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理学療法学科・作業療法学科学生の人体解剖実習と医の倫理に関する

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理学療法学科・作業療法学科学生の人体解剖実習と医の倫理に関する
2008 年 3 月 人体解剖実習と医の倫理セミナー授業 99
(原著論文)
理学療法学科・作業療法学科学生の人体解剖実習と医の倫理に関する
セミナー授業
山田貴代 1)、信崎良子 1)、藤原雅弘 1)、澤田昌宏 2)、松田正司 3)、小林直人 4)
1)愛媛十全医療学院理学療法学科、
2)愛媛十全医療学院作業療法学科、
3)愛媛大学大学院医学系研究科
解
剖学・発生学分野、4)愛媛大学医学部総合医学教育センター
(投稿:2007 年 11 月 17 日、採択:2008 年 1 月 18 日)
要 旨
愛媛十全医療学院理学療法学科・作業療法学科では、愛媛大学医学部の協力により 2004 年度から学生が“自らメスを
持って”行う人体解剖実習を行っている。それに伴い、人体解剖実習を行うにあたって必要とされる医の倫理について、
少人数グループ学習形式のセミナー授業を導入した。本報では、人体解剖実習とセミナー授業による学生の意識の変化を
把握するためアンケートを行い、
その結果について考察した。対象は 2005 年~2006 年度の理学療法学科 1 年生及び 2007
年度の理学・作業療法学科1年生である。2007 年度の結果は、
「人体解剖実習で献体(ご遺体)を見るのは怖い」と「人
体解剖実習はできればやりたくない」と「自分が PT・OT になった時に、人体解剖実習は役に立つと思う」という項目
には関連性があり、人体解剖実習の意義は理解できていても、実際に経験してみると精神的な負担が大きいと感じる学生
がいることが示された。2005 年度から 2007 年度にかけて、
「自分の身近な人が、自分の死を他人のために活かすことは
賛成できる」や「自分が死亡したときに、献体として自分の身体を提供しても良いと思う」の項目に肯定的な回答の減少
が認められた。これにより、「死」に対する考え方や捉え方の個人差の広がりが示唆され、実習を担当する教員が学生個
人の倫理観を把握することや、人体解剖実習前の医の倫理セミナーの必要性が考えられた。
キーワード
人体解剖実習、少人数グループセミナー、アンケート、医の倫理
序 文
当学院では 1979 年の開校時より、愛媛大学医学部解
剖学講座(現在の愛媛大学大学院医学系研究科解剖学・
発生学分野)の全面的な協力により、解剖体や剖出標本
の見学による実習を行ってきた。そして、1999 年度より
人体解剖実習の時間数を増やすと共に、実習中のチェッ
ク表による具体的な課題設定を行って実習の充実を図っ
著者連絡先 : 山田貴代
〒 791-3085
愛媛県東温市南方 561 番地
愛媛十全医療学院 理学療法学科
Tel:089-966-4573
Fax:089-966-3924
E-mail:[email protected]
た。本来、医学および歯学教育の向上に資することを目
的とした人体解剖実習の実施にあたっては、
「死体解剖保
存法」や「医学及び歯学の教育のための献体に関する法
律(献体法)」の中で解剖の目的、死体解剖者の資格、実
施場所等が規定されている。理学療法士(PT)・作業療
法士(OT)の教育課程における解剖実習の必要性が訴え
られてはいるものの1~8)、種々の制約から、専修学校の学
生においては人体解剖実習を実施するに至っていなかっ
た。しかし、人体解剖学教育に携わる研究者の間では、
「献体者の生前の意思表示があり、倫理面の十分な配慮を
した上で医学に関する大学(大学の学部を含む)の解剖
室において解剖学の教授または助教授(准教授)の下で
実習を行う」という一定の要件を満たすことで実現しう
100
山田貴代、信崎良子、藤原雅弘、澤田昌宏、松田正司、小林直人 形態・機能 第 6 巻第 2 号
るのではないかという議論がなされている。愛媛県にお
いては他県に先立ち、篤志献体者の会である愛媛大学白
菊会の会員の方々のご理解とご同意により 9~11)、リハビ
リテーション医療技術者に対する人体解剖実習の機会が
得られた。そのため、2003 年度より専任講師の人体解剖
研修を実施し、2004 年度より、本学院の PT・OT 学科 1
年生が、従来の見学型の解剖実習にとどまらず“自らメ
スを持って”行う人体解剖実習を行っている 12~15)。
当学院では、人体解剖実習を行うにあたって必要とさ
れる知識については解剖学講義(1 年次前期に 2 単位、同
年後期に 2 単位)を中心に講義され、解剖学授業を補う
解剖実習セミナーも別途実施している。人体解剖実習は
1 年生の 8 月に(半日×6回)実施されるが、ある程度の
知識が身に付いたとしても、献体者の意思や死生学の基
礎について理解ができていない学生には人体解剖実習を
受講させることはできない。先述の「死体解剖保存法」
および「献体法」も献体者に対して礼意を尽くすことを
求めている。そこで当学院では、人体解剖実習に臨む際
に必要とされる倫理観・死生観についての授業も、4 ~ 6
名での小グループでの意見交換を主とするセミナーとし
て、人体解剖実習前のみならず、その後も継続して実施
している。
