスト削減に寄与すると思われる施
策を【表1】から2つ選択し、 設問①~③を答えなさい。 なお、削減できると思わ
れる費用項目については【表2】を参考にすること。
【設問】
1.選択した施策について、A社の事例を参考にその内容を具体的に 論述しなさい。
2.期待できる削減効果と関連する費用項目を推定し、論述しなさい。
3.選択した施策の実施に当たり、考慮すべきリスクについて論述しなさい。
【事例】
A社は大手の化学製品メーカーで、事業内容は概ね以下のとおりである。
・営業規模:年商約5,000億円、国内海外比率60:40
・5年後の目標:年商6,500億円、国内海外比率50:50
・事業所:製造拠点は、国内に3カ所、米国と中国に各々1カ所
営業拠点は、国内に6カ所、海外に4カ所
研究所は、国内の製造事業所内に各1カ所
【情報システム本部の概要と課題】
〇情報システム本部とコンピュータセンターは、本社内にある。
・構成要員は、正社員80名、外部契約社員15名である。
・正社員の主な業務:システム企画、設計、開発、運用保守管理、ヘルプデスク
・外部契約社員の主な業務:業務システム保守、プログラム設計・製造、オペレーショ
ン
・最近の情報技術の高度化の中、正社員だけでは技術スキルのキャッチアップが難しい。
〇基幹系システムの状況と課題
・基幹業務システムは、メインフレームで運用し、COBOL言語で自社開発している。
・古いシステムが多く、保守などに難があり、業務の変化に追随しにくい。
・オペレーションも古くからの名残で24時間/365日対応している。
〇情報系、製造・物流関連システムの状況と課題
・Unix, Windowsで構築、運用しているが、サーバー、ストレージ機器の台数が増え、
十分な資産管理ができていない。
・海外売り上げが伸びているので、営業支援及び海外事業支援システムの構築が急務で
ある。
〇通信ネットワークの状況と課題
・各事業所内は有線LANで、コンピュータセンターと国内製造事業所間は専用通信回
線で機器が接続されている。
・海外事業所だけでなく、国内外の関連会社・協力会社・取引先との業務連携の強化に
伴い、情報ネットワークの構築・強化が急務である。
〇その他
・全社の電話、携帯電話、タブレット及びPC関連機器の購入・契約は、情報システム
本部が管轄している。
・コピー、スキャナー及びFAX機は、総務部管轄のため、情報システム本部管轄のプ
リンターとは別管理になっており、機能面及び費用面に無駄が発生している。
H28前-070S01-2
・保守料に関する管理が不十分なため、保守料に対する保守契約の有無、保守契約に対
する対象資産の有無が不明となっている。
・年間のIT関連コストは、総額約60億円、対売上比約1.2%である。
・過去の拡大路線の影響でIT関連コストが膨張気味となっており、コスト管理の強化
が望まれている。
・与えられた目標は、売上増になっても対売上比1.0%の維持である
【表1】
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
【表2】
IT関連コスト削減に寄与する施策
システム資産と保守契約の棚卸
外部スキルの活用
SLA導入と運用プロセスの見直し
仮想化技術(サーバー、ストレージ)導入
システムリフォーム、マイグレーション
クラウドの活用
アウトプット機器の統合
運用の自動化
ネットワークの再構成
A社のIT関連コスト一覧と内訳
費目
人件費
※正社員人件費
業務委託費
※人材派遣、
業務請負等
購入費、使用料
通信関連費
保守・修繕費
固定資産減価償却費、
リース・レンタル料
その他経費
総計
コスト発生要素
システム分析・企画
システム設計・開発・テスト
システム運用・保守・維持管理
ヘルプデスク、トレーニング
業務システム保守
プログラム設計・開発・改修・テスト
コンピュータセンター・オペレーション
IT関連機器(H/W)購入
ソフトウェア・パッケージ購入、使用契約
専用回線・ネットワーク回線の設置・使用
電話・携帯・タブレット関連の契約・使用
IT関連資産(プリンター等アウトプット機
器を含む)の保守契約、修理・保全
IT関連の固定資産及び無形固定資産の償却
リース・レンタル機器の契約
教育・研修費、旅費交通費、交際費、
光熱費、輸送・郵便費、備品・消耗品費
年間約 60 億円、対売上比約 1.2%
H28前-070S01-3
内訳比
25%
8%
15%
17%
14%
