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第12号(2014.2.10)[PDFファイル/465KB]
第 12 号 登録 ボランティア通信 2014.2.10 第 12 号 目次 1-3 譲渡会レポート(3) 3-4 訓練犬ブッチー 4-5 譲渡動物の不妊⼿術の 実施について 5-6 動物の健康管理 (犬回虫) 6 ボランティア連絡会議 譲渡会レポート (3) 2014 年 1 月 12 日 (日) 県⽴辻堂海浜公園 寒い⽇が続いていますが、ここは、⻘空にパームツリーが映えて、まる でカリフォルニアのような景色です。今日は、paw pads さんの譲渡会 が開催されている、藤沢市の辻堂海浜公園に来てみました。冬晴れの 中、風もなく暖かいので、沢山の人がくつろいでいます。犬を連れた方 もたくさんいました。 6 最新統計 湘南海岸にほど近いこの広々とした公園の松林の横で⾏われている譲渡 会には、すでに多くの人が集まっていました。当所の出身犬がいるか訪 県⽴辻堂海浜公園 ねてみたところ、下左の写真のネーナちゃんを紹介していただきまし 芝生の広場のほか、カヌーが楽し た。腫瘍だらけでなかなか声がかからなかったそうですが、引き出して める池、プール、交通公園、本物 ⻑期間にわたる医療ケアを施していただき、ようやくデビューできたそ の電⾞の展⽰など⼦供連れでも楽 しめる大きな公園です。辻堂海岸 も歩いてすぐです。 うです。当所の収容⽝も相対的に⽼⽝、病⽝が増え、皆様の負担も重く なっていることをお詫びしなければなりません。下右の写真の⽩⿊の⽝ は川崎市動物愛護センター出身だそうです。今日は、お休みにもかかわ らず川崎市職員の方も2名来られていました。 ページ 2 登録ボランティア 通信 右写真の茶⾊のダックスを⾒て、同じダックスを連れた来場者の⽅が⼀ 言「痩せてるわねー」。 「そうかも知れませんケド、 (写真の左の方に写っている) あなたの犬 が太りすぎなんじゃ...?!!」と心のなかで叫びましたが、声には出 しませんでした (オトナの対応?)。 スタッフの皆さんはざっとみたところ全員⼥性で、平均年齢も若そうなのが印象に残りました。若い⽅にボラ ンティアに参加された動機を聞いたところ、トリマーさんで、たまたまスタッフの知り合いだった関係で関わ ったそうです(写真下左)。写真を撮っているスタッフさん(写真下中右)は、学生さんだということだったので 「動物関係の学校ですか」と聞いたところ、「まだ中学生です」といわれてしまいました。大人っぽい服装で 本格的なカメラで写真を撮っており、⾔動も実にしっかりしていたので、まさか、そんなにお若いとは思いま せんでした。まさにスーパー中学生ボランティアさんですね。 トリマーの若⼿スタッフさん 説明担当スタッフさん 撮影担当スタッフさん スタッフを心配する柴犬 paw pads の責任者の方にお聞きしたところ、来場者は、地元の藤沢・ 茅ヶ崎・平塚の海岸地域をはじめ、横浜市⻄部にお住まいの⽅も多いそ うです。ロケーションがいいので、お休みの⽇に⼾塚や⼤船⽅⾯から海 に⾏くついでにちょっと寄ってみるという感じかもしれません。広報の ⽅法は、ネットでの周知のほか、チラシを作成して各⼾にポスティング するという、驚くべき戦術もとっているそうです。効果があるそうです が、そのたいへんな作業をやってくれるボランティアさんがいるという ことは、すごいことですね。パワーと組織⼒を感じました。 http://pawpads.sub.jp/ となりでは、左の写真のように、藤沢市で活動をされている「ねこき ちの会」さんが、TNR に伴う猫の新しい飼い主さがしをしていまし た。 