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腹膜鏡下仙骨膣固定術及び中部尿道スリング手術前後の尿流動態検査

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腹膜鏡下仙骨膣固定術及び中部尿道スリング手術前後の尿流動態検査
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腹膜鏡下仙骨膣固定術及び中部尿道スリング手術前後の尿流動態検査が有用であった1例
◎大澤 郁子 1)、東郷 未緒 2)、福山 光和 2)、松本 繁子 1)、大塚 喜人 2)
医療法人 鉄蕉会 亀田クリニック 1)、医療法人 鉄蕉会 亀田総合病院 2)
【はじめに】
MUCP 48cmH2O、コンプライアンス 60 と大幅に改善をみ
当院のウロギネコロジーセンターは骨盤臓器脱、腹圧性・
た。また、内圧尿流検査(PFS)では最大尿流率(Qmax)
切迫性尿失禁など、女性骨盤底機能障害を主な診療対象と
14.3ml/s であったのが術後は 38ml/s となった。
している。骨盤臓器脱は女性の骨盤内にある膀胱、子宮、
【まとめ】
膣、直腸などが膣から脱出する疾患である。脱出した臓器
骨盤臓器脱は腹圧性尿失禁を合併する事が多く、骨盤臓器
により下部尿路症状(LUTS)が発生し、疼痛、出血などの
脱の手術後に尿失禁が消失する事があるため、通常は二期
症状が進み生活の質(QOL)も低下する。
的に尿失禁手術を行う。本例は術前検査で MUCP が異常低
今回、我々は骨盤臓器脱患者の手術前後に尿流動態検査を
値を示しており、術後尿失禁の増悪が予測されたため、同
施行し、下部尿路機能評価に有用であった1例を報告する。
時に腹膜鏡下仙骨膣固定術と中部尿道スリング手術を施行
【症例】
した。その結果、尿道の閉鎖機能が改善し、尿失禁が消失
68 歳、女性。既往歴は糖尿病、高血圧、高脂血症。
した。膀胱内圧測定では排尿筋過活動が消失し、蓄尿機能
2012 年 10 月 2 日尿失禁の主訴にて治療を希望し、当院ウ
の改善を確認した。
ロギネコロジーセンターを受診、内診結果にて Pelvic organ
prolapse
quantification(POPQ)スコアは stageⅡの骨盤臓器脱
を認めた。2013 年 9 月 3 日術前の尿流動態検査施行し、最
大尿道閉鎖圧(MUCP)19cmH2O、コンプライアンス
8.9 であった。11 月 1 日に手術となり、経過良好にて 6 日
に退院。2014 年 1 月 7 日術後の尿流動態検査施行し、
尿流動態検査は尿道機能、蓄尿機能、排尿機能などの下
部尿路機能評価を客観的に行うことができ、治療方針を立
てる上でも有用性の高い検査であるといえる。
連絡先 04-7092-2211 (内線 6073)
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腎細胞癌との鑑別に難渋した腎血管筋脂肪腫の 1 症例
◎後藤 寛昭 1)、手嶋 桃江 1)、疋田 宏美 1)、小室 貴子 1)、大久保 滋夫 1)、矢冨 裕 1)
東京大学医学部附属病院 1)
【はじめに】血管筋脂肪腫(AML)は、血管内皮、平滑筋、
成熟脂肪細胞が多様に混淆する腫瘍であり、腎臓に好発す
る過誤腫性の良性腫瘍である事は周知の通りである。エコ
パターンを呈した。
【CT 所見】単純では腎実質よりも均一で極軽度高吸収を呈
し、造影では両腎に動脈相で濃染する腫瘤を認めた。
ーでは腎 AML は腎洞よりも高エコーを呈する腫瘤として
高頻度に遭遇するが、混在する成分比によって多彩な画像
【腎生検所見】組織学的には、類円形の核と好酸性の細胞
所見を呈する。特に脂肪の含有率が低い場合は低エコー腫
分裂を認めず。腫瘍内には脂肪細胞が少数散在した。免疫
瘤として描出され、腎細胞癌(RCC)との鑑別が困難である。
【症例】43 歳 女性 【既往歴】虫垂炎
染色にて一部は HMB-45 陽性を示した。α-SMA は多くの
細胞に陽性を呈した。以上より、脂肪成分の少ない
【現病歴】検診エコーで左腎に腫瘤を指摘。造影 MRI、造
AML と考えられた。
影 CT で両側 RCC と診断され、左腎摘出及び右腎部分切除
を提示されたが、不安を抱き当院に来院された。【家族歴】
【まとめ】他院で RCC と診断され手術予定であったが、高
母; 乳癌、父; 糖尿病、兄; ネフローゼ 【血液検査所見】
血液学検査、生化学検査、腫瘍マーカーに異常所見を認め
ず。【エコー所見】右腎中央外側には 1.5cm 大の低エコー
腫瘤を認め、中心部に高輝度エコースポットを認めた。境
