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eXtreme Meeting にもとづく議事録と映像の連携
情報処理学会第68回全国大会 6T-1 eXtreme Meeting にもとづく議事録と映像の連携 後藤 拓郎† 塚本 享治† 東京工科大学メディア学部メディア学科† どのように議事録が作成されていくか説明する。 はじめに 1. 変化に対して迅速な意思決定が求められる現在、会議 はかかる時間を少なくして効率化することが求められる。 しかし、これまでの会議を支援するシステムは発想支援 や議論理解支援が主であり、会議運営の効率化には着目 されてこなかった。 そこで、本研究では研究室のミーティングを対象とし て、映像コンテンツを利用した議論理解の支援とともに、 会議運営技法であるeXtreme Meeting[1]を利用して会議運 営の効率化を支援するシステムを構築した。 3.1 <Proceedi ngs id=" meeting_00001" next ="m eeting_00002" prev="" > <Property> <MeetingName>研究室定例ミーティング < /MeetingName> ……… <Part ici pantLi st /> </Propert y> <Report Li st /> <AgendaList> <Agenda id=" agenda_00001" priorit y="1" tracking=" "> <Title>eXtreme Meeti ngに基づいたミーティング支援システム</Tit le> ……… <Discus sion> <Topic t itle=" 進捗報告" id= "" st artTime=" " finishTime=" " /> ……… 2. システムで実現する会議支援手段 2.1 議事録ドリブン会議 議 事 録 ド リ ブ ン と は 、 会 議 運 営 技 法 で あ る eXtreme Meetingのマスタープラクティスである。議事録を中心に 会議を運営し、作成された議事録をもとに次の会議の準 備を行う議事録サイクル(図 1)を形成する。これによ り、会議は常に議論すべき指標を得ると同時に、eXtreme Programmingに類似するプロセスを会議で実行することに なる。明確な目標とそれにもとづく議論、アジェンダの 自動生成が可能となり、会議運営の効率化が期待できる。 図 2:準備段階で形成された議事録アジェンダ 3.2 <Part ici pantLi st> <Part ici pant i d="M 0102166" rol e="書記"> <Name> <Last Name>後藤</Last Name> <FirstName>拓郎< /FirstName> </Nam e> <Mai lto> [email protected]</ Mai lto> </Participant > 図 3:参加者情報の記述 会議中 会議終了時 3.3 図 1:議事録ドリブンによる議事録サイクル 映像を用いた情報の補完と理解支援 文字情報で会議の議論を保存するとき、様々な要因に よって議事録から情報が欠落する。そのため、会議を文 字以外の形式で保存し、欠落する情報を補完することは 非常に重要であり、そうすることで再利用時に議論の理 解を促すことが可能となる。 本研究では議事録の情報を補完するために映像を利用 する。映像形式を選択した理由は、会議をそのままの形 式で保存でき、議事録の情報を補完する上で最適である と考えたためである。 3. 会議開始時 会議開始時では参加者情報として参加者のID、氏名、 会議での役割、メールアドレスが入力される。その後、 目的意識と会議の進行方法を共有するために3.1で入力さ れた項目を参加者全員で確認する。(図 3) 会議開始時 準備段階 2.2 準備段階 準備段階では、会議の名前、回次、目標、日時、予定 開始時刻などの諸情報と、議題、Topic、議題の優先順位、 議題の予定時間、議題担当者、議題概要が入力され、会 議で用いる議事録のアジェンダ(図 2)が形成される。 <Discussion> <Topic tit le= "進捗報告" i d="t opic_00001" startTi me= "" finis hTi me= "" > <P resentat ion id="remark_00000001" >議事録を作成するJavaS ervlet... <Question id="rem ark_00000002"> 映像とのずれはどれくらいにな... <Answer id= "rem ark_00000003"> 検証してみないと分からないが... ……… 図 4:発言記録の記述 3.4 議事録ライフサイクル 図 1に示す議事録ドリブンサイクルの各プロセスで、 Cooperation of a picture and the minutes based on eXtreme Meeting † Takuro Goto, Michiharu Tsukamoto; School of Media Science, Tokyo University of Technology 会議中 会議中は作成、確認された議事録のアジェンダをもと に会議を進行する。議事録には各議題、Topicの議論を記 録していく。この時、あいまいな結論や意見を回避する ために発言の意図を明確にして記録する。(図 4)この ため全員がリアルタイムに発言の記録を確認し、発言の 意図を発言者が訂正できる環境を構築する必要がある。 会議終了時 会議終了時に連絡事項を入力し、参加者全員の確認を もって議事録は完成する。(図 5)完成した議事録をも とに、次回会議の議事録のアジェンダを作成することで 議事録のライフサイクルを形成する。 