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群馬県における消費関連企業の販売動向と販売戦略・価格
まえばし 群馬県金融経済レポート 2016 年 7 月 11 日 日本銀行前橋支店 群馬県における消費関連企業の販売動向と販売戦略・価格設定行動 群馬県の消費関連指標は、インバウンド消費や高額消費の落ち込みが小さいこともあって、 足もとも総じて底堅く推移しているものの、消費者マインドは、年初来の株価下落の影響な どから全国の動きと同様、慎重化しているように窺われる。 売上高堅調 の背景 消費者の節約 志向の強まり ・従来からインバウンド消費が殆どなく、これによる落ち込みがないので全国の 中では売上高は安定して推移(各社) ・ブランド品等は品揃えが豊富な首都圏で購入するケースが依然多く、株価変動 が売上高に与える影響は小さい(各社) ・当初予定していた食料品等に加え、衣料品も追加購入する「ついで買い」が 減少(総合スーパー) ・「プチ贅沢品」(国産ブランド牛やプレミアムビール等)の売行きが悪化する 一方、低価格商品の売行きが改善(食品スーパー) ・商品価格に対する配送料上乗せにより割引率が低くなることが嫌気されて、 配送サービスの利用が伸び悩み(総合スーパー) ・外食回数が減っているためか、惣菜等の売上が伸長(食品スーパー) ・低グレード車を選択する顧客や、カーオプションの購入金額を抑制する顧客が 増加(自動車販売店) こうした中、消費関連企業は、売上高の維持・拡大のため、①取扱商品の価格帯の拡大、 ②価格訴求型の広告強化、③非日常的な「コト消費」の喚起といった対応を急いでいる。 また、短期的な対応にとどまらず、④インバウンド需要の獲得、⑤シニア需要の獲得などを進め る動きも引き続きみられる。雇用・所得環境が引き続き緩やかに改善するもとで、こうした取 り組みが進展していけば、先行きも当県の消費関連指標は底堅い推移を続けるとみられる。 取扱商品の 価格帯の拡大 価格訴求型の 広告強化 「コト消費」の 喚起 インバウンド 需要の獲得 シニア需要の 獲得 ・低価格惣菜の品揃え充実や高付加価値品の値引き拡大、値引き率の高い大容量 品の拡充等の対応により、来店客増加と客単価引上げを実現(総合スーパー) ・割安なプライベートブランド商品の拡充により来店客増加(小売店ほか) ・高単価で人気もある露天風呂付き客室の整備・拡充により、宿泊客の増加と 単価引上げを模索(旅館・ホテル) ・従来よりも特売品を多く掲載したチラシの配布を拡大(食品スーパー) ・EDLP 戦略に拘らず、特売品を設定し、チラシなどの宣伝を強化(総合スーパー) ・Web チラシの活用やセール情報の強化(食品スーパー) ・地域物産展や子供向け催事の開催頻度や売場面積、取扱商品を拡充(大型小売 店) ・イベント開催期間を長期化(食品スーパーほか) ・土産品売場を充実化するとともに、外国語の館内放送導入や免税対応を実現(シ ョッピングセンター) ・海外現地でのプロモーション強化や専用客室の整備を検討(旅館・ホテル) ・移動販売サービスの展開を検討(食品スーパー) 以 上