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サービス・マネジメント入門

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サービス・マネジメント入門
サービス・マネジメント入門
<5章のまとめ>
・真実の瞬間…顧客にとって本当に価値あるサービスを個人と企業の力が凝縮して発揮さ
れる瞬間のこと。
・人材育成の方法
従業員を「望ましい行動」へ動機付けられるようにし、職務行動が担当者の個人的成長
と関連付けられるようにする。また、高品質のサービス提供を重視する組織理念、従業
員成長を評価、支援する風土が大切である。
・従業員満足と顧客満足の関係
動機づけが強く、やる気のある従業員が顧客に接した方が顧客の満足が高くなる。
→インターナル・マーケティングが重要
・ホスピタリティ
顧客がまだ意識していない期待を先取りしてその欲求に応えるサービスを提供する提供
者の姿勢のこと。
→高水準のサービスを生むためには、従業員が通常の態度的接客表現を越えて、顧客に
ホスピタリティを提供する仕組みが作られていなければならない。
<6章
サービスの品質>
1、サービス・マーケティングの中核としての品質
~モスバーガーとマクドナルドの戦略~
○モスバーガー
・経営方針…お客がうまいと感じてくれること→美味しいとまた来てくれる
⇒「味」という外食サービスにおける最も重要な品質を最重点にした戦略
○マクドナルド
・どの店舗でも同一のサービス品質が得られる→サービスの工業化
⇒サービスという無形の商品をデザインし、その計画的生産に成功
・経営戦略の1つ…「低価格」
(コスト・リーダーシップ)
→消費者に、マクドナルドの提供する価値の第一は「低価格」だと意識づける
→しかしハンバーガーの値上げを止むを得なく実行すると決算で最終赤字に転落
⇒企業は顧客に提供する価値の内容に敏感でなければならない
~サービス・マーケティングと品質~
・商品(モノ、サービス)の品質が良ければ、企業の収益も高まる
→投資利益率と品質レベルの間、および品質と市場占有率との間には強い正の関係
・サービス品質がサービス・マーケティングの基盤
→4つの P(製品、立地、プロモーション、価格)はサービス・マーケティングでは品質
の「Q
Q」抜きではうまく機能しない
→消費した以後の口コミなどによるコミュニケーション活動が次の販売の重要なマーケ
ティング要素となり、モノ製品の場合と比較すると事前のプロモーション活動を上手
く活用できない
2、サービス品質とは
~モノの品質とサービスの品質~
・モノ製品の品質が良い=モノの持つ効用が高い、効用が劣化しない(例)自動車
→モノ製品を購入する時、仕様書によって機能を確認でき、手に取ったり試用可能
・品質を3分割
①探索品質…消費者が製品を購入する前に評価できる品質
②経験品質…製品の購入後に経験する品質
③信頼品質…購入後も時間が経過しないと評価が難しい品質 (例)医者の診断
→モノ製品の品質は、探索品質が主であるのに対し、サービスの多くは経験品質や
信頼品質に偏っている(図8参照)
→モノは購入前に品質の評価が可能であるのに対し、サービスは経験した後でないと評
価が難しい
⇒消費者はサービスの購入に際してモノの場合より大きな不安を抱き、謳い文句よりも
そのサービスの経験者の口コミなどの情報を重視する。また、サービス評価の際、価
格や企業の知名度、建物、サービス提供者の服装といった「外在的」な手掛かりを利
用する。
~客観的品質と主観的品質~
・モノの品質評価において探索品質が主→客観的な品質についての情報の入手が容易
・マーケティングの観点から重要なのは主観的品質、つまり顧客が主観的にとらえた品質
→顧客の消費行動に大きな影響を与えるのは、顧客が自ら認知し判断した評価
(例)クライスラー社製の車
→サービスの場合提供過程も評価対象の1つになる (例)虫歯の治療
~期待が決める品質評価~
・商品への購入後の満足感、品質評価は商品購入時に顧客が抱いていた「期待」の関数
→あるサービスについて“認知された品質”のレベルは、そのサービスについての顧客
の実際の“経験”が、事前に抱いていた“期待”と一致する度合いによって決定
(例)ラーメン屋
→「サービス品質=サービス実績-事前期待」
(2章 p60 第2の公式)
⇒品質を評価する場合、どのような期待を事前に持っていたのかが問題
・「期待」の構造(図9参照)
①望ましい水準の期待…顧客が受けたいと望んでいるサービス水準
②受け入れられる水準の期待…受け入れられる、我慢できる最低水準
※許容の範囲…①と②の間に存在する中間領域→日常のサービス経験の大部分
→期待水準は条件によって変化 (例)急いでいる人、大学
→2つの水準と許容範囲は結果と過程の2つの側面について別々に作られる
⇒期待と実績を比較した品質のとらえ方を不一致理論、またはギャップ理論と呼ぶ
~品質と満足感の関係~