神奈川県動物保護センター ページ 3 この公園は、トンネルになっている国道 134 号線の上を通っ て、海岸に出ることが出来ます。そこからは、左の写真のように ⻘い海と江ノ島が⾒えました。paw pads さんの活動が、訪れる 人々の心の中でこの海のように輝いているのが、⽬に⾒えるよう でした。 http://www.kanagawa-park.or.jp/tujidou/index.html 訓練犬ぶっちー 動物保護センター 石原 旬 ボランティアの皆様には、いつもお世話になっていますことをこの場をお 借りしまして感謝申し上げます。 さて、今回は私が担当しています訓練犬ぶっちーを紹介します。 ぶっちーは平成 24 年 5 月 22 日に当所に迷い犬として収容され、結局飼い 主が現れることはありませんでした。 体格や⻭の状態から5ヶ⽉〜6ヶ⽉齢ではないかということで、きりも縁起もよいことから平成 24 年元旦⽣ まれと勝手にしてしまいました。したがいまして、ただいま2歳になったばかり、名前の由来は写真を⾒ての とおり、お鼻周りが・・・ぶちー!? 個人的な話で申し訳ありませんが、我が家ではボーダーコリーを飼っており、ぶっちーの柄がボーダー様で収 容された直後から気になって気になって仕方が無かったものです。「この子は、ボーダーコリーの血が入って いるわよ!」とのご意⾒をいただくことも多々ありますが、私の所⾒では全くの雑種であり、たまたま柄がう まい具合に出たというのが事実ではないかと思っています。ただし、先祖の犬種がどうであれぶっちーが素直 で、頭がよく、人からも犬からも好かれることは疑う余地がありません。 訓練犬となった当初から所員からも可愛がられ、私としてもぶっち ーの訓練が楽しくて、楽しくて仕⽅が無いもので、昨年と今年の正 月休みは我が家にホームステイしており、箱根駅伝も一緒に応援に ⾏っています。 そんなぶっちーもいつの間にか自分の境遇を恨む事も無く素直に育 ち、今では訓練犬のリーダーとして、寒川町の公報の表紙を飾った り、動物フェスティバルでは大勢の方々の前でしつけのデモンスト レーションを⾏うなど華々しく活躍しています。 でも、彼の活躍を⾒るにつれ寂しい気持ちが芽⽣え始めています。 訓練犬の活躍は、すなわち譲渡が近づいてきていることを意味しま す。 ページ 4 登録ボランティア 通信 ぶっちーを貰っていただける方は優しくいい人だったらいいな、一生可愛がっ てもらえるのだろうな、出来れば毎年動物愛護のつどいに来ていただける⽅か 自分の住まいの近くの方だといいなとか、なんか娘を嫁に出す父親の気持ちに 似ています。 なにはともあれ、残り少ない彼との遊び・・・すみません、間違えました、仕 事を楽しむとともに、彼のこれからが幸多かれと願うばかりです。 登録ボランティアへ譲渡する動物における 不妊⼿術の実施について ボランティアの皆様にお願いする犬と猫の一部について、今 後は当所において不妊⼿術を実施した上で譲渡する予定です ので、お知らせします。概要は次の Q&A のとおりです。 Q1:⼿術を実施する理由は何ですか。 (理由 1)現在、皆様に譲渡する⽝・猫には、事後の不妊⼿術の実施をお願いしていますが、⼿術実施率及び 連絡票回収率は 100%ではありません。また、⼿術後と譲渡後の⼆度にわたり連絡票を提出する皆様の負担も ⼤きなものとなっています。そこで、当所から譲渡する時点で不妊⼿術をしておけば、連絡票提出が⼀度で すみます。また、不妊⼿術に⼼理的な抵抗がある新しい飼い主に対して、⼿術のメリットを説明しやすくな ります。 (理由 2)新しい飼い主を⾒つける前に、ボランティアの皆様が不妊⼿術を実施されることがありますが、そ の場合の⼿術及び術後管理等の負担を軽減することが出来ます。 (理由 3)現在、当所における⽝の収容期間の⻑期化に伴い、妊娠を防⽌するために性別による隔離をしてい ますが、去勢により同室のオス同士の闘争が軽減され、さらに去勢オスとメスの同居が可能になり、より柔 軟な飼養管理が可能になります。また、譲渡する⽝・猫の攻撃性が緩和される可能性も期待できます。 Q2:どのような動物に不妊⼿術を実施するのですか。 現時点では、①健康状態に問題がないオスの成犬・成猫 す。なお、①短頭種の犬 下降前・離乳前の⼦猫 ②健康状態に問題がある犬・猫 ②健康状態に問題がない子猫 ③高齢の犬・猫 等を考えていま ④メスの成犬・成猫 ⑤精巣 については、麻酔のリスク等の技術上の問題があるため、実施しません。また、業 務量の関係で、当面は対象となるすべての⽝・猫に対して不妊⼿術を実施できません。手術を実施する犬は 当所で選定させていただくため、皆様のご希望に添えない場合もありますが、ご理解いただきますようお願 いします。また、手術の実施については、収容犬情報の提供リストに記載する等 の方法でお知らせします。猫につきましては、現時点では全てをボランティアに 譲渡できる状況ではないことから、上記の条件を満たす猫の中から、希望をお聞 きした上で手術を実施します(当所の譲渡会で新しい飼い主が⾒つからなかった 猫をお譲りする場合を除きます)。 神奈川県動物保護センター ページ 5 Q3:費用はいくらかかりますか。 登録ボランティアの皆様には、処置⼿数料を半額にする制度が適⽤されますの で、オスは4085円、メスは7775円となります。譲渡(センターからの 引出し)時に現⾦をご⽤意ください。領収書を発⾏します。 詳細は担当までお問い合わせください。なお、この件につきましてご質問、要 望などがありましたら、3月3日のボランティア連絡調整会議でも承りますの でよろしくお願いします。 センターの動物たちの健康管理 (1) 犬回虫 動物保護センター 遠藤亜紀 久島昌平 動物保護センターには、様々な動物が収容されます。飼い主の元へ戻るにしても、県⺠やボランティアの皆さ んにお譲りするにしても、収容中の動物の健康管理は、当所の責任で⾏わなければなりません。しかし、収容 数、施設、費⽤及び業務量などの制約から、必ずしも完璧な健康管理が実施できているわけではありません。 また、広い地域からどんな病気を持っているかわからない動物が常時入ってくるという最悪の条件は避けるこ とができません。そんな悪条件の中ではありますが、当所収容動物の現状、特に寄生虫症、感染症対策を中心 に、何回かに分けてお知らせしていこうと思います。 まず第一回目は、⽝回⾍です。皆様も良くご存知の⽝の代表的な寄⽣⾍ですが、実物をご覧になったことがあ りますか。10cm 以上にもなる⽩っぽい細⻑い⾍で、いかにも寄⽣⾍といういでたちです。 ⽝回⾍の⼀⽣(これを発育環といいます)は、まず幼⽝の⼝に⾍卵が飲み込まれるところから始まります。腸 で卵が孵って幼⾍になり、⾎管を通って肝臓、そして肺に運ばれます。気管をさかのぼって今度は食道から消 化管に入って再び腸に到達します。ここまで約2週間かかります。そのあと腸で数週間育って成虫になって卵 を産み、それが便とともに体外に出て、他の犬に感染します。子犬の体の中をこんなにも荒らしまわる犬回虫 ですが、重度の感染をのぞいて⼦⽝が死ぬことはあまりありません。⽝を殺してしまうと、卵を産む前に自分 も死んでしまうので、寄生する動物(宿主といいます)に気を遣っているのです。 いわゆる「生かさず殺さず」ということですね。 ところが、成犬の場合は、虫が体内を動き回る途中でそのまま冬眠 状態になってしまい、便に⾍卵は出てきません。