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(別添様式1) 未承認薬・適応外薬の要望 1.要望内容に関連する事項 要
要望番号;Ⅱ-47 (別添様式1) 未承認薬・適応外薬の要望 1.要望内容に関連する事項 要 望 者 学会 (該当する ものにチェ ックする。) (学会名;公益社団法人 患者団体 (患者団体名; 個人 (氏名; 優先順位 11 日本産科婦人科学会 ) ) ) 位(全 14 要望中) 成 分 名 エノキサパリンナトリウム (一 般 名) クレキサン皮下注キット 2000IU 販 売 名 会 要 望す る 医薬品 社 名 国内関連学会 製造販売(輸入):サノフィ・アベンティス株式会社 発売:科研製薬株式会社 (選定理由) 未承認薬・適応 外薬の分類 未承認薬 適応外薬 (該当するものに チェックする。) 効能・効果 (要望する効能・ 効果について記載 する。) 用法・用量 要望内容 抗リン脂質抗体陽性女性における反復流産の予 防 2000IU1 日 2 回投与 (要望する用法・ 用量について記載 する。) 備 考 (該当する場合は チェックする。) 小児に関する要望 (特記事項等) 「 医療 上 1.適応疾病の重篤性 の 必要 性 ア 生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患) に 係る 基 イ 病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患 準 」へ の ウ その他日常生活に著しい影響を及ぼす疾患 1 要望番号;Ⅱ-47 該当性 (上記の基準に該当すると考えた根拠) (該当す るものに チェック し、該当す ると考え た根拠に ついて記 載する。) 低リスク妊娠に関する前向き研究において、抗リン脂質抗体症候群 を合併することにより 3~9 倍高い流産リスクを伴うことが判明し ており[1-4]、胎児の生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患) である。また、妊婦側からみれば同疾患は静脈血栓塞栓症のリスク を上昇させる因子でもあり、妊婦の日常生活や生命も影響のある疾 患でもある。 2.医療上の有用性 ア 既存の療法が国内にない イ 欧米等の臨床試験において有効性・安全性等が既存の療法と比 べて明らかに優れている ウ 欧米等において標準的療法に位置づけられており、国内外の医 療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると 考えられる (上記の基準に該当すると考えた根拠) (1) 疫学について 流産は、女性の健康問題の中で主要なものの一つである。実際、妊娠可能年 齢女性の 9~13%が臨床的な流産を 1 回経験しており、5% が 2 回以上、1 ~2% は 3 回以上の流産を経験している[5-10]。医学的原因はいくつか確認 されているが、2 回以上の自然流産と定義される不育症の原因の 50%まで は、標準的な婦人科、ホルモン及び染色体の検査後も不明のままである。流 産は、抗リン脂質抗体症候群及び慢性骨髄増殖性症候群、本態性血小板血症 等のいくつかの後天性血栓形成傾向のよく知られた合併症の一つであり、遺 伝性血栓形成傾向の場合と同様である[11]。実際、米国胸部疾患学会が最近 発行した血栓形成傾向及び妊娠に関する診療ガイドラインでは、血栓形成傾 向と妊娠合併症との間の関連を示す最も説得力のあるデータは、抗リン脂質 抗体(APL-Abs)をも つ 女性 を対 象 とし た研 究 に由 来す る こと が示 さ れてい る。[12]. 多数の臨床試験から、高水準の抗リン脂質抗体の存在が流産リスクの増大に 関連していることを示す有力な証拠が得られている。こうした流産は、通常 妊娠第 1 三半期、ことに唯一の胎児栄養源として胎盤循環が確立される妊娠 第 10 週以降に発症する。低リスク妊娠に関する前向き研究において、抗リ ン脂質抗体が存在することにより、3~9 倍高い流産のリスクを伴うことが 判明している[1-4]。以前に少なくとも 3 回の流産の既往があり、さらに抗リ ン脂質抗体陽性の他に異常がない女性は、今後も流産する可能性が高い。例 えば、妊娠中に治療を拒否した 20 名の女性を対象とした前向き研究では、2 2 要望番号;Ⅱ-47 名 を 除 く 全 員 が 主 に 妊 娠 第 1 三 半 期 に 流 産 を 経 験 し た と 報 告 さ れて い る [13]。 (2) 妊娠する抗リン脂質抗体症候群(APS)患者における医学的必要性 APS 女性患者では流産のリスクが高いことから、APL-Abs 陽性で反復流産 の既往がある女性に治療を施す必要がある。こうした治療法は、流産のリス クを最小限に抑え、さらに安全で母親及び胎児における忍容性が高いもので あることが期待される。さらに、治療計画が妊婦に適しており、かつ都合の よいものである必要がある。 (3) 治療法の選択肢 最近多くのレビューにおいて、反復流産の既往がある女性における流産予防 のための最新の治療法の選択肢が取り上げられ[14-18]、以下の治療法が検討 されている。科学的根拠に基づいて治療法を選択する医療の取り組みに情報 を提供するための無作為化比較試験から利用できる情報は限られたものだ けである。 コルチコステロイド[副腎皮質ステロイド] 歴史的に見て、APS が自己免疫の起源と想定される場合、流産予防のために 副腎皮質ステロイド療法が検討されてきた。しかし、副腎皮質ステロイドが 妊娠帰結を改善するという証拠はほとんどなく、妊娠時他の疾患の罹患率を 増大させる可能性がある。APS 女性患者が妊娠中に副腎皮質ステロイドを日 常的に服用することは、もはや望ましいとは考えられない。 免疫グロブリン APS が自己免疫の起源であることに基づき、免疫グロブリン静注療法も提案 されている。しかし、本療法が有益であるという証拠はほとんどなく、無作 為化試験では低分子量ヘパリンより有効性が低いことが明らかになってい る[19]。免疫グロブリンを用いる治療法では静脈内投与が必要であり、その ために診療所への来院も必要となって、費用もかかる。 アスピリン 流産のリスクが高く、APS に伴う反復流産の既往がある女性の管理に、低用 量アスピリンが提案されている。アスピリンは、単独、未分画ヘパリンとの 併用、又は低分子量ヘパリンとの併用のいずれの方法でも使用可能である。 アスピリンとヘパリンの併用により、アスピリン単独よりも良好な妊娠帰結 が得られることが明らかになっており、現在では APS 女性患者における流 産予防の標準的治療法と考えられている。 クマリン関連の経口抗凝固薬 こうした強力な抗凝固薬は、催奇作用のため、妊婦において血栓性の胎盤障 害を予防するのに適していない。 未分画ヘパリン 3 要望番号;Ⅱ-47 未分画ヘパリンは、APS の妊娠女性において流産を含む血栓塞栓症の予防に 長年使用されている。いくつかの大規模な研究により、全妊娠期間を通して 未分画ヘパリンを使用することにより、70%を超える生児出生率を達成でき ることが立証されている。しかし、未分画ヘパリンの常用には、主に投薬ス ケジュール自体の問題や抗凝固反応と副作用における患者間のばらつきに 関連して多くの制限がある。特に、長期間にわたる未分画ヘパリンの使用に は骨粗鬆症のリスク増大を伴う[20,21]。例えば、日本における研究では、反 復流産の既往があり妊娠中に未分画ヘパリンの投与を受けた 21 名の女性に おいて、骨密度の有意な低下、骨形成マーカーレベルの低下、及び骨吸収マ ーカーレベルの上昇が明らかになった[22]。 低分子量ヘパリン(LMWH) 未分画ヘパリンに関連する制限を克服するため、リスク・ベネフィット比及 び薬物動態プロファイルに優れ、また皮下投与が可能な低分子量ヘパリンが 開発された。こうした薬剤は、以下のように未分画ヘパリンに優る多くの治 療上の有益性をもたらす[23-26]: 抗 IIa 活性に対する抗 Xa 活性の比を増大し、持続的な抗血栓活性と 同時に出血の可能性を低下させる。 血小板との相互作用の低下と血小板減少症のリスクの低減。 骨粗鬆症発症を促進する可能性の減少。 皮下注射後のバイオアベイラビリティの増加。 半減期の延長により 1 日 1 回投与が可能。 抗凝固反応の予測が可能となり、臨床検査によるモニタリングがほと んど又はまったく不要。 この 20 年間で、LMWH は広くの外科領域及び内科領域における VTE の予 防及び治療の中心としての地位を確立した。 (4) 診療ガイドライン 静脈血栓塞栓症(VTE)、血栓形成傾向、抗血栓療法及び妊娠の管理に関す る標準的診療ガイドラインが米国胸部疾患学会により最近発行された[12]。 同ガイドラインでは、グレード IA レベルで、抗リン脂質抗体が検出され、3 回以上の流産を経験している女性では、妊娠中の予防法として、未分画ヘパ リン又は低分子量ヘパリンとアスピリンとの併用を推奨している。日本の現 状はというと、社団法人日本産科婦人科学会と社団法人日本産婦人科医会が 共同で刊行した産婦人科診療ガイドライン産科編 2008 にその記載が見られ る。