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第16号(2011年3月31日発行)

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第16号(2011年3月31日発行)
大東文化大学図書館
大東 BOOKS
第16号 2011年 3 月 31 日
図書館からのお知らせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
海外資料収蔵機関めぐり(香港基本法研究にあたって)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
図書館からのお知らせ
◆4
4月以降の
月以降の図書館開館について
図書館開館について
すでに大学のホームページでもお知らせしておりますが、図書館の開館は次の通りとなります。
電力使用抑制のために、ガイ
ガイダンスの
ガイダンスの前日
ダンスの前日(
前日(4 月 25 日)まで開館時間
まで開館時間を
開館時間を短縮いたします。
短縮
1、開館日:4 月 11 日(月)
2、開館時間:板橋校舎・・・・・9 時 00 分~16 時 30 分
9 時 00 分~11 時 30 分(土曜日)
東松山校舎・・・9 時 30 分~16 時 00 分
9 時 00 分~11 時 30 分(土曜日)
計画停電(第 4 グループB)が実施された場合
[停電時間]
[開館時間]
6 時 20 分~10 時 00 分
10 時 30 分~16 時 00 分
9 時 20 分~13 時 00 分
13 時 30 分~16 時 00 分
12 時 20 分~16 時 00 分
9 時 30 分~11 時 10 分
15 時 20 分~19 時 00 分
9 時 30 分~14 時 10 分
※ 通常時間の開館日は 4 月 26 日(火)を予定しておりますが、時間等については
改めてご案内いたします。
1
◆図書
図書の
返却について
図書の返却について
1、学 生:春休み中貸し出した図書で返却日が 4 月 15 日(金)となっている図書は 5 月
16 日(月)までにご返却ください。貸出停止の処置はとりません。
2、教職員:返却日が閉館期間中にあたる図書は、5 月 16 日(月)までにご返却ください。
◆2011 年度図書館ガイダン
年度図書館ガイダンスについて
ガイダンスについて
★ 板橋図書館ガイダンス
板橋図書館ガイダンス
板橋図書館では、ゼミやグループ単位でレポート・論文作成に役立つガイダンスを実施します。
図書館2階メインカウンターで申し込んでください。
コース内容は、
「図書館活用コース」、
「資料検索コース」、
「データベース紹介コース」などがあり
ます。
★ 東松山図書館ガイダンス
東松山図書館ガイダンス
第 15 号(2010 年 12 月 20 日)でもお知らせいたしましたが、2011 年度学年歴の変更に
より、再度日程を調整いたしました。詳細につきましては、図書館内の掲示にてご確認ください。
なお、ガイダンスを受講する際は「図書館利用案内」の冊子をご持参ください。受講印を押印
いたします。
<ガイダンス概要>
①東松山図書館では、2011 年度図書館ガイダンスを、ガイダンス室だけではなくAVホール
を利用しての実施といたします。
②2011 年 4 月より新図書館システムに移行となりますので、一人でも多くの学生・教職員の
方に受講していただけるよう変更いたします。
③申込制といたしますので、図書館内掲示等のスケジュール表に基づき、東松山図書館1階カ
ウンターに申込んでください。
東松山図書館ガイダンス内容
種類
所要時
間(分)
内容
基礎(AV)
OPAC、館内見学
応用(AV)
Cinii、webcat、日経テレコン 21、聞蔵Ⅱ
実施場所
備考
45~60
AVホール(地下1階)
60
※ガイダンスを受けた学生には受講証(利用案内に印刷)に受付印を押します。
スケジュールは図書館の掲示版でもお知らせします。
2
申込制 (130 名まで)
ガイダンス日程
5月
5月
1限
2限
昼休み
3限
4限
5限
備
考
1
日
休館
2
月
新入生ガイダンス(松)
3
火
新入生ガイダンス(松)
4
水
新入生ガイダンス(松)
5
木
授業準備/こどもの日
6
金
