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2001.3 No.34

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2001.3 No.34
2001.3 No.34
京都産業技術振興財団のホームページを開設しました。ぜひ一度ご覧ください。
URL http://www.joho-kyoto.or.jp/~zaidan
■ 工業系高校生の広域インターンシップの展開 ……2
■ 京都デザイン新分野開発研究会を発足 ……………4
■「デザインニューフロンティア」フォーラムを開催…5
■ 京のがんばる企業最前線レポート …………………6
工業系高校生の広域インターンシップの展開
当財団では、京都府から中核支援機関である 京都府中小企業振興公社を通じて、府内工業系高校生
のインターンシップ事業の委託を受け、本年度府内の3つのエリア(北部、中部、南部)において、広
域インターンシップの事業を展開しております。
府内の3つの高校(府立峰山高校、府立工業高校、府立田辺高校)において、地域のものづくり企業
の協力のもとに、就業体験を通じたものづくりや、実社会の理解、職業観の醸成等を目的とし、インタ
ーンシップを実施しております。
各地域ごとに、地元高校のインターンシップを推進するため、地域の産業界、教育界、行政等の諸団
体が連携して、支援する仕組みー高校生インターンシップ地域連携協議会を設置し、多くの皆さんの御
協力により実施しました。
以下各地域の取組みの概要を報告します。
北部地域
実施校 府立峰山高校(中郡峰山町)
○実施
期 間 平成12年7月11日∼14日
(4日間)
生徒数 2年生 78名
企業数 30社(立地:6町)
峰山町12社、大宮町10社
弥栄町4社、丹後町2社
岩滝町1社、野田川町1社
○成果発表会 日 時 平成13年2月9日
会 場 京都府丹後文化会館
参加者 1∼2年生の生徒及び企業代表者等83
0名
中部地域
実施校 府立工業高校(福知山市)
○実施
期 間 平成12年7月10日∼14日
(5日間)
生徒数 2年生195名
企業数 77社(立地:2市1町)
福知山市51社、綾部市24社
三和町2社
○成果発表会
日 時 平成12年10月26日
会 場 府立工業高校体育館
参加者 1∼2年生の生徒及び企業代表者等42
0名
2
南部地域
実施校 府立田辺高校(京田辺市)
○実施
期 間 平成12年7月24日∼28日
(5日間)
生徒数 2年生118名
企業数 47社(立地:6市5町)
城陽市12社、宇治市6社、京田辺市4社、八幡市4社、京都市3社、
長岡京市1社、久御山町9社、木津町4社、宇治田原町2社、井手町1社
加茂町1社
○成果発表会
日 時 平成12年11月24日
会 場 府立田辺高校会議室
参加者 2年生の生徒及び企業代表者等40名
3地域合計
参加生徒数 393名
受入企業数 154社(8市12町)
インターンシップ体験の報告会では、参加した生徒から疲れたという一方で時間厳守などの
企業での就業ルールの大切さ、一日の仕事をやり終えた達成観など、高校生活では味わえなか
った経験をし、自分の成長にプラスとなったという感想が多く寄せられました。
また、後輩に対しても、インターンシップに積極的に取り組むようにとの意見がだされまし
た。
来年度におきましても、本事業を円滑かつ成果のあるものとするため、関係機関と連携を取
りながら事業展開を進めていくこととしております。
3
京都デザイン新分野開発研究会を発足
当財団では、京都デザインの振興を目的として、京都デザイン新分野開発研究会の発足を呼びかけ、平
成12年11月29日に京都リサーチパーク4号館で設立総会を開催しました。
1 研究会の目的
会員相互の研鑚、連携により、バリアフリー、ユニバーサルデザイン、医療福祉分野におけるデザ
インの研究を行い、京都のデザインの振興に寄与する。
2 事業の内容
・ バリアフリー、ユニバーサルデザイン、医療福祉分野におけるデザインの導入事例、法規制等の情報収集
・ 研究成果の情報発信
3 会員名簿(平成13年3月1日現在 *は幹事)
企 業 名
あ∼る・ぴー
大阪ガス
近畿圏本部
オムロン
エルテックス
京都リサーチパーク
ケーエフプランニング
五大エンボディ
ジイケイ京都
