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来賓挨拶 - 特許庁技術懇話会

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来賓挨拶 - 特許庁技術懇話会
〈
〈平成 22 年度 来賓挨拶
ト 16」であります。ちなみに日本よりも先に加盟した国
を調べてみました。ベルギー、フランス、イタリア、オ
ランダ、ポルトガル、スペイン、イングランド、そして
アメリカ、デンマーク、と続くわけでございます。そう
特許庁長官
そう、ブラジルを言い忘れました。ブラジルも入ってお
細野 哲弘
ります(笑)
。これはアルゼンチンとウルグアイがないこ
とを除けば、ほとんど、先日まで大変話題になった「あ
の世界」とまったく同じでございます。今日はそのこと
を申し上げたくてここに立っている………(笑)わけでは
ございません(笑)
。 パリ条約というのは、実は世の中にたくさんございま
す。昔イギリスのプランタジネット王朝が初めて大陸に
長官の細野でございます。
領土を取った、その講和条約ができたのが 1259 年。その
審査官、審判官の皆さんの研鑽の場であり、知財に関
後 7 年戦争の講和条約が 1763 年、アメリカの独立戦争講
わる人たちの交流の場でもあるこの特技懇が、今年も立
和条約が 1783 年。その後、フランスとスウェーデンの戦
派に開催されましたことを大変喜ばしく思いますし、私
争の後始末のパリ条約が 1810 年。それからナポレオン戦
もここで御挨拶できることを非常に嬉しく思います。
争の後始末のパリ条約が 1815 年。それからクリミア戦争
今日は望月事務次官にお越しいただいております。私
の後始末が 1856 年のパリ条約、それから有名なパリの不
の知る限り、次官にお越しいただくのは 11 年振りだそう
戦条約が 1928 年。そのあと第二次大戦が終わりましてド
でございます(拍手)
。平成 11 年に渡辺修次官がいらっ
イツを除くヨーロッパの講和条約ができたのが 1947 年、
しゃって以来、お越しいただく機会がなかったのですが、
これ全部パリ条約でございます。これはしかし、今申し
後でしみじみと御挨拶を頂戴したいと思います。
上げたように全部戦争の後始末の条約でございました。
ちょうど 1 年前の今日、7 月 14 日に私は長官を拝命い
言ってみれば非常に「きな臭く」て、
「欲と得のかたまり」
たしました。ちょうど 1 年経ちます。早いものだなとい
みたいな条約でございます。その中にあって、この「工
う気がいたします。7 月 14 日というと、一般的には「パ
業所有権保護に関するパリ条約」
、これだけは大変立派な
リ祭」の日でございます。パリ祭というと、フランス革
条約でございます。釈迦に説法ですから改めて申し上げ
命のバスティーユ監獄の襲撃を記念して、という話にな
ませんけれども、内国民待遇でありますとか、優先権の
るのですが、本当は 1789 年ではなくて、翌年の同じ日に
問題、
それから各国工業所有権の独立の問題などをきちっ
ルイ 16 世が新しく定められた憲法を承認し、これをもっ
と定めて、全体の統合と調和、特に未来志向を旨とする
て新しいフランスの、言ってみれば建国記念日にしたも
立派な条約でございます。私の知る限り、パリ条約と名
のが、
「パリ祭」
の言われということのようでございます。
前のつくものの中で、未来志向の数少ない 1 つだと思い
特許庁的に言いますと、
7月14日よりは7月15日の方が、
ます。明日、この記念すべき未来志向の条約の記念日を
はるかに重要な日でございます。パリはパリでも、パリ
迎えるにあたって、我々も改めて未来志向ということに
祭ではなくて、
「パリ条約」でございます。このパリ条約
ついて思いをいたしていきたいというのが、今日の私の
というのは、皆さんよくご存じで、釈迦に説法でござい
趣旨でございます。
ますけれども、
「工業所有権保護に関するパリ条約」とい
幸いにして我が特許庁は、大変良いパフォーマンスを示
うのが正式名称でございます。1899 年の 7 月 15 日に日本
しております。世界に冠たる特許庁だと私も自負をしてお
がこの条約に加盟をした、記念すべき日でございます。
ります。運用においても1番、
あるいは制度においても1番、
現在、このパリ条約には 173 ヶ国が加盟をしております。
ぜひ、我々はこの1番にこだわりたいと思います。
1883 年にできて、99 年に日本が加盟をしました。その加
運用においては御案内のように、今アメリカの特許庁
盟国の中で日本は 16 番目に古い国でございます。
「ベス
が向こう 5 年間の中期計画をパブコメにかけております。
tokugikon
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2010.8.24. no.258
特技懇懇親会〉
〉
だわって、がんばっていきたいというふうに思うのであ
ります。 今年は特許庁創立 125 周年の記念すべき年でございま
す。春から色々なことをやってきております。リレートー
クスといって、若者に第一線の研究者からメッセージを
第 2、第 4 月曜日に流していただいております。4 月から
始めました。すでに 7 つ、うちのホームページにアップ
しておりますけれども、先ほど聞きましたら、この 3 ヶ
月でリレートークスの青少年向けのメッセージには、
27000 回のクリックがあったそうです。それから、先ほ
ど申し上げたように、関係者の御協力を得て法改正を含
めた制度改正をやるべく、現在各種の小委員会で御議論
いただいております。今日もその関係者にお越しいただ
2015 年までにファーストアクション 10 ヶ月という非常
いていると思います。建設的に揉んでいただいて、是非、
にアンビシャスな目標を掲げております。わが日本の特
未来志向のいいものをつくっていただきたいと思ってお
許庁は、それに先立つ 2 年前、2013 年には、ファースト
ります。秋口には内外で知財に関する国際会議もどんど
アクション 11 ヶ月ということを目標に頑張ってきており
ん進めていきたいと思っております。
ます。是非これを達成したいと思います。
いずれにしましても、こんな形で我々は、未来志向で
それから制度運用の 1 番にもこだわりたいと思います。
1 番にこだわった政策の展開に努めていきたいと思って
過去数ヶ月を振り返りますと、
「どうして 1 番でなくては
おります。
いけないんですか、2 番ではなぜいけないんですか」とい
冒頭、御案内がありましたように、今回この特技懇に
うセリフが大変有名になりましたけれども、こと特許の
は 46 名もの新しいメンバーを得ることができました。こ
世界においては、2 番、3 番というのは全く意味がないわ
のメンバーと同僚、それから先輩の方々、関係の団体の
けです。1番になったものだけが特許になり、
商標になり、
皆様方の御協力を得まして、今申し上げた方向で努力を
意匠になるわけでございます。2 番、3 番は関係ない、い
いたしますので、ぜひ盛り立てていただきたいと思いま
わば特許というのはその時々の 1 番のかたまりの制度で
す。本日は、どうもおめでとうございます。
ございます。そういう意味で、
これほど構造的に 1 番にこだ
わりのある制度はないわけで
あります。そうした制度を、
もっとぴかぴかの 1 番にした
いというのが、我々の思いで
ございます。その一環として
関係者の御協力を得て、法令
制度改革の議論をさせていた
だいております。1 番にこだわ
るのはなぜかというと、これ
が科学技術を支える社会イン
フラとして、国の競争力とか
成長に深く結びついているか
らであります。是非ここはこ
2010.8.24. no.258
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