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- 49 - <ガラス器具等> (1) 試験管 ア 安全な取り扱い方 入れる試薬の
<ガラス器具等> (1) 試験管 ア 安全な取り扱い方 ○ 入れる試薬の量は,多くても試験管の4分の1程度とし,内 容物をよく振り混ぜることができるようにします。 ○ 振り混ぜるときは,試験管の上端近くを持って,底部を左右 に回すように振ります。 ○ 硬い固体などを入れるときは,図①のように試験管が割れな いように,試験管を少し傾けてそっと滑らせて入れます。 ○ 図① 固形物の入れ方 加熱する際には,開口部に人がいないことを確認し,試験管を少し傾け,クランプに固 定します。(突沸に注意します) ○ 鉄製スタンドのクランプは,落下防止のために,はさむ部分の長い方を下にし,止めネ ジの方を上にして使用します。なお,クランプに包帯を巻いておくと,ガラス器具の破損 などを防ぐことができます。(図②) ※ 加熱する場合は,包帯を巻かないでください。 ○ 試験管を持って加熱する際には,熱くなるので必ず試験管ばさみを使います。 ○ 試験管ばさみは,落下防止のため,はさむ部分の長い方を下にして使います。(図③④) 長い方を 下にする 図② ○ クランプ 図③ 試験管ばさみ 図④ 悪い例 容器を加熱する際には,容器中の気体が 膨張して容器が破裂することがあるため, 絶対に栓をしないでください。(図⑥) ○ 洗うときは,サイズの合った試験管ブラ シを用意し,試験管の底を突き破らないよ うに注意して洗います。(図⑦) イ 注意事項 ○ 試薬の量が多すぎると,振り混ぜにくく, 図⑥ 図⑦ 加熱時の注意 破損例 加熱の際に突沸しやすくなります。 ○ 大きい試験管ブラシを無理に差し込まないようにします。 ○ クランプでガラス器具を挟むとき,締めすぎるとガラス器具が破損する場合があります。 ○ 試験管で液体を加熱する際には,クランプに固定して試験管を少し傾け,開口部に人が いないことを確認します。 ウ 事故例 ○ 加熱した試験管と知らずに手に持ち,やけどした。(図⑧) ○ 試験管ばさみのはさむ部分の短い方を下にして試験管を加熱 していたところ,試験管が滑り落ちて割れ,熱くなった液が手 足や服にかかった。 ○ アチッ 試験管に入った液体を加熱する際に,大きな炎で加熱したため に突沸した。 - 49 - 図⑧ やけどに注意 (2) ビーカー ア 安全な取り扱い方 ○ 溶液の量は,多くても4分の3程度とし,混ぜるときにこぼれたり,加熱時に吹きこぼ れたりしないようにします。沸騰させるときは,突沸を防ぐために,事前に必ず沸騰石を入れ ておきます。 ○ ビーカーの底を持って溶液を注ぐと,溶液が手に付くことがあるので,注ぎ口が外にな るようにして,縁の広がりのある部分を持ちます。(図②) ○ 外側が濡れていると滑りやすく,加熱時の破損の原因にもなるため、外側は濡らさない ように心掛けてください。 ○ 硬い固体をビーカーの底に直接落とすと破損することがある ので,固形物などを入れる際には,ビーカーを傾けてそっと滑 らせて入れます。(図③) ○ 混ぜるときには、ガラス棒の先にシリコン管をはめておくと シリコン管 ガラス容器を割ることがなく安全です。(図①) ○ 加熱の際には,外側をよく拭き,金網を敷いて加熱します。 少量の溶液を加熱するときは,空だきしないように気を付けま 図① 混ぜるとき す。 図② イ ビーカーの持ち方 図③ 固形物の入れ方 注意事項 ○ ガラス製の容器は,一部を強熱すると割れる恐れがあるため, 加熱する際には,金網を敷いて加熱します。また,ひび割れが ないかを確認します。(右図④) ○ ひびの入ったビーカーは使用しないでください。 ○ 小さな砂粒などの上に置くと割れることがあります。