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報告書 - 日本再発見塾

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報告書 - 日本再発見塾
報告書
~日本を学び、日本に遊ぶ~
葛巻町について・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
ミルクとワインと元気な住民たち
第一回日本再発見塾 in 葛巻概要・・・・・・・・・・5
参加講師陣と参加者分布
当日の流れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
開講式から修了式まで
参加者アンケート・・・・・・・・・・・・・・・・・36
参加者の声
2
葛巻町について
岩手県の北東、北上山系に位置する葛巻は、住民発意の町づくりが行われている好例であ
り、既に住民主体の町づくりの基盤が出来ていること、呼びかけ人との縁があったことか
ら、第一回開催地と決定された。葛巻は、北緯 40 度、平均気温 9.1℃、町の総面積の 86%
が森林で、人口よりも乳牛の数が多い酪農地帯である。かねてから風害にも悩まされてき
た。1960 年には約 1 万 7,000 人いた人口は約 8,500 人と減少し、過疎化の危機が叫ばれて
いた。典型的な中間山地とも言え、決して観光資源が豊かであるとは言えない。しかしな
がら、住民発意の運動として、代々伝わる蕎麦作りを見直そうと、昔ながらの手作り蕎麦
を出す「森のそば屋」を開業したり、自生するやまぶどうを使ったワインの生産を始めた
り、風害を逆手にとり、風力発電に取り組んだりと、住民自らが町を盛り上げようとする
意識が高まりを見せている。
そして 2002 年からは、プロジェクト「えぇじゃないか」呼びかけ人代表である俳人の黛
まどか氏を迎えて俳句コンテストを開催している。これにより町名は全国的に知れ渡るよ
うになる。全国都道府県から約 9000 弱の俳句が寄せられ、町づくりに必要な新たな風を吹
き込んでいる。注目すべきは、元気になったのは葛巻だけではないということだ。全国で 9
000 もの俳句が詠まれ、俳句そのものが元気になった。生活に根ざした文化としての俳句で
ある。
このような機会を俳句のみならず、さまざまな日本文化と結び付けられないだろうか。
一見何もない、しかし、物質的には何もないからこそ、昔ながらの暮らしぶりや知恵、コ
ミュニティーが残り、日本の原風景をたたえている葛巻がそこにはある。その葛巻と様々
な日本文化が出会い、ぶつかり合うことで、葛巻を訪れた老若男女は、安易な商業的な観
光とは異なり、葛巻を見つめ、日本を見つめることで、田舎暮らしの知恵や伝統を体感し、
そこから学ぶこととができないだろうか。住民もまた、葛巻の知られざるよさを見つけ出
す。どのようにして葛巻の特色を守っていこうか、今自分たちに何ができるのか、多様な
視点があるからこその知恵が生まれるのではないか。その知恵がさらに町づくりに活かさ
れる。町民はもっともっと元気になる。そんないい循環を葛巻から発信すべくプロジェク
ト「えぇじゃないか」は動き出した。
3
第一回日本再発見塾概要
1.募集要綱(パンフレットより抜粋)
4
第一回日本再発見塾概要
2.タイムスケジュール
2005年8月20日(土)
12:00
いわて沼宮内駅集合・送迎バスで出発
12:45
開講式
(於:廃校を利用したエコスクール「森と風のがっこう」
)
13:30
バスで移動
14:00
廻立美代治達人の「移動製材」技術を見学
15:00
1日目授業開始
(於:現在は廃校となっている「旧江刈川分校」)
<1時間目>
地元素材を使った絵画授業:千住博師範
<2時間目>
スポーツについて講義と実践:増田明美
師範
18:00
バスで移動
18:30
夕食(於:グリーンテージ)
20:00
夜学開始(選択制)(於:旧江刈川分校)
<夜学1>
夏の炉話:谷村新司師範、黛まどか両師範と地
元の方々
<夜学2>
手仕事の世界:塩野米松師範と達人の方々
<夜学3>
聞香実技:蜂谷宗苾師範
<その他>
校庭でかがり火を囲んでの懇親
葛巻さんさ踊り
小屋瀬盆踊り
22:00
夜学終了予定。それぞれの宿泊場所へ移動
22:20
グリーンテージ着
22:50
プラトー着
5