それによれば、とりわけ 3 回以上連続で妊娠中に流産を経験している女 性について APL-Abs の試験を実施するよう推奨しており、また抗体陽性の 患者については、低用量アスピリン(75~100 mg/日)単独での使用又はヘ パリン製剤との併用(5,000~10,000 IU/日)を推奨している。 4 要望番号;Ⅱ-47 (5) エノキサパリンについて エノキサパリンは、抗血栓薬の LMWH クラスに属する、独特の化学物質で ある[1]。エノキサパリンは、化学的脱重合過程により未分画ヘパリンから得 られる平均分子量が約 4500 ダルトンの多糖である。エノキサパリンの多糖 鎖は、グリコシド結合により硫酸化グルコサミンとウロン酸を交互に結合さ せた単位で構成されている。ウロン酸残基は通常イオン化されており、市販 のエノキサパリンは酸性多糖のナトリウム塩に相当する。エノキサパリンの 構造式を以下に示す。 エノキサパリンの主な薬理学的特性には、抗 Xa 因子活性及び抗 IIa 因子 (抗トロンビン)活性があり、これらの活性はアンチトロンビンへの結合親 和性に左右される。エノキサパリンは、未分画ヘパリンと比較して、抗凝固 活性に対する抗血栓活性の比率が高いことを特徴とする。エノキサパリンは 皮下投与する。 海外におけるエノキサパリンの推奨用量は適応症により異なり、特に VTE の予防と治療とで用量は異なる。外科患者における血栓予防の場合のエノキ サパリンの推奨用量は、VTE が低リスクから中リスクの患者では 1 日当た り 20 mg 又は 40 mg、高リスクの患者では 1 日 当たり 40 mg 又は 30 mg を 1 日 2 回である。内科の患者では、エノキサパリンの推奨用量は 1 日当たり 40 mg である。一方、VTE の治療の場合には、エノキサパリンを 1 日 2 回 1 mg/kg を注射するか、もしくは 1.5 mg/kg を 1 日 1 回注射することが推奨 されている。血栓塞栓症を併発した患者では、1 mg/kg の 1 日 2 回投与が推 奨されている。日本における VTE 予防のためのエノキサパリンの推奨用量 は、20 mg 1 日 2 回の使用である。 (6) APS 患者における流産予防のためにエノキサパリンを使用する根拠 抗リン脂質抗体又はプロテイン C が介在する流産の実験モデルを用いたい くつかの研究では、ヘパリン全般、又は特にエノキサパリンの薬効が示され ている。例えば、トロンボモジュリンの変異を引き起こす遺伝子導入マウス 5 要望番号;Ⅱ-47 モデルでは、プロテイン C 経路を無効にし胎仔死亡を引き起こすが、未分画 ヘパリンの投与により変異を起こした胎仔の再吸収が遅くなる。次に、血管 内皮プロテイン C レセプターの発現を抑制させた遺伝子導入マウスでは、胎 仔は通常胎齢 10.5 日より前に死亡する。しかし、ヘテロの母親にエノキサ パリンを投与した場合、ホモの胎仔の一部が生存する。APL-Abs マウスモ デルでは、エノキサパリンが流産を予防することが立証されている[28]。こ の特性は補体活性に影響しないフォンダパリヌクスやヒルジン等の抗凝固 薬には見られないため、この効果は直接的な抗凝固作用ではなく、補体活性 の遮断に関連しているように思われる[28]。 (7) エノキサパリンの承認状況と妊婦への投与 エノキサパリンは、VTE 予防薬として開発された最初の LMWH の 1 つであ った。 本品は、中リスクから高リスクの外科手術を受ける患者の VTE 予防 を適応として、1987 年 4 月にフランスにおいて最初に承認を受けた。それ 以降、本品は 100 カ国以上で許可を受け、また承認を受けた適応症は外科及 び内科における多種多様な状況に拡大された。日本では、高リスクの整形外 科手術、すなわち人工股関節全置換術、人工膝関節全置換術及び股関節骨折 手術後の VTE 予防を適応として 2008 年に初めて承認された。また、2009 年 2 月には高リスクの腹部外科手術後の VTE 予防が適応追加された。 海外において、現在までに承認を受けたエノキサパリンの適応症は国によっ て異なるが、以下の適応症が含まれる: 静脈血栓塞栓性疾患、特に整形外科又は一般外科に関連する疾患の予 防。 心不全、呼吸不全、重度の感染症及びリウマチ性疾患等の急性疾患の ため寝たきりになっている内科患者における静脈血栓塞栓症の予防。 肺塞栓症の有無にかかわらず、深部静脈血栓症の治療。 血液透析中の体外循環における血栓形成の予防。 不安定狭心症及び非 Q 波心筋梗塞の治療。