13%
8%
100%
[配点:50 点]
問題3
次の【事例】を読み、以下の設問に答えなさい。
【事例】
生命保険業界では、1996 年の改正保険業法施行による自由化以降、多くの外資系保険会
社の国内生命保険への参入が進んだが、参入を急いだ結果として各種問題を抱えている。外
資系生命保険会社であるB生命のグループ本社C社は、名の通った海外大手企業で好業績が
続いているものの、日本子会社のB生命は、いまだ従業員 4,000 名程で契約件数 200 万件余
の中堅企業の水準に留まっている。B生命は、事業そのものは国内特化して、生命保険に加
えて第三分野と呼ばれる医療保険や企業年金も手掛けており、早期に大手の一角に食い込む
ことを狙っているが、業績は伸び悩み気味である。その1つの要因として、合併に伴う業務
効率化が充分ではないことがある。更に、既存の大手やネット販売生命保険会社との競合が
激しくなっている上、少子化の進展で将来的な市場環境が厳しくなると想定される中で、生
命保険以外の分野も組合せたお客様本位の新商品が出せず顧客数が伸びないことが大きい。
また、この業界では、比較的早くからシステム化が進んでおり、国内生保では一応完成
度の高い状況にあるが、外資系においては日本市場に合わせた開発を急いだこともあり、問
題を抱えている会社も少なくない。特に、初期は開発に係る基本ルール等開発管理を合理的
に行うための仕組みを具備するまでに至らず、新商品開発の度にサブシステムを追加するこ
とが通常であったため、業界内でも統一性を欠いたシステムを抱えている会社がいまだに多
い。
B生命では、合併を繰り返してきた歴史を反映して、経営情報システムは相当入り組ん
だ構成になっている。基幹システムでメインフレーム系が残存している一方、オープン系で
もいくつかのOSがあり、それらのシステム全体のアーキテクチャも複雑で、一元化合理化
には程遠いのが実情である。もちろん、合併以降の会社の業務プロセスやシステムは、それ
ぞれ最も適切なものを選択し統一している。中期の情報化計画では基本的な戦略が提示され
ており、その中でシステム・アーキテクチャについても一応の方向性が示されているが、そ
の具体性が充分ではないことから、遵守すべき方針が事実上形骸化している。そのため、個
別開発毎にアーキテクチャの検討はされるが、結局は個別最適の対応に終始している実態が
ある。そして、予算が単年度で策定されていることが、中期的な投資を要する業務の円滑な
実施に影響を及ぼしており、アーキテクチャもその例外ではない。また、開発経緯や設計内
容を文書化することが明確なルールになっていない状況が現在まで続いており、その意識付
けも不十分なままであるため、古くて複雑な組立のソフトウェアについては仕様の詳細が明
確でないものが一部あり、今後の保守にも不安が残っている。その背景には、生命保険が
10 年単位の超長期にわたるものが多いため、その情報の誤りのない維持管理が大変重要で、
システム更新が容易ではない事情がある。主要委託ベンダーに、基幹システムの統一合理化
について打診してみたことはあるが、技術的・負荷的にみて難易度が著しく高く、あまり現
実的ではないと、回答されている。
また、これまで 、業界では顧客とのやり とりと社内手続の大部分が「紙」を基本として
いたが、近年ペーパーレスの動きが大きく進行しつつあり、B生命でもその対応を図ってい
る。 具体 的に は、 顧客 と 直接 のや りと りを する フ ロン ト系 業務 (保 険の 勧 誘・ シミ ュレー
ション・申込み等)においては、営業現場にタブレット端末が既に導入されペーパーレスが
かなり実現しているが、バックオフィス系業務(査定や顧客情報の更新等)ではいまだに伝票
で処理されており、社内の事務作業の迅速化や効率化を早急に図ることが必須となっている。
そして、顧客管理を確実に行い営業を強化する上では、名寄せを確実に行う必要がある
が、必ずしもうまく行っているとはいえない。それは、多数のアーキテクチャやデータ入力
方法・フォーマットの異なるシステムからデータを抽出しているため、大手ベンダーの名寄
せ対応ミドルウェアを利用して逐次不整合の修正を図っているものの、それでもデータの整
合性が取れない場合が多くあることが大きな要因である。そして元々の不整合データの量が
膨大であるため、少々の修正では事実上減少に繋がっていないため、それらの顧客契約デー
H28前-070S01-4
