...

第1分科会 これまでの議論での主な意見

by user

on
Category: Documents
7

views

Report

Comments

Transcript

第1分科会 これまでの議論での主な意見
参考資料2
第1分科会 これまでの議論での主な意見
1.我が国のイノベーション創出やグローバル化を担う人材の育成
(1)初等中等教育段階から、理数などの分野で稀有な才能の持ち主を、学校内外の教
育活動において、いかに見出し、志を高め高度な人材として育成していくか。
○
「詰め込みは良くない」と言うべきではない。基礎的な知識もない思いつきで
は通用しない。中等教育まででしっかり基礎的な力を固めないと大学でクリエイ
ティビティを育めない。
○
教育は、未知の分野や産業を担う未来の人材を育てるものであり、まずは色々
なことに対応できる基礎力を養い、その後、自由度を与えて多様性を認め、個性
を伸ばせる仕組みとすべき。
○
伸びる子供とそうでない子の格差はあり、能力別の学習や生徒同士の学び合い
が諸外国では行われている。
○
経済的に余裕がない家庭の子供にも、能力を伸ばす指導を受ける機会を保障す
るべき。
○
日本の教育は、初等中等教育の段階から、個性を伸ばしトップを引き上げる施
策をもっと強化すべき。
○
稀有な才能を伸ばしていくためには、異質なものをユニークなものとして受容
する社会をつくり上げなければならない。
○
全体の中で埋もれてしまっている能力の高い子供を、都道府県、国レベルで見
つけ出し、経済状況にかかわらず適切な環境で学べる環境を提供していくべき。
○
子供の能力を見抜くことができる教員を育成するためにも、教員は、障害のあ
る子供を含め、様々な能力や特徴をもった子供達がいることをしっかり勉強して
から学校現場に入るべき。
○
教育においては「知識」と「生き方」「考え方」を統合していくことが大切で
あり、その根底に必要なのが、自己肯定感。それをグローバル化の中でどう育む
か、根本からの議論が必要。
1
○
人間の知・情・意は一生のうちで違う時期にピークが来るので、一人一人の成
長に合わせた柔軟な教育システムを構築すべき。また、各々の子供の成育や能力
に応じて自由な道が選べるよう、教育も複線化すべき。
○
教育現場には、適正な競争も必要であり、その上でそれぞれが自分に合った進
路を選べる環境が必要。
○
優れた才能を持つ子供を伸ばすことと同時に、誰もがドロップアウトしない教
育制度を整え、分厚い中間層を確保することも必要。
○
21世紀型の学び方・スキルを学習指導要領に明確に位置付け、確実に身につ
けさせる指導体制の整備が重要。教育内容の充実・改善については、協働して学
び、議論するトレーニング、情報リテラシーの育成が必要。
○
ICT の進歩に伴って、コンピュータが人間の能力を追い越すと言われている中、
暗記等の基礎教育がどこまで必要か、国内外問わずどこも悩んでいる。今の教育
は専門性に集中し過ぎているが、むしろ多様な専門性を持つ人がチームを組み、
助け合って仕事をできる社会を目指すべきであり、そのためにはコミュニケーシ
ョン能力が重要。
(2)新たな分野を拓く人材や革新的な科学技術の事業化を担う人材など、我が国のイ
ノベーションを牽引する高度な人材をいかに育成していくか。
○
コンピュータの性能が今後、指数関数的に伸びていく中、これからの教育では、
より高次な知性を獲得していくことが必要。日本の子供、若者には創造力(クリ
エイティビティ)や想像力(イマジネーション)が不足している。イノベーショ
ンを起こすアントレプレナーはパッションとビジョンを持っている。
○
「なぜ、そうなるか」(Why)の問題提起、実践(Do)と失敗の経験、ボランティ
アとホビー、能力別クラス、ディベート、プレゼンテーション、プログラミング
教育などを教育に取り入れるべき。
○
