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交通対策報告概要 (ファイル名:koutai_gaiyou- サイズ

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交通対策報告概要 (ファイル名:koutai_gaiyou- サイズ
● 「八尾市における さまざまな交通問題」~交通まちづくりを考える~
交通対策課課長補佐 青野 智浩
みなさん、おはようございます。交通対策課の青野と申します。よろしくお願いいたします。
本日は八尾市の交通まちづくりセミナーにご参加いただきましてどうもありがとうございます。
このセミナーは、市内でご活躍されている方をはじめ、八尾市の交通に関するさまざまな情報を
発信することによって皆さんとの距離を縮めていきたいと考えておりまして、平成21年度に初
めて開催し、今回が4回目になります。本日は安田さん、嶋田さんにご登場いただきまして八尾
市の交通問題についてのお考えや、これまでのご自身の活動について発表していただきます。
またコーディネーターの久先生からは、まちづくりの専門家としてのお話を頂戴したいと思って
おります。その前に少しだけお時間をいただきまして、八尾市における交通問題と題しまして今
年度のトピックスをお話したいと思います。
人は日常よりさまざまな活動をします。活動には大なり小なり必ず「移動」が伴います。慢性
的な交通渋滞、放置自転車や違法・迷惑駐車、自動車や自転車の危険運転、歩道の段差など
移動しようする人にストレスを与えているさまざまな問題が「交通問題」といえます。これらのスト
レスを特に強く感じるのは、高齢の方や障がいのある方、また妊産婦などの「交通弱者」と呼ば
れる方々です。さらに広く捉えれば、現代の車社会の中では年齢などに関わらずすべての歩行
者が「交通弱者」と言えます。特に超高齢社会、超高齢社会といいますのは年齢が65歳以上
の方の人口を占める割合が全体の21パーセントを超える場合に言うんですが、八尾市では平
成23年度に約23パーセントになっています。すでに超高齢社会に突入しているということにな
っています。今後更に高齢化率は進むため、これらの問題がもっと深刻になっていきます。また
人口減少も更に進むため、今まで予想されていなかった問題もあるかもしれません。
「どのようにすれば交通弱者のストレスを減らすことができるか?」これが交通問題に取り組
むキーワードになります。本日は「放置自転車対策」「交通安全」「交通まちづくり」の3つの取り
組みに関するトピックスを紹介いたします。
まず、最初は「放置自転車」の問題です。「少しの時間なら・・・、他の人もとめているから・・・」
という方もいますが、その1台の放置自転車が他の放置自転車を呼び、どんどん増えていきま
す。そうなると歩行者の通行が困難になったり、交通事故を引き起こす原因になったり、緊急車
両の通行妨害やまちの美観を損なうなどの問題を誘発します。
八尾市では、近鉄八尾駅をはじめ9駅周辺で放置自転車禁止区域を指定しており、自転車を
放置すると撤去されることを市民のみなさんのほとんどが知っています。ちなみに、年間のべ約
2,100 回の撤去を行っています。平成 23 年度は 9,063 台を撤去しました。また、今年度は 1 月
末の時点で 7,216 台です。なお、これらの撤去費用や放置自転車を保管する場所の土地代など
放置自転車対策経費は、平成 23 年度は約 7,700 万円でした。放置自転車 1 台を撤去・保管す
るのに約 8,500 円かかっていることになります。グラフを見てもわかるように、撤去台数は少しず
つ減ってきてはいますが、依然として放置自転車の数は多い状態です。また、撤去した自転車
の返還率はここ数年6割程度で推移しています。つまり残りの約 3,600 から 4,000 台くらいの自
転車は所有者が引き取りに来ていないということです。引き取り手のない自転車については、こ
れまでは一部をリサイクル車として国際協力を深めるために海外等へ送り、残りは破砕処分し、
分別資源としてリサイクルしていました。 しかし、さらなる資源の有効活用を図るため、今年度
は新しい取り組みを始めました。
それは去年の11月より始めた引き取り手のない自転車を業者へ売却するという取り組みで
す。引き取り手のない自転車が、再整備され、再び自転車として利用されています。また、駅前
駐輪場のレンタサイクル車として使用したり、市内の小中学校で公用車として使用したりもして
います。このように引き取り手のない自転車の有効活用を行っているところでありますが、そも
そもの問題である放置自転車をなくすために、今年度は次のようなことに取り組みました。
一つ目は高校生への啓発です。活動範囲が広く自転車が一番の移動手段になっている高校