前期授業開始
7
土
8
日
9
月
休館
10 火
11 水
12 木
13 金
基礎
基礎
14 土
短縮開館/履修登録・健康診断
短縮開館/履修登録・健康診断
休館
15 日
16 月
基礎
17 火
基礎
短縮開館/履修登録・健康診断
基礎
18 水
基礎
19 木
基礎
20 金
基礎
21 土
休館
22 日
23 月
基礎
24 火
基礎
25 水
基礎
26 木
基礎
27 金
基礎
基礎
基礎
応用
28 土
閉館/新入生歓迎会
29 日
休館
30 月
基礎
31 火
基礎
基礎
3
6月
6月
1限
1
水
基礎
2
木
基礎
3
金
基礎
4
土
5
日
6
月
基礎
7
火
基礎
8
水
基礎
9
木
基礎
10 金
基礎
2限
昼休み
3限
4限
5限
備
応用
休館
応用
11 土
OC
12 日
13 月
基礎
14 火
基礎
15 水
基礎
16 木
基礎
17 金
基礎
応用
18 土
休館
19 日
20 月
21 火
応用
基礎
22 水
23 木
基礎
24 金
25 土
休館
26 日
27 月
基礎
28 火
29 水
応用
基礎
30 木
4
考
7月
7月
1
金
2
土
3
日
4
月
5
火
6
水
7
木
8
金
9
土
1限
基礎
2限
昼休み
3限
4限
備
応用
休館
基礎
基礎
応用
休館
10 日
11 月
5限
基礎
12 火
13 水
基礎
応用
14 木
15 金
基礎
16 土
17 日
休館
18 月
通常授業/海の日
19 火
基礎
応用
20 水
21 木
基礎
22 金
23 土
OC
24 日
25 月
26 火
27 水
28 木
29 金
30 土
31 日
5
考
◆図書館資料
図書館資料の
取扱いについて
図書館資料の取扱いについて
最近、貸出した本(図書資料)に蛍光
蛍光マーカー・
ペー
蛍光マーカー・ボールペン・
マーカー・ボールペン・鉛筆
ボールペン・鉛筆などによる
鉛筆などによる書込
などによる書込み
書込みや、ペー
ジの切取
図書番号の
ジの切取り
切取りおよび図書番号
図書番号の剥ぎ取りが横行しております。借りた本は個人の所有物ではあり
ません。借りたら返すのが当たり前のルールであり、他人の物は傷付けてはならないものです。
図書館の
図書館の本は、全て大学の
大学の資産として
資産として登録
として登録しているものであり
登録しているものであり大切
しているものであり大切な
大切な大学の
大学の財産です
財産です。
です。大事に
大事に
利用しましょう
利用しましょう。
しましょう。
東松山図書館では、入口正面に現物を提示しております。
★ 蛍光マーカー・ボールペン
蛍光マーカー・ボールペン
鉛筆などによる
鉛筆などによる書込
などによる書込み
書込み
★ ページの切取
ページの切取り
切取り
★ 図書番号の
図書番号の剥ぎ取り
★ ページの切取
ページの切取り
切取り
◆図書館新
図書館新システムについて
図書館新システムについて
2011 年4月 1 日より図書館システムが新しくなります。それに伴い図書館の蔵書が検索でき
る OPAC も変更となります。新 OPAC では蔵書が調べられるだけではなく新たなサービスを提
供いたしますので、図書館で実践してみてください。
大東文化大学 OPAC
大東文化大学図書館で所蔵している資料の検索ができます。検索は「簡易検索」と「詳細検索」
の2種類があります。
図書館サービス
図書館サービス
・図書新着案内
図書館ごとに分野ごとの新着リストが表示されます。
・雑誌最新巻号案内
図書館ごとに所蔵雑誌の一覧が表示され、タイトル単位に最新の巻号が表示され
ます。
・AV 新着案内
図書館ごとに AV 資料の形態別の新着リストが表示されます。
・雑誌タイトルリスト
和・洋別に所蔵雑誌の一覧が表示されます。
6
・AV 資料タイトルリスト
AV 資料の形態ごとにタイトル順にリストが表示されます。
・指定図書(板橋)
(東松山)
先生が指定した試験時などの課題図書が科目ごとに表示されます。
それぞれのリストで、New!とあるのは1週間以内に追加された資料です。それ以外は1ヶ月以内
に追加された資料です。
MyOPAC
MyOPAC を利用するには、ID とパスワードが必要ですが、特別なサービスを提供しています。
ここでは、主な利用サービスについて説明します。