大人になる課程で失敗の経験は必要。日本では、今までと異なる基準に基づい
て成績を落とされると、本人や親から反発が出ることが多いが、学校では失敗を
教えることも必要である。
○
具体的な施策として、①実体験と結びつけて論じるエッセイを全高校、大学の
入試科目とする、②ゴールだけを設定し、最初に到達した1チームだけが優勝賞
金を獲得できる「X-prize 方式」コンテストの導入、③様々な社会人学生の学び
直しの奨励に取り組むべき。
2
○
大学教育における、教養教育と専門教育の在り方や、大学院における研究者の
育成とグローバルリーダーの育成の在り方についても、見直しが必要。
○
海外と比べると、日本は学生に主導権を与えて行わせる活動が少ない。権限を
与えて実際にやってみることが、リーダーシップのトレーニングになり、チーム
力等も学ぶことができる。
○
企業等の需要を踏まえると、社会を牽引するための優秀な人材を確保するため
には、大学教育から取り組むのでは遅く、小中高の段階から面で対応し、大学に
入った時点では外国人留学生とも一緒に議論できるような力を身につけさせてお
くべき。
○
基礎的な力を初等中等教育段階で付け、大学がそれに磨きをかけるという構造
が望ましい。
○
大学の究極の目標は、知恵と志と実行力を持って自らを鍛え続ける能力を育成
すること。そのためには初等中等教育段階からの準備と、それを牽引するための
新しい大学入学者選抜方法の採用が必要であり、一体的にこれからの教育の在り
方を考えていくべき。
○
競い合いながら高めあうためには、大学にも多様性を持たせるべき。
○
大学改革のため、学部の構成や学生の定数の固定化等も見直す必要がある。
○
京都大学では、優秀な研究者の獲得・養成のため、5年間研究内容や評価上で
の義務を設けない白眉プロジェクトや、産業界や国際社会が求める、専門に特化
し過ぎず色々なことに取り組める実践力ある博識な人材を育成するための思修館
など、様々な取組を行っている。
○
大学院教育は、研究の経験を通じて社会に貢献する人材を育てるためにも、複
線化した専攻によるマルチプルメイジャーという考え方を積極的に入れていく
べき。
(3)優秀な外国人留学生や海外留学を経験した日本人学生の日本社会での活躍促進
など、日本の社会経済の発展に資する政策の在り方はどのようにあるべきか。
○
実践知はもともと日本では重視されたものであり、海外留学は重要。子供に過
保護になっている親の意識改革も必要。
○
グローバル化は現在の多様な世界を知る一番大事な学びであり、世界に出た若
い世代の人同士が、自分たちの学んだことを交換できるような場も必要。
3
○
グローバル化の時代には教育も一国では完結しない。海外の大学との共同授業
や、海外での分校の設置経営といった、ダイナミックな考え方が必要。そのため
には、日本の教育が国際的にも標準化されていること、海外でできない教育を行
える比較優位にあることが求められ、個を持ったグローバルな人材を輩出してい
くことが必要。
○
国際競争力を伸ばし、留学を推進する際には、まず日本のことを十分に理解す
ることが前提となる。また、特に文系における国際競争力のレベルアップを図ら
なければならない。
○
国際教養大学では、学生寮を 24 時間リベラルアーツ教育が行われる寮に変える
取組、海外留学帰りや海外からの留学生がシームレスに学べる世界基準のカリキ
ュラムの提供、学生が堪能な英語を活かして小中高等学校での英語教育改革のモ
デルを提示する取組、海外のリベラルアーツの大学教育との比較検証などを行っ
ている。
○
未来の人材を育てる観点から見ると、学生を4年間、一つの大学のみで教育す
るという制度はもう古い。EUのエラスムス計画等が好例だが、学生や教員が各
大学をめぐるような柔軟な構造を導入して、基礎力や多様性を伸ばすべき。
○
広島県ではグローカル教育に取り組み、全ての小・中・高等学校において、知
