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新エネルギー燃料対応型循環流動層ボイラ設備

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新エネルギー燃料対応型循環流動層ボイラ設備
第 36 回
優秀環境装置
経済産業省 産業技術環境局長賞
住友重機械工業株式会社
1. 開発の経緯
1.1. 開発の趣旨
我が国においては 1997 年に議決された京都議定書目標達成のため、国策として木質バ
イオマス・廃棄物といった新エネルギー等の導入の促進が求められてきた。一方、原油価
格高騰により安価な石炭の活用が進んだが、直接燃焼を行う汽力発電においても従来の高
品位石炭専焼ではなく、資源有効利用(省エネ)および地球温暖化対策(CO2 削減)の双
方の観点から、低品位炭の利用とともに建築廃材等の木質バイオマス、廃タイヤ(TDF;
Tire Derived Fuel)、廃プラスティック(RPF;Refused Paper & Plastic Fuel)などを
燃料として活用する技術が求められた。(本申請書では、木質バイオマスや廃棄物などを
燃料化したもの、もしくはそのままの形で燃料として取り扱うものを、新エネルギー燃料
と呼ぶ。)しかし詳細は後述するが新エネルギー燃料を利用する場合には、調達安定性、
性状の不安定さ(熱量・形状)、異物や腐食成分の含有と言った数々の問題点があり、焼
却炉での熱利用や小型の低温低圧ボイラでの利用に限定されていた。
汽力発電用のボイラは、その燃焼方式により幾つかの形式に分けられるが、循環流動層
ボイラ(英名:Circulating Fluidized Bed Boiler;以下 CFB ボイラと記載)は、多様な
固形燃料の活用が可能であり以下のメリットを有する。
①
燃焼炉内が激しい流動・攪拌状態であり、他の燃焼形式では利用困難な、着火温
度が極めて高い燃料や高灰分・高水分燃料の高効率利用を達成することができる。
②
排ガスに同伴する未燃分をサイクロンで捕集し再度燃焼炉内に循環させること
により、比較的不定形の燃料を直接燃焼することができる。
③
石灰石による炉内脱硫および低温燃焼による窒素酸化物発生抑制により、付帯設
備を追加することなく環境性能が得られるため、高い経済性を発揮する。
すなわち、幅広い燃料について高い燃焼効率を得ることができるため、低品位褐炭をはじ
め高灰分の無煙炭や木屑、プラスティック、スラッジ等を燃料として活用することが可能
である。
1990 年代には、欧米を中心に森林系バイオマス燃料(クリーンバイオマス)による高
効率発電をめざし、ボイラ発生蒸気の高温高圧化(10MPa、 500℃以上)の開発が進み実
用化されてきた。しかし新エネルギー燃料はその多くが廃棄物を由来とするため、化石燃
料やクリーンバイオマスとは異なる以下の特徴をもつ。
-17-
・ 分散型のエネルギー源のため大量調達が困難である
・ 建築廃材中の釘やタイヤ中ワイヤといった異物を多量に含む
・ ボイラの腐食や煙道での灰付着要因となる塩素やアルカリ金属類(ナトリウム、カ
リウム)を多量に含む
・ 含水率や発熱量の変動が避けられない
このため新エネルギー燃料を事業用・産業用の汽力発電用ボイラの燃料として使用する
際には、大規模、高効率、安定性、信頼性が求められるため、設備計画上次の課題が挙げ
られる。
・ 異物が燃焼炉内に堆積して、安定燃焼が阻害される
・ 高温蒸気を発生させるボイラ過熱器の腐食・灰付着が生じる
・ 燃焼のプロセスや蒸気発生に大きな変動が生じる
・ 燃料の収集量が限られるため、単一燃料での大規模利用が困難であること
