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~ 鳥取市さじアストロパーク通信 ~
☆今月の一言☆
2015年
「早起きは3文の得」
と言うけれど、やっぱ
り寒い ! で もき れ
いな星空待ってるよ。
11月号
Vol.254
寒いけど早起きのススメ「夜明け前の夜空が美しい」
気がつけば秋も深まり夜は冷え込む日が増えてきました。特に朝は布
団から出るのに時間がかかります。だからと言って布団の中ばかりでは
面白くありません。少しばかり早起きをして夜明け前の空を眺めてみま
しょう。可能なら朝5時に起きてみませんか。頭の上を基準とすると西
の空には冬の星たちが、東の空には春の星たちが見えています。
「まだ秋
なのに春の星?」と思うかもしれませんが、夜明け前の東の空には春の
星たちがすでに見えています。その中にひときわ目立つ星があります。
明るい星から金星(マイナス4等)
、木星(マイナス2等)です。そして
少し暗いのですが赤い色の火星(1.7等)もあります。11月でも上
旬、中旬、下旬と間を明けて観察して見てください。そうすると惑星た
ちが位置を変えているのがわかります。また11月7日には月齢24.
8の月が惑星近くに輝いています。夜明け前の美しい夜空に注目です。
「火球」に期待! おうし座流星群
星のたより10月号でもご案内しましたが「おうし座流星群」が極大日
を迎えます。多い時で1時間に10個程度なのですが、おうし座流星群の
特徴として「火球(かきゅう・明るい流れ星)」が流れる可能性が高いと
いう事があります。19時頃には東の空におうし座が昇ってきて、夜半に
は頭の上付近、そして夜明け前は西の空におうし座を見ることができます。
ようは一晩中楽しめる流星群です。おうし座流星群は中心となる放射点は
2ヶ所あり、南群が11月6日、北群が11月13日に極大になるとの予
報が出ています。数は多くありませんが「火球」クラスの流れ星が見える
可能性があります。のんびりと夜空を見上げてみましょう。
イベント等のお知らせ
☆館内展示☆
「アストロ宇宙写真展」
☆プラネタリウム☆
☆天体観察会☆
(夜間観望会)
☆11月の休館日
第1部
第2部
専門員によるライブトーク
番組「太陽系火山めぐり」
8月27日(木)~12月18日(金)
9月16日(水)~12月27日(日)
11月のオススメ天体として海王星・M15・M31などの天体を予定しています。
満天の星空が見たい時は1日(日)~14日(土)の期間がよいでしょう。
2日(月)、4日(水)
、9日(月)
、16日(月)
、17日(火)
24日(火)
、25 日(水)
、30 日(月)
早いのですが12月のイベントを紹介しておきます。ぜひ参加して下さい。
・宇宙ふしぎ探検「ふたご座流星群を観察しよう」
12月13日(日)19時30分~21時
・第20回クリスマス謝恩コンサート
12月20日(日)15時~16時30分
※イベントの詳細やその他の情報はさじアストロパークのホームページなどを参考にしてください。
月の暦
下弦
3日
●新月
12日
上弦
19日
○満月
26日
こ う さい ひ ろ き
香西洋樹の「望遠鏡とともに」
○東京天文台実験工場(中村義一さん)
現在の国立天文台には、東京天文台時代から引き続いて実験工場が運営されています。天文観測には、
かなり多種の金属やプラスチックを使った機材の部品が使われ、しかもこれが1度だけの使用を目的と
した単品のものが多数使われてきました。私の在任中にも、多くの部品をこの実験工場に依頼し、製作
して貰い観測に使用していました。
天文台付属の実験工場といっても、旋盤を始めボール盤ほかの切削工具が多数設置されていて、専門
の技術者によって観測者の要求に沿った部品が高精度で作られ、天文観測の精度の向上に尽くしてきま
した。初めの頃のことです。工場の主任は、T氏で、戦前の日食の海外遠征にまで出張し、現地での観
測に大いに尽くされたと聞いています。この実験工場に在勤していた人の中に、現在、町工場ながら高
精度の加工技術を誇っている三鷹光器の創立者で会長の中村義一氏がいました。大変に優れた技能の持
ち主で、天文台の総ての部局から出される製作の要求を見事にクリアーしてくれていました。
私なども、この実験工場に足繁く入り込んで、見よう見まねで観測に使用する部品を作ったものでし
た。ある日、突然にこの中村氏の姿が実験工場から消えてしまったのでした。東京天文台で行っていた
観測に使用する機材の部品はこの実験工場で試作し、実験工場で製作できないような、例えば赤道儀や
反射望遠鏡の主鏡用のセルなどは、出入りの機械加工会社に発注していたのです。中村氏は、この会社
に引き抜かれ、転職してしまったのです。一寸した騒ぎが発生しましたが、それもやがて収まると、外
注される天文台の機器の精度がさらに向上し、その加工会社の実力も向上したのでした。
それはさておき、実験工場で製作して貰った観測器具の中で私の記憶に最も深く残っているのは、掩
蔽(えんぺい)観測で使用するために作って貰った器具です。掩蔽観測では潜入と出現の時刻を観測し
ます。現象の時刻を観測する事によって月の軌道理論の改良をするのです。星が月の裏側に潜入するの
