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EAAC1グルタミン酸輸送体機能制御技術と新規 EAAC1グ

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EAAC1グルタミン酸輸送体機能制御技術と新規 EAAC1グ
JP 2006-115786 A 2006.5.11
(57)【 要 約 】 ( 修 正 有 )
【 課 題 】 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 技 術 と 新 規 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御
薬 の 探 索 方 法 を 提 示 し て 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 異 常 と 連 関 す る 疾 患 の 発 症 機 序
解明に貢献し、同時に新規機構に立脚した新規創薬の可能性を拓こうとするものでもある
。
【 解 決 手 段 】 従 来 発 見 さ れ て い な か っ た EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 促 進 因 子 と し て 、 A
r16ipタ ン パ ク 質 及 び addicsinの 変 異 タ ン パ ク 質 で あ る addcsinS18Aタ ン パ ク 質 を 見 い だ し
、併せてその遺伝子、及びこれらの発現能を有する細胞株を新たに提供する。
【選択図】なし
(2)
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号3に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において1若
し く は 数 個 の ア ミ ノ 酸 が 欠 失 、 置 換 若 し く は 付 加 さ れ た ア ミ ノ 酸 配 列 を 有 し 、 EAAC1グ ル
タミン酸輸送体機能の促進活性を有することを特徴とする、タンパク質。
【請求項2】
配列番号9に示される、アミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列において1
若 し く は 数 個 の ア ミ ノ 酸 が 欠 失 、 置 換 若 し く は 付 加 さ れ た ア ミ ノ 酸 配 列 を 有 し 、 EAAC1グ
ルタミン酸輸送体機能の促進活性を有することを特徴とする、タンパク質。
【請求項3】
10
請求項1に示されるタンパク質をコードするDNA。
【請求項4】
配列番号2に示される塩基配列を有するDNA。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のDNAが組み込まれていることを特徴とする、発現ベクター。
【請求項6】
請求項2に示されるタンパク質をコードするDNA。
【請求項7】
配列番号8に示される塩基配列を有するDNA。
【請求項8】
20
請求項6又は7に記載のDNAが組み込まれていることを特徴とする、発現ベクター。
【請求項9】
EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 発 現 能 を 有 し 、 請 求 項 3 及 び / 又 は 請 求 項 6 に 記 載 の D N A
が組み込まれた発現ベクターが導入されているこを特徴とする、形質転換体。
【請求項10】
さ ら に addicsin タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る D N A が 組 み 込 ま れ た 発 現 ベ ク タ ー が 導 入 さ
れていることを特徴とする、請求項9に記載の形質転換体。
【請求項11】
形質転換体が、動物細胞株であることを特徴とする、請求項10に記載の形質転換体。
【請求項12】
30
EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 発 現 能 を 有 し 、 か つ addicsin、 Ar16ip及 び addicsinS18Aの い
ず れ か 1 以 上 の タ ン パ ク 質 の 発 現 能 を 有 す る 細 胞 に 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 制 御 薬 剤
の候補物質を接触させ、細胞外グルタミン酸の取り込み能を評価することによりスクリー
ニ ン グ す る こ と を 特 徴 と す る 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 制 御 薬 剤 の 探 索 方 法 。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本 発 明 は 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の 機 能 を 制 御 す る 因 子 及 び そ の 遺 伝 子 、 該 遺 伝 子
を 含 有 し 、 上 記 遺 伝 子 を 安 定 的 に 発 現 す る 細 胞 株 、 上 記 因 子 を 用 い て EAAC1グ ル タ ミ ン 酸
40
輸 送 体 の 機 能 を 制 御 す る 方 法 、 な ら び に 上 記 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の 機 能 を 制 御 す る
因 子 を 利 用 し て EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 す る た め の 薬 剤 を 探 索 す る 方 法 に 関 す
る。
【背景技術】
【0002】
<グルタミン酸輸送体>
グルタミン酸は、中枢系では興奮性神経伝達物質として記憶・学習・認知などの高次神
経機能に密接に関与している。その一方で、高濃度の細胞外グルタミン酸は、神経細胞毒
性を示すため、神経細胞の細胞膜に存在するグルタミン酸輸送体によって常に低濃度に維
持 さ れ て い る 。 細 胞 膜 に 存 在 す る グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 は 、 GLAST、 GLT-1、 EAAC1、 EAAT4、
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(3)
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+
EAAT5 の 5 種 類 が 存 在 し 、 い ず れ の グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 も Na 依 存 的 に L-グ ル タ ミ ン 酸 や D
/L-Aア ス パ ラ ギ ン 酸 を 基 質 と し て 細 胞 内 へ 輸 送 す る 。
これら各グルタミン酸輸送体について、その基質、輸送体型、共役イオン、組織分布及
び関連疾患を以下の表1に示す。
【表1】
10
また、これら各グルタミン酸輸送体の神経シナプスにおける作用機構の概略を図1に示
す。
【0003】
これらグルタミン酸輸送体は、特徴的な分布と機能を各々有していることが知られてお
り 、 例 え ば 、 GLAST、 GLT-1は 、 中 枢 系 で は 小 脳 と 終 脳 の ア ス ト ロ グ リ ア 細 胞 に 発 現 し 、 シ
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ナ プ ス 間 隙 か ら の グ ル タ ミ ン 酸 の 素 早 い 除 去 機 能 に 関 与 す る 。 ま た 、 EAAT4は 小 脳 プ ル キ
ン エ 神 経 細 胞 に 、 EAAT5 は 網 膜 に 特 異 的 な 発 現 を 示 す ( 表 1 ) 。 一 方 、 EAAC1は 、 中 枢 系
では遍在的に神経細胞に発現しており、末梢系においても腎臓、心臓、肝臓などの臓器に
発 現 し て い る こ と が 知 ら れ て い る ( 表 1 ) 。 ま た 、 EAAC1は シ ナ プ ス に 存 在 せ ず 、 シ ナ プ
ス 間 隙 か ら の グ ル タ ミ ン 酸 の 除 去 能 力 も GLAST、 GLT-1と 比 較 す る と 極 め て 低 く 、 そ の 生 理
機能に関しては依然不明な点が多い。しかしながら、近年、末梢系では近位尿細管におけ
るグルタミン酸再吸収機能(非特許文献1参照)、中枢系では、運動神経再生(非特許文
献2参照)への関与が報告され、重要な生理機能を有する可能性が示唆されはじめている
。尚、てんかん症への関与も示唆されているが、未だ定かではない。
【0004】
30
< EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 >
EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 結 合 因 子 と し て 単 離 さ れ た GTRAP3-18は 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸
取 り 込 み 機 能 を 抑 制 す る 唯 一 の 蛋 白 質 因 子 で あ る (非 特 許 文 献 3 参 照 ) ( 図 1 ) 。 ま た 、
GTRAP3-18は 、 モ ル ヒ ネ 耐 性 依 存 形 成 時 に 扁 桃 体 で 発 現 量 が 増 加 す る 因 子 と し て 我 々 が ク
ロ ー ニ ン グ し た addicsinの ラ ッ ト ホ モ ロ グ で あ る (非 特 許 文 献 4 ) 。 一 方 、 EAAC1グ ル タ
ミン酸輸送体のグルタミン酸取り込み機能を促進する蛋白質性因子は全く報告されていな
い。
【0005】
< EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 薬 >
従 来 の EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 薬 は 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 自 身 に 直 接 作 用
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す る こ と に よ っ て EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 を 調 節 す る 。 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 に
選択特異的なグルタミン酸取り込み促進薬は現在のところ知られていない。また、グルタ
ミン酸輸送体の阻害薬は、自身が取り込まれることでグルタミン酸の取り込みを阻害する
基質型阻害薬と、自身は取り込まれずにグルタミン酸輸送体に親和性を示して効果を発揮
するブロッカー型阻害薬に大別される。従来の阻害薬の大半は、基質型阻害薬であり、細
+
胞 内 へ グ ル タ ミ ン 酸 が 取 り 込 ま れ る 際 に Na 流 入 ( 取 り 込 み 電 流 ) が 発 生 す る 場 合 や 、 基
質が取り込まれた際に細胞内グルタミン酸を代わりに細胞外へ汲み出してしまうために阻
害薬濃度依存的に細胞グルタミン酸濃度の上昇が引き起こされる場合があり、生理現象の
解 析 に 不 向 き で あ る 。 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の 基 質 型 阻 害 薬 と し て は 、 L-trans-2,4-P
DC、 L-(-)-threo-3-Hydroxyaspartic acidな ど が 代 表 的 で あ る が 、 い ず れ の 阻 害 薬 も EAAC
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1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の み に 対 す る 選 択 特 異 性 は 無 く 、 上 述 し た 問 題 点 を 内 包 す る 。 ま た
、近年盛んに開発がすすめられているブロッカー型阻害薬は、これら欠点を補うものとし
て 注 目 さ れ て い る が 、 ま だ そ の 数 は 限 ら れ て い る 。 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の ブ ロ ッ カ
ー 型 阻 害 薬 と し て は DL-TBOAが 代 表 的 で あ る が 、 や は り EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の み に 対
す る 選 択 特 異 性 は 無 い 。 ま た 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 を 作 用 点 と し た 薬
物 は 皆 無 で あ る 。 従 っ て 、 EAAC1を 介 し た 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 機 構 や 、 そ の 異 常
に関連して発症する各種疾患の分子機構の解明は依然困難な状況下にある。
【0006】
【 非 特 許 文 献 1 】 Peghini, P. et. al. EMBO J. 16 (13), 3822-3832, 1997
【 非 特 許 文 献 2 】 Kiryu S et. al., J. Neurosci. 15 (12), 7872-7878, 1995
10
【 非 特 許 文 献 3 】 CG, Lin et. al., Nature, 410, 84-88, 2001
【 非 特 許 文 献 4 】 MJ. Ikemoto et. al., NeuroReport, 16, 2079-2084, 2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最 近 、 ア ミ ノ 酸 尿 症 、 運 動 神 経 再 生 、 モ ル ヒ ネ 耐 性 依 存 な ど に 代 表 さ れ る 各 種 疾 患 と EA
AC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 を 介 し た 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 機 能 と の 関 連 が 示 唆 さ れ る
よ う に な り 、 生 理 条 件 下 に お け る EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 の 解 析 の 重 要 性 が 増 し つ
つ あ る 。 特 に 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 異 常 に よ り 発 症 す る 各 種 疾 患 の 分 子 機 序 に
関しては殆ど不明であり、その解明は今後に残された大きな課題である。しかしながら、
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EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の み に 選 択 特 異 性 を 有 し 、 か つ 生 理 条 件 下 の 使 用 に 十 分 耐 え う
る EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 促 進 薬 な ら び に 阻 害 薬 は 皆 無 で あ る 。 ま た 、 EAAC1グ ル タ ミ ン
酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 は 、 addicsin/GTRAP3-18の み が 唯 一 報 告 さ れ て い る に す ぎ な い 。 従
っ て 、 さ ら な る EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 薬 の 開 発 が 求 め ら れ て い る が 、 同 時 に
、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 へ 直 接 作 用 す る 機 序 と は 異 な る 作 用 機 序 を 有 す る 新 規 薬 物 の
開 発 も 求 め ら れ て い る 。 そ の た め に は 、 新 た な EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 の
解明とその分子機構に立脚した創薬が必要不可欠である。
【0008】
そ こ で 、 本 発 明 の 課 題 は 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 あ る い は EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体
結 合 因 子 addicsin/GTRAP3-18と の 蛋 白 質 相 互 作 用 を 示 す 新 た な EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体
30
機 能 制 御 因 子 を 提 示 す る と 共 に 、 そ の 分 子 特 性 を 利 用 し た EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能
制 御 技 術 と 新 規 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 薬 の 探 索 方 法 を 提 示 し よ う と す る も の
で あ る 。 す な わ ち 、 本 発 明 は 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 異 常 と 連 関 す る 疾 患 の 発 症
機序解明に貢献し、同時に新規機構に立脚した新規創薬の可能性を拓こうとするものでも
ある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本 発 明 者 等 は 、 Yeast Two Hybrid法 を 用 い 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 結 合 因 子 addicsi
nと 蛋 白 質 相 互 作 用 を 示 す 新 た な EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 Arl6ip-1を 単 離 ・
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同 定 し た 。 本 因 子 を 内 在 性 の EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の み を 発 現 す る C6BU-1細 胞 に 過 剰
発 現 さ せ た 場 合 、 PKC活 性 化 条 件 下 に お け る EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の グ ル タ ミ ン 酸 取 り
込 み 能 促 進 効 果 を よ り 一 層 増 強 す る 。 一 方 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 結 合 因 子 addicsin/
GTRAP3-18内 に 存 在 す る N末 側 の PKCリ ン 酸 化 モ チ ー フ の セ リ ン 残 基 を ア ラ ニ ン 残 基 に 置 換
さ せ た addicsin S18Aは 、 C6BU-1細 胞 に 過 剰 発 現 さ せ た 場 合 、 上 記 条 件 化 で 観 察 さ れ る EAA
C1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 抑 制 効 果 を 完 全 に 阻 害 す る こ と を 見 い だ
した。
【0010】
本 発 明 に よ り 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 と し て 、 新 た に 該 輸 送 体 機 能 を
増 強 な い し 促 進 す る 因 子 Arl6ip-1、 及 び addicsin S18Aを 見 い だ し た こ と は 、 上 記 し た EAA
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C1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 抑 制 因 子 で あ る addicsinと 併 せ て 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体
機 能 制 御 技 術 を ほ ぼ 確 立 し た こ と に な る 。 ま た 、 addicsin S18Aに 関 す る 上 記 知 見 は 、 add
icsin遺 伝 子 の 異 常 に 基 づ く 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 機 能 異 常 の 態 様 を も 示 唆 す る 。
し た が っ て 、 本 発 明 の EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 手 段 は 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送
体機能異常と連関する疾患の発症機序の解明、あるいは新規機構に立脚した新規創薬等に
おける極めて有用な手段となりうる。
【0011】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1) 配列番号3に示されるアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列におい
て 1 若 し く は 数 個 の ア ミ ノ 酸 が 欠 失 、 置 換 若 し く は 付 加 さ れ た ア ミ ノ 酸 配 列 を 有 し 、 EAAC
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1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 の 促 進 活 性 を 有 す る こ と を 特 徴 と す る 、 タ ン パ ク 質 。
(2) 配列番号9に示される、アミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列にお
い て 1 若 し く は 数 個 の ア ミ ノ 酸 が 欠 失 、 置 換 若 し く は 付 加 さ れ た ア ミ ノ 酸 配 列 を 有 し 、 EA
AC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 の 促 進 活 性 を 有 す る こ と を 特 徴 と す る 、 タ ン パ ク 質 。
(3) 上記(1)に示されるタンパク質をコードするDNA。
(4) 配列番号2に示される塩基配列を有するDNA。
(5) 上記(3)又は(4)に記載のDNAが組み込まれていることを特徴とする、発
現ベクター。
(6) 上記(2)に示されるタンパク質をコードするDNA。
(7) 配列番号8に示される塩基配列を有するDNA。
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(8) 上記(6)又は(7)に記載のDNAが組み込まれていることを特徴とする、発
現ベクター。
( 9 ) EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 発 現 能 を 有 し 、 上 記 ( 3 ) 及 び / 又 は ( 6 ) に 記 載 の
DNAが組み込まれた発現ベクターが導入されていることを特徴とする、形質転換体。
( 1 0 ) さ ら に addicsin タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る D N A が 組 み 込 ま れ た 発 現 ベ ク タ ー
が導入されていることを特徴とする、上記(9)に記載の形質転換体。
(11) 形質転換体が、動物細胞株であることを特徴とする、上記(10)に記載の形
質転換体。
( 1 2 ) EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 発 現 能 を 有 し 、 か つ addicsin、 Ar16ip及 び addicsinS
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18Aの い ず れ か 1 以 上 の タ ン パ ク 質 の 発 現 能 力 を 有 す る 細 胞 に 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体
制御薬剤の候補物質を接触させ、細胞外グルタミン酸の取り込み能を評価することにより
ス ク リ ー ニ ン グ す る こ と を 特 徴 と す る 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 制 御 薬 剤 の 探 索 方 法 。
【発明の効果】
【0012】
本 発 明 は 、 上 記 し た と お り 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 と し て 、 該 輸 送 体
機 能 を 促 進 す る 因 子 を 新 た に 見 い だ し た も の で あ り 、 こ れ に よ り 、 従 来 の addicsinと 併 せ
て 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の 機 能 を 有 効 に 制 御 す る こ と が 可 能 と な る 。 し た が っ て
、 本 発 明 の 上 記 因 子 は 、 例 え ば 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 解 析 研 究 用 試 薬 と し て 有
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用 で あ り 、 ま た 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 薬 の 開 発 、 各 種 疾 患 ( ア ミ ノ 酸 尿
症、モルヒネ耐性依存形成等)の治療法及び予防法の開発、並びに神経損傷の治療法なら
び に 予 防 法 の 開 発 等 に 大 い に 資 す る と と も に 、 特 に EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 異 常 に
起因して発生する疾患(例えば、アミノ酸尿症、モルヒネ耐性依存形成等)の発症機構の
解明や神経再生機構の解明を行う上での基盤技術としても極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本 明 細 書 に い う EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 と は 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体
を 介 し た L-グ ル タ ミ ン 酸 、 L-ア ス パ ラ ギ ン 酸 、 D-ア ス パ ラ ギ ン 酸 の Na
+
依存的な細胞内へ
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の 取 り 込 む 機 能 を 促 進 も し く は 阻 害 し 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 あ る い は EAAC1グ ル タ ミ
ン 酸 輸 送 体 結 合 因 子 addicsin/GTRAP3-18と 直 接 的 な 蛋 白 質 間 相 互 作 用 を 示 す か 、 あ る い は
阻害する蛋白質群もしくはペプチド因子群全般を指す。
【0014】
EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の 完 全 長 c D N A ( 1654bp) 、 そ の C D S 領 域 ( 終 止 コ ド
ン を 含 む ) の 塩 基 配 列 お よ び こ れ に 対 応 す る 該 輸 送 体 タ ン パ ク 質 の ア ミ ノ 酸 配 列 ( CDS;83
-1654) を そ れ ぞ れ 配 列 番 号 1 0 、 1 1 お よ び 1 2 に 示 す 。
ま た 、 addicsinの 完 全 長 c D N A (1395bp) 、 そ の C D S 領 域 の 塩 基 配 列 ( CDS;73-636)
こ れ に 対 応 す る addicsinタ ン パ ク 質 の ア ミ ノ 酸 配 列 を そ れ ぞ れ 配 列 番 号 4 、 5 、 6 に 示 す
。これらは、そのCDS領域あるいはこれを含むDNAを発現ベクターに組み込み、つい
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で動物細胞等の宿主を形質転換させることにより、宿主にこれらタンパク質の発現能を人
為的に付与することができる。
【0015】
本 発 明 に お い て 、 新 た に 見 い だ さ れ た EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 と し て は
、具体的には以下のものが挙げられる。
( 1 ) 配 列 番 号 3 に 示 す ア ミ ノ 酸 配 列 を 有 す る ADP ribosylation like 6 interacting pr
otein-1 (Arl6ip-1) タ ン パ ク 質 、 あ る い は 該 ア ミ ノ 酸 配 列 に お い て 1 若 し く は 数 個 の ア
ミ ノ 酸 が 欠 失 、 置 換 若 し く は 付 加 さ れ た ア ミ ノ 酸 配 列 を 有 し 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体
機 能 の 促 進 活 性 を 有 す る タ ン パ ク 質 ( 以 下 、 ま と め て Arl6ip-1タ ン パ ク 質 と い う こ と が あ
る。)
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( 2 ) 配 列 番 号 9 に 示 す 、 上 記 addicsin蛋 白 質 の 18番 目 の セ リ ン 残 基 を ア ラ ニ ン 残 基 に
