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HIV - 京都府
HIV/AIDSの基礎知識と 山城北保健所でのHIV迅速検査の現状 山城北保健所 講演の内容 HIVとAIDSの違い z HIV・AIDS 世界、日本、京都での状況 z エイズ 感染経路、診断と治療 z 予防啓発 z 山城北保健所での迅速検査の現状 z 1 HIVはどこからでてきたか? z HIVはサルの免疫不全ウイルス (SIV:simian immunodeficiency virus)と近い関係にあり、おそらく約100 年の間に進化したものだろうと推測されている。 z ただ、エイズは以前よりアフリカの奥地に風土病としてあった 病気ではないかと、考えられている。 いつエイズという病気が見つかったか? z 1982年にエイズという病気の定義が確立 した。 ¾ 1981年6月5日、米国厚生省のCDC発行MMWRと いう雑誌に、ロサンゼルスの若い男性同性愛者5名 がカリニ肺炎を起こしたと報告されたのが、後にエイ ズと名づけられる病気の最初の報告。 2 HIVとは Human ヒト Immunodeficiency 免疫不全 Virus ウイルス AIDSとは 生まれた後にかかる Acquired 後天性 Immuno 免疫 免疫の働きが Deficiency 不全 低下することにより生ずる Syndrome 症候群 いろいろな症状の集まり 3 HIV感染者とAIDS患者の違い HIV感染 無症状 AIDS発症 *日和見感染症:カンジダ症、ニューモシスチス・カリニ肺炎 *腫瘍:悪性リンパ腫、カポジ肉腫 *HIV脳症 等 HIV・AIDS 世界での状況 4 世界の推計総数(成人・子供) 2005年末現在 z HIV感染者・AIDS患者総数 4030万人 (3670-4530万人) z 2005年の新規HIV感染者数 490万人 (430ー660万人) z 2005年のAIDSによる死亡者 310万人 (280-360万人) UNAIDS/WHOより HIV感染者/AIDS患者推計総数 (2005年末現在) UNAIDS/WHOより 東ヨーロッパ 西・中央ヨーロッパ 中央アジア北アメリカ 72万 160万 北アメリカ 東アジア 120万 北アフリカ・中東 87万 51万 カリブ海沿岸 南・東南アジア 30万 740万 ラテンアメリカ 180万 サハラ以南アフリカ 2580万 オセアニア 7.4万 合計:4,030万人(3,670-4,530万人) 5 先進7カ国のAIDS患者報告数の増減比率 先進7カ国の中で、日本では絶対数は多くありませんが、エイズ患者が増えています。 このグラフは平成15年度研究報告書より平成7年度の患者報告数を1として作成 HIV・AIDS 日本での状況 6 HIV感染者/AIDS患者報告数の推移 HIV感染者 AIDS患者 (資料)厚生労働省エイズ動向委員会 「エイズ発生動向年報」 日本でのHIV感染者及びAIDS患者報告数の累計 (平成18年1月1日現在) 8000 6000 男 4000 女 2000 0 男 女 HIV感染者 AIDS患者 凝固因子 5610 1728 3149 474 1417 18 エイズ動向委員会報告 7 HIV感染者及びAIDS患者の感染経路別構成 (2005年12月までの累計) AIDS患者 HIV感染者 不明 18% その他 2% 異性間の 性的接触 38% 母子感染 0% 静注薬物濫用 1% 不明 26% その他 3% 母子感染 0% 静注薬物濫用 1% 同性間の 性的接触 41% 異性間の 性的接触 43% 同性間の 性的接触 27% エイズ動向委員会報告 献血におけるHIV抗体陽性率の推移 人 件数 2 100 80 60 1 40 10万人当たり 陽性件数 20 2005 2003 2001 1999 1997 1995 1993 1991 1989 0 1987 0 エイズ動向委員会報告 8 HIV感染者及びAIDS患者のブロック別 累積報告状況 (2005年末月) 8000 6000 4000 2000 0 HIV感染者 AIDS患者 東北 関東・ 甲信越 北陸 東海 近畿 中国・ 四国 九州・ 沖縄 129 97 5064 2481 60 32 644 323 958 388 173 99 241 146 エイズ動向委員会報告 HIV感染者及びAIDS患者の都道府県別累積報告状況 一部抜粋 (2005年末月) 関西 関東 4000 2000 0 HIV感染者 AIDS患者 東京 神奈川 千葉 大阪 兵庫 京都 2837 1082 574 305 431 287 659 212 118 66 94 41 エイズ動向委員会報告 9 HIV・AIDS 京都での状況 京都府のHIV感染者・AIDS患者報告 