Comments
Description
Transcript
Kobe University Repository
Kobe University Repository : Kernel Title 兵庫県下における公園砂場の犬・猫蛔虫卵ならびに大腸 菌汚染状況(Plevalence of Toxocara Species Eggs and Escherichia Coli in the Sandpits of Public Parks in Hyogo Prefecture, Japan) Author(s) 宇賀, 昭二 / 小野, 一男 / 伯耆, 由美 / 片岡, 陳正 / クマラ, ライ シバ Citation 神戸大学医学部保健学科紀要,13:71-76 Issue date 1997-12-15 Resource Type Departmental Bulletin Paper / 紀要論文 Resource Version publisher DOI URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/00181840 Create Date: 2017-03-29 7 1 神 大 医 保 健 紀 要 第1 3巻 , 1 9 9 7 兵庫県下における公園砂場の犬・猫畑虫卵ならびに 大腸菌汚染状況 宇 賀 昭 二 小 野 一 男 伯 喬 由 美 片岡陳正ライシパクマラ 緒 4 濁,肝腫大,さらには四肢の筋肉痛などを惹起 昌 する場合がある。虫体は人体内では発育しない 最近公園の砂場がイヌやネコの糞便によって ために,通常の糞便検査などは有効でないばか 汚染されていることを指摘する報告がなされて りか,診断が非常に困難な点も本症の特徴の 1 いる 1)。これらペットの糞便汚染は,単に不潔 つである4)。大腸菌の人体におよぼす健康障害 感や悪臭などといった外見上の問題に留まるの の程度に関しては既に良く知られている。本菌 みでなく,それらの糞便中に含まれる種々の微 は創傷部への感染・炎症の起炎菌や食中毒の原 生物が砂場を利用する小児に直接作用し,その 因菌としてのみでなく,環境の生物汚染の指標 健康を害するといった衛生・公衆衛生学的な問 としても用いられている。 題をも含んでいる o 公園砂場からこれら犬・猫姻虫卵を検出しよ イヌやネコの糞便中からは通常 1 3 1 5種類の うとする試みは世界の各地で行われて来ている。 寄生虫の虫卵が検出される 2-3)。これらの寄生 しかし,本邦におけるこの種の調査はほとんど 虫のうち,約 80%は人畜共通寄生虫と呼ばれ, 行われておらず,その実態は充分に知られてい イヌ・ネコ以外にヒトにも感染する可能性を有 なかった。兵庫県神戸市の 2 2 7ヵ所の砂場で実 している。ただしこれらほとんどの寄生虫の虫 施されたUgaらの調査 5)では,全体の 42%の砂 卵は,それらが砂場に混ざっている限りにおい 場から犬・猫姻虫の虫卵が検出されている o こ ては,熱や乾燥によって容易に死滅してしまい の砂場汚染は市街地においては高く,農村部に 安全となる。しかし,本調査の目的の 1つであ おいては低いといった差が認められるとともに, T o x o c αr ac αn i s )と猫姻虫 ( T .α ct i ) る犬姻虫 ( 検出された虫卵はその 85%以上が生存しており, (以後犬・猫姻虫と略記)の虫卵, さらには大 ヒトに対する感染性を示す程度にまで発育して 腸菌 ( E s c h e r i c h i ac o l i )に関してはこの限りで いたことが報告されている o また,東京都内の はなし、。虫卵は種々の物理・化学的諸因子に耐 砂場ではヒ卜に感染性を有することが知られて え,砂場で長期間生存することができるし, ヒ いるアメーパの検索が行われベそれらの砂場 トが砂遊びの際にこれらの虫卵を誤って経口的 がいずれも高率に汚染されていたことが証明さ に取り込めば感染が成立する。感染後の幼虫体 れている。同様に砂場の細菌類汚染の実態調査 は人体の主要臓器に移行し視力障害,硝子体混 も限られている。林ら7)は東京都内で大腸菌群 1.神戸大学医学部保健学科病態解析学講座 F a c u l t yo fHealthS c i e n c e,KobeU n i v e r s i t ySchoolo fMedicine, 2 . 