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中国農村家族と戦略理論 - 広島県大学共同リポジトリ
県立広島大学人間文化学部紀要 1 ,1 2 3 1 3 5( 2 0 0 6 ) 中国農村家族と戦略理論 富田和広 はじめに P . ブルデューは、集団は全体として、相続した権力と特権を維持しつつ、あるいは増大させつつ B o u r d i e u1 9 8 0=1 9 9 0:3 0 )0 次代に伝えるために「生物学的再生産諸戦略」を採用すると述べている ( 言い替えれば、再生産戦略は「グループ、とりわけ家族が、自己を生産し、自己を再生産するために、 ということはつまり、自己の統一性、要するに、自己のグループとしての生存を、創出し永続化する ために J( B o u r d i e u1 9 8 7=1 9 8 8:1 2 0-1)用いられる1)。 では、中国において、再生産の対象となるグループとは何か口 家産が 1人だけに相続される所では、生存のための明確なグループを想定しやすい。しかし、中国 の農村のように家産が複数の者に均等に分割される所ではどうか。家産を均等分割をする限り、親か ら相続した権力と特権を同程度に自分の子どもたちに継承することは非常に難しい。では、それより 大きなグループが戦略の対象となるのか。 これまで、中国人にとって生き残るべきグループは何かというテーマは、家族・親族 2)集団、あ るいは地縁、血縁に関する研究として行われてきた。 本論文では、まず、ブルデューの戦略理論、および戦略理論から中国家族へアプローチした先行研 究をまとめ、次に、中国の家族・親族についての先行研究において、家族そのものがどう捉えられて きたか、また、家族の上位集団である親族が、どれほど家族に対する規制力を持っているとされてき たかという点を明らかにし、人は、家族の社会的空間における位置の再生産を目的とするのか、それ とも親族などのそれを優先するのかというテーマについて、先行研究での到達点と課題を明らかにし、 ) 戦略理論から中国農村家族を研究する際の枠組みについて検討する 3。 本論に入る前に、中国、中国人の定義について述べる O 現在、一般的に中国と言えば、中華人民共 和国という意味で使われることが多く、中国人は、中華人民共和国の国民、または漢民族 4)を指す ことが多い(竹内・矢吹編 2 0 0 0:5 0- 1)0 一方で、国家としての中国にとらわれず、歴史的、地理 的存在として中国ということも多い 5) (竹内・矢吹編 2 000:5 0 )0 岸本美緒は、中国とはもともと国 の名前ではなく、複数の国を含むゆるい文明圏を指す語で、中国文化を取り入れる者ならば出身を問 わず誰でも中国の中に包含しようとする包容性も、中国観念の 1つの特色とみることができると述べ 0 0 3:1 4 ) 本論文において中国は、特定の国家を指し示すのではなく、 1つの ている(浜口・岸本 2 0 文化圏としてとらえることにする。同様に中国人も、中国文化圏の中で生きる人々を指すことにする 6。 ) なお、文中でく>で固まれた漢字は中国語であることを表しており、漢字の後のアルファベット表 言己はピンインである O 1 2 3 富田和広 中国農村家族と戦略理論 1 ブ、ルデューの戦略理論と中国家族研究 1- 1 戦略概念 ブルデューは、家族、氏族、部族等の血統を基盤とするグループにおいて、自己のグループとして の生存を創出し永続化するためにさまざまな戦略がとられていることを明らかにした7)。ブルデュー は、これらの戦略を「相続した権力と特権を維持しつつ、あるいは増大させつつ次代に伝えるために B o u r d i e u1 9 8 0= 1 9 9 0:3 0 ) と定義する O 具体的には、 集団全体が採用する生物学的再生産諸戦略J( B o u r d i e u1 9 8 0= 1 9 9 0 : 5-3 0 )。結婚戦 結婚戦略、教育戦略、産児戦略、相続戦略等があげられる ( 略は、家系の再生産、したがって労働力の再生産を確保する方法を手に入れることが、その第一の直 (Bourdieu 1980=1990: 7)、教育戦略は、「家庭内における文化資本の継承」 ( B o u r d i e u1 9 7 9=1 9 8 6:1 9 ) を目指すものである O 接の役割であり 1-2 文化資本概念 文化資本とは何か。