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Cellvibrio sp.からの 新規β-アガラーゼ遺伝子の

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Cellvibrio sp.からの 新規β-アガラーゼ遺伝子の
2008 年度
修士論文
Cellvibrio sp.からの
新規β-アガラーゼ遺伝子のクローニングと
ネオアガロオリゴ糖生産
Cloning of novel β‐agarase genes
from Cellvibrio sp.
and production of neoagarooligosaccharides
高知工科大学大学院工学研究科
基盤工学専攻 物質・環境システム工学コース
1115004 井上貴由
目次
緒言
1 章 Cellvibrio sp.からのβ-アガラーゼ遺伝子のクローニング
1.1 目的
1.2 実験方法
1.2.1 使用菌株の培養条件
1.2.2 Cellvibrio sp.株からの染色体 DNA の抽出
1.2.3 制限酵素による消化反応
(1)染色体 DNA と pUC19 の消化
(2)PCR 産物(E3-ORF1)と pHY300PLK の二重消化
1.2.4 pUC19 の脱リン酸化反応
1.2.5 染色体 DNA または PCR 産物とプラスミド消化物との結合
1.2.6 形質転換
1.2.7 ヨウ素染色
1.2.8 プラスミドの抽出と塩基配列決定
1.2.9 インサート DNA の解析
1.2.10 Primer 設計と PCR(Polymerase Chain Reaction)
1.3 結果と考察
1.3.1 Cellvibrio sp.株からのβ-アガラーゼ遺伝子のクローニング
1.3.2 インサート DNA の解析
(1)E3 株
(2)H7 株
2
2 章 組換え菌を用いた寒天オリゴ糖生産
2.1 目的
2.2 実験方法
2.2.1 組換え E.coli DH5αを用いたアガロース分解
2.2.2 寒天オリゴ糖の分析用試料の調製
2.2.3 分析方法
(1)ゲルろ過クロマトグラフィー
(2)高速液体クロマトグラフィー分析(HPLC)
(3)液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)
(4)核磁気共鳴分析(NMR)
2.3 結果と考察
2.3.1 組換え E.coli DH5αを用いたアガロース分解と HPLC 分析
2.3.2 寒天オリゴ糖の同定
(1)液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)
(2)核磁気共鳴分析(NMR)
結言
謝辞
参考文献
補足
3
緒言
今日、微生物を用いた有用物質生産において組換えDNA技術は不可欠な実験手法となっている。
組換えDNA技術を用いれば、目的とする酵素の遺伝子(DNA)を単離し、これを大量に発現しう
る宿主-ベクター系に導入することで、目的の酵素を大量に生産することが可能になる。糖尿病患者
に投与されるインシュリンやチーズを作る際に必要な凝乳酵素であるキモシンは、これらの技術によ
り大量生産が可能になった成功例である。こうした技術は今後も、多くのバイオテクノロジー産業に
おいて、最も重要な手段の一つとなるだろう。
一方、我々に大変なじみ深い食品素材として寒天がある。寒天は、テングサやオゴノリなどの紅藻
類の粘液質を凍結・乾燥したものであり、加熱した水溶液が室温で固まる性質を利用し、古くから羊
羹やゼリーなどの食品用素材として用いられてきた。 そして近年、寒天から生産される寒天オリゴ糖
に抗酸化作用、ヒトのがん細胞に対するアポトーシス誘導作用、マウスを用いた実験系での発がん予
防作用、皮膚への保湿・美白効果などの生理活性があると報告されている[1,2]。 寒天の主成分であ
るアガロースは、D―ガラクトースと 3,6-アンヒドロ-L-ガラクトースが交互にα-1,3 結合、β
-1,4 結合した構造をとる(Fig. 1)。 この結合を加水分解することにより、アガロースから二糖~数
糖で構成されるヘテロオリゴ糖が生産される。これらは総じて寒天オリゴ糖とよばれる。
アガロースの加水分解方法には、主に酸やアルカリ試薬による化学的な方法と加水分解酵素を用い
た生化学的な方法の二種類がある。化学的な分解方法は簡便であり、これまでの寒天オリゴ糖生産に
は、主にこの手法が用いられてきた。しかし、従来の化学的な分解法では選択的な分解は行えず、特
定の長さのヘテロオリゴ糖を得たい場合には分解後の精製が必要であった。そのため、市販されてい
る寒天由来のヘテロオリゴ糖は、かつては高価で希少な試薬であり、現在は市販されていない。
一方、酵素を用いた反応では、酵素の持つ高い基質特異性により選択的な分解が可能であり、その
ため副産物が少なく、
最終生産物の分離精製も通常の触媒反応に比べて容易であるなどの利点がある。
アガロースのα-1,3 結合とβ-1,4 結合を分解する加水分解酵素はアガラーゼとよばれる。アガラ
ーゼはその加水分解様式の違いにより、α-1,3 結合を分解するα-アガラーゼとβ-1,4 結合を分解す
4
るβ-アガラーゼの二種類に分類される。α-アガラーゼは、同じ非還元糖であるアガロビオース単位
のアガロオリゴ糖類を生産し、
β-アガラーゼは還元糖であるネオアガロビオース単位のネオアガロオ
リゴ糖類を生産する。
これまでに報告されている寒天オリゴ糖の生理活性は、全てに共通したものではなく、構成するオ
リゴ糖の長さにより異なっていた。そのため、今後のさらなる詳しい生理活性の研究では安価な寒天
オリゴ糖の供給が課題であり、
二種類のアガラーゼを用いた選択的な寒天オリゴ糖生産は有益である。
アガロビオース
ネオアガロビオース
3.6‐アンヒドロ‐
L‐ガラクトース
D-ガラクトース
n
Fig. 1 アガロースの構造とその構成糖類