識を活用し、他者と協働して新たな価値を生み出す、能動的な学びのための取組
の充実と、その全県展開を目指すとともに、学びの変革を牽引するグローバルリ
ーダー育成校を創設し、国際通用性の高い教育、日本・広島の魅力を実感できる
教育を展開する予定。
○
ISAK では、30 年後の世界を見越した取組を行っている。科学技術の進歩が著
しい中、人間にしかないクリエイティビティやイノベーションを起こす力を伸ば
していくことが重要。また、リスクを取って新たなことに意欲的に挑戦する力を
伸ばすことが必要。さらに、多様な価値観への寛容力と英語力も必須。
○
グローバル化が進むと、外国から日本へ移住してくる子供達も増えるので、日
本語や日本のことを教える取組も充実すべき。
(4)その他の主な意見
○
日本の大学について、大学生の勉強時間がアメリカと比べても著しく短く、一
方で大学教員は担当授業数が多いこともあり、授業の質と密度の低下が見られる。
さらに、日本の大学教育システムは学部・学科等で分割自治されており、教育プ
ログラム全体のガバナンスが欠如しているという問題がある。
4
○
○
○
教育予算が世界標準になるためには少なくとも2倍に増やす必要があるが、そ
れをどう使うか、大学・社会で考えなければならない。また、教育にいい人材が
集まる仕組みと風土作りのためにも、敬意や名誉といった価値観を見直し、給与
システムを見直すべき。
音楽が生活・行動等に与える影響は大きく、人材育成の要の一つと考えるべき。
授業料、奨学金のローン等の在り方を工夫して、学生に学ぶ機会をしっかりと
与えた上で、財政的にもペイするよう、教育に投資できるような仕組みを検討す
べき。
2.新たな価値創造に挑戦する起業家精神の育成
(1) 答えのない課題に取り組む力や新たな領域の開拓に挑む力、起業家精神を育成
する教育内容や教育活動の充実をいかに図るべきか。
○
少子化だからこそ起業教育が重要。品川女子学院では、「デザイン思考」の習
得により、最適解を見つける力を育て、企業とコラボレーションした商品開発や、
ソーシャルビジネスのケーススタディなどを通して社会貢献意識の醸成を図る
とともに、実際の起業体験も行っている。
○
起業教育を通して、貢献意識、使命感、自己肯定感が育まれ、結果として学習
力の向上にもつながる。また、起業教育には、チャレンジ精神を育てる失敗、リ
ーダーシップなどを体得するためのもめ事、チームワークやイノベーションを生
むための競争が必要。
○
アントレプレナーシップ教育には、実際に起業家になるためだけではなく、社
会に出た際にリスクをとって実行する力や、失敗を学びにつなげる力、リーダー
シップ等を育成するという効果も期待されている。
○
女性が社会で活躍するようになれば、女性に関わる需要が増加し、それに対す
る新たな起業の可能性も広がることから、女子の起業教育は経済社会を牽引する
力になる。
○
実践知はもともと日本では重視されたものであり、海外留学は重要。子供に過
保護になっている親の意識改革も必要。(再掲)
○
起業教育では教員の資質が重要。これからの教員はファシリテータとしての力
を付けるべきで、校長にもこうした教育をマネジメントする力が必要であるが、
5
現在の大学の教員養成の中では十分教えられていない。教職大学院では学生と現
職が交流しながら、こうしたことも学べるようにしていくことが大切。
○
公立学校では「儲け」や「商売」はタブー視してきたが、小学校の段階でも起
業教育を取り入れていくべきであり、学習指導要領の中に総合学習の活動の例示
として、アントレプレナーシップ教育を示してはどうか。
○
公立学校でも、アントレプレナーシップ教育に取り組み、地域と連携して商品
を作って売るといったような、実社会に近い体験活動を行うことが重要。こうし
た取組により育まれた問題解決能力やチャレンジ精神が、他教科の学習意欲の向
