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第1回情報保全諮問会議
第1回情報保全諮問会議 議事要旨 1 日時 平成26年1月17日(金)午前11時頃から正午頃までの間 2 場所 総理官邸2階小ホール 3 出席者 (構成員) 宇賀 塩入 清水 住田 永野 南場 渡辺 克也 みほも 勉 裕子 秀雄(主査) 智子 東京大学大学院法学政治学研究科教授 駒澤大学法学部准教授 日本弁護士連合会情報問題対策委員会委員長 弁護士 法政大学人間環境学部教授 株式会社ディー・エヌ・エー取締役 ファウ ンダー 恒雄(座長) 読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆 (政府側) 安倍内閣総理大臣 森国務大臣 委 員 加藤内閣官房副長官 世耕内閣官房副長官 礒崎内閣総理大臣補佐官 岡田内閣府副大臣 副委員長 福岡内閣府大臣政務官 杉田内閣官房副長官 北村内閣情報官 委 員 能化特定秘密保護法施行準備室長 委 員 4 配付資料 資料1 資料2 資料3 資料4 資料5 資料6 資料7 資料8 資料9 情報保全諮問会議の開催について 特定秘密の保護に関する法律のポイント 特定秘密の保護に関する法律説明資料 特定秘密保護法の適正な運用を確保するための取組(イメージ) 特定秘密保護法の適正な運用を確保するための取組について 今後のスケジュール(イメージ) 今後の検討事項 特定秘密の保護に関する法律 条文 特定秘密の保護に関する法律 Q&A 5 議事概要 (1) 冒頭、安倍総理大臣から概要以下のとおり挨拶を行った。 ○ 特定秘密保護法は、国民と国の安全を守るために必要不可欠な法律で ある。安全保障環境が厳しさを増す中、諸外国は、既に重要な秘密の指 定などについて明確なルールを定めている。関係国から機微な情報を得 るためには、信頼関係の前提となる秘密情報の管理のルールを、我が国 においても確立しなければならない。 ○ 国会での審議の過程で、「恣意的な秘密指定が行われる」、「知る権利 が損なわれる」などの懸念の声があったが、そのようなことは断じてな い。この法律は、国民の安全を守るためのものであり、一般の方の生活 には全く影響はない。むしろ、恣意的な運用を許さないためのものであ る。 ○ 本会議は 、特定秘密保護法の適正な運用を確保するため、それぞれの 分野において、豊富な経験と優れた見識を有する委員から、 専門的な御 意見を伺うため開催するものである。具体的には 、「 特 定 秘 密 の 指 定 、 解 除 や 適 性 評 価 の 実 施 に 関 す る 運 用 基 準 」 や「特 定 秘 密 保 護 法 の 政令案」などについて御議論願いたい。 委 員 か ら 頂 い た 御 意 見 を し っ かり受け止め、運用基準や政令を策定する。 ○ ま た 、 委 員 に は 、 本法の運用状況をチェックするという非常に重要 な役割も担っていただいており、法の施行後には、毎年、私から、本会 議に対し、本法の運用状況を報告し、委員からいただいた御意見も、運 用状況とともに国会に報告する。 ○ 政府としては、法の適正な運用を積み重ねることにより、国民の不安 を払拭したいと考えている。そのためには、委員の議論を踏まえ、明 確 な 運 用 基 準 、 し っ か り と し た 外 部 の チ ェ ッ ク 体制を導入し、こ れ ま で 曖昧で あ っ た行 政 に よ る 秘密 の取 扱い に、 客観性と透明性を確保 しなければならない。委員の皆様には、各分野における豊富な御知見を 結集し、精力的かつ闊達な御議論をいただければと思う。 (2) 渡辺座長から概要以下のとおり挨拶を行った。 ○ 特定秘密保護法については、読売新聞の社説でも、多少の条件は付け るが、賛成である。 ○ また、治安維持法の復活であると一部のマスコミや、本法の反対者が声 高に主張しているが、治安維持法の下での特高警察及び憲兵による恐怖政 治を実体験した最後の世代が自分である。