アガラーゼを生産する細菌としては、主に Alteromonas [3 - 5]、Cytophaga [6,7]、Psedomonas [8
- 15]、Pseudoalteromonas [16]、Streptomyces [17]、Vibrio [18 - 20]などが知られているが、ほとん
どは海洋性細菌である。
これまで本研究室でも、様々な生理活性を有するこれら寒天オリゴ糖の選択的生産を目指し、高知
県内の活性汚泥中から寒天分解菌 Cellvibrio sp.を単離し、寒天オリゴ糖生産について研究を行ってき
た。そして、硫酸アンモニウムを用いた寒天オリゴ糖の選択的生産法を開発し、報告してきた[25]。
しかしながら、単離された Cellvibrio sp.の増殖速度は極めて小さく、寒天オリゴ糖生産に多大な時間
を要するという問題がある。
そこで本研究では、組換えDNA技術を用いて寒天分解菌 Cellvibrio sp.からのアガラーゼ遺伝子の
クローニングを行い、より効率的なアガラーゼ生産および寒天オリゴ糖生産を目指した。
5
1 章 Cellvibrio sp.からの新規β-アガラーゼ遺伝子のクローニング
1.1 目的
大腸菌を用いた寒天オリゴ糖の生産を行うため、寒天分解菌 Cellvibrio sp.OA-2007 からアガラー
ゼ遺伝子の取得を試みた。
また、
取得した遺伝子が独自のプロモーターで発現しているか調べるため、
pHY300PLK へのクローニングも試みた。
1.2 実験方法
1.2.1 使用菌株の培養条件
本研究に用いられた寒天分解菌 Cellvibrio sp.OA-2007( DDBJ Accession No. AB332414 )は、中村
光輝らによって 2004 年に高知県内の活性汚泥中より単離され、冷凍保存されたものを使用した。
冷凍保存された Cellvibrio sp.をN.B.培地(補足 1)において、25℃で一昼夜振とう培養し、液体
寒天培地(補足 2)1000ml に培地体積あたり 1%の濃度で植菌し、25℃で 2 日間、振とう培養した。
1.2.2 Cellvibrio sp.株からの染色体 DNA の抽出
Cellvibrio sp.培養液 1000ml を遠心分離(6000×g, 10 分間, 4℃)し、菌体を集菌した。菌体を 20mM
リン酸緩衝液に懸濁し、遠心分離により 2 回洗浄した。菌体を 20mM リン酸緩衝液 20ml に再び懸濁
し、1.5ml チューブに分注し、これを DNA 抽出用 Cellvibrio sp.溶液として冷凍保存した。
冷凍保存しておいた DNA 抽出用 Cellvibrio sp.溶液を溶解し、遠心分離により菌体を集菌し、上清
液を取り除いた。菌体に TE 溶液(補足 3)567μl を加え、穏やかに懸濁した後、10%SDS 溶液 30
μl と 5mg/ml プロテナーゼ K 溶液 3μl を加えた。37℃で 4 時間加温した後、5M NaCl 溶液 200μ
l を加え、穏やかに懸濁し、多糖の沈殿を行うために 2%CTAB 溶液(補足 3)80μl を加えた。穏や
かに懸濁し、65℃で 2 時間加温し、RNaseA 溶液(補足 3)10μl を加え、37℃で 1 時間加温した。
[精製] 不要なタンパク質を取り除くため、溶液と等量のフェノール・クロロホルム溶液(補足 4)を
加え、撹拌し、遠心分離(6,000×g, 10 分間)した。中間層としてタンパク質が出なくなるまで、こ
6
の作業を繰り返し行った。その後、上清液(水層)を採取し、等量のクロロホルム・イソアミルアル
コール溶液(補足 4)を加え、撹拌し、遠心分離(6000×g, 10 分間)し、再び上清液(水層)を採
取した。0.1 倍量の 3M 酢酸ナトリウム溶液と 2.5 倍量の 100%エタノールを加え、氷上にて 10 分間
静置し、遠心分離(12,000×g, 30 分間, 4℃)した。沈殿した DNA ペレットを確認した後、上清液を
取り除き、冷 70%エタノールで洗浄・風乾し、染色体 DNA を得た。この DNA ペレットを TE 溶液
中に溶かした。
[濃度測定] DNA 溶液 1μl に、10×loading buffer 1μl(市販品・制限酵素に付属)と蒸留水 8μl
を加えて混合し、1%アガロースゲル・プレートを用いて電気泳動(100V、1 時間)を行った。その
後、エチジウムブロマイド溶液(補足 4)によって染色し、トランスイルミネーターとデジタルカメ
ラを用いて、アガロースゲル・プレートを撮影した。画像をソフトウェア・ImageJ によって解析し、
DNA 濃度を推測した。また、分光光度計(波長:260nm~280nm)を用いた DNA 濃度測定も行っ
た。
1.2.3 制限酵素による消化反応
(1)染色体 DNA と pUC19 の消化
抽出した Cellvibrio sp.株の染色体 DNA と大腸菌用ベクタープラスミド pUC19 を、EcoRⅠ、Sph
Ⅰ、SalⅠ、PstⅠ、SacⅠ、KpnⅠ、BamHⅠ、HindⅢ、XbaⅠ※1 の 9 種類の制限酵素(TaKaRa Bio)
を用いて、37℃※2 でそれぞれ消化した。反応液は、滅菌蒸留水 169μl、基質 DNA 10μl、市販制限
酵素付属 Universal Buffer 20μl の順で混合し、最後に制限酵素 1μl を加え、加温した。pUC19 の
消化反応時間は、3時間とした。染色体 DNA の消化反応では、1 つの制限酵素に対しサンプルを 5
つ用意し、それぞれ 30 分間、60 分間、90 分間、120 分間、150 分間消化した。所定時間後、60℃で
10 分間加熱し、消化反応を止め、1.2.2 Cellvibrio sp.株からの染色体 DNA の抽出において記述した
方法に従い精製と濃度測定を行った。
※1 XbaⅠを用いる際は、0.1%BSA を 10%添加した。
※2 BamHⅠ使用時は 30℃で DNA の消化を行った。
7
(2)PCR 産物(E3-ORF1)と pHY300PLK の二重消化