ビーカ ーなどのガラス器具を実験台に置くときはそっと置くように ひび割れ 直火 します。 ○ 液体を加熱する際,沸騰石を入れ忘れたときは,沸騰直前に 図④ ひび割れ あわてて入れると突沸を起こすことがあるため,一度冷まして から入れてください。また,一度使用したものは,沸騰石としての働きをしないので,使 わないようにします。 ウ 事故例 ○ ビーカーのひびに気付かずに液体を入れて加熱していたところ,突然ビーカーが割れ, 液体が飛散した。 ○ ガラス棒で混ぜていたところ,ビーカーにひびが入り,溶液がしみ出した。 - 50 - (3) フラスコ ア 安全な取り扱い方 ○ 溶液の量は,フラスコの4分の3程度とし,沸騰させるときは3分 の1以下にします。加熱する際には,必ず鉄製スタンドに固定します。 (図①) ○ フラスコの首の部分は弱く破損しやすいため,フラスコを持つとき は,底を手で支え,もう一方の手で首の部分を持ち,まっすぐに持ち 上げます。(図②) ○ 図① フラスコを用いて気体を発生させる際には,平底フラスコ 固定する ではなく,圧力に強い丸底フラスコを使用します。 ○ 固形物を入れるときは,フラスコを傾けてそっと滑らせて 入れます。 イ 注意事項 ○ 加熱する際には,外側の水滴をよく拭き取り,スタンドに 固定し,金網を敷いて加熱します。 ウ 図② 悪い持ち方の例 事故例 ○ 過酸化水素水の原液を三角フラスコに入れ,ゴム栓をして実験台の上に置いていたとこ ろ,翌日,フラスコが破裂していた。 ○ フラスコ内で水素を作る実験中,フラスコにマッチを近付けた際に爆発した。 (小学校で は水素を扱った実験はありません) (4) ピペット(スポイト) ア 安全な取り扱い方 ○ 駒込ピペットは,ゴムキャップを親指と人差し指で操作し, 下の部分を残りの指でしっかりと握って使用します。(図③) ○ 先端が欠けやすいため,ポリエチレンのチューブなどで先 端を保護したり,ピペット台を使用したりします。(図④) 図③ イ ピペットの持ち方 注意事項 ○ ゴムの部分のみを握って扱うとピペットがゴムキャップ から抜けて落下しやすいので,気を付けます。(図⑤) ○ 図④ ゴムキャップ内まで吸い込むと,ゴムが傷 ピペット台 んで他の実験で使えなくなるため,ゴムキャ ップ内まで吸い込まないようにします。 ○ ピペットの先は,溶液の入った容器の底付 近から吸うようにします。(図⑥) ○ 揮発性の試薬をピペットで測り取るときは, 吸い取った液が噴出しないように注意します。 図⑤ - 51 - 悪い例 図⑥ 深く入れる (5) メスシリンダー ア 安全な取り扱い方 メスシリンダーは,液体の体積を測るときに使用します。ガラス製は,破損しやすいので, 転倒時の破損防止のために,ゴムや安全リングを器具の先に巻いておくとよいでしょう。 イ 測り方 ① メスシリンダーを水平な台の上に置き,測り取る量よりもやや少なめに液体を入れます。 ② ピペットで少量ずつ加えていき,正確な量を測り取ります。 ③ メスシリンダーの目盛りを読みます。 下の写真のように,目の位置を液面の高さに合わせて,真横から読み取ります。液面が 盛り上がっている場合は最も高い部分を,液面が下がっている場合は最も下の部分を読み取 るようにします。 ウ 注意事項 ○ メスシリンダーのような容積を測るガラス器具は,加熱してはいけません。一般に,容積 を測るガラス器具を加熱乾燥すると,ガラスが膨張し正確な容積を測れなくなります。 ○ 使用後は,専用の箱に入れるか,転がらないように専用のストッパーを付けて,片付ける ようにします。 (6) 試薬びん ア 安全な取り扱い方 ○ 液体試薬の薬品びんは,ラベルを上にして持ち,試験管などに 注ぎます。栓は,内側を上に向けて置きます。(図①②) ○ 液体試薬には細口試薬びん,固体の試薬には広口試薬びんを用 います。 ○ 光により分解する薬品には褐色びんを用いるなど,薬品の性質 図① 薬品びんの持ち方 に合った試薬びんやポリびんを使用します。 イ 注意事項 ○ 液体試薬は,ラベルを下向きにして注ぐと,液だれによりラベ ルの文字が読めなくなることがあります。 ○ 揮発性の液体が入った試薬びんは,ゆっくりと蒸気を逃がしな がら栓を抜かないと,栓や液体が飛散することがあります。 ウ ○ 図② 栓の置き方 事故例 水酸化ナトリウム水溶液を入れた試薬びんの栓が取れなくなったため,机の横で栓を軽く たたいて開けようとしたが,力を入れすぎたため,試薬びんが破損して溶液が飛散した。 ○ 試薬びんの栓をつまんで持ち上げたため,栓が抜けてびんが落下し,試薬びんが割れ,試 薬が飛散した。 - 52 - (7) ガラス器具の洗浄・乾燥 ア 安全な操作等 ○ ブラシで洗うときは,ガラスの底を突き破ることがあるため,ブラ シは底までの長さに持って,その長さ以内でよく洗います。(図①) ○ 濃塩酸で汚れを取るときは,手の皮膚を冒すので,必ずゴム手袋を 着用します。 ※ 白衣かエプロンを必ず着用します。 ○ 洗ったガラス容器は,中の通風がよくなるように,また,水気を早 図① 洗浄 く出すようにするため,逆さに立てます。実験台等に直接立てるので はなく,適当な乾燥台に立てます。 ※ 早く乾かしたいときは,洗浄後にアセトンをかけます。特にピペッ ト類には効果があります。ただし,火気に注意をして取り扱いましょ う。 ○ アルコールやアセトンで洗浄するときは,換気や引火に注意します。 洗った後のアルコールやアセトンは,回収するか,多量の流水で流す ようにします。(図②) イ 図② 事故例 ○ ビーカーが欠けているのに気付かずに洗っていたら,手を切った。 ※ 汚れたア ルコールの 廃棄 欠けているガラス器具は,その場でよく分かる印を付けておくと このような事故は防げます。 (8) ガラス細工 ア 安全な操作等 ○ ガラス管を切るときは,目立ヤスリ (羽ヤスリ)をガラス管に少し傾けて押 し付け,更に前方に押し付けて傷を付け ます。押したり引いたりしません。(図 ③) ○ 図③ 傷の付け方 次に,傷の反対側に両方の親指の腹を 当て,おなかの前に構えて,親指で軽く きず 前に押しながら左右に引くようにして切 ります。このとき,周りに人がいないこ とを確認してから行います。(図④) 図④ イ ガラス管の切り方 注意事項 ○ すじ,気泡やゴミの入ったガラス管は,加熱すると割れる ことがあるので使用しません。(図⑤) ○ 作業するときは,安全のため,ガスバーナーの炎を上向き か向こう向きにして行います。 ○ すじ 気泡やゴミ 焼いたガラス管を木製の机などに置くと,焦げて火災の原 因となりますので,石膏ボードやガラス立てなどの上に置き ます。 - 53 - 図⑤ 使用不可 のガラス管 ○ ガラス管の切り口は,ケガの原因となりますので,焼いて丸くするか,ヤスリで削って 角を丸めておきます。また,一部を溶かしたガラス管を吹くと高熱の破片が遠くまで飛ぶ恐 れがあるため,絶対に人に向けて吹いてはいけません。 バーナーで焼き, 丸くする 一部を溶かしたガ ラス管を吹くとき は注意する 先端部の処理と危険防止 ○ いったん加熱したガラス管などは,再加熱しません。再加熱するとひずみによりガラス が粉々になって飛散しやすくなります。 ウ 事故例 ○ ガラス細工中,加熱した部分をうっかり触ってやけどした。 ※ ガラスが熱をもっているかどうかは見た目では分からないので,十分冷やして次の作業 を行います。 ○ ガラス細工中,いったん冷えたガラス棒を再加熱したとたん,ガラス棒の先が破裂し,破 片の一部が生徒の目に入った。 ※ ガラスはいったん冷えるとひずんでいるため,再加熱すると割れることが多くなります。 一つの作業が終わるまで手を休めてはいけません。安全メガネを着用します。 - 54 -