① 貸出・予約状況照会では、現在借りている図書の貸出状況や予約状況が確認できます。また、
1度だけ延長できます。
② メールアドレスを登録すれば予約図書の利用可能時や購入希望図書の連絡等が届きます。
◆ライティングセンター(
ライティングセンター(仮称)
仮称)開設準備
開設準備について
準備について
201
2011 年 5 月下旬頃から
月下旬頃から東松山図書館
から東松山図書館 1 階にライティングセンター(
にライティングセンター(仮称)
仮称)を開設する
開設する予定
する予定
で現在準備を
現在準備を進めております。
めております。ライティングセンターとは、論文やレポートの書き方およびそ
れら課題の資料の探し方などを指導するものです。各学部の先生方が交代で担当する予定です。
悩んでいないで相談してみてください。図書館を利用するのが楽しくなるかも知れませんよ。
◆図書館利用に
図書館利用に関する規則
する規則について
規則について
図書館では、利用者のみなさんに気持ち良く図書資料を利用して頂きたく、規則に則って運営
しております。そこで「大東文化大学図書館の利用に関する取扱要領」のうち「
「図書館利用に
図書館利用に関
する遵守事項
する遵守事項」
遵守事項」を紹介いたしますので規則を守ってご利用ください。
図書館に
図書館に関する遵守事項
する遵守事項(
遵守事項(大東文化大学図書館の
大東文化大学図書館の利用に
利用に関する取扱要領
する取扱要領より
取扱要領より抜粋
より抜粋)
抜粋)
(図書館利用のマナー)
第三十四条 利用者は、図書館の利用にあたっては、次の各号に掲げる事項を守らなければな
らない。
一
図書館を利用する際は、学生証、職員証、「図書館利用カード」等を必ず携帯すること。
二
館内では、静粛を保ち、私語を慎み、携帯電話等の音の出る装置を使用しないこと。
三
館内では、飲食、喫煙を行わないこと。
四
館内では、他の利用者の妨げとなるような行為を行わないこと。
五
資料は、丁寧に取り扱うこと。
7
六
資料の切り取り・書込み、汚損、または器具その他の設備を汚損もしくは毀損しないこと。
七
資料を他人に転貸(また貸し)し、または資料を無断で持ち出さないこと。
八
図書館の定める規則及び条件等(以下「規則」という)を遵守し、係員の指示に従うこと。
(資料等の弁償)
第三十五条 利用者は、資料等を汚損または紛失したときは、その損害を弁償しなければならな
い。
※1
2
資料の弁償に関しては、図書館規則第十九条の規定を適用する。
3
利用者は、図書館の施設、設備、機器、備品等を汚損または破損したときは、その損害を弁
償しなければならない。この場合には、本学園の規則等に基づき請求を行う。
(利用の制限)
第三十六条
館長は、図書館の定める規則等に従わない者に対しては、図書館の利用の制限また
は停止を命ずることができる。
※1「図書館規則第十九条」
(資料の弁償)
第十九条 資料を汚損又は紛失した者は、原則として、現物をもって弁償するものとする。
ただし、現物弁償が不能の場合は、その代価をもって弁償することができる。
8
海外資料収蔵機関めぐり
香港基本法研究にあたって
~香港大学法学部図書館、香港基本法図書館およびインターネット資料の紹介~
廣江倫子(国際関係学部国際文化学科専任講師)
1997 年 7 月 1 日にイギリスより中国に返還されてから、中国内の一つの特別行政区とな
った香港では、「一国二制度」のもとで、「高度の自治」が認められ、中国本土とは異なる社
会・法律・政治・経済制度が保持されている。
「一国二制度」を法律の形で表わしているのが、返還後の香港の憲法にあたる「中華人民
共和国香港特別行政区基本法(以下、香港基本法と称する。)」である。香港基本法は、中国
と香港・イギリス双方からなる起草委員により起草され、1990 年 4 月に公布され、1997
年 7 月 1 日より実施された。
香港基本法は序言、全 9 章、条文 160 ケ条、付属文書 3 件を擁している。その内容を各
章のタイトルから見ると、第 1 章「総則」、第 2 章「中央と香港特別行政区との関係」、第 3
章「住民の基本的な権利と義務」、第 4 章「政治体制」、第 5 章「経済」
、第 6 章「教育、科
学、文化、体育、宗教、労働、社会奉仕」
、第 7 章「対外事務」、第 8 章「本法の解釈と改正」、
