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イプソス ニュースレター 2016.12 認識は「現実」ではない:人々の認識がずれていることは? イプソスが世界40カ国で実施した「Perils of Perception―認識の危険性調査」で、40カ国の人々は世界で起こっている現実 や自国の国民の特徴についてかなり誤解して捉えていることが明らかになりました。 <全体の傾向> • 調査実施国の多くは、自国に居住するイスラム教徒の数について誤解している。人々の認識は実際の数よりも多く、驚くべきス ピードで増加していると捉えている • 自国の幸福感に関する認識では、調査対象の全40カ国で、実際に「幸福だ」と回答した人々の割合のほうが高い • 同性愛、妊娠中絶、婚前の性交渉については、実際には、人々は考えられているよりも寛容である • 富の分配については、今回調査対象となったほとんどの国で人々の認識よりも現実のほうがより偏っている 日本人の認識と現実を見てみると・・・ 1. イスラム教徒の数:今回の調査結果から、日本では平均すると100人中6人がイスラム教徒であると認識されていること がわかったが、これは大きな誤解である。実際には1000人中2人である。 2. イスラム教徒数の今後: 2020年のイスラム教徒数がどうなっているかとの質問への回答は、平均で100人中7人であっ た。Pew Research Centreの予測では、日本では増減なし(1000人中2人)となっている。ここでも大きな誤解がある ことがわかった。 3. 幸福感:日本人は幸福だと感じていると思う、と回答したのは42%であった。World Values Surveyによると「自分は 幸福だと思う/まあ幸福だと思う」と回答したのは86%で、44ポイントの乖離が見られた。 4. 同性愛:「同性愛を許せない」のは31%(Pew Research Centre調べ)であったのに対し、「許せないと思っている のはどの程度だと思うか」という質問への回答の平均は42%であった。日本人は同性愛について、思っているよりも寛容な ようだ。 5. 婚前の性交渉: この項目では、現実に近い見方をしている。「婚前の性交渉は許せない」は21%(Pew Research Centre調べ)、「許せないと思っているのはどの程度だと思うか」には26%との回答であった。 6. 妊娠中絶: この項目では、「妊娠中絶は許せない」が28%(Pew Research Centre調べ)、「妊娠中絶を許せな いと思っているのはどの程度だと思うか」が41%で、認識が現実を13ポイント上回り、実際には寛容なことがわかった。 7. 下位70%が占める富の割合: 下位70%が占める富の割合について推測してもらったところ、32%という結果で、これ は実際の数字(24%)を上回った。 8. 持ち家:住宅の持ち家率については、日本の対象者の認識は半数程度(51%)であったが、現実は62%である。 9. 健康関連支出:世界銀行のデータでは、日本のGDPに対する健康に関する支出が占める割合は10%である。しかし 人々はより多いと感じているようで、今回の調査結果は22%であった。 10. 現在の人口:他の対象国同様、日本人は人口についてはかなり正確な数字を把握している。実際は1億2696万人で あるのに対し、認識は1億2000万人であった。 11. 今後の人口増減:しかし、将来の人口増減の見通しについては違う。国連の予測によれば2050年の日本の人口は1 億741万人であるのに対し、今回の調査結果では一億人を切る(9800万人)という認識であった。 12. アメリカ大統領選: この調査はアメリカ大統領選挙の1ヶ月前に実施されたので、それについての予想を質問した。結果 は、ほとんどの国でクリントン氏優勢であった。日本では70%がクリントン氏の勝利を予想しており、トランプ氏勝利を予想 したのはわずか8%であった。 実は、世界には日本よりもさらに現実や将来の見通しを正しく認識していない国が多い 下位70%が占める富の割合:世界の人々は下位70%が占める富の割合を多く認識している。今回の調査対象40カ 国の平均では、下位70%が占める富の割合は15%であるのに対し、人々の認識はほぼ2倍の29%であった。特にインド 39%(実際は10%)、タイ33%(実際は9%)、南アフリカ29%(実際は8%)、台湾39%(実際は17%)、アメリカ28% (実際は7%)などで、現実と認識の乖離が大きかった。 持ち家:住宅の持ち家率については多くの国で低く認識されていた。