PCR 産物(PCR については、1.2.10 Primer 設計と PCR(Polymerase Chain Reaction に記載)
および pHY300PLK は、EcoRⅠと XbaⅠの 2 つの制限酵素を用いて、37℃で 2 時間二重消化し、60℃
で 10 分間加熱して酵素反応を止め、1.2.2 Cellvibrio sp.株からの染色体 DNA の抽出において記述し
た方法に従って精製した。
1.2.4 pUC19 の脱リン酸化反応
Ligation 時のプラスミド消化物の Self ligation を防ぐため、消化物 20 pmol に蒸留水
(全量 50 μ
l に調整)を加え、10×Alkaline Phosphatase Buffer 5μl (市販品・脱リン酸化酵素に付属)、Bacterial
Alkaline Phosphatase 0.5μl (市販品)の順で加えて、60℃で 1 時間加温し、消化物の両末端を脱リン
酸化した。脱リン酸化物の精製と濃度測定は、1.2.2 Cellvibrio sp.株からの染色体 DNA の抽出におい
て記述した方法に従った。
1.2.5 染色体 DNA または PCR 産物とプラスミド消化物との結合
DNA Ligation Kit <Mighty Mix> (TaKaRa Bio)を用いて説明書に従い、結合させた。
1.2.6 形質転換
宿主大腸菌として E.coli DH5αを選択した。前述の方法で作成された組み換えプラスミド 1μl
(10ng)を、E.coli DH5α competent Cells(TaKaRa) 100μl が入った 1.5ml チューブに加え、
氷上で 10 分間静置した。その後、1.5ml チューブを 44℃で 1 分間加温し、組換えプラスミドを E.coli
DH5α Competent Cells に導入し、形質転換を行った(Heat shock 法)
。その後、SOC 培地(補足
2)1ml を 1.5ml チューブに加え、37℃で 90 分間振とうし、pUC19 のアンピシリン耐性遺伝子の誘
導を行った。誘導後、E.coli DH5αを 100μずつ、アンピシリン(100μg/ml)を添加した LB 寒天
培地上に塗布し、37℃で一昼夜、静置培養した。培養後、LB 寒天培地上でコロニーの周りに凹みを
生じたコロニーを、アガラーゼ遺伝子を持つ組換え大腸菌として選択した。
8
1.2.7 ヨウ素染色
組換え大腸菌によるアガロースの分解を調べるため、組換え大腸菌を培養した寒天培地上に 0.1N
ヨウ素溶液(補足 4)を直接注ぎ込んだ。
1.2.8 プラスミドの抽出と塩基配列決定
Miniprep DNA Purification Kit(タカラバイオ社製)を用いて、アガラーゼ遺伝子を持つ組換え大
腸菌からプラスミドを抽出し、プラスミドのインサート DNA の塩基配列決定を北海道システム・サ
イエンス株式会社に依頼した。
1.2.9 インサート DNA の解析
インサート DNA の塩基配列データを DDBJ データベース中の遺伝子と Blast プログラムを用いて
比較するとともに、遺伝子情報処理ソフトウェア「GENETYX ver.8」や CAZy(www.cazy.org/)、
InterPro-Scan (www.ebi.ac.uk/Tools/InterPro Scan/)を用いて塩基配列情報の解析を行った。
1.2.10 Primer 設計と PCR(Polymerase Chain Reaction)
ORF1 領域の DNA を PCR によって増幅させるため、2つの Primer を設計した。Forward primer
と Reverse primer の末端には、それぞれ EcoRⅠと XbaⅠの制限酵素サイトを付加した。
Cellvibrio sp.株の染色体 DNA を鋳型とし、TaKaRa EX Taq (TaKaRa Bio)を用いて PCR を行
い、E3 株の ORF1(Open Reading Frame 1)領域を増幅した。
PCR 溶液の組成は以下の通りである。 EX Taq 1μl, 10×EX Taq Buffer 5μl, dNTP mixture
4μl, Forward primer 1μl, Revers primer 1μl, 鋳型 DNA 100ng, 滅菌蒸留水で全量 50μl に
調製した(EX Taq を最後に添加)
。PCR は以下の条件で行った。変性温度 94℃、アニーリング温
度 58℃、伸長反応温度 72℃、伸長反応回数 30 回。PCR 産物および DNA の精製と濃度測定は、1.2.2
Cellvibrio sp.株からの染色体 DNA の抽出において記述した方法に従った。
9
1.3 結果と考察
1.3.1 Cellvibrio sp.株からのβ-アガラーゼ遺伝子のクローニング
Cellvibrio sp.株の染色体 DNA を、制限酵素 EcoRⅠまたは HindⅢを用いて消化し、pUC19 にそれ
ぞれ組み込んだ。
それらを大腸菌に導入し、
アンピシリン
(100μg/ml)
を含む LB 寒天培地上で 37℃、
一昼夜培養して、コロニーの周りに凹みを形成する組換え菌をいくつか取得した(Fig.2)
。EcoRⅠを
用いて取得した組換え大腸菌の 1 つを E3 株、HindⅢを用いて取得した組換え大腸菌の 1 つを H7 株
とし、寒天培地上で培養し、ヨウ素染色を行うと、E3 株と H7 株のコロニーの周りにそれぞれハロー
が見られた(Fig.3)
。一方、pUC19 を導入した大腸菌を培養した場合、ヨウ素染色において、コロ
ニーの周りにハローは見られなかった(Fig. 3)
。このことから、E3 株と H7 株はアガロースを分解
し、それぞれが持つプラスミドのインサート DNA には、Cellvibrio sp.株のアガラーゼ遺伝子が含ま
れていることが示唆された。
1.3.2 インサート DNA の解析