受理件数 (H17年12月31日累計) 30 25 20 感染者 患者 15 10 5 0 H12 H13 H14 H15 H16 H17 10 HIV感染者・AIDS患者年齢別区分(京都府) 70 60 50 40 30 20 10 0 20歳未満 20-29歳 30-39歳 40-49歳 50歳以上 京都府のAIDS患者・HIV感染者の状況 (性別・感染原因別) HIV感染者 AIDS患者 40 40 30 30 20 男 女 20 10 10 0 0 異性間の 同性間の 他 性的接触 性的接触 男 女 異性間の 同性間の 他 性的接触 性的接触 11 京都府のHIV感染者・AIDS患者の状況 (国籍別) 160 120 感染者 患者 80 40 0 京都府 京都市 日本人 京都府 京都市 外国人・不明 京都府 京都市 合計 HIV・AIDS 感染経路、診断と治療 12 限られた感染経路 性行為 血液を介して 母子感染 感染経路について HIV感染者の血液、精液、膣分泌液、母乳にHIVが 含まれています。 *以下の日常生活では感染しません 咳、くしゃみ つり革、手すり 風呂、プール 蚊、ノミ、ダニ 美容院 コップでの回し飲み 握手 13 血球構成成分 血球 赤血球 単球 白血球 リンパ球 血小板 顆粒球 Bリンパ球 Tリンパ球 好中球 好塩基球 CD4陽性 リンパ球 CD8陽性 リンパ球 好酸球 CD4陽性リンパ球 HIV DNA HIV 二本鎖DNA 逆転写 HIV 進入 HIVたんぱく質 HIV RNA 核 転写 出芽 HIV RNA 14 HIVに感染したリンパ球 HIV粒子の電子顕微鏡写真 表面に群がるようについているたくさんの小さな粒子がHIVウイルス 「エイズを正しく理解しよう!」(中学生用エイズ教育教材)より HIV感染症の臨床経過 CD4陽性リンパ球数 HIV RNA量 急性感染期 無症候期 AIDS発症期 15 エイズの進行過程 エイズ発症 エイズ関連症候群 無症状 感染 発熱、寝汗 下痢 体重減少 リンパ節腫脹 *日和見感染症 カンジダ症 ニューモシスチス・ カリニ肺炎 *腫瘍 悪性リンパ腫 カポジ肉腫 *HIV脳症 等 Ⅰ HIV感染症の診断 z HIVの抗体スクリーニング検査法(酵素抗体法ELISA、粒子凝 集法PA、免疫クロマトグラフィー法IC)の結果が陽性であって、 以下のいずれかが陽性 ¾ ¾ 抗体確認検査(Western Blot法、蛍光抗体法IFA等) HIV抗原検査、ウイルス分離、核酸診断法PCR等の病原体 に関する検査 周産期に母親がHIVに感染していたと考えられる生後18ヶ月未満の児の場 合、別途診断基準あり。 16 AIDSの診断 z z Ⅰの基準を満たし、次の指標疾患の一つ以上が明ら かに認められる場合 指標疾患 A B C D E F ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ 真菌症:カンジダ症、カリニ肺炎、クリプトコッカス症等 原虫症:トキソプラズマ脳症、クリプトスポリジウム症等 細菌感染症:サルモネラ菌血症、活動性結核等 ウイルス感染症:サイトメガロウイルス感染症等 腫瘍:カポジ肉腫、非ホジキンリンパ腫等 その他:HIV脳症、HIV消耗性症候群等 CD4と日和見感染症の関連 CD4陽性リンパ球数 (/μl) 500 400 帯状疱疹 結核 カポジ肉腫 300 200 100 カリニ肺炎 カンジダ症 クリプトコッカス髄膜炎 トキソプラズマ脳症 サイトメガロウイルス網膜炎 非定型抗酸菌症 0 時間 17 HIV感染症治療 ①HIV増殖を抑制し、患者さんの免疫能を回復させる。 現在標準的な治療 HAART Highly Active Anti-Retroviral Therapy 強力な抗レトロウイルス療法 ②日和見感染症の治療 HAART開始時のCD4数と生存率 生存率(%) HAARTの期間(月) 厚労省HIVガイドライン2005年度版より 18 抗HIV治療の開始時期の目安 1,AIDS発症していない場合 (1)CD4陽性リンパ球数が350/μl以上 治療を行わず、経過観察する。 (2)CD4陽性リンパ球数が200~349/μl 治療開始時期を決定する。 (3)CD4陽性リンパ球数が200/μl未満 治療を開始する。 2,AIDS発症している場合 治療を開始する。 