本申請装置である新エネルギー燃料対応型 CFB ボイラ設備は、弊社が 2001 年 12 月に技
術提携契約を結んだ Foster Wheeler 社(以下、FW 社)の技術を基盤としている。FW 社は
CFB ボイラの世界的メーカとして、石炭、バイオマスを始めとし世界で 400 缶以上の豊富
な実績をもつ。しかしながら、燃料調達事情が異なる我が国では、木屑系バイオマス燃料
やペレット化した廃プラスティック燃料(RPF)等だけではなく、FW 社でも経験がないカ
ットタイヤ(50mm x 50mm サイズ
太ワイヤを含む TDF)、フラフ状廃プラスティックの燃
料利用やさらにこれらの安定混焼が市場から求められた。当社ではこの市場ニーズに応え
るため上記の課題の解決を目指し新エネルギー燃料対応型 CFB ボイラ設備の実用化を進
めた。
その結果新エネルギーを主燃料とする発電・熱利用設備として既に 9 缶を納入している。
石炭を主燃料とし、補助的に新エネルギー燃料を用いる混焼利用型も含めると 17 缶の納
入実績をもち、燃料コストの低減、地球環境への配慮、高効率・信頼性の確保といった顧
客のニーズを満足している。
1.2. 開発目標
国内新エネルギー燃料の利用にあたり、以下の開発目標を掲げた。
① 石炭焚き CFB ボイラ並みの高効率を実現する
・ 蒸気圧力 10MPaG、蒸気温度 500℃以上
・ ボイラ効率 90%以上
・ 発電効率 35%以上
② 事業用・自家発用発電ボイラとして、高い信頼性を実現する
-18-
・ 1 年間の連続操業を前提
・ 想定された混焼率、燃料性状の変動範囲内では安定した炉温・燃焼状態を維持
③ 燃料選択の幅を広げながら、設備の経済性を考慮する
・ 顧客の燃料調達の事情に合わせた多種燃料混合燃焼設計
・ 石炭焚きの標準的な CFB ボイラと、同等の設置面積
・ 補充循環材や炉内脱硫用の石灰石等
石炭焚き同等のユーティリティ消費量
1.3 開発経緯
新規燃料の採用は段階的に進めることを基本方針とした。未経験燃料については都度パ
イロットテストの実施・実機検証、次燃料の追加のプロセスを積み重ね、より信頼性の高
い設備を納入することとした。
具体的には、木質バイオマス、TDF、RPF、硬質プラスチック、フラフプラスティックの
順に追加混焼実績を積み重ねてきた。
2002.08
1MWth 級 CFB パイロット試験機建設(弊社愛媛製造所新居浜工場内設置)
2004.10
新エネルギー燃料焚き CFB ボイラ 1 号機 納入 (建築廃材)
国内初の大型バイオマス発電所として納入
2006.05
新エネルギー燃料焚き CFB ボイラ 3 号機 納入 (建築廃材+TDF)
化石燃料非利用、タイヤ高混焼(80%)ボイラとして納入
2006.06
1MWth 級 CFB パイロット試験機 大規模改造
炉高変更;10m→20m、多燃料対応設備追加(最大 5 燃料種)
2008.11
新エネルギー燃料焚き CFB ボイラ 8 号機 納入
石炭+木屑+RPF+タイヤ+スラッジの 5 種類燃料による安定燃焼
2009.01
新エネルギー燃料焚き CFB ボイラ 9 号機 納入
フラフ状プラスティックを含む高いプラスティック混焼率を実現
2011.02
新エネルギー燃料焚き CFB ボイラ 10 号機 納入予定
弊社初のバイオマス専焼ボイラ
-19-
2. 装置説明
2.1 CFB ボイラ発電プラントの概要
CFB ボイラ発電プラントは、CFB ボイラ、タービン・発電機、復水器、ボイラ給水ポンプ
といった主機およびその他の補機からなる。プラントの全体フローを図 1 に示す。
ボイラ給水ポンプにより昇圧された給水はボイラに供給、加熱昇温され蒸気を発生させ
る。蒸気はタービンに導入され、タービン内部で膨張することでタービン翼を回転させ、