ブルデューは、資本を経済資本、文化資本、社会関係資本に区別する O 経済資 本とは、いわゆる動産・不動産といったもので、文化資本とは、生き物になった財産、まさに身体化 されてその人物に完全に組み込まれた所有としての特性、即ちハビトゥスである O 社会関係資本は、 人脈やコネといったような、当人になんらかの利益をもたらす形で社会化された人間関係の総体であ る。経済資本は、教育投資などによって文化資本に転換されて学歴資格となり、それはまた、物質的、 象徴的利益を生み出す。この戦略によって、自らの社会的空間の中での位置を保とうとする、あるい はよりよい位置へと移動しようとする口 B o u r d i e u1 9 7 9=1 9 8 6 )。 ブルデューは、文化資本には 3つの様態があると述べている ( Iつ日は、身体化された様態で、これは持続的に身体を使うことによって蓄積される形式である。 身体化には多くの時間が費やされる O 身体化された資本は、贈与や相続継承、購入や交換によって即 座に伝達されうるものではなく、無意識なやり方で獲得される。そして、資本を身体化することによ B o u r d i e u1 9 7 9=1 9 8 6:2 2 )。教育戦略は、この「社会的な錬 って、経済資本を象徴資本に転換する ( 金 術 J( B o u r d i e u1 9 7 9=1 9 8 6:2 2 ) のための戦略なのである。 次に述べる客体化された文化資本の量は、家族総体のなかに身体化されている文化資本にかかって いる。それゆえ、もともと家族の構成員の文化資本の総量が大きければ、時間の無駄なく文化資本の 蓄積が可能になる D ま た 、 経 済 的 余 裕 が あ れ ば 、 個 人 が 文 化 資 本 を 獲 得 す る 時 間 が 保 証 さ れ る ( B o u r d i e u1 9 7 9ニ 1 9 8 6:2 1-2 4 )。たとえば、子どもを働かせねばならないような家庭では、子ども への文化資本の蓄積は難しい。 2つ日は、客体化された様態で、これは文化財という形式(例えば、絵画、書物、辞典、道具、機 械等)である O 客体化された様態における文化資本の特性は、身体化された形式をとる文化資本との B o u r d i e u1 9 7 9= 1 9 8 6:24-2 6 )0 文化財の獲得には経済資本が必要であ 関係で、初めて決定される ( るし、その価値が分かるためには、身体化された文化資本が前提となる D 3つ目は、制度化された様態で、 2つ日とは別の客体化形式である O 身体化された文化資本は、生 物学的限界を持っているが、資格という形式へ客体化すれば、その特性を弱めることができる ( B o u r d i e u1 9 7 9=1 9 8 6:2 6-2 8 )0 たとえば、学校で学んだ内容は加齢とともに忘れることはあるが、 学歴という資格は生涯保証される O 中国農村について言えば、経済資本は次の世代に継承できるものの、均分相続という制度によって、 1 2 4 県立広島大学人間文化学部紀要 1, 1 2 3 1 3 5( 2 0 0 6 ) 子どもは何分割かされた家産しか相続できない。一方、農村における文化資本は、ひとつは農業技術 に関するものが親から子へと継承されている O これは身体化された文化資本である O 親が早くに死ぬ などすると、これが継承されない。また学校教育によって身につけるものもある。農村においては長 い間、初等教育が主であったため、学歴には関心が持たれなかったようである O 客体化された文化資 本は、同様に、ほとんど農民にとっては無縁のものだ、ったであろう D ただ、現在の都市住民において は、客体化された文化資本や制度化された文化資本、特に学歴は重要なものである O 1-3 ゲームの規則と実践感覚 さて、この戦略を明らかにするためには、ブルデューが言うところのゲームの規則、実践感覚と言 った概念を用いた考察が必要である O ゲームの規則とは、例えばカードの価値、好ましいプレイや禁じ手といったもので ( Bourdieu 9 8 8:1 0 3-4)、実践感覚とは、ゲームに勝つための「戦略の現実的原理J( B o u r d i e u1 9 8 7= 1 9 8 7=1 1 9 8 8:9 9 ) である そして戦略とは、ゲームの規則の範囲内でできるだけよいプレイをするように実 O 践感覚によって生み出されたものである。