...

2014年7月実施

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

2014年7月実施
総合学術研究推進委員会からの依頼で、本日の教授会冒頭の15分程を使って、研究
費の不正使用防止のためのコンプライアンス教育を行うことになりました。
本学ではこれまでも総合学術研究推進委員会の中に置かれている「不正防止計画推
進委員会」が策定する不正防止計画に沿って、競争的資金や補助金による研究費を
中心に不正防止対策を行って来ました。
しかし、相変わらず起きている研究費の不正使用に対して、文部科学省としては各大
学に、科研費などの競争的資金や補助金などによる研究費の使用について、より一層
厳しく管理することを求めてきています。
(次ページへ)
1
このため、今年2月に文部科学省は「研究機関における公的研究費の管理・監査のガ
イドライン」を改正し、大学に対して厳しい事項を盛り込みました。
本日の「コンプライアンス教育」と銘打った説明会は、改正趣旨のひとつとして「不正を
事前に防止するための取組み」を各大学で行う必要があるとされていることから、この
改正に伴い義務化されたコンプライアンス教育として実施するものです。
今回7年ぶりに改正されたガイドラインの主なものはここに書かれているような内容で
すが、
概要としてまとめられたものを参考資料として配布されていますのでそちらをご覧くださ
い。
(時間的余裕があれば別紙概要を説明)
(次のページへ)
2
研究費の不正使用に対しては、本学では2007年に「神奈川大学研究倫理綱領」を制定
し、その中で「研究者の基本姿勢」「研究者の自律性」「研究者の社会的責任」「研究協
力者への配慮」「知的不正行為の防止」「研究・教育における差別の排除」とともに「研
究資金の適正な使用」を明示しています。
また、2007年に文部科学省から「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイド
ライン」が出され、これに沿って、2008年には競争的資金をはじめとするさまざまな研
究資金の執行・管理に関する取扱要領を決めました。
また、不正使用が発生した場合に対応できるよう調査に関する規程の整備を行ってき
ています。
さらに、総合学術研究推進委員会の小委員会として不正防止計画推進委員会を置き、
本学における研究費の執行における不正発生の要因について検討し、毎年見直しを
図って来ています。
しかし、昨年度本学における不正経理が判明し、大学としては不正経理に相当する金
額と利子を返金するとともに、不正防止計画推進委員会で物品検収の方法を見直した
りするなど、不正防止計画をより厳しいものに改正し、文部科学省に提出したところで
す。
本学の不正防止計画については本日資料として配布してあります。
(次のページへ)
3
この図は研究を実施するにあたって、文部科学省などからの要求によって必要となっ
てきている環境を示した図です。
神奈川大学研究倫理綱領を中心にして、オレンジ色の項目は規程なども整備され、学
部・研究科、事務部署で対応がある程度できていると考えられる項目です。
青色部分の「成果有体物の管理」は、最近国から強く言われ始めた項目で、研究成果
としてや研究の過程で生まれたサンプルなどの管理についてです。これについてはこ
れまでも理学部、工学部では学部や先生方で独自に管理されてきたと考えられます。
白抜きとなっている3つについては本学ではまだ体系的には実施していない部分です。
本日初めてのコンプライアンス教育の実施となりましましたが、今後はこの継続が求め
られます。
研究における利益相反や安全保障輸出管理については他大学は規程化を進めている
ところで、本学も検討を必要としています。
(次のページへ)
4
次に研究費の不正使用等を引きおこすと言われている要因とそれへの対策について
説明します。
まず、研究機関自体の問題です。左側の枠内は研究機関において、研究費の不正使
用を引きおこすと言われている主な要因です(左枠内を説明)。
右は今回のガイドライン改正によりこれら組織の問題を解決するために各学部や研究
科などの単位に「コンプライアンス推進責任者」を置くことを義務付け、このコンプライア
ンス推進責任者の下で、各組織単位、部署単位での不正防止対策を行うようになって
います。
また、管理監督責任を規程などに盛り込むことなどが求められています。
今後は総合学術研究推進委員会で検討して、規程の見直しを含めてこれらへの対応
を行う予定です。
(次のページへ)
5
次に研究者等の意識の問題が不正使用を引きおこすと言われていることについて説
明します。
ここに書いてあるものは文部科学省の資料にあったものから抜粋したものですが、研
究者の意識について非常に厳しい前提を立てています。
全国で年間数名の不正を行う研究者が新聞等を騒がせますが、それを前提にしてあ
るものとして説明します。(左枠内説明)
これらの要因を無くすためにとられた方法が、不正を行い発覚した場合の罰則を強化
するというものです。
右枠の中にかかれているものはあくまで、公募される公的研究資金、例えば科研費等
への研究者の応募資格を制限することを強化することだけが書かれています。
これだけでも研究者としては大きな痛手になると思われますが、これ以外にも、大学の
規程やあるいは法律に従った処分があるものと考える必要があります。不正使用はそ
れだけ大きな影響を引きおこすものといえます。
一番下に書いてある「善管注意義務違反」とは自ら不正使用に関与していない場合で
も、研究資金の管理責任者としての責務を全うしなかった場合に適用されるものです。
(次のページへ)
6
今回のガイドライン改正への大学での対応は、全て今年度中に整備しなければならな
いとされています。
今後は規程の見直しをはじめとし、ここに書かれていることなどを着実に進めて、組織
における責任体制の整備や不正を未然に防ぐための様々な方策を立てて実施していく
必要があります。