上にもつながる。
○
起業教育の実践以外にも、助け合いの精神と交渉力、国境を越え人とかかわる
力を身につけるために、
「共感力・内省力」、
「ICT のリスクとチャンスを理解して
活用する力」、「日本人としてのアイデンティティ」を育てる教育が必要。そのた
めには、教員養成の充実と、学校教育と連携した家庭教育支援、現場で柔軟に運
用できるような予算・カリキュラムの整備が必要。
○
起業家教育など、社会構造の変化に対応したこれからの人材育成のためには、
文部科学省と経済産業省が協働して取り組み、相乗効果を発揮することが期待さ
れる。
(2) 大学等を卒業後、起業しやすい環境づくりをいかに進めるか。産学官が連携し
て、起業に伴うリスクを恐れず挑戦できる仕組みをいかに構築するか。
3.ICT教育及びその活用、教育方法の転換による教育の質の向上
(1) ICTの適切な利用や情報モラルについての教育、プログラミング教育、情報
セキュリティ人材の育成・確保をいかに図っていくか。
○
義務教育で保障すべき学力も、時代の変化に伴って変化している。これからの
情報社会で生きていくためには、ICT を道具として活用し、多くの情報を処理で
きる能力や、価値観の違う人たちと協働して物事を進めていくスキルが必要。
○
コンピュータが人間の能力を超えると言われている中、人間が身につけていく
べきなのは、膨大な情報の中から必要なものを検索してつなぎ合わせて課題解決
のための結論を導き出す、分析力である。
6
○
基礎学力と学び方のスキルが両方身についている子供は、様々な情報を収集し
ながら自立的に目標を持って学んでいくことができる。小学校教育の段階では基
礎学力を重視しつつ、次第に学年が上がるにつれて、学びのスキルを身につける
アクティブ・ラーニングの要素を傾斜的に増やしていくと良い。学校段階ごとに
ICT を活用した学びの在り方は異なってくる。
○
基礎・基本に加えて、全ての子供に学ぶ意欲や学ぶスキル、他者と協働するマ
インドやスキル、ICT をツールとして使いこなすスキルを身につけさせなければ
ならない。そのためには、まずは ICT 環境の整備と、新しい教育方法の導入が重
要。
○
情報社会で必要となる知識・技能は、クリティカルな物の見方や情報の正確な
読解能力、情報を整理し構造化する能力、危機管理への理解などであり、小中学
生の頃からの体系的な指導・学習が必要。そのため、小中学校から教科「情報」
を設置するか、それが難しい場合は、各教科に分散配置して、それを学習指導要
領にも明記するべき。
○
コンピュータをうまく活用するためには、早期のプログラミング教育が必要で
はないか。
○
ICT 教育について、教員が常に最新の知識についていくのは難しい。小中高等
学校段階では、教員が基礎を教えつつも、生徒同士がお互いに教え合う方法が有
効。教え合うこと自体も良い勉強となる。
○
ネットにかかわるトラブルには深刻な事案も多く、モラルやセキュリティの重
要性は認識されているので、次の学習指導要領では、一定の体系をもった形の教
育内容として明確に位置づけてほしい。
(2) ICTの活用など教育方法の転換により、初等中等教育段階における教育の質
の向上をどのように図るべきか。その際の教師の役割や指導者の確保、従来の受
け身型の授業とは異なる新たな教育方法はどうあるべきか。
○
ICT 環境は、新しいタイプの情報活用能力の育成に資するとともに、教員の発
想を広げ、準備を容易にし、新しい指導方法への挑戦を可能にする。ICT 環境の
整備を進めるためには、その重要性をしっかりと際立たせて主張すべき。また地
域間格差を解消するため、各地域の整備状況を公開して充実を促すなど、国が中
心となって推進していく姿勢を全面に出していくべき。
○
公立学校の ICT 環境は現在十分ではなく、また、地域間格差が非常に大きい。