治安維持法は、広範な拡大解釈 の余地を残す悪法であったが、特定秘密保護法は極めて明確で、二重、三 重に拡大解釈の濫用を縛ってある。 ○ 他方、過去のスパイ事件には新聞記者が絡んだものもある。今後、不必 要に拡大解釈をして言論報道の自由を抑制するようなことはあってはなら ないという視点からも、報道界に身を置く者として、必要な主張をさせて いただく。 ○ 委員の中には、本法に反対の方もいると思うが、あらゆる角度から議論 し、総理大臣が最終的に判断していただければと考える。 (3) 北村内閣情報官から、配付資料に基づき特定秘密保護法の概要、今後のス ケジュールについて説明を行った。 (4) 出席者から概要以下のとおり発言があった。 ○ 特定秘密保護法については、国民の安全を守るため、安全保障のための 秘匿性の高い情報を保護する、そして漏えいを防止するためには必要な制 度だと思っているが、知る権利、取材の自由との関係で懸念、不安がある ということは事実である。法律が成立した以上は、その運用に遺憾のない ように運用基準を詳細に定め、拡大解釈を防ぐことが重要である。 ○ 世間では、この法律が制定されたことにより、今後不必要に、特定秘密 の範囲が拡大されていくとの不安や懸念がささやかれているところであ る。本会議ではこのような点につき、適正な運用を確保するために設置さ れた政府外の唯一の外部機関として、しっかりチェックしていく大きな責 任がある。 ○ どのような国や政権でも一定の情報を一定の期間、厳格に管理するとい うことは政府の責任として当然ある。ただ、その制度設計をどうするか、 厳格に管理する一方で、公開すべき情報は極力公開し、秘密である期間も いかに短くするかが政権の信頼を得る上で重要なことである。 ○ 本法が成立し、秘密の指定、保全、解除を行う統一的な仕組みができた ことを評価する。特に秘密解除の規定が我が国の法律で初めて設けられた ことには大きな意義がある。 ○ 運用基準について議論を行う際に、先進国の関連する運用基準を参照し つつ、国際的に見て遜色のない基準とすることが重要である。政府による 説明責任と透明性の確保の要請と、安全保障に関する秘密の保護の要請と を如何に調和させるかについては、諸外国においても議論が行われ、知見 が蓄積されてきたので、学ぶべき点が少なくないと考える。また、ツワネ 原則も参照しつつ議論を進めるべきだと考える。 ○ 事務局には、次回以降、欧米先進国における秘密の指定やその解除並び に適性評価の実施に関する基準やツワネ原則3章Aに関する資料を用意し ていただき、本会議においてそれらを参照しつつ、国際的な相場観を踏ま えた議論をできるようにしていただきたい。 ○ ツワネ原則については、アメリカの相場からいっても相当リベラルな団 体により作成されたものであり、ヨーロッパにおいて実体法的な規範のよ うに扱われているとの主張もあるが、いくつかの留保条項が入っている。 こうした点も含め、多くの争点について活発に議論していくことが重要で ある。 ○ 特定秘密に指定された情報に対しても情報公開法は適用され、開示請求 があった場合は、特定秘密であるために不開示となるのではなく、基本的 には、5条3号の安全保障に関わる重要な情報ということで不開示にされ ると考えるが、さらに、特定秘密の範囲は、情報公開法上の不開示事由の 範囲より狭くなるべきである。そのため、今後もし、特定秘密に指定され た情報に対して開示請求が行われ、審査会によるインカメラ審理の結果、 開示すべきとの答申がなされた場合、特定秘密の指定が適正ではなかった として、本法に対する信頼が揺らぐことになる。 ○ 特定秘密を国会に対しどこまで明らかにするのかも検討しなければなら ない。 ○ 法律の解釈基準について、不確定概念があると感じているので、しっか りと見極めて議論を行いたい。 ○ ラストボロフ事件、レフチェンコ事件、イージスシステムに係る情報漏 えい事件等の戦後の秘密漏えい事件では裁判になって、有罪判決が出てい るケースもある。