解剖実習導入によって教育上の効果が現れたか否かの
参考として、1年次に開講される解剖学 I 及び解剖学 II
の成績の合計点数を実習導入前と実習導入後とで比較し
た。その結果、同一の講師の下で、導入前の 3 年間の平
均点は 69.8 点、導入後 3 年間の平均点は 74.7 点であり、
解剖学の成績の向上が認められた。また、当学院で毎年
夏休み前に実施している基礎医学の試験においても有意
に向上が認められた。これらのデータには実習導入以外
の様々な因子も影響するため、今後も推移を観察してい
く必要がある。
2007 年度のアンケートは、2005 年度・2006 年度のア
ンケート結果 16) に基づき、学生の人体解剖実習に対する
心境や捉え方の変化を把握しやすくする目的で、項目数
や選択肢を再検討した(図 1,2)。今回の研究では、学
生の倫理観、特に人の生死や献体という行為のとらえ方
が、人体解剖実習及び医の倫理について考えるセミナー
を取り入れることによってどのように変化するのかを把
握し、経年的な変化の傾向を含め解析し、次年度以降の
取り組みを考えることに役立てる事を目的とする。
対象と方法
アンケートの対象は2005年度~2007年度の1年生で、
授業時間内の 20 分間に回答してもらい、100%回収した。
2007 年度のアンケート(図 1)は、各設問に対して「そ
う思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえ
ばそう思わない」
「そう思わない」の中から自分の気持ち
に一番近いと思う場所に丸をしてもらう方法で、無記名で
実施した。2005 年度及び 2006 年度のアンケート(図 2)
は、各設問に A:そう思う(yes)、B:どちらかといえば
そう思う、C:どちらともいえない、D:どちらかといえ
ばそう思わない、E:そう思わない(no)の記号を記入
する方法で、無記名で実施した。2007 年度のアンケート
項目数は全 21 問で、2005 年度及び 2006 年度は全 22 問
とした。また、全てのアンケートは、最も多いと思われ
る回答が肯定と否定とにばらつくように意図した質問形
態によって、内容をしっかり読む様に促し、考えてから
回答させる工夫をした。
アンケートの実施時期及び対象者数は、2005 年度は入
学当初(4 月)40 名、人体解剖実習直前(7 月)39 名、
および学年末(1 月)38 名の 3 回であり、2006 年度は入
学当初(4 月)38 名、および学年末(3 月)38 名の 2 回
であった。2007 年度は現時点まで(10 月)で、入学当
初(4 月)73 名、人体解剖実習直前(7 月)73 名、人体
解剖実習直後(9 月)72 名の 3 回であった(図 3)。2007
年度は、PT・OT 共通授業となったため対象者数が増加
している。対象者の入学時平均年齢は、2005 年度は 20.1
歳、2006 年度は 20.6 歳、2007 年度は 20.4 歳であった。
それぞれの学年には数名ずつの社会人入試による入学生
がいる。また、アンケートを実施する前に、このアンケー
トの目的とその方法について説明した。目的は、①解剖
実習に対する心理状況の把握、②解剖実習セミナーの授
業改善、③研究に使用する情報収集の 3 点に限定し、ア
ンケートを使用した研究に際しては、愛媛十全医療学院
個人情報保護規定に基づいて個人情報を適切に保護し、
回答者が不利益となるような事はないと説明し、同意を
得て実施した。アンケートの統計学的有意水準は危険率
5%として処理した。
関連するカリキュラムのスケジュールは図 3 に示す通
りである。入学当初のアンケートを実施した後すぐに人
体解剖実習のガイダンスを行い、4 月中旬より解剖学講
義を中心として計画的に人体解剖実習セミナーを実施
し、平行して医の倫理セミナーも開講(月に 1 回、100
分間)した。2007 年度の人体解剖実習セミナーの授業内
容を表 1 に、医の倫理セミナーの授業内容を表 2 に示す。
医の倫理セミナーは、1 グループにつき学生が 4 ~ 6 名
での意見交換が中心である。2007 年度より、PT・OT 共
通の授業で学生数が増えたため、講義担当者は 2005 年
度及び 2006 年度は1名であったが、2007 年度は 3 名と
した。実施要領については 3 年を通じて同じであり、各
グループに司会進行役と書記を話し合いにより決定さ
せ、話し合った内容は最後に発表する形式で実施した。
そして、各年 8 月末の 6 日間で人体解剖実習が実施され
た。2005 年度及び 2006 年度については、前期定期試験
が終了し後期授業が開始されて以降にも、医の倫理セミ
ナーは月に 1 度のペースで実施し、最終講義の際に学年
末のアンケートを実施した。2007 年度もその予定であ
る。
結 果
2007 年度のアンケート結果を図 4 に示す。今回は特
に、「献体の意思の尊重」(献体法第三条)に関連すると
思われる項目に注目した。他の項目の一部は既に報告し
2008 年 3 月 人体解剖実習と医の倫理セミナー授業 101
解剖実習セミナー アンケート
*以下の質問について、自分の気持ちに最も近いと思う場所に○をして下さい。
そ
う
思
う
ど
ち
ら
か
と
い
え
ば
そ
う
思
う
ど
ち
ら
か
と
い
え
ば
そ
う
思
わ
な
い
①人の死は身近なものだと感じる