このような戦略の下では、ものごとは規則性をもって起こ る ( B o u r d i e u1 9 8 7ニ 1 9 8 8:1 0 5 )0 言い替えれば、実践感覚は統計的に把握可能な規則性に自発的に従い、結果として、実践感覚によ って導かれる行為は、当然、規則性をもったものになるわけである 8) ( B o u r d i e u1 9 8 7=1 9 8 8:105- 8 ) 0 1-4 家族戦略概念を用いた先行研究 家族戦略概念は、既に実証研究にも用いられている 9)が、中国家族研究に応用したものは非常に 少なく、今のところ松戸庸子と吉田有見のものだけである O 松戸は、都市部では上海と成都、農村では上海近郊の青浦、江蘇省の太倉、四川省の宣賓という 5 カ所での調査データをもとに、社会主義的計画経済、市場経済の時期を経た家族意識を明らかにしよ うとした(松戸 2 0 0 4 )口その結果、個人よりも家族優先、世帯収入増が第一主義という項目に同意す るものが過半数を超えており、家族 A 丸となって豊かになることが家族戦略の中核に据えられている ことがわかると述べている(松戸 2 0 0 4:1 9 6-7)0 ただし、松戸の調査は意識調査であり、具体的 な行為からその戦略を明らかにしたわけではない。また、家族および、戦略概念について特に定義をし ておらず、豊かになろうしている家族の範囲も明確ではない。 吉田有見は、中国からの帰国者 10) の 2世家族へのインタビュー調査を通し、どのような家族戦略 を持ち、また問題に対応しているのかを明らかにしようとした(吉田 2 0 0 1 )0 吉田は、これまでの戦 略概念の先行研究をふまえた上で、家族戦略を「家族における長期的で能動的・合理的な計画と行為 J (吉田 2 0 0 1:2 7 5 ) と捉えて考察している O 吉田の研究から家族戦略の目的は 2つ浮かび上がってく るD 一つ目は子供に高い教育を受けさせること 11)0 2つ日は老後の生活保障である O しかし、再生産 を図るグループは何かという観点からの考察はない 12)。 以上のように、戦略理論を用いた中国家族研究の成果はまだ少なく、また、再生産を図るグループ、 生き残るべきグループは何かという観点からの研究もない。しかし、それは同時に、生き残ろうとす る集団の不明確さ、さらには中国の家族・親族を集団としてとらえることの難しさからくるのかも知 れない。そこで次に、先行研究において、中国の家族・親族がどうとらえられてきたのかをまとめる 中で、有効な分析枠組みについて考察する O 1 2 5 富田和広 中国農村家族と戦略理論 2 親族 中国人は家族や血縁を重視する 13) と言われる O 福武直は、特に農村において人は、家族の成員、 同族などの集団成員として行動するのであり、集団から遊離した個人として行為することはほとんど 1 9 5 1 ]1 9 7 6:9 6 )0 このことについて L. イーストマンは、中国にお あり得ないと述べている(福武 [ 4 0 0年以降の人口の急増、特に 1 8世紀の著しい増加は、漢族がそれまで定住していなかった地域 いて 1 への植民を促し、移住民は、先住民族に対する防衛、開拓、水利濯瓶設備の建設、維持のために協同 することが必要となり、政治・経済的に依存し合わなければならないために、自主独立ではなく、他 988= =1994: 者への依存性という中国人の性格を強化することになったと述べている (Eastman 1 1 3-2 7 )0 また、中国では、子どもは成長すると家産を分割し、別々の経済単位として生活するが、 この家産の均分による個々の家族の分裂の傾向を克服するために宗族が形成されるとも言われる (Eastman1988= =1 9 9 4:3 2 )口 そこでまず、先行研究において、親族がどの程度、家族や個人に対して規制力を持っているとされ てきたのかについてまとめる D 2-1 親族結合の強さ 清水盛光は、古今の文献資料をもとに、中国血縁社会の特色は、なによりも親族結合の緊密性に求 められるとし、この緊密姓は、中国の親族が家族(経済的家族)と宗族(宗教的家族)の重層的構造 9 4 2:5 6 7 )0 によって保持されてきたと述べた(清水 1 