調査対象国全体の平均では、実際には68%が住 宅を購入し所有しているのに対し、調査結果での認識は49%にとどまった。インドでは、実際は87%が持ち家に住んでいる のに対し、今回の調査でそれと認識しているのは44%にとどまった。大都市の中間層には住宅購入の風潮が高まっていてそ の希望者も多いが、現実的にはそれ以外の人々は持ち家率が高い。 健康関連支出:世界銀行のデータでは、今回の調査対象40カ国の合計では、GDPに対する健康に関する支出が占め る割合は8%である。しかし、人々の認識はより多く、今回の調査結果では21%であった。現実と認識の乖離が最も大き かったのはマレーシアで、39%以上という認識に対し、実際は4%である。 現在の人口と今後の人口増減:対象国全体で現実と認識のずれがあまり見られなかったのは人口である。ほとんどの国で その差は5%以内であった。特にドイツでは正確に数字と捉えていた。差が開いていたのは香港とシンガポールで、香港は 10%多く、シンガポールは10%少なく認識していた。 しかし、2050年の人口予想については話が違う。たとえば台湾では、 人口は大きく膨らんでいるだろうと認識しているが、国連では減少すると予測している。また、アメリカでは人々が認識してい るよりも、国連の予測値のほうが大きい。このように、人口の増減を正確に見通している人々は概して少なかった。 アメリカ大統領選: ドナルド・トランプ氏の勝利を予測した国は、40カ国中、ロシア、セルビア、中国の3カ国のみであった。 認識と現実のずれが大きい国は? 今回の調査結果を見ると人々が抱いている認識と現実のずれは、国によっての傾向がある。イプソスが独自に算出した指数では、 現実を正確に認識している国はオランダ、次いでい英国、韓国と続く。日本は40か国中、14番目であった。 一方、最も認識と現実の乖離が大きい国がインドで、次いで中国、台湾あった。 調査の詳細について この調査の詳細は、Ipsos Perils of Perceptionの専用サイト(英語のみ)をご覧ください。perils.ipsos.com この調査のレポートをご覧になりたい場合は、Slideshareでもご覧いただけます。 http://www.slideshare.net/IpsosMORI/the-perils-of-perception-in-2016-ipsos-mori <調査概要> 調査時期 2016年9月22日~11月6日 調査対象者 18~64歳、または16~64歳の男女(国別の制限による) 調査対象国 40カ国(アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コロンビア、チェコ、デン マーク、フランス、英国、ドイツ、香港、ハンガリー、インド、インドネシア、イスラエル、イタリア、日本、マレー シア、メキシコ、モンテネグロ、オランダ、ノルウェー、ペルー、フィリピン、ポーランド、ロシア、セルビア、シンガ ポール、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、台湾、タイ、トルコ、米国、ベトナム) サンプルサイズ 調査方法 27,250人(各国500人/オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、英国、イタリア、日 本、スペイン、米国では各国1000人/チェコ、モンテネグロ、オランダ、ノルウェー、セルビアでは各国 800人) イプソスオンラインパネルを利用したオンライン調査(チェコ、モンテネグロ、オランダ、ノルウェー、セルビアで はオンライン調査または対面調査) 「実際のデータ」について:The World Values Survey 、 Pew Research Center 等信頼性のあるデータソースを 利用。詳細についてはこちらをご覧ください。 イプソスについて 1975年創業。イプソスはリサーチのプロフェッショナルが経営する世界第3位のグローバル市場調査会社です。 世界88カ国の拠点では、16,000人以上のスタッフが、5,000を越えるクライアントにサービスを提供しています。年間の調査プロジェ クト数は10万件以上、実施インタビュー数は7,000万件以上に上ります。 GreenBook Research Industry Trend Survey 2016(1Q-2Q)で最もイノベイティブなリサーチ会社の第2位に選ばれま した。 Ipsos in Japanホームページ: http://www.ipsos.jp/ 本件についてのお問い合わせ: 山野辺有子 Ipsos in Japan 03 6867 8100 [email protected]