ICT 環境の整備不足は、ICT 活用を前提とした反転授業やアクティブ・ラーニン
グなどの新しい教育方法の導入を妨げている。ICT 整備計画がない自治体も多い
7
が、コンピュータをいつでもどこでも学べる道具として使う環境を整えるため、
もっと現状を理解し、設備投資を促すべき。自治体の格差を埋める対策も必要。
○
学校の ICT 教育環境を充実させるためには、できるだけ潤沢に予算を措置し、
全教室への高速大容量ワイヤレスネットワーク整備、様々なタイプのコンピュー
タの必要数の導入、チームで共有し話し合いながらアクティブ・ラーニングが行
える教室設備等が必要。また、過疎地など、学校の状況に応じた多様な整備が必
要。
○
世界がたちどころに大きく変化する中では、予想外の発生事象に対応した、想
定外の未知の事象に挑戦できる人間力が求められている。知識の修得のためには
ICT のインフラ整備が重要であり、それをベースとして、学校では、ケーススタ
ディとディベートによる相互理解や自己表現能力を育てる教育が必要。
○
たとえば概念習得のため授業は e ラーニング化、クラウド化等を進め、学校で
の集合学習では反転学習を導入するなど、ICT 環境の整備をもとにした斬新な教
育方法の導入が必要。
○
反転授業等を推進するためにはコンテンツが必要。文部科学省主導で、クラウ
ド上に様々な教育コンテンツを用意してはどうか。また、共通して身につけるべ
き知識・技能については、クラウド上で全国統一のプラットフォームを作り、全
国の学校から e ラーニングができるようにすれば、教員の負担を軽減するととも
に、有用なビッグデータを集めることもできる。その際は格差を解消するために
無償とすることが重要。
○
社会の変化のスピードについていくには、紙の教科書では限界がある。クラウ
ド上の教材開発は今後世界的にも進んでいくと考えられるので、それらの教材に
対する専門家の評価や教員や生徒によるレポートをまとめたプラットフォーム
を作ってはどうか。
○
教科書を電子化する上で最もネックになるのは著作権の問題だと考えられる。
また、教材に利用できるコンテンツは現在でも既に多数あるが、多すぎて選ぶの
も大変なので、難易等を明らかにして各生徒に適したものを示すようなコンシェ
ルジュ機能があると良い。
○
クラウド上で多数の電子教材が利用可能になると、使う物を個々人が選ぶとい
う作業が必要となってくる。その際、国による評価や利用者によるランクづけな
ど、質の保障が課題となる。
○
紙の教科書を電子化するにあたっては、インタラクティブ性という ICT の強み
が発揮されたものになるよう留意すべき。
8
○
ICT を活用して、知識や技能の試験の際に、各人の回答の正誤といった膨大な
データを収集・解析し、教育現場にフィードバックすれば、より個々人に適した
授業が可能になり、一歩進んだ教育を実現することができる。
○
ICT による指導方法の高度化や ICT に関する教育内容の高度化を推進するため、
文部科学省を中心に、他省庁や民間とも連携した、拠点となる組織・機能が必要
ではないか。また、ICT 化に関する実践的な研究等についても、経費をつけても
っと推進すべき。
○
情報教育にかかる人的リソースについては、中核的な教員を配置するとともに、
教員以外でも専門家やボランティアなどの ICT 支援員を各学校に配置するべき。
○
現場には、情報教育について熟知している教員も少なからずいるが、自分の担
当の授業で精一杯で、技能を活かせる環境にない場合が多い。
○
ICT を活用した効果的な授業ができる教員は未だに限られている。現場の教員
向けの研修や、教員養成段階での指導の充実が必要。
○
ICT は学ぶ対象というよりも、教育環境の基本的な道具であると考えるべき時
代であり、生活や学習の中で活用しながらその使い方を身につけていくべき。教