大晋設計
ゆう建築設計
KTC
S.D.N建築事務所
エコ・カーライフ創出塾
京都国際工芸センター
前
西
立
佐
赤
小
佐
栄
砂
砂
宇
岩
谷
橋
代表者名
田 昌
谷 剛
石 義
藤 鉄
坂 泰
出 藤 忠
久 庵 憲
地 一
山 憲
城 邦
見 隆
口 隆
本 奈 良
人
毅
雄
夫
雄
洋
弘
司
夫
一
英
伸
捷
二
担当者名
前 田 昌 人
西 谷 剛 毅
貝
崎
勝
久 保 徹 男
*加 藤 晴 美
小
出
洋
*佐 藤 忠 弘
*梶 川 伸 二
砂 地 康 宏
坂 間 道 子
平 井 正 憲
岩 見 隆 伸
谷 口 隆 捷
黒竹節人、岸本康志
4 研究会の推移
(1)第1回研究会(設立総会と同時開催)
・日時 平成12年11月29日
・場所 京都リサーチパーク4号館
・内容 特別講演「ユニバーサルデザイン(UD)について」
講師 鴨志田デザイン事務所所長
財団法人共用品推進機構理事長 鴨志田 厚子
(2)第2回研究会
・日時 平成12年12月18日 ・場所 京都リサーチパーク4号館
・内容 講演「在宅高齢者介護の問題把握と介護の設計指針」
講師 京都府立大学人間環境学部環境デザイン学科教授 三橋 俊雄
事例報告「下肢障害者のためのスポーツ遊具『ユニビークル』の開発」
ジイケイ京都
(3)第3回研究会
・日時 平成13年1月29日
・場所 京都リサーチパーク4号館
・内容 事例報告「ソフトウエアとしてのバリアフリー」
「スウェーデンの福祉デザイン」等
五大エンボディ
「自然採光システムについて」
ケーエフプランニング
(4)分科会
・日時 平成13年2月6日
・場所 みやこめっせ会議室
・内容 「京都のもつ伝統的文化と今後のデザインの方向との係わり」についてブレーンストーミング
4
「デザインニューフロンティア」フォーラムを開催
バリアフリー、ユニバーサルデザイン、医療福祉分野等今後の発展が期待されるデザインの新分野の開
発方法について府内企業や一般府民に広く広報し、京都のデザインの振興及び府内企業の活性化を図るた
め、フォーラムを開催しました。
・ 日時 平成13年3月2日(金)13時30分∼16時30分
・ 場所 京都リサーチパーク1号館サイエンスホール等
京都市下京区中堂寺南町17 主催 京都府、京都市、京都商工会議所、 京都府中小企業振興公社、
京都産業技術振興財団
後援 京都デザイン新分野開発研究会、KBS京都、エフエム京都
第1部 特別講演
・ テーマ「ユニバーサルデザインコンセプトに基づく商品開発のプロセス」
−オープンなプロセスがデザインを進化させる−
講師 トライポッド・デザイン
代表取締役 中川 聰 氏
*ユニバーサルデザインの概念、商品開発プロセス、商品開発事例、プロダクト・パーフォー
マンス・プログラム等について、実践的な内容の講演がなされた。
第2部 事例報告
・ テーマ 「オムロンのユニバーサルデザインへの取組みとその推進事例」
−社内的位置付け、指標、具現化商品事例−
オムロン 広報・渉外室 主事 貝崎 勝 氏
*京都デザイン優品2001「ユニバーサル部門選定商品」の開発経験等も踏まえながら、企
業としての先進的な取組事例の報告が行なわれた。
・ テーマ 「下肢障害者のためのスポーツ遊具『ユニビークル』の開発」
−手軽にスポーツ参加出来る新しいスポーツ用「移動具」とその「ルール」の開発−
ジイケイ京都 第二デザイン部副部長 梶川 伸二 氏 *身体能力や年齢に関係なく多くの人が楽しめるスポーツ遊具の開発状況について、試乗者の
反応を踏まえながら具体的な報告がなされた。
・ テーマ 「PIC(絵単語)シンボルとは何か」
−知的障害者の支援ツールのユニバーサルデザインへの発展の可能性−
五大エンボディ
代表取締役 佐藤 忠弘 氏
*PICのはじまり、ヨーロッパでの発展状況、日本での取組状況、今後の発展の可能性等に
ついて、企業での製品開発の経験と併せて報告が行なわれた。
展 示 ・デザイン新分野開発推進事業研究開発成果
・企業展示 トライポッド・デザイン 、オムロン 、 ジイケイ京都、五大エンボディ
参加者 200名
5
みやこ
京のがんばる企業
最前線レポート
No.11
わが国の経済が閉塞状況に陥っているなかで、独自の技術力・ノウハウをもって新たなフロンティアを開
拓するパワーを秘めた企業群の出現に大きな期待が寄せられています。本シリーズでは、企業化、新分野進
