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自然エネルギー事業の普及をめざす
2016年4月27日 報道関係各位 株式会社OKB総研 (照会先) 調査部 主任研究員 市來 圭 Tel:0584‐74‐2615 OKB総研 創立20周年企画 人口減少社会へ立ち向かう~「清流の国ぎふ」の創生~ 中山間地域における「地域産業」としての 自然エネルギー事業の普及をめざす OKBグループのシンクタンク㈱OKB総研(大垣市郭町2‐25 社長 五藤 義 徳)は、今般標記についてのレポートをまとめましたのでご案内申し上げます。 なお、レポート全文は4月18日発刊の当社の機関誌「レポート Vol.161」に掲 載しています。 資料配布:大垣市政経済記者クラブ、名古屋金融記者クラブ 要 旨 • 現在、以下の背景から中山間地域で自然エネルギー事業の普及が図られている ① 分散型エネルギーシステムへの改革 ② 地球温暖化の防止 ③ 地方創生による地域経済の活性化 • 特に岐阜県では「森」と「水」を最大限に活用した自然エネルギーの導入に注力。 • 岐阜県内で取り組まれている自然エネルギー事業のうち、本稿で取り上げる事例 ① 石徹白地区の小水力発電 ② 明宝地域の木質バイオマス熱利用 • 上記2つの事例から本稿では自然エネルギー事業の普及に必要なことを考察した。 ① 住民による自主的な活動の醸成・拡大 ② 法・制度、施設運営、資金面における行政の支援 2 1.自然エネルギー事業を巡る動き ①全国 出所:各種資料よりOKB総研にて作成 3 1.自然エネルギーを巡る動き ②岐阜県 • 「清流の国ぎふ」創生総合戦略 – 「生きた森林づくり(林業の成長産業化)」の一つとして、木 質バイオマス・エネルギーの利用拡大 • 次世代エネルギービジョン(平成28~32年) – 地域資源(森林、水等)を活かした再生可能エネルギーの 創出 • 具体的な事業 – 地域の農業用水を利用した小水力発電事業 県内19地区 – 木質バイオマスボイラー 公共施設への導入費補助金 4 2.自然エネルギー事業の地域へのメリット 経済面 ① 売電や地域の木材購入により地域へ収益を還元で きる ② 地域外に支払うエネルギー(石油や電気など)への 支出を削減できる ③ 未利用材への需要増加により山林整備が進む 経済面以外 ① CO2の排出が削減される ② 災害時の電力が確保できる ③ 山林整備が進み山や川が保全され、災害が防げる 5 事例1 石徹白地区 小水力発電 石徹白地区 農業用水を利用した小水力発電 A.事業の概要 石徹白清流発電所: 発電出力63kW(年約38.6万kWh、一般家庭約81世帯分) 朝日添地区発電所(仮称): 発電出力116kW(年約71.1万kWh、一般家庭約150世帯分) 石徹白清流発電所:岐阜県(建設)・郡上市(運営) 事業主体 朝日添地区発電所:石徹白農業用水農業協同組合 NPO法人やすらぎの里いとしろとNPO法人地域再生機構によ B.先行の取り組み る小水力発電による地域おこし C.事業の経緯 県による事業提案を受け、地域自治会が検討 D.地域への収益還元 石徹白清流発電所: 事業収益 朝日添地区発電所: 石徹白清流発電所: 収益を得る主体 朝日添地区発電所: 石徹白清流発電所: 還元方法 朝日添地区発電所: 石徹白清流発電所: E.事業資金 朝日添地区発電所: 実績半年851万円 見込み年1,750万円 郡上市 石徹白農業用水農業協同組合 土地改良施設等の経費 農業関連事業(検討中) 2億3千万円(国50%、県25%、市25%) 2億4千万円(県55%、市20%、農協25%) 出所:各種資料より OKB総研にて作成 6 事例1. 石徹白地区 小水力発電 出所:NPO法人地域再生機構の資料よりOKB総研にて作成 7 事例2 明宝地域 木質バイオマス熱利用 A.事業の概要 明宝地域 木質バイオマスボイラーの導入による温泉施設、 湯星館における熱利用 薪ボイラー:170kW 木質チップボイラー:400kW 事業主体湯星館:郡上市(指定管理者による運営) B.先行の取り組み C.事業の経緯 市の地域振興事務所と地域団体、明宝山里研究会による 薪の集積・加工・販売を行う「もくもく市場」の運営 市(明宝地域振興事務所)による発案 D.地域への収益還元 導入前の燃料費::2013年5~11月756万円(灯油) 事業収益 〃 :2014年5~11月847万円(灯油) 導入後の燃料費:2015年5~11月423万円(薪・チップ・灯油) 湯星館:燃料費の削減 収益を得る主体 地域の山主・林業者:木材の売却益 湯星館:地域の未利用木材の購入 還元方法 地域の山主・林業者:山林の整備 E.事業資金 1億4千万円(県50%、市50%) 出所:各種資料より OKB総研にて作成 8 事例2 明宝地域 木質バイオマス熱利用 9 3. 自然エネルギー事業の普及に必要なこと ① 住民による自主的な活動の醸成・拡大 • 事業の土台となる先行活動 – 石徹白地区:2つのNPO法人による小水力発電の試 験的な活用 – 明宝地域:明宝地域振興事務所と明宝山里研究会 による「もくもく市場」 • 先行活動を生み出す、育てる – 自主的な活動がある場合:その活動を拡大し、後押 しする – 自主的な活動がない場合:各種の体験事業やモデル 事業によって自主的な活動を醸成する 10 3.自然エネルギー事業の普及に必要なこと ② 行政の支援(法・制度、施設運営) • 行政による法律や制度における後押し – 石徹白地区:事業主体としての農業協同組合の設立 • 農協の新設は、岐阜県では18年ぶり • 農協による発電事業の例は、戦後の一時期に中国地方の 山間部であった • 行政による施設運営における後押し – 明宝地域:公共施設における木質バイオマスボイ ラーの導入 • 18年経過したボイラーの入れ替えにおける決断 • 燃料である薪、チップの調達の仕組みづくり 11 3.自然エネルギー事業の環境整備 ② 行政の支援(事業資金) • 行政による事業資金の支援 初期段階の施設整備費は行政負担が欠かせない。 – 石徹白地区: • 石徹白清流発電所:2億3千万円(国50%、県25%、市25%) • 朝日添地区発電所:2億4千万円(県55%、市25%、農協25%) – 明宝地域: • ボイラー導入および木材加工施設整備費:1億4千万円 (国50%、市50%) 12 3. 自然エネルギー事業の環境整備 ③産業化のイメージ 地域経済 供給者 「地域産業」 需要者 事業化 行政による 法・制度、 施設運営、 資金面での 後押し 先行する 住民による活動 地域コミュニティ 土台 13