(1) E3 株
インサート DNA の塩基配列決定をした結果、5921bp の Cellvibrio sp.OA-2007 染色体 DNA の断
片が組み込まれていることが分かった。GENETYX Ver.8 を用いて解析したところ、ORF(open
reading frem)が数箇所推定され、ORF の長さから、ORF1と ORF2 にアガラーゼ遺伝子がコード
されていると考えられた(Fig.4)
。
ORF1領域の塩基配列を、データベース上(http://blast.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html)の既知の塩基配
列との相同性を比較すると、Aeromonas sp. beta-agarase (aagA) gene, complete {Identities:106/121
(87%)} や Pseudomonas atlantica beta-agarase I (dagA) gene {Identities:111/133 (83%)} 、
Pseudoalteromonas sp. KJ 2-4 alpha-agarase {Identities:110/133 (82%)}と高い相同性を示した。ま
た、塩基配列をアミノ酸配列に変換し、再び相同検索を行うと、uncultured bacterium AguB (AguH)
(AguK) (AguD) {Identities:343/455 (78%)}や Pseudomonas sp. ND137 Agarase (EC 3.2.1.81)
{Identities:299/580
(51%)} 、 Saccharophagus
10
degradans
B-agarase
(EC
3.2.1.81)
{Identities:280/587 (47%)}と高い相同性を示した。
一方、ORF2 領域の塩基配列も同様に相同性を比較したところ、Microbulbifer thermotolerans agaA
for agarase, complete cds {Identities:24/24 (100%)}、 Vibrio sp. V134 beta-agarase precursor
complete cds. {Identities:25/26 (96%)} と相同性を示した。また、塩基配列をアミノ酸配列に変換し、
再び相同検索を行うと、uncultured bacterium aguD, aguH, aguK. {Identities:270/478 (56%)}、
Pseudomonas ND137 Agarase {Identities:218/472 (46%)}、Saccharophagus degradans. β-agarase
{Identities:213/474 (44%)} と相同性を示した。ORF1、ORF2 ともに既知のアガラーゼ遺伝子と相同
性を持っていることが分かったが、ORF2 ではプロモーター領域(-35 領域、-10 領域)とシャイ
ンダルガーノ配列の距離が離れ過ぎており、また既知のアガラーゼ遺伝子との相同領域も短いことか
ら、ORF1がアガラーゼ遺伝子をコードしている可能性が高いと思われた(Fig.5)
。
さらに推定アミノ酸配列中において、Glycoside hydrolase family 16 (GH16)に特徴的な配列に類似
する配列(5’-ADWDSVPAPI-3’)や、シグナル配列(N 末端から 22 分子)固体状基質に結合する機
能部位である Carbohydrate binding modules 6 (CBM6)が ORF1領域において見つかった(Fig.5-
9)[20 - 23] 。
そこで、ORF1領域前後の配列に相同的な Primer を以下ように設計した。下線部は制限酵素サイ
トであり、二重下線部は鋳型 DNA と相補的な配列部である。
PrimerF(Forward primer)5’-CGGAATTCCGCGGTGACCAAATCCGAA-3’
EcoRⅠ
PrimerR(Reverse primer) 5’-CGCTCTAGAGCAGATCAATGCACCTGA-3’
XbaⅠ
Cellvibrio sp. AO-2007 の染色体 DNA を鋳型として PCR を行った結果、約 2200bp の PCR 産物
を得た。PCR 産物を pHY300PLK に導入し、大腸菌 DH5αに形質転換したところ、組み換え大腸菌
は LB 培地上において、コロニーの周りに凹みを形成し、アガラーゼを分解した。このことから、イ
ンサート DNA の ORF1 にアガラーゼ遺伝子がコードされていることが示唆された。この推定アガラ
ーゼを AgaB とした。
11
(2)H7 株
インサート DNA の塩基配列決定をした結果、4060bp の Cellvibrio sp.AO-2007 由来 DNA が組み
込まれていた。GENETYX Ver.8 により ORF(open reading frem)が数箇所推定され(Fig.6)
、
ORF1の塩基配列の相同検索を行ったところ、Saccharophagus degradans 2-40, complete genome
{Identities:43/47(91%)} や Caulobacter sp. K31, complete genome {Identities:33/34(97%)} 、
Burkholderia pseudomallei 668 chromosome II {Identities:29/29(100%)}と相同性を示した。そして、
ア ミ ノ 酸 配 列 に 変 換 し 、 同 様 に 検 索 す る と Saccharophagus degradans 2-40 B-agarase
{Identities:382/639(59%)} や
{Identities:303/637(47%)}
、
Microscilla
sp.