②他人の死は、自分には関係のないことだと思う
③「死」を考えることは嫌だ
④「死」を考えることは大切だと思う
⑤他人の死を自分の身近な人に置き換えて想像することはできない
⑥自分の死を世の中のために活かして欲しいと思う
⑦自分の身近な人が、自分の死を他人のために活かすことは賛成できる
⑧人体解剖実習で献体を見るのは怖い
⑨人体解剖実習はできればやりたくない
⑩人体解剖実習の話を聞くよりも早く実際に体験したい
⑪自分がPT・OTになった時に、人体解剖実習は役立つと思う
⑫人体解剖実習を実施する前に、必要な知識はだいたい身につくと思う
⑬自分が脳死になった場合、臓器提供をしてもいいと思う
⑭自分が死亡した時に、献体として自分の体を提供しても良いと思う
*人体解剖実習を実施するにあたっての不安についての質問です。
自分の気持ちに最も近いと思う場所に○をして下さい。
そ
う
思
わ
な
い
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭
不
安
は
な
い
①解剖実習の手技・手順を理解できているか等に対しての不安
②ご遺体に触れることに対しての不安(精神的動揺・怖さ 等)
③体調面の不安(気分が悪くならないか 等)
④人体を解剖することへの抵抗(自分たちが実施して良いのか 等)
⑤解剖学の基礎知識(筋・神経の名称や位置関係の理解 等)
⑥献体された方の遺志に自分が添えるかどうか
⑦組織(皮膚・筋・神経等)を切ることや、メスで傷つけてしまうことの不安
ど
ち
ら
と
も
い
え
な
い
と
て
も
不
安
が
あ
る
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
*人体解剖実習について、気がかりなことがあれば何でも自由に記載してください。
)
記載者の自己確認コード( 図1 2007 年度 アンケート用紙
102
山田貴代、信崎良子、藤原雅弘、澤田昌宏、松田正司、小林直人 形態・機能 第 6 巻第 2 号
ている(山田ら 2008)。
『⑧人体解剖実習で献体(ご遺体)を見るのは怖い』と
いう項目には、7 月は 4 月に比べて「そう思う」
「どちら
かといえばそう思う」と回答した学生が 64%から 67%
に増加し、
「そう思わない」と回答した学生が 10%から
16%に増加した。9 月は 4 月と比較して、
「そう思う」と
回答した学生は 26%から 11%へ有意に減少し、「どちら
かといえばそう思う」と回答した学生も、38%から 21%
へ有意に減少した。また、
「そう思わない」と回答した学
生は、10%から 44%と有意に増加した。9 月の時点でも
この質問に肯定的な回答は 30%を超えている。
『⑨人体
解剖実習はできればやりたくない』という項目は、経時
的に否定的な回答が増加している。9 月は4月に比べて
「そう思わない」と回答した学生が 28%から 49%となり
有意に増加したが、肯定的な回答も 20%残った。
『⑪自
分が PT・OT になった時に、人体解剖実習は役に立つと
思う』という項目には、経時的に肯定的な回答が増加し
ている。
「そう思う」と回答した学生が 7 月は 74%、9 月
は 81%であり 4 月の 51%に比べてそれぞれ有意に増加
し、
「どちらかといえばそう思う」と回答した学生は、9 月
は 4 月に比べて 43%から 19%と有意に減少した。否定
的な回答は 0%となった。
『⑫人体解剖実習を実施する前
解剖実習セミナー アンケート
*以下の質問について、自分の気持ちに最も近いと思う番号を書いてください。
A:そう思う(yes)
B:どちらかというとそう思う
C:どちらともいえない
D:どちらかというとそうは思わない
E:そう思わない(no)
① 自分の身近な人の死を経験したことがある。
【 】
② 人の死は身近なものだと感じる。
【 】
③ 人の死は日常的なことだと思う。
【 】
④ 他人の死は、自分には関係のないことだと思う。
【 】
⑤ 「死」を考えることは嫌だ。
【 】
⑥ 「死」を考える意味はよく分からない。
【 】
⑦ 他人の死を自分の身近な人に置き換えて想像することはできない。
【 】
⑧ 自分の死を世の中のために活かして欲しいと思う。
【 】
⑨ 自分の身近な人が、自分の死を他人のために活かすことは賛成できる。
【 】
⑩ 将来、自分が医療人として働くには人体解剖実習は必要であると思う。
【 】
⑪ 人体解剖実習で献体を触るのは気持ち悪い。
【 】
⑫ 人体解剖実習で献体を見るのは怖い。
【 】
⑬ 人体解剖実習はできればやりたくない。
【 】
⑭ 人体解剖実習の話を聞くよりも早く実際に体験したい。
【 】
⑮ PT・OTになるために人体解剖するというのは理解できない。
【 】
⑯ 献体も標本と同じ扱いで良いと思う。
【 】
⑰ 自分がPT・OTになった時に、人体解剖実習は役立つと思う。
【 】
⑱ 人体解剖実習を実施する前に、勉強しなければいけないと思う事がたくさんあると思う。
【 】
⑲ 人体解剖実習を実施する前に、必要な知識はだいたい身につくと思う。
【 】
⑳ 人体解剖実習を実施した後には、得るものがたくさんあると思う。
【 】
㉑ 自分が脳死になった場合、臓器提供をしてもいいと思う。
【 】
㉒ 自分が死亡した時に、献体として自分の体を提供しても良いと思う。
【 】
図2
2005 年度/2006 年度
アンケート用紙
2008 年 3 月 人体解剖実習と医の倫理セミナー授業 103