第 9 章「付則」と、現代憲法にふさわしい内容を誇っている。
香港基本法に関する訴訟も、返還後数多く提起されている。それらは、香港の政治や社会
のあり方にかかわる重要な内容を含んでいる。例えば、返還後香港における最大規模の訴訟
として、香港基本法第 24 条が規定する香港居留権保持者の範囲に関するいわゆる居留権事
件がある。居留権事件は、主に香港人(香港居留権を有する者。
)の中国本土で生まれた子女
にも、香港居留権が認められるかどうかが争われた事件である。この事件では、香港の移民
問題ばかりか、香港終審法院(香港域内の最高裁に相当する。香港返還を機に新たに創設さ
れた。)の香港基本法の解釈方法や、同じく香港終審法院が中国の法律に対して、香港基本法
にしたがって違憲審査をなしうると判断したこと等が香港内外の議論を呼んだ。
居留権事件におけるいま一つの大きな動きは、終審法院判決が下されたあとで中国全国人
民代表大会常務委員会(以下、全人代常務委と称する。)により返還後初めて香港基本法の解
釈が行われたことだった。この全人代常務委による香港基本法の解釈は、その後、香港の民
主化(ここでは香港行政長官および香港立法会議員の全面普通選挙化を求める動きを指す。
)
等、返還後香港の「一国二制度」のいわば枠組みの確定に際して行われている。
今回、本稿の執筆機会をいただくにあたって、このような香港基本法研究を進める上で有
益な資料館やウェブサイトを、この場をかりて紹介することとしたい。それらは、①香港大
学法学部図書館、②香港基本法図書館、③香港政府が運用する香港基本法を特集したウェブ
サイトである。
9
1.香港大学法学部図書館(The University of Hong Kong, Lui Che Woo Law Library)
香港大学(The University of Hong Kong)は 1911 年に設立された香港で最も伝統のあ
る大学である。ただし法学部の設立は戦後になってからで、1969 年に社会科学学部の一学
科として法学科が設立され、その後 1984 年 7 月 1 日に法学部として独立した。なお香港
に設置された初めての法学部であり、長らく域内唯一の法学部であった。香港大学法学部図
書館は、法学部に敷設された図書館である。
香港大学は、いくつかのキャンパスを持つが、法学部図書館のあるメイン・キャンパス
(Main Campus)は香港島の西部地区に位置している。ちょうど香港島の中心部(中環
(Central)・灣仔(Wan Chai)・金鐘(Admiralty)付近)とビクトリア・ピークの中間あ
たりに位置していて、山の斜面を利用した形になっている。そのため、学内の建物の間で、
ある建物の 2 階が他の建物の 3 階につながっている、エレベーターや階段が非常に多いとい
った特徴がある。
香港島中心部から香港大学への移動手段は、バス、ミニバス、タクシーなどの手段がある。
このうち、バスでの行き方について説明すると、バスは複数の路線が香港大学を経由してい
るが、比較的分かりやすく、便数も多いのが、23 系統である。九龍半島側やその他香港島
の地下鉄(MTR)主要駅から利用する場合、地下鉄(MTR)金鐘(Admiralty)駅で下車す
ると、駅の地上がバス停になっていてわかりやすい。そこで 23 系統のバスに乗り換える。
(ちなみに、23 系統のバス以外に、23A 系統、23B 系統といったバスもあるが、全く路
線が異なり、香港大学を経由しないので注意が必要。)金鐘(Admiralty)駅のバス停から山
を登るような形でバスが進んでいくと、般咸道(Bonham Road)から薄扶林道(Pok Fu Lam
Road)に入り、左手に香港大学の敷地と「香港大学」の文字が見えると、バス停が近い。バ
ス停ごとにアナウンスはないが、香港大学の学期中は、金鐘(Admiralty)のバス停で 23
系統のバスを待つ大学生らしき若者も多く、香港大学で一斉に下車するので、下車するバス
停は分かりやすい。バスの支払いは下車する際に現金で払うことも可能だが、日本の SUICA
や PASMO と同じような機能を持つオクトパス・カードを用いるのが便利である。オクトパ
ス・カードは香港国際空港や地下鉄、街中のセブンイレブン等で購入することができる。
香港大学付近のバス停に到着すると、学生達の流れに沿って、バス停近くにある香港大学