兵庫県衛生研究所微生物部 日yogoP r e f e c t u r a lI n s t i t u t eo fP u b l i cHealth, 3 . 日本ウエルカム NipponWellcomeK_ K_, 4 . 神戸大学医学部医学科医動物学教室 Facultyo fMedicine,KobeU n i v e r s i t ySchoolo fM e d i c i n e _ 7 2 を指標とした調査は行っているが,大腸菌を単 験の結果, この方法による虫卵の回収率は 40% 独に分離することは行っておらず,必ずしも砂 であった。従って 2 0 0gの砂に存在する実際の 場の糞便汚染状況を反映した考察は出来ていな 虫卵数は回収虫卵数に 2 . 5を乗じた数で示すべ L 0 0 きとも考えたが,本研究で示す虫卵数とは 2 。、 今日では日本の各地で砂場の糞便汚染に関す g の砂から回収した虫卵数を直接示してある o る報告がなされるようになってはいるが, この 大揚菌検査法: 衛生試験法に示されている 問題は最近になって指摘された問題であり,そ 「一般試験法@微生物試験法における大腸菌最 の汚染の詳細な現状についてはいまだ充分な理 確法Jに基づいて行った。すなわち,砂 1 0gを 解がなされているわけではない。特に,特定の 検体とし,滅菌リン酸食塩緩衝液を用いてそれ 公園砂場を対象として犬・猫姻虫卵と大腸菌の ぞれ 1 0倍 , 1 0 0倍および 1 . 0 0 0倍の各検体 1 0倍希 両方を検査した報告は行われていない。そこで 釈系列液を調整する。これらは ちらがより砂場汚染の実態を反映しているのか 9m Pの EC培地 P (栄研)と発酵管を含む 5本の試験管に各 1m ず、つ分注,恒温槽を用いて 4 4 . 5: t0 . 2o cで24: t2 を明らかにすると共に,砂場汚染に関連する環 時間培養する。培養後ガス発生を認めた試験管 境困子についての検討を行うことを目的として, を大腸菌陽性とし,陽性管数から最確数を求め 公園および児童遊園地の砂場を対象とした犬⑪ 0 0gあたりの大腸菌数を算出する。大腸菌 て1 猫姻虫卵および大腸菌の汚染状況調査を行った。 の同定は以下の様にして行った。すなわち,ガ 著者らは犬@猫畑虫卵あるいは大腸菌検査のど ス発生発酵管の 1白金耳を EMB 寒天培地(ニッ 5: t1C,2 4士 スイ)平板上に画線塗抹して, 3 0 調査方法 4 4ヵ所の砂場を無作 と略記する)の中から, 1 2時間培養したのち,平板上の金属光沢,暗紫 赤色の定型的集落については T S 1,SIM,VPお よびL1Mなどの確認培地(共に栄研)を用いて 為に抽出し調査を実施した。検体としては,砂 大腸菌の確認試験を行う,というものである o 兵庫県下の公園および児童遊園地(以下公園 m,深さ 3cmの円筒状のパイ 場表面から直径 5c 検査結果の解析に当たっては, (1)調査対象地 プを挿入する方法で採取した砂を用いた。砂は の特徴からこれらを便宜上 4地域に分ける方法 それぞれの砂場の 5ヵ所から採取したが,検査 と , ( 2 ) 砂場や公園面積との関係を調べる方法, 1砂場あたり 1検体とし検査を待った。これとは別に砂場用 1 )は比較的農地が多い を採用した。すなわち ( に準備されている未使用の砂を犬・猫姻虫卵お さらには商業用のビルが多い“中部"の 4地域 よび大腸菌検査の対照砂とした。研究室に持ち 2 )は表 1に示した区分基準に基 である o そして ( 0 0gは虫卵検査に, 込まれた検体のうち,約2 づき,①砂場面積,②公園面積,あるいは③公 0g は大腸菌検査に供した。それぞれの そして 1 1 0 0 ) 園面積に占める砂場の割合(砂場/公園 X 検査方法は以下に示す知くである o などのそれぞれの項目で砂場を分類し,虫卵お に際してはこれらをよく混合し 虫卵検査法: 砂からの虫卵の検出方法は, 19 9 3 ) が工夫した この目的のために宇賀ら 8) ( “北部住宅密集地が“東部"と“南部 よび大腸菌の汚染におよぼす因子を検討する方 法である o 遠心沈殿浮遊法である o すなわち,採取した砂 を室温で充分に乾燥させた後,直径 150μmの 調査結果 メッシュでふるいにかける。