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(DDS)材料② 生分解性ポリマー(PLGA) - Sigma
〒140-0002 東京都品川区東品川 2-2-24 天王洲セントラルタワー4F Tel: (03) 5796-7330 Fax: (03) 5796-7335 e-mail: [email protected] じっけんレシピ ドラッグデリバリーシステム(DDS)②~生分解性ポリマーによるナノスフェア調製 ナノバイオテクノロジーとドラッグデリバリーシステム 薬物が薬効を発揮するのは、薬の分子が特定の細胞に到 達し刺激を与えるためですが、実際には投与された薬の一 部しか標的細胞に到達せず、一部は途中で排泄され、また 一部は正常細胞に作用して副作用の原因になります。先端 医療の分野において、薬物の体内分布を制御して副作用を 最低限に抑制する、高精度なピンポイント治療に関心が高ま ①リポソーム ②高分子ミセル っていますが、この実現にはナノスケールで精密設計された 薬物運搬体(キャリア)の開発が重要課題となります。低分 子薬の場合、分子サイズが 10nm 以下であることが多く、こ のサイズでは腎臓からの排出が速いため長く体内に留まり ません。一方微粒子のサイズが 400nm 以上になると今度は ③デンドリマー ④水溶性高分子 免疫機構が働き、マクロファージなどによる異物排除により 体内から素早く排除されてしまい、薬剤としての効果を発揮 することが出来ません。それゆえにドラッグデリバリーシステ ム(DDS)製剤としては一般的に数 10nm 以上で 400nm を 超えない大きさに制御することが必要になります。 ⑤ハイドロゲル ⑥エマルション ナノ DDS 材料は抗がん剤で多く用いられます。抗がん剤は がん細胞だけではなく、正常細胞にもダメージが大きいため、 投与量の調整が困難です。がん組織では、正常組織と比べ て、血管壁に大きな間隙(数十ナノメートル)が存在するため、 ⑦ナノスフェア 10~100nm の大きさのキャリアであれば血管から漏出し、 患部に留まりやすくなります(図2)。また細胞表面受容体に 図1: ナノDDS医薬品材料 親和性のある物質(糖類や抗体など) あるいはカチオン性物 質を薬物送達キャリア表面に結合することにより、細胞に積極的に取り込まれることも知られています。このようにキャリア を最適なサイズに設計し、修飾剤により生体親和性を制御することにより、薬物の効果を最少量で最大限に発揮すること が可能となります。ナノDDS医薬品に使われる主な薬物送達キャリアを図1に示します。 本資料では、生分解性ポリマーによるナノスフェア調製についてご案内します。 患部 血管への投与 X 患部付近の血管壁の隙間は 正常組織と比べて大きい。 X 血流 図2: 血管壁の透過性の差を利用した薬物のピンポイント輸送 2015/10/30 お問い合わせ先: 製品の技術的なご質問 価格・在庫のご質問 [email protected] [email protected] じっけんレシピ 〒140-0002 東京都品川区東品川 2-2-24 天王洲セントラルタワー4F Tel: (03) 5796-7330 Fax: (03) 5796-7335 e-mail: [email protected] ナノスフェア: 生分解性ポリマー(PLA, PGA, PLGA) 生分解性ポリマーは、脱水縮合により生成したポリマーで、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルなど加水分解性のもの をいいます。中でもポリグリコール酸(PGA)やポリ乳酸(PLA)およびその共重合体は、他のどの種類の生分解性ポリマ ーよりも幅広く研究されてきました。また、ほぼすべての先進国の規制当局によって安全、非毒性、かつ生体適合性があ るとみなされているため、生体適合性が確認されていない新規なポリマーを使用するよりも早く、高い費用効率で市場に 提供することができます。PLA/PGA は、体内でエステル主鎖の単純な加水分解によって無害で非毒性の化合物に分解さ れる生分解性ポリエステルです。分解生成物は、腎臓によって排泄されるか、またはよく知られている生化学的経路を通 して二酸化炭素と水として排出されます。これらポリマーは現在、外科縫合や吸収性インプラントとして利用されています が、さらに薬品のカプセル化や薬物送達への利用にも大きな関心が持たれています。ナノカプセル化により、体内で薬物 を分解酵素などから保護しながら患部まで運搬できるため、投与量を最少量にできるほか、徐々に薬剤が放出されるので 一日の血中薬物濃度を一定にすることが可能になります。 図3. 生分解性(生体内分解性)ポリマーによる徐放の模式図 ナノスフェア、ナノカプセルの調製方法 疎水性薬剤の場合は水中油型ミニエマルジョン法、親水性薬物の場合は二重エマルション(水中油中水型)法で調製され るのが一般的です。 図4. 水中油型ミニエマルジョン法によるナノスフェアの調製(疎水性薬剤の場合)。1,2,3 界面活性剤(分散剤)には、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリソルベート(TWEEN)、ポリアクリル酸、ポロキサマー、ドデシル硫酸ナト リウム(SDS)などが使用されます。 2015/10/30 お問い合わせ先: 製品の技術的なご質問 価格・在庫のご質問 [email protected] [email protected] じっけんレシピ 〒140-0002 東京都品川区東品川 2-2-24 天王洲セントラルタワー4F Tel: (03) 5796-7330 Fax: (03) 5796-7335 e-mail: [email protected] 図5.ナノスフェアの調製方法2例(二重エマルション(水中油中水型)法)3,4 (親水性薬剤の場合) 薬物送達におけるナノカプセル化の方法につきましては、下記論文をご参照ください。 1. C. Pinto Reis et al. / Nanomedicine: Nanotechnology, Biology, and Medicine 2 (2006) 8–21, Nanoencapsulation I. Methods for preparation of drug-loaded polymeric nanoparticles 2. Kang Moo Huh et el, Drug Development Delivery, Vol. 3 No. 5 July/August 2003 3. Material Matters Vol.7, No.3, P.4-8 “ミニエマルション重合法によるポリエステルを基盤として生分解性ナノ粒子の 合成“ 4. Weina Liu et el. New J. Chem., 2014, 38, 3917 “Doxorubicin-loaded poly(lactic-co-glycolic acid) hollow microcapsules for targeted drug delivery to cancer cells” アルドリッチでは、Evonik Röhm GmbH が製造する「PLA/PGA RESOMER®ポリマー」を試験研究用途で販売しておりま す。RESOMER®の GMP グレード材料は、Evonik Röhm GmbH から直接購入することができます。 RESOMER®ポリマーの基本的な特性とRESOMER®製品リンク Reference: 5. Material Matters Vol.6, No.3, P.4-8 “RESOMER ― 縫合糸、医療用デバイス、薬物送達システム、組織工学用 の生分解性ポリマー” PLA につきましては、分子量の異なるもの、単分散(分子量分布の狭い)のもの、末端基修飾されたものなど、各種ご用意 しております。 また PLGA につきましては、分子量の異なるもの、Lactide:Glycolide 比の異なるもの、末端基修飾されたも のなどを多数ご用意しております。 ラクチド及びグリコリドポリマー(PLA, PGA, PLGA)製品リンク PLA、PLGA 以外の生分解性ポリマーにつきましては、下記リンクよりご覧になれます。 その他生分解性ポリマー製品リンク 2015/10/30 お問い合わせ先: 製品の技術的なご質問 価格・在庫のご質問 [email protected] [email protected]