信州大学などが開発したe‐learningを使ったコンプライアンス教育の実施なども検討し
ているところです。
(次のページへ)
7
今回は公的研究資金の不正使用に係わることを中心に説明をしましたが、現在、文部
科学省は研究そのものについてのガイドラインである「研究活動の不正行為への対応
のガイドライン」の見直しを進めており、改正案を5月連休明けには通達するとしていま
したが、今のところまだだされていません。
近々これも出されると思われますが、この内容については研究倫理教育の義務化など、
特に大学院の教育課程表等にも影響を与えることも予想されています。今後とも逐次
情報を提供いたしますので、ご理解とご協力をお願いします。
終り。
8
2014年7月9日 コンプライアンス教育 (参考資料)
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
科研費における研究費の不正使用例
研究機関名
宮崎大学
不正な使用の概要
文部科学省等の対応
平成19年度∼平成21年度の科学研究費補助
○補助金の返還命令平成 2
金について、事務職員が研究者の許可なしに物品
4 年 3 月 2 8 日(本省)2万
を発注し、納品されたものを自宅に持ち帰り私物
円平成 2 4 年 3 月 2 8 日(学
化していた。
振)30万円(返還命令総
額32万円)
○応募資格の停止2年:3
人1年:2人
大阪大学
平成15年度の科学研究費補助金について、架空
○補助金の返還命令平成
発注により消耗品等を購入したように装い、同大
24 年 3 月 28 日(本省)3
学から補助金を支出させ、業者に預け金として管
14万円
理させた上で、必要に応じ大学に保管された納品
○応募資格の停止4年:2
伝票とは異なる研究用物品等の購入に充ててい
人
た。
東京工業大学
平成16年度の科学研究費補助金について、請求
○補助金の返還命令平成 2
書の品名の書き換えを業者に指示し、実際には異
4 年 3 月 2 3 日(本省)6万
なる物品を納品させていた。
円平成 2 4 年 3 月 2 3 日(学
振)36万円(返還命令総
額42万円)
○応募資格の停止4年:1
人
2年:1人
1年:1
人
帯広畜産大学
平成16年度∼平成19年度の科学研究費補助
○補助金の返還命令平成 2
金について、架空発注により消耗品等を購入した
4 年 1 月 1 0 日(本省)72
ように装い、同大学から補助金を支出させ、業者
4万円平成 2 4 年 1 月 1 0 日
に預け金として管理させた上で、必要に応じ大学
(学振)2,286万円(返
に保管された納品伝票とは異なる研究用物品等
還命令総額3,010万円)
の購入に充てていた。
○応募資格の停止4年:1
5人
1年:39人【岐阜
大学分】
○補助金の返還命令平成 2
4 年 1 月 1 0 日(学振)20
万円
大阪大学
平成16年度∼平成22年度の科学研究費補助
○補助金の返還命令平成 2
金について、業者に架空の取引を指示し、虚偽の
3 年 1 1 月 2 4 日(学振)1,
請求書等を作成させて、これにより同大学に架空
515万円
の取引に係る購入代金を補助金から支払わせ、当
○応募資格の停止5年:1
該代金をもとに実際には請求書等の内容と異な
人
4年:3人 1 年:7 人
る研究用物品等を納品させたり、請求書の品名の
書き換えを業者に指示し、実際には異なる物品を
納入させたり、研究目的に関係のない物品を納品
させていた。また、出張について、実際に行って
いないものや旅行命令に記載された期間や出張
先等が実際と一致していないものがあり、一部に
ついては、業者に虚偽の請求書等を作成させて、
家族の旅費を請求していた。さらに欠勤していた
特任研究員等の謝金を請求したりしていた。
名城大学
山口大学
平成19年度の科学研究費補助金について、研究
○補助金の返還命令平成 2
協力者である学生に虚偽の出勤簿を作成させ、同
2 年 9 月 2 9 日(学振)4万
大学に謝金の架空請求を行わせ、当該架空請求に
円
係る謝金を回収し、これを当該学生の学会参加に
○応募資格の停止4年:1
係る旅費等に充てていた。
人
平成11年度∼平成20年度の科学研究費補助
○補助金の返還命令平成 2
金について、架空発注により消耗品等を購入した
3 年 3 月 3 0 日(本省)17
ように装い、同大学から補助金を支出させ、業者
0万円平成 2 3 年 3 月 3 1 日
に預け金として管理させた上で、必要に応じ大学
(学振)801万円(返還
に保管された納品伝票とは異なる研究用物品等
命令総額971万円)
の購入に充てていた。併せて、請求書の品名の書
○応募資格の停止5年:1
き換えを業者に指示し、実際には異なる物品を納
人
品させていた。また一部を私用物品の購入費に充
2人
4年:10人
2年:
てていた。
名古屋大学
平成15年度及び平成16年度の科学研究費補
○補助金の返還命令平成 2
助金について、架空発注により消耗品等を購入し
3 年 3 月 3 0 日(本省)94
たように装い、同大学から補助金を支出させ、業
6万円
者に預け金として管理させた上で、必要に応じ大
○応募資格の停止4年:1
学に保管された納品伝票とは異なる研究用物品
人
等の購入に充てていた。
松本歯科大学
平成15年度∼平成18年度の科学研究費補助
○補助金の返還命令平成 2
金について、架空発注により消耗品等を購入した
3 年 3 月 3 0 日(本省)14
ように装い、同大学から補助金を支出させ、業者
2万円平成 2 3 年 3 月 3 1 日
に預け金として管理させた上で、必要に応じ大学
(学振)560万円(返還
に保管された納品伝票とは異なる研究用物品等
命令総額702万円)
の購入に充てていた。
○応募資格の停止4年:6
人
2年:2人
等々 多数あり。会計検査院の科研費調査により判明したもの。
(独立行政法人科学技術振興機構研究倫理・監査室 資料より抜粋)
Fly UP