置 換 し た addicsin S18Aタ ン パ ク 質 、 あ る い は 該 ア ミ ノ 酸 配 列 に お い て 、 1 若 し く は 数 個
のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し(但し上記18番目の位
置 に 対 応 す る ア ミ ノ 酸 残 基 は ア ラ ニ ン 残 基 で あ る 。 ) か つ 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機
能 の 抑 制 を 阻 害 す る 活 性 を 有 す る タ ン パ ク 質 ( 以 下 、 ま と め て addicsin S18Aタ ン パ ク 質
というときがある。)
【0016】
また、本発明においては、上記(1)、(2)に示されるタンパク質において、
さらに、エピトープタグやシグナル配列などをコードするアミノ酸配列を人工的に付加さ
せたタンパク質を含む。
30
上 記 Arl6ip-1タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る c D N A の 塩 基 配 列 は 、 具 体 的 に は 配 列 番 号 2 に
示 さ れ る 。 該 c D N A は 、 Arl6ip-1完 全 長 c D N A ( 配 列 番 号 1 ) の CDS60-668(669-671
は 終 止 コ ド ン ) に 対 応 す る 。 上 記 Arl6ip-1タ ン パ ク 質 は 、 該 タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 塩 基
配列部分を含む発現ベクターを導入した形質転換体を培養することにより得られる。
【0017】
ま た 、 addicsin S18Aタ ン パ ク 質 の ア ミ ノ 酸 配 列 に 対 応 す る c D N A の 塩 基 配 列 は 、 配
列 番 号 8 に 示 さ れ 、 こ れ は ア ミ ノ 酸 配 列 の 1 8 番 目 に 対 応 す る 塩 基 配 列 を 、 addicsinの ”
tct” か ら ” gct” に 変 更 し た も の で あ る 。 該 c D N A は 、 addicsin完 全 長 c D N A ( 配 列
番 号 4 ) を 鋳 型 と し て 変 異 P C R 法 に よ り 得 ら れ る 。 addicsin S18Aタ ン パ ク 質 、 こ の よ
う に し て 得 ら れ た addicsin S18Aタ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 塩 基 配 列 部 分 を 少 な く と も 含 む
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発 現 ベ ク タ ー を 導 入 し た 形 質 転 換 体 を 培 養 す る こ と に よ り 得 ら れ る 。 こ の addicsin S18
Aの 完 全 長 c D N A の 塩 基 配 列 を 配 列 番 号 7 に 示 す 。
【0018】
本 発 明 に よ れ ば 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 を 内 在 的 に 発 現 す る 哺 乳 類 細 胞 あ る い は 人
為 的 に 発 現 さ せ た 哺 乳 類 細 胞 に 、 上 記 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 を コ ー ド す
る 該 cDNAを 組 み 込 ん だ 哺 乳 類 動 物 細 胞 発 現 ベ ク タ ー を 用 い て 、 該 細 胞 染 色 体 に 組 み 込 ま れ
た 安 定 形 質 細 胞 が 得 ら れ る 。 な お 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 を 哺 乳 類 細 胞 に お い て 人 為
的 に 発 現 さ せ る た め に は 、 上 記 し た EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の 完 全 長 c D N A ( 1654bp
) あ る い は 該 輸 送 体 タ ン パ ク 質 の ア ミ ノ 酸 配 列 部 分 ( CDS;83-1654) を コ ー ド す る c D N
Aが組み込まれた哺乳類動物細胞発現ベクターを、哺乳類細胞に導入すればよい。
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【0019】
EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 安 定 発 現 細 胞 の 代 表 例 と し て は 、 GeneSwirtch S
ystem (Invitrogen社 )を 利 用 し て 作 製 し た C6BU-1/pSw-X (X = addicsin, addicsin S18A,
Arl6ip-1) 細 胞 が あ げ ら れ る 。
こ の 細 胞 系 は 、 ( 1 ) EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の み を 内 在 的 に 発 現 す る 細 胞 と し て 知
ら れ る ラ ッ ト 神 経 グ リ オ ー マ 細 胞 C6BU-1細 胞 を 用 い て い る た め に 内 在 性 EAAC1グ ル タ ミ ン
酸 輸 送 体 機 能 の 特 異 的 解 析 が 可 能 で あ る こ と 、 ( 2 ) 低 濃 度 ( 通 常 は 10 nM) の ミ フ ェ プ
リストンの曝露によって目的因子Xの顕著な発現誘導が可能であること、及び(3)クロ
ーン化した形質安定発現細胞株であるので細胞形質が同一であるといった長所を併せ持つ
。 し た が っ て 、 本 細 胞 系 を 用 い れ ば 、 目 的 因 子 X の 発 現 誘 導 が EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体
10
機能等に及ぼす効果を厳密に比較解析することが可能となる。
【0020】
本 発 明 に お い て は 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 自 身 の 分 子 機 能 を 利 用 し て E
AAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 を 制 御 す る こ と が 可 能 と な る 。
す な わ ち 、 上 記 の よ う な EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 を 内 在 的 に 発 現 す る も し く は 人 為 的
に 発 現 さ せ た 細 胞 ( in vitro系 ) に お い て 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 の 発
現 量 を 人 為 的 に 制 御 す る こ と に よ り 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 ( 細 胞 外 グ ル タ ミ ン
酸取り込み能)動態を調節することができる。
例 え ば 、 ラ ッ ト グ リ オ ー マ C6Bu-1細 胞 で は 、 PKC活 性 化 試 薬 処 理 な ど の 細 胞 外 刺 激 を 加
え た 場 合 の 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 促 進 を 増 強 さ せ た い 場 合 に は 、 Arl6ip-1タ ン パ
20
ク質を過剰発現させれば良い。また、逆に、同様の条件下における細胞外グルタミン酸取
り 込 み 能 促 進 を 抑 制 し た い 場 合 に は addicsinタ ン パ ク 質 あ る い は そ の 部 分 配 列 ペ プ チ ド を
過剰発現させれば良い。 さらに、未刺激状態における細胞外グルタミン酸取り込み能を
増 強 さ せ た い 場 合 に は 、 addicsin S18Aタ ン パ ク 質 を 過 剰 発 現 さ せ れ ば 良 い 。 な お 、 addic
sin S18Aタ ン パ ク 質 は PKC活 性 化 条 件 下 で も 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 を 促 進 さ せ 、
こ の 点 で Arl6ip-1タ ン パ ク 質 と は そ の 作 用 が 異 な る 。
【0021】
本発明で使用可能な細胞としては、初代培養細胞、神経細胞やグリア細胞等を由来とし
て 株 化 さ れ た 各 種 培 養 細 胞 ( NG108-15, N18TG-2、 C6Bu-1、 PC12等 ) 、 幹 細 胞 等 の 細 胞 群
が挙げられる。また、 動物細胞以外にも、昆虫細胞、植物細胞、大腸菌等の細胞が含ま
30
れ る 。 ま た 、 細 胞 に EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 を 過 剰 発 現 さ せ る た め に は 、
ウイルスベクター法、リポフェクション法、電気穿孔法、直接注射法等の周知の方法を適
用 し て EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 を コ ー ド す る 遺 伝 子 を 組 み 込 ん だ 発 現 ベ ク
ターを細胞へ導入すれば良い。ウイルスベクター法では、ウイルスベクター中に存在する
マ ル チ ク ロ ー ニ ン グ 部 位 に 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 を コ ー ド す る cDNAを i
n vitroで 挿 入 し 、 組 み 換 え ウ イ ル ス DNAを 作 製 す る 。 こ の 組 み 換 え DNA ( あ る い は 組 み 換
え ウ イ ル ス DNAよ り 逆 転 写 し て 作 製 し た 組 み 換 え ウ イ ル ス RNA) を 宿 主 細 胞 ( BHK細 胞 、 HEK
293細 胞 等 ) へ ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し 、 宿 主 細 胞 中 で 増 殖 し て 培 地 中 に 放 出 さ れ た 組 み
換 え ウ イ ル ス を 回 収 ・ 精 製 す る こ と に よ り 高 力 価 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子
遺伝子挿入組み換えウイルスを調製する。これら調製ウイルスを細胞培養液中に添加する
40
ことにより遺伝子導入を行う。使用するウイルスとしては、例えば、シンドビスウイルス
、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス等を挙げることができる。また、
該 遺 伝 子 を 組 み 込 む 代 表 的 な ウ イ ル ス ベ ク タ ー と し て は 、 各 々 pSinrep5 (Invitorogen社 )
、 HSV-PrpUC、 pAxCAwt,(宝 酒 造 社 )、 pLenti6/V5 (Invitorogen社 )等 が 存 在 す る 。
【0022】
ま た 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 あ る い は そ の 部 分 配 列 ペ プ チ ド 自 身 を 、
蛋白質導入法や直接注射法等の周知の方法を適用して直接細胞に導入しても良い。尚、蛋
白 質 導 入 法 と は 、 Protein Transduction Domain (PTD)と 呼 ば れ る 膜 透 過 機 能 を 有 す る ペ
プチド配列を目的蛋白質(ペプチド)に付加したキメラ蛋白質(ペプチド)を作製し、細
胞 外 か ら 該 キ メ ラ 蛋 白 質 ( ペ プ チ ド ) を 細 胞 内 へ 取 り 込 ま せ る 技 術 を 指 す 。 PTDの ア ミ ノ
50
(8)
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酸 配 列 と し て は 、 HIV/TAT (YGRKKRRQRR)、 HSV/VP-22 (DAATATRGRSAASRPTERPR APARSASRPR
RPVE)、 AntP (RQIKIKWP QNRRMKWKK)、 11 Arginine (RRRRRRRRRRR)等 が 適 用 可 能 で あ る 。
さ ら に 、 本 技 術 は 、 in vivo系 す な わ ち EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 を 内 在 的 に 発 現 す る も
しくは人為的に発現させた脳をはじめとする種々の組織、例えば、脳内では、海馬、扁桃
体 、 大 脳 皮 質 、 線 条 体 等 に 適 用 し て も 良 い 。 こ の 場 合 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制
御 因 子 を 発 現 さ せ る 手 段 と し て は 、 上 記 in vitro系 で 記 載 し た 内 容 を す べ て 適 用 す る こ と
が 可 能 で あ る 。 こ れ ら に 加 え 、 脳 内 投 与 法 等 の in vivo系 に 特 有 な 周 知 の 導 入 方 法 を 適 用
すれば良い。
【0023】
一 方 、 本 発 明 の EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 は 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機
10
能制御薬の探索にも有効に利用できる。 こ の よ う な 探 索 方 法 は 、 Arl6ip-1や addicsin、 addicsin S18Aな ど の EAAC1グ ル タ ミ ン 酸
輸送体機能制御因子を過剰発現させた場合に、各因子毎に特徴的な細胞外グルタミン酸取
り込み動態を有することを利用し、それぞれの因子毎の特徴的な細胞外グルタミン酸取り
込み動態を増強あるいは阻害する候補物質を探索する方法である。本探索方法で使用可能
な 細 胞 は 、 ( 1 ) EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 を 内 在 的 に 発 現 も し く は 人 為 的 に 発 現 す る よ
う に 構 築 す る こ と 、 及 び ( 2 ) 同 時 に 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 を 過 剰 発
現させ得ることが必要である。 細胞の種類としては、初代培養細胞、神経細胞やグリア
細 胞 等 を 由 来 と し て 株 化 さ れ た 各 種 培 養 細 胞 ( NG108-15, N18TG-2、 C6Bu-1、 PC12等 ) 、
幹 細 胞 等 の 細 胞 群 、 ウ イ ル ス 発 現 系 や 遺 伝 子 改 変 動 物 等 を 利 用 し て EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸
20