アスピリンと併用する。 医学的管理が必要な患者又は引き続き経皮的冠動脈形成術を受ける 患者を含む、急性 ST 上昇型心筋梗塞の治療。 エノキサパリンを治療に導入する時点では、妊娠中に使用しないように(表 示に際して使用上の注意の形で)推奨された。しかし近年では、他の治療法 と比較して、皮下注射が便利であり、また母体及び胎児の安全性が改善され る可能性があるという両方の理由から、妊娠中の LMWH の使用がかなり関 心を集めている[23,24,29-32] 。実際現在では、LMWH 剤は世界中で妊娠中 も広範囲に臨床で使用されており[33] 、多数の専門家団体から発行されて いる治療ガイドラインでは、妊娠中の血栓性疾患の予防及び治療に LMWH を使用してもよいと記載されている[34-38]。こうした理由から、既承認の製 品の表示における妊娠中のエノキサパリンの使用に関する使用上の注意は、 6 要望番号;Ⅱ-47 後に多くの国で書き換えられており、結果的に明確な必要性がある場合には 妊娠中にエノキサパリンを使用することができると推奨されている。こうし た表示の変更は、広範囲に及ぶ本剤の使用経験や、妊婦の血栓予防における 重要な医療上の必要性、及び LMWH の性質や安全性についての理解が深ま ったことにより正当化された。したがって、日本でエノキサパリンが承認さ れた際には、製品の表示にこうした使用上の注意は記載されなかった。 APS の罹患率が比較的低く、また日本において承認を受けている安全かつ有 効な代替の治療法がないことから、APS 女性患者における流産予防のための エノキサパリンの使用は、期待される医療上の必要性と高い社会経済的影響 をもたらすものと考えられる。 備考 2.要望内容に係る欧米での承認等の状況 欧米等 6 か 英国 米国 独国 仏国 国での承認 状況 〔欧米等 6 か国での承認内容〕 (該当国にチ ェックし、該 当国の承認内 容を記載す る。) 加国 豪州 欧米各国での承認内容 (要望内容に関連する箇所に下線) 米国 販売名(企業名) 承認なし 効能・効果 用法・用量 備考 英国 販売名(企業名) 承認なし 効能・効果 用法・用量 備考 独国 販売名(企業名) 承認なし 効能・効果 用法・用量 備考 仏国 販売名(企業名) 承認なし 効能・効果 用法・用量 備考 加国 販売名(企業名) 承認なし 効能・効果 用法・用量 備考 7 要望番号;Ⅱ-47 豪国 販売名(企業名) 承認なし 効能・効果 用法・用量 備考 8 要望番号;Ⅱ-47 欧米等 6 か 独国 米国 英国 仏国 国での標準 的使用状況 〔欧米等 6 か国での標準的使用内容〕 ( 欧米等 6か 国で要望内容 に関する承認 がない適応外 薬についての み 、該当国に チェックし、 該当国の標準 的使用内容を 記載する。) 加国 豪州 欧米各国での標準的使用内容 (要望内容に関連する箇所に下線) 米国 ガイドライ 米国胸部疾患学会(ACCP)ガイドライン第 8 版 ン名 [12] 効能・効果 反復早期早産(3回以上の流産)または原因不 (または効能・ 効果に関連のあ る記載箇所) 明の後期流産の女性に対し、後天性血栓形成傾 向の最も一般的な原因である抗リン脂質抗体に ついて系統的なスクリーニングを実施するよう に推奨している(グレード 1A)。抗リン脂質抗 体を有し、動静脈血栓の既往のない、反復早期 早産(3回以上の流産)または原因不明の後期 流産の女性に対しては、分娩前に、予防用量あ るいは中間用量の未分画ヘパリンあるいは予防 用量の低分子量ヘパリンをアスピリンと併用に て投与することを推奨する(グレード 1B)。 用法・用量 (または用法・ 用量に関連のあ る記載箇所) ガイドライン の根拠論文 備考 米国 ガイドライ コンセンサスレポート(米国産婦人科ジャーナ ン名 ル)[39] 効能・効果 抗リン脂質抗体症候群(習慣性流産のある患者) (または効能・ 効果に関連のあ る記載箇所) の既往歴のある患者は分娩前にエノキサパリン 40mg の 1 日 1 回皮下注、あるいはダルテパリ ン 5000 単位 1 日 1 回皮下注の投与が推奨され る。3 ヶ月毎の抗 Xa 活性測定も選択肢として考 慮する。VTE の既往歴がある場合には分娩後の 治療も検討する。 用法・用量 (または用法・ 用量に関連のあ る記載箇所) ガイドライン の根拠論文 備考 9 要望番号;Ⅱ-47 欧州 ガイドライ ICS ガイドライン [36] ン名 効能・効果 抗リン脂質抗体症候群(ループス性抗凝固因子 (または効能・ 効果に関連のあ る記載箇所) あるいは抗カルジオリピン抗体)を有し、反復 する流産を経験した女性には、未分画ヘパリン と低用量アスピリン(75mg/日)を妊娠と診断さ れた時から投与することが推奨される(グレー ド A)。 