得られた微粒砂は 比重1.2 0 0のショ糖液に懸濁し, 2 5Xg 5 分間 0 の遠心分離を行って浮遊した虫卵を回収する, といった方法である。あらかじめ行った予備実 1)犬。猫姻虫卵の汚染状況 調査を実施した 1 4 4ヵ所の砂場の犬・猫姻虫 卵および大腸菌の調査成績を表 1に示した。全 7 3 体でみると調査を実施した 1 4 4ヵ所の砂場のう 表 1 砂場の存在する環境が犬・猫畑虫卵および大 ち , 4 3ヵ所 (30%) から犬・猫姻虫卵が検出さ 腸菌の陽性率におよぼす影響 検 査犬・猫姻虫卵 大腸菌 犬・猫掴虫卵および大腸菌共に れた。次に虫卵の陽性率を“調査方法"の項で 分類した 4地域で比較すると,東部および南部 地域本 公園数陽性数(%) 離撒(%)陽性公園数(%)陰性公園数(%) 地域がそれぞれ 43% ,47%と 4地域の平均値の 北部 2 ( 2 7 ) 3 9 ( 8 7 ) 1 1 ( 2 4 ) 4 5 1 5 ( 1 1 ) 30%を上回っていた(表 1)。検出された虫卵 数は 1 -448個とその数にばらつきが認められた 6個であった(このことは,本検査 が,平均は 1 中部 6 ( 2 5 ) 5 3 ( 8 0 ) 1 2( 18 ) 6 6 1 9 ( 14 ) 東部 1 4 6 ( 4 3 ) 1 0 ( 7 1 ) 5 ( 3 6 ) ) 3 ( 21 南部 ( 4 7 ) 1 8 ( 9 5 ) 1 9 9 8 ( 4 2 ) O (0 ) 3 ( 3 0 ) 1 2 0 ( 8 3 ) 3 6 ( 2 5 ) 1 4 4 4 12 ) 1 7( 法の検出率を考慮すると,検体とした元の砂 2 0 0g中には 4 0個の虫卵が含まれることを意味 する)。調査した砂場のなかで最も多く虫卵が 検出されたのは,北部の N公園の 4 4 8個 , 次 い 合計 *地域の分類基準は本文中に示しである。 3個の順であった。すなわちこ 東部の K公園の 2 1)。特に東部では調査した 1 4ヵ所の砂場のう ちの 5ヵ所 ( 36%) が,そして南部では 1 9ヵ所 中8ヵ所 ( 42%) が両者共陽性であった o 1 9カ れら犬・猫姻虫卵強陽性公園は地域別の汚染の 所調査した南部の砂場の内,両者共に陰性であっ 強弱とは関係なく分布していた。対照の砂は 3 た砂場は全く認められず,南部地域の汚染が特 回の検査を行ったが,いずれも陰性であった。 に強いことが明らかとなった(表 1 ) 0 3回行っ 砂場の検査を通じて犬・猫姻虫卵以外の寄生虫 た対照砂の検査では, 1 0 0g中4 0個 , 7 0個 , お の虫卵も検出されたが, 0個(平均6 3個)の大腸菌が検出された o よび8 8個 , 0公園の 2 6個 , で中部の Y公園の 9 そして それらは犬鞭虫 ( T r i c h u r i s .v u l p i s )卵 (3ヵ所の砂場から検出 S p i r o m e t r a された) と マ ン ソ ン 裂 頭 条 虫 ( αc e i )卵 (6ヵ所)と同定された。従って erm 関係 これらを含めると,明らかにイヌあるいはネコ 度との関係を明らかにするために,砂場や公園 の糞便を由来とする寄生虫卵の検出された砂場 の大きさを表 2に示すように区分した o 砂場の 0ヵ所・ 35%となった。虫卵以外にはダニ類 は5 平均面積は 3 6 n f (最大4 8 2 n f, 最 小 3n f ), 公 園 や自由生活性の線虫類あるいは種々の花粉等が の平均面積は 4 , 9 2 9 n f (最大2 7 8, 0 0 0 n f, 最 小 7 9 検出されたが,それらに関する詳細な観察・記 録は行っていない。 n f ) であった。表 2に示した基準に従って区分 したそれぞれの陽性率を調査したところ,表 3 2) 大腸菌の汚染状況 に示した結果が得られた o 虫卵の陽性率を砂場 3) 公園ならびに砂場の大きさと汚染強度との 砂場や公園の大きさと虫卵や大腸菌の汚染強 大腸菌は 1 4 4ヵ所の砂場中 1 2 0ヵ所 (83%) か 面積を指標として調べた場合,面積が 5 0 n fを超 ら検出された(表 1)。地域別の陽性率では南 える大きな砂場の虫卵陽性率は 13%であるのに 0.05, 部 が 95%と平均値の 83%を 有 意 (P< 対して, 1 5 n fを下回るような小さな砂場ではそ s t u d e n t ' t分布)に上回っていた。 