仁井田陸は、清代または戦中においても、同族結集力は華中ことに華南で著しく華北では乏しい 14) が、分裂した家族 15) を系統的につなぐ機能は有していると述べている(仁井田 [ 1 9 5 2 ]1 9 7 8:1 0-7)0 福武は、同族村落は南方諸省のみの特色ではなく広く全国にわたって分布しており、華南に多く華北 に少ないと一概に論ずることはできないと述べている(福武 [ 1 9 5 1 ]1 9 7 6:2 4 1-4)0 2 0 0 1年に山西省の農村の宗族を調査した陳鳳は、家産分割や養取には族長(現地ではく家長>と呼 ばれている)が最終的な決定権をもっていたと述べている 16) (陳鳳 2 0 0 2:1 0 8 )0 i 折江省農村で解放前の状況について聞き取り調査を行った上田信は、家屋や耕地の取得・建築・配 分などは同族関係のチャンネルを介して行われ、あるいは、有能な族人を社会的に上昇させる機能を 果たしていると述べている 17) (上田 2 000:87-9 6 )0 具体的に言えば、他村に族田を貸すことによっ て得た小作料を用いて、奨学金を出したり私塾を開設し、その結果、上海の大学に入学したり、国民 0 )0 政府のもとで裁判官になったり、上海で活躍するものも現れたという(上田 2000:87-9 石田浩は、戦中期の中国農村杜会に関する調査資料を分析し、中国の村落には共同体がなく、共同 体的土地所有に代わるものとして、そして農業の再生産や村民生活の再生産を保障するものとして、 9 9 1:6 2 6 )、 1980年代以降の華北・華中・華南での農村 人的ネットワークが存在したと述べ(石田 1 調査の結果を用い、解放前から、同族村においては同族(血縁)、雑姓村においては同郷(地縁)と 9 9 1:6 2 7 )、中華人民共和国建国後も、 いった人的結合が、社会生活で大きな役割を果たし(石田 1 9 7 8年の三中全会以降の市場経済導入による農村 この人的結合は農村経済の停滞によって存続され、 1 9 9 1:6 4 1-2)0 さらに、 経済変革も、人的結合のネットワークを利用していると述べている(石田 1 中華人民共和国の農村で、長期参与観察を行った劉応傑は、農村の家族・親族関係は、農村社会におい 9 8 8:8 7 )。 て一切の地位を占拠、支配していると述べている 18) (劉応傑 1 現在、宗族活動が形式化し、社会機能はほとんど消失したとも言われるが(庚欣 1 9 9 8:1 5 )、宋建 1 2 6 県立広島大学人間文化学部紀要 1, 1 2 3 1 3 5( 2 0 0 6 ) 華は、親族システムとしての父系制はいまなお保持されていると述べ、社会生活の総てで、家族や親 族を核とする縁故主義の存在を指摘している 19) ( 宋 1 9 9 4 ) 0 このように先行研究では、親族集団は各地に存在し、親族メンバーに規制力を持ちつつも、家族を 支援する機能が強調されている。 2-2 親族結合の弱さ 一方、親族の結合や機能の弱さを指摘する研究も多い。 牧野巽は、中国の古礼の時代から、族長より父母の権威の方が大きかったと述べている(牧野 1985: 4)0 仁井田も、華北の多くの農村では、族長権力の家族内に及ぼす力はほとんどなく、家父長権も族長 の権力によって影響されることはないと述べている(仁井田 [ 1 9 5 2 ]1 9 7 8:1 5 )0例えば、華北農村の 家産分割や養子縁組については、族長が最終的な決定権を持っている場合と、そうでない場合をあげ ている(仁井田 [ 1 9 5 2 ]1 9 7 8:82-9 3 )0つまり、必ずしも親族全体を考慮して家産分割が行われてい たわけではない。 福武も、同族集団には、相互扶助(例えば借財)などの機能はあるものの同族特有の強度があるわ けではなく (福武 [ 1 9 5 1 ]1976:1 2 6-7)、特に華北農村の同族の結合は強固ではなく、その機能は 祖先祭杷以外には見るべきものはないと述べている(福武 [ 1 9 5 1 ]1 9 7 6:3 7 0 )0 さらに、華中農村に おいても、祭閥、扶助、同族の家族への統制という同族の機能が弱い点から、同族集団の結束は弱く、 集団的機能も著しくないと結論づけている O 家族への制約について言えば、家産分割における同族な いし族長の統制権は絶対ではなく、土地などの同族への先買権も権利と称するほど強いものではなく、 婚姻も一般に家長の単独に決し得るところであり、また、異姓養子も存在していると述べる(福武 [ 1 9 5 1 ]1 9 7 6:1 2 2-3 0 )0 異姓養子について少し詳しく述べるならば、周知のように、中国の親族集団には異姓不養の原則が あり、跡継ぎの男子がいない場合、娘がいても婿をとらず、親族内から養子を迎えることが理想であ る(仁井田 [ 1 9 5 2 ]1 9 7 8:1 7 6;山路 1 9 8 1:1 6 5 )0 しかし、実際には異姓養子は存在している 20)。