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SPS2003-15

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SPS2003-15
社団法人 電子情報通信学会
THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,
INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS
信学技報
TECHNICAL REPORT OF IEICE
SPS2003-15 (2004-03)
ソフトウエアレトロディレクティブ方式による SPS
橋本弘藏
松本紘
摩湯美紀
京都大学宙空電波科学研究センター 〒611-0011 宇治市五ヶ庄
E-mail: {kozo,matsumot}@kurasc.kyoto-u.ac.jp
あらまし ソフトウエアレトロディレクティブ方式の特徴について論じ,スペクトル拡散されたパイロット信号
による方式について述べる。さらに実験結果および宇宙太陽発電所(SPS)への応用に向けた検討を行う。
キーワード レトロディレクティブ,SPS,宇宙太陽発電所
Software Retrodirective System for SPS
Kozo HASHIMOTO, Hiroshi MATSUMOTO, and Miki MAYU
Radio Science Center for Space and Atmosphere, Kyoto University, Gokasho, Uji, Kyoto 611-0011, Japan
E-mail: {kozo,matsumot}@kurasc.kyoto-u.ac.jp
Abstract A software retrodirective system and its merits are discussed. Spread spectrum pilot signal is introduced. After
its experimental results are explained, its application to SPS is discussed.
Keyword Retrodirective, SPS, Solar Power Satellite
献 [3]は そ の 最 新 の review で あ る 。 下 式 に 示 す よ う に
1. は じ め に
RF 信 号 を LO 信 号 と 混 合 し 、IF 信 号 の う ち 差 の 周 波 数
宇 宙 太 陽 発 電 所 (SPS)[1]で は 、 静 止 軌 道 か ら 約 4 万
km 離 れ た 地 上 の 1km 程 度 の 受 電 点 に 正 確 に 電 力 を 送
成 分 の θn の 符 号 が 反 転 さ れ 、位 相 共 役 な 信 号 が 得 ら れ
る必要があるが,機械的な制御では不十分である。そ
る 。 和 の 周 波 数 成 分 は LPF で 取 り 除 く ,
こで受電点からパイロット信号を送信し、その到来方
向に電力ビームを向けるレトロディレクティブ方式
[2]が 利 用 さ れ る 。こ の 方 式 は 高 速 で あ る が 、SPS の よ
うな大型で通信ほどの高速性は要求されいので,これ
をソフトウエアで実現するソフトウエアレトロディレ
( 1)
クティブ方式について議論する。
DSP な ど を 使 わ ず ,ア ナ ロ グ 回 路 で 構 成 す る の で 高 速
で あ る 。図 2 に 6 素 子 の シ ス テ ム 例 を 示 す [4]。こ の 例
で は ,主 要 な 信 号 処 理 は す べ て デ ィ ジ タ ル 化 さ れ て い
る。また通信を可能とするために送受周波数をそれぞ
れ 6.0GHz お よ び 5.9GHz と 少 し ず ら し ,BPSK 変 調 を か
け た 信 号 か ら 搬 送 波 を 取 り 出 し ,再 び 変 調 を か け て 送
信している。
図 1
レトロディレクティブシステム
2. ハ ー ド ウ エ ア レ ト ロ デ ィ レ ク テ ィ ブ 方 式
レトロディレクティブシステムの概念を図 1 に示す。
基本原理は二つのアンテナで受信した信号に対して位
相共役な信号をアレイに渡すことにより、到来方向に
図 2
送り返す。通信分野ではハードウエアで実現され、文
- 29 -
レトロディレクティブシステム例
3. ソ フ ト ウ エ ア レ ト ロ デ ィ レ ク テ ィ ブ 方 式
Phase Error [deg]
ハ ー ド ウ エ ア で 位 相 共 役 な 信 号 を 作 る 代 わ り に ,パ
イ ロ ッ ト 信 号 の 到 来 方 向 を 検 出 し ,そ の 方 向 に ビ ー ム
を向けることによってもレトロディレクティブシステ
ムを実現することが出来る。これをソフトウエアレト
ロ デ ィ レ ッ ク テ ィ ブ 方 式 と 呼 ぶ こ と に す る 。 SPS2000
も こ の 方 式 で あ る [5]。本 方 式 は 以 下 に 述 べ る よ う な 利
点を有する。
受信周波数と独立に送電周波数を選べる。
2.