送体機能制御因子を過剰発現させるように人為的に構築された細胞群、また、昆虫細胞、
植物細胞、大腸菌等の動物細胞以外の細胞群が挙げられるが、いずれの場合にも上記2つ
の条件を満たすことが必須である。
【0024】
ま た 、 代 表 的 か つ 本 探 索 法 に 適 し た 細 胞 例 と し て は 、 C6Bu-1/pSw-X (X = Arl6ip-1、 ad
dicsin、 addicsin S18A)細 胞 が 挙 げ ら れ る 。 本 細 胞 系 で は 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機
能 制 御 因 子 Xの 過 剰 発 現 が 特 徴 的 な 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 パ タ ー ン を 惹 起 す る こ
と が 明 ら か と な っ て い る の で 、 こ の パ タ ー ン を 促 進 も し く は 阻 害 す る 物 質 は EAAC1グ ル タ
ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 Xに 作 用 点 を 有 す る 可 能 性 が 高 い と 考 え ら れ る 、 従 っ て 、 本 細
胞 系 の 利 用 に よ っ て 、 EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 Xに 作 用 点 を 有 す る 新 規 EAAC
30
1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 促 進 薬 あ る い は 阻 害 薬 を 効 率 よ く 発 見 ・ 開 発 す る こ と が 可 能 と
なる。
こ れ に は 、 ま ず 、 10 nMミ フ ェ プ リ ス ト ン 処 理 に よ っ て EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制
御 因 子 Xを 過 剰 発 現 さ せ た C6Bu-1/pSw-X細 胞 に 対 し て DMSOや 蒸 留 水 な ど の 細 胞 毒 性 の 無 い
溶媒に溶解させた種々の候補物質(天然抽出物、蛋白質、ペプチド、核酸、その他の無機
お よ び 有 機 化 合 物 を 含 む ) を 種 々 の 濃 度 で 前 処 置 し 、 PKC活 性 薬 等 の 細 胞 外 刺 激 を 与 え た
時 の EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 機 能 制 御 因 子 X特 有 の 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 パ タ ー
ンに与える影響を検定することにより候補物質を探索・同定を行うことができる。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
40
【実施例】
【0025】
〔実施例1〕
1、 addicsin遺 伝 子
a. サ ブ ト ラ ク シ ョ ン ク ロ ー ニ ン グ に よ る 同 定
ddY系 マ ウ ス (雄 : 6 週 令 ) に 塩 酸 モ ル ヒ ネ を 10, 20, 40, 80, 100, 100, 100 mg/kgの
用量で1日に2回ずつ7日間にわたって皮下投与を行ってモルヒネ耐性依存モデルマウス
を 作 成 し た 。 最 終 薬 物 投 与 か ら 16時 間 後 に 、 モ ル ヒ ネ 慢 性 投 与 マ ウ ス な ら び に 生 理 食 塩 水
慢 性 投 与 マ ウ ス の 扁 桃 体 を そ れ ぞ れ 摘 出 し 、 Quick prep micro mRNA purification Kit (
Amersham Bioscience社 ) を 用 い て poly(A) RNA (5 μ g)を 調 製 し 、 直 ち に Zap-cDNA synth
50
(9)
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esis kit (STRATAGENE社 ) を 使 用 し て λ Zap II cDNA ラ イ ブ ラ リ ー を 構 築 し た 。 photobio
tin-avidin 法 (Nucleic Acids Res. 16, 10937,1988) に よ る mRNAの 差 し 引 き を 行 っ て su
btracted cDNAラ イ ブ ラ リ ー を 構 築 後 、 さ ら に デ ィ フ ァ レ ン シ ャ ル ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ
ン を 行 っ て addicsin遺 伝 子 を 含 む 薬 物 耐 性 依 存 関 連 候 補 遺 伝 子 群 を 単 離 し た 。 単 離 し た λ
Zapフ ァ ー ジ プ ラ ー ク は 、 in vivo excison に よ り pBluescript SK(-) 型 ベ ク タ ー に 変 換
し 、 挿 入 断 片 の 部 分 cDNA塩 基 配 列 解 析 を 行 い 、 BLASTな ら び に FASTAに よ る cDNAお よ び ア ミ
ノ酸レベルでの相同性解析を行った。その結果、候補遺伝子群のひとつが新規遺伝子であ
る こ と が 判 明 し た の で 、 「 薬 物 常 用 : addiction」 を 語 源 に マ ウ ス addicsinと 命 名 し た 。
【0026】
b. addicsin cDNAの ク ロ ー ニ ン グ
10
次 に 、 プ ラ ー ク ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 法 を 行 う こ と で 完 全 長 addicsincDNAの 単 離 を 試
み た 。 次 に 、 慢 性 モ ル ヒ ネ 投 与 を 施 し た マ ウ ス 扁 桃 体 よ り 構 築 し た λ Zap II cDNA ラ イ ブ
ラ リ ー フ ァ ー ジ 溶 液 (1x10
7
pfu/ml) 5μ lを OD660 = 0.5 に な る よ う に 10 mM MgSO4 溶 液
に 懸 濁 し て 要 時 調 製 し た 大 腸 菌 XL1-Blue MRF'溶 液 600 μ lに 加 え 、 フ ァ ー ジ を 大 腸 菌 に 感
染 さ せ た 。 こ の 感 染 済 み の 大 腸 菌 を NZYプ レ ー ト (13 cm x 9 cm) 12枚 に 5 x 10
4
プラーク
/プ レ ー ト と な る よ う に 蒔 き 、 37 ℃ で 一 晩 培 養 し て プ ラ ー ク を 形 成 さ せ た 。 ニ ト ロ セ ル ロ
ー ス フ ィ ル タ ー (S&S社 ) を プ レ ー ト 上 に 約 3分 間 静 置 し て プ ラ ー ク を フ ィ ル タ ー 側 に 移 し
、 さ ら に こ の フ ィ ル タ ー を 変 性 溶 液 (0.5 M NaOH、 1.5 M NaCl)に 2分 間 、 中 和 溶 液 (0.5
M Tris-HCl pH 7.6、 1.5 M NaCl)に 5分 間 、 2xSSC溶 液 に 5分 間 そ れ ぞ れ 浸 し た 。 風 乾 後 、 U
V照 射 を 行 い 、 42℃ の プ レ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 溶 液 (50% ホ ル ム ア ミ ド 、 3xSSPE、 1 X
20
Denhardt's、 1% SDS、 0.5 mg/ml サ ケ 精 子 DNA) 中 で 約 3時 間 浸 漬 振 盪 し た 。 次 に 、 addic
sin挿 入 断 片 (nt 1207- nt 1394) 100 ngよ り Random Primer DNA Labeling Kit (宝 酒 造
社 )を 使 用 し て 調 製 し た 放 射 性 DNAプ ロ ー ブ (2× 10
6
cpm/ml) 15μ lを 添 加 し 、 さ ら に 42℃
で 一 昼 夜 浸 漬 振 盪 し て ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン を 行 っ た 。 フ ィ ル タ ー は 、 2 X SSC溶 液 , (
2 X SSC、 0.1% SDS) お よ び 0.2 X SSC溶 液 , (0.2 X SSC、 0.1% SDS) の 順 に そ れ ぞ れ 60
℃ で 1時 間 ず つ 洗 浄 し 、 風 乾 後 に -80℃ で オ ー ト ラ ジ オ グ ラ フ ィ ー を 行 っ た 。 陽 性 プ ラ ー ク
は SM溶 液 に 懸 濁 後 、 1/100倍 に 希 釈 し て 2次 な ら び に 3次 ス ク リ ー ニ ン グ に 使 用 し た 。 最 終
的 に 陽 性 で あ っ た プ ラ ー ク は 、 in vivo excision を 行 っ て pBluescript SK(-) 型 の プ ラ
ス ミ ド に 変 換 し 、 定 法 に 従 っ て 増 殖 後 、 QIAGEN Midi Kit (QIAGEN社 )を 用 い て 精 製 プ ラ ス
ミ ド DNAを 調 製 し た 。 以 後 、 こ の ベ ク タ ー を pBluescript SK(-)-addicsin( partial) ベ ク
30
ターと記載する。
【0027】
次 に 、 全 長 cDNA塩 基 配 列 を 決 定 す る た め に 、 中 山 等 の Size-fractionated Uni-directio
nal Deletion (SUD) 法 (実 験 医 学 6, 849-857, 1988)に 準 拠 し 、 こ の プ ラ ス ミ ド よ り -鎖
な ら び に +鎖 そ れ ぞ れ の デ レ ー シ ョ ン ミ ュ ー タ ン ト を 作 製 し た 。 シ ー ク エ ン ス 用 の 試 料 は
、 PRISM Ready Reaction Terminator Cycle Sequencing Kit (PEア プ ラ イ ド シ ス テ ム ズ 社
) を 用 い て ダ イ タ ー ミ ネ -タ ー 法 に よ り 調 製 し 、 M13 ( -20) フ ォ ワ ー ド プ ラ イ マ ー お よ び
M13 リ バ ー ス プ ラ イ マ ー (STRATAGENE社 ) を 各 々 使 用 し て cDNAを 解 析 し た 。 ま た PCR反 応
は 、 DNA Thermal cycler PJ2000 Model 480 (PEア プ ラ イ ド シ ス テ ム ズ 社 )を 用 い 、 変 性 反
応 ; 96℃ 、 30秒 、 ア ニ ー リ ン グ 反 応 ; 50℃ 、 15秒 、 合 成 反 応 ; 60℃ 、 240秒 ; 25サ イ ク ル
40
の条件で行った。
【0028】
そ の 結 果 、 こ の プ ラ ス ミ ド は addicsin cDNA (nt75 - nt1394)を 含 む も の の 、 開 始 コ ド ン
お よ び 5'非 翻 訳 領 域 が 欠 損 し て い る こ と が 判 明 し た 。 そ こ で addicsin (nt 1- nt 74)に 相
当 す る cDNA領 域 を ク ロ ー ニ ン グ す る た め に 、 nested PCR法 に よ る addicsin の 5'非 翻 訳 領
域 の ク ロ ー ニ ン グ を 実 施 し た 。 λ gt10 BALB/c3T3マ ウ ス 線 維 芽 細 胞 cDNAラ イ ブ ラ リ ー (4
5
× 10 pfu/μ l) 溶 液 1.0μ l に 10X PCR緩 衝 溶 液 (PEア プ ラ イ ド シ ス テ ム ズ 社 ) 2.5μ l、 Am
pli Taq DNA polymerase (5U/μ l ) (PEア プ ラ イ ド シ ス テ ム ズ 社 ) 0.25μ l、 1.25mM dNTP
(宝 酒 造 社 ) 8.0μ l、 プ ラ イ マ ー 1 (60 ng/μ l) (配 列 番 号 1 3 ) お よ び プ ラ イ マ ー 2 (6
0 ng/μ l) (配 列 番 号 1 4 ) を 各 々 2.5μ l、 滅 菌 水 4.25μ lを 加 え て 最 終 容 量 を 25μ lに 調
50
(10)
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製 し た 。 次 に 、 DNA Thermal cycler PJ2000 Model 480 (PEア プ ラ イ ド シ ス テ ム ズ 社 )を 用
い て PCR反 応 ( 変 性 反 応 : 96℃ 、 30秒 、 ア ニ ー リ ン グ 反 応 : 52℃ 、 45秒 、 合 成 反 応 : 72℃
、 90秒 、 30サ イ ク ル ) を 行 い 、 続 い て 72℃ で 10分 間 の 伸 長 反 応 を 行 う こ と に よ っ て 約 455
bpの PCR産 物 を 得 た 。 こ の PCR産 物 を 2 回 目 の 鋳 型 DNA溶 液 と し て 使 用 し た 。
【0029】
次 に 、 こ の 鋳 型 DNA溶 液 0.5 μ lと プ ラ イ マ ー 3 (60 ng/μ l) (配 列 番 号 1 5 ) お よ び
プ ラ イ マ ー 4 (60 ng/μ l) (配 列 番 号 1 6 ) を 各 々 2.5μ lを 使 用 し て 1回 目 と 同 一 組 成 の PC
R試 料 を 調 製 し 、 1 同 一 反 応 条 件 で 2回 目 の PCRを 行 う こ と で 約 435 bp の PCR産 物 を 得 た 。
こ の PCR産 物 を 1 % ア ガ ロ ー ス ゲ ル に よ っ て 分 離 精 製 後 、 TAKARA Ligation kit (ver.2) (
宝 酒 造 社 )を 用 い て D. Marchukら の 方 法 ( Nucleic Acids Research 19, 1154, 1990) に 準
10
じ て 作 製 し た pBluescript SK(-)-Tベ ク タ ー に サ ブ ク ロ ー ニ ン グ 後 、 EcoRI-NheI挿 入 断 片 (
nt 1-nt 452)を 調 製 し た 。 こ の 調 製 挿 入 断 片 を プ ラ ー ク ハ イ ブ リ ダ イ ゼ シ ョ ン 法 に よ り 単
離 し た pBluescript SK(-)-addicsin( partial) ベ ク タ ー の EcoRI-NheI部 位 に 組 み 込 む こ
と に よ っ て 完 全 長 addicsin cDNAを 得 た 。 以 下 、 こ の ベ ク タ ー を pBluescript SK(-)-T -ad
dicsinと 記 載 す る 。
【0030】
2 . addicsin S18A cDNA
pBluescript SK(-)-T -addicsin Ampli Taq Gold DNA polymerase (PEア プ ラ イ ド シ ス
テ ム ズ 社 ) 、 プ ラ イ マ ー 5 ( 配 列 番 号 1 7 ) 、 プ ラ イ マ ー 6( 配 列 番 号 1 8 ) を 用 い て RTPCR反 応 を 行 っ た 。 PCR反 応 は 、 Gene Amp PCR System 9600 (PEア プ ラ イ ド シ ス テ ム ズ 社 )
20
を 使 用 し て 行 い 、 変 性 反 応 ; 94℃ 、 15秒 、 ア ニ ー リ ン グ 反 応 ; 50℃ 、 30秒 、 合 成 反 応 ; 7