1 2 0ヵ所の 大腸菌陽性砂場の 1 0 0 g当たりの平均菌数は 3 , 4 0 0 個 ( 20->16, 0 0 0 ) であった。大腸菌の検出限 界の上限は 1 6, 0 0 0個であったが,調査した砂場 0ヵ所がこれを上回っていた。それらは中部 の1 所 , 地域に 5ヵ所,北・東部地域にそれぞれ 2ヵ Pく0 . 0 5 , の陽性率は 39%と,統計的にも有意 ( および南部地域に 1ヵ所分布していた。調査し た砂場のうち,虫卵および大腸菌がともに陽性 であった砂場は 3 6ヵ所 (25%) 認められた(表 s t u d e n t ' t分布)な差で小さな砂場の虫卵の汚 表 2 公園および砂場面積の区分基準 区 分 砂場面積 大 孟5 0 0 r r f 中 小 公園面積砂場/公園* 孟2 0 0 0 r r f 1 5-50r r f5 0 0-2 0 0 0r r f < 1 5 r r f < 5 0 0 r r f 孟 5 1-5 <1 本公園面積に占める砂場面積の割合(数字は%を示す) 7 4 染率の高いことが明らかとなったo この結果は, Ugaら(19 8 9 )5) が神戸市とその周辺で行った 公園面積を指標として調査した場合も同様であっ 調査結果より若干低い値を示したものの,虫卵 たo すなわち,小さな公園に併設された砂場の 汚染が兵庫県下全域におよんでいることが明ら 虫 卵 汚 染 率 (38%) は , 大 き な 公 園 の そ れ かとなった。 Ugaらの報告によれば,虫卵の ( 17%) の 2倍以上であった。しかし虫卵汚染 汚染の程度は地域により明らかに差があると報 を,公園の面積に占める砂場の割合を指標とし 告されている o すなわち,人家や住宅の密集し て調査した場合には差が認められなかった o こ た都市部の汚染は,周りに田畑を有する農村部 のほかに工業地域や商業地域などといった“用 のそれを有意に上回るといったものである。同 途別地域"による比較でも差は認められなかっ 様な現象が今回の調査においても確認された。 た(データは示していない)。 調査数が限られているために必ずしも明確なデー これに対して,大腸菌の汚染状態を調べた結 タが得られた訳ではないが,虫卵とともに大腸 果は,虫卵で得られた結果とは異なっていた o 菌の汚染状況を併せて調査した結果,人家の密 すなわち砂場面積を指標とした調査では小さな 集した東。南部地域の汚染が特に強い結果が得 公園の汚染率が大きな公園のそれを若干上回っ られた。これらの地域では種々の条件が相まっ ていたが,公園面積を指標とする調査ではその て比較的小規模な公園が多く見られた。結果の ような傾向は認められなかった(表 3)。 項でも指摘したように,これら砂場がイヌ@ネ 以上の結果より,犬⑪猫姻虫卵の汚染に関し コの糞便汚染の元凶となっていることより,小 ては,①住宅密集地(東部や南部〉の,②その さな砂場の拡張を計ることも対応策の 1っと考 面積カ~500 r r f以下の公園に併設された,③ 1 5r r f えられた。県内で実際に講じられている対策法 以下の砂場が最も汚染されているという結論が は,公園の入り口に掲示板を設置する,あるい 得られた。調査した砂場のうちこれらの条件を は砂場表面をビニールシートで覆う,といった 満たす砂場は 1 0ヵ所認められたが,それらのう 方法であった。最近の著者らの調査1)によれば, ちの 5ヵ所・ 50%が虫卵陽性であった。これに 砂場の糞便汚染の元凶はその 90%以上がネコに 対して逆の条件を有する公園の虫卵陽性率はわ よるものであること,さらには汚染の 80%は夜 ずか 10%であった。 間に生じていることが明らかとなっている o 従っ 表 3 公園および砂場面積が犬。猫姻虫卵や大腸菌 する人々に対する啓発的な効果は有するものの, の陽性率におよぼす影響 砂場面積を指標 公園面積を指標 て掲示板を設置する方法の効果は,公園を利用 砂場/公園 x 1 0 0 ( % ) 区域対象数虫卵本大踊酌対象数虫卵本大臨酔対象数虫卵本大踊酌 直接的な効果は期待できないものと考える。