界はやや不明瞭で、豊富な血流も指摘できず。左腎には下
極から突出する 3.0 cm 大の低エコー腫瘤を認め、内部に高
輝度エコースポットを数個認めた。境界明瞭で血流は点状
質を持つ腫瘍細胞の増殖を認め、核分裂像は乏しく、異型
輝度エコースポットを認めたため AML を否定できず、腎
生検が選択された。結果的には手術を回避することが可能
であった。診断に難渋した要因として、ダイナミック
CT では一見 RCC に特有な血行動態を呈したためと考えら
れた。エコー輝度での RCC と AML の鑑別は困難だが、高
輝度エコースポットの検出が鑑別のひとつとして有用であ
ることを再認識した症例であった。
東大病院検査部 03-3815-5411(内腺 34182)
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腎動脈狭窄様所見を呈したルーリッシュ症候群の 1 例
◎松田 浩明 1)、鮎川 宏之 1)、丹羽 景子 1)、細川 舞 1)、中村 彩子 1)、宮崎 のり子 1)、大町 千恵美 1)
医仁会 武田総合病院 1)
<症例 67 歳男性>主訴:なし, 既往歴:2004 年左内頸動脈
流速度上昇なし(RAR 2.2). 左腎動脈分岐直後にて最大血
閉塞に対し,STA-MCA bypass 術施行. 2009 年右中大脳動脈
流速度 254cm/s(RAR 6.1)腎動脈分気直後血流速度の上昇
狭窄に対し, STA-MCA bypass 術施行. 2013 年左鎖骨下動脈
および RAR,左右差より左腎動脈狭窄を疑った.<血管造影
閉塞症に対し, stent 留置術施行. 現病歴:2013 年にルーリ
>PTA 予定であったが, 造影,IVUS 共に有意な狭窄を認め
ッシュ症候群を指摘されたが,症状も乏しく, 著明な側副血
ず, 治療を中止し終了となった. また腎動脈は左右ともに他
行路により末梢血流も保たれるため, 薬物治療にて経過観
臓器への分枝血管を認めた. ※再度施行した超音波検査でも,
察中であった. 経過観察の血管エコーにて左腎動脈狭窄が
来院時と同様の所見であった. <考察>本症例は腎動脈よ
疑われ, 予防的 PTA 目的で当院循環器科に入院となった.
り側副血行路として分枝血管を認めており, 特に左腎動脈
<来院時現症>身長 165.5cm 体重 54kg 心音Ⅱ音亢進 心雑
は近位部からの分枝であったため血流の盗血の影響が大き
音なし 腹部雑音 腹部正中やや左寄りに雑音あり 両側大腿
く, 血流速度が上昇したと考えられる. また, ルーリッシュ
動脈弱く触知 後脛骨動脈, 前脛骨動脈触知不良 下肢浮腫
症候群で腹部大動脈に病変が存在していることから, 腎動
なし 潰瘍なし 喫煙歴 20 本/day <来院時血液検査>Cre
脈狭窄診断基準(RAR>3.5)には当てはまらないことも考
1.32mg/dl eGFRcreat 42.8ml/min Na141mEq/l K3.7mEq/l レニ
慮すべきであり, ドプラ法だけでなく断層像での内腔評価
ン活性 47.3ng/ml アルドステロン 52.1pg/ml<超音波検査
や腎内など末梢側の評価も重要であると考える. <まとめ
>腹部大動脈腎動脈分岐直下より両側総腸骨動脈まで完全
>ルーリッシュ症候群に伴う側副血行路の影響により腎動
閉塞. 両側総大腿動脈より側副血行路流入を認め, 末梢血流
脈狭窄様所見を呈したと考えられた1例を経験した. この
は保持. 上腸管膜動脈は分岐直後より血流速度の上昇を認
ような症例の場合, 側副血行路が存在する可能性も考慮し
める(下肢への側副血行路の為). 右腎動脈分岐直後の血
ながら評価すべきであると感じた.連絡先 075-572-6913
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膵悪性リンパ腫の 1 例
◎簑田 直樹 1)、玉置 万智子 1)、松﨑 俊樹 1)、上山 昌代 1)、河谷 浩 1)、辻井 一行 1)、綿貫 裕 1)
姫路赤十字病院 1)
【はじめに】節外性悪性リンパ腫は腹部領域では消化管,
明瞭な腫瘤を認め,造影 CT では内部が不均一に造影され
特に胃に多く見られ,膵に発生するものは節外性悪性リン
る腫瘍を認めた.また腫瘍内部に脈管の貫通所見を認め,
パ腫の 0.6~2.2%と少ない.今回我々は,超音波検査にて極
脈管の狭窄や口径不整は認めず.周囲リンパ節は散在して
めてまれな膵悪性リンパ腫の 1 例を経験したので報告する.
いた.【EUS-FNA】胃からの観察で膵体部~頭体移行部に
【症例】70 歳代 男性【主訴】特になし【現病歴】健診の
かけて膵の上に大小不同の低エコーの腫瘤が多発していた.