出、大学との共同研究などに大いに頑張っている京都府内の中小企業を取材し、シリーズでご紹介していま
す。第11回目は、平成12年度の京都中小企業優秀技術賞受賞企業である尾池工業株式会社をご紹介します。
金銀系製造からハイテク企業に転身
∼尾池工業株式会社∼
尾池工業株式会社
【本 社】京都市下京区仏光寺西洞院西入ル
【設 立】1876年
【資 本 金】2億240万円
【代 表 者】尾池 均
【主要商品】金銀糸、金属箔・粉、転写箔、包装材
料、工業材料、建築材料、光学材料、
エレクトロニクス関連材料など。
【売 上】未公表
尾池 均 社長
◎透明電極で急成長
画面に触るだけで、必要な情報の入力ができる
タッチパネル。文字や画像を表示するディスプレ
ーの上に透明な電極を形成することで実現した装
置だ。利用者は画面表面のスイッチを押している
わけだが、あたかも文字や画像に触れることで入
力ができるように見える。この透明な電極材料を
スパッタリングという方法で製造しているのが、
金糸や銀糸などの装飾材料の製造からスタートし
ハイテク産業に転身した尾池工業。このところ携
帯情報端末(PDA)などの情報技術(IT)関
連商品の伸びに伴って大きく事業を拡大している。
◎金属の薄膜技術で先行
同社は仏光寺西洞院付近のいわゆる町家を本社
として活用している。現在でも手掛けている金糸
や銀糸の事業にとってはぴったりの風情だが、ス
パッタリング、透明電極、タッチパネルといった
ハイテク用語はこの外観からはイメージしにくい。
だが、紛れもなくここが世界でもトップを走る透
明電極フィルムのヘッドオフィスなのだ。
その同社が得意とする技術が真空蒸着やスパッ
6
タリングという金属の薄膜を形成する技術。タッ
チパネルに使用する透明電極はこのスパッタリン
グを用いて製造される。薄膜にしたい金属にプラ
ズマを照射し、飛散させた金属を樹脂フィルムな
どに付着させる仕組みで、付着させる金属の厚み
を精密に制御できる。
透明電極の場合、厚みはわずか数10ナノメー
トル(1ナノメートルは10億分の1メートル)
しかない。ベースとなるポリエステルフィルムの
厚みは175マイクロメートル(1マイクロメー
トルは100万分の1メートル)
。耐久性を高める
表面のコート膜は数マイクロメートルあり、いか
に電極膜が薄いかがわかる。
電極材料は酸化インジウム(ITO膜)といわ
れる物質で、インジウム、スズ、酸素から成る導
電性の合金。透明電極にはこの合金の組成を変え
ずに均一にフィルムの表面に付着させていく高度
な技術が求められる。同時に耐久性や透明性など
も重要なポイントで、ユーザーのニーズは極めて
厳しい。
同社では電極を均一に付着させたフィルムをユ
ーザーであるタッチパネルメーカーに供給し、タ
ッチパネルメーカーがさらに必要な加工を施して
タッチパネルに仕上げる。実際の商品は電極の付
いたフィルムを電極が向き合うように重ね合わせ、
その間に直径数マイクロメートルのスペーサーを
挟み込む。この2枚重ねのフィルムの表面をペン
や指で押せば電極同士がくっつきスイッチがオン
になるわけだ。
こうして作ったタッチパ
ネルには文字や絵などを入
力できるアナログ用途とス
イッチをオンオフするだけ
のデジタル用途がある。ど
ちらも基本的な構造は同じ
だが、アナログ用途では連
続的なスイッチのオンオフが必要であり、デジタ
ル用途では非連続のスイッチで済む。同社ではよ
り高度な技術が求められるアナログ用途向けを中
心に事業を展開する。
供給先としてはPDAが半分強を占め、残りは
ファクスやコピーなどのOA機器、POSやFA
端末などの産業機器などで利用されている。また、
携帯電話でのインターネット接続が今後一段と拡
大する見通しだが、こうした機器にもタッチパネ
ルの採用が見込まれており、生活の身近なところ
で同社の製品に接する機会が一段と増えそうだ。
生産については大幅な需要の拡大に伴って設備
の増強に取り組んでおり、2000年の夏場に新
型の装置を導入。同年11月から本格稼働に入っ
た。透明電極だけでなく、反射防止フィルムなど
をはじめ新しい事業展開も模索しており、
「これら
装置を使ったビジネスを収益の大きな柱に育てて
いく」
(尾池均社長)方針という。
◎日本で初めて真空蒸着を工業化
同社は1876年に清水焼きの製造販売に携わ