夜 間に砂場表面を覆う方法は,安全かっ経済的な 方法として広く一般に使われてはいるが,適用 大 2 3 1 3 7 8 2 3 1 7 8 7 4 1 2 7 7 8 範囲が限られる上に手間のかかることもあり, 中 4 6 2 4 7 8 6 0 2 7 8 0 8 1 3 1 8 6 実質的な効果は上げていない九現在著者らは, 小 7 5 3 9 8 8 6 1 3 8 8 5 2 2 3 2 8 2 *虫卵および大腸菌の項に示した数字は陽性率(%) を示している。 イヌ@ネコを避けるための思避剤の効果や人体 には安全な殺卵剤の検討を行っており,興味深 い結果が得られている 10,11)。今後はこれらの点 に留意した対策を東。南部の砂場を中心に立て る必要があると考える O 考 察 過去の砂場の細菌検査成績によれば,砂場汚 染の指標を大腸菌群を用いて報告しているもの 兵庫県下の砂場を調査した結果. 30%の砂場 から犬⑪猫畑虫卵が回収された。この値は, が見られる。砂場の細菌による汚染がヒトの健 康に影響することを証明しようとすれば,操作 7 5 は繁雑にはなるが,大腸菌群ではなく大腸菌を 検出・同定して示す必要があると考える。すな 2 8 0 .1 9 8 9 6 ) 山浦常,白坂龍厚,松本克彦,他. 東京都内 わち大腸菌も糞便をその由来とすることから, と広島市内の砂場からのアカントアメーパの検 砂場から検出されたこれら大腸菌がいずれもイ 2 :3 6 1,1 9 9 3 出.日本寄生虫誌 4 ヌやネコに由来するものである可能性が強く示 7 )林 正 利 . 公園の砂場における微生物汚染の現 唆される o そ れ に も か か わ ら ず 今 回 の 調 査 の 結 1 1 9 9 3 状と対策. 工業技術会講演要旨: , 果,犬・猫姻虫卵の検出状況と大腸菌の検出状 8) 字賀昭二,松村武男,東塚伸一,他. 砂場から 況は必ずしも一致しなかった。対照砂を用いた 7 : 6 8 5,1 9 9 3 の犬・猫姻虫卵検出法. 臨床検査 3 検査では虫卵検査では陰性であったものが,大 9) 宇賀昭二,伯嘗由美,小野一男,他. 幼稚園の 3個 /100gが 検 出 さ れ て お 腸 菌 検 査 で は 平 均6 砂場におけるトキソカラ属線虫卵の汚染状況調 り,両者の判定結果に食い違いが出ている。表 3 :2 9 0 査と汚染防止対策. 環 境 管 理 技 術 1 3に も 示 し た 如 く , 虫 卵 と 大 腸 菌 の そ れ ぞ れ を 1 9 9 5 汚染の指標として調査した場合,前者を用いた ほうが後者を用いた場合と比較してより顕著に その差が現われた。虫卵の場合は外界で大腸菌 の様に分裂増殖することは有りえないので,砂 ド 1 0 ) 宇賀昭二,伯嘗由美. 砂場におけるイヌ・ネコ の糞便汚染防止対策一無機質抗菌物質の効果 2 :1 ,1 9 9 4 環境管理技術 1 1 1 ) 宇賀昭二,伯嘗由美,松村武男,他. 砂場に 場から虫卵を検出することはすなわち砂場のイ おけるイヌ・ネコの糞便汚染防止対策 ヌ・ネコの糞便汚染の直接の証明となり得るこ 機と忌避剤併用の効果 とより,今後は虫卵検査のみを砂場汚染の指標 7 4 .1 9 9 4 として調査を行うことで充分目的を達成するこ とが可能であると考える。 文 献 1 ) UgaS,MinaniT,Nagata K. D e f e c a t i o n h a b i t so fc a t s and dogs and contaminat i o n by Toxocαrαeggs i np u b l i c park s a n d p i t s . A m J Trop Med Hyg 5 4 :1 2 2, 1 9 9 6 2) 字賀昭二,水野不二男,松村武男,他.兵庫県 下における捕獲犬の寄生嬬虫類について. 日本 寄生虫誌 3 1 :4 0 7,1 9 8 2 3) 宇賀昭二,松村武男,山田都佐雄,他.兵庫県 下におけるネコの寄生嬬虫類について.