PRE1
Pseudoalteromonas
MS109,
atlantica
putative
beta-agarase
Agarase
precursor
{Identities:311/654(47%)}と高い相同性を示した。このことから、インサート DNA の ORF1がアガ
ラーゼ遺伝子をコードしていることが示唆された。この推定アガラーゼを AgaA とした。
AgaA のアミノ酸配列中には、GH16 に特徴的な配列や CBM も見つからなかったが、高い相同性
を示した Saccharophagus degradans 2-40 B-agarase や Microscilla sp. PRE1 MS109, putative
beta-agarase などが、GH86 に分類されているため、AgaA も GH86 に分類されると考えられた。
12
Fig.2 組換え大腸菌(37℃, 2 日間培養後)
E.coli DH5α(pUC19)
E3 株
H7 株
Fig.3 ヨウ素染色
13
Fig.4 E3 株のインサート DNA の ORF
Fig.5 E3 株インサート DNA 配列(1/3)
14
Fig.6 E3 株インサート DNA 配列(2/3)
15
Fig.7 E3 株インサート DNA 配列(3/3)
23
Fig.8 アミノ酸配列中の疎水・親水性転換位置(AgaB、シグナル配列)
16
Fig.9 Carbohydrate Binding Modules 6(AgaB)
Fig.10 H7 株のインサート DNA の ORF
Fig.11 H7 株インサート DNA 配列(1/3)
17
Fig.12 H7 株インサート DNA 配列(2/3)
18
Fig.13 H7 株インサート DNA 配列(3/3)
19
2 章 組換え菌を用いた寒天オリゴ糖生産
2.1 目的
前述のようにアガラーゼ遺伝子のクローニングに成功し、取得した組換え大腸菌がアガラーゼを生
産することが分かった。そこで、組換え大腸菌を用いて寒天オリゴ糖の生産を行い、高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)
、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS)
、核磁気共鳴分光法(NMR)
を用いて生産物の分析を試みた。
2.2 実験方法
2.2.1 組換え E.coli DH5αを用いたアガロース分解と HPLC 分析
組換え大腸菌を、アンピシリン(100μg/ml)を含む LB 培地に植菌し、25℃または 37℃で一昼夜
前培養した。培養液 100μl を、アンピシリン(100μg/ml)を含む LB 培地 100ml に植菌し、25℃
または 37℃で一昼夜振とう培養した。菌体を遠心分離(9,000×g、10 分間、4℃)により集菌し、
上清液を取り除いた。菌体を冷 20mMリン酸緩衝液 10ml に懸濁し、遠心分離(9,000×g、10 分間、
4℃)により2回洗浄した。その後、再び菌体を冷 20mM リン酸緩衝液 10ml に懸濁し、氷冷しなが
ら超音波で菌体を破砕した(60kHz、一秒周期で ON/OFF, 100ml の場合 30 分間)
。遠心分離(9,000
×g、10 分間、4℃)により菌体残渣を取り除き、上清液を粗酵素溶液として得た。その後、粗酵素溶
液を加えた 20mM リン酸緩衝液 10ml に、Agarose TypeⅡ(Sigma)を 200mg 加え、25℃で加温し
ながら寒天分解を行った。適宜、反応液を遠心分離(9,000×g, 室温, 5 分間)し、未反応の寒天を取
り除き、上清液を5分間煮沸し酵素反応を止めた。遠心分離(9,000×g, 室温, 5 分間)により、蛋白
の沈殿を取り除き、上清液をフィルターろ過し、HPLC により分析した。
2.2.2 寒天オリゴ糖の分析用試料の調製
NMR 分析および LC-MS 分析用試料の調製は、Fig.14 の手順に従って行った。すなわち、組換え大
腸菌から粗酵素溶液を前述(2.2.1 組換え E.coli DH5αを用いたアガロース分解と HPLC 分析
20
)の方法に従い調製し、寒天オリゴ糖生産を行った。加水分解反応液を遠心分離し(9,000×g, 4℃,
10 分間)
、蛋白質などの固形物を取り除いた。等量の 100%EtOH を加えた後、遠心分離し、蛋白質
等の固形物の除去を行った。通気乾燥により濃縮した後、EtOH 濃度が 80%になるように加え、同様
の操作を行った。VIVA SPIN 20ml COCENTRATOR (VIVA SCIENCE)を用いて分子量 30 万以上の
夾雑物を遠心ろ過によって取り除き、濃縮寒天オリゴ糖溶液として、以後のゲルろ過に用いた。
<ゲルろ過クロマトグラフィー> 濃縮寒天オリゴ糖溶液 2ml を Sephadex G-10 を充填したカラ
ム(2.2cm×175cm、KIRIYAMA)に注入し、脱気蒸留水を溶離液として、流速 1ml/ml で分画を行
った。展開開始 3 時間後から 6 時間後までの3時間、3分間隔で分取し、フラクション No.1 から 60.