それに連結された発電機により電力を得る。また、プラント全体の熱効率を高めるために、
タービン内部から蒸気を抜き取り、熱交換器によりボイラへの給水を昇温させる。タービ
ン翼最後段より排出された蒸気は復水器で冷却・凝縮され、ボイラ給水ポンプに導かれる。
図1 CFB ボイラ 発電プラント
-20-
2.2 新エネルギー燃料焚き CFB ボイラの原理および構造
新エネルギー燃料焚き CFB ボイラは、燃料を燃焼させる燃焼炉、排ガスと循環粒子を分
離するサイクロン、分離された排ガスから熱を回収する煙道からなる。全体像を図 2 に示
す。
燃焼炉は、炉壁が水冷管で構成されており、炉内での燃料の燃焼熱を吸収し、水冷管内
の水を効率よく蒸気に変える。燃料は、燃焼炉下部に設けられた燃料供給口から炉内へ供
給され、多量の循環材と迅速かつ均一に撹拌、混合されるため高い燃焼効率の達成が可能
となる。
燃焼炉の下部には風箱が設置され、流動化ノズルを通して一次空気を供給し、燃料、砂
を含む炉内循環材を流動化させる。流動化ノズル(ステップグリッドノズル)および炉底
は階段状の構造をとり、釘、金物、ワイヤ、石といった異物を炉底に複数配置された大型
排出口よりボトムアッシュとして積極的に炉外へ排出する(図2参照)。炉外へ排出され
たボトムアッシュは、磁選機・スクリーンにより有価物である鉄分と流動に適さない大粒
子を排除した後に、適正粒子径の砂を炉内へ戻される(ボトムアッシュリサイクルシステ
ム)。
二次空気として、燃焼炉下部の複数のレベルから空気が吹き込まれる。多段空気吹き込
みにより、段階燃焼が行われ低 NOx 運転が可能となる。複数の燃料を混焼するボイラでは、
多燃料燃焼制御が行われ、現時点で投入されている各燃料の特性・比率に合わせ、適切な
一次空気、二次空気のバランスで空気が吹き込まれる。この制御システムにより、燃料混
焼比を変更した場合にも、ボイラが自動で適切な空気バランスを決定し、炉温を適正な範
囲に調整、安定燃焼を継続することができる。また、燃料性状が設定性状から著しく外れ
た場合は、初期設定値と運転実態を比較することにより、自動的に実態の燃料性状を推測
する補償回路が動作する。このシステムの導入により、燃料調達の季節変動等の調達事情
に合わせた混焼率運用が可能な設計となっている。
流動化した燃料、砂、燃焼灰は火炉内全域にわたり適切な粒度分布を保ち、燃焼ガスに
同伴された循環粒子は火炉出口に配置したサイクロンにより燃焼ガスから分離される。サ
イクロンも燃焼炉同様に水冷管で形成され、燃焼炉と一体構造のコンパクトな配置となっ
ている。回収された循環粒子は、機械可動部を持たないシンプルなループシール及び
INTREXTM(イントレックス)セルを介して炉内へ戻され、循環ループを形成する。INTREXTM
セル内には、最終過熱器が配置される。INTREXTM の模式図を図 3 に示す。セル内は、循環
粒子とセル下部から導かれる流動空気だけであり、腐食性のガスが持ち込まれないため、
最終過熱器の腐食リスクを低減できる。
サイクロンにより循環粒子を分離された燃焼ガスは、火炉上部の煙道に設置された吊り
-21-
下げ式の過熱器と熱交換を行う。燃料性状・蒸気条件により、到達蒸気温度、蒸気流れ方
向、過熱器ピッチ、火炉上部での排ガス冷却等設計考慮を行うことで、過熱器腐食および
灰付着による煙道閉塞を防止する。
過熱器を出た排ガスは、節炭器、空気予熱器を通じ、概ね 150℃以下まで熱回収された
後に排ガス処理されて煙突より排出される。
-22-
図 2 CFB ボイラ
As h
As h
As h
図 3 階段状炉底構造
図 4 INTREXTM 構造
-23-
As h
3. 成果
3.1 性能
(1) 装置能力
① バイオマス主燃料焚きの例