の東門から階段をあがる。途中で、エレベーターに乗り換え、紐魯詩樓(Knowles Building)
と梁球琚 樓(K K Leung Building)の連絡通路があるフロアまで進む。そこで、紐魯詩樓
(Knowles Building)側に進むと、中山広場(Sun Yat-sen Place)を抜けて香港大学大学図
書館(Main Library, the University of Hong Kong)の建物(Library Building)が正面に
見える。なおキャンパス内の地図は以下のウェブサイトにある。
(http://www.hku.hk/maps/index.html)
香港大学の関係者ではない場合、香港大学内の各図書館を利用するには、臨時の入館証が
必要になる。まず香港大学大学図書館(なお、香港大学大学図書館の概要は以下のウェブサ
イトにある。http://lib.hku.hk/mainlib/index.html)の入り口横にある受付に行き、臨時の入
館証を発行してもらう。短期利用の場合と長期利用の場合で若干手続が異なるが、ここでは
短期利用の場合を説明すると、以下の通りである。まず、短期利用の場合、紙でできた名刺
大のサイズの入館証をその場で発行してもらえる。その際、事前に在籍校・本務校の図書館
10
で発行してもらった英語の紹介状をパスポートと一緒に提示する。また利用日数等も伝える。
パスポートを提示するだけでも入館証を発行してもらえることもあるが、正式には紹介状が
必要とされている。入館証発行の際に、希望者には図書館内のパソコンとインターネット使
用の際のパスワード等も同時に公布してもらえる。パスワードがあれば利用期限内であれば、
館内のパソコンやインターネットを利用することができる。香港大学の大学図書館の入口に
はゲートが設けてあるが、この紙の入館証で図書館に入館する際、その都度受付に声をかけ
て、ゲートを開けてもらう。なお、入館証は利用最終日に受付に返却しなければならない。
香港大学法学部図書館は同じキャンパスにある。
(なお、香港大学法学部図書館のウェブサ
イトは以下の通りである。
http://lib.hku.hk/lawlib/index.htmlhttp://lib.hku.hk/lawlib/index.html)香港大学大学図書館正
門から、中山広場を通り、紐魯詩樓(Knowles Building)を抜けて、隣の梁球琚 樓(K K Leung
Building)に行くと、1 階と 2 階(香港では建物の階をイギリス式に数えているので、日本
式では 2 階と 3 階になる。以下、イギリス式に表記する。
)に位置する。梁球琚 樓に入ると、
中央にエレベーター乗り場があり、その横に法学部図書館入口に通じる階段がある。梁球琚
樓には法学部と法科大学院が入っており、法学部事務室、専任教員の研究室、法学部の授業
で使用される教室が上層階に入っている。
法学部図書館にも入り口にゲートが設置されているので、大学図書館で作成してもらった
臨時の入館証を入り口横の受付の職員に提示し、ゲートを開けてもらう。手荷物やパソコン、
デジカメ等の持ち込み制限は特にない。
法学部図書館の蔵書内容からいうと、香港大学法学部が長らく、香港唯一の法学部であっ
た歴史から、伝統的に、香港法に関する諸資料はもちろん、イギリス、オーストラリア、カ
ナダ、インド、マレーシア、ニュージーランド、シンガポールといった主要なコモン・ロー
採用諸国に関する資料が充実している。例えば、第一次資料として、香港政府の政府憲報
(Government Gazette)
、1901 年以降の香港法例(Laws of Hong Kong)のすべて、さら
に判例集に搭載されていない判例(unreported judgments)が完備されている。第二次資料
としては、法律専門書があり、包括する範囲は広く、学術的な専門書から、弁護士活動のマ
ニュアル類にいたるまでが所蔵されている。香港法に関する書籍は香港法テキストコーナー
(Hong Kong Law Text books)にまとめて所蔵されている。
近年では中国語で書かれた法律書の所蔵にも力を入れており、中国法コーナー(Chinese
Law Collection)が 1 階のほぼ全域を占めている。
雑誌類は英語の法律雑誌のほか、中国語で書かれた法律雑誌(中国・台湾・マカオ・香港
