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トマト博士になろう!

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トマト博士になろう!
トマト博 士 になろう!
1
トマトってこんな
野菜です
分 類・種 類
学 名
ナス目ナス科ナス属トマト種。
大きくみると、ナスやピーマンと
同じなかまです。
Solanum lycopersicum
【読み】ソラヌム リコペルシカム
日本語に直訳すると“食べられる
オオカミの桃”。
原 産
語 源
南アメリカのアンデス山脈(ペルー、
エクアドル)。現在もアンデス山脈に
自生している野生種トマトは、いずれ
も現在のミニトマトに近い形で、たく
さんの小さな実をつけるチェリータイ
プトマトです。
アステカ人が呼んだ「トマトゥル」。
「ふくらむ果実」を意味し、本来は
「食用ホオズキ」を指す言葉。
栄 養
チェリー
タイプの
野生種トマト
水分が 90% 以 上ですが栄 養はいろ
いろ! ビタミンA・ビタミンB1・B2・
ビタミンC・カリウム・マグネシウム・鉄・
亜鉛などを含み、リコピンやグルタミ
ン酸(うまみ成分)も豊富です。
伝 播
各国の呼び名(俗名)
アンデス山 脈 の野 生種トマトは鳥や
動物に食べられて、メキシコに運ばれ
たと言われています。メキシコで栽培
されて食用になりましたが、16 世紀
品 種
にヨーロッパに伝わった当時は毒があ
ると信じられ、観賞用として栽培され
世界 に8,000種 以 上のトマトが あり、
色や形、大きさもさまざまです。日本
では130 種ほど(※)が流通していると
言われています。
ていました。日本には江 戸時 代に伝
来しましたが、やはり観賞用でした。
日本で食 用となったのは、明治時 代
にアメリカから野菜として紹介されて
からのことです。
ポモドーロ(黄金のリンゴ)/イタリア
ポム・ダムール(愛のリンゴ)/フランス
ラブ・アップル(愛のリンゴ)/イギリス
「なぜリンゴ ?」と思いますが、昔か
らヨーロッパでは値打ちの高い果 物
や野菜を、
「リンゴ」に例えて呼ぶ習
慣があるからのようです。
(※)
農林水産省ホームページより
いろいろなトマト
ミニトマト
ふりこま
サンマルツァーノ
リコペルシコン
ピンピネリフォリウム
イエローペアー
愛知トマト
ハイピール
チコー
22
トマト博 士 になろう!
2
日本と世界の
トマト事情
【日本と世界のトマト料理】
日本ではトマトを生で食べることが多いですが、これは世界でも珍しいことです。
トマトを食べる国の多くは、煮たり、トマトソースにしたりして、さまざまな料理に使っています。
肉や魚、豆や野菜を
トマトで煮込んだ
メニューはアフリカ、
ヨーロッパ、西アジア、
アメリカなど、
世界各地
にみられます。
日本ではトマトは
サラダなど、
生で食べることが
多いです。
ヨーロッパでは
トマトをソースにして、
パスタなど、さまざまな
料理に活用して
います。
アジアではトマトを
炒めて食べる地域も。
卵や肉といっしょに
炒めたごはんの
おかずが代表的。
ざく切りにしたトマトで、
フレッシュトマトソース
を楽しんでいる国も
あります。
世界のトマト消費量ランキング
野菜の中で支出額ナンバーワン(日本)
世界にはおどろくほどトマトをたくさん食べている国があ
ります。世界平均消費量は約 20㎏(1年あたり)ですが、
日本は半分以下にとどまっています。
120
100
(単位:㎏)
108.9
91.3
1日約300g = 約3個も
食べている!
80
60
40
94.1
39.5
20
0
38.5
リ ト エ ギ
ビ ル ジ リ
ア コ プ シ
ト ャ
ス
ペ
イ
ン
イ
タ
リ
ア
29.1
37.8
ポ
ル
ト
ガ
ル
20.3
20.4
19.0
23.8
ア 中 ロ ブ
メ 国 シ ラ
リ
ア ジ
カ
ル
6,610円
世 ド
界 イ
ツ
平
均
12.2
17.2
ア
ル
ゼ
ン
チ
ン
イ
ン
ド
4,000
8.9
3.7 2.5
日
本
2,802
2,000
イ
ン
ド
ネ
シ
ア
タ
イ
FAO(国連食糧農業機関)の統計
/ 2011 年の世界の主な国々における国民一人あたりのトマトの年間消費量
23
(単位:円)
8,000
6,000
日本のトマト消費量は
世界平均の半分以下
42.6
76.9
トマトは人気が高い野菜です。日本では、1 世帯あたり
の年間支出金額が野菜では断トツ 1 位。いつも身近に
ある野菜です。
0
2,600
2,787
ト
マ
ト
た
ま
ね
ぎ
き
ゅ
う
り
2,235
2,468
キ
ャ
ベ
ツ
ね
ぎ
2,016
2,139
レ
タ
ス
じ
ゃ
が
い
も
1,821
1,885
に
ん
じ
ん
さ
や
ま
め
ほ
う
れ
ん
そ
う
総務省統計局「家計調査」2015 の統計
トマト博 士 になろう!