【運転条件】
燃料種:建築廃材 70%(50mm 以下)
、石炭 30%(半無煙炭) (熱量比率)
【性能】
最大蒸発量:196t/h
燃焼効率:95%以上
ボイラ効率:90%以上
発電効率:35%以上
環境性能:硫黄酸化物
90ppm(6%O2)以下、窒素酸化物 120ppm(6%O2)以下
炉内異物排出:良好
② タイヤ主燃料焚きの例
【運転条件】
燃料性状:タイヤ(50mm x 50mm ビードワイヤ含む)、木屑、スラッジ (タイヤ 80%)
【性能】
最大蒸発量:130t/h
燃焼効率:95%以上
ボイラ効率:90%以上
環境性能:硫黄酸化物 100ppm(実 O2)以下、窒素酸化物 150ppm(12%O2)以下
炉内異物排出:良好
③ 多燃料大型設備の例
【運転条件】
燃料性状:石炭、建築廃材、バーク(樹皮)、ペレット状プラスティック、フラフ状プラス
ティック、ペーパースラッジ、
【性能】
最大蒸発量:300t/h
燃焼効率:98%以上
ボイラ効率:90%以上
環境性能:硫黄酸化物 100ppm(6%O2)以下、窒素酸化物 130ppm(6%O2)以下
-24-
(2) 装置性能
【安全性】
① 操作安全性
・ 装置は、石炭焚きの発電所と同様に電気事業法を十分に満たす安全性機能を有し、
起動、停止を含め全自動で運転することが可能である。但し、起動・停止時は主
要イベント毎に条件が揃ったことで次ステップに進む許可を運転員に求めるシス
テムとなっており、運転員が設備状態を把握しながら、より安全な起動、停止を
行えるものとしている。
・ 燃焼、粒子循環が行われる燃焼炉内には機械可動部等を一切含まないシンプルな
構造になっており、当該部位の機械操作に伴うトラブルを排除している。
・ 燃焼炉内の異物積極排出および大型抜き出し口を複数個設けることで、排出口の
閉塞やその除去のための操作を行うことがない。
② 環境安全性
・ 発酵、発熱、ガス発生が懸念される燃料種については、貯蔵、搬送、投入設備に
適切なガス検知器、温度計、空気パージラインなどを設けることで異常発火等を
防止している。
【耐久性】
本申請装置の 1 号機として、サミット明星パワー㈱殿 糸魚川発電所向けボイラを 2004
年に納入し、5 年以上の連続操業により長期の耐久性や安定性、信頼性を確認している。
① 耐久性
・ 腐食成分を含む燃料構成のため、石炭焚きに比較すれば耐久性は落ちると予測さ
れるが、概ね 1 年 1 回の定期点検、補修にて運用可能な耐久性は十分に有してい
る。
・ 上記 1 号機においても INTREXTM セル内に設置された最終過熱器は、稼動以降補修、
交換の実績無く、現時点で十分な余肉を残している。他納入事例も含め、設計条
件下の燃料、運用条件では十分な耐久性が確認できている。
・ 他の部位の過熱器についても十分な耐久性を示しており、これまでに過熱器の噴
破の経験は無い。
② 安定運転の信頼性
・ 通常運転時において、本ボイラは各工場での主ボイラとして稼動しており、負荷
変化追従運転も含めて、安定運転を実現している。
-25-
3.2 特許の有無
本申請装置に関し、出願・審査請求中の特許を表 1 に示す。
表 1 特許(出願・審査請求中)
発明の名称
流動層型ボイラ(BM循環)
流動層型ボイラ(BM循環)
ボイラ制御装置及びボイラ制御方法
状況
公開番号
出願日
審査請求
審査請求
審査請求
特開2008-241133
特開2008-241134
特開2008-138973
2007/3/27
2007/3/27
2006/12/4
3.3 維持管理
(1) 運転・操作性
起動停止時などの過渡時を除く通常運転時の操作は、ほぼ全自動化されている。燃
料投入量、燃焼状態、蒸気条件などの主要プロセスは、中央操作室にて監視が行える
