Comments
Description
Transcript
サービス産業の生産性向上ってどんなもの?(PDF形式:687KB)
SERVICE INNOVATION from KYUSHU □ サービス産業の生産性向上ってどんなもの? 1 サービス産業の生産性向上と“サービスイノベーション” 2 サービスイノベーションのポイント サービスイノベーションを実現させようとした時に特に重要になるのが、取り組みが どの程度効果を挙げたのかを計測するための指標を定め、科学的・工学的な手法を用い サービス産業の生産性とは、「付加価値の向上、新規市場の創出 (以下、「付加価値向 て効果を数値化(見える化 / 見せる化)し、それを基に現場を改善することです。 上等」という) 」と「効率の向上」の2つの要素から構成され、下式のように定義され 経済産業省の技術戦略マップ 2009 では、そのポイントを“観測→分析→設計→適 ています。生産性の向上を考えた場合に、“生産性の向上=効率の向上(分母) ”という 用→・・・のループ構造を繰り返すこと” と表現し、 このループ構造のことを 「最適設計ルー 考えが一般的ではありますが、「効率の向上(分母)」だけでなく「付加価値向上等(分 プ」と定義しています。 子)」に取り組むことも重要です。 付加価値の向上、新規市場の創出 (付加価値向上等) サービス産業の生産性向上 = 効率の向上 出典 サービス産業のイノベーションと生産性に関する研究会:サービス産業におけるイノベーションと生産性向上に向けて(2007) しかし、労働集約的と言われるサービス産業では、効率を向上させると提供するサー ビスの質が低下すると考えられており、 「効率の向上(分母)」と「付加価値向上等(分子) 」 は相反する関係だと考えられていました。これは、以下のような飲食店の事例を見ると 分かり易いかと思います。 サービス産業における『従来の』生産性向上のイメージ(例) 従業員を減らす お客様を待たせてしまう 効率化 価値の低下 調理工程の機械化 人が調理していた時の方が暖かみがあった 効率化 価値の低下 サービスイノベーションのための最適設計ループ 経済産業省:技術戦略マップ 2009 より 観測:現場においてサービス提供者と受容者の客観的なデータを取得 分析:取得したデータの分析 設計:分析した客観的根拠に基づいて、より質の高いサービスへ改良 ところが、成功しているサービス産業の事業者は、この二者を両立させ、飛躍的に生 適用:サービス現場へ適用し、 、 、新たな「ループ(観測) 」へ 産性を向上させていることがわかってきました。例えば、顧客に付加価値を与えない作 業(物を運ぶ・探す等)については徹底的に「効率化」を図り、これによって余裕が生 また、サービスイノベーションのためには、サービスの現場が最適設計ループを繰り まれた労働力や資金を「付加価値向上等)」に充てるというものです。 返す仕組みを持つことが重要であるとされています。 本冊子では、このような分母と分子の両立で、飛躍的に生産性を向上させることを そこで、本冊子では、最適設計ループの考え方に基づいて生産性向上のためのモデル “サービスイノベーション”と呼ぶことにします。 「効率の向上」と「付加価値向上等」を両立させることで、 サー ビス産業の生産性を飛躍的に向上させることを、本冊子では “サービスイノベーション”と定義します。 2 | Service Innovation from Kyushu を構築・検証します。 サービスイノベーションを実現するには、サービスの現場が 「観測→分析→設計→適用→・・・」の“最適設計ループ”を繰 り返す仕組みを持つことがポイントです。 Service Innovation from Kyushu | 3