CD4陽性リンパ球 HIV DNA 逆転写酵素阻害剤 HIV 二本鎖DNA 逆転写 プロテアーゼ阻害剤 HIV 進入 HIVたんぱく質 HIV RNA 核 転写 出芽 HIV RNA 19 日本で承認されている抗HIV薬 (2005年2月承認) 一般名 ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤 ジドブジン(AZT) ザルシタビン(ddC) ザニルブジン(d4T) アバカビル(ABC) アバカビルとラミブジンの合剤(ABC+3TC) エムトリシダビンとテノホビルの合剤(TDF+FTC) ジダノシン(ddI) ラミブジン(3TC) ジドブジンとラミブジンの合剤(AZT+3TC) テノホビル(TDF) エムトリシタビン(FTC) 非ヌクレオチド型逆転写酵素阻害剤 ネビラピン(NVP) デラビルジン(DLV) エファビレンツ(EFV) プロテアーゼ阻害剤 インジナビル(IDV) ネルフィナビル(NFV) リトナビル(RTV) ロピナビル(LPV/r) サキナビル (SQV-HGC) ホスアンプレナビル(fAPV) アンプレナビル(APV) アタザナビル(ATV) 2003年に日本で使用されたHAARTメニュー 20 主な抗HIV薬の副作用の特徴 抗HIV薬 3TC ABC AZT d4T ddI FTC TDF EFV NVP LPV/r 副作用 乳酸アシドーシス 過敏症、乳酸アシドーシス 胃腸症状、頭痛、骨髄抑制、乳酸アシドーシス 高脂血症、末梢神経障害、乳酸アシドーシス 胃腸症状、末梢神経障害、乳酸アシドーシス 乳酸アシドーシス 腎障害、乳酸アシドーシス 精神神経症状、皮疹、高脂血症 皮疹、肝障害 胃腸症状、高脂血症 若年世代に対する 予防啓発事業 21 性的ネットワーク 性交経験率の推移 % 70 60 大学男子 大学女子 高校男子 高校女子 中学男子 中学女子 50 40 30 20 10 0 1974年 1981年 1987年 1993年 1999年 22 <H16年 中学生対象の研修会> <H16年 中学生対象の研修会> 23 <H17年12月6日 大学正門前にて予防啓発> <H17年12月6日 大学正門前にて予防啓発> 24 保健所におけるHIV即日検査の導入 年度別・月別検査件数の推移 (山城北保健所HIV検査受検者の内訳) 人数 80 70 60 50 H15年 H16年 H17年 H18年 40 30 20 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 月 25 即日検査導入前後の比較 (山城北保健所HIV検査受検者の年代別・性別の内訳) 50 40 30 前 H17.3. 3~ 8.18 後 H17.8.25~H18. 1.26 20 10 0 男 女 10代 前 後 3 3 男 女 20代 4 6 5 43 5 20 男 女 男 30代 10 30 4 10 女 男 40代 8 11 8 6 女 50代 5 5 10 1 男 女 60代以上 3 3 0 0 HIV抗体検査におけるフローチャート 即 日 検 査 (-) 陰性 要確認 (+) (判定保留) 確認検査 迅速抗体検査 1~2週間後 検査当日 (-) 陰性 (+) 陽性 26 HIV迅速検査の時期 感染の機会 1~2か月以降の検査 3か月以降の検査 陰性 陰性 感染している可能性は低いが その可能性は残っている。 感染の機会から3か月後再検査を 感染いている可能性はないと 考えられる。 陽性 陽性 HIVに感染していると考えられる。医療機関で精密検査を エイズ迅速検査前の問診、説明、相談 27 採血 エイズ迅速検査 28 迅速検査中 迅速検査結果 29 迅速結果報告とカウンセリング Q. HIVは1回の性交渉でも感染するの ですか? A 1回の性交渉でのHIVの感染率は0.1~1%といわ れています。 [HIVの感染率] 危険行為 輸血 母子間 性行為 静脈注射薬物乱用 針刺し事故 効率 >90% 30% 0.1~1% 0.5~1% <0.5% 30 コンドームによる予防効果 z HIV感染率 (どちらかのみHIVに感染していた夫婦) コンドーム着用 ¾ 常に使用 123組 夫婦間罹患率 ¾ ときどき使用 多数 夫婦間感染率 0% 7-14% N.Engl.J M 1994年 HIVに関する国内のホームページ(一部) z z z z z z z HIV/AIDS先端医療開発センター http://www.onh.go.jp/khac/ 国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター http://www.acc.go.jp/accmenu.htm 厚生労働省 http://www.aids-chushi.or.jp/ エイズ予防財団 http://www.jfap.or.jp/ エイズ予防情報ネット http://api-net.jfap.or.jp/ 中四国エイズセンター http://www.aids-chushi.or.jp/ 厚生労働省エイズ治療研究班 http://www.iijnet.or.jp/aidsdrugmhw/ 31 山城北保健所診察室前 レッドリボンとは エイズに対する 理解と支援の象徴 32