と有意に減少した。2006 年度の学年末も、53%から 42%
に減少し、この 2 項目については、否定的な回答が経時
的に減少するという同様の傾向を示した。この 2 項目に
ついて 2007 年度と比べようとした時、上記のようにア
ンケートの形式や実施時期に違いがあり一概には比較出
来ないが、傾向として 2007 年度は否定的な意見が増加
傾向を示した。
に、必要な知識はだいたい身に付くと思う』という項目
は、7 月は 4 月に比べて肯定的な回答をした学生が増加
したが、9 月には否定的な回答をした学生が最大となっ
た。9 月は 7 月と比べて「どちらかといえばそう思わな
い」と回答した学生が 23%から 44%に有意に増加した。
2005 年度~ 2007 年度のアンケート結果を図 5 に示す。
『⑨自分の身近な人が自分の死を他人のために活かすこ
とは賛成できる』という項目には、2006 年度の学年末
は、4 月に比べて「そう思わない」
「どちらかというとそ
う思わない」と回答した学生が 39%から 13%に有意に
減少した。また、2005 年度の学年末も 30%から 13%へ
減少した。
『㉒自分が死亡した時に、献体として自分の身
体を提供してもよいと思う』という質問に「そう思わな
い」「どちらかといえばそう思わない」と回答した学生
は、2005 年度の学年末は、4 月に比べて 58%から 34%
考 察
人体解剖実習を学生に導入するにあたっては、献体者
に対して十分に礼意を尽くすことができるように、解剖
学の知識の他に医の倫理についても学生自身が考える必
要がある。その内容や形態には様々な可能性があるとし
ても、事前に医の倫理についての授業を実施し、必要と
される倫理観を学生自身が身につけておかなければなら
【2007 年度】
解剖実習ガイダンス
解剖実習ガイダンス
アンケート
アンケート
アンケート
アンケート
解剖学Ⅰ(1単位)*
解剖学Ⅱ(1単位)* *
人体解剖実習
人体解剖実習セミナー
(半日×6日)
(医の倫理セミナー含む)
4月
解剖学Ⅲ(2単位)* **
7月
8月
医の倫理セミナー
9 月 10 月
2月 3 月
解剖学講義内容
*
骨学・筋学・神経学
**
循環器・呼吸器・消化器・泌尿生殖器・内分泌系・感覚器・解剖について・献体につ
いて
** *
組織学・発生学・神経解剖学・肉眼解剖学
なお、当学院のカリキュラムでは、夏休みの人体解剖実習及び学期期間中の人体解剖実習セミナー(医の倫理セミナ
ーを含む)をもって、解剖学実習(1 単位,必修、解剖学Ⅰ,Ⅱ,Ⅲとは別枠)の単位を認定している。
図 3 本研究のタイムテーブル
(解剖学講義及びセミナー,医の倫理セミナー,人体解剖実習,アンケート実施の時期)
104
山田貴代、信崎良子、藤原雅弘、澤田昌宏、松田正司、小林直人 形態・機能 第 6 巻第 2 号
表 1 人体解剖実習セミナーの授業内容
【2007 年度】
(前期)
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回
第8回
第9回
第 10 回
第 11 回
第 12 回
第 13 回
第 14 回
第 15 回
第 16 回
第 17 回
第 18 回
第 19 回
(後期)
第 20 回
第 21 回
第 22 回
オリエンテーション、実習概要
上肢(前面)の筋・神経について
医の倫理セミナー①
上肢(前面)グループワーク
上肢(後面)の筋・神経について
上肢(後面)グループワーク
頸部・体幹(前面)の筋・神経について
医の倫理セミナー②
頸部・体幹(前面)グループワーク
頸部・体幹(後面)の筋・神経について
頸部・体幹(後面)グループワーク
下肢(前面)の筋・神経について
医の倫理セミナー③
下肢(前面)グループワーク
下肢(後面)の筋・神経について
下肢(後面)グループワーク
実習オリエンテーション(用具・手順・概要など)
筆記試験
医の倫理セミナー④
医の倫理セミナー⑤
医の倫理セミナー⑥
医の倫理セミナー⑦
表 2 医の倫理セミナーの授業内容
【2007 年度】
第1回:老齢疑似演習
『あなたは 83 歳の独居老人』
第2回:安楽死
『あなたが不治の病にかかったとき、安楽死を望みますか?』
第3回: 代理母制度
『代理母制度を認めますか?』
第4回:家族の死
『配偶者の余命が宣告されたとき、あなたはどのように過ごしますか?』
第 5 回:アルツハイマー病
『あなたがアルツハイマー病だと分かったとき、どのように過ごしますか?』
第 6 回:命の期限
『命の期限を告知されたら、あなたはこれからどのように過ごしますか?』
第 7 回:交通事故で下半身麻痺になった
『交通事故で脊髄損傷になったあなたは、今後の生活設計をどのようにしますか?』
(各々のテーマについて、配布資料に元づく意見の表明と小グループ討論)
使用図書 1 7):
「生・老・病・死を考える 15 章
朝日新聞社、2003 年
実践・臨床人間学入門」
庄司進一
編著
2008 年 3 月 人体解剖実習と医の倫理セミナー授業 ない。そのため、当学院では 3 年前より、人体解剖実習
を控えた学生に対して医の倫理セミナーを実施するとと
もに、学生の倫理観及び意義理解の程度を把握するため
のアンケートを実施している。これは、入学時にどのよ
うな倫理観を持っているかを調査し、それが実習の事前
授業によってどのように変化するかを捉える事や、授業