タ管理についても、その所管がややあいまいで、業務部門とIT部門の間でそれぞれ相手側
み
な
に責任があると見做 している様な領域があり、そのことが名寄せに多少悪影響を及ぼしてい
る。さらに、既に終了している保険契約の情報が大量に残存していたり、顧客に連絡がつか
ないため宙に浮いている契約も一部ある状況が、データ環境を悪化させていると共にシステ
ム・レスポンスに影響する結果にもなっている。
インフラ面で見ると、元々多少 脆弱ではあったが、サブシステム追加時にも負荷や性能
が充分に試験・評価されているとはいえず、負荷分散の仕組みを組み込んでいてもその機能
が充分に働いていないことがあり、レスポンス低下やシステム障害が時々起きて、システム
利用者に負担を掛けている状況である。サーバーやデータ・センターを海外の複数の国に分
散させている上、システム運用を海外の本社が提携しているベンダーにオフショア委託して
いるため、この様な障害対応時の意思疎通に時間を要して、復旧に手間取る現実もあり、業
務遂行にも障害が出ている。今後、ネット販売等を強化する上で、基幹システムの 24 時間
稼働が必然化する見込みであり、それも含めた全体を見据えた対応が避けられないと理解さ
れている。
なお、大量の顧客情報について、その秘匿に十全な対応が必要であるが、包括的なセ
キュリティ管理を担保する仕組みが弱いため、ルール違反も散見されて漏洩リスクが低いと
はいえないことが不安材料である。従業員のセキュリティ意識も、管理の仕組みの弱さに引
きずられているところがあり、その面でも懸念がある。
これらに対処すべき情報システム部門は、総勢 40 名弱でシステムの企画・要件定義・開
発管理・運用管理等の役割を担っているが、合併会社の常として全般的な部門を跨る業務プ
ロセスやシステムの状況を把握できる社員は余りおらず、それを補完すべき業務部門との政
策的人事交流等もないため、当面その様な人材を確保することは見込めない。
また、社員採用を抑制的に行う人事政策もあって人員的にも不足がちであるため、ベン
ダー依存が顕著である。加えて、業務プロセス全体のドキュメントがなく、部分的に存在す
るものも更新されず陳腐化している中で、業務効率化に取り組んだ経験のある社員も殆どい
ない等、プロセスを再評価して革新するきっかけ作りも難しい状況である。
この状況を打開するため、システム全体を合理化・簡素化し、業務品質と顧客満足度の
向上を達成する戦略の立案が求められている。CIOに新たに任命されたあなたは、社長か
ら「システムや情報の信頼度を高め、安定的な業務運営や営業力の向上に寄与すると共に、
業務プロセスの改善・効率化を達成するための基本計画を策定・遂行してほしい。」と命じ
られた。社長の要請を受けてあなたは、IT 関係テーマだけでなく組織運営面(業務分担・
責任や人事施策等)も視野に入れ、業務効率化を含む解決すべき重要課題とその対応策を洗
い出す検討を開始した。そして、その検討結果を具体的なロードマップ策定につなげるつも
りである。
H28前-070S01-5
【設問】
CIOとして限られたリソ-スを念頭に、重要課題の絞り込みを行いつつ、具体的な施
策に展開する必要がある。その内容について、以下の1~3に答えなさい。
1. B生命における情報システムとその関連組織回りの解決すべき課題について、重要
と思われるものを5つ挙げなさい。また、その課題ごとにその趣旨、取組内容及び進
め方について、1課題4行程度で論述しなさい。
なお、「業務プロセス改善・効率化の基本計画」については、設問3で問うので、本
問では除外すること。
........
2. 設問1の課題を重要と判断して選択した際に、課題全体を通じて よりどころとした
経営的な観点や判断基準のポイントを、B生命の実情や IT 部門の実態を踏まえて論述
しなさい。
3.「業務プロセス改善・効率化に向けた基本計画の策定・遂行」は大きな課題であるも
のの、B生命において人材や業務知識・改革経験等、あらゆる面で制約の多い現状を
踏まえた進め方が必須である。実効性を伴う計画を策定し遂行する上で、注力すべき
以下の3つについて、それぞれ実施すべき内容を論述しなさい。
①
②
③
全社的な取組体制の確立
計画策定のための準備作業の実施
基本計画立案・承認と遂行(計画書に網羅すべき事項を含む)
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