用法・用量 (または用法・ 用量に関連のあ る記載箇所) ガイドライン の根拠論文 1) Rai R, Cohen H, Dave M, Regan L. Randomised controlled trial of aspirin and aspirin plus heparin in pregnant women with recurrent miscarriage associated with phospholipid antibodies (or antiphospholipid antibodies). BMJ 1997;314:253-7 2) Empson M, Lassere M, Craig J, Scott J. Prevention of recurrent miscarriage for women with antiphospholipid antibody or lupus anticoagulant. Cochrane Database Syst Rev 2005: CD002859 備考 豪州 ガイドライ ン名 Anticoagulation in pregnancy and the puerperium A Working Group on behalf of the Obstetric Medicine Group of Australasia 効能・効果 低用量アスピリンは反復する妊娠高血圧腎症の (または効能・ 効果に関連のあ る記載箇所) リスクを 15%低減させる。しかし、反復する流 産あるいは子宮胎盤機能不全に伴う産科合併症 に対する未分画ヘパリンと低分子量ヘパリンの 役割はいまだ未確定である。 用法・用量 (または用法・ 用量に関連のあ る記載箇所) ガイドライン の根拠論文 備考 3.要望内容に係る国内外の公表文献・成書等について (1)無作為化比較試験、薬物動態試験等に係る公表文献としての報告状況 <文献の検索方法(検索式や検索時期等)、検索結果、文献・成書等の選定理 由の概略等> 1)米国の国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の U.S. National Library of 10 要望番号;Ⅱ-47 Medicine の文献データベース Pub Med(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi)を用 い検索した。 1. "Antiphospholipid syndrome pregnancy"[MeSH] AND "enoxaparin"[MeSH] Limits: Controlled Trial, Humans Result 5 2. "Antiphospholipid syndrome pregnancy" AND "Low molecular weight heparin" Limits: Controlled Trial, Humans Result 16 上記の複数の報告のうち、ACCP ガイドライン、コンセンサスレポート(米国産婦人科ジ ャーナル掲載)で引用されている文献を中心に、ヒトにおける有効性及び安全性の評価に 関連する文献を選択し引用した。 <海外における臨床試験等> Brenner ら , 2005 [40] このイスラエルで実施された多施設共同前向き無作為化非盲検試験では、血栓形成傾向が ありさらに不育症の既往がある 180 名の女性を対象としてエノキサパリンの有効性及び 安全性の評価を実施した。51 名の被験者(28.3%)で抗リン脂質抗体が検出された。被 験者は、妊娠 5~10 週目に登録された。患者には、1 日当たり 40 mg か、40 mg を 1 日 2 回のいずれかの用法でエノキサパリンが投与された。試験における治療は登録時に開始 され、全妊娠期間及び分娩の 6 週後まで継続された。最後まで試験に参加した APS 患者 では、生児出生率は 76.9%であった。40 mg/日と 80 mg/日の投与法の間で転帰に差は認 められなかった。APS 患者のサブグループについて、産科的転帰に関する他の情報は特 に提示されなかった。試験を完了した 166 名の女性のうち、135 回の妊娠で生児出生とな った:その内訳は、40 mg/日の用量でエノキサパリンの投与を受けた女性 70 名(84.3%) 及び 80 mg/日投与群の 65 名(78.3%)であった。