効果の判定の一助とする事を目的としている。また、人
体解剖実習後も医の倫理セミナーとアンケートを継続
し、入学後約1年間の倫理観の変化を捉え、今後の授業
への改善策を考えることも目的として挙げられる。
2005 年より始めたこのアンケート調査は、2007 年度に
過去のアンケート結果や授業の反省のもとに一部変更さ
れた。今回は、2005 年度及び 2006 年度のアンケート内
容と同じ項目について、2007 年度のアンケート結果を中
心に解析するとともに、2005年度~2006年度のアンケー
ト結果とも比較検討した。
1.2007 年度のアンケート結果
『⑧人体解剖実習で献体(ご遺体)を見るのは怖い』と
いう項目に対して、7 月は 4 月に比べてこの質問に肯定
的な解答をする学生が増加した。これは、人体解剖実習
を直前に控えて緊張度が増したことが考えられる。しか
し一方で、
「そう思わない」と回答した学生も増加してお
り、解剖学の授業や、人体解剖実習セミナーならびに医
の倫理セミナーの中で、解剖実習に対して積極性を持っ
た学生が増加したことを示していると考えられる。その
後、同項目において、9 月になると、4 月または 7 月に比
較して否定的な回答が大幅に増加しており、特に「そう
思わない」と回答した学生は有意に増加した。これは、
⑧人体解剖実習で献体を見るのは怖い
0%
20%
40%
60%
80%
⑨人体解剖実習はできればやりたくない
0%
100%
4月
4月
7月
7月
9月
9月
⑪自分がPT・OTになった時に、人体解剖実習は
役に立つと思う
0%
4月
20%
40%
60%
80%
105
20%
40%
60%
80%
100%
⑫人体解剖実習を実施する前に、必要な知識はだ
いたい身に付くと思う
0%
100%
20%
4月
7月
7月
9月
9月
そう思う
どちらかといえばそう思う
どちらかといえばそう思わない
そう思わない
図4 2007 年度のアンケート結果
40%
60%
80%
100%
106
山田貴代、信崎良子、藤原雅弘、澤田昌宏、松田正司、小林直人 形態・機能 第 6 巻第 2 号
⑨自分の身近な人が、自分の死を他人のために
活かすことは賛成できる
0%
20%
40%
60%
80%
㉒ 自分が死亡した時に、献体として自分の身体
を提供しても良いと思う
100%
0%
4月
4月
7月
7月
1月
1月
20%
40%
60%
80%
100%
⑨自分の身近な人が、自分の死を他人のために
活かすことは賛成できる
㉒ 自分が死亡した時に、献体として自分の身体を
提供しても良いと思う
0%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
4月
4月
3月
3月
20%
40%
60%
80%
0%
100%
4月
4月
7月
7月
9月
9月
2005年度・2006年度
2007年度
40%
60%
80%
100%
⑭ 自分が死亡した時に、献体として自分の体
を提供しても良いと思う
⑦自分の身近な人が、自分の死を他人のために
活かすことは賛成できる
0%
20%
20%
40%
60%
そう思う・どちらかといえばそう思う
どちらでもない
そう思わない・どちらかといえばそう思わない
そう思う
どちらかといえばそう思う
どちらかといえばそう思わない
そう思わない
図5 2005 年度~ 2007 年度のアンケート結果 80%
100%
2008 年 3 月 人体解剖実習と医の倫理セミナー授業 経験した後になると恐怖感がなくなるという従来の傾向
を示している。しかし、この 9 月の時点でも肯定的な回
答をした学生は 30%を超えていた。経験後でも 30%の
学生が怖いと回答していることは、人体解剖実習による
精神的なストレスが大きかった学生も少なくない事を示
していると考える。この傾向はアンケートを実施した 3
年間でより顕著になっているので、今後は今まで以上に
人体解剖実習後の学生の精神面のフォローが必要である
事を示していると考えられる。
また、
『⑨人体解剖実習はできればやりたくない』とい
う項目に対して、経時的に否定的な意見が増加したが、9
月の時点で 20%残っていた。人体解剖実習を経験した後
も「怖い」という回答が 30%であった事から、
「やりた
くない」と回答した学生が 20%残った事は妥当な結果だ
と考えられる。この原因として、人体解剖実習で「死」
を目前にして、自分たちが献体者の意志に応えようとす
る気持ちより、自分たちの不安や恐怖の感情の方が勝っ
た学生が存在したのではないかと考える。これは、学生
の精神的な未熟さ、及び人体解剖実習が学生に与える精
神的な衝撃の大きさを示していると考えられる。
次に、『⑪自分が PT・OT になった時に、人体解剖実
習は役に立つと思う』という項目について、4 月や 7 月
は否定的な回答をした学生も肯定的な回答に変化してお
り、人体解剖実習の意義理解についてはある程度理解で
きていたと考える。しかし、9 月に「どちらかといえば
そう思う」と回答した学生が『⑨人体解剖実習はできれ
ばやりたくない』という項目に肯定的な回答をした学生
の割合と同様に 20%であった。この 20%はおそらく、人
体解剖実習は、
「役に立つ」とは思ったが、それでも「怖
い」
「やりたくない」と感じた学生の割合を示していると
考えられる。人体解剖実習の意義は理解できていても、