生に、放置自転車の問題を考えてもらおうと、11月の自転車マナーアップ強化月間に先行して、
5月に八尾翠翔高校・八尾北高校で八尾警察署とタイアップして交通安全教室を行いました。
また、日ごろから駅前などでの放置自転車をなくすための呼びかけや活動を行っている市民グ
ループ「ちゃりんこバスターズ」の方々にご協力いただき、障がいのある方の視点から放置自転
車の問題についてお話していただきました。このような高校生への啓発活動については、来年
度は市内の全ての高校(5校)で実施する予定です。
また11月には、自転車マナーアップキャンペーンを開催し、「ちゃりんこバスターズ」の方々
にもご協力をいただき、近鉄八尾駅前で啓発チラシとグッズの配布を行いました。
次は、交通安全に関してのお話です。まずは、八尾市内の交通事故の概況です。平成 23 年
の八尾市内の事故件数は 1,445 件で、平成 22 年の 1,490 件から 45 件減りました。八尾市内の
交通事故の特徴は自転車の関係する事故が多いことですが、自転車関連事故は平成 23 年で
522 件でこちらも平成 22 年の 558 件から 36 件減りました。しかし、自転車事故数が全事故数の
36.1 パーセントを占めており、府下平均の 32.8 パーセントを大きく上回っている状況は依然とし
て変わりません。なお、高齢の方が関連する事故は平成 23 年は 335 件でこちらも平成 22 年の
347 件から 12 件減少しています
では、自転車事故はなぜ起きるのでしょうか。自転車事故の多くは、自転車の危険な運転が
原因と考えられます。携帯電話を使用しながらの走行や、夜間の無灯火走行、自転車が並ん
での走行、それから手放し運転や傘をさしながらの運転、二人乗りや音楽を聞きながらの走行
など皆さんもよく目にする光景だと思います。「道路交通法」では自転車は自動車やバイクと同
じ「車両」と規定されており、乗り方にはたくさんのルールが決められていて、違反者には罰則も
定められています。また、なによりも自転車利用のマナーとして歩行者のことを考え安全に運転
する心がけが必要です。しかしながら、自転車の「手軽さ」からくる安全運転への意識の希薄さ
からか、ルールを無視した危険な運転が多いことが問題になっています。この危険な運転が事
故を引き起こすことになります。交通事故をなくすためには安全安心な道路環境整備も重要で
すが、併せてすべての人が高い交通安全意識を持つことが必要です。そのことから、幼稚園や
小学校に出向いて行う交通安全教室や、春や秋の交通安全運動などで行う恒例の啓発行事
の他にも、様々な機会を活用して交通安全教育や啓発活動の取り組みを進めています。
ここで、今年度の交通に関する主なニュースについていくつか取り上げてみました。自転車に
関するニュースは、新聞やニュースでもたびたび大きく報道されていました。
まず初めに自転車のナンバープレート制検討のニュースについて報告します。
去年の9月に東京都自転車対策懇談会が、自転車の「ナンバープレート制」や「デポジット
制(預かり金)」の導入を積極的に検討するべきという提言をまとめました。
ナンバープレート制については、放置自転車対策や交通マナーの向上などがメリットとして挙
げられていますが、利用者全員に確実に加入させる制度作りや、現在の防犯登録制度との住
み分けなど課題も多く、実現にはまだまだ時間がかかるようです。デポジット制度とは、購入時
に利用者が一定の預け金を支払い、廃棄時に返金する制度のことです。デフレに伴って自転車
の価格が安くなり、安易な放置が助長されていることや、撤去した自転車の約4割が所有者に
引き取られずに処分されている現状を踏まえて、撤去自転車の返還率が大幅に向上するなど
の効果が見込まれると考えられています。
次にJR西日本が去年の11月に、駅利用客のホームからの転落防止柵として、ロープを昇
降させる新方式の転落防止柵の開発に乗り出すというニュースがありました。
ホームに柱を約10~5メートル間隔で設置し、複数のロープで結んで転落を防ぎます。列車
が入ると、柱は自動的に上昇し貼られたロープも乗降口より高く上がる仕組みになっています。
これならドアの位置や数が異なる車両への対応が可能になります。また、整備費用も安く抑え
られるという利点があります。これにより線路への転落事故や電車との接触事故を減らすこと
ができるようになると考えられていますが、導入時期はまだ未定だということです。
最後に紹介するニュースは、「自転車の交通違反厳罰化」についてです。自転車を運転中に
後方を確認せずに道路を横切り、オートバイと事故を起こして逃げた男性を、車の運転でも危
険を引き起こす恐れがあると判断し、150日間の自動車運転免許停止処分にしたというもので
す。自転車への処分をめぐっては、2011年5月、大阪市浪速区でタンクローリーが歩道に乗り
