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賃貸住宅に関する相談の傾向
賃貸住宅の消費者トラブル 特集 賃貸住宅に関する相談の傾向 関する相談は、毎年約4割強を占めており、月 年度別相談件数 PIO ― NET *1 別相談件数の推移をみると、毎年 3 ~ 4 月の春 によると、賃貸住宅 *2 先に相談が多く寄せられています (図2) 。 に関する 相談のうち、 「価格・料金」 や 「契約・解約」 に関す 契約当事者の属性 る相談は 2010 ~ 2015 年度に 19 万 4776 件寄 せられています(図1) 。そのうち、原状回復に 2010 ~ 2015 年 度 に か け て の 賃 貸 住 宅 の 「価格・料金」 や 「契約・解約」 に関する相談の契 (件) 40,000 38,148 35,000 約当事者の属性は以下のとおりです*3。 36,455 ●年代別 33,620 33,298 33,234 30,000 年代別では 30 歳代が 28.7% と最も多く、全 25,000 体のおよそ 3 割を占め、次いで 20 歳代と 40 歳 20,021 20,000 15,000 代がそれぞれ約 2 割、20 歳未満については 1% 10,000 程度でした (図3) 。 5,000 0 2010 2011 2012 2013 2014 ●性別 2015 (年度) 「価格・料金」 「契約・解約」 に関する相談 そのうち、 原状回復に関する相談 男性が 52.1% (98,033 件) 、女性が 47.9% (90,002 件)とほぼ同数で、性別による差はみ 図1「価格・料金」 や 「契約・解約」 に関する相談件数 およびそれに占める原状回復に関する相談件数 (件) 2,000 1,800 られませんでした (n=188,035) 1,857 1,576 1,600 1,575 1,520 1,509 1,400 60歳代 16,977 9.9% 70歳以上 12,631 7.3% 1,200 1,000 800 985 989 600 913 967 50歳代 22,272 13.0% 40歳代 34,419 20.0% 816 400 200 0 2010年 2011年 12月 3月 2011年 2012年 12月 3月 2012年 2013年 12月 3月 2013年 2014年 12月 4月 2014年 2015年 12月 4月 20歳未満 1,781 1.0% 30歳代 49,262 28.7% 20歳代 34,528 20.1% n=171,870 図3 契約当事者の年代別相談件数 図2 原状回復に関する相談の月別件数の推移 *1 PIO―NET (パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・シス テム) とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオ ンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄 積しているデータベースのこと。データはいずれも 2015 年 11 月 30 日までの登録分。2015 年度以降は、消費生活センター等 からの経由相談は含まれていない。 *2 ここでは 「借家」 「賃貸アパート」 「賃貸マンション」 「間借り」 などを 「賃貸住宅」としている。 *3 不明・無回答等は除く。 2016.2 国民生活 9 賃貸住宅の消費者トラブル 特集 3 賃貸住宅に関する相談の傾向 ●職業別 自営・自由業 8,804 5.1% 職業別では、給与生活者が 62.5%と最も多く、 次いで無職が 18.5%、家事従事者が 10.2% と 学生 6,518 3.8% 家事従事者 17,637 10.2% 続き、自営・自由業や学生は 5% 前後でした (図4) (n=173,315) 。 無職 32,060 18.5% 給与生活者 108,296 62.5% n=173,315 図4 契約当事者の職業別相談件数 主な相談事例*4 ●原状回復についての相談 ●家賃保証サービスについての相談 事例 退去時の立ち会いで、管理会社から 事例 大学に進学するためにマンションを 「必ずクロスを張り替えている。奇 探したとき、家賃保証契約をしなけ 1 3 麗なのに申し訳ない」 と言われた。見積書 れば契約できないと言われた。毎年10,000 と部屋の写真を送ってほしいと伝えて退去 円を保証会社に保証金として支払う契約 した。届いた原状回復費用の計算書には、 だった。連帯保証人を立てているから不要 天井、壁、トイレのクロスの張り替え代の だと断ったが、 「このマンションの賃貸契 半額として 40,000 円、ハウスクリーニング 約は保証委託契約をすることが条件である。 代 25,000 円、エアコンのクリーニング代 それが嫌なら契約できない」と言われ、ま 8,000 円と書かれていた。退去時に通常の た違う部屋を探すのも大変なのでしかたな 清掃はしていた。11カ月しか住んでいない く応じた。5年3カ月後に引っ越そうと ので、傷や汚れはなく、たばこも吸わない。 思ったところ、保証金は残りの9カ月分も 納得できない。 支払うように言われた。納得できない。 (給与生活者 年齢不明 女性) ●契約更新についての相談 ●契約成立時期についての相談 事例 数日前、賃貸アパートを見たうえで、 2 (学生 20 歳代 女性) 事例 賃貸アパートに入居して2年経つ。 4 仲介業者の事務所で話をした。信販 更新当月に、不動産仲介業者から更 会社の審査を受ける必要があると言われた 新通知の書類が届いた。更新後の家賃が ので、申込書に記入した。その後、審査に 2,000 円値上がりするという。条件に変更 通ったと連絡があったが、他に良い物件が が無いのであれば、更新内容の通知は直前 見つかったのでキャンセルを申し出たとこ でも構わないが、変更するのであれば、もっ ろ、家賃1カ月分のキャンセル料がかかる と前に連絡してくるべきではないのか。納 と言われた。納得できない。重要事項説明 得できない。値上げを伝える時期について は受けていないし、賃貸借契約も結んでい 法律で定められていないのか。 ない。 (自営・自由業 30 歳代 男性) (給与生活者 30 歳代 女性) (文責:国民生活センター広報部) *4 ( ) 内は契約当事者の属性。 2016.2 国民生活 10