他姓 の養子をとる場合は、同族の承認を必要とし、継承権を有する甥への幾らかの分与が条件となると言 われている(福武 [ 1 9 5 1 ]1976:1 2 7-8)0家産を継承する男子がおらず、父系親族員が養子として 選択された場合、親族内の家産分割数は少なくなる。つまり、子ども 1人あたりの取り分が増えるこ とになるが、他姓の養子をとった場合はその増加分がない。だから、勝手に異姓養子をさせないので ある O 同様に、慣行調査からは、財産のないところに養子にいって苦労するなら自分の家で苦労した 方がよいという聞き取り結果もある(仁井田 [ 1 9 5 2 ]1 9 7 8:1 7 7 )0同族内に養子をやる場合、経済的 メリットが必要だということである。養取は、祭記の相続のためというより、財産相続の形式なので ある 2]) (仁井田 [ 1 9 5 2 ]1 9 7 8:1 7 6 )0そして、その経済的メリットは、同族全体のメリットより下位の 集団にとってのものであることがここから分かる。 また上田は、前述の i 折江省の農村の現地調査から、日常生活においては同族集団のメンバーは、協 力するよりも対立することが常態で、戦乱や飢僅などの危機的な状況下では、地縁関係も発動される ことはなく、個人の安全を保障するものは姻戚関係 22) であると述べている 23) (上田 2000:9 6 )。 1949年の中国革命直前には、同族関係は階級的緊張関係にあったという指摘もある 24) (加々美 1 9 6 8 ) 0 台湾においても、山路勝彦は充分機能していない宗族の例を報告している(山路 1 9 7 3:287-8口 ) 末成道男は、台湾での調査から、漢人にとって父系血縁は、自己が選択操作する関係の 1つに過ぎな 1 2 7 富田和広 中国農村家族と戦略理論 いと述べ(末成 1 9 8 3:2 6 8 )、漢入社会の特徴として、状況に応じて自在に紐帯を選択操作して自ら 9 8 3:3 2 3 )0 に必要なネットワークをつくりあげてゆく点をあげている(末成 1 以上のように、先行研究においては、中国の村落には共同体がなく、人々はネットワークによって 支えられているものの、日常的に協力するよりも対立することが多く、必ずしも親族集団が最も優位 にあるわけではないとされている O つまり、親族は家族より上位にはあるが、人々は、親族の社会的 空間における位置の再生産を最優先としているのではないことが分かる O では、家族の社会的空間に おける位置の再生産が最優先なのか。次に、先行研究における家族の定義および、家族が個人をどの ようにコントロールしていると考えられてきたかについて述べる D 3 家族 3-1 財産所有単位としての家族 中国の家族あるいは家の定義は、多くの研究者を悩ましてきた。そして、財産の共有、同居、竃の 共用、祭杷の共同などを指標として、メンバーシップの画定が行われてきた。その中では、家産の共 有を重要視しているものが多い。 家族を財産所有単位ととらえたものとして、 れる D . カルプ、 M .L . コーエン、山路の研究があげら Q カルプは、広東省での調査から、家族を自然的家族、因襲的家族、宗教的家族、経済的家族という 四つの枠組みで分析し、中国人にとってふつう一般に家族 25) として解されているものは経済的集団 K u l p1 9 2 5= 1 9 4 0:1 9 4 )0 カルプの言う経済的家族とは、血縁・婚姻を基礎として、 であると述べる ( K u l p1 9 2 5=1 9 4 0:1 9 4-6)0 先祖伝来の財産を分割しかなった集団である ( コーエンは、台湾南部の客家系村落での調査結果をもとに、く家 j ia>=家族 ( f a m i l y ) は財産所 9 8 2 ) 0 有単位であり、財産分割によって家族も分裂するととらえている(コーエン 1 山路勝彦は、カルプや慣行調査の結果なども分析した上で、家族を形作る現実的基盤は経済の共同 性であり、たとえ別居していようとも、家計を共にしている限りにおいて、同じ家族の一員と見なさ 9 8 1:1 2 5-6)0 れると述べている(山路 1 3-2 部分としての家族 また、家産分割後のつながりに目を向けたものとしては、内田智雄、木下英司、王搭興の研究が あげられる。 