生児出生率は、活性化プロテイン C 抵抗性(n = 45)及び第Ⅴ因子ライデン変異(n = 55)の女性では 78.0%、メチレンテト ラヒドロ葉酸還元酵素遺伝子 C677T 変異(n = 46)及び高ホモシステイン血症の女性で 84.4%、及びその他のタイプの血栓形成傾向を示す女性(n = 61)で 81.3%であった。血 栓形成傾向のタイプ間の生児出生率の差は、統計的に有意ではなかった( p = 0.484)。 (4) Noble ら, 2005 [41] この比較試験では、APS 患者で少なくとも 3 回の流産の既往がある 50 名の女性(各群 25 名ずつ)を対象とし、エノキサパリン(40 mg/日)と低用量アスピリン(81 mg/日) の併用による治療又は未分画ヘパリンによる治療(5 ~6,000 IU 、1 日 2 回)による効 果を比較した。エノキサパリンの投与を受けた女性のうち、21 名(84%)が生児を出産 し、4 名(16%)が流産した。未分画ヘパリン群では、20 名(80%)が 生児を出産し、 5 名(20%)が流産した。エノキサパリン群における流産は、未分画ヘパリン群における 流産より有意に遅く発症した(平均妊娠期間:8.7±1.2 週に対し 7.2±1.3 週)。各治療群 11 要望番号;Ⅱ-47 で、2 例の早産及び 1 例の子宮内胎児発育不全が発症した。著者らは、同試験により、APS 女性患者の流産予防におけるヘパリン製剤の有効性を示す証拠がさらに得られ、またエノ キサパリンを低用量アスピリンと併用した場合に、未分画ヘパリンと同様の産科的転帰が 得られるとの結論を下した。少量出血は、エノキサパリン群では 3 名の患者において見ら れ(1 例は血尿、2 例は注射部位の出血)、未分画ヘパリン群では 2 名の患者で見られた (1 例は鼻出血、1 例は注射部位の出血)。しかし、分娩時の異常出血又は何らかの大量 出血の発症はなかった。深部静脈血栓症、血小板減少症、妊娠高血圧症候群、妊娠性糖尿 病又は骨折の症例はいずれの群においても見られなかった。著者らは、抗リン脂質抗体症 候群患者における不育症予防のために妊娠中に低用量アスピリンを LMWH と併用する ことは、低用量アスピリンと未分画ヘパリンの併用と同程度に安全であるように思われる と結論を下した。 <日本における臨床試験等> 1) 上記に記載した検索式にて、文献検索を行った結果、日本における臨床試験成績は なかった。 (2)Peer-reviewed journal の総説、メタ・アナリシス等の報告状況 1)抗リン脂質抗体又はループスアンチコアグラントを保有し、かつ流産の既往がある女 性の反復流産を予防するための治療法の評価を目的として、コクラン共同計画の支援によ りメタ分析が実施された[15]。調査では、2003 年 6 月までに実施された無作為化又は準 無作為化対照比較試験(プラセ等との比較)について検討した。これらの試験により、ア スピリン、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、プレドニゾロン、免疫グロブリン静脈内 投与及び血漿交換等のあらゆる治療方法の評価が可能であった。しかし、無作為化試験に 制限したために検討した試験数が 13 に減少し、その多くが方法論的な質が良好ではなか った。低分子量ヘパリンによる 2 試験のみが検討され[19, 42]、そのいずれにおいてもエ ノキサパリンは評価されなかった。 このメタ分析により、流産予防における有効性を示す最も良い証拠は、未分画ヘパリンと 低用量アスピリンの併用について得られたことが示された。著者らは、検討された証拠か らは未分画ヘパリンに対する低分子量ヘパリンの有効性に関して何らかの結論を導き出 すことはできないと述べ、この 2 つの治療法間に生じる可能性のある差を評価するために は、適切に割付けを秘匿したさらに大規模な無作為化対照試験が必要であると勧告した。 他方で、未分画ヘパリンと低分子量ヘパリンは共に免疫グロブリン静脈内投与より優れて いるように思われた。この解析の範囲は、試験が無作為化されていることという要件で制 限されていること、またここ 5 年以内に実施された試験は検討されなかったという事実に 注目する必要がある。 (2) 3 件の系統的レビューにおいて、妊娠中に使用された場合の低分子量ヘパリンの安 全性が評価された。 