員に対する ICT 教育手法の研修は必要だが、教員の負担の軽減のため、更なる ICT
環境整備や業務の削減も同時に進めていく必要がある。
○
ICT 教育、英語教育、道徳教育、アントレプレナー教育のように、教育改革に
より導入される新しい取組については、現場の教員向けの研修や、現場を踏まえ
た教員養成段階からの指導が必要。
(3) 学校内外の学習機会において、ICTを活用したバーチャルな経験と多様な実
体験とを組み合わせるなどして、いかに人間としての幅や強さを鍛える教育を実
現していくべきか。
○
ICT 活用に際しては、コミュニケーションの減少やいじめの問題など、負の側
面についても十分に考慮が必要。
○
情報化の裏で、規範の喪失による無責任な発言が増えたり、リアルとバーチャ
ルの同一化によって生命観が希薄になっている。日本人の本来持っている人間力、
生存力、胆力、責任力を取り戻すため、自分で自分を鍛える自覚を促すことが必
要。
○
音楽や家庭科や体育、農業体験など、幅広い経験をすることが重要。大学入学
9
者選抜も、高校までに全教科を万遍なく勉強したかということを一つの基準とす
べき。
○
これからはコンピュータに代替できない人間の能力を伸ばす教育が求められ
るが、どの時代になっても、幼少期から、社会の中で人とコミュニケーションを
とる力を養っていくことが必要。
○
感性は一番重要で、幼少期から全ての人が身につけていくべき。クリエイティ
ビティも、できる限り多くの人が身につけるべき。また、課題解決のためには、
バックグラウンドとなる基礎教育を学校で教えた上で、ICT リテラシーを教えて
いくことが必要。
(4) 高等教育の質の向上や機会の多様化を図る観点から、MOOC(Massive Open
Online Course)など、オンラインによる学習コンテンツの提供をはじめ、学生
の主体的学びの促進をどのように図っていくか。
○
大学等では、MOOC 等のオンラインコンテンツを使って自分のペースで学ぶ機会
も今後増えていくので、義務教育段階でもこのような体験をしておくことが必要。
○
グローバル化の中、日本の大学が何をしているのか示していくためには、教育
内容や課程、成果等を情報公開していくことが必要であり、各大学の教育内容の
英語での公開も進めていくべき。
4.その他の意見(教師の養成・採用・研修に関するもの)
○
新しい取組を現場で実践する教員の養成は非常に重要であり、優秀な外国人教
員の招聘、教職大学院の更なる活用、教員免許制度の改善が必要ではないか。
○
これからの時代にふさわしい教育のためには、どういう人材が必要なのか
(What)、それをどうやって教育の中に織り込んでいくのか(How)、それをでき
る人をどう育てるか(By whom)という三段構えで考えるべき。教育に携わる教
員については、採用・養成・研修の三段階が重要。
○
教育現場で、自らを革新し、向上させることができるような資質をもった教員
が必要。
○
国としても、優秀な若者に教員になってほしいという明確なメッセージを発信
していくべき。また、教員という職業が、知的好奇心や成長意欲に応えられる魅
力的なものになるよう、調査や議論が必要。
10
○
基礎力の涵養のためには、初等中等教育の改革と、それを加速する大学入試制
度の改革が必要。さらに、教員の質を高めるため、教職大学院の充実・強化も求
められる。
○
教員の採用段階については、いかに優秀な人に教員になってもらうかという点
をもっと考えるべき。養成課程に入る段階、実際に教員になる段階の両方で優秀
な人材を確保することが課題。教員免許を持つ優秀な人材が民間企業に流れてい
るので、企業の採用活動と同様に、マーケティング調査を始めとしたリクルーテ
ィング活動も重視すべき。
○
新卒だけではなく、いったん教員を諦めて一般企業に勤めた人や、教育ボラン
