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2月13日判決についての見解

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2月13日判決についての見解
2009年2月13日
本日言い渡された判決についての見解
弁護士法人アディーレ法律事務所
代表弁護士
石丸
幸人
原告を破産管財人佃克彦,被告を当法人とする損害賠償請求事件につき,本日午後1時
10分判決が言い渡されたが,以下の点で,その内容は破産法の運用を十分に理解してい
ない裁判官による,極めて不合理な判断であり,到底許容できるものではない。
当法人としては,本日既に控訴を行った。高等裁判所の適正な判断を期待するものであ
る。
1
法律上規定のない義務を申立代理人に認めていること
破産法上,破産申立代理人には,管財人とは異なり,財産についての管理処分権はな
く,これは争いのないところである。権限がないにもかかわらず,明文のない財産を管
理する義務及び財産が減少した場合の賠償義務のみを片面的に認めるものであり,およ
そ理解ができない。財産減少については,管財人の否認権,個人であれば免責不許可に
より,事前及び事後的にその防止が図られていることは条文上明らかである。
また,判決では,申立代理人が破産手続を受任し,受任通知を発送した後は債権者は
取立を控えるのが通常であり,その反面として申立代理人が財産の管理義務を負うこと
を根拠付けているが,貸金業者等一部の債権者を除いては,そもそも債権者の取立は法
律上禁止されておらず,実際に訴訟となるケースもあり,これを理由に管理義務を導き
出すことはできない。これは破産手続開始決定が下されるまでは破産者のみが管理処分
権を有することの裏返しでもある。
仮に,この判断が正しいものであるとしたら,破産者の財産を強制管理する根拠がな
い以上は,破産者の費消を完全に防ぐ方法がないため,受任後に費消が発覚した場合に
対処の方法がないことになる(本判決に従う限りは,たとえ辞任したとしても管理義務
違反はなくならないことになる)。本判決は,巨大企業とは異なり,破産者による財産
の費消が時折生じる,個人や中小企業の破産実務をまったく理解していない判断である。
2
証明責任の転換を図る根拠が不明である
判決は,2年間破産申立をしないことを明白な過失であるとし,過失のないことを被
告において証明しない限りは賠償責任が生じるとしている。
しかし,損害賠償請求については請求をする者が,相手方の故意,過失を証明するの
が大原則であり,2年間申立をしないことが証明責任を転換させる理由になるとは実務
上考えられない。
判決は,2年間申立をしないことを重視し,証明責任の転換を図っているが,資産の
任意処分や予納金の積立,破産者との連絡不通,破産者の準備不足により,係る期間が
経過することは珍しいことではなく,この点においても破産実務に対する理解不足が露
呈している。
百歩譲って証明責任を転換するのであれば,被告に対してそれを告げ,被告に十分な
主張立証を尽くさせるのが通常であるが本判決はそれすら行っておらず,審理不尽の違
法がある。
以
上
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