8月21日(日)
~8:20
それぞれの宿泊地にて朝食
8:20
プラトー宿泊者出発(チェックアウト)
9:05
グリーンテージ宿泊者出発(チェックアウト)
9:30
2日目授業開始(於:日本一の白樺林「平庭高原」)
<1時間目>
10:30
平庭高原吟行:黛まどか師範
授業終了、バスで移動
投句用紙をバス降車時に投句
10:50
<2時間目>「ことば」の世界:谷村新司師範
(於:以降は旧江刈川分校)
12:00
郷土料理の昼食
13:30
<3時間目>
14:40
修了式:修了証授与、各賞の発表、閉講挨拶
15:30
バスでいわて沼宮内駅へ移動
16:20
いわて沼宮内駅解散
手仕事の話:塩野米松師範と達人の方々
6
第一回日本再発見塾概要
3.参加講師陣
講師陣
作家
塩野
米松
日本画家・京都造形芸術大学副学長
千住
博
ジャーナリスト
サム ジェームソン
ロサンゼルスタイムズ 元東京支局長
音楽家
谷村
新司
香道志野流次期家元
蜂谷
宗苾
スポーツジャーナリスト
増田
明美
俳人
黛
まどか
地元の手仕事職人の方々
葛巻さんさ踊り
澤村
憲治
移動製材
廻立
美代治
牛方経験者
橋尻
孝悦
民話
木ノ下
民話
近藤
清助
宮大工
菊池
恭二
家具職人
工藤
宏太
養蜂家
藤原
誠太
小屋瀬盆踊りの皆さん
なにゃとやら保存会の皆さん
7
伝次郎
第一回日本再発見塾概要
4.参加者数と分布
最終参加者数:114 名(うち葛巻町内参加者 19 名)
参加者男女比:女性 69%
男性 31%
31%
男性
女性
69%
参加者年齢比:40 代が 31%、50 代が 21%と相次いで高かった。
1%
4%
14%
19%
10%
10代
20代
30代
21%
40代
50代
31%
60代
70代
8
第一回日本再発見塾概要
5.葛巻地図
9
当日の流れ(1日目)
1.いわて沼宮内駅
全国各地から多くの参加者が集い、なかでもほとんどの参加者が利用した、いわて沼宮
内駅はたいへんな賑わいを見せた。駅長のご配慮により横断幕の掲示や、手作りのポプリ
が配布され、華々しく和やかなストーリーの始まりを予感させた。
いわて沼宮内駅にて受講資料やネームプレートを受け取る参加者たち
Comments from Participants
全国から来られたことに塾の成果が表れていると思います。
(参加者の声:男性 43歳 岩手)
当日の流れ
2.開講式
森と風のがっこう
宿舎や部屋割りごとに分かれてバスに乗り込んだ参加者は、開講式会場である、廃校を
利用したエコスクール、
「森と風のがっこう」に向かって、バスに揺られた。参加者は葛巻
ボランティアスタッフの気さくな町紹介を聞いたり、自己紹介をし合うなど、それぞれ打
ち解けながら開講を迎えた。開講式では、葛巻町町長中村哲雄氏挨拶や、スケジュールの
合間を縫って駆けつけていただいた増田寛也岩手県知事挨拶、そして、参加講師陣らが意
気込みを語った。
10
開講式次第
〈司会
石角則行〉
①
開講の辞
学生実行委員長
乗竹亮治
②
歓迎の挨拶
岩手県知事
増田寛也 様
③
歓迎の挨拶
葛巻町長
中村哲雄 様
④
「えぇじゃないか」の趣旨及び講師陣紹介
⑤
⑥
協賛のご紹介 特別協賛
俳人
黛まどか
JR 東日本様
「森と風のがっこう」紹介
「森と風のがっこう」校長
吉成信夫様
開講式に集まった人々
森と風のがっこう
11
増田寛也岩手県知事
黛まどか 呼びかけ人代表
中村哲雄葛巻町長
開講式に集まった参加講師陣
スタッフ一同
12
当日の流れ
3.移動製材所見学
「森と風のがっこう」での開校式、昼食を済ませた参加者一同は、地元達人のひとりであ
る廻立夫妻の移動製材所へと向かった。それぞれの木の性質に合わせてノコを回す技術と、
夫婦の息の合った動きに魅せられた。
ノコを回す廻立夫婦
13
廻立夫婦の技について説明する
葛巻側実行委員長の高家卓範氏
夫婦の動きを真剣に見つめる塩野米松氏
14
当日の流れ
4.千住博師範による絵画教室
移動製材所からメイン会場である旧江刈川分校に向かった参加者一同は、最初の授業であ
る千住博師範による地元素材を使った絵画教室に臨んだ。千住氏が普段実際に使う岩絵の具
の数々と絵筆を使用しての実体験に、数多くの参加者が感激した。
メイン会場となった旧江刈川分校
15
多種多様な絵の具で作品に挑む参加者たち
16
Comments from Participants