設備となっており、更に、異常検知時はプロセスアラームの発信により運転員の認知
が可能となっている。これらの自動化を含めた運転員の負荷低減対策により、納入機
の多くは、中央操作室 2 名の運転員にて運転可能な設備しており、極めて操作性の高
い設備と言える(弊社納入の石炭専焼 CFB 発電設備と同等)。
(2) メンテナンス性
燃料性状より磨耗や詰まりの発生などが危惧され、運転継続中のメンテナンスの必
要な機器に対しては、多重化もしくは混焼率乗換えなどの措置により対象機器の完全
停止、安全切離し後の作業が可能な設計配慮を行い、メンテナンス性を考慮している。
(3) 維持管理コスト
施設の維持管理コストそのものは、従来型の石炭焚き発電所と比較して取り扱う燃
料種の増大に伴い増加する。しかしながら、燃料そのものの低価格により、十分に回
収可能である。ボイラ設備本体そのものの維持管理コストは、従来型の石炭焚き同等
と評価されている。
更に、従来新エネルギー燃料を利用してきた焼却設備や小型の専焼炉と比較して、
以下の低減効果を上げることができた。
・
太ワイヤを含む、50mm x 50mm 程度のカットタイヤも燃料として使用できるた
め、前処理もしくは燃料調達にかかる費用を大幅に低減できる。
・
高い発電効率を得ることができるため、燃料使用量、灰処理量、薬剤等のユ
ーティリティコストを低減できる。
本申請装置と従来装置の比較を表 2 にまとめた。従来装置としては、通常の気泡型流動
層ボイラおよび石炭焚き CFB ボイラを比較対象とした。
-26-
表 2 申請装置と従来装置の比較
名称
従来装置①
従来装置②
本申請装置
気泡型流動層ボイラ
石炭焚き CFB ボイラ(弊
新エネルギー燃料対応
社実績)
型 CFB ボイラ
ボイラ構造
火力原子力発電協会
火力原子力発電必携 改訂第 6 版
p.120 より引用
蒸発量
~100t/h
~550t/h
~300t/h
蒸気条件
~6MPaG、~450℃
~16MPaG、~569℃
~12.5MPaG、~540℃
( 10MPa, 510℃級 主)
燃料構成による
ボイラ効率
85%以上
90%以上
90%以上
発電効率
~30%
~40% (再熱)
35%以上
~35% (非再熱)
異物排除
△:異物は排除される
×:炉内に堆積し、
○:積極排除。有効な
が、循環粒子も同時に
流動不良発生
粒径粒子は再利用し、
排出される。
過熱器腐食
煙道灰付着
燃焼制御
設置面積
(異物少が原則)
鉄分は回収する。
△:
(蒸気温度が低いた
×:腐食顕著。石炭焚
○:最終過熱器 INTREX
め、結果として腐食は
き標準型に新エネルギ
セル内より腐食低減
抑えられる)
。
ー燃料適用は困難
△:
(蒸気温度が低いた
×:灰付着顕著。過熱
○:吊り下げ式過熱器
め、結果として腐食は
器水平配置より灰付着
により付着軽減。
抑えられる)
。
大、煙道閉塞危険。
×:単一燃料想定。燃
×:単一燃料想定。燃
○:多燃料対応。混焼
料性状が大きく変動す
料性状が大きく変動す
率や燃料性状の変動が
ると、炉温や安定燃焼
ると、炉温や安定燃焼
あっても、最適な空気
に異常発生。
に異常発生。
配分による安定燃焼。
大
小
-27-
小
3.4 経済性
本申請装置と従来装置の比較を表 3 に示す。
従来装置としては、気泡型流動層炉、石炭焚き CFB 炉を比較対象とした。
表 3 申請装置と従来装置の経済性比較
名称
従来装置①
従来装置②
本申請装置
気泡型流動層炉
石炭焚き CFB 炉
新エネルギー燃料対応
(新エネルギー利用)
(石炭焚き)
型 CFB ボイラ
ボイラ構造
火力原子力発電協会
火力原子力発電必携 改訂第 6 版
p.120 より引用
設備比