Sanson ら., 1999 [43] このレビューでは、LMWH の投与を受けた合計 486 名の妊婦を含む 1997 年末までに公 12 要望番号;Ⅱ-47 表された 11 件の試験と 10 件の未公表コホートについて検討した。このうち 4 件の公表 された試験と 2 件の未公表コホートが、エノキサパリンの投与を受けた 157 名の女性に ついて記述している。試験の対象患者選定基準として、他の抗凝固薬を併用しないこと及 び胎児転帰を適切に報告することが含まれている。妊婦は 2 群に分けられ、1 群は有害な 妊娠帰結のリスク上昇を伴うような母体の合併症がある妊婦群(n = 289)、もう 1 群はこ うした合併症のない妊婦群(n = 196)であった。 妊娠帰結は個々の LMWH ごとに記載 されなかった。先天奇形は報告されなかった。合併症のない妊婦群では、6 例の子宮内胎 児死亡(3.1%)が報告された。この群では有害な転帰又は新生児死亡を伴う早産は発症 しなかった。合併症のある妊婦群では、35 例の子宮内胎児死亡及び 4 例の予後不良な早 産が発症した。血栓塞栓症の合併が 3 名の妊婦に見られた。ヘパリンに起因する症候性骨 粗鬆症が 1 名の妊婦で見られ、骨密度測定法により確認された無症候性骨粗鬆症(> SD 基準値未満)が 1 件の試験で報告された。ヘパリンに起因する血小板減少症は見られなか った。著者らはこの解析に基づき、LMWH は妊娠中に使用された場合、胎児と母親の双 方にとって安全であるように思われ、また LMWH は妊娠中の使用に適した抗凝固薬であ ると結論を下した。 Greer 及び Nelson-Piercy (2005) [44] このレビューでは、2003 年末までに公表された LMWH の投与を受けた 174 名の妊婦を 含む 15 件の試験について検討した。このうち、105 名がエノキサパリンの投与を受けた。 VTE の再発及び副作用に関するデータが抽出され、VTE 及び有害作用の累積発生率が算 出された。母体の死亡例はなかった。VTE 及び動脈血栓症(抗リン脂質抗体症候群に起 因)は、それぞれ 0.86%(95%信頼区間:0.55%~1.28%)及び 0.50%(95%信頼区間: 0.28%~0.84%)の妊娠で報告された。全 LMWH をまとめると、一般には主に産科的原 因に起因する多量の出血が 1.98%(95%信頼区間:1.50%~2.57%)、アレルギー性皮膚 反応が 1.80%(95%信頼区間:1.34%~2.37%)、ヘパリン起因性血小板減少症は 0%、 血小板減少症(LMWH とは無関係)が 0.11%(95%信頼区間:0.02%~0.32%)、及び 骨粗鬆症性骨折が 0.04%(95%信頼区間:0.01%未満~0.20%)の妊娠で発症した。特 にエノキサパリンに関しては、重度の妊娠中出血、分娩後出血、アレルギー反応及び血小 板減少症の発生率は 1%未満であった。骨粗鬆症又は創部血腫の症例は特定されなかっ た。全体では、生児出生が妊娠の 94.7%で報告され、そのなかには不育症治療のために LMWH の投与を受けていた女性における生児出生率 85.4%が含まれていた。著者らは、 妊娠中に VTE の予防又は治療に使用した場合、LMWH は安全であると結論を下した。 Deruelle及びCoulon [45] このレビューでは、妊娠中の低分子量ヘパリンの使用について記述した文献の系統的レビ ューにおいて特定された 151 報の文献からの安全性データの要約を示している。特に、 出血、ヘパリン起因性免疫反応及び骨粗鬆症について検討された。検討された研究では、 低分子量ヘパリンの投与を受けた妊婦における大量出血の発生率が約 2%であると考え られた。著者らは、現行の治療法ガイドライン[12]で推奨されている通り、分娩の 24 時 間前に投与を中止することにより、周産期の出血性合併症のリスクが最小化される可能性 があることを指摘した。ヘパリンが関連する新生児出血の症例は記載されていない。臨床 13 要望番号;Ⅱ-47 上最も重要なヘパリンに対する免疫反応は、ヘパリン起因性血小板減少症である。こうし た状態は稀であるが、重篤となって生命を脅かす結果を招く可能性がある。妊娠中は特殊 な免疫状態であるため、ヘパリン起因性血小板減少症の発症率は妊娠していない場合より 低い可能性があり、おそらく 1%未満である。未分画ヘパリンではなく低分子量ヘパリン を選択することにより、ヘパリン起因性血小板減少症のリスクが低減される。アレルギー 性皮膚反応はあまり重篤ではなく、妊婦の 2%に影響を及ぼす可能性がある。