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東レ「炭素繊維の歴史」
炭素繊維の歴史 16 基礎研究が世界を変えた - 炭素繊維 *大阪工業試験所(現産業技術総合研究所関西センター) 炭素繊維本格研究開始(1961) (千トン/年) 1961年 100 大工試*・進藤博士がPAN系 炭素繊維製造の基本原理を発表 1970年 炭 東レ、大工試・進藤博士の 80 素 特許実施許諾を取得 繊 維 の 世 界 市 場 ボーイング777一次構造材 の認定(1990) 60 ボーイング787プロジェクト 開始(2003) ボーイング737二次構造材の採用(1975) 40 20 本格商業生産開始(大工試法)(1971) 釣り竿の採用(1972) ゴルフクラブの採用(1973) 産業 航空宇宙 スポーツ 0 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 (年) 東レは炭素繊維の世界シェアの約40%を占める(2010年度:当社推定)。 日本メーカー(東レ・東邦テナックス・三菱レイヨン)で世界シェアの約70%を占める(同上)。 Copyright 2012 Toray Industries, Inc. All Rights Reserved 17 「世界有力企業が夢に挑戦」→「日本企業が世界を制覇」 <PAN系レギュラートゥ*・タイプ> 炭素繊維メーカー の消長 参入企業 1970年 1975 1980 1985 1990 1995 東レ 東レ 日 東邦レーヨン 本 三菱レイヨン 東邦テナックス 三菱レイヨン 日本カーボン/旭化成 X Hercules(米) その他 東レ 台湾プラスチック Cytec Hexcel 三菱レイヨン 東邦テナックス <高性能炭素繊維市場> 日本メーカー:シェア70% (2010年度:東レ推定) 現社名 2000 Hexcel(米) ▼ Great Lakers/Akzo(米) X X Celanese(米)/BASF(独) 欧 UCC/BP Amoco(米) 米 Grafil(米) X Courtaulds(英) X ▼ Sigri/Hoechst(独) Enka(独)/Akzo(蘭) ▼ Cytec(米) SGL Carbon(独) X ▼ :買収による規模縮小 X :撤退または売却 *単糸が24,000本以下の糸束(トゥ)のこと。 日本企業が世界を 制覇した理由 1.欧米企業は技術革新競争で脱落 −航空機メーカーの高度な性能向上要求への対応− 2.長期間に亘る研究開発投資を継続 −経営の強固な意志− 3.日本政府からの継続的な支援 −20年以上に渡る研究開発支援− Copyright 2012 Toray Industries, Inc. All Rights Reserved 18 炭素繊維における極限追求 炭素繊維の性能向上と航空機への展開(ボーイング社の例) 引張強度 6 CF:Carbon Fiber T800S T800H 5 T300 4 (GPa) 3 就航年 型 式 1982 B767 CF使用構造材種 二次構造体 使用されるCF CF使用量 / 機 (トン) T300H 1 炭素結晶 制御技術 次世代高性能 炭素繊維 繊維表面 制御技術 1996 B777 2008 B787 一次構造体 二次構造体 T800H 約7 一次構造体 二次構造体 T800S 約30(推定) 20XX 製造プロセス と極限追求のための要素技術 耐炎化 炭化 表面 処理 炭素 繊維 引張強度 PAN 重合・製糸 8 新材料 (開発中) 6 (GPa) 4 ポリマー設計 繊維構造制御 欠陥抑制 結晶配向制御 表面制御 サイジング剤 Copyright 2012 Toray Industries, Inc. All Rights Reserved 現行材 200 300 400 引張弾性率(GPa) 19 炭素繊維 素繊維 「強さ」の極限追求/表面欠陥抑制 10 現在でも 最高強度 ナノスケール表面像(STM) ﹁強さ﹂ 8 ナノ サイズ欠陥 6 4 GPa 2 ミクロン サイズ欠陥 0 1970 1980 サブミクロン サイズ欠陥 nm 1990 2000 2010 Copyright 2008 Toray Industries, Inc. All Rights Reserved R&D Divi sionIndustries, Copyright 2012 Toray Inc. All Rights Reserved 20 炭素繊維 「剛性」の極限追求/黒鉛結晶制御 800 表面(STM) PAN系最高 の弾性率 ﹁剛性﹂ 700 600 500 400 GPa 300 配向度 95% 200 100 0 1970 1nm 1980 1990 2000 2010 黒鉛 結晶 配向度 繊維軸 80% 6nm 断面 (TEM) 10nm 2nm Copyright 2012 Toray Industries, Inc. All Rights Reserved 21 ナショナルプロジェクトの成功事例と要因分析 自動車軽量化炭素繊維強化複合材料の研究開発 (2003年11月∼2008年3月) 東レと日産自動車が、「ハイサイクル一体成形技術」、「金属など他素材との接合技術」、「安全設計技 術」および「リサイクル技術」の各テーマについて研究開発を推進。10分サイクルで成形、スチール対比 50%軽量化、1.5倍以上の衝突安全性を実証。この成果を基に実用化開発を推進、量産部品を2012 年に発売されるダイムラーのメルセデス・ベンツ乗用車向けから供給開始する予定。 プリフォーム工程 RTM成形工程 樹脂注入 プリフォーム プリフォーム 炭素繊維 炭素繊維シート 裁断 自動賦形 配置 含浸・硬化 脱型 プロセス設計 キー プロセス 立体賦形シミュレーション技術 プリフォーム賦形 −1ply目 −2ply目 −3ply目 − ply目 −5ply目 −6ply目 樹脂含浸シミュレーション技術 樹脂含浸 CFRP製品 成功要因 ○垂直連携(利害が一致):双方の研究・開発者が密接に連携。 ○時代を先取り:LCAや規制を取り入れて軽量化の潮流を先取り。 ○豊富な資金(20億円:100%委託):車体衝突試験、実物大フロアー試作などが実現。 Copyright 2012 Toray Industries, Inc. All Rights Reserved 22 本日の報告内容 1.炭素材料と炭素材料に対する期待と課題 2.東レでの炭素材料への取り組み (1)東レの研究開発方針 (2)炭素繊維 (3)カーボンナノチューブ Copyright 2012 Toray Industries, Inc. All Rights Reserved 23