100
95
100
100
95
95
100
64
68
100
91
92
(比率)
a. 運 転 コ ス
ト(比率)
b.点検
補修費
(比率)
維持管理費
合計(a+b)
-28-
3.5 将来性
(1) CO2 削減の手段としての CFB 燃焼技術
ポスト京都議定書をめぐる議論は予断を許さないが、今後我が国において CO2 削減は避
けて通ることはできない課題である。CFB ボイラ以外の燃焼方式による新エネルギー燃料
の高混焼率、高温高圧蒸気条件での利用は、原理的、経済的に困難であり、多燃料混焼技
術による CFB ボイラ設備は、中小規模の民間ユーザーにとって CO2 削減の有効手段として
の有望である。
特に重油からの燃料転換の場合、石炭専焼では CO2 発生量は改悪(増加)となるため、
本技術による新エネルギー混焼設備の需要は高いと考えられる。
一方今後予想される国内新エネルギー燃料の逼迫に対しては、海外バイオマス燃料の輸
入やバイオディーゼル副産物の利用など新たな燃料種の利用が想定されるが、従来の実績
と検証ノウハウにより適用燃料範囲の拡大を進めていく。
(2) 資源有効利用
資源有効利用の観点からも、海外においては、輸出に向かない低品質の石炭やパーム農
園の残渣や農業系副産物など、未利用の燃料源が豊富に賦存している。海外顧客による低
コスト燃料の活用や、国内顧客による海外での CO2 削減事業向けとして利用できる技術で
あり、資源有効利用の観点からも将来性の期待できる装置(技術)である。
3.6 独創性と効果
(1) 新エネルギー燃料の高温高圧蒸気条件への適応
従来、焼却炉設備などでのみ利用されていた新エネルギー燃料の高圧高温条件での
利用を可能にすることで、発電効率の大幅改善だけでなく、CO2 削減への貢献、低品位
石炭などの資源有効利用(高品位炭の節約)に貢献した。
(2) 混焼技術の開発による設備の大型化
国内の燃料調達事情では単一燃料の収集規模は小さく、工場などの自家用発電設備
を賄える燃料量の調達は困難であった。複数種の燃料を利用するべく混焼技術を開発
することで大型化(現実績~300t/h)を実現した。50~300t/h までのニーズに対し、
高混焼率新エネルギー燃料利用の設備を実現、納入することができた。
これにより、民間のユーザーでの発電コストの低減を実現すると共に、CO2 削減を実現
したことは社会的にも大きな効果と言える。
弊社の納入設備による CO2 削減効果は、年間 220 万 t におよぶ。
-29-
3.7 今後の規制に対する対応策
本申請装置の設置により、以下の通り今後予想される法整備や規制強化に対しても対策
が容易である。
(1) CO2 排出量規制強化・環境税の導入
CO2 排出量規制強化によりバイオマス等の新エネルギー燃料の活用が必須と考えられ
る。本申請装置では、新エネルギー燃料を活用しながらも、従来の化石燃料ボイラと同
等の性能、経済性を得ることができる。
(2) 現環境値規制の強化
硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、煤塵などの環境値規制の強化に対しては、
石炭技術の延長での対応が可能であり、現技術の延長での対応が可能である。
4. 応用分野
工場用の自家用発電設備等への利用のみならず、大型事業用ボイラでの新エネルギーの
利用や、小型化による東南アジアなどでの分散型電源など低環境負荷の安定電力供給装置
としての応用が可能である。
また、燃料使用範囲の拡大として、各地域における未利用の農業系及び林野系バイオマ
スへの応用展開が可能と考えられる。
-30-
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