Comments
Description
Transcript
フォトニックネットワーク技術開発成果に係る動態展示発表 及び超高速光
NEDO海外レポート NO.991, 2006.12.13 【個別特集】国際展示会参加報告 フォトニックネットワーク技術開発成果に係る動態展示発表 及び超高速光通信技術動向調査 (フランス) −「ECOC 2006(European Conference on Optical Communication)」− NEDO 技術開発機構 電子・情報技術開発部 小高一紀・田中健一・新納弘之 目的及び内容: 2002 年度(平成 14 年度)から研究開発を行っている「フォトニックネットワーク 技術の開発」プロジェクトでは、10 年後の実用に向けた次世代光スイッチノード技術 開発を行うとともに、3∼5 年後の近い将来に必要となると考えられる超高速/大容量 電子制御型波長多重光スイッチノードデバイスの開発を行っている。電子制御型波長 多重光スイッチノードデバイスの開発では、開発した各種の光スイッチノードデバイ スを組み合わせ、光スイッチノード装置を試作し(図 1)、メモリを用いることなく光 信号の衝突回避を世界に先駆けて実証した。この開発成果を欧州最大の光通信技術国 際会議である「ECOC 2006(European Conference on Optical Communication)」で 装置の動態展示発表し、広く広報した。また、ECOC において、超高速光通信に関す る技術動向調査を行った。 図 1 スイッチノード装置の動作原理 37 NEDO海外レポート NO.991, 2006.12.13 1. フォトニックネットワーク技術の開発プロジェクトについて 情報通信技術の進展により、誰もが自由に創造、流通、共有できる情報通信環境(ユ ビキタス社会)の実現が期待され、インターネットの普及をはじめとして、通信ネッ トワークのトラヒックが爆発的に増大している。現在の通信ネットワークを支える主 要な通信機器である電子ルータ装置は、その処理能力の向上が求められているが、現 在の通信量は電子ルータ装置の処理限界に近づきつつあり、更なる処理能力向上のた めには新たな高性能処理方式である光ルータ装置の実現が必要不可欠である。そこで、 NEDO 技術開発機構(以下、NEDO)電子・情報技術開発部では、2002 年度(平成 14 年 度)より、将来の情報通信システムに必要な基盤技術であるフォトニックネットワー ク技術の開発に取り組んできた。 フォトニックネットワーク技術の開発プロジェクトは、3∼5 年後の近い将来に必要 となると考えられる超高速/大容量 電子制御型波長多重光スイッチノードデバイスの 開発と、10 年先を見据えた次世代光スイッチノード実現技術の開発とを、光産業技術 振興協会(所在地:東京都文京区、会長:野間口有、略称:光協会)に委託し、3 大学、 10 企業において研究開発を行っている。 勢揃いした 図 2NEDO ECOCブース展示関係者 会場風景 カンヌ:ECOC 会場エントランス前 2. ECOC 2006 でのプロジェクト成果物の展示 今年度の ECOC 2006 は、フランスのカンヌにおいて 9 月 24 日(日)から 28 日(木) まで開催され、併設の展示会は 25 日(月)から 27 日(水)の 3 日間行われた。多く の展示は既存デバイスの静態展示で、先進的な将来技術を用いたデバイスおよびネッ トワークシステムの動態展示は数えるほどであった。我々はパリ事務所および光協会 と共同で展示ブースを開設し、電子制御型波長多重光スイッチノード装置の動作状態 での実物展示を行った。これは先進的な技術であることにも増して、光スイッチノー ド装置の動態展示とこれを構成するデバイスの静態展示の双方を展示した相乗効果も あり、展示ブースには常に多数の集まり、説明の対応が間に合わないほどであった。 見学者の関心も高く、システムの動作原理や各種デバイスのメカニズムなどに対する 詳細な説明が求められることも多かった。およそ 500 名の見学者に展示説明を行った が、技術的な質問のみならず、各種デバイスや光スイッチノード装置の入手方法に係 38 NEDO海外レポート NO.991, 2006.12.13 わる問い合わせも多々あり、プロジェクト成果を世界に向けて広く効果的にアピール することができた。 展示に当たり、輸送のため光スイッチノード装置をユニット単位に分解して持ち込 んだが、数時間の再構築作業の後、問題なく動作が確認できるなど完成度の高さも今 回実証できた。また、展示中に供給電源が会場側の不備で何度か落ちるハプニングが あったが、展示システムは壊れることなく、そのたび直ぐに動作を再開し、その品質 の高さも見学者を感心させた。 展示されたスイッチノード 装置のプロトタイプ 賑わいを見せる NEDO ブース展示 3. 学会での研究成果発表 本プロジェクトでの研究に基づく 4 件の研究発表があった。