しかし、⺟⽝が妊 娠するとなぜか突然眠りから覚めて暴れだし、胎盤や⺟乳を通じ て、直接⼦⽝に感染するという変幻⾃在の動きをみせる頭の良い⾍ 犬回虫成虫(♂) です。その時には、⺟犬の便にも⾍卵が現れます。 当所で⾏っている診断法は、⼀番簡単な糞便の⾍卵検査です。⽐重 を重くした⾷塩⽔に便を⼊れてかき混ぜ、⾍卵が浮いてきたところ を顕微鏡で確認します。⾍卵は茶⾊っぽい球形で、外側の殻が厚い のですぐわかります。 (写真提供 東京都健康安全研究センター) ⽝回⾍卵 左(単細胞期)右(幼⾍包蔵卵期) ページ 6 登録ボランティア 通信 当所では、譲渡会に出す予定の子犬、訓練犬候補の犬、ふれあい活動に使う犬等については、まず隔離ケージ にいれて、便の⾍卵検査を⾏います。⾍卵が確認された⽝は、他の⽝に感染しないように便の処理に注意しな がら、駆⾍を⾏い、再検査後、卵が出なくなったことを確認して初めて、他の⽝と⼀緒にします。昔の駆⾍剤 は、腸で産卵する⾍にしか効かなかったので、何回か駆⾍を繰り返す必要がありましたが、現在は体内のどこ にいる虫にも効くよい薬(プラジクアンテル/ピランテル/フェバンテル製剤)が出来たので、原則として1 回の駆虫で済むようになりました。また、当所では、⻑期間飼養する訓練⽝等に対して、フィラリア感染予防 薬(ミルベマイシンオキシム/ルフェヌロン製剤)を通年投与していますが、この薬は⽝回⾍も駆虫できるの で、その後の感染も予防できると考えています。 当所収容⼦⽝の感染率は、平成23年が7/25(28.0%)、24年が9/34(26.5%)でした。昔よ り減ったとはいえ、まだかなりの子犬が感染していることがわかります。 成犬の⾍卵検査は、前述のとおりあまり意味がないため、皆様に譲渡した⽝の感染率 は不明ですが、下痢など消化器症状がある⽝については必要に応じて検査を⾏ってい ます。皆様へ譲渡した後の検査や駆虫については、動物病院の先生に相談していただ きますようお願いします。 ごくまれにではありますが、⽝回⾍の卵が人の幼児に感染して、発熱したり、目に寄 ⽣して失明する事例が報告されています。公園の砂場などがその感染源になる可能性 があることから、糞の処理は、環境⾯だけでなく、公衆衛⽣⾯でも⼤切なことです。 当所では動物由来感染症の感染予防の観点から、⽝回⾍をはじめとする様々な病気の調査を⾏っています。 調査結果は、当所ホームページの「動物由来感染症」でも公表しておりますので、ぜひご覧になってくださ い。 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f80192/p527145.html ボランティア連絡調整会議の開催について 前回お知らせしたとおり、平成 26 年3⽉ 3 日(月)14 時から、動物保護セ ンター会議室で開催しますので、ご案内します。なお、すでに皆様には通知と 出欠届けを兼ねたアンケートをお送りしておりますが、もし届いていない場合 は、⾄急担当者あてご連絡ください。また、皆様との情報・意⾒交換の時間を 多くとるため、質問事項、協議事項を事前にお知らせいただければ準備をいた しますので、気軽にアンケートに記入してください。 最新統計 飼い主を探すには どうしたらいいかニャー? 平成 26 年 1 月 1 ⽇〜1 月 31 日の相模原市、藤沢市分を含む速報値 迷子犬の保護 34 頭 県⺠へ譲渡 2 頭 飼い主へ返還 16 頭 飼い主から引取り 11 頭 ボランティア等へ譲渡 22 頭 捨てられた猫 2 匹 致死処分 0 頭 飼い主から引取り 8 匹 ボランティア等へ譲渡 10 匹 致死処分 0 匹 運搬・収容中の死亡 0 頭 県⺠へ譲渡 5 匹 運搬・収容中の死亡 0 匹 でした。