までの画分を得た。標準物として、D-(+)-cellobiose(Sigma)
、Maltotetraose(Sigma)
、Maltohexaose
(Sigma)を用いた。分取後、各画分の還元糖をフェリシアナイド法によって測定した。
<凍結乾燥とアセトン水溶液を用いた精製> HPLC 分析とフェリシアナイド法によって、ゲルろ
過クロマトグラフィーのフラクション No.15、 No.20、 No.25、 No.30、 No.35、 No.40 のオリゴ
糖組成を調べ、AgaB(E3 株)では 4 糖、AgaA(H7 株)では 2 糖の比率が比較的高い画分のいくつ
かを混合し、凍結乾燥した。その後、粉末寒天オリゴ糖を 98%アセトン水溶液に溶かし、遠心分離に
より、上清液を試験管に取り、試験管エバポレーターによって溶媒を蒸発させた。残留物を蒸留水に
溶かし、再び凍結乾燥させ、これを分析用試料とした。
2.2.3 分析法
(1)フェリシアナイド法
試料 0.5ml(各画分液+蒸留水)にフェリシアナイド試薬 0.125ml を加え、5 分間煮沸した。煮沸
後、氷水中にて急冷し、蒸留水 3.75ml を加え、吸光度測定を行った。吸光度測定は石英セルを用い
て、237nm の波長で行った。
21
(2)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析
HPLC 分析は、展開溶液として脱気蒸留水を用い、流速 0.8 ml/min、カラム温度 50℃の条件で行っ
た。カラムは Sugar KS-802(Shodex)を用いた。
(3)質量分析(LC-MS 分析)
加水分解産物の LC-MS 分析は、カラムとして Inertsil NH2(GL Science)を用いて、LCQ Duo
system(Finnigan)によって行った(高知県工業技術センターに依頼)
。
(4)核磁気共鳴分析(NMR 分析)
分析用試料 10mg を D2O に溶かし、周波数 100MHz において 13C-NMR 分析を行った。分析装置
は UNITYINOVA400(Varian)を用いた。
2.3 結果と考察
2.3.1 組換え E.coli DH5αを用いたアガロース分解と HPLC 分析
組換え酵素を用いて寒天を分解した結果、2糖、4糖、6糖から成るオリゴ糖混合物が生産された。
AgaB(E3 株)を用いた場合、分解反応の初期段階では4糖と6糖が生産され、特に4糖が多く生産
されたが、2糖はほとんど生産されなかった。その後、反応を続けると4糖と6糖の濃度は減少し、
僅かに2糖が生産された(Fig.15)。一方、AgaA(H7 株)を用いた場合では、分解反応の初期段階で
は2糖と 4 糖が多く生産され、6糖も生産された。その後も反応を続けると、4糖と6糖の濃度は減
少し、2糖の濃度は増加した(Fig.16)
。生産された寒天オリゴ糖の組成の違いからも、AgaB と AgaA
は異なるアガラーゼであることが示唆された。
また、E3 株 ORF1領域をシャトルベクターpHY300PLK に結合し、E.coli DH5αへクローニング
して、得られた組換え菌よる寒天分解においても、E3 株を用いた場合と同様の組成で寒天オリゴ糖
を生産したため、アガラーセ遺伝子が ORF1 領域中にコードされていることが示唆された。
22
2.3.2 寒天オリゴ糖の同定
(1)ゲルろ過クロマトグラフィー
AgaB(E3 株)と AgaA(H7 株)による寒天分解産物をそれぞれゲルろ過し、AgaB では4糖の比
率が高い No.20 から No.25 までの画分を得た(Fig.17, Fig.18)
。また、AgaA では2糖の比率が高い
No.30 から No.40 までの画分を得た(Fig.17)
。
(2)LC-MS 分析
AgaB(E3 株)と AgaA(H7 株)により寒天分解産物から得られた分析用試料を、LC-MS によっ
て分析した結果、それぞれ分子量 629 と 323 の位置にシグナルが見られた(Fig.19, Fig.20)
。測定の
際のイオン化によって取れたプロトン(分子量:1)分を考慮すると、AgaB による分解産物の一つ
は寒天オリゴ糖のうち4糖(C24H38O19(630)と、AgaA による分解産物の一つは 2 糖(C12H20O10
(324)
)の分子量と一致した。
(3)NMR 分析
AgaB と AgaA を用いて得られた分析試料を、NMR 分析したところ、97ppm と 93ppm のところに
ピークが観察された(Fig.21, Fig.22)
。寒天オリゴ糖を NMR 分析した既往の研究において、還元末
端がガラクトースであるネオアガロオリゴ糖では 97ppm と 93ppm の位置に、還元末端がアンヒドロ
ガラクトースであるアガロオリゴ糖では 90ppm の位置にそれぞれケミカルシフトが観察されること
が報告されており、AgaB と AgaA の生産物は、還元末端がガラクトースであるネオアガロオリゴ糖
であり、分析試料中のオリゴ糖はネオアガロテトラオースとネオアガロビオースであることが分かっ
た[22,23]。このことから、AgaB と AgaA はβ-1,4 結合を加水分解するβ-アガラーゼであることが
分かった。
23
寒天分解反応
↓
等量の100%EtOH添加後、遠心分離
↓
分画
(ゲルろ過クロマトグラフィー)
↓
還元糖測定
(フェリシアナイド法)
↓
濃縮・乾燥
(アセトン水溶液、凍結乾燥)
↓
分析用試料(粉末)
Fig.14 分析用試料の調製法
24
Fig.15
AgaB を用いた寒天オリゴ糖生産の経時変化
Fig.16
AgaA を用いた寒天オリゴ糖生産の経時変化
25
吸光度
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
ゲルろ過産物(AgaB)
ゲルろ過産物(AgaA)
標準試料
2糖
6糖 4糖
0
10
20
30
画分(No.)