このうち 2 件はとくに 競争率の高かったポストデッドラインでの採択で、展示会のみならず、学会発表にお いてもプロジェクト成果を広くアピールすることができた。 (下線は発表者) (1) Polarization-Insensitive SOA-MZI Monolithic ALL-Optical Wavelength Converter for Full C-band 40Gbps-NRZ Operation 発表者: Mitsubishi Electric Corporation & OITDA*1:Y. Miyazaki, T. Miyahara, K. Takagi, K. Matsumoto, S. Nishikawa, T. Hatta, T. Aoyagi, K. Motoshima 発表セッション: All-Optical Wavelength Conversion and Regeneration 概要:半導体光増幅器(SOA)をマッハツェンダー光干渉計(MZI)の中にモノリ シックに集積したデバイスにおいて、SOA 活性層のサイズ(厚さ、幅、 長さ)を最適化し、高利得、短利得回復時間を得ることで良好な 40Gbps非ゼロ復帰(NRZ)波長変換光波形を得た。 *1: OITDA: Optoelectronic Industry and Technology Development Association, Japan 39 NEDO海外レポート NO.991, 2006.12.13 (2) Optical Burst Switching Node with Sub-millisecond Granularity Equipped with Agile Tunable Wavelength Converter and Waveguide Amplifier 発表者: KDDI R&D Laboratories Inc. & OITDA: R. Inohara, K. Nishimura, Y. Horiuchi, M. Usami RCAST*2, the University of Tokyo & OITDA: A. AL Amin, M. Takenaka, K. Shimizu, Y. Nakano The Furukawa Electric Co. Ltd. & OITDA: T. Kagimoto, T. Krobe, A. Kasukawa Hitachi Ltd. & OITDA: H. Arimoto, S. Tsuji Asahi Glass Co. Ltd. & OITDA: Y. Kondo, M. Ono, J. Kageyama, N. Sugimoto NEC Corporation & OITDA:I. Ogura Mitsubishi Electric Corporation & OITDA:T. Hatta Fujitsu Laboratories Limited & OITDA:H. Onaka 発表セッション: Technologies for Optical Network 概要:サブミリ秒の精度を持つ光スイッチングノードを実証した。ノードは衝 突回避のため、調整速度がマイクロ秒でエルビウムドロップ導波路に基づ いたロス補償のためのコンパクトな利得ブロックを持つ、共有の波長変換 器を備える。 *2 RCAST:Research Center for Advanced Science and Technology (3) 40/10Gbps Bit-rate transparent Burst Switching and Contention Resolving Wavelength Conversion in an Optical Router Prototype 発表者: University of Tokyo: A. Al Amin, K. Shimizu, M. Takenaka, T. Tanemura, Y. Nakano KDDI R&D laboratories Inc.: R. Inohara, K. Nishimura, Y, Horiuchi, M.Usami Fujitsu Ltd.: Y. Takita, Y. Kai, Y. Aoki, H. Onaka Mitsubishi Electric Co.: Y. Miyazaki, T. Miyahara, T. Hatta, K. Motoshima The Furukawa Electric Co. Ltd.: T. Kagimoto, T. Kurobe, A. Kasukawa Hitachi Ltd.:H. Arimoto, S. Tsuji 40 NEDO海外レポート NO.991, 2006.12.13 Hitachi Cable Ltd.:H.Uetsuka 発表セッション: Post-deadline Session 1 概要:5x5 のチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)光マトリックススイッ チを備えたビットレート透明型の光ルータを試作した。