2℃ 、 120秒 を 1 サ イ ク ル と し て 25サ イ ク ル の 条 件 下 で 実 施 し た 。 尚 、 PCR前 の 活 性 化 反 応
は 、 94℃ 、 15秒 、 1サ イ ク ル 、 PCR終 了 後 の 伸 長 反 応 は 72℃ 、 7分 、 1サ イ ク ル 実 施 し た 。 得
ら れ た PCR産 物 は 、 pBluescript SK(-)-Tベ ク タ ー へ サ ブ ク ロ ー ニ ン グ 後 、 ABI 373Sシ ー ケ
ン サ ー ( PEア プ ラ イ ド シ ス テ ム ズ 社 製 ) を 用 い て cDNA塩 基 配 列 解 析 を 行 い 、 P C R 産 物 が
マ ウ ス addicsinS18Aの cDNA配 列 を 有 す る こ と を 確 認 し た 。
【0031】
〔実施例2〕
1 . Arl6ip-1遺 伝 子
a. マ ウ ス 全 脳 由 来 一 本 鎖 cDNAの 調 製
30
P.Chomczynskiら の 方 法 ( Analytical Biochemistry, 162 : 156-159, 1987) に 準 じ て
全 RNA を 抽 出 し た 。 そ の 概 略 は 次 の と お り で あ る 。 マ ウ ス 全 脳 を 摘 出 し て 凍 結 粉 砕 後 、 こ
の 粉 末 75mgを グ ア ニ ジ ン 溶 液 (4Mグ ア ニ ジ ン チ オ シ ア ネ ー ト 、 25mMク エ ン 酸 ナ ト リ ウ ム p
H7.0、 0.5%サ ル コ シ ル ナ ト リ ウ ム 、 0.1Mメ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル ) 500μ lに 溶 解 し た 。 こ の
溶 液 に 2M酢 酸 ナ ト リ ウ ム 溶 液 (pH4.0) 50μ l、 DEPC水 飽 和 フ ェ ノ ー ル (pH4.0) 50μ l 、 ク
ロ ロ ホ ル ム 100μ l を 加 え て 撹 拌 後 、 10,000× g で 20分 間 の 遠 心 分 離 を 行 っ て 水 層 を 回 収
し 、 イ ソ プ ロ パ ノ ー ル 沈 殿 を 得 た 。 こ の 沈 殿 を グ ア ニ ジ ン 溶 液 500μ lに 完 全 に 溶 解 後 に
上 記 の 過 程 を 再 度 繰 り 返 し 、 最 終 的 に 得 ら れ た 沈 殿 物 を DEPC水 50μ l に 溶 解 さ せ て 全 RNA
溶 液 と し た 。 一 本 鎖 cDNA溶 液 は 、 全 RNA 3μ gを 鋳 型 と し 、 SUPERSCRIPTTM II Reverse Tra
nscriptase (200U/ μ l) を 用 い て 42℃ で 2 時 間 の 逆 転 写 反 応 を 行 う こ と に よ り 作 製 し た
40
。
【0032】
b. Arl6ip-1cDNAの ク ロ ー ニ ン グ
マ ウ ス 全 長 addicsin cDNAを Bait( お と り ) と し て 用 い た Yeast two hybrid法 に よ り 、
addicsin蛋 白 質 と 相 互 作 用 す る 因 子 を 検 索 し た と こ ろ 、 マ ウ ス ADP ribosulation like 6
interacting proten -1 (Arl6ip-1)を 同 定 し た 。 詳 細 は 以 下 の 通 り で あ る 。 ま ず 、 Yeast
two hybrid 法 を 用 い た ス ク リ ー ニ ン グ 系 は 、 MATCHMAKER GAL4 Two-Hybrid System 3 (CL
ONTECH)を 用 い て 構 築 し た 。 Bait( お と り ) 蛋 白 質 発 現 用 ベ ク タ ー で あ る pGBKT7ベ ク タ ー
に は 、 マ ウ ス addicsin cDNA (nt 73- nt 639)を 組 み 込 み 、 pGBKT7- addicsinを 作 成 し た
。 ま た 、 Prey (え さ ) 蛋 白 質 発 現 用 ベ ク タ ー で あ る pACT2ベ ク タ ー に は 、 モ ル ヒ ネ 慢 性 投
50
(11)
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与 マ ウ ス 扁 桃 体 よ り 作 製 し た λ Zap II cDNAラ イ ブ ラ リ ー 中 に 挿 入 さ れ て い た cDNA挿 入 断
片 を 組 み 込 む こ と で pACT2プ ラ ス ミ ド ラ イ ブ ラ リ ー を 作 製 し た 。 pACT2プ ラ ス ミ ド ラ イ ブ ラ
リ ー は 、 一 度 増 幅 し て 使 用 し た 。 こ れ ら 二 つ の プ ラ ス ミ ド ベ ク タ ー を 酵 母 AH109株 へ 導 入
し て 形 質 転 換 し 、 SD-TLAH選 択 培 地 へ 播 種 後 、 α -x-gal染 色 に 陽 性 反 応 ( 青 色 ) を 呈 す る
コロニーをスクリーニングした。その結果、最終的に2個の陽性コロニーを得た。
【0033】
こ れ ら 陽 性 コ ロ ニ ー に 含 ま れ て い た pACT2プ ラ ス ミ ド ラ イ ブ ラ リ ー ク ロ ー ン の cDNA塩 基
配 列 を 解 析 し た 結 果 、 そ の う ち の ひ と つ が マ ウ ス Arl6ip-1 cDNAの 5’ 末 端 側 約 180bpを コ
ー ド す る こ と が 明 ら か と な っ た 。 そ こ で マ ウ ス Arl6ip-1 cDNA全 長 配 列 を 検 索 す る こ と に
よ っ て 、 ORFに 相 当 す る cDNA領 域 を 同 定 し 、 RT-PCR法 に よ り Arl6ip-1 ORFを ク ロ ー ニ ン グ
10
す る た め の プ ラ イ マ ー を 設 計 し た 。 次 に 、 マ ウ ス 全 脳 由 来 一 本 鎖 cDNAを 鋳 型 と し て 、 Expa
nd High Fidelity PCR System (ロ ッ シ ュ ダ イ ア グ ノ ス テ ィ ッ ク ス 社 ) を 使 用 し て RT-PCR
反 応 を 行 っ た 。 プ ラ イ マ ー は 、 5’ 側 に EcoRI部 位 を 含 む プ ラ イ マ ー 5 ( 配 列 番 号 1 7 ) な
ら び に 5’ 側 に Xho I部 位 を 含 む プ ラ イ マ ー 6( 配 列 番 号 1 8 ) を 使 用 し た 。 PCR反 応 は 、 Ge
ne Amp PCR System 9600 (PEア プ ラ イ ド シ ス テ ム ズ 社 )を 使 用 し て 行 い 、 変 性 反 応 ; 94℃
、 15秒 、 ア ニ ー リ ン グ 反 応 ; 51℃ 、 30秒 、 合 成 反 応 ; 72℃ 、 120秒 を 1 サ イ ク ル と し て 25
サ イ ク ル の 条 件 下 で 実 施 し た 。 尚 、 PCR前 の 酵 素 活 性 化 反 応 は 、 94℃ 、 2 分 、 1サ イ ク ル 、
PCR終 了 後 の 伸 長 反 応 は 72℃ 、 7分 、 1サ イ ク ル 実 施 し た 。 得 ら れ た PCR産 物 を pBluescript
SK(-)-Tベ ク タ ー へ サ ブ ク ロ ー ニ ン グ 後 、 ABI 373Sシ ー ケ ン サ ー ( PEア プ ラ イ ド シ ス テ ム
ズ 社 製 ) を 用 い て cDNA塩 基 配 列 解 析 を 行 い 、 P C R 産 物 が マ ウ ス Arl6ip-1cDNA配 列 を 有 す
20
る こ と を 確 認 し た 。 以 下 、 こ の ベ ク タ ー を ,pBluescript SK(-)-T- Arl6ip-1ベ ク タ ー と 記
載する。
【0034】
〔実施例3〕
pcDNA3.-X ベ ク タ ー の 構 築
pcDNA3.-X ベ ク タ ー を 以 下 に 示 す 手 順 で 構 築 し た 。 尚 、 構 築 し た ベ ク タ ー は そ ぞ れ cDNA
塩基配列解析を行い、タグを付加した目的蛋白質をコードする遺伝子配列の読み枠である
ことを確認した。
a. pcDNA3.1-addicsinベ ク タ ー の 構 築
pBluescript SK(-)-T- addicsinベ ク タ ー を 鋳 型 と し て 、 Ampli Taq DNA polymerase (5
30
U/μ l ) (PEア プ ラ イ ド シ ス テ ム ズ 社 )を 使 用 し て PCR反 応 を 行 っ た 。 プ ラ イ マ ー は 、 5’ 側
に Kpn I部 位 を 含 む プ ラ イ マ ー 7( 配 列 番 号 1 9 ) な ら び に 5’ 側 に Apa I部 位 を 含 む プ ラ イ
マ ー 8( 配 列 番 号 2 0 ) を 使 用 し た 。 PCR反 応 は 、 Gene Amp PCR System 9600 (PEア プ ラ イ
ド シ ス テ ム ズ 社 )を 使 用 し て 行 い 、 変 性 反 応 ; 94℃ 、 30秒 、 ア ニ ー リ ン グ 反 応 ; 55℃ 、 30
秒 、 合 成 反 応 ; 72℃ 、 60秒 を 1 サ イ ク ル と し て 35サ イ ク ル の 条 件 下 で 実 施 し た 。 尚 、 PCR
前 の 酵 素 活 性 化 反 応 は 、 95℃ 、 9分 、 1サ イ ク ル 、 PCR終 了 後 の 伸 長 反 応 は 72℃ 、 1分 、 1サ
イ ク ル 実 施 し た 。 得 ら れ た PCR産 物 を Kpn Iと Apa Iで 二 重 消 化 後 、 pcDNA3.1/Myc-His (+)
A (Invitrogen社 ) ベ ク タ ー の Kpn I-Apa I切 断 部 位 へ 組 み 込 ん で pcDNA3.1-addicsin-myc
ベクターを得た。
【0035】
40
b. pcDNA3.1-addicsin S18Aベ ク タ ー の 構 築
pcDNA3.1-addicsinベ ク タ ー を 鋳 型 と し て Ampli Taq DNA polymerase (5U/μ l ) (PEア
プ ラ イ ド シ ス テ ム ズ 社 )を 使 用 し て PCR反 応 を 行 っ た 。 プ ラ イ マ ー は 、 18番 目 の セ リ ン 残 基
を ア ラ ニ ン 残 基 に 置 換 す る よ う に 設 計 し た プ ラ イ マ ー 9 ( 内 在 配 列 中 に Sma I部 位 を 含 む
) ( 配 列 番 号 2 1 ) な ら び に プ ラ イ マ ー 10( 配 列 番 号 2 2 ) を 使 用 し た 。 PCR反 応 は 、 Gen
e Amp PCR System 9600 (PEア プ ラ イ ド シ ス テ ム ズ 社 )を 使 用 し て 行 い 、 変 性 反 応 ; 94℃ 、
30秒 、 ア ニ ー リ ン グ 反 応 ; 50℃ 、 30秒 、 合 成 反 応 ; 72℃ 、 60秒 を 1 サ イ ク ル と し て 35サ
イ ク ル の 条 件 下 で 実 施 し た 。 尚 、 PCR前 の 酵 素 活 性 化 反 応 は 、 95℃ 、 12分 、 1サ イ ク ル 、 PC
R終 了 後 の 伸 長 反 応 は 72℃ 、 1分 、 1サ イ ク ル 実 施 し た 。 得 ら れ た PCR 産 物 を Sma Iと Nhe I
で 二 重 消 化 し た 。 ま た 、 pcDNA3.1-addicsin-myc ベ ク タ ー 側 も Sma I-Nhe Iで 二 重 消 化 を
50
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行 い 、 18番 目 の セ リ ン 残 基 を 内 在 す る Sma I-Nhe I断 片 を 除 去 し た 。 残 っ た フ ラ グ メ ン ト
と 上 記 Sma I-Nhe Iで 二 重 消 化 し た PCR 産 物 を 連 結 し て pcDNA3.1-addicsin S18A-myc ベ ク
ターを得た。
【0036】
c. pcDNA3.1-Arl6ip-1ベ ク タ ー の 構 築
pBluescript SK(-)-T- Arl6ip-1ベ ク タ ー を EcoRIと XhoIで 二 重 消 化 し て 得 ら れ た 挿 入 断
片 を pcDNA3.1/FLAG-His (+) A (Invitrogen社 製 品 を 独 自 に 一 部 改 変 ) ベ ク タ ー の EcoRI-X
hoI切 断 部 位 に 組 み 込 ん で pcDNA3.1-Arl6ip-1-FLAGベ ク タ ー を 得 た 。
【0037】
以上の実施例で使用したプライマーを以下にまとめて示す。
10
プライマー配列表
プ ラ イ マ ー 1 ( 配 列 番 号 1 3 ) 5'-AGCAAGTTCAGCCTGGTTAAGT-3'
プ ラ イ マ ー 2 ( 配 列 番 号 1 4 ) 5'-AACAGCAAAGGAAGAGTGATGC-3'
プ ラ イ マ ー 3 ( 配 列 番 号 1 5 ) 5'-TTCAGCCTGGTTAAGTCCAAGC-3'
プ ラ イ マ ー 4 ( 配 列 番 号 1 6 ) 5'-AGTGATGCCGAACACAAAGACC-3'
プ ラ イ マ ー 5 ( 配 列 番 号 1 7 ) 5'- AAGAATTCATGGCGGAGGGGGATAACCGCA-3'
プ ラ イ マ ー 6 ( 配 列 番 号 1 8 ) 5'- TTCTCGAGCTCATTTTTCTTTTCTTTTTGC-3'
プ ラ イ マ ー 7 ( 配 列 番 号 1 9 ) 5'- GCGGTACCCTCGCGAAGCAGAGGAACAT-3'
プ ラ イ マ ー 8 ( 配 列 番 号 2 0 ) 5'- AAGGGCCCCTCCCTCGCTTTGCTGATGT-3'
プ ラ イ マ ー 9 ( 配 列 番 号 2 1 ) 5'- CTTCCCGGGCGCTGATCGTTTC-3'
20
プ ラ イ マ ー 1 0 ( 配 列 番 号 ( 2 2 ) 5'- AACAGCAAAGGAAGAGTGATGC -3'
【0038】
〔実施例4〕
Arl6ip-1と addicsinの 蛋 白 質 相 互 作 用 の 解 析
a.解析試料の作製
ま ず 、 NG108-15細 胞 を 直 径 9 cmシ ャ ー レ ( グ ラ イ ナ ー 社 ) に 播 き 、 10% 牛 胎 児 血 清 (H
yclone社 )を 含 む Dulbeco’ s Modified Eagle’ s Medium (Sigma社 ) (以 下 、 10% FCS DMEM
)中 、 3 7℃ 、 湿 度 100% 、 5 % CO2 を 含 む 空 気 下 の CO2 イ ン キ ュ ベ ー タ ー 内 で 90% 細 胞 密 度
に 達 す る ま で 培 養 を 行 っ た 。 次 に 、 培 地 を 新 し い 10% FCS DMEMに 交 換 後 、 リ ポ フ ェ ク ト ア
ミ ン 2000試 薬 ( Invitrogen社 ) を 用 い 、 pcDNA3.1-addicsin-myc ベ ク タ ー 6μ gな ら び に p
30
cDNA3.1-Arl6ip-1-FLAGベ ク タ ー 6μ gを 一 緒 に ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し て 形 質 転 換 し た 。