っていた現社長の大祖父が創業した企業。和紙の
上に薄く伸ばした金箔を張り細く切ったうえで金
だけを糸に巻き付けるという方法で刺しゅう用の
金糸を作ったのがスタート。すべて手作業だった
ため生産量は限られており、大きな発展は見込め
なかった。その後、機械化に関心を持っていた3
代目社長(現会長で現社長の父)が真空蒸着とい
う当時日本ではまだほとんど知られていなかった
新しい技術に着目。社運をかけて大型の投資を行
った。文献などはなく手探りの状態での挑戦であ
ったが試行錯誤の末、日本で初めて工業レベルで
の金糸製造の機械化に成功。一気に業容を拡大し、
ハイテク企業への転身の基礎を作くり上げた。
真空蒸着は真空中で金属を溶かし、蒸発させて
フィルムなどの表面に付着させて薄い金属膜を作
る技術。分子レベルでの制御ができ、均一な膜を
積層できる。工業化に成功した当時はこの真空蒸
着装置で金糸や銀糸を製造するにとどまっていた
が、ハイテク企業への道はその後に取り組んだ事
業の多角化によってもたらされた。
第一弾は真空蒸着技術を用いて、金や銀でデザ
インした文字や模様を紙やプラスチックに写し着
ける「転写」分野。ベースとなるフィルムに真空
蒸着機で金や銀を付着させ、これに熱をかけて転
写することで金属光沢をもった高級なプリントが
でき上がる。菓子やたばこ、化粧品などのパッケ
ージの装飾に用いられるケースが多い。最近はプ
リンターリボンや各種カードなどのエレクトロニ
クス分野、自動車部品などの分野向けも増えてお
り、需要は拡大を続けている。
第2弾は食品の「包装」分野。酸素やガス、水
などを遮断できる機能性のフィルムで、ポテトチ
ップスなどのスナック菓子で多く採用されている。
アルミニウムの薄膜を蒸着したフィルムで、菓子
などの食品が湿るのを防ぐことができる。さらに、
酸化ケイ素を蒸着した透明タイプを開発、電子レ
ンジ用に供給しているほか導電性包装材料なども
手掛けており、幅広い需要を獲得している。
第3弾が最近急速に伸びている透明電極などの
「工業」分野。タッチパネル用途のほかプリント基
板用フィルムや液晶ディスプレー用高反射フィル
ム、電磁波シールド用フィルムなど電子関連分野
で多くの商品を開発。さらに建物の冷暖房効果を
高めることのできる建築用の断熱材、自動車や建
物の窓に張ることで冷房効果を高めることのでき
る熱線カットフィルムなども商品化している。こ
れら金属膜を守るためのコーティングや他の物質
をはさみ込むラミネート技術も高い水準にある。
◎分社経営も特徴
同社のもう一つの特徴は分社経営の導入にある。
73年に東京などの出張所を独立採算にしたあと
輸出部門や工場を子会社として独立。ピークの9
4年には子会社数は研究部の1、物流部門の1、
営業部門の7、生産部門の2の11社体制に達し
た。独立採算と権限委譲によって社員のやる気を
引き出すのが狙いで、大きな効果をもたらした。
しかし、人材の流動性の面や効率の面などでや
や問題が発生。このため営業部門の統合などに取
り組み、現在では研究1、物流1、営業2、生産
2の6社体制を敷いている。さらにこれまでの分
社とに異なるファブレス経営を目指した新会社な
ども設立しており、今後この種の会社を増やして
いく計画。
高い技術力と特色ある分社経営で成長を続ける
同社だが、尾池均社長は「常に新しい技術を開発
していかないとすぐに追いつかれてしまう」とい
う。真空蒸着を日本で初めて工業化したパイオニ
アであっても技術開発に休息は許されない。こう
した危機感が同社成長の原動力といえそうだ。
7
Industry
21世紀に向って
京都産業の活性化、
特に技術水準の
向上を図るため、
各種の事業を進めております。
皆さまの積極的な参加と御協力を
お願いします。
Academia
財団
法人
Government
京都産業技術振興財団
〒600-8813 京都市下京区中堂寺南町17(七本松通り五条下ル)
京都府中小企業総合センター内
TEL (075)315-9425 FAX(075)315-9438
URL http://www.joho-kyoto.or.jp/~zaidan
財団アドレス [email protected]
表紙題字/荒巻禎一 京都府知事
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