チューナブル MZI-SOA 波長変換器による衝突回避により、40Gbps と 10Gbps のバー ストトラヒックが混在するダイナミックスイッチングをエラーフリーに 実証した。 (4) 320 Gb/s Optical Packet Switching using All-Optical Signal Processing by an MMI-BLD Optical Flip-Flop 発表者: RCAST, the University of Tokyo & OETDA:M. Takenaka RCAST, the University of Tokyo:K. Takada, Y. Kakema Infnera(USA): M. Raburn Mitsubishi Electric Corporation.: T. Miyahara Hitachi Cable:H. Uetsuka RCAST, the University of Tokyo & JST-SORST: Y. Nakano 発表セッション: Post-deadline Session 5 概要:多モード干渉結合器双安定レーザー構造(MMI-BLD)光フリップフロッ プを用いて、320Gb/s の複合波長パケットを対象に全光パケットスイッチ ング動作を実証した。全光ラベルのバッファリングと転送は 338 ピコ秒 のスイッチング時間を許容する。 4.技術動向調査 本会議は"Palais des Festivals"にて行われ、地下 1F が展示スペースとなり 2-5 階が 講演会場となった。以下、展示スペースにおける聴講と講演会場における聴講の 2 つ に分けて報告する。 4.1 講演会におけるトピック 会議の講演は、光通信に関連したほぼ全ての分野が網羅されており、多岐に渡る。 本報告では、以下のセッション A-G の分野のうち A-C の分野及びその他のHを中心に 行う。D 及び F の超高速・大容量伝送に関しては、東北大学中沢先生(NEDO 超高速 サブワーキンググループ委員長)が座長を行い、チュートリアルにて AIST 石川氏(フェ ムト秒成果普及事業実施者取りまとめ)が講演を行うなど高速・広帯域・大容量伝送で は日本勢が強い基盤技術を有している。G のアクセス系に関しては、NTT の 60 km 長 距離 256 分岐(低コスト化と関連)の報告や住友電工による 50 km(通常 20 km)長距離 CWDM-PON や三菱電機による 10G-PON の報告があり、既に PON として商用化し ている日本企業が技術的に先頭を走っている様子である。 41 NEDO海外レポート NO.991, 2006.12.13 セッション一覧: A. 発光素子(高速動作用 LD、量子ドット LD、MEMS LD、集積型 LD、VCSEL) B. シリコンフォトニクス、 C. 受光素子(高速動作用 PD、集積型 PD、SiGe-PD)、 D. OTDM(Optical Time Domain Multiplexing: 光時分割多重) E. PLC(Planer Light-wave Circuit: プレーナ光波回路) F. 超高速 160G 伝送 G. FTTH(Fiber to the home) H. その他 A. 発光素子 ①"Low-Drive-Current 10-Gb/s Operation of AlGaInAs Buried-Heterostructure λ /4-shift DFB Lasers" by Fujitsu laboratories Ltd (Mo3.4.4) 高温動作が可能(InGaAsP 系に比べて AlGaInAs 系は、バンドオフセット大である ため)。実際に、温度 100℃、注入電流 77mA のとき 10 Gb/s 高速動作の報告(出力=5 mW)。 活性層体積を小さくしたことと埋め込み構造を利用したことにより電流注入が効果的 に 行 わ れ 、 低 い し き い 値 を 実 現 。 Cavity 長 は 、 250μm 。 発 光 波 長 は 1.322μm (T=25℃)-1.330μm (T=100℃)。3000h 劣化なしの信頼性も確認(10mW APC at 85℃、 APC: Auto Power Control)。質疑応答より判断すると本 LD は、10Gb/s を超える高速 動作のポテンシャルを有している模様。 ②"High-Speed Performance of 1.55 μm Buried Hetero-Structure Lasers with 20 InGaAsP/InGaAlAs Quantum-Wells" by Royal Institute of Technology, IMIT Department(Mo3.4.5). LD 構造は、InGaAsP(well)/InGaAsP(barrier)。発光波長は 1.55μm。目標は、温度 調整機構なしで高速に直接変調可能な LD。