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Page 1 横浜医学、61、581-589 (2010) 総 説(平成21年度横浜市立

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Page 1 横浜医学、61、581-589 (2010) 総 説(平成21年度横浜市立
横浜医学 ,61,581589(2010)
総
説 (平 成 21年 度横浜市立大学 医学会賞受賞研 究 )
ペ ースメー カー植込 み症例 にお け る
Attioventricular(AV)delayの 至適 化
石
川
利
之
横浜市立大学附属病院 循環器内科
:PQ時 間 は心房 ・心室 の収縮 タイ ミングを規定 し,心 機能 に影響 を与 える。ペー スメーカー
における,心 房 ・心室の刺激 間隔を心房心室遅延 (at五 Oventricuh dclay:ノ W dclay)と い う。心機能が
正常 な場合 は,正 常 PQ時 間内では,心 機能 は大 きな変化 を示 さない.し か し,心 機能低下例 では
この 許容範 囲 は狭 くな り,ハ/dclayの 設定 は重要 となる。特 に,心 不全 に対 す る心臓 再 同期療法
″
(cardiac rcsynchroniza■ on thcrapy:CRT)│こ お い ては至適 ハ dclayの 設定が重要 である.左 室拡張末
期圧が上 昇 した心機能低下例 にお い て,拡 張期僧帽弁逆流 が認め られるが ,DDDペ ー スメー カー植
込み症例 にお いて も,ハ/dclayを 延長す る と拡張期僧帽弁逆流 が 出現 し,短 縮す る と消失す る。拡
張期僧帽弁 逆流が発生 して い る時相 は拡張期 としては無効 であ り,有 効 な拡張期が短縮 し,心 機能 は
低下す る。ハ /dclayを 短縮す ると拡張期僧帽弁逆流 は消失 し,有 効 な拡張期が延長す るが ,ハ″dclay
を短縮 し過 ぎると′
さ房 1又 縮 を中断 し,心 機能 を低下 させ る。心 房1又 縮 の終末点 と,心 室収縮 によ りも
要
旨
,
た らされる僧帽弁 の 閉鎖点 が一致す る ハ Z dclayに 設定す ることによ り心房収縮 を中断 させ ることな
く拡張期僧帽弁逆流 は消失す る.至 適 ハ ″dclayは ,設 定 されたわずかに延長 された ハ Z dclayか らそ
の設定におけ る心房収縮の終末点 と僧帽弁 の閉鎖点 の 間隔 (拡 張期僧帽弁逆流 の持続時間)を 引 いた
値 により予測可能である。今後 の展望 としては,至 適 ハ ″dclayの 自動設定化 が望 まれる。
る 14).非 生理 的 ペ ース メ ー カー は,心 房 負荷 が 高 く
,
緒
ペ ース メ ー カー症候群 ,心 房細 動発 生 が 問題 とな る 15).
PQ時 間 は心 房 ・心 室 の収 縮 タイ ミング を
規定す る.ペ ース メ ー カー にお け る,心 房 ・心 室 の刺 激
心 電 図上 の
間隔 を心 房心 室 遅延
(a廿 10venticular dclay:ノ
PQ時 間 の心 機 能 に与 える影響
心 房収 縮 の 心 機 能 に対 す る寄与 は,PQ時 間 に よ り強
W dclay)と
80.PQ時
間 を極 端 に延 長 した り,短
い い ,そ の 設 定 は心 機 能 に影響 を与 える。我 々 は ,ペ ー
く影響 を受 け る
ス メ ー カー お よび両心 室 ペ ース メ ー カ ー植 込 み した心臓
縮 した りす る と,心 拍 出量 は低 下 し,肺 動 llrit楔 入圧 は上
再 同期療 法 (cardiac rcsynchronization thcrapy:CRT)症
昇 し,至 適
例 にお け る a巨 Ovcntriculal(ハ Z)dclayの 至 適化 の 意 義 と
方法 につ い て研 究 して きた。
心房 心 室収 縮 の 協調 性
ペ ース メー カ ー は,心 房 心 室協 調性 の有 無 に よ り,生
理 的 ペ ース メー カ ー と非 生 理 的 ペ ース メ ー カー に分 け ら
れ る。心 房 の心拍 出量 に対 す る寄与 は20-30%で あ るが
,
PQ時 間が存 在 す る 80。 実 際 に は ,心 機 能
さ
が正 常 な場 合 ,正 常 PQ時 間内 で は ,心 室急 速流 入 と′
房収 縮 は互 い に補 い あ い ,心 機 能 は大 きな影響 を受 けな
い 。 従 っ て ,血 行 動 態 の 面 か ら ハ r dclayの 設 定 に気 を
使 う必要 はあ ま りな い .し か し,心 機 能低 下例 で は ,こ
の 許容 範 囲 は狭 くな り,AV dclayの 設 定 は重 要 とな る
(Figurc l)8).心 機 能 低 下 夕1に お い て は,至 適 PQ時 間
は,短 い 方 に移 動 す るの で ,shortハ ″delay療 法 が 有 効
心室 の1又 縮 能力 お よび拡 張 能 力 が低 下す る と,こ の比 率
とな る1二 ②.心 不 全 症例 ,特 に左 脚 ブ ロ ック例 で は心 室
は高 ま り,低 下 した心室機能 を心房収縮が補 う。心 房心
室協調性 のない非生理的ペー スメーカーではこの部分が
間 の伝 導 遅延 が大 き く,左 房一 左 室 間 の PQ時 間 は延 長
して い る こ とが 多 い .左 右 の至 適 ハ ″dclayの 差 は心 房
ヽ
と
機 能 は改善す
失 われ,生 理的 ペ ー ス メー カ ー に よ り′
さ室 間 の伝 導 遅延 ,左 右 心 室 の等 容収縮
間 の伝 導遅延 と′
石川利之 ,横 浜市金沢区福浦 3-9(〒 2360004)横 浜市立大学附属病院 循環器内科
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