実際に経験してみると精神的な負担が大きく強い否定的
な反応を示す学生が存在するということを、養成校の教
員も大学医学部の教員も理解しておく必要がある。
『⑫人体解剖実習を実施する前に、必要な知識はだいた
い身に付くと思う』という質問に対して、7 月は 4 月に
比べて肯定的な回答をした学生が増加した。これは、自
分たちが求められていると考えていた知識は、座学でも
なんとか身に付くと思っていた学生が存在するのではな
いかと考える。また、人体解剖実習の前には、正規の解
剖学授業の他に人体解剖実習セミナーの授業もあり、解
剖学を学ぶ機会が多くなっていたので、肯定的な回答が
増加したのかもしれない。しかし、9 月には否定的な回
答をした学生が最大になっている。特に「どちらかとい
えばそう思わない」と回答した学生は、有意に増加して
いる。これは、人体解剖実習を経験することによって、
自分の知識が不十分であったと考えた学生が増加したと
考えられる。実際に実習を経験して、得られた知識が、
思った以上に多かったと考えた学生が少なくなかったこ
とを示すものと思われる。この結果は、自分たちにとっ
て必要な解剖学の知識は、人体解剖実習を経験してみな
いと分からない事を示しているのかもしれない。逆に言
107
えば、自らの知識不足を認識することが出来たと考えら
れ、今後の解剖学に対する学生自身のモチベーションを
上げることが出来ると考えられる。つまり、人体解剖実
習は、その後の学生の解剖学に対するモチベーションを
向上させることができる可能性を持っていると考える。
ただし、
「必要な知識」という文言についての学生の認識
が、学習を進める過程で変化した可能性もある。
2.2005 年度~ 2006 年度のアンケート結果との比較
2005 年度及び 2006 年度と 2007 年度のアンケートの
変更点は、内容と実施時期及び回数である。実施時期に
ついて、2007 年度の 4 月のアンケートは入学式の次の日
に実施した。これは、解剖学の知識がほとんどない状況
での学生の状態を把握しようと考えたためである。実施
回数については、同じ形式で反復すると十分に考えるこ
とのないまま回答してしまう可能性があり毎年苦慮して
きた。そのため 2005 年度は 3 回、2006 年度は 2 回で
あったが、2007 年度はアンケートのオリエンテーション
の時間を十分にとり、学生に趣旨を十分理解してもらう
試みを加え、4 回実施することを計画している。実施内
容については、
「死」についての質問、献体への敬意につ
いての質問、人体解剖実習の意義理解についての質問の
項目数を減らし、人体解剖実習への不安についての質問
項目を増やした。また、回答方法についても「どちらと
も言えない」の選択肢を外し、どちらかに振れるように
した。これらの変更点のため、一概に各年ごとの変化を
比較することは出来ない。そのため、アンケート結果の
年次による相違については、傾向として示すに止める。
まず、
『⑨自分の身近な人が、自分の死を他人のために
活かすことは賛成できる』という項目に対し、2005 年度
は肯定的な回答が 7 月には一旦減少しているが学年末に
は増加している。2006 年度は学年末の肯定的な回答の割
合は 2005 年度に比較して少ないが、増加を示している。
2007 年度は、学年末はまだ実施されていないものの、肯
定的な回答は減少傾向を示している。2005 年度のように
1 年の間で肯定的な回答が一旦減少するという事は、今ま
でに「死」を身近なこととして捉えていなかったが、医
の倫理セミナーなどがきっかけとなり、
「死」についての
具体的な想像をすることができたのではないかと考え
る。次に『㉒自分が死亡した時に、献体として自分の身
体を提供しても良いと思う』という項目について、2005
年度の学年末は 4 月と比べて否定的な回答が有意に減少
している。2006 年度も同様の経過を示している。これは
人体解剖実習が自分たちにとって非常に役立つと考えた
学生が、自分の身体を献体として提供することにそれほ
ど抵抗を感じなくなったと考えられる。しかし、2007 年
度は否定的な回答が経時的に増加傾向を示した。これは、
自分が献体として他者の役に立つということの難しさが
認識された事と同時に、他者のために自分が行動すると
いう事の想定が困難だったのかもしれない。また、前述
した通り 2007 年度の 4 月のアンケートは入学式の次の
日に実施しており、4 月の回答が、自分の気持ちに正直
な回答というよりも、模範的に回答したものとも考えら
108
山田貴代、信崎良子、藤原雅弘、澤田昌宏、松田正司、小林直人 形態・機能 第 6 巻第 2 号
れる。
3.セミナーの効果
自ら“メスを持って”積極的に解剖実習を行うために
は1年次の夏休みの時点では学生の知識不足が否めない
が、今回我々は正規の解剖学授業以外でも人体解剖実習
の為の解剖学として、骨・筋・神経・血管の走行を出来
る限り学習させた。また今後、リハビリテーションの一
貫としての運動療法のプログラムを立案し実施するにあ
たっても、解剖学は運動学を初めとする全ての科目の基
礎となり重要であることを理解させたいと考えて授業を
実施した。
さらに、解剖学の知識にとどまらず、医の倫理につい
ても考えさせる上で、人体解剖実習は貴重な機会である。
しかしその人体解剖実習を経験するためには、学生がど
のような倫理観を持っているのかを事前に把握し、実習