そこで、事務局においては戦後の秘密漏えい事件におけ る取り調べや裁判の結果をまとめて報告してもらいたい。 ○ 透明性の確保も重要であり、諮問会議が密室で行われているとの批判を 受けることがないよう、議事運営をしてもらいたい。また、本会議だけで なく、今後の運用に向けた規定を策定する際にも透明性には十分に留意し てもらいたいし、パブリックコメントを通じて国民の意見を十分に吸い上 げてもらいたい。 ○ 本会議を運営するに当たり、広報が重要であると考える。 ○ 本会議の進め方について、法律上、意見を聴く対象は「者」となってお り、「会議」とはなっていない。したがって、本会議の意見は、多数決に よって全員の意見をまとめる形で出すべきものではなく、様々な意見があ るということで総理大臣に検討いただく方がよい。 ○ 知る権利の確保という観点から様々な意見が表明されており、その意見 の中には誤解に基づくものもあるとは思うが、まずは政府として説明責任 をしっかりと果たすべく、国民に対し、分かりやすく、丁寧に、継続して 説明してもらいたい。 (5) 安倍総理から概要以下のとおり発言があった。 ○ 今まで秘密を守るための法律が全然なかったというわけではない。今ま でも、特別管理秘密があり、防衛秘密があり、そして、米国との協定に関 わる秘密があり、そしてそれぞれに罰則がある。 ○ しかし、今までは、いわば秘密の指定と、そして解除について明確なル ールがなく、また、秘密指定の責任の所在が不明確である点に大きな問題 があった。 ○ 本法により指定の責任の所在、指定理由と、解除のプロセス及びルール が明確になったことは大きな進歩である。 ○ また、クリアランスは極めて重要であり、諸外国との間で情報共有を行 う場合には、我が国としても厳格なクリアランスが必要である。 ○ 国民の様々な懸念に我々は当然、答えていく必要があり、本会議はその 意味において、重要な役割を果たしていただく。また、年に一回運用状況 について本会議で報告を行うことは、極めて有意義であると考える。 (6) 今後の本会議の取り進め方等について、以下のとおり確認した。 ○ 事務局が各委員とやりとりを行い、その意見を伺いながら、政令案や運 用基準の素案の検討を行う。 ○ 素案がまとまり次第、本会議において、これを議論する。 ○ 有識者の意見の取りまとめ方については、多数決で会議の意見をまとめ る形で出すべきではなく、様々な意見があるということで総理大臣に検討 いただくことがよいとの意見があり、今後、事務局が座長、主査、各委員 と相談しながら対応する。 ○ 議事録及び議事要旨を作成し、議事要旨については、委員に確認後、公 表する。議事録については、発言者名入りで作成し、開示請求があった場 合には、情報公開法に基づき政府が対応する。 (7) 閉会に当たり、森大臣から以下のとおり挨拶を行った。 ○ 皆様から、本法の施行に関する今後の検討事項等について、あらゆる立 場から、様々な御意見を頂いて、大変有意義な機会であった。 ○ 本法については、その恣意的な運用のおそれについて、国民から懸念や 不安の声が寄せられており、政府としては、これを重く受け止めている。 その中には、誤解に基づいたものもあるので、本会議でしっかりと説明し、 ひいては国民の誤解が解けることを期待している。 ○ また、政府としては、内閣官房のホームページやインターネットテレビ で、本法について理解を得るべく説明を行っている。今後も様々な機会で、 国民の誤解、それから御懸念の払拭に努めてまいりたい。 ○ 本法の適正かつ効果的な運用を確保する上で、その根幹となるのが、今 後の仕組み作りであり、皆様の御意見を踏まえつつ、今後、政府内におい て、運用基準案や政令案の作成、本法の施行に向けた準備を滞りなく進め ていくことが必要であると認識しており、自分も特定秘密保護法の施行を 担当する大臣として、施行準備に全力で取り組んでまいりたい。 (以上)