骨粗鬆症も 未分画ヘパリンと比較して低分子量ヘパリンではあまり一般的ではなく、文献では、妊娠 中に低分子量ヘパリンの投与を受けた女性において骨粗鬆症性骨折が 1 例報告されたの みであった。骨密度を保つための妊娠中のカルシウム補給が推奨される。本レビューの著 者らは、妊娠中に低分子量ヘパリン使用時の安全性は入手可能なデータにより裏付けられ ており、生じる可能性のある副作用のリスクは母親と新生児の双方において低いと結論を 下した。 (3)教科書等への標準的治療としての記載状況 <海外における教科書等> 1) <日本における教科書等> 1) (4)学会又は組織等の診療ガイドラインへの記載状況 <海外におけるガイドライン等> 1)米国胸部疾患学会(ACCP)ガイドライン[12] 反復早期早産(3回以上の流産)または原因不明の後期流産の女性に対し、後天性血栓形 成傾向の最も一般的な原因である抗リン脂質抗体について系統的なスクリーニングを実 施するように推奨している(グレード 1A)。抗リン脂質抗体を有し、動静脈血栓の既往の ない、反復早期早産(3回以上の流産)または原因不明の後期流産の女性に対しては、分 娩前に、予防用量あるいは中間用量の未分画ヘパリンあるいは予防用量の低分子量ヘパリ ンをアスピリンと併用にて投与することを推奨する(グレード 1B)。 2)コンセンサスレポート(米国産婦人科ジャーナル掲載)[39] 抗リン脂質抗体症候群(習慣性流産のある患者)の既往歴のある患者は分娩前にエノキサ パリン 40mg の 1 日 1 回皮下注、あるいはダルテパリン 5000 単位 1 日 1 回皮下注の投与 が推奨される。3 ヶ月毎の抗 Xa 活性測定も選択肢として考慮する。VTE の既往歴がある 場合には分娩後の治療も検討する。 14 要望番号;Ⅱ-47 3)ICS ガイドライン [36] 抗リン脂質抗体症候群(ループス性抗凝固因子あるいは抗カルジオリピン抗体)を有し、 反復する流産を経験した女性には、未分画ヘパリンと低用量アスピリン(75mg/日)を妊 娠と診断された時から投与することが推奨される(グレード A)。 <日本におけるガイドライン等> 1) 産婦人科診療ガイドライン産科編 2008 [46] APS においてアスピリン、ヘパリン、プレドニゾロンなどさまざまな治療が妊娠予後改 善に試みられてきたが、メタ分析の結果では低用量アスピリン+ヘパリンの組み合わせに おいてのみ有意に妊娠予後を改善できた。前方視的無作為試験において低用量アスピリン +ヘパリン併用療法は APS 合併習慣流産患者の初期流産率を減少させるが、別の無作為 試験においては低用量アスピリンのみで十分妊娠予後を改善でき、低用量アスピリン+低 分子ヘパリンと予後に差を認めない。抗リン脂質抗体陽性の習慣流産患者に対しては、低 用量アスピリン(75~100mg/ day)投与もしくは、低用量アスピリン+ヘパリン(5,000 ~10,000 単位/day)併用療法で予後改善が期待できる。 (5)要望内容に係る本邦での臨床試験成績及び臨床使用実態(上記(1)以 外)について 15 要望番号;Ⅱ-47 1)なし。 (6)上記の(1)から(5)を踏まえた要望の妥当性について 臨床試験において、妊娠中にエノキサパリンを用いて血栓予防を行うことにより、APS 女性患者における妊娠帰結を改善することが可能であるという一貫した証拠が得られた。 こうした試験により、未治療の女性における生児出生率が 25%以下であるのに対し、こ の治療計画を用いることで 70%~80%の生児出生率を実現できることが明らかになって いる[13,14]。この結果は、20~40 mg/日 の用量で実現可能である。第Ⅴ因子ライデン変 異を保因する女性の場合と同様に遺伝性血栓形成傾向患者においても、エノキサパリン投 与後に良好な妊娠帰結が得られた。エノキサパリンは、根底にある病状を予防するよりも、 起源に関係なく過凝固状態を解消しているため、エノキサパリンが先天性及び後天性血栓 形成傾向の両方に有用であることは予想された通りである。未分画ヘパリンではなくエノ キサパリンを使用することによる相対的な利点は入手可能なデータからは不明であるが、 使いやすさ及び忍容性という観点から見た低分子量ヘパリンの一般的な利点は、妊娠中何 ヵ月という長期間使用することに関連している。エノキサパリンをアスピリンと併用する ことにより、アスピリン単独より優れた利益がもたらされる可能性があるという証拠もい くつかある。 4.実施すべき試験の種類とその方法案 1) 5.備考 <その他> 1) 6.参考文献一覧 1. 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