Cavity が長い場合、しきい値電流増加 (200μm のとき 5.5mA、400μm のとき 9.5mA、800μm のとき 15mA)を報告。 ③ "Ultralow-Threshold 1.3-μm GaInNAs Triple-Quantum-Well Lasers for High-Speed Operation" by Central Research Laboratory, Hitachi, Ltd(Mo3.4.6). LD のしきい値は 4.3mA(室温)。発光波長は 1.29μm。40-Gb/s 直接変調を観測(T=5℃)。 構造は、GaInNAs(well)/GaAs(barrier)(InGaAlAs や InGaAsP に比べてバンドオフセ ット大)。しかしながら、GaInNAs 層の結晶品質が難題(報告者はこの問題をクリア)。 活性層は 3 つの量子井戸構造(活性層構造の工夫により高速化対応)。Cavity 長は、 200μm、メサ幅は 2μm。デバイス抵抗が高いのが現状の欠点(高速動作時ノイズの原因)。 NICT プロジェクト成果。 42 NEDO海外レポート NO.991, 2006.12.13 ④ "SOA-modulator Integrated Wavelength Tunable Laser: Demonstration of 2.5-Gb/s full C-band Transmission over 360 km" by NEC Corporation(Tu3.4.1) LD(層構造は InGaAsP/InGaAsP 系)とモノリシックに集積化した外部共振器により、 C バンド帯(1.530μm -1.565μm)の波長可変を実現。素子トータルの長さは 1.2mm(外 部変調型としては小型化実現と報告)。伝送容量 2.5Gb/s で、距離 360km の伝送を実 現(C バンド内のすべての波長で実現)。 ⑤"Singlemode and Polarization Stable MEMS-VCSEL with Broadband Tuning Characteristics around 1.55μm " by IHF-TUD, and WSI-TUM, Germany(Tu3.4.4) MEMS-DBR を利用した連続波長可変 LD の話。構造は Vertical Cavity Surface Emitting Laser(VCSEL)型。発光波長 54nm 掃引(C とLバンドを全てカバー)を実現。 シングルモード発振。数 mW クラスのパワー出力。偏光特性も安定。MEMS による 連続可変波長 LD の報告は過去にあり、実用化には信頼性確保が命題となっている。 今回のデバイスも可動部分である DBR_MEMS 部分の信頼性が重要なポイントなるよ うに思う。 ⑥"Low-cost 10 Gb/s 1310 nm uncooled electroabsorption modulated lasers" by Avago Technologies, Italy(We1.6.7) EA 変調 DFB-LD にて 10Gb/s(距離は 10km)。温度 0-85℃の動作を実現。モジュレ ータも含めた大きさは、200μm×500μm と小型。波長は 1.310μm。直接変調と比較し て消光比大が外部変調器の特徴とのこと。活性層は AlGaInAs MQW。高温動作を実現 するために薄い活性層とし、分離閉じ込め構造採用。光出力は 5mW 以上。 ⑦ "A Novel Optoelectronic Ferrule for Cost-effective Optical Interconnection Modules" by Sumitomo Electric Industries, Ltd(We3.P.53). 光インターコネクションの話。VCSEL 採用。光電変換を光ファイバのフェルール部 分で行う。VCSEL をファイバー直づけ。アライメントが容易。信頼性チェック(温度 170℃、時間 30min)は確認済み。アクセス系 PON における ONU 内に実装されている 光送受信素子構造にも適用できる可能性あり。 ⑧"4x10-Gb/s CWDM Transmission using VCSEL from 1531 nm and 1591 nm" by Vienna University of Technology and Bell Labs-Lucent Technologies(We4.5.1) 分散補償なしで 45km 伝送(65km ではアイパターンが崩れてしまう。温度は、25℃)。 4 channel x 10Gb/s の CWDM 伝送。VCSEL アレイ使用。1.531-1.591μm (1.531μm, 1.551μm, 1.571μm, 1.591μm)。uncooled VCSELs (Vertilas)社製。インピーダンス 50Ω となるように構造を工夫。温度 65℃の場合は、25.6km に伝送距離が短くなってしま う。これは、主として VCSEL 出力パワー減が原因。 