4-241 情報処理学会第68回全国大会 Jakarta-Commons の XML マッピングコンポーネントであ る Digester を利用してマッピングするようにした。 映像コンテンツの視聴にはストリーミング形式の RealMediaを利用する。WindowsMediaVideoなどの他のス トリーミング形式よりもメタファイル中の開始時間や再 生時間の記述が容易であるためである。構築したシステ ムの構成を図 7に示す。 <R eportList > <R eport id= "report_00001" priority="1" > <descript ion>来週までに論文の章構成を書いてくること</descripti on> <who>ALL< /who> <fromDate></fromDate> <t oDate>2005-11-21</toDate> </ Report> 図 5:連絡事項の記述 4. 議事録と映像の連携 議事録から欠落した情報を補完し、議論の理解を支援 するために映像コンテンツを利用するが、議事録と映像 が互いに参照できない環境ではその効果は期待できない。 議事録と映像コンテンツを連携するために、MPEG-7 によるメタ情報を利用する方法と、議事録にインデック ス情報を付加する方法の 2 つがある。MPEG-7 を用いる 場合、議事録と MPEG-7 で連携を行う必要があり冗長と なるため、本システムでは後者を選択する。 インデックス情報は映像コンテンツの構造情報に合わ せて記述する方法が一般的である。会議は議題及びTopic によって構成されており、これらは会議の構造情報であ ると考えられる。そこで、議事録XMLに議題及びTopicに 開始時間と終了時間を付加し、議事録と映像の連携を図 ることにした。(図 6) Webブラウザ 議事録作成 アプリケーション 議事録管理 アプリケーション 議事録閲覧 アプリケーション Helix Server デジタルビデオカメラ Java Servlet Helix Producer Jakarta Commons Digester iBATIS Members Data Meeting Schedule MeetingPicture (Encoded) 議事録XML キャプチャ ソフト サーバマシン MeetingPicture (Original) キャプチャ・マシン 図 7:システムの構成図 5.2 システムの利用方法 本システムは次のように利用する。 会議中は3.で説明した会議進行のプロセスにあわせて、 HTMLフォームを利用して議事録を作成する。各段階の 区切りはJSPによる画面遷移で行われ、ユーザは各段階の 作業に集中して行うことができる。映像のインデックス となる時間情報は、画面遷移時にシステムが自動的に記 録する。 議事録や会議映像を閲覧するときは、ブラウザ上に議 事録のリストが表示されるのでどの会議の議事録を見る か選択することで、議事録を閲覧できる。表示されてい る議事録は各議題、Topic を選択でき、選択すると Servlet からストリーミング・メタファイルである ram ファイル が返される。ユーザは RealPlayer などのメディア・プレ イヤーを利用して会議映像を閲覧する。 時間情報を付加した議事録XML <MeetingStartTime>hh:mm:.. ......... <Agenda id="Agenda_.... ..... <StartTime>hh:mm:ss.x</.. <FinishTime>hh:mm:ss.x<.. ...... <Topic id="" startTime="hh:mm:ss... finishTime="hh:mm:s... ....... 図 6:議事録 XML の時間情報から映像参照 時間情報は議事録のデータの一部として保存するため、 現実の時刻で記述する方が望ましい。現実の時刻は映像 コンテンツ内の時間と異なるため、そのまま利用しても 映像コンテンツへの参照が行えない。そこで、会議の開 始、終了時刻も合わせて保存し、映像コンテンツの開始 時間とすることで映像への参照を行えるようにする。こ れにより議事録のデータの整合性と、映像の参照性の両 方を確保した。 5. ミーティング支援システムの実現 5.1 システムの構成 議事録の作成、閲覧は JavaServlet による Web アプリケ ーションで行うことにした。特定のプラットフォームに 依存することなく利用でき、議事録や映像コンテンツを 一括で管理できるからである。 参加者情報は HSQLDB を利用して管理するようにした。 研究室のミーティングでは参加者は特定されているため であり、DB で管理することで会議開始時に行う参加者情 報の入力を省略することができる。 XML で構造化した議事録のデータは膨大で複雑なため、 6. おわりに 試作したミーティング支援システムを研究室のミーテ ィングで用いた結果、ToDo が明確となり、各ミーティン グでは常に何かしらの結果を残せるようになり、会議の 質は向上した。また議事録から映像を参照することで、 議事録から欠落した発言情報などを確認できた。しかし、 現状ではリマインダーメールを送るための議事録の要約 作業や映像のキャプチャとエンコーディングなどは手作 業であること、キャプチャの開始と会議の開始を手作業 で感覚的に行わなければならないこと、検索機能が備わ っていないことなどの問題がある。 今回試作したシステムは eXtreme Meeting の中でも議事 録ドリブンというプラクティスを実践するためのシステ ムである。今後はさらに eXtreme Meeting のプラクティス を実践できるようにし、上述した課題を解決する機能を 追加していく予定である。 参考文献 [1] [2] 4-242 eXtreme Meeting: http://extrememeeting.org/ 国枝孝之, 脇田由喜, 高橋 望: MPEG-7 と映像検索, CQ 出版(2004)