尚 、 ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 操 作 は 、 リ ポ フ ェ ク ト ア ミ ン 2000試 薬 に 添 付 さ れ て い た 取 扱 説
明 書 に 準 拠 し た 。 24時 間 後 に 培 地 を 完 全 に 除 去 し 、 PBS溶 液 で 3 回 洗 浄 後 、 細 胞 を 1 mlの R
IPA溶 液 (10 mM Tris Hcl, 5 mM EDTA, 150 mM NaCl, 1% DOC, 1% TritonX-100, 0.1%SDS
, pH7.4) に 溶 解 さ せ た 。 こ の 溶 解 液 を 以 下 に 記 載 す る 実 験 に 使 用 し た 。
【0039】
b. 免 疫 沈 降 法 に よ る 解 析
上 記 溶 解 液 と プ ロ テ イ ン G セ フ ァ ロ ー ス 50% 懸 濁 液 ( PIERCE社 ) 50μ lを 混 合 後 、 4 ℃
で1時間反応させて非特異的吸着因子を除去した。さらに、この試料を遠心分離して上清
を 回 収 し た 。 こ の 上 清 に 、 抗 c-myc抗 体 ( ロ ッ シ ュ ダ イ ア グ ノ ス テ ィ ッ ク ス 社 ) あ る い は
40
抗 FLAG-M2抗 体 ( Sigma社 ) を 添 加 し 、 さ ら に 再 び プ ロ テ イ ン G セ フ ァ ロ ー ス 50μ lを 加 え
て、4℃で一晩抗体反応を行わせた。抗体が結合したプロテインGセファロースを遠心分
離 操 作 に よ り 回 収 後 、 1 mlの RIPA溶 液 で 5 回 洗 浄 を 行 っ た 。 洗 浄 を 終 え た プ ロ テ イ ン G セ
フ ァ ロ ー ス は 、 2 x SDS試 料 溶 液 ( 125 mM Tris HCl, 20% Glycerol, 4% SDS, pH6.8) 20
μ lを 加 え た 後 に 加 熱 変 性 処 理 を 施 し 、 ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 に 供 し た 。 尚 、 1 次 抗 体
は 1,000倍 希 釈 し た 抗 c-myc抗 体 ( ロ ッ シ ュ ダ イ ア グ ノ ス テ ィ ッ ク ス 社 ) あ る い は 抗 FLAG-M
2抗 体 ( Sigma社 ) を 、 2 次 抗 体 に は 、 2,000倍 希 釈 し た ウ サ ギ 抗 マ ウ ス IgG-HRP抗 体 (Chem
icon社 )を 使 用 し た 。 シ グ ナ ル の 検 出 に は ECL system (Amersham Bioscience 社 )を 使 用 し
た 。 、 そ の 結 果 、 抗 FLAG-M2抗 体 (Sigma社 )を 用 い た 場 合 に は addcisn-myc蛋 白 質 が 、 抗 c-m
yc抗 体 (Invitrogen社 )を 用 い た 場 合 に は Arl6ip-1-FLAG蛋 白 質 が そ れ ぞ れ 免 疫 沈 降 さ れ て
50
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き た ( 図 2 A) 。
【0040】
ま た 、 上 述 し た 試 料 を グ ル セ ロ ー ル グ ラ ヂ エ ン ト 法 に よ っ て 解 析 し た と こ ろ 、 Arl6ip-1
-FLAG蛋 白 質 な ら び に addcisn-myc蛋 白 質 は 共 に 同 一 溶 出 パ タ ー ン を 示 し た (図 2 B )。 以 上
、 両 実 験 結 果 は 、 少 な く と も NG108-15細 胞 内 に 於 い て は 、 Arl6ip-1蛋 白 質 と addicsin蛋 白
質は蛋白質相互作用を示すことを示唆している。
【0041】
c. グ ル セ ロ ー ル グ ラ ヂ エ ン ト 法 に よ る 解 析
上 記 溶 解 液 を 10-40% グ リ セ ロ ー ル 勾 配 溶 液 に 重 層 後 、 13, 000 x g で 24時 間 の 密 度 勾
配 遠 心 操 作 を 行 っ た 。 遠 心 終 了 後 、 チ ュ ー ブ の 底 に 細 か な 穴 を 開 け て 試 料 を 200 ulず つ 分
10
画 し 、 ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 に 供 し た 。 試 料 は 、 等 量 の 2 x SDS試 料 溶 液 ( 125 mM Tris
HCl, 20% Glycerol, 4% SDS, pH6.8) と 混 合 後 に 加 熱 変 性 処 理 を 施 し た 。 ま た 、 1 次 抗
体 は 1,000倍 希 釈 し た 抗 c-myc抗 体 ( ロ ッ シ ュ ダ イ ア グ ノ ス テ ィ ッ ク ス 社 ) あ る い は 抗 FLAG
-M2抗 体 ( Sigma社 ) を 、 2 次 抗 体 に は 、 2,000倍 希 釈 し た ウ サ ギ 抗 マ ウ ス IgG-HRP抗 体 (Ch
emicon社 )を 使 用 し た 。 ま た 、 シ グ ナ ル の 検 出 に は ECL system (Amersham Bioscience 社 )
を使用した。
そ の 結 果 、 Arl6ip-1-FLAG蛋 白 質 な ら び に addcisn-myc蛋 白 質 は 共 に 同 一 溶 出 パ タ ー ン を
示 し た (図 2 B )。
以 上 の 両 実 験 結 果 は 、 少 な く と も NG108-15細 胞 内 に 於 い て は 、 Arl6ip-1蛋 白 質 と addics
in蛋 白 質 は 蛋 白 質 相 互 作 用 を 示 す こ と を 示 唆 す る 。
20
【0042】
〔実施例5〕
C6BU-1/pSw-X 細 胞 の 作 製
a . C6BU-1/pSw-X 安 定 株 作 製 の た め の 導 入 ベ ク タ ー の 作 製
発 現 誘 導 シ ス テ ム は 、 GeneSwitch System ( Invitrogen社 ) を 使 用 し た 。 本 シ ス テ ム の
発 現 誘 導 原 理 は 下 記 の と お り で あ る 。 ( 1 ) pSwitchベ ク タ ー な ら び に pGene/V5-His/-X
(X 解 析 目 的 因 子 )ベ ク タ ー を 哺 乳 類 動 物 細 胞 に コ ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン す る と 、 pSwitch
ベ ク タ ー か ら GAL4-DNA binding domain / human progesterone receptor (hPR) / p65 ac
tivation domainか ら 構 成 さ れ る GeneSwitch調 節 蛋 白 質 が 発 現 さ れ る 。 ( 2 ) ヒ ト プ ロ ゲ
ス テ ロ ン 受 容 体 の 人 工 リ ガ ン ド で あ る ミ フ ェ プ リ ス ト ン が 上 記 hPRド メ イ ン に 結 合 す る と
30
、 そ の 立 体 構 造 が 変 化 し て 2 量 体 を 形 成 し 、 pGene/V5-His/-X 中 に 存 在 す る GAL4 UASと 結
合 で き る よ う に な る た め 、 目 的 因 子 X の 転 写 が 誘 導 さ れ る 。 ( 3 ) pSwitchベ ク タ ー に も
GAL4 UASが 存 在 す る た め 、 GeneSwitch調 節 蛋 白 質 自 身 の 発 現 も 同 時 に 誘 導 さ れ る 結 果 と な
り、目的因子Xの転写がより一層促進される。
従 っ て 、 C6BU-1/pSw-X 安 定 株 を 作 製 す る た め に は 、 pSwitchベ ク タ ー な ら び に pGene/V5-H
is/-X (X 解 析 目 的 因 子 ) ベ ク タ ー の 双 方 を 安 定 的 に 染 色 体 に 組 み 込 ま せ た 細 胞 株 を 選 別
する作業が求められる。以下に、その作業の概略を示す。
【0043】
i ) pGene/V5-His/Xベ ク タ ー の 調 製
pGene/V5-His/A ベ ク タ ー (0.65μ g/μ l)( Invitrogen社 ) 5μ l に 10× 緩 衝 液 L( 宝 酒
40
造 社 ) 3 μ l、 Kpn I (10 U/μ l) 1μ l、 Apa I (15 U/μ l) 1μ l、 滅 菌 水 20μ l を 加 え て
総 量 を 30μ lに し 、 37℃ で 1時 間 反 応 さ せ た 。 Kpn I-Apa I消 化 断 片 (約 4.6 kbp)を 1 % ア
ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 に よ り 分 離 精 製 後 、 Ultrafree-MC 0.65μ m フ ィ ル タ ー カ ラ ム ( ミ
リ ポ ア 社 ) を 用 い て ア ガ ロ ー ス ゲ ル よ り 回 収 し た ( 以 下 、 pGene回 収 溶 液 と 記 載 ) 。 次 に
、 pcDNA3.1-Xベ ク タ ー 3μ gに 相 当 す る 溶 液 に 10× 緩 衝 液 L( 宝 酒 造 社 製 ) 3 μ l、 Kpn I (
10 U/μ l) 1μ l、 Apa I (12 U/μ l) 1μ l、 至 適 量 の 滅 菌 水 を 加 え 、 最 終 的 に 総 量 が 30μ l
に な る よ う に し 、 37℃ で 1時 間 反 応 さ せ た 。 各 々 の 反 応 生 成 物 は 1 % ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気
泳 動 に よ り 分 離 精 製 後 、 各 々 の Kpn I-Apa I挿 入 断 片 ( 約 600 bp前 後 ) を Ultrafree-MC 0.
65μ m フ ィ ル タ ー カ ラ ム ( ミ リ ポ ア 社 ) を 用 い て ア ガ ロ ー ス ゲ ル よ り 回 収 し た ( 以 下 、 X
断 片 回 収 溶 液 と 記 載 ) 。 1/10量 の pGene回 収 溶 液 と 、 全 量 の 各 々 の X断 片 回 収 溶 液 全 量 を 混
50
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合後、フェノールクロロホルム抽出およびエタノール沈殿による精製濃縮を行った。さら
に 、 滅 菌 蒸 留 水 5μ l を 加 え て よ く 撹 拌 後 、 DNA Ligation Kit Ver.2( 宝 酒 造 社 ) を 用 い
て 、 pGene/V5-His/Aベ ク タ ー の Kpn Iお よ び Apa I部 位 に 、 各 々 の 遺 伝 子 Xの Kpn I-Apa I挿
入 断 片 を 連 結 す る こ と に よ り pGene/V5-His/Xベ ク タ ー を 得 た 。 最 終 的 に 得 ら れ た pGene/V5
-His/Xベ ク タ ー は 、 目 的 蛋 白 質 X の C 末 側 に V5-Hisタ グ が 付 加 し た キ メ ラ 蛋 白 質 を コ ー ド
す る よ う な 遺 伝 子 配 列 の 読 み 枠 で あ る こ と を cDNA塩 基 配 列 解 析 に よ り 確 認 し た 。
【0044】
i i ) 直 鎖 状 pSwitchお よ び pGene/V5-His/Xベ ク タ ー の 作 製
pSwitchベ ク タ ー ( Invitrogen社 ) お よ び pGene/V5-His/X ベ ク タ ー ( Invitrogen社 ) そ
れ ぞ れ 30μ g分 に 相 当 す る 溶 液 に 10× 緩 衝 液 K (宝 酒 造 社 ) 5μ l、 BST1107I (10 U/μ l) (
10
宝 酒 造 社 ) 3μ l、 至 適 量 の 滅 菌 水 を 加 え 、 最 終 的 に 総 量 が 50μ lに な る よ う に し 、 37℃ で 1
1時 間 反 応 さ せ た 。 BST1107I消 化 断 片 は 、 1 % ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 に よ り 分 離 精 製 後
、 Ultrafree-MC 0.65μ m フ ィ ル タ ー カ ラ ム ( ミ リ ポ ア 社 ) を 用 い て ア ガ ロ ー ス ゲ ル よ り
回 収 し た 。 フ ェ ノ ー ル ク ロ ロ ホ ル ム 抽 出 お よ び エ タ ノ ー ル 沈 殿 に よ る 精 製 濃 縮 後 、 20μ l
の 滅 菌 蒸 留 水 に 溶 解 さ せ て 直 鎖 状 pSwitchお よ び pGene/V5-His/Xベ ク タ ー 溶 液 を 得 た 。
【0045】
b . C6BU-1/pSW安 定 株 の 作 製
ま ず 、 GeneSwitch調 節 蛋 白 質 を コ ー ド す る 遺 伝 子 pSwitchベ ク タ ー を 染 色 体 に 組 み 込 ん
だ C6BU-1安 定 細 胞 株 ( C6BU-1/pSwと 記 載 ) を 作 製 し た 。 そ の 概 略 は 次 の と お り で あ る 。 ま
2
ず 、 ラ ッ ト C6BU-1細 胞 を 25 cm フ ラ ス コ ( グ ラ イ ナ ー 社 ) に 播 き 、 10% 牛 胎 児 血 清 (Hyc
20
lone社 )を 含 む Dulbeco’ s Modified Eagle’ s Medium (Sigma社 ) (以 下 、 10% FCS DMEM)
中 、 3 7℃ 、 湿 度 100% 、 5 % CO2 を 含 む 空 気 下 の CO2 イ ン キ ュ ベ ー タ ー 内 で 90% 細 胞 密 度
に 達 す る ま で 培 養 を 行 っ た 。 次 に 、 培 地 を 5 mlの 新 し い 10% FCS DMEMに 交 換 後 、 リ ポ フ ェ
ク ト ア ミ ン 2000試 薬 ( Invitrogen社 ) を 用 い 、 上 述 し た 直 鎖 状 pSwitchベ ク タ ー (Invitro
gen社 ) 12μ gを ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し て 形 質 転 換 し た 。 尚 、 ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 操 作
は 、 リ ポ フ ェ ク ト ア ミ ン 2000試 薬 に 添 付 さ れ て い た 取 扱 説 明 書 に 準 拠 し た 。 48時 間 後 に 培
地 を ハ イ グ ロ マ イ シ ン B (Invitrogen社 )を 最 終 濃 度 で 200 μ g/ml含 む 10% FCS DMEMに 交 換
し 、 さ ら に 19日 間 に わ た っ て 培 養 を 続 け 、 ハ イ グ ロ マ イ シ ン B 抵 抗 性 C6BU-1細 胞 株 、 す な
わ ち pSwitchベ ク タ ー が 染 色 体 に 組 み 込 ま れ た C6BU-1細 胞 株 を 作 製 し た 。 こ れ ら ハ イ グ ロ
マ イ シ ン B 抵 抗 性 C6BU-1細 胞 株 を 、 1 穴 あ た り 1 個 以 下 の 細 胞 数 と な る よ う に 、 200 μ g/
30
mlハ イ グ ロ マ イ シ ン B を 含 む 10% FCS DMEMで 無 限 希 釈 し 、 96穴 プ レ ー ト ( フ ァ ル コ ン 社