43 NEDO海外レポート 2006.12.13 NO.991, ⑨ "Low-Cost Optical Access System using Repeater, VCSEL Transmitters and Multi-mode Fibers" by CUBIN University of Melbourne and NICTA Ltd, Australia(We4.5.2) Single mode and Multi-mode 共用システム提案。通常 Multi mode fiber は、長距 離 に は 使 え な い (理 由 は モ ー ド 分 散 の た め )。 今 回 MMF が 使 え る 理 由 は 、 remote repeater 導入のおかげ。ONU コスト削減に貢献。Remote repeater は、家庭(ONU)局(OLT)間の通信に利用される 1.3μm(ONU→OLT)、1.49μm(OLT→OUN)の 2 波長以 外の第 3 の 850nm 波長を使用。波長λ=1.3μm のレーザーは、FP レーザ(DFB レーザ に較べて安価)を使用しても性能劣化がないことを示していた。 ⑩ "Monolithic Hybrid and Passive Mode-Locked 40 GHz Quantum Dot Laser Diodes" by University of Cambridge, Technical University of Denmark and NL Nanosemiconductor GmbH(We4.6.3) 量子ドットレーザーの発振波長 1.280μm。25mW。40GHz 超高速タイミングジッタ ーの応用先要検討。 ⑪ "40 Gb/s Directly Modulated InGaAsP Passive Feedback DFB Laser" by Heinrich-Hertz-Institut and WIAS(Germany)(Th4.5.5)(Post-deadline paper) 40Gb/s 動作。消光比 6dB。波長 1.55μm InGaAsP DFB レーザー。集積化により高 速化実現。キャビティー長短くし、バイアス電流を低くすることが課題。活性層は、 InGaAsP strained layer multi quantum wells (MQWs)。2km 伝送まで確認している。 ⑫"Uncooled Directly Modulated Quantum Dot Laser 10 Gb/s Transmission at 1.3 mm, with Constant Operation Parameters" by Alcatel Thales III-V Lab(France), Nanoplus Nanosystems and Technologies GmbH(Germany) and NL Nanosemiconductor GmbH(Germany)(Th.4.5.7) (Post-deadline paper) 1.3μm 帯の 10Gb/s 伝送 を温度範囲 25-85℃にて実現。温度制御不要とアイソレー ター不要は魅力的。実現構造は、量子ドット入り InGaAsP/InP MQW。量子ドットは スタック構造採用。量子ドットレーザーは、温度や光戻り光の影響受けにくい。8km 伝送まで実験的に確認。LD 構造は、Cavity 長 600μm、メサ幅は 3μm。 B. シリコンフォトニクス ⑬"Compact and Highly Efficient Grating Couplers Between Optical Fiber and Nanophotonic Waveguides in Bonded InP-membrances" by Ghent University-IMEC Department of Information Technology and School of Physics and Astronomy, University of St. Andrews(Tu1.4.5). InP 基 板 は り つ け 方 式 に よ り 、 SMF-thin film waveguides(nanophotonic 44 NEDO海外レポート NO.991, 2006.12.13 waveguides)間高効率結合(56%)実現。従来は、例えばファイバーと導波路間結合は 33%(10μm×10μm の grating couplers in SOI)。2D-grating version とすれば偏光特 性 良 好 。 貼 り 付 け 技 術 は 、 wafer bonding 技 術 を 利 用 ( 中 間 層 に は "low-index BenzoCycloButene(BCB) layer"を使用(塗布型より低コスト化実現))。ボトムミラーと の関係で、BCB 層膜厚は最適化必須。 C. 