千住先生の岩絵の具の経験は生涯一度と思います。
(参加者の声:男性 55歳 東京)
Comments from Participants
地域の方々や自然との芸術を通じたコラボレーション。
そして参加者の皆さんとのコラボレーション。 大変貴重な体験をす
ることができました。(参加者の声:男性 35歳 東京)
17
それぞれのイマジネーションが葛巻産の経木に描かれた
Comments from Participants
ボランティアとして動いてくださっている方たちの対応がとてもさわやかで気持ちよかっ
たです。地元の方たちが本当に心から迎えてくださったこともうれしかったです。講師の
先生方もとても貴重なお話や講義をしてくださいました。特に千住博さんのお話と講義は
感銘をうけました。(参加者の声:女性 58歳 京都)
18
当日の流れ
5.増田明美師範によるスポーツ教室
千住氏授業に引き続き、増田明美氏による「スポーツについての講義と実践」が校庭にて
行われた。あいにく、途中から雨に見舞われたが、増田氏による豊富な経験談に参加者は聞
き入り、体を動かすことの重要性を再確認した。
Comments from Participants
黛まどかさんも増田明美さんも
惜しみなくサービスしてくださり
いろんな事を伝えてくださいました。
(参加者の声:女性 55歳 岩手)
19
当日の流れ
6.夕食
一日目の授業を終えた参加者は、夕食会場であるグリーンテージへと向かい、地元の食材
を楽しんだ。講師と地元達人は、地域の蕎麦屋である「森のそば屋」にて夕食をとった。
20
当日の流れ
7.夜学
夕食後、再び会場の分校に集まった参加者は、幻想的なかがり火の周りを踊る、なにゃと
やら、葛巻さんさ踊り、小屋瀬盆踊りの歓迎を受けた。その後、各自の関心次第で、蜂谷宗
苾氏による「聞香実技」、谷村新司氏の「夏の炉話」、塩野米松氏と地元達人の方々による
「手仕事の世界」、地元達人による「民話」のグループに分かれ、車座になって、それぞれ
の話に聞き入った。参加者有志による琴の演奏もかがり火の周りで行われ、皆で作り上げる
「日本再発見塾」というムードを盛り上げた。夜学後、参加者はそれぞれの宿泊地へと戻っ
た。
21
22
「聞香実技」
23
Comments from Participants
いろいろなジャンルの一流の達人の話を聞けて本当に視野が広がった。特に絵画、香道
俳句など普段はふれない分野に触れられてよかった。
(参加者の声:男性 26歳 東京)
24
「夏の炉話」
「民話」
25
会場の様子
「手仕事の世界」
26
当日の流れ(2日目)
8.黛まどか師範による平庭高原吟行
さわやかな朝を迎えた参加者は、日本一の白樺林とも言われる平庭高原にて、俳句を楽し
んだ。高原の空をじっと見詰める参加者、黛氏にアドバイスを求める参加者、友人同士でボ
ードウォークに歩みを進める参加者、塩野氏から植物の話を聞く参加者、それぞれが葛巻を、
そして俳句を、新しい視点から「再発見」した。
27
Comments from Participants
緑の山々に囲まれ空気の色も緑かと思われ気持ちのいい二日間を本当にありがとう
ございました。楽しい二日間でした。そして、いろいろ勉強になりました。
(参加者の声:女性 66歳 埼玉)
28
当日の流れ
9.谷村新司師範による「ことば」の世界
平庭高原で吟行を楽しんだ参加者は、メイン会場である旧江刈川分校へ戻り、谷村氏の話
に聞き入った。谷村氏自身の芸術活動の根幹とも言える、神代文字へとつながる壮大な言葉
の世界へのいざないは、参加者を日本語の「再発見」へと導いていった。
Comments from Participants
さまざまな所へ参加や研修の機会も今
までありますが本当に有意義で充実し
た二日間でした。谷村新司先生の奥の
深い講座の続きを心より期待していま
す。
(参加者の声:女性 55歳 高知)
29
当日の流れ
10.郷土料理の昼食
2日目昼食は、分校校庭にて郷土料理が振舞われた。葛巻スタッフが地元の多種多様な食
材を準備くださり、参加者は舌鼓を打った。近くの川で獲れた天然のイワナ、くずまき高原
で育ったラム肉、とうもろこし、そば。食材の視点から葛巻の豊かさ、ひいては、地方の豊
かさをかみしめた。また、地元達人の藤原誠太氏の持参した数々のハチミツも試食でき、日
本ミツバチの魅力を知った。
ハチミツの数々
