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徹底 解説

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徹底 解説
徹底
解説
第 5回
内藤 竜治
物理層の実装(後編)∼物理層がリンク・アップするまで∼
前回(第4回,2009年4月号,pp173-183)はPIPEに適切な制御信号を与えると,パソコン側から何らかのデ
ータが送られてくるのを確認した.今回は送られてきたデータを解析するとともに,アドイン・カードからも適切
なデータを送って,物理層レベルでのリンク・アップを行う.
(筆者)
1.リンク・トレーニング・ステータス
ステート・マシンの概要
すると見通しのよい設計ができます.
つまり,メインのステート・マシンを一つと,サブのス
テート・マシンをいくつか用意して,サブのステート・マ
● リンク・トレーニング・ステータス・ステート・マ
シンが出すローカルな完了信号によってメインのステー
ト・マシンが遷移するようにします(図 4).
シンとは
PCI Express は,リンクの状態を管理するためにリンク・
メインのステート・マシンを具体的に書くとリスト 1 の
トレーニング・ステータス・ステート・マシン(LTSSM)
ようになります.ltssm はステートを表す信号で,LTS_
という機構を備えています.LTSSM は図 1 に示すような
Detect や LTS_Polling は ltssm の状態を定義する定
状態を持つステート・マシンです.LTSSM は物理層の中
数です.detect_done や polling_failed はサブのス
に存在し,物理層が送受信したオーダード・セット(物理
層パケットともいう.連載 4 回目で解説)を見て遷移しま
す(図 2).
リセット後
ここからスタート
LTSSM はリセット後,Detect → Polling → ConfiguDetect
ration → L0 と進みます.LTSSM の各のステートにはサブ
ステートがあり,各サブステートでは TS1/TS2 オーダー
Disabled
ド・セット(図 3.詳細は連載第 4 回を参照)を送受信し合
Polling
い,パソコンとアドイン・カード間で互いのステートを合
わせながら一緒に進んでいきます.L0 は通常の動作状態
Hot
Reset
で,この状態まで到達すると物理層の初期化は完了です.
Configuration
L0s と L1 と L2 は低消費電力状態で,通信は行われませ
ん.Recovery ステートは L0 で通信中に問題が発生したと
Loop
back
通常動作
状態
きに移行するステートです.
L0
TS1/TS2 で交換する情報は,リンク番号とレーン番号,
FTS の値注 1 です.
Recovery
L2
● ステート・マシンの実装
L0s
サブステートまで含めると,LTSSM には 20 近いステー
トがあります.このようなステート・マシンは階層構造に
再トレーニング
L1
低消費電力状態
注 1 :L0s ステートから L0 に復帰するために必要な FTS パケットの数で
PHY の性能によって決まる.
図 1 LTSSM の状態遷移図
June 2009 KEYWORD ―― リンク・トレーニング・ステータス・ステート・マシン,Detect ステート,Polling ステート,
Configuration ステート,L0 ステート
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