40
50
Fig.17 寒天分解産物のゲルろ過クロマトグラフィー
350000
2糖+6糖
4糖
シグナル強度(mV)
300000
250000
200000
150000
100000
50000
0
15
20
25
30
35
40
画分(No.)
Fig.18 AgaB を用いた寒天分解産物・ゲルろ過画分の組成(HPLC)
26
Fig.19 LC-MS スペクトラム(AgaB による分解産物)
27
Fig.20 LC-MS スペクトラム(AgaA による分解産物)
28
Fig.21 NMR スペクトラム(AgaB による分解産物)
29
Fig.22 NMR スペクトラム(AgaA による分解産物)
30
結言
寒天分解菌 Cellvibrio sp.OA-2007 の染色体 DNA から、2種類のβ-アガラーゼ遺伝子のクロ
ーニングに成功し、組換え大腸菌(E3 株、H7 株)においてアガラーゼ(AgaB, AgaA)を生産
し、アガロースからのネオアガロオリゴ糖の生産を可能にした。AgaB は、主生産物としてネオ
アガロテトラオース(4 糖)を生産し、AgaA は主生産物としてネオアガロビオース(2 糖)を生
産した。
31
謝辞
本研究を行うに当たり、多大な御助力と御指導、厳しくも温かい叱咤激励を賜りました高知工
科大学工学部
物質・環境システム工学科 有賀修 准教授に心から感謝申し上げます。加えて、
論文の推敲と有益な御助力を賜った大濱武 教授、松元信也 教授並びに環境生物工学講座の諸先
生方に深く御礼申し上げます。
また、NMR 分析を行っていただいた南貴美氏、吉本雄大氏、質量分析を行っていただいた高
知県工業技術センター 食品開発課主任研究員 森山洋憲氏、遺伝子操作実験について基礎から懇
切丁寧に教えて下さった矢田修一氏、多くの有益な助言を頂いた細川覚司氏並びに山崎明人氏に
厚く御礼申し上げます。
最後に、実験を行うに当たり協力して頂いた高知工科大学・有賀研究室に所属する院生並びに
学部生諸君、環境生物講座の学生諸君に心から感謝申し上げます。
32
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36
補足
・寒天分解菌
Cellvibrio sp.OA-2007 ( DDBJ Accession No.AB332414 )
・大腸菌
E.coli DH5α competent cells(TaKaRa Bio)
培地
・N.B.培地(pH8.0 に調整後、オートクレーブ滅菌)
Polypeptone(日本製薬株式会社)
10g
Beef extract(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社:SIGMA)
2g
NaCl(SIGMA)
1g
1L
蒸留水
・液体寒天培地(pH6.8, オートクレーブ滅菌)
NaNO3(SIGMA)
1.0g
1.57g
NaHPO4・12H2(SIGMA)
KH2PO4(SIGMA)
0.9g
MgSO4・7H2O(SIGMA)
0.5g
KCl(SIGMA)
0.5g
Agar, powder(SIGMA)
1.0g
蒸留水
1.0L
1
・LB 培地(pH7.0 オートクレーブ滅菌前調整)
Trypton(ベクトン・ディッキンソン株式会社:BD)
Yeast Extract(BD)
10g
5g
NaCl(SIGMA)
10g
蒸留水
1L
・SOC 培地
Trypton(BD)
20g
Yeast Extract(BD)
5g
NaCl(SIGMA)
0.5g
KCl(SIGMA)
0.186g
1L
蒸留水
上記の各試薬を混合し、pH8.0 に調整し、オートクレーブ滅菌した後、2M MgCl2・6H2O (5ml・
オートクレーブ滅菌)と 1M D-glucose(20ml・フィルター滅菌)を加えた。
試薬・酵素等
・1M トリス塩酸緩衝液(密栓して、オートクレーブ滅菌)
Tris(hydroxymethyl)aminomethane(SIGMA)60.55g を 400ml の蒸留水に溶かし、塩酸を加
えながら pH8.0 に合わせ、500ml にメスアップした。
・0.5M EDTA
EDTA2Na・2H2O(同仁化学研究所株式会社)
固形 NaOH(和光純薬工業株式会社:Wako)
5N NaOH
93.06g
10g
適量
400ml の蒸留水に EDTA を懸濁し、
撹拌しながら pH を測定した後、
固形 NaOH を徐々に加え、
2
5N NaOH で pH8.0 に調節した。蒸留水で 500ml に調整した後、オートクレーブ滅菌した。