ティアに取り組んだ人などを含め、ミドルリーダーやトップリーダーにあたる教
員のリクルーティングも考える必要がある。
○
日本の学校の勤務時間は非常に長く、自由な取組も難しいので、自己鍛錬がで
きないことに懸念を抱いて教員を諦める人がいる。優秀な教員の自己鍛錬のため
の機会を設けるべき。また、例えば部活動等を地域の方々に任せるといった負担
軽減の方策も検討すべき。
○
情熱をもって教員になっても、雑務の多さで教育活動に専念できず摩耗してし
まう現実がある。ボランティアだけに頼るのではなく、雇用枠としても教員の事
務を助ける人を増やし、教員がもっと専門性を追求できる環境を整えるべき。
○
優秀な人材を集めるためには、どうやって環境を良くしていくか、全体で考え
ていかなければいけない。
○
直接教育にあたる立場と、学校経営にあたる立場とでは、同じ教員でも必要と
される資質が異なるため、教員養成課程でもそれを配慮すべき。
○
教員の養成段階について、育てたい人材の資質を教員自身が持っているのか、
養成課程が役立っているのか、という課題がある。育てたい人材像を基に、教員
自身がどうあるべきか、という明確なビジョンを描き、教員養成課程も抜本的に
設計し直す必要がある。
○
教職大学院については、入口・中身・出口の各段階で課題がある。教職大学院
を出た人に将来どういったキャリアパスがあるのか、明確に描く必要がある。
○
現在の教員研修は断片的で、教員が生涯のキャリアやステップアップを体系的
に捉えられず、十分に機能していると言えない。キャリア段階ごとの明確な成長
指標の設定と、それをサポートする体制整備が急務。
11
○
教員研修を実効的なものにするには、体系だった研修プロセスの再構築、デー
タ収集と解析に基づいたメンタリングの実施、指導にあたる人の定義・要件の明
確化とそれに伴った待遇の整備が必要。
○
ミドルクラス、リーダークラスの教員が、新しい時代のニーズに沿った教育内
容を学べるような研修の機会が非常に重要。
○
イノベーションは多様性の中で芽が出るものであり、義務教育段階でも画一的
な授業から変革していくために、アクティブ・ラーニング等を先導できる力のあ
る教員の取組が、モデルとして他の教員にも拡大するよう、教員人事にFA制を
導入するなど大胆な取り組みも必要。
○
法科大学院制度は、対話型のソクラテスメソッド型の授業を導入し、そのため
の教育環境を整備して取り組んだ貴重な実例である。今いる教員をどうやって変
えていくのかに関しては、法科大学院での成功例・失敗例が参考になる。
○
教員の採用・養成・研修の改革は、まずいくつかの地方自治体でモデル的に実
施し、その効果を分析・検証した上で全国に広げていくのが良い。また、改革に
あたっては、現場で軋轢が生じないよう、過渡期のプランニングが非常に重要。
また、教育や教育現場のための改革となるよう、現場にいる教員が計画段階から
参加できるようにすべき。
○
教育改革を実行に移す際に大切なのは、優先順位と実行体制。過去の改革には、
理念自体は良いものの、現場の教員養成ができていなかったため実行されなかっ
た例がある。改革を実行する教員の養成と、既にいる教員の研修を、公立私立の
枠を越えて行うことが最優先課題。
○
教育改革の提言を実効性のあるものにするためには、現場で実施する際に必要
なことを明確化し、基準となる教育プログラムの実施例を示すと同時に、現場で
実施する際の自由度も担保しなければならない。現場の教員や大学、学会等が協
働して、実施例を作り、提供できるような基盤を作ること、その基盤づくりを推
奨する施策や資金的援助も必要ではないか。
○
教育改革を行うにあたっては、現場に自由度を持たせた上で、学生が学校・教
員・授業を評価するシステムを作り、競争を作り出すべきではないか。教員も自
ら勉強して、より良い教育を提供できるように努力すべき。
[了]
12
Fly UP