30
Comments from Participants
岩 手に住んでこんな自然を大切
に有効に生活に活用している県
人がいることがとても同県人と
して誇りに思いました。
(参加者の声:女性 66歳 岩手)
Comments from Participants
昼食の準備のお母さんたち、ボランティアの人達本当に、
本当にご苦労様でした。感謝感激です。
(参加者の声:女性 55歳 岩手)
31
当日の流れ
11.パネルディスカッション「手仕事の話」
昼食後、分校の講堂に再び戻った参加者は、塩野米松氏と手仕事職人の方々によるパネル
ディスカッションに参加した。講師陣も加わり、便利な生活の代償に失われつつある「文化」
を語り合った。
32
当日の流れ
12.修了式
全日程を終了した参加者は、引き続いて修了式に臨んだ。俳句の優秀賞が発表され、歓声
があがった。経木でできた修了証書を受け取った参加者はそれぞれの想い出を胸に、バスに
乗り込み、帰路についた。
33
修了式次第
〈司会
石角則行〉
① 修了の宣言(黛まどか呼びかけ人代表)
② 修了証書授与
③ 各賞発表、表彰
④ 実行委員会代表挨拶
葛巻側実行委員長
34
高家卓範
Comments from Participants
準備、そしてスタッフの方々は大変だろうなー。「ありがとう!!」という気持ちです。
体験型の旅の良さを十二分に味わわせていただきました。
(参加者の声:男性 51歳 関東)
Comments from Participants
参加して大変よかったと思います。企画してくださった方々の心配りに学ぶものがたく
さんありました。講師の諸先生方の専門的な事項をわかりやすくお話くださったことに
感動しながら学ばせていただきました。本当にありがとうございました。
(参加者の声:女性 75歳 岩手)
Comments from Participants
実行委員の方々、本当にお疲れ様でした。とても有意義な時間をすごすことができまし
た。今後なにかお手伝いができればと思っております。
(参加者の声:女性 37歳 宮城)
35
総括
エピソード(1)— 「相部屋効果」—
開催地葛巻町には、大きな宿泊施設はなく、第三セクター運営の「プラトー」、
「グリーンテージ」があるのみ。部屋数に限りがあることから、コテージや和室
において、相部屋が避けられず、当初は申込み者からの苦情やキャンセルもあっ
た。実行委員会も頭をかかえた。しかし、「相部屋での一期一会」は、予想外に
参加者に好評で、「修学旅行のように遅くまで語り明かした」、「これが機会と
なって友人となれた」などの声が聞かれた。相部屋であるという前提が、「お客
様意識」をそぎ落とし、全員参加型の「塾」であることを演出した、思わぬ「相
部屋効果」だった。
日本人よ、(家庭内でのことも含めて)個室に閉じこもるのをやめよう!
エピソード(2)— 「マレビト効果」—
開催地葛巻町は、決して交通の便がいいとは言えない。八戸まで延伸した東北
新幹線が、1時間に一度停まる「いわて沼宮内駅」から、車で30分。いわて沼
宮内駅自体、東北新幹線沿線で最も乗降客の少ない駅と言う。果たしてここに、
人々は交通費を払ってまで来てくれるのだろうか。実行委員会に不安は根強かっ
た。しかし、実際には関東のみならず関西圏からも人が集まった。そればかりか、
滅多に混雑することがないいわて沼宮内駅に80人近い参加者が一度に集まった
光景は、これから開催される日本再発見塾への期待をかきたてた。いわて沼宮内
駅長の配慮により、歓迎の横断幕が吊るされたり、手作りのポプリが駅長から各
参加者に手渡されたりもした。不便なところにたくさんの人が、いろいろなとこ
ろから来てくれる。だからこそ、地元の人も両手をあげて歓迎してくれた。
日本人よ、便利さばかりを追い求めるのはもうやめよう!
エピソード(3)— 全国に広がる再発見—
第一回日本再発見塾では、青森から高知まで、様々な地域から参加者が集まっ
た。参加者から感想を聞くと、「ぜひ次は自分の町でやってほしい」という声や、
「自分の町を再発見するきっかけになった」という声があった。一見何もない葛
巻で、何もないからこそ様々な文化を見いだすことが可能だった、という今回の
成功例は、葛巻での成功にとどまることなく、全国の中山間地や過疎地などでの
可能性を提示したように思える。
日本人よ、もっともっと田舎を見よう!