) に 継 代 し た 。 そ の 後 さ ら に 25日 間 に わ た っ て 培 養 を 続 け 、 増 殖 性 を 示 す ハ イ グ ロ マ イ シ
ン B 抵 抗 性 C6BU-1細 胞 株 を 選 択 し 、 42個 の 候 補 安 定 細 胞 株 を 得 た 。
【0046】
次に、至適安定細胞株を取得する目的で、各々の候補安定細胞株におけるミフェプリス
ト ン 依 存 的 な GeneSwitch調 節 蛋 白 質 の 発 現 誘 導 応 答 性 を 、 レ ポ ー タ ー 遺 伝 子 lacZの 転 写 産
物 で あ る β -ガ ラ ク ト シ ダ ー ゼ ( β -Gal) 酵 素 活 性 を 指 標 に 評 価 し た ( β -Galア ッ セ イ 法
) 。 ま ず 、 24穴 プ レ ー ト ( フ ァ ル コ ン 社 ) に 、 こ れ ら 候 補 安 定 細 胞 株 を 各 々 個 別 に 継 代 し
、 90% 細 胞 密 度 に 達 す る ま で 培 養 し た 。 次 に 、 リ ポ フ ェ ク ト ア ミ ン 2000試 薬 ( Invitorgen
社 ) を 用 い て pGene/V5-His/lacZベ ク タ ー ( Invitrogen社 ) 1.0μ gを 各 候 補 安 定 細 胞 株 に
40
ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し 、 24時 間 後 に 最 終 濃 度 が 10 nMと な る よ う に ミ フ ェ プ リ ス ト ン を
添 加 し た 。 48時 間 後 に β -Galア ッ セ イ キ ッ ト ( Invitrogen社 ) を 用 い 、 ミ フ ェ プ リ ス ト ン
の 曝 露 に よ っ て 一 過 性 に 発 現 が 誘 導 さ れ た β -Galの 酵 素 活 性 を 定 量 し た 。 尚 、 β -Galア ッ
セ イ の 操 作 は 、 キ ッ ト に 添 付 さ れ た 取 扱 説 明 書 に 準 拠 し た 。 ま た 、 β -Galの 基 質 に は orth
o-nitrophenyl-β -D-galactopyranoside (以 下 、 ONPG)( Invitrogen社 ) を 使 用 し 、 β -Ga
lが ONPGを 加 水 分 解 す る こ と に よ り 産 生 す る 反 応 生 成 物 量 を 420 nmに お け る 吸 光 度 を 指 標
に し て 定 量 化 し 、 ミ フ ェ プ リ ス ト ン に よ る GeneSwitch調 節 蛋 白 質 の 発 現 誘 導 能 を 評 価 し た
。 最 終 的 に 、 # 39株 の み が 極 め て 高 い ミ フ ェ プ リ ス ト ン 依 存 的 な GeneSwitch調 節 蛋 白 質 発
現 誘 導 応 答 性 を 示 し た の で 、 こ の 株 を C6BU-1/pSwと 命 名 し 、 以 後 の 使 用 に 供 し た 。
【0047】
50
(15)
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c . C6BU-1/pSw-X 安 定 株 の 作 製
目 的 蛋 白 質 X( addicsin, addicsin S18A,Arl6ip-1) を コ ー ド す る cDNAを 染 色 体 に 組 み
込 ん だ C6BU-1/pSw安 定 細 胞 株 ( C6BU-1/pSw-X と 記 載 ) を 作 製 し た 。 そ の 概 略 は 次 の と お
り で あ る 。 ま ず 、 C6BU-1/pSw細 胞 を 直 径 9cmプ ラ ス チ ッ ク シ ャ ー レ ( グ ラ イ ナ ー 社 ) に 播
き 、 200 μ g/ml ハ イ グ ロ マ イ シ ン B を 含 む 10% FCS DMEM中 、 3 7℃ 、 湿 度 100% 、 5 % C
O2 を 含 む 空 気 下 の CO2 イ ン キ ュ ベ ー タ ー 内 で 90% 細 胞 密 度 に 達 す る ま で 培 養 を 行 っ た 。 次
に 、 培 地 を 10 mlの 新 し い 200 μ g/ml ハ イ グ ロ マ イ シ ン B を 含 む 10% FCS DMEMに 交 換 後 、
リ ポ フ ェ ク ト ア ミ ン 2000試 薬 ( Invitrogen社 ) を 用 い 、 上 述 し た 直 鎖 状 pGene/V5-His/X(
pGene/V5-His/addicsin, pGene/V5-His/addicsin S18Aも し く は pGene/V5-His/Arl6ip-1)
ベ ク タ ー 5μ gを ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し て 形 質 転 換 し た 。 尚 、 ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 操
10
作 は 、 リ ポ フ ェ ク ト ア ミ ン 2000試 薬 に 添 付 さ れ て い た 取 扱 説 明 書 に 準 拠 し た 。 48時 間 後 に
培 地 を ハ イ グ ロ マ イ シ ン B (Invitrogen社 )な ら び に ゼ オ シ ン (Invitrogen社 )を 各 々 最 終 濃
度 で 200 μ g/mlな ら び に 250 μ g/ml含 む 10% FCS DMEMに 交 換 し 、 さ ら に 19日 間 に わ た っ て
培 養 を 続 け 、 ゼ オ シ ン 抵 抗 性 C6BU-1/pSw細 胞 株 、 す な わ ち pGene-Xベ ク タ ー が 染 色 体 に 組
み 込 ま れ た C6BU-1/pSw細 胞 株 を 作 製 し た 。
【0048】
こ れ ら ゼ オ シ ン 抵 抗 性 C6BU-1細 胞 株 を 、 1 穴 あ た り 1 個 以 下 の 細 胞 数 と な る よ う に 、 20
0 μ g/mlな ら び に 250 μ g/ml含 む 10% FCS DMEMで 無 限 希 釈 し 、 96穴 プ レ ー ト ( フ ァ ル コ
ン社)に継代した。その後さらに約1ヶ月間にわたって培養を続け、増殖性を示すゼオシ
ン 抵 抗 性 C6BU-1/pSW細 胞 株 を 選 択 し て 候 補 安 定 細 胞 株 を 得 た 。 pGene/V5-His/addicsin、 p
20
Gene/V5-His/addicsin S18A、 pGene/V5-His/Arl6ip-1ベ ク タ ー を そ れ ぞ れ C6BU-1/pSW細 胞
へ ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し て ゼ オ シ ン 抵 抗 性 C6BU-1/pSw安 定 株 を 作 製 し た と こ ろ 、 そ れ ぞ
れ 13、 23、 18株 の 候 補 安 定 細 胞 株 が 得 ら れ た 。
【0049】
次に、至適安定細胞株を取得する目的で、目的蛋白質のC末側に付加させたV5タグを
特 異 的 に 認 識 す る 抗 V5-HRPモ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ( Invitrogen社 ) を 用 い て 、 各 々 の 候 補 安
定 細 胞 株 に お け る ミ フ ェ プ リ ス ト ン 依 存 的 な 目 的 蛋 白 質 X の 発 現 誘 導 を Western Blot法 に
よ り 評 価 し た 。 ま ず 、 24穴 プ レ ー ト ( フ ァ ル コ ン 社 ) に 、 候 補 安 定 細 胞 株 を 200 μ g/ml
ハ イ グ ロ マ イ シ ン B お よ び 250 μ g/mlゼ オ シ ン を 含 む 10% FCS DMEM中 で 各 々 継 代 し 、 90%
細 胞 密 度 に 達 す る ま で 培 養 後 、 最 終 濃 度 が 10 nMと な る よ う に ミ フ ェ プ リ ス ト ン を 添 加 し
30
た 。 24時 間 後 に 培 地 を 完 全 に 除 去 し 、 1 穴 あ た り 500 μ lの PBS溶 液 で 3 回 の 洗 浄 を 行 っ た
。 次 に 、 1 穴 あ た り 50 μ l の 2 x SDS試 料 溶 液 ( 125 mM Tris HCl, 20% Glycerol, 4% SD
S, pH6.8) を 加 え て 細 胞 を 完 全 に 溶 解 さ せ 、 16G 注 射 針 を 装 着 し た シ リ ン ジ で 5回 以 上 懸
濁 さ せ て ゲ ノ ム DNAを 物 理 的 に 断 片 化 し た 。 こ の よ う に し て 粘 度 を 低 下 さ せ た 細 胞 溶 解 溶
液 を Western Blot解 析 用 試 料 と し て 用 い た 。 試 料 は 、 100℃ で 5分 間 の 加 熱 処 理 後 、 1 試 料
当 た り 15 μ lを ゲ ル に ロ ー ド し 、 12% SDS-PAGEゲ ル に て 泳 動 を 行 っ た 。
【0050】
泳 動 を 終 え た ゲ ル は 、 5∼ 10分 間 、 転 写 溶 液 ( 25 mM Tris, 190 mM Glycine, 20% metha
nol) 中 で 平 衡 化 後 、 ミ ニ プ ロ テ ィ ア ン IIエ レ ク ト ロ ブ ロ ッ ト 装 置 (BioRad社 )に 装 着 し た
。 100 Vで 60分 間 PVDF膜 ( BioRad社 ) に 転 写 後 、 5% ス キ ム ミ ル ク を 含 む PBS-0.1% Tween 2
40
0 (TBS-T) 溶 液 ( ブ ロ ッ キ ン グ 溶 液 ) に PVDF膜 を 浸 し 、 4 ℃ で 一 晩 振 と う す る こ と に よ り
ブ ロ ッ キ ン グ を 行 っ た 。 次 に 、 ブ ロ ッ キ ン グ 溶 液 で 5,000倍 希 釈 し た 抗 V5-HRPモ ノ ク ロ ー
ナ ル 抗 体 と PVDF膜 を 室 温 で 2 時 間 反 応 さ せ た 後 、 大 過 剰 量 の TBS-T溶 液 を 用 い て 10分 間 ず
つ 3 回 の 洗 浄 を 行 っ た 。 シ グ ナ ル の 検 出 は ECL system (Amersham Bioscience 社 )を 用 い
て 行 っ た 。 す な わ ち 、 PVDF膜 と 検 出 試 薬 ( 検 出 試 薬 Aと 検 出 試 薬 Bを 等 量 混 合 し た 溶 液 ) を
室 温 で 1 分 間 反 応 さ せ た 後 、 X線 フ ィ ル ム に 露 光 し 、 そ の フ ィ ル ム を 現 像 す る こ と に よ っ
て 目 的 蛋 白 質 の シ グ ナ ル を 得 た 。 そ の 結 果 、 C6BU-1/pSW-Arl6ip-1候 補 安 定 株 中 で は # 16
株 、 C6BU-1/pSW-addicsin候 補 安 定 株 中 で は # 4株 、 C6BU-1/pSW-addicsin S18A候 補 安 定 株
中 で は # 11株 が 、 そ れ ぞ れ 極 め て 高 い ミ フ ェ プ リ ス ト ン 依 存 的 な 目 的 蛋 白 質 の 発 現 誘 導 応
答 性 を 示 し た 。 そ こ で 、 こ れ ら の 安 定 株 を C6BU-1/pSW-Arl6ip-1 #16、 C6BU-1/pSW-addics
50
(16)
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in #4、 C6BU-1/pSW-addicsin S18A #11と 命 名 し 、 解 析 に 使 用 し た 。 こ れ ら 安 定 株 は 、 C6B
U-1/pSw-Arl6ip-1( FERM AP-20260) 、 C6BU-1/pSw-addicsin S18A( FERM AP-20259) 及 び
C6BU-1/pSw-addicsin( FERM AP-20258) と し て 、 そ れ ぞ れ 独 立 行 政 法 人 産 業 技 術 総 合 研 究
所 特 許 生 物 寄 託 セ ン タ ー に 平 成 16年 10月 19日 に 寄 託 さ れ て い る 。
【0051】
d. C6BU-1/pSW-X 細 胞 特 性 の 解 析
i ) 内 在 性 addicsinな ら び に β -actin量 の 解 析
上 記 e で 調 製 し た 3 種 類 の 安 定 株 ( C6BU-1/pSW-Arl6ip-1 #16、 C6BU-1/pSW-addicsin #
4、 S18AC6BU-1/pSW-addicsin S18A #11) を 、 そ れ ぞ れ 10nmミ フ ェ プ リ ス ト ン を 含 む 培 地
中 に 2 4 時 間 暴 露 し て 、 Arl6ip-1、 addicsin、 addicsinS18Aの 各 タ ン パ ク 質 を 過 剰 発 現 さ
10
せ 、 ミ フ ェ プ リ ス ト ン 依 存 的 に 目 的 蛋 白 質 X( Arl6ip-1、 addicsin、 addicsinS18A) を 発
現 誘 導 し た 場 合 の 内 在 性 の addicsinな ら び に β -actin量 の 変 動 の 有 無 を Western Blot 法
により検討した。
Western Blot法 は 、 記 載 済 み の 内 容 を 一 部 改 変 し て 実 施 し た 。 す な わ ち 、 addicsinの 発
現 量 解 析 に は 、 ウ サ ギ 抗 addicsinポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ( MJ. Ikemoto et. al., NeuroRepo
rt, 16 2079-2084, 2002) ( 2,000倍 希 釈 ) を 1 次 抗 体 と し て 使 用 し 、 ヤ ギ 抗 ウ サ ギ IgG-H
RP抗 体 (Cappel社 ) (20,000倍 希 釈 )を 2 次 抗 体 と し て 使 用 し た 。 ま た 、 β -actinの 発 現 量
解 析 に は 、 マ ウ ス 抗 β -actinモ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ( Chemicon社 ) ( 200倍 希 釈 ) を 1 次 抗
体 と し て 使 用 し 、 ウ サ ギ 抗 マ ウ ス IgG-HRP抗 体 (Chemicon社 ) (2,000倍 希 釈 )を 2 次 抗 体 と
して使用した。尚、抗体反応は、いずれの抗体を用いた場合でも、すべて室温で2時間反
20
応 さ せ た 。 ま た 、 転 写 済 み の PVDF膜 は 、 1 次 抗 体 な ら び に 2 次 抗 体 反 応 終 了 後 に 大 過 剰 量
の TBS-T溶 液 を 用 い て 10分 間 ず つ 3 回 の 洗 浄 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 C6BU-1/pSW-Arl6ip-1 #
16、 C6BU-1/pSW-addicsin #4、 S18AC6BU-1/pSW-addicsin S18A #11の い ず れ の 安 定 発 現 株
に お い て も 、 10 nMミ フ ェ プ リ ス ト ン の 曝 露 に よ る 内 在 性 因 子 の 変 動 量 の 変 化 は 認 め ら れ
な か っ た ( 図 3 A) 。
【0052】