を受講するために必要な礼意を身に付けてもらわなけれ
ばならない。そのために医の倫理に関するセミナーを実
施し、「死」に対する自分自身の考えを認識すると同時
に、他者の意見を聞き自分の考え方との違いを感じても
らう必要があると考える。アンケート結果より、大部分
の学生が「死」を考えることに何らかの意義を見出し、
自らが現実的な問題として「死」を捉えようとしている
傾向が見られた。しかし、3 年間同様のアンケートを実
施していく中で「死」に対する現実感の希薄さ、あるい
は他者の立場を理解しようとする想像力の低下を感じ
た。また、実際に学生の人体解剖実習を引率する中で、
体調不良者が続出する一方、緊張感が不足している学生
の存在など、
「死」に対する考え方やとらえ方の個人差が
年々広がっている。これらについては、年々精神的に未
熟な学生が増加していることも一因と考えられる。今後
も、少子化問題や養成校の乱立により、精神的に未熟な
まま専門学校に入学してくる学生は増加すると予想され
る。人体解剖実習を実施するためには、知識面での準備
と同時に心の準備も必要であり、そのためには学生がど
のような倫理観を持ち、どのようなリアクションが予想
されるのか、人体解剖実習を引率する教員がある程度把
握しておく必要がある。また、個人差が大きくなると考
えられる今後の学生には、引率する教員の増員などのシ
ステム自体の強化も必要であり、同時に教員自体の解剖
学の知識と実習経験の充実が必要であると考えられる。
今後も、学生の倫理観を把握する事を試み、その成長を
促すセミナーを模索していきたい。
謝 辞
今回、当学院での人体解剖実習の導入及び実施にあた
り、多大なご尽力を頂いた愛媛大学医学部の関係諸氏、
ならびに開学時より長期にわたりご指導いただいた愛媛
大学医学部名誉教授・故高島庸一郎先生に深く感謝いた
します。また、愛媛大学白菊会会員の方、およびそのご
家族のご理解とご協力に深く敬意を表します。最後に、
アンケートに真摯に回答してくれた学生諸氏に謝意を表
します。
なお、本論文の内容の一部は全国私立リハビリテー
ション協議会教育研究大会(2007 年 8 月、東京)、コ・
メディカル形態機能学会(2007 年 9 月、愛媛)にて発表
したほか、先行する研究は別途報告 16) している。
文 献
1) 佐藤利夫(2003) 医療系学部・学科における正常解
剖の法的問題に関する検討、コ・メディカルのため
の人体解剖のあり方と健康科学的情報の利用に関す
る調査研究、平成 14 年度科学研究費補助金研究成果
報告書基礎研究 (C)(1)、3-13
2) 小林邦彦(1998) 医療技術者養成校における人体解
剖実習の重要性とその条件整備への提言―医療技術
者教育にルネッサンスを―、解剖学雑誌 73:275-280
3) 明坂年隆(2005) 日本解剖学会コメディカル教育委
員会の活動、形態・機能、第 4 巻、第 1 号、26
4) 坂井建雄、佐藤巌、松村讓兒、伊藤正裕(2003) 「コ
メディカル教育における人体解剖実習についての調
査」報告書、日本篤志献体協会、27
5) 絹谷政江、小林直人、松田正司(2007) コメディカ
ルの解剖実習について:看護学、解剖学雑誌、82、抄
録集、70
6) 青山裕彦、隅田寛(2007) コメディカル学生の人体
解剖実習~学外の医療系等教育機関との連携を目指
して~、解剖学雑誌、82、抄録集、72
7) 小林光俊、内野滋雄、高田治実、与那嶺司(2005) 「コメディカル教育における人体解剖実習の本格的
導入に向けての養成校側の準備体制整備」報告書、平
成 16 年度文部科学省専修学校先進的教育研究開発事
業、学校法人敬心学園臨床福祉専門学校、8-12
8) 坂井建雄(2005) 人体解剖実習が成立する要件 ―
コメディカル教育のために―、形態・機能、4、1、28
9) 松田正司(2003) コ・メディカル解剖実習に関する
お願い、愛媛大学しらぎく、第 29 号、4-6
10) 松田正司(2004) 愛媛医療教育解剖研究会の発足に
ついて、愛媛大学しらぎく、第 30 号、4-6
11) 松田正司(2006) コメディカルの解剖学教育につい
ての報告、愛媛大学しらぎく、第 32 号、3-4
12) 小林直人、下川哲也、寺下健洋、松田正司、絹谷政
江(2006) 地域の医療系大学・医療人養成校と医学
部との連携による参加型解剖実習、医学教育、第 37
巻、補冊、67
13) 絹谷政江、小林直人、松田正司(2005) 地域の医療
人養成校と医学部との連携による解剖実習の実現、
-愛媛医療教育解剖研究会-、解剖学雑誌、80 号、
抄録号、85
14) 小林直人、下川哲也、寺下健洋、松田正司、絹谷政
江、澤田昌宏、福田靖、清家隆介、富永彬生(2005)
愛媛医療教育解剖研究会による専門学校 PT・OT
学科学生の人体解剖、形態・機能、第 4 巻、第 1 号、33
15) 澤田昌宏、藤原雅弘、三澤一登、山田貴代、内田勝
之、信崎良子、福田靖、寒竹千夏、荒川慶子、小林
2008 年 3 月 人体解剖実習と医の倫理セミナー授業 109
直人、松田正司(2005) 当学院における人体解剖実
習、愛媛十全医療学院紀要、第 5 巻、21-24
16) 山田貴代、信崎良子、藤原雅弘、澤田昌宏、松田正
司、小林直人(2008) 本学院における人体解剖実習
についての学生アンケートの解析―人体解剖実習お