3
トマトに含まれる
リコピンって何ですか?
「凛々子」の名前の由来(2 ページ参照)にもなった、リコピンはトマトの赤色の色素です。
畑で太陽をたっぷりあびたトマトは赤い色素リコピンをしっかりと蓄え、真っ赤に色づきます。
リコピンはトマトに含まれる天然に存在する色素で、
カロテノイドのひとつです。カロテノイドは健康や美容に
役立つ栄養素として注目されています。
カロテノイドにはリコピンの他に、にんじんのオレンジ
色の色素であるβ-カロテンなどが知られています。
リコピンの結晶
リコピンはトマトが自らを
紫外線から守るために作られる
リコピンの抗酸化力は
人間が食べても発揮される
人間が暑さ寒さにストレスを感じるように、植物もまた、
トマトが自らを紫外線から守るために蓄えたリコピンに
気候などの影響でストレスを受けています。植物は動物と
は、人間にとってもよい働きが期待できます。人間は抗
違って快適な環境を求めて移動することができないので、
酸化作用がある食べ物を食べることにより、体内で過剰
その場の環境に耐えるしかありません。トマトの果実は強
に発生した活性酸素を消去しています。近年、リコピンが
い日差しを受けて真っ赤に熟しますが、紫外線などの影
属するカロテノイド自体が、強い抗酸化作用を持つことが
響から大切な種子を守るために、抗酸化物質であるリコ
知られるようになりました。カロテノイドの中でも、とり
ピンを作り出していると考えられています。
わけリコピンは抗酸化作用が強く、その作用はビタミン E
の 100 倍以上にもなることが分かっています。
カロテノイドの抗酸化作用
ビタミンEを1としたときの一重項酸素消去活性の比較
(トマト)
リコピン
(サケ、かに)
アスタキサンチン
(にんじん、かぼちゃ)
β-カロテン
(赤ピーマン)
カプサンチン
(とうもろこし)
ゼアキサンチン
(にんじん)
α-カロテン
(ほうれん草)
ルテイン
(みかん)
β-クリプトキサンチン
0
20
40
60
80
100
120
※
( )内は、それぞれの成分が多く含まれている代表的な食品
(ouchi A. et al., J. Agric. Food Chem., 58, 9967-78(2010)
)
24
トマト博 士 になろう!
4
カゴメとトマト
1899(明治 32)年
カゴメとトマトの出会い
トマトの品種開発から
手がけています
カゴメの商標が
ついた
トマトケチャップの
ラベル
(大正時代)
トマトの
種子
発売当初の
トマトジュース
(復刻)
[カゴメの創業者]
蟹江一太郎(かにえ・いちたろう)
(1875 − 1971)
カゴメの創業者、蟹江 一太郎は、明治時代に愛知県東海市の
交配による
品種開発
カゴメでは、約7,500 種類のトマトの種子を保管し、遺伝子
農家に生まれました。当時はめずらしかった西洋野菜のひと
組み換え技術を使わずに品種開発をしています。交配により
つとしてトマトを栽培しましたが、独特の味やにおいが敬遠
ひとつの品種を生み出すのには、数年という長い時間がかか
されて生のままでは全く売れなかったため、つぶして煮てトマ
りますが、近年は遺伝子解析技術を用いて飛躍的に時間の短
トソースを作り、レストランで使ってもらうようになりました。
縮が図れるようになりました。また、病気に強い品種や、収穫
これが軌道にのり、明治時代の終わり頃にトマトケチャップ、
機を使った収穫にも向く品種の開発にも力を入れています。
ウスターソースなどを発売。おりからの洋食の普及と相まっ
て、家庭で欠かせない調味料となりました。昭和のはじめに
発売したトマトジュースは、健康志向の高まりとともに大ヒッ
ト商品となり、現在のカゴメの基礎を築きあげました。
加工用トマトは農家との約束で
作られています
トマトジュース原料の全量国産化を
目指しています
現在、カゴメトマトジュースの原料は国内産トマトが約 27%
(缶・PET・紙容器などの合計/ 2012 年実績)で、不足分
は海外産原料を使用しています。これは、国内のトマト契約
栽培生産者の高齢化や後継者不足により生産者数・栽培面
積が伸び悩んでいること、また、加工用トマトの内外価格差
が要因となっています。現在カゴメは東日本大震災の被災地
を含む北日本を中心に産地の拡大に力を入れ、トマトジュー
ス原料のすべてを国産トマトとする取り組みを続けていま
す。これらの活動は「フード・アクション・ニッポン アワード
カゴメ従業員
(右)
が
契約農家を訪問し、
指導を行う
2014」の大賞(※)を受賞しました。
蟹江 一太郎は、商品の原料であるトマトをあらかじめ農家と
栽培面積や買取価格を決めてから、栽培してもらいました。
そして、実ったトマトは基準を満たしていればすべて買い取る
ことで、農家にとっては収入の安定と、カゴメにとっては品
質のよいトマトを長く栽培してもらえるという信頼関係を築
きました。この「契約栽培」は大正時代に始まり、現在もカ
ゴメの原料調達のベースとして続けられています。
25
※受賞対象:
「カゴメトマトジュースプレミアム」
(100%国産原料を使用)
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