日本寄 2 :9 1,1 9 8 3 生虫誌 3 4) S c h a n t z PM. Toxocαrαlarva migrans now. A mJTropMedHyg4 1 :2 1,1 9 8 9 5) Uga S,Matsumura T, Aoki N, etal . P r e v a l e n c eo f Toxocαrαeggs i n t h O s a n d p i t s o f p u b l i c parks i n Hyogo P r e f e c t u r e,Japan. Jpn J P a r a s i t o l3 8 : -焼砂 2 : 環境管理技術 1 7 6 P l e v a l e n c eo f Toxocar αSpecies Eggs and E s c h e r i c h iα C o l ii nt h e S a n d p i t so fP u b l i cParksi nHyogoPrefecture,Japan S h o j iUga1,KazuoOno2,YumiHoki3,NobumasaKataoka1,andRaiShibaKumar4 ABSTRACT: Toxoc α r α s p e c i e se g g sandE s h e r i c h i αc o l iwerefound,r e s p e c t i v e l y,4 3 (30%) and1 2 0 (83%) o f1 4 4s a n ds a m p l e sc o l l e c t e dfromp u b l i cp a r k si nHyogoP r e f e c t u r e,J a p a n . E p i d e m i o l o g i c a lf a c t o r si n v o l v e di ni n c r e a s i n gc o n t a m i n a t i o nr a t e so fToxoc αrαsppe g g sw e r e f o u n dt ob e( 1 )s m a l ls a n d p i t s,( 2 )s a n d p i t si nt h es m a l lp a r k s,and ( 3 )t h es a n d p i t si n u r b a na r e a scrowdedw i t hh o u s e s . Highc o n t a m i n a t i o nw i t hToxoc αrαsppe g g s was c o n s i d e r e dt ob ed u et ot h eh i g hd e n s i t yo fanimalf e c e s . C o n t r o ls a n d( b e f o r eu s ef o rs a n d p i t ) wasn e g a t i v ef o rToxoc αrαsppe g g s,b u tp o s i t i v ef o r E .c o l i . T h i sr e s u l ts u g g e s t st h a tt h ed e t e c t i o no fToxoc αrαsppe g g swouldb eu s e f u la sa 1 )T oxoc αrαsppe g g sa r ec o n t a i n e di nf e c e s, q u a l i t a t i v ei n d i c a t o ro ff e c a lc o n t a m i n a t i o n :( and ( 2 )u n l i k eE .c o l i,t h enumbero fe g g sdon o ti n c r e a s ei nt h es o il . Keywords:Toxoc α r α,E s c h e r i c h i αc o l i,s a n d p i t,z o o n o s i s . 1 .F a c u l t yo fH e a l t hS c i e n c e,KobeU n i v e r s i t yS c h o o lo fM e d i c i n e, 2 . HyogoP r e f e c t u r a lI n s t i t u t eo fP u b l i cH e a l t h, 3 . NipponWellcomeK .K ., 4 .F a c u l t yo fM e d i c i n e,KobeU n i v e r s i t yS c h o o lo fM e d i c i n e .