で出版されたもの)もかなりの数を揃えている。過去数年分は 1 階の開架に置かれており、
筆者の印象として、整理が行きとどいており、容易に目的の論文を探し出すことができた。
それ以前の雑誌は同じく 1 階の集密書庫に製本して所蔵されていて、これも整理が行きとど
いていた。
2 階の香港基本法特集コーナー(Basic Law Collection)では、中国語と英語による以下の
文献が収集されている。香港基本法に関する判例、香港基本法起草委員会および香港基本法
諮問委員会による諮問文書と報告書、香港基本法に関して開催された学術会議における配布
物、学術機関、地域機関、出版社、専門職団体などが発行した香港基本法に関する本と出版
11
物。
データベースも豊富に取りそろえられており、法学部図書館内の PC から、Westlaw
international、Lexis、HeinOnline、Chinalawinfo.com(北大法律信息網)などに接続できる。
法学部教員出版物のコーナー(Faculty Publications Collection)は入り口横の受付の向か
いにあり、香港大学法学部の(退職者も含めた)専任教員の著述がまとめて所蔵されている。
書籍だけでなく雑誌掲載論文の抜き刷りや学会、研究会、シンポジウム等に提出した未公刊
のペーパーも所蔵されており、香港法研究を行う上でかなり充実した資料を提供している。
香港研究に関する資料をまとめて収蔵しているという点からすると、香港大学大学図書館
1 階に設置されている「Special Collections」のなかにある「Hong Kong Collections」が、
香港研究者の間で有名である。(ウェブサイトは以下の通りである。
http://lib.hku.hk/hkspc/index.html)。 ここでは、香港の歴史や生活に関するあらゆる書籍、
雑誌、政府出版物、新聞が所蔵されており、香港に関する資料を包括的に所蔵している点で、
香港域内で最大のものである。ただ、香港基本法に関しては、
「Hong Kong Collection」では
書籍による資料が中心で、法学部図書館のような法律雑誌や判例集、政府憲報等は収蔵して
いないので、香港基本法研究に関しては法学部図書館の方が充実しているとの印象を受けた。
香港大学内の図書館所蔵資料は全てウェブサイト(http://lib.hku.hk/)で検索が可能とな
っており、検索システム「Dragon」に入って所蔵資料を検索する。
開館スケジュールについて、法学部図書館は、学期中は月曜から土曜まで開館している。
ただ、クリスマスと旧正月、イースターの前後に数日間の休暇があるので、注意する必要が
ある。(開館スケジュールについて、次のウェブサイトで確認できる。
(http://lib.hku.hk/general/hours/holiday.html)
文献複写について、1 階に複写室があり、2 階にも階段付近に複写機が数台設置されてい
る。オクトパス・カードを使って自由に複写することができる。オクトパス・カードは入り
口の受付でチャージすることもできる。オクトパス・カードを持っていない場合、または領
収書が必要な場合、入り口横の受付でコピーカードを購入することができる。複写の際、用
紙は A4 しか備え付けがないので、それ以外の大きさの資料を複写する際、適宜倍率を変え
て A4 サイズにしてから複写する必要がある。
1 階と 2 階にそれぞれ図書閲覧用のスペースがある。パーティションで仕切られた机と椅
子が置かれている。1 階は、集密書庫を抜けた奥のスペース、2 階はフロアの大半が図書閲
覧用スペースに充てられている。2 階には香港や他のコモン・ロー採用諸国の判例集が置い
てあるからか、筆者の印象として、学期中の平日、特に法学部の講義が終わり、法学研究科
の講義(夜間)が始まる前の午後遅くからは、学部学生や法学研究科生が大挙してやってき
て資料収集に奔走したり、グループプレゼンテーションの準備に熱中したりと、なにかと活
気にあふれていたのを覚えている。落ち着いて資料を閲覧するなら、午前中か香港大学の長
期休暇中の利用をお勧めしたい。
余談になるが、香港の建物に共通して言えることとして、室内の温度が日本に比べてかな
り寒い。年間を通じて冷房を効かせていて、設定温度がかなり低いことによる。そしてそれ