上げ2人が死亡した事故でも、直前に自転車で道路を横断した男性が180日間の免停処分を
受けたという事例もあります。これに関連して、交通違反を繰り返す悪質な自転車運転者に対
し、警察庁が講習を義務づけることを柱とした道路交通法の改正試案を公表したというニュース
が今年2月にありました。試案によると、講習の対象は、交通事故を誘発する「危険な運転」を
繰り返し、今後も繰り返す恐れがある人で、都道府県公安委員会が受講を命じます。現在、自
転車運転者では信号無視や酒酔い、ブレーキのない自転車の運転などを道路交通法違反の
容疑で摘発しており、こうした運転で一定期間に2回以上摘発された人が受講を命じられる見
通しだと言われています。
自転車の交通事故に関連しまして、交通安全の取組みについての事例報告をさせていただ
きます。 昨年の4月に春の全国交通安全運動の一環として、スタントマンが交通事故の瞬間
を実演し、交通事故に対する危険や恐怖を感覚的に体験し、安全な自転車走行について学ん
でもらおうと、龍華中学校、久宝寺中学校で「スタントマン交通安全教室」を開催しました。この
教室はスタントマンが過去に起こった交通事故を再現し、事故の結果だけでなく事故が起こる
原因や事故の怖さを肌身で感じ、安全意識を高めてもらおうと企画したものです。飛び出し自転
車とオートバイとの衝突事故やトラックの内輪差による自転車の巻き込み事故、乗用車の死角
による事故など、どこでも誰にでも起こりうる事故を実演してもらいました。このスタントマンによ
る交通安全教室は、中学生への啓発効果が大きいことから、来年度から3年間、毎年5校実施
し、中学校在校中に1度は受講できるよう計画されています。平成 25 年度においても、春2校、
秋3校実施する予定で、来月の 4 月 11 日には志紀中学校で、12 日には成法中学校で実施しま
すので、一般の方も見学可能ですのでぜひご覧いただけたらと思っております。
本日これまでお話した、「放置自転車対策」「交通安全」に関するトピックスは、「地域の力」あ
るいは「市民の力」が一つのキーワードになっています。
市民のみなさんとともに行う放置自転車追放キャンペーン、地域が自ら行う交通安全教室、
地域が主体となった公共交通活性化への取り組みなど、日常生活に密着している様々な問題
に、行政と地域が協力して取り組んでいくいわゆる「協働型」のしくみです。第5次総合計画でも
「みんなでつくる八尾」をまちづくりの目標の柱として、将来の都市像として定めた「元気をつな
ぐまち、新しい河内の八尾」をめざしています。ひとつひとつの問題に個別に「対策」をしてほし
いと考えた場合、どうしてもいわゆる「要望型」になってしまいます。もちろん、行政としてできる
ことはしっかりやっていかなければなりません。その中では都市計画や環境、福祉などの各分
野の事業と連携をとっていくことが大事です。一方、同時に、日常生活に密着している問題であ
るからこそ、市民のみなさまや地域の中にたくさんのアイデアがあります。そこで解決できること
もあるはずです。これらのアイデアが活発に行きかい、具体的に動いていくことによって、コミュ
ニティ育成や人づくり、地域づくりという観点にたった取り組みが進みます。このように幅広いま
ちづくりの視点で、また長い目で交通問題の解決方法を考えていくことを「交通まちづくり」とい
います。
八尾市では「交通まちづくり」を推進するために、市民のみなさんと意見交換や情報共有、ま
た各方面でご活躍されている方からの情報発信を行うために、「交通まちづくり懇話会」や本日
の「交通まちづくりセミナー」を開催しています。
この後お話をしていただく安田さん、嶋田さんは「交通まちづくり懇話会」に参加されています。
このような「場」をなるべくたくさんつくることによって、市民のみなさまと共にすすめる取り組み
につなげていきたいと思います。 また、地域のまちづくりを進めるために、小学校区を基本的
地域の範囲とした「校区まちづくり協議会」が、平成24年度末までに全28校区中24校区で協
議会が発足される予定です。校区まちづくり協議会では、地域のまちづくりの目標、活動方針、
活動内容を示した計画である「わがまち推進計画」が策定されます。今後は、校区まちづくり協
議会と行政が協働で進めていく取組として「交通まちづくり懇話会」を開催していきたいとも考え
ております。
「誰もが出歩くのが楽しくなるまち」をめざして、これからも様々な取り組みを進めたいと考え
ております。みなさんからたくさんのパワーをいただき、「交通まちづくり」の輪を広げていきたい
と思いますのでよろしくお願いします。交通対策課からのお話はこれで終わりたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
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