エピソード(4)— 葛巻ソフトパワー—
葛巻には立派な公共施設が揃っているわけではない。むしろそういうハードに
走らなかったからこそ、自然が残り文化の薫りが残っている。今回の再発見塾で
開催地となった「旧江刈川分校」や開校式会場の「森と風のがっこう」が好例だ。
廃校を開催地にしたからこそ、雰囲気が生まれた。その前を流れる小川が三面張
りでないから水車も生き残り、都会人を魅了した。建物は古く、トイレは汲取り
で扉もギシギシ鳴っていたが故に、異次元の環境があり、他の日本にはない場所
になった。何かを建てるからそこが観光資源になるのではなく、何も建ててこな
かったから風景が生まれ、観光資源が生まれる。葛巻のソフトパワーを実感した。
日本人よ、あるものをもっと生かそう! 余計な手を入れるのをやめよう!
エピソード(5)— 全員参加型再発見塾—
今回の成功理由の一つは、全員がそれぞれ持っているものを持ち寄って2日間
を築き上げたことだろう。講師陣は、それぞれの芸術分野や活躍分野での文化や
経験を持ち寄ってくれた。地元達人は長い経験で培った知恵や技を持ち寄ってく
れた。また参加者もしかりだった。ひとつの例は、琴の奏者でもある参加者が、
わざわざ東京から琴を持参してくれ、演奏してくれたことだ。夜、廃校の校庭が
かがり火と提灯で照らし出される頃、聞こえてくる琴の音は格別のものがあった。
実行委員会が計画していたことではなかった。決まったコースを予定通り旅する
「観光」ではない、全員参加型の再発見塾だったから生まれた出来事だった。皆
がそれぞれ知恵を出し合い、持ち寄ることだけで、お金のかからない文化再発見
が可能であることを再確認した。
日本人よ、自分の持ち味を再発見しよう! それを生かしていこう!
エピソード(6)— 学び合う再発見塾を目指して—
第一回日本再発見塾で目指したことのひとつは、全員が参加し、全員が持ち寄
り、また、全員が何かを学び取って帰れるような機会だった。講師陣からも、葛
巻から感じ取るものがあった、という声はあったが、この仕組みを更に工夫する
必要があるだろう。参加者が講師から学ぶ機会はたくさんあった。今度はさらに、
講師も地元や参加者の視点から学べる機会を増やしたい。地元の職人が再発見塾
を通して自らの技の現代への生かし方、世界へのアピールの仕方を発見したり、
講師と職人との共同作業があったりしてもよい。みんなが参加したくなり、みん
なが元気になれる再発見塾。今後、取り組めることはまだまだ多い。
日本人よ、再発見塾を葛巻で続けよう! 日本中に拡げよう!
参加者アンケート
1.参加していかがでしたか?
内容について
1%
0%
21%
非常によかった
よかった
あまりよくなかった
78%
よくなかった
Comments from Participants
初めてなので色々大変だと思いますが、皆様ボランティアの学生さんたちが町のいろ
いろな人たちに良くしていただいてよかった。 (参加者の声:女性 50歳 愛知)
Comments from Participants
内容が充分すぎて大変感激いたしましたが時間がタイトだったように思いま
す。素晴らしい先生方で感動いたしました。日本再発見とは「心」の再発見で
はないかと思いました。(参加者の声:女性 41歳 東京)
Comments from Participants
講師の方々の気さくなお人柄にとても魅力を感じ、また、地元の一人として参加された
皆さんとの交流も手ごたえを感じ、私自身元気をいただきました。ありがとうございま
した。
(参加者の声:女性 57歳 葛巻)
Comments from Participants
初めての企画、さまざまな参加者。とてもうまく進行されたと感心しております。
地域住民を巻き込んだ方法はとてもすてきなことだと思います。
(参加者の声:女性 52歳 千葉)
36
2.会場はいかがでしたか?
会場について
3%
0%
29%
非常によかった
よかった
あまりよくなかった
よくなかった
68%
Comments from Participants
涼風と山の緑に包まれた美しい町で多くの人や先生方ととても有意義な時を共有でき
とても楽しく幸せな夏になりました。いろいろお世話になり有難うございました。
(参加者の声:女性 48歳 大阪)
Comments from Participants
葛巻を選択した理由を広く深くご案内いただくことが大切だと思いました。“何もない
ことはすべてある”ことであることを実感いたしました。感謝です。
(参加者の声:男性 56歳 神奈川)
Comments from Participants
廃校の利用で清掃が大変だったことをお聞きし、ご準備してくださった皆様にお礼を申
し上げたいと思います。
(参加者の声:女性 66歳 埼玉)
37
3.この催しをどこでお知りになりましたか?
20%
19%
12%
募集チラシ
新聞・雑誌
30%
ホームページ
19%
知人から誘われ
た
その他
38
Fly UP