内田は、華北農村慣行調査の結果から、同居同財のく家 j ia>は家産分割によって分裂する過渡的 ia>を包摂する同族(一家子 y i j i a zi)は、拡大され 存在であり、分裂によってできた新しいく家 j i a >の性格をもっと述べている(内田 1 9 5 6:1 5 8 )0 たく家 j 木下も、山東省での調査から、家産分割を契機として、共通の祖先を祭記する、より大きな集団< i j i a z i >に包括されるという同様の視点を提示している(木下 1 9 9 6 a,1 9 9 6 b )0 一家子 y 王搭興も、家産分割後にできた生活単位をく家庭 j i a t i n g >、結合傾向が強化された兄弟・父子関 iazu>として、複数のく家庭 j i a t i n g >が老父を中心としたく家族 jiazu>を形 係を軸にしたく家族 j 王 1 9 8 6 ) 0 成していると述べている 26) ( 1 2 8 県立広島大学人間文化学部紀要 1, 123 135 ( 2 0 0 6 ) ← 3-3 層としての家族 家族と親族・宗族との関係に注目して家族について述べたものに、清水、末成の研究があげられる O 清水は、古今の文献資料をもとに、中国の家族は集団化された親族の範囲であり、家族と他の親族 集団の聞には単に親族集団化の形態上の差異があるに過ぎないと述べている o 青水 1 9 4 2 : 1-2 )0 また末成も、台湾の調査から、家族が多層的であり、宗族も幾層にも分節化し、かつ偏った構成を 9 8 3 ) 0 し、さらに競合的側面をも持っていることを指摘している(末成 1 これらのことは、老親の扶養の点から見るとわかりやすい。親の生前に家産分割をし終えた場合、 親の財産管理権はなくなり 27)、家産を分割された者たち全員で親を扶養する。家産分割を終えた者同 士は竃は別だが、親の扶養は輪番で行うことが多いため、扶養の期間中は、親子は同食、同居である 28)D つまり、家産分割後も親夫婦と子ども夫婦(あるいはその子など)はひとつのまとまりを持っている が、それは固定されたものではなく、扶養の順番が他に回れば、生活上は親子は切り離される。この ような関係が、時には祖父-父一本人一子という四世代に渡ることもある O この場合でも扶養の 2者 関係は不変なので、ここでいう本人が祖父を扶養することはない。あくまで子が親を扶養する。そし て時には、家産分割をせずに、いわゆる大家族を作り上げる場合すらある。 王は、中国人の家族集団の不明確さは、結合の範囲が常に状況によって選択されていることに基づ き、関係はあるが組織はないと結論づけている(王 1 9 8 6,1 9 8 7 )0 以上のように、中国の家族、親族は、研究者の間に合意された定義がなく、定義そのものが難しい というのが先行研究の到達点と言っても良い。 3-4 関係認知の複合体としての家族 一方、坪内良博・前田成文は、家族園という概念を提唱しているお) (坪内・前田 1 9 7 7 ) 0 坪内・前 田は、家族を家族圏として把捉し、「家族圏は出生・養取または結婚を契機として出現する、各個人 を中心とする関係の認知の複合体J(坪内・前田 1 9 7 7:2 2 ) と述べている。家族圏という考え方は、 様々なパターンを包含できるものであり、特定のモデルを当てはめるのが難しい中国の家族にアプロ ーチする際には、有効であろう O 言い換えれば、多くの先行研究が、家族の定義に頭を悩ませたの は、く家庭 j i a t i n g >、く家族 j i a z u >といった語葉の指し示す内容を明らかにしていくという方法の 限界によるものだ、ったとも言える D 1 2 9 富田和広 中国農村家族と戦略理論 おわりに 坪内・前田が家族圏の定義で述べている出生・養取または結婚、さらに教育投資は、まさしく生物 的・社会的再生産の為の行為であり、そこに働く戦略を明らかにしていくプロセスこそが、生き残る べきグループ、家族の範囲についての考察を可能にすると考えられる D 中国の農村家族の先行研究で は、家族のモデルや家族・親族のルールに固執するあまり、逆に家族が見えなくなっていたと考えら れる O 最後にあげた「家族園」という家族概念を採用することによって、先行研究が陥った呪縛から 逃れ、家族戦略アプローチをとることができるようになるであろう 30)。