腹部超音波検査にて,膵頭部に低エコー腫瘤を指摘され,
同部位に EUS-FNA を施行した.経胃的に 2 回穿刺,抵抗
近医にて CT を撮影,同様の所見を認め精査加療目的に当
なく針が入り,柔らかい腫瘍であった.【病理組織所見】
院内科受診となる.表在リンパ節触知せず.【既往歴】高
変性は加わっているが,胞体の乏しい大型核の細胞が密に
血圧,逆流性食道炎,不眠症,便秘症,湿疹,両側総頚動
増殖しており,悪性リンパ腫の所見.免疫染色により
脈狭窄症【血液所見】WBC:6400/µl,RBC:442×10⁴/µl,
diffuse large B-cell lymphoma の所見であった.【考察】膵悪
Hgb:14.1g/dl,CRP:0.80mg/dl,CEA:1.4ng/ml,CA19-
性リンパ腫は他の膵腫瘍,特に浸潤性膵管癌との鑑別が困
9:38.2U/ml,IgG4:27mg/dl,可溶性 IL-2:1770U/ml【腹部超
難である.膵悪性リンパ腫の特徴として,腫瘍径が 6cm 大
音波】主膵管の拡張認めず.膵頭部に 40mm 大の境界明瞭
以上の大きなものが多いこと,比較的境界明瞭で膨張性に
な極低エコー膨張性発育様腫瘤を認めた.周囲にリンパ節
発育,その大きさに比べ脈管への浸潤傾向が乏しく,周囲
散在.腫瘍による腹腔動脈の狭小化認めず.造影超音波:
に多数のリンパ節を認めることが挙げられる.今回の症例
腫瘤は早期に周囲膵組織より濃染を認めた.数秒後には周
では腫瘍径は満たさないが,他の特徴を満たしていた.一
囲膵組織と同様な染影を認めた.【腹部 CT】単純 CT では
般に悪性リンパ腫の造影パターンは一定ではない.今後症
膵頭部周囲から肝門部に多数の病変が癒合したような辺縁
例をかさね検討していきたい.連絡先-079-294-2251
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診断に難渋した脾臓原発組織球肉腫の 1 例
◎宮元 祥平 1)、谷内 亮水 1)、清遠 由美 1)、青地 千亜紀 1)、土井 由賀利 1)
高知県高知市病院企業団立 高知医療センター 1)
【はじめに】組織球肉腫は組織球系細胞由来の悪性腫瘍で
められず、肝細胞相で肝外側区に 28mm の洗い出し像を認
あり、非常にまれな疾患である。発生部位は消化管、皮膚、
めた。SPIO-MRI では脾臓の多発性腫瘤と肝外側区に
軟部組織やリンパ節があるが、脾臓原発の組織球肉腫の報
SPIO の取り込みは認められなかった。以上の画像所見よ
告は 8 例にとどまる。今回、われわれは生前診断に難渋し、
り脾臓血管肉腫、肝臓への転移が疑われたが、病状の進行
剖検にて診断された 1 例を経験したので、画像所見ならび
が早く 10 月末に死亡され、剖検となった。
に文献的考察を加え報告する。
【病理組織学的所見】脾臓、肝臓、傍膵リンパ節に腫瘍細
【症例】患者は 60 歳代、男性。2013 年 4 頃より皮下出血、
胞の浸潤を認めた。また腫瘍細胞、非腫瘍性のマクロファ
7 月末より全身倦怠感が出現し、8 月上旬に近医を受診。
ージの血球貪食像を認め、赤血球、血小板減少の原因と考
貧血(Hb:6.3g/dl)と血小板減少(Plt:0.2×104/μl)を認め、
えられた。免疫染色で組織球マーカーが発現し、組織球肉
精査目的のため当院血液内科に紹介となった。入院時現症
腫と診断された。
は脾臓が触知され、上肢に紫斑、下肢に浮腫を認めた。
【考察】組織球肉腫は非常にまれな疾患で、脾臓原発は 8
【画像所見】造影 CT では腫大した脾臓内部に、低吸収の
例が報告されている。組織球肉腫は一般的に悪性度が高く、
多発性腫瘤を認めた。また肝臓外側区も低吸収域を認め、
治療抵抗性で予後不良である。報告 8 例中、5 例は発症後
右葉には血管腫を複数認めた。腹部エコーでは脾臓は 12.5
18~61 ヶ月後に死亡している。本症例も治療抵抗性を認め、
×4.6cm と脾腫を認め、下極は腫瘤様に描出された。他の
脾実質は不均一で、明らかな腫瘤性病変は描出されなかっ
発症約 3 ヶ月後に死亡しており、極めて予後不良であった。
た。また CT で指摘された肝外側区の低吸収域は描出され
た。原因不明、治療抵抗性の血小板低下を伴う脾腫瘍では
なかった。EOB-MRI では脾臓に明らかな腫瘍性病変は認
考慮すべき疾患と考えられた。(連絡先:088-837-3000)
【結語】極めてまれな脾臓原発組織球肉腫の 1 例を経験し
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