・品質と満足感は全く別の概念 (例)レストラン
品質…合理的な認知・知覚であり、全体的、長期的な評価
満足感…感情的な感覚的反応であり、特定の状況に強く影響される
⇒サービス品質が高いと満足感も高くなり、品質が低いと満足感も低くなる相関がある
3、サービス品質の測定
~SERVQUAL の試み~
・SERVQUAL…期待と実際の経験(実績)とを対比してサービス品質を測定する方法
・手順
①サービスそのものの持つ様々な側面を 10 の項目にまとめる
②その側面に対応する 97 の質問項目を作り 200 人にプリテストを行う
③統計的手法を繰り返すことでサービス品質を表す5つの側面を抽出
④この5つの側面を「期待」と「実績」の各々について各 22 の質問を作り調査
⑤結果は「実績」から「期待」をマイナスすることで側面ごとの品質を表す数値を算出
・5つの側面
①物的要素…施設、備品、服装など
②信頼性…約束したサービスについて、任せられ正確に実行する能力
③反応性…サービスを実施する上での従業員のやる気と迅速性
④確信性…従業員の知識や礼儀正しさ、安心感を生む能力
⑤共感性…企業が示す、顧客への個人的な配慮と世話
→相対的重要性(状況による)…信頼性>反応性>確信性>共感性>物的要素
⇒消費者はサービス消費の第一主義的目的である「結果」の側面を重視
~すかいらーく・ガストの場合~
・期待と実績との差からサービス品質が測定できると同時に、期待自体の高さから、顧客
がサービス項目の何を大切にしているかを知ることができる (例)言葉遣い
→期待と実績との対比によるサービス品質の測定は、改善必要点を明らかにすると同時
に、改善の緊急度も示す
・図 10 ガストのサービス品質(実績と期待との差)の棒グラフ
→調査結果を分析すると若年層は「反応性」を重視し、中年層は落ち着いた雰囲気を求
めていることがわかった⇒顧客ターゲット別にサービス内容を検討することも可能
→5つの側面の重要性を見ると共感性が上位に位置し、日本社会において対人関係要因
の重要性を反映している
・サービス品質の向上がロイヤリティの高い顧客関係という資産を形成し、長期的なサー
ビス・ビジネスの成功へとつながる
→サービス品質の調査は、サービス活動の問題点を見つけ出し、問題点に対応した地道
なサービス品質向上の努力を積み上げていくことが大切
<7章
サービス・マーケティングの構造>
1、サービスのマーケティング
~サービス・プロフィット・チェーンの全体像~
・サービス・プロフィット・チェーン(図 11)
…サービス企業において、売上の向上と成長の実現、また収益性の向上などの成果を達
成するうえで関係する主要な要因を明らかにし、それらの関連性を示した要因関連図
→「顧客サービス価値」から左側を業務戦略とサービス・デリバリー・システムの領域
→サービス企業の内部環境の問題と業務運営に関する領域
・サービス・プロフィット・チェーンの要因間の関係
「顧客サービス価値」の高さは従業員の「生産性」と「定着率」の影響を受ける
→サービス品質はモチベーションが高く経験と技能を持った従業員の活動が重要
「顧客価値」と「顧客満足」および「顧客ロイヤリティ」の関係
→顧客価値の判断は長期的、全体的な判断⇔顧客満足は短期的で、より感情的な反応
→顧客満足が非常に高ければ顧客ロイヤリティにつながる
~サービス・プロフィット・チェーンとサービス・マネジメント・システム~
・サービス・プロフィット・チェーンの流れを構成する要因は、それぞれサービス生産過
程の各場面における活動の結果変数を表す
→適切な方法を利用すれば活動内容を測定できる
・サービス・マネジメント・システムの要素は、各々設計対象であるシステムの要素であ
り、サービス生産システムを作り上げる構造的側面
~サービス・マーケティングとサービス・マーケティング・ミックス~
・「顧客」と「従業員」を重視し、「サービス品質」の向上をサービス・マーケティングの
中軸として、市場ニーズに応え、企業の成長や利益率の向上を重視している
・モノ製品のマーケティングは企業の環境適応が中心
→4P(①製品計画、②価格設定、③流通の仕組み、④コミュニケーション)
・サービスのマーケティングは組織内部の状態が直接市場適応活動につながっている
・サービスにおける4P の内容
①「プロダクト」…顧客ニーズを充たすサービス・コンセプトを反映した具体的商品内容
②「価格設定」
③「チャネル」…流通経路
④「プロモーション」…サービスの場合パーソナル・セリングが中心、口コミも有効
※他に「人」、「サービス提供過程」、
「物的な要素」を加えた7P を考える立場がある
→対人サービスでは「人」の要素の影響は絶大
→「サービス提供過程」の違いは顧客がサービスを消費する上で異なった条件を課する
→「物的な要素」は環境条件、サービス提供に必要な道具類を指す
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