そして、家族戦略分析から明 らかになる実践感覚からは、ブワレデューの言うような固定的な生き残るべきグルーフ。が浮かび、上がっ てくるのか、それとも、個人を中心とした変化自在なアメーバーのようなものが見えてくるのか、そ れは今後の課題としたい。 〔 注 〕 1)このようにブルデューの考察の前提には、グループとしての生存は、社会的空間の中での位置の 永続化の条件だ、ということがある O 2)先行研究においては、必ずしも同族と親族という用語が使い分けられているわけではない G ここ では、参照した文献の用語をそのまま用いているが、どちらもリネージの意味で捉えてよい。 3)ここでは日本での研究を中心的にとりあげる O それは日本での研究が最も豊富であることと、中 華人民共和国では 1950年代から 1979年に回復されるまで社会学研究が禁止されていたためである。 なお、中華人民共和国で社会学が発展し始める 1930年代、および回復された 1 9 7 9年以降の家族研究 の動向をまとめたものとしては牛梨詩(19 9 9 )、1949年以降の中国の家族社会学の展開と課題につ いては鈴木未来 ( 1 9 9 9 a )、1 9 9 0年代以降の中国の家族社会学の動向については飯田哲也 ( 1 9 9 8 )を 参照のこと口 4)ここでは漢民族の定義はしない。 漢民族の定義の難しさについては、橋本高太郎・鈴木秀夫 ( 1 9 8 3 ) を参照。 5)この場合の中国の意味は、「中国大陸のうえに、古代から現代に歴史的に存在し、現に存在して 0 ) となる O いるものの総体J(竹内・矢吹編 2000:5 6)ここでいう中国や中国人、そして中国文化圏の明確な範囲を設定することは困難である O しかし、 グループが生物学的・社会的に再生産されるための戦略およびそれを生み出すハピトゥス 9 8 8 ) は、中国文化を構成する重要な要素であり、それを共有している範囲は、 (Bourdieu 1987= 1 中国文化圏を指し示すーっの指標となるであろう。 7)家族研究において戦略概念を用いているのはブやルデューだけではない。西野理子は、ブ伊ルデュー 以外にも、代表的なものとして M. アンダーソン、 L. ティリーの戦略概念を比較検討し、集合体 水準の測度と、個人および家族というミクロ・マクロの方法論という点に、家族戦略の意義を認め ている(西野 1 9 9 8 ) 0 田淵六郎も、いくつかの間題を指摘した上で、家族戦略研究は、マクロ的研 究とミクロ的研究とを統合する上で、少なからぬ寄与ができると述べている(田淵 1 9 9 9 ) 0 8)ブルデユーは、統計から、裕福な家の相続人が必ず裕福な家の年下の女と結婚するという規則性 が観察されても、それが規則であるという事を意味するのではないと述べ、規則と規則性の明確な 0 5 )0 区別の必要性を主張している (Bourdieu1 9 8 7ニ 1988:1 1 3 0 県立広島大学人間文化学部紀要 1, 1 2 3 1 3 5( 2 0 0 6 ) 9)日本をフィールドとした家族戦略概念を用いた実証研究としては、小島宏 ( 1 9 9 8 )、片岡栄美 ( 1997,2003)、森岡清美 ( 2 0 0 2 ) があげられる O 1 0 ) 中国残留孤児や中国残留婦人などの総称。 l l ) 吉田は、移住と国籍をコントロールすることによってこれらの目的を達成しようとしていると述 べている。 1 2 ) 吉田は 1 0家族への調査から得たデータを分析している O 吉田自身も、少ない事例で一般化できな 7 2 )、多量なデータから観察可能な規則性を分析することによ いとしているとおり(吉田 2001:2 って明らかにされた戦略で、はない。 1 3 ) ここでは、同姓団体集団、いわゆるく宋親会>のような任意加入団体は考察の対象としていない。 2 0 0 0 ) などを参照のこと O 同姓団体については、吉原和男 ( 1 4 ) 同姓村落(同族村落)や同姓の比重の大きい村落が少ないという意味。 