は街中の商業施設だけではなく、香港大学も例外ではなかった。特に、夏場は外との温度差
が激しいため注意が必要である。香港人の友人によると、香港人にとっても建物内の寒さは
12
こたえるらしく、この習慣のせいで毎年、職場等で夏場に体調を崩す人が絶えないとのこと
だった。筆者の香港大学留学時も図書館に長期滞在する際、冬用のコートが手放せなかった。
また、香港人学生もダウンジャケットやウィンドブレーカーを常備していた。図書館に長期
滞在して作業する際は、こまめに外に出て休憩をとることをお勧めした。
香港大学のメイン・キャンパスの中には食堂やカフェがいくつかある。
(詳しい情報は以下
のウェブサイトにある。
http://cedars.hku.hk/cedars1/SubCampusLife.aspx?submenu=../Catering/Menu/Catering&cm
d=./Catering/MainCampus&lkind=8&slt=31)上記に紹介した図書館の近くのもので言えば、
大学図書館の入口を出てすぐ右手にあるカフェは数年前からスターバックスコーヒーが運営
しており、簡単な軽食と飲み物を取ることができる。月曜から土曜までは午前 7 時半から営
業している。法学部図書館のある梁球琚 樓(K K Leung Building)を抜けて、山側に向かう
通路を進んでいくと荘月明文娯中心(Chong Yuet Ming Amenities Centre)に入る。この建
物の 4 階のフロア全体が、食堂になっており、位置口付近の小さなカフェ(Oliver's Super
Sandwiches)と残りのフロア全体の食堂(Maxim's FOOD2)がある。食堂では雲呑麺とい
った簡単な広東料理やパスタ、サンドイッチ等の軽食が提供されている。食堂は午前 7 時半
から午後 9 時半まで営業しており、朝はお粥と腸粉や油條といった香港の伝統的な朝食も楽
しむことができた。またこのビル内には小さなスーパー(PARKnSHOP)も入っている。
(香港大学東門付近)
2.香港基本法図書館(The Basic Law Library)
香港基本法図書館は、香港の公共図書館の一つである大会堂公共図書館(City Hall Public
Library)の 5 階のフロア全体を占めている。大会堂公共図書館は、中環(Central)地区の大
会堂(City Hall)の隣にある。通りでいうと、干許道中(Connaught Road Street Central)
沿いにある。地下鉄(MTR)中環(Central)駅で下車し、立法会大樓(Legislative Council
Building)の向かいの緑に囲まれた皇后像広場(Statue Square)を、香港上海銀行の特徴的
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な形のビルを背にビクトリア湾の方面に歩き、マンダリン・オリエンタル・ホテルを超えた
ところが干許道中(Connaught Road Street Central)になる。そこから斜め右向かいが大会
堂と大会堂公共図書館である。なお、簡単な地図が以下のウェブサイトにある。
(http://www.hkpl.gov.hk/english/locat_hour/locat_hour_ll/locat_hour_ll_hkir/library_6.html)
香港島の中心部ともいえる地区なので、地下鉄(MTR)中環(Central)駅から徒歩でも
行けるし、地下鉄(MTR)金鐘(Admiralty)駅からも遠くはない。バス、ミニバス等の路
線も豊富にある。周囲には立法会大樓(Legislative Council Building)や終審法院(Court of
Final Appeal)という立法、司法に関する歴史的な建築物も多い。
香港基本法図書館は、以前は銅鑼灣(Causeway Bay)の香港中央図書館(Hong Kong
Central Library)のなかの特設コーナーにあったが、2004 年 12 月からこの場所に移転し
た。香港の他の公共図書館と同じく、基本的に誰でも入館できる。なお、香港基本法図書館
の概要について以下のウェブサイトにある。
(http://www.basiclaw.gov.hk/en/library/index.html)