・TE 溶液(オートクレーブ滅菌)
1M トリス塩酸緩衝液
5ml
0.5M EDTA
1ml
全量 500ml に調整
蒸留水
・10mg/ml RNaseA(密栓して 15 分間煮沸した。
)
牛膵臓 RNaseA(TaKaRa Bio)
0.1g
1M トリス塩酸緩衝液, pH7.0
0.1ml
5M NaCl(SIGMA)
0.03ml
9.87ml
滅菌水
・2% CTAB 溶液
Hexadecyl trimethyl ammonium bromide(Wako)
4g
1M トリス塩酸緩衝液
20ml
0.5M EDTA
8ml
5M NaCl(SIGMA)
56ml
Polyvinylpyrrolidone
2g
上記の各試薬を混合し、蒸留水で全量 200ml に調整した。
・トリス・フェノール(遮光して冷蔵保存)
結晶フェノール(SIGMA)500g をビンごと 70℃のウォーターバスに入れ、試薬を溶かす。溶解
したフェノールをフタのできる大きめのガラスビンに移し、トリス塩酸緩衝液 400ml とキノリノー
ル(SIGMA)0.5g を加え、ビンのフタを閉めて 30 分間よく混合した。その後、上層液をガラスピ
3
ペットで取り除き、さらに 0.5M トリス塩酸緩衝液 400ml を加えた。
・クロロホルム・イソアミルアルコール混合液(CIA)
(室温で保存)
クロロホルム(SIGMA)とイソアミルアルコールを 24:1 の比率で混合した。
・フェノール・クロロホルム溶液(遮光して冷蔵保存)
トリス・フェノールと CIA を等量ずつ入れて混合した。
・1% エチジウムブロマイド溶液(遮光して室温保存)
2g
臭化エチジウム(Wako)
200ml
蒸留水
スターラーバーで一晩撹拌した。
・アンピシリン保存溶液(冷凍保存)
アンピシリンナトリウム(Wako)1g を滅菌水 10ml に溶かし、保存溶液とした。使用濃度は 100
μg/ml。
・0.1N ヨウ素溶液(遮光して室温保存)
ヨウ化カリウム(Wako)24g を蒸留水 200ml に溶かした後、ヨウ素(Wako)12.69g を加え、
蒸留水で全量1L に調整した。
・電気泳動用アガロース
Agarose LO03 「TAKARA」
・制限酵素
BamHⅠ, EcoRⅠ, HindⅢ, KpnⅠ, PstⅠ, SacⅠ,
SalⅠ, SpaⅠ, XbaⅠ(タカラバイオ株式会社:TaKaRa Bio)
4
・脱リン酸化酵素
Alkaline Phosphatase(TaKaRa Bio)
・プラスミドベクター
pUC19 DNA(TaKaRa Bio)
・シャトルベクター
pHY300PLK(TaKaRa Bio)
・DNA 結合キット
DNA Ligation Kit <Mighty Mix> (TaKaRa Bio)
・プラスミド精製キット
Miniprep DNA Purification Kit(TaKaRa Bio)
・プライマー
PCR に使用したプライマーは、取得した DNA のシーケンスデータを基に設計し、プライマー配
列中の下線部に制限酵素サイトを配置した(primer-F:EcoRⅠ, primer-R:XbaⅠ)
。また、二重
下線部は鋳型 DNA と相補的な配列である。プライマーの合成は、invitrogen 社に依頼した。
Primer-F(Forward primer)
5’-CGGAATTCCGCGGTGACCAAATCCGAA-3’
Primer-R(Revers primer)
5’-CGCTCTAGAGCAGATCAATGCACCTGA-3’
1.2.4 機器・ソフトウェア
・電気泳導装置
GelMate2000(東洋紡績株式会社)
・加温機
BLOCK INCUBATOR(株式会社アステック)
CI-410(アドバンテック東洋株式会社)
デジタルカメラ
C-4100 ZOOM(オリンパス株式会社)
遠心分離機
himac CF15D2(日立工機株式会社:HITACHI)
himac
himac CR21E(HITACHI)
・トランスイルミネーター
TDM-15(UVP 社)
・分光光度計
NanoDrop-1000(Thermo Fisher Scientific K.K.)
・PCR 装置
GeneAmp PCR system 9700(Applied Biosystems Japan Ltd.)
・遺伝子情報処理ソフトフェア
GENETYX Ver.8・Windouws 版(株式会社ゼネティックス)
・画像処理ソフトウェア
ImageJ(フリーソフト)
5
Fly UP