1 5 ) 分裂とは、竃を分け、住居を別にするという意味。 1 6 ) 現在は、権利は弱まり、調停役になっている(陳鳳 2002:1 0 8 )0 1 7 ) 調査は 1998年だが、調査の内容は 1940年代のことが中心である O 1 8 ) 近年、中華人民共和国における血縁観念の強さが生み出している社会問題については潜允康 ( 19 8 9 )、改革開放以降の家族問題については鈴木未来(19 9 9 b ) を参照。 1 9 ) 番も同様の指摘をしている(潜 1 9 8 9 ) 0 李小慧は、 1985年から山東省の農村で調査を行い、農村 にあるく院 yuan>と呼ばれる地縁・親族組織は、文化大革命を経て、 1970年代末に生産責任制が )0鈴木は、 2000年の滞陽市農村部での調査から、 導入されると復活したと述べている(李 1988:41 家族生活で人的ネットワークを活用した事例を報告している(鈴木 2000)0 1 9 5 2 ] 20) 仁井田によれば、異姓養子をして祭杷を継承させた例は漢代にもみられる(仁井田 [ 1 9 6 3:271 )0 21)これに対して小熊誠は、系譜上の操作と祭記の継承に重点がおかれていると述べている(小熊 1986:1 7 6 )0 2 2 ) 北支経済調査所が、 1938年に静海県(現在の天津市静海県)で実施した災害時の避難先の調査に 5箇所に過ぎず、母方の親戚、 よると、 108の避難先の内、父方親戚、従兄弟、甥などへのものは 1 姉妹の嫁ぎ先などへのものは 76箇所と全体の 4分の 3近くを占めている(春原・井田・趨 1939: 1 8 3- 6)0 2 3 ) 上田は、このことは父系出自原理と矛盾することはなく、同族集団の外部から女性を妻として婚 入させることの多い中国では、危機的状況になった場合、兄弟はそれぞれの妻や母の実家にバラバ ラに避難することによって危機を分散させ、父系同族集団を持続させているが、姻戚関係を介する ネットワークが同族結合を強化するというメカニズムは万能ではなく、伝染病などの疾病という危 機の場合、逆効果になると述べている(上田 2000:96- 7)0 2 4 ) 加々美光行は、慣行調査の分析結果等を用い、解放前の農村にかなりの共同体的土地所有はあっ たが、実態としては同族財産管理の中枢にある役員の私的土地所有に従属し、族人は共同体的規制 の名をかりた金融機関にも従属させられており、 1949年の中国草命直前、華北に限らず、族長権威 のうちに歴史的に存した血縁的要素はすでに有名無実化していたと述べている O 2 5 ) 家族は、原文では f a m i l yである (Kulp[ 1 9 2 5 ]1966:1 4 8 )。 2 6 ) 王は、コーエンが財産分割によって家族の分裂解体とみなしている点を批判しているが、コーエ ンのいう家族は familyに対応し、王がいうく家族 jiazu>は中国語で、日本語の親族に相当す るO く家庭 jiating>が日本語の家族に相当する O 一般的にく家族 jiazu>は、同姓の血縁集団を指 1 3 1 中国農村家族と戦略理論 富田和広 すことが多いようであり、クランと考えても良いかも知れな " ¥ 0 その意味では、王のいうく家族 jiazu>は少し範囲が狭い(但し、中国でも用語法は一定しない。この点については山路(1981 ) を参照のこと)。その意味では、王の研究もコーエンの延長線上にあると言える O 2 7 ) <養老田>のような形で一時的に残される場合もあるし、親が自分で管理する現金などが全くな くなるわけではない。 2 8 ) 扶養の方法はケースパイケ}スである O 輪番で親が居住場所を替え、そこで食事をする場合が多 いが、特定の子と住み、食事のみ輪番にするとか、親夫婦が分かれて別々の子どもと住むこともあ るし、子どもは同居しないこともある O 2 9 ) この概念は、中国の家族を分析するためだけに提唱されたわけではない。 3 0 ) 筆者は既に、中国農村家族についてブルデューの戦略理論から若干の研究を行っている(富田 1 9 9 3 ) 0 〔文献〕 B o u r d i e u .P . .1 9 7 9 . 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