香港基本法図書館は、香港基本法に関するあらゆる資料を収集することを目的としている。
香港基本法に関する書籍、論文、データベース、新聞記事の切り抜き、政府が発表した資料、
各種団体等の出版物、香港基本法に関する判例を集めている。このほか、香港基本法の起草
に関する文書や新聞記事の切り抜きが保管されている。香港基本法以外の書籍として、憲法、
行政法、人権に関する書籍のコーナーがあり、中国語と英語の書籍が集められている。所蔵
資料を検索するには以下のウェブサイトを用いる。
(http://libcat.hkpl.gov.hk/webpac_eng/wgbroker.exe?new+-access+top.coll-bl-page)
複写に関して、フロアに数台の複写機があり、自由に文献を複写することができる。筆者
が利用した 2006 年時点では、ここの複写機ではオクトパス・カードの利用はできずに、コ
インを投入して複写する方式だったが、現在では変更しているかもしれない。
月曜から日曜まで開館しているが、旧正月やクリスマス前後に閉館する。詳しいスケジュ
ールは以下のウェブサイトにある。
(http://www.hkpl.gov.hk/english/locat_hour/locat_hour_ll/locat_hour_ll_hkir/library_6.html)
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(香港基本法図書館の入口)
(香港大会堂図書館の階段から九龍半島とビクトリア湾を望んで)
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(香港立法会の建物)
(香港大会堂図書館から見た香港立法会(中央)と香港上海銀行(右))
3.香港基本法の特集ウェブサイト
香港基本法に関する便利なウェブサイトとして、香港政府が開設している香港基本法の特
集ウェブサイトがある。(http://www.basiclaw.gov.hk/en/index/)ここには、香港基本法全文、
全人代常務委による基本法条文の「解釈」と「決定」全文、基本法起草にかかわる簡単な歴
史等のページがある。
このウェブサイトに特徴的かつ有益なのは、「人大常委会解釈基本法及決定的有関資料」
(Interpretation on the Basic Law and Decisions by the NPCSC)のページであり、ここでは、
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全人代常務委の香港基本法解釈のみならず、「決定」や「報告」をも一覧にして PDF 形式で
まとめてあり、全人代常務委の香港基本法に関する動きを一目で把握することができる。
以上、香港基本法研究に関連する 3 つの機関(①香港大学法学部図書館、②香港基本法図
書館、③香港政府による香港基本法の特集ウェブサイト)の紹介を試みた。もちろん、香港
域内の図書館や資料館は本稿でとりあげたものだけではなく、他にも多数存在する。筆者は
かつて、香港大学法学部図書館を含む、香港大学内の図書館について、東京大学東洋文化研
究所のウェブサイト「アジア情報ゲートウェイ」の「香港:図書館、文書館ガイド」のなか
で簡単な紹介を行ったことがある。このサイトには、香港大学内の図書館だけではなく、香
港政府歴史檔 案館(Public Record Office)や香港中文大学の各種図書館の紹介もあるので、
香港研究に興味のある方はどうかこちらも参照されたい。ウェブサイトは、以下のとおりで
ある。(http://asj.ioc.u-tokyo.ac.jp/html/guide/china/hongkong_t_f.html)
(11 月の香港島南部)
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大東文化大学図書館報『大東BOOKS』
第16号
2011年3月31日刊行
編集発行人
五味俊樹
連絡先
大東文化大学図書館事務部図書課
住所
〒175-8571 東京都板橋区高島平1-9-1
電話
(03)5399-7331
Email
“[email protected]”
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