受光素子 ⑭ "40 Gb/s Low-Cost Photoreceiver Employing an Erbium Doped Waveguide Amplifier and Short Planar Multimode PIN Photodiode" by University of Virginia(U.S.A.), Aevix Systems(France), Alcatel Thales III-V Lab(France), and Teem photonics(France)(We2.6.7) 40Gb/s 動作する PIN-PD の話。エルビウムドープされた導波路増幅器が集積化。従 来 PD は、trans-impedance amplifier(TIA)を利用し信号増幅、今回信号光大により増 幅器必要なし。スポットサイズ 5μm×25μm。応答帯域は 50GHz。 ⑮ "High speed modulators and detectors in Silicon" by IEF CNRS and CEA-DRT/LETI(France)(Th3.1.4) 位置づけはシリコンフォトニクス。同一チップ上に光デバイスと電子デバイスを集 積することは、性能向上に繋がるとのこと。CMOS 技術と互換性を有する Silicon-on insulator substrate(SOI)は、屈折率差を大きくできるので例えば導波路高密度化には 適している。これらは、低コスト化と信頼性向上につながる。その他、MSM 構造と較 べて PIN 構造はダークカレント少なし。39GHz 動作実証。1.31μm と 1.55μm 両方に 感度有り。 ⑯ "A 19-Gb/s, 1.8-V Optical Receiver Front-End Comprised of a Ge-on-SOI Photodiode and a CMOS Transimpedance Amplifier" by IBM-T.J. Watson Research Center.(Th3.1.5) 低バイアス電圧(1.8V)且つ動作高速動作(19Gb/s)実証。0.13-m CMOS technology 利 用。Si 基板の上の Ge は、SI と比較すると、波長 850nm 光に対して吸収がある。ま た 、 高 速 動 作 可 能 (39GHz) 。 一 方 、 Ge-on-silicon-on-insulator(SOI) 受 信 素 子 は 13.2GHz まで。Trans-impedance Amplifier(CMOS 利用)は、1.8V 動作。光検出領域 は 10μm×10μm。マルチモードファイバ。寄生容量を低減化。フォトダイオードのデ ザイン改良でさらに性能向上が期待できる。IBM & Agilent による Terabus プロジェ クトとリンク(補足1参照)。 H. その他 ⑰ "High bandwidth board-level parallel 45 optical interconnects for server NEDO海外レポート NO.991, 2006.12.13 applications" by IBM Research(Switzerland and U.S.A.)(We4.2.1)(Invited Talk) 電気配線よりも高密度化が可能な光配線の話。導波路が埋め込まれたプリントボー ド採用。IBM、Agilent は、DARPA program にて推進中(補足1参照)。レンズ無し。 【補足 1】 Performer : IBM and Agilent Title: Terabus Supported by DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency) プロジェクト目標:コンピュータ間における Terabit/s 級の光配線(実装も含む) 技術課題:①高速(10Gb/s 以上)VCSEL アレイ及び高速受動素子アレイ ②光デバイス(アレイ素子も含む)駆動用 CMOS の実装 予算発表なし ⑱ "Low-Cost and High-Density 10 Gbps/ch Optical Parallel Link Module for Multi-Terabit Router Application" by AIST(We4.2.3) テラビットルータのための低コスト、高密度光配線達成。レンズ無し。独自のファ イバーを開発。結合効率向上(35%->70%)。 4-2 展示スペース 展示では、3 つの研究機関(NEDO/光協会共催、NICT 及び横河電気)から、光バース トスイッチや光パケットスイッチ関連の動態展示があった。各ブース共に全日程に渡 ってたくさんの見学者を集めたようである。そのうち、NEDO/光協会共催の展示に関 しては上記にて詳細を述べたので参照して頂きたい。その他、光部品メーカーである Bookham 社による展示を見学したので併せて報告を行う。 ●NICT(National Institute of Information and Communications Technology) 横河電気、NEL(NTT Electronics Corporation)、Roma Univ.及び大阪大学との共同 研究の成果として、光パケットスイッチの動態展示が行われた。また、その他にもデ ジタルカメラでその場録画した画像を模擬伝送し、伝送後高画質 TV にて 3 次元動画 のデモンストレーションがなされた。今回は、広いブース(およそ 8 m×6 m)にて、 NICT ロゴ入り照明看板(現地にて依頼、作成したとのこと)を 3 箇所に取り付け展示ア ピールに工夫を凝らしていた。 ●Yokogawa Electric Corporation 社 (横河電気) 40GbE(10GbE×4 ports) optical packet networks(GbE: Gigabit Ethernet)の動態 展示。3 台の TV を利用して、高画質録音動画を 3 箇所で同時にモニター。全光伝送故 に画質劣化なしとのこと。ネット線路長は 6 km。使用した光パケットスイッチ装置と 光メディア制御装置には、O/E または E/O 変換器がない等の理由により従来(∼2kW) よりも小さい電力(∼0.5kW)動作が可能。省エネ効果をアピール。本動態展示にて用い 46 NEDO海外レポート NO.991, 2006.12.13 られている高速電子回路全て横河電気が得意としている化合物半導体デバイス(光デ バイスも電子デバイスも両方とも)が利用されているとの説明であった。本動態展示は、 実形態に近いという意味において完成度が非常に高いという印象を受けた。 ●Bookham 社 買収を繰り返して、規模が大きくなった会社。最近では、VCSEL サプライヤーとし て世界的にも上位に位置していたスイス Avalon Photonics 社を買収したことは、この 分野の研究者にとってはニュースとなった。買収により高い技術を得た結果として、 高速動作 LD 光源に関する展示が強調されていたように感じた。Telecommunications、 Data communications における光部品の中でも、とりわけ高速仕様 LD に関しては、 日本勢(日本オプネクスト、三菱電機、ユーディナデバイス等)が強いとされているが、 本メーカーも今回 40Gbit/s の高速動作 Laser Diode(LD)(ただし、外部変調方式)につ いては大々的に宣伝していたことが印象に残った。光部品に関して、日本以外のアジ ア勢は、今回の ECOC において勢いを感じなかった。2.5Gbit/s 以上の高速領域では、 まだまだ日本勢が市場のほとんど占めていることが背景にあるのかもしれない。 (全体の感想) 光ネットワーク関連技術は、欧米でも国のプロジェクト(例えば、補足 2 と 3 参照) が発足していることから、世界的にみても注目されている。中でも、今回発光素子に 関しては 40Gbit/s 直接変調動作が 2 つの機関から発表されたが、実用化レベル(動作 温度、注入電流等)に達するまでにはまだ課題があるようである。受光素子に関しては 高速電子デバイスとの集積化がキー技術との報告であった。光配線に関しても光デバ イスと電子デバイスの集積化が重要なポイントと思われる。 【補足 2】 Performer: Lucent Technologies Bells labs Title: IRIS(the Integrated Router Interconnected Spectrally) program and CCIT(the Coherent Communications Imaging and Targeting) program Supported by DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency) 開始は 2004 年で期間は 4 年間の予定。予算総額 26 億円 【補足 3】 Performer: UCSB, Calient Networks, Cisco systems, JDS Uniphase, Stanford University Title: Lasor(Label Switched Optical Router) Supported by DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency) プロジェクト開始は 2004 年 4 月からで期間は 4 年間の予定。予算発表なし。 47 NEDO海外レポート NO.991, 2006.12.13 <参考> ECOC 2006 での動態展示発表に係る NEDO 英文リリース http://www.nedo.go.jp/english/archives/181106/181106.html フォトニックネットワーク技術の研究成果に関する記者説明会概要 http://www.nedo.go.jp/informations/press/kaiken/180914/180914.html 48