ii)ミフェプリストン曝露時における細胞形態の観察
10 nMミ フ ェ プ リ ス ト ン に て 曝 露 す る 前 後 の C6Bu-1/pSw-X細 胞 の 形 態 を 比 較 し た 。 す な
わ ち 、 曝 露 前 、 お よ び 曝 露 24時 間 後 に そ れ ぞ れ 位 相 差 顕 微 鏡 を 用 い て C6Bu-1/pSw-X細 胞 像
を 写 真 撮 影 し て 比 較 し た 。 そ の 結 果 、 C6BU-1/pSW-Arl6ip-1 #16、 C6BU-1/pSW-addicsin #
30
4、 S18AC6BU-1/pSW-addicsin S18A #11い ず れ の 安 定 株 に お い て も 、 10 nMミ フ ェ プ リ ス ト
ンの曝露により、細胞が球形化するのが観察されたが、核凝集などのアポトーシス様の所
見 は 見 出 さ れ な か っ た ( 図 3 B) 。
【0053】
iii) ミフェプリストン曝露による細胞毒性の評価
C6Bu-1/pSw-X細 胞 を 10 nMミ フ ェ プ リ ス ト ン に て 曝 露 し た 場 合 の 細 胞 毒 性 を LDH-Cytotox
ic Test (和 光 純 薬 )を 用 い て 評 価 し た 。 実 験 操 作 は キ ッ ト 添 付 の 取 扱 説 明 書 に 準 拠 し た 。
そ の 結 果 、 C6BU-1/pSW-Arl6ip-1 #16、 C6BU-1/pSW-addicsin #4、 S18AC6BU-1/pSW-addics
in S18A #11の い ず れ の 安 定 株 に お い て も 、 細 胞 外 LDH量 は 、 10 nMミ フ ェ プ リ ス ト ン 曝 露
群 と ミ フ ェ プ リ ス ト ン 未 曝 露 群 に お い て 有 為 な 差 を 認 め な か っ た ( 図 3C) 。 従 っ て 、 10 n
40
Mミ フ ェ プ リ ス ト ン 曝 露 に よ る 細 胞 毒 性 は 無 い と 考 え ら れ た 。
以 上 の 結 果 は 、 10 nMミ フ ェ プ リ ス ト ン 存 在 下 の C6BU-1/pSw-X細 胞 で 観 察 さ れ る 細 胞 の
部 分 的 球 形 化 現 象 は 、 目 的 蛋 白 質 Xの 機 能 に 由 来 す る も の で あ り 、 C6BU-1/pSw-X細 胞 機 能
は正常であることを示す。
【0054】
〔実施例6〕
細胞外グルタミン酸取り込み能の測定
C6Bu-1/pSw-X細 胞 を 1x 10
5
個 /m l の 濃 度 に な る よ う に 200 μ g/ml ハ イ グ ロ マ イ シ ン
B お よ び 250 μ g/mlゼ オ シ ン を 含 む 10% FCS DMEMに て 希 釈 調 製 し た 。 こ の 希 釈 培 地 を 24穴
PRIMARIAプ レ ー ト ( フ ァ ル コ ン 社 ) に 1穴 当 た り 500μ lず つ 播 き 、 3 7℃ 、 湿 度 100% 、 5
50
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% CO2 を 含 む 空 気 下 の CO2 イ ン キ ュ ベ ー タ ー 内 で 7 0% 細 胞 密 度 に 達 す る ま で 培 養 後 、 最 終
濃 度 が 10 nMと な る よ う に ミ フ ェ プ リ ス ト ン を 添 加 し た 。 24時 間 後 に 培 地 を 完 全 に 除 去 し
、 10% FCS DMEM あ る い は 各 種 薬 物 を 含 む 10% FCS DMEMを 1 穴 あ た り 1000μ lず つ 分 注 し た
。 37℃ で 30分 間 の 培 養 後 、 以 下 の グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 の 測 定 実 験 に 供 し た 。
【0055】
C6BU-1細 胞 を 100 nM PMAを 含 む 培 養 液 中 に 37℃ で 30分 間 曝 露 す る と 、 PKCの 活 性 化 に よ
っ て EAAC1グ ル タ ミ ン 酸 輸 送 体 の 細 胞 膜 表 面 上 の 発 現 量 が 増 加 し 、 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取
り 込 み 能 が 2 ?3 倍 に 増 加 す る こ と が 知 ら れ て い る 。 そ こ で 、 C6BU-1/pSw-X細 胞 を 37℃
で 30分 間 100 nM PMAで 処 理 し た と こ ろ 、 い ず れ の 細 胞 群 に お い て も 、 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸
取 り 込 み 能 は 対 照 群 ( 100 nM PMA未 処 理 群 ) と 比 べ て 2 倍 以 上 に 増 加 し た ( 図 4 A a, 4B
10
a) 。
ま た 、 こ の 効 果 は 、 PMAの 非 活 性 化 ア ナ ロ グ で あ る 100 nM の 4 alpha PMAに よ っ て は 全
く 観 察 さ れ な か っ た ( 図 4A b, 4B b) 。 こ れ ら の 結 果 か ら 、 C6BU-1/pSw-X細 胞 は 野 生 型 C6
BU-1細 胞 と 同 様 な 形 質 を 保 持 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 次 に 、 10 nMミ フ ェ プ リ ス
ト ン 存 在 下 で 培 養 し た C6BU-1/pSw-X細 胞 を 37℃ で 30分 間 100 nM PMAで 処 理 し 、 目 的 因 子 X
の 発 現 量 の 増 加 が 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 に 及 ぼ す 影 響 を 検 討 し た 。 C6BU-1/pSw-a
ddicsin細 胞 で は 、 addicsinの 発 現 量 の 増 加 に よ っ て 、 統 計 的 に 有 為 な 細 胞 外 グ ル タ ミ ン
酸 取 り 込 み 能 の 減 少 が 観 察 さ れ た ( 図 4B a) 。
【0056】
一 方 、 C6BU-1/pSw-Arl6ip-1細 胞 で は 、 Arl6ip-1の 発 現 量 の 増 加 に よ っ て 、 統 計 的 に 有
20
為 な 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 の 増 加 が 観 察 さ れ た ( 図 4A a) 。 こ れ ら 統 計 的 に 有 為
な 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 の 変 化 は 、 い ず れ の 細 胞 群 に お い て も 、 PMAの 非 活 性 化
ア ナ ロ グ で あ る 100 nM の 4 alpha PMA処 理 で は 全 く 観 察 さ れ な か っ た ( 図 4A b, 4B b)
。 さ ら に 、 C6BU-1/pSw-addicsinS18A細 胞 で は 、 PMA処 理 時 に は addicsin S18Aを 過 剰 発 現
に よ る 細 胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 変 化 は 観 察 さ れ な か っ た が 、 PMA未 処 理 時 に は 、 細
胞 外 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 の 促 進 が 認 め ら れ た ( 図 4C) 。 以 上 の 結 果 は 、 EAAC1グ ル タ
ミン酸輸送体の細胞膜表面上への輸送に伴って生じる細胞外グルタミン酸取り込み動態を
Arl6ip-1な ら び に addicsinの 発 現 量 を 人 為 的 に 制 御 す る こ と に よ っ て 制 御 で き る こ と を 示
す。
【0057】
30
な お 、 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 実 験 に 関 す る 操 作 は 、 既 報 (Lisa A Dowd et.al. J. Neu
rochem, 67, 508-516, 1996)の 内 容 を 一 部 改 変 し て 実 施 し た 。 ま ず 実 験 に 先 立 ち 、 ( 1 )
Na
+
溶 液 (5 mM Tris-HCl (pH 7.2), 10 mM HEPES (pH 7.2), 140 mM NaCl, 2.5 mM KCl
, 1.2 mM CaCl2 , 1.2 mM MgCl2 , 1.2 mM K2 HPO4 , 10 mM D-(+)-Glucose, pH 7.2)、 ( 2
) Choline
+
溶 液 (5 mM Tris-HCl (pH 7.2), 10 mM HEPES (pH 7.2), 140 mM Choline C
l, 2.5 mM KCl, 1.2 mM CaCl2 , 1.2 mM MgCl2 , 1.2 mM K2 HPO4 , 10 mM D-(+)-Glucose,
pH 7.2)、 ( 3 ) 細 胞 溶 解 液 (100 mM NaOH)、 ( 4 ) 2.5m Ci 放 射 性 グ ル タ ミ ン 酸 溶 液 (
L-[ G-3H] 放 射 性 グ ル タ ミ ン 酸 ( 37 MBq, 1 mCi/ml) (Amersham Bioscience社 )な ら び に 3
0μ M 非 放 射 性 L-グ ル タ ミ ン 酸 を 含 む Na
+
溶 液 も し く は Choline
+
溶 液 )を そ れ ぞ れ 要 時 調
+
製 し た 。 次 に 、 Na 依 存 的 な グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 能 を 測 定 す る 目 的 で 、 3 7 ℃ に 保 温 し
た Na
+
40
溶 液 を 、 1 穴 あ た り 500μ lず つ 上 記 プ レ ー ト に 分 注 し 、 合 計 3 回 の 洗 浄 を 行 っ た 。
洗 浄 終 了 後 、 た だ ち に 、 放 射 性 グ ル タ ミ ン 酸 溶 液 を 1 穴 当 た り 400μ lず つ 分 注 し 、 37℃ で
5分間にわたって放射性グルタミン酸を細胞内へ取り込ませた。取り込み反応終了後、た
だ ち に 放 射 性 グ ル タ ミ ン 酸 溶 液 を 完 全 に 除 去 し 、 あ ら か じ め 4 ℃ に 冷 却 し て お い た Cholin
e
+
溶 液 を 1 穴 あ た り 500μ lず つ 分 注 し 、 合 計 3 回 の 洗 浄 を 行 っ た 。 Choline
+
溶液を完全
に 除 去 後 、 細 胞 溶 解 液 を 1 穴 あ た り 正 確 に 400μ lず つ 分 注 し 、 十 分 に 振 と う 後 、 細 胞 を 完
全 に 溶 解 さ せ 、 細 胞 溶 解 溶 液 と し た 。 こ の 細 胞 溶 解 液 360μ lを Hionic-Flour液 体 シ ン チ レ
ー シ ョ ン カ ク テ ル (Perkin Elmer社 ) 1 mlに 加 え て 均 一 に な る ま で 混 合 後 、 液 体 シ ン チ レ
3
ー シ ョ ン カ ウ ン タ ー (Beckman社 )を 用 い て H の 絶 対 放 射 活 性 ( dpm) を 測 定 し た 。 ま た 、
こ の 細 胞 溶 解 溶 液 の 蛋 白 質 濃 度 は 、 DC Protein Assayキ ッ ト ( PIERCE社 ) を 用 い て 測 定 し
50
(18)
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た。
【0058】
具 体 的 に は 、 上 記 の 細 胞 溶 解 溶 液 5μ l 、 キ ッ ト 添 付 試 薬 A 25μ l な ら び に キ ッ ト 添
付 試 薬 B 200μ l を そ れ ぞ れ 混 合 し 、 室 温 で 30分 間 反 応 後 、 分 光 光 度 計 に て 655 nmの 吸 光
度 を 測 定 し た 。 ま た 、 同 様 の 条 件 下 、 各 種 濃 度 の 牛 血 清 ア ル ブ ミ ン ( BSA) の 655 nmの 吸
光度を測定して標準濃度曲線を作製し、これに基づいて1穴毎の蛋白質濃度を算出した。
+
一 方 、 Na に 依 存 し な い 非 特 異 的 グ ル タ ミ ン 酸 取 り 込 み 量 ( バ ッ ク グ ラ ン ド ) は 、 Na
溶 液 の 代 わ り に Choline
+
+
溶液を使用し、上記記載内容と全く同一の操作を行うことによ
って測定した。また、この実験時における蛋白質濃度も上記記載内容と全く同一の操作を
行うことによって決定した。尚、細胞内へのグルタミン酸取り込み量は、グルタミン酸取
+
10
+
り 込 み 量 =( Na に 依 存 的 な 蛋 白 質 重 量 当 た り の 絶 対 放 射 活 性 値 ) - (Na に 非 依 存 的 な 蛋
白質重量当たりの絶対放射活性値) により算出した。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】神経シナプスにおけるグルタミン酸輸送体及びその制御因子の作用機構の概略を
示す図である。
【 図 2 】 Arl6ip-1タ ン パ ク 質 と addicsinタ ン パ ク 質 の 相 互 作 用 を 、 免 疫 沈 降 法 ( A ) 及 び
グリセロールグラヂェント法(B)によって解析した結果を示す電気泳動写真である。
【 図 3 】 実 施 例 5 で 得 た 3 種 の 細 胞 ( C6BU-1/pSW-Arl6ip-1、 C6BU-1/pSW-addicsin 、 S18
AC6BU-1/pSW-addicsin S18A) に 対 す る ミ フ ェ プ リ ス ト ン に よ る 影 響 に つ い て 、 該 細 胞 に
お け る 、 内 在 性 addicsin及 び β − actinの 変 動 量 を 解 析 し た 結 果 を 示 す ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ
ト写真(A)、細胞形態を示す顕微鏡写真(B)及び細胞外LDH量を示すグラフ(C)
である。
【 図 4 】 実 施 例 5 で 得 た 3 種 の 細 胞 ( C6BU-1/pSW-Arl6ip-1、 C6BU-1/pSW-addicsin、 S18A
C6BU-1/pSW-addicsin S18A) 及 び 野 生 型 細 胞 ( C6BU-1) に つ い て 、 P M A 処 理 条 件 下 及 び
未処理条件下、及びミフェプリストン処理条件下及び未処理条件下における、細胞外グル
タミン酸の取込み能を解析した結果を示すグラフである。
20
(19)
【図1】
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(20)
【図2】
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(21)
【図3】
JP 2006-115786 A 2006.5.11
(22)
【図4】
【配列表】
2006115786000001.app
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