よび実習前後のセミナーによる学生の意識の変化に
ついて―、理学療法学、印刷中
17) 庄司進一(2003) 生・老・病・死を考える15章実
践・臨床人間学入門、朝日新聞社
Dissection course of the human body for PT/OT students and seminars on
medical ethics conducted prior to and following the dissections
Kiyo YAMADA 1),Ryoko SINOZAKI1),Masahiro FUJIWARA 1),Masahiro SAWADA 2),
Seiji MATSUDA 3),Naoto KOBAYASHI4)
1)
Department of Physical Therapy, Ehime Juzen School of Allied Medical Professions, 2) Department of
Occupational Therapy,Ehime Juzen School of Allied Medical Professions, 3)Department of Anatomy and
Embryology,Ehime University School of Medicine,4)Medical Education Center,Ehime University School
of Medicine
Key Words
dissection course of the human body, small group learning, questionnaires,
medical ethics
Abstract
In 2004 a dissection course of the human body was introduced for the first year PT-OT students, where the students
perform the dissection by themselves, in other words ”with their own scalpels”, supported by Ehime University Medical
School. Based on questionnaires to the students participated in these courses, this study examined how changed
students’ thoughts on medical ethics related to humanity through a small group learning environment. The
questionnaires were given to first year students in 2005 (PT only), 2006 (PT only) and 2007 both (PT and OT). The
results in 2005 and 2006 have been previously analyzed and published elsewhere (Yamada K, et al., J Jap Physical
Therapy Ass, 2008 in press.). Some results of the questionnaires in 2007 showed similar results to the previous ones.
Those were “Watching dissection is a fearful event.” “Don’t want to do the dissection” and “When you become a PT or
OT, dissection is very useful to you.” The results also showed that students understood that dissection is important, but
some students experienced considerable stress during the dissection course. From 2005 to 2007, gradual change was
found in the answers to “If your family member wants to leave their body to medicine when they die, you would agree
with them” and “When you die you’ll donate your body to medicine.” The students’ idea about death demonstrates a
wide variety, and the difference may be getting wider. Teachers have to understand the student’s personal thoughts,
while the students need time to consider about the medical ethics.
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