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1 修正 IAS 第 39 号「金融商品:認識及び測定」公正価値オプション
修正 IAS 第 39 号「金融商品:認識及び測定」公正価値オプションに対するコメント 平成 16 年 7 月 6 日 日本公認会計士協会 日本公認会計士協会(以下「当協会」という。)は、修正 IAS 第 39 号「金融商品:認識 及び測定」公正価値オプション公開草案(以下、 「公開草案」という。)に対するコメン トを述べる。当協会は当該公開草案を支持し、公開草案に示されたいくつかの改訂に同 意する。しかしながら、当協会は以下にコメント及び提案を述べる。 本公開草案が適用された場合には、例えば以下に示す金融商品が公正価値オプションの 適用ができなくなるおそれがある。 (i)固定金利付き私募債の保有とともに金利スワップで私募債の公正価値変動をヘッ ジしている場合、私募債の公正価値は検証可能ではないから償却原価法により評価 される一方、スワップはデリバティブの定義を満たすため公正価値により評価され、 その変動額は損益計算書に計上される。私募債と金利スワップにヘッジ会計を適用 しようとすれば、ヘッジ有効性のテストが定期的に要求される。またはヘッジ会計 を当初から適用できないかもしれない。 (ii)固定金利付借り入れを実行して、その資金をもって固定金利付社債に投資した場 合に、保有する社債は満期保有目的で取得する場合を除き、時価評価しなければな らない一方で借入金は公正価値が検証可能であってもなくても時価評価できないこ とになる。その結果、損益上でミスマッチが生ずる。 提案項目に対するコメント: 当協会は、修正 IAS39 の提案に以下の事項を除いて同意する。 (1) 第 9 項(b) (iii)は、公正価値オプションを選択できる条件の一つとして、 「金融資産又は金融負債の公正価値の変動に対するエクスポージャーがその他の金 融資産や金融負債の公正価値の変動に対するエクスポージャーの変動でほとんど相 殺される(斜体追加)」を要求している。「ほとんど相殺」とは、どの程度の相関関 係を意味しているのかはっきりしない。当協会は、「ほとんど」とは 90%以上を意味 するものと考えている。もしそうだとすると、この規定の適用範囲は極めて狭いも のになるであろう。例えば、売却可能金融資産(例えば、国債)を固定金利付社債の 発行で調達した場合、国債のクレジットと社債発行会社のクレジットが異なるため に、たとえ発行社債の公正価値が検証可能としても、金融資産と金融負債の公正価 1 値の変動は「ほとんど相殺」されるとはいえないであろう。公正価値ヘッジの要件 と同様に、 「特定のリスク・エクスポージャーに係る、金融資産の公正価値変動と対 当する金融負債の公正価値変動がほとんど相殺される」条件が満たされれば、当該 金融資産と金融負債に対して公正価値オプションの適用を選択できることとすべき である。この場合、ほとんど相殺されている公正価値の変動は、特定のリスク・エク スポージャーのみに係る公正価値部分であって、金融資産又は金融負債全体の公正 価値変動のほとんどではない。 (2) 第 9 項の中で、 「銀行、保険会社のように健全性監督当局の規制を受ける企業 については、関係する健全性監督当局の権限に、こうした規定の適用ならびに関連 するリスク管理システム及び方針についての監視が含まれていることもある。 」と述 べている。BC11(b)に説明されているように、健全性監督当局の監視権は IAS39 よっ て付与されるものではない。当協会はこの立場に同意するが、この文章は、本文に 含めることは適切ではないので、第 9 項から削除すべきである。 (3) 第 9 項で提案されている要件の 1 つである「検証可能性」は、第 9 項(b)にの み適用されるものであることを明らかにするため、第 48 項では、第 9 項全体ではな く第 9 項(b)を引用する記述に変えるべきである。 以 上 2