は現象の直前まで眼視観測が可能ですが、月の裏側からの出現の観測は容易ではありません。何しろ、
何も見えない暗い月の縁から突然星が現れるのですから。あらかじめ現象が起きる場所の方位角が予報
されていても困難。これを解決したいとアイデアを持ち出して実験工場で製作して貰ったのが、出現の
位置角と月の見かけの直径を元に接眼鏡を移動可能な取り枠にセットして、望遠鏡をガイドするための
装置。この部品が手に入ってから出現の観測が容易になりデータの取得数が増えたのでした。
佐治天文台のメイン望遠鏡は、三鷹光器の製作です。私は、会長の中村義一氏とはこの実験工場以来
の、或る意味での友人。この出会いが、現在の佐治天文台のメイン望遠鏡の製作に或る意味で寄与した
のです。人との出会いがどんな結果をもたらすか不明です。しかし、出会いこそが始まりと私は感じて
います。大切にしたいものです。
国立天文台65cm屈折望遠鏡に
取り付けた掩蔽観測用の接眼部。
三鷹光器製 103cm大型望遠鏡
三鷹光器製
(鳥取市さじアストロパーク)
5連式太陽望遠鏡
特集:天王星と海王星
海王星がみずがめ座に、また天王星がうお座に位置しており観察好機を
迎えています。惑星としては大きいのですが、観察には望遠鏡が必要なた
めなかなか見る機会がありません。望遠鏡で観察してほしいという願いを
こめて、2 つの惑星について紹介します。
★天王星(てんのうせい)
天王星
太陽からの平均距離
ボイジャー探査機
太陽系第7惑星
28億7500万km
(地球と太陽の距離の約19倍)
半径
25,559km(地球の約4倍)
自転周期
17時間14分
公転周期
約84年
衛星数
27個
等級(明るさ)
5.3等
ボイジャー2号が撮影した天王星
1781年にイギリスの天文学者ウイリアム・ハーシェルによって初めて望遠鏡で発見された惑星
です。発見時はぼうっとした淡い像で見えたところから彗星として報告されたようですが、観測が進
み軌道計算などから土星よりはるか遠くにある惑星という事がわかりました。明るく見える時の明る
さは5.3等ですので、惑星と認識される前は「恒星」として観測されていたようです。天王星は横
倒しで自転しています。もともとは他の惑星と同じように自転軸は立っていたのですが、大きな天体
が天王星にぶつかったらしく、その結果横倒しで自転することになりました。84年の公転周期です
ので42年ごとに昼夜を繰り返しているという事になります。また天王星には「環」があることもわ
かっています。天王星が恒星を隠す掩蔽(えんぺい)を観測したときに、本体に恒星が隠される前と
後に明滅を繰り返したそうです。その観測結果から環の存在が明らかになりましたが、実際に環を観
測できたのは1986年にボイジャー2号が天王星に接近した時が初めての事でした。
☆海王星(かいおうせい)
海王星
太陽からの平均距離
太陽系第8惑星
45億440万km
(地球と太陽の距離の約30倍)
半径
24,764km(地球の約4倍)
自転周期
16時間6分
公転周期
約164年
衛星数
13個
等級(明るさ)
7.8等
ボイジャー2号が撮影した海王星
天王星の発見後、天王星の軌道が乱れる摂動から天王星の外側の軌道にも未知の惑星があると予想
され、軌道計算された予報位置の付近を捜索した結果「海王星」が発見されました。軌道計算と天体
観測で発見された惑星です。ボイジャー2号での観測で表面に大暗斑が発見されましたが、ハッブル
宇宙望遠鏡での観測で消えてしまったことがわかっています。なぜかはまだ分かっていません。また
海王星にも環があることがわかっています。
☆天王星と海王星を望遠鏡で
2つの惑星を望遠鏡で見てみましょう。観察ポイントとして、
「①の恒星との輝き方の違い」
「②ど
のような色で見えるか」
「③望遠鏡で見たときの星の大きさ」などに注意して見てください。
①は恒星の鋭い輝きと違ってボヤーとした輝きです。
②ですが天王星は青緑色、海王星は青色に見えます。
③は恒星のように一点が輝いているのではなく、星に面積があることがわかります。
残念ながらとても遠い場所にあるため表面の模様などは見えませんが、地球の仲間の惑星として観察
してみましょう。
2015 年11月の星空
・夜空を見上げると「秋の四辺形」が天頂付近に見えています。ここから秋の星座たちをたどることが
できます。特に「ケフェウス座、カシオペヤ座、アンドロメダ座、ペガスス座、ペルセウス座、くじら
座」は「古代エチオピア王国の物語」の登場人物たち?!です。星座を探すとともに、ぜひ物語を読ん
でみてください。壮大な物語という事がわかります。
・「秋のひとつ星」と呼ばれる「フォーマルハウト」が南の空に見えています。1等星ではありますが、
低空ですので何となく暗く見えてしまいます。西の空に見えているベガ、デネブ、アルタイルや、東の
空に見えているアルデバランやカペラと見比べてみてください。
・北寄りの空になりますが西から東へと天の川を見ることができます。夏の星座から冬の星座へとつづ
く「秋の天の川」です。特にカシオペヤ座あたりは見やすいでしょう。双眼鏡などあればその付近にあ
る星団なども観察できます。
観察会の時間、休館日
など詳しい情報につい
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