複数のパイロット信号受信アンテナの位相差
か ら 到 来 方 向 を 検 出 す る が ,様 々 な 処 理 方 法 が
使える。
3.
受 信 ア ン テ ナ 素 子 数 は ,送 電 ア ン テ ナ の 素 子 数
よりも格段に少なく出来る。
4.
送 電 ア ン テ ナ パ タ ン に ,低 サ イ ド ロ ー ブ 化 な ど
の ビ ー ム 形 成 が 可 能 で あ る( 固 定 の 電 力 分 布 を
素 子 に 与 え る 以 外 の 方 法 も 可 能 )。
5.
10
5
0
-5
-10
-80
Direction Error [deg]
1.
40
80
0
40
80
0
-1
速度が速すぎなければ位相差測定に影響を与
6.
0
Arrival Direction [deg]
(a) Phase Error
1
-2
-80
図3
-40
2
パ イ ロ ッ ト 信 号 を 変 調 す る こ と が 出 来 る( 変 調
え な い )。
CW signal
SS signal
-40
Arrival Direction [deg]
(b) Direction Error
無 変 調 と SS 変 調 パ イ ロ ッ ト 信 号 の 比 較
認 証 情 報 を 暗 号 化 し て 変 調 し ,偽 信 号 に 応 答 し
な く 出 来 る (盗 電 防 止 )。
と り わ け 3 は SPS の よ う に 多 素 子 の シ ス テ ム で は 大 き
な利点である。
我 々 は パ イ ロ ッ ト 信 号 に ス ペ ク ト ル 拡 散( SS)変 調
を 施 す 方 式 を 提 唱 し て お り [6,7], さ ら に 以 下 の 特 徴 を
有する。
1.
送電波や雑音,干渉に強い。
2.
単なる搬送波に反応しないので安全。
3.
複 数 の パ イ ロ ッ ト 信 号 に 対 応 で き ,複 数 方 向 へ
の送電も可能となる。
4. SS パ イ ロ ッ ト 信 号 に よ る 到 来 方 向 の 測 定 実
験
SS 方 式 の パ イ ロ ッ ト 信 号 に よ る 到 来 方 向 の 測 定 実
験 [7]に つ い て 紹 介 す る 。 2m 程 度 の 距 離 で パ イ ロ ッ ト
信号送信機を移動しその到来方向を測定した。周波数
は 904MHz で 受 信 ア ン テ ナ 間 隔 は 1 波 長 で あ る 。 拡 散
図 4
符 号 に は , チ ッ プ レ ー ト は 1.25Mbps で 符 号 長 1023 の
M 系 列 擬 似 雑 音 ( PN) 符 号 を 用 い た 。 SS 信 号 は 逆 拡
散をした後,位相差を測定する。結果を図 3 に示す。
赤 い 線 は 無 変 調 で , 青 い 線 は SS 変 調 時 の 誤 差 の 値 で
ある。図 a は素子間の位相誤差,図 b は到来方向に直
し た 誤 差 で あ る 。前 者 ±60 度 の 到 来 範 囲 で 5 度 ,後 者
で 1 度 程 度 の 誤 差 と な っ た 。 誤 差 は あ る も の の SS 変
調によって誤差が増えることはなく,その有用性を示
している。
2 つのパイロット信号の送信実験
次に複数方向からのパイロット信号に関する実験
を 行 っ た 。 図 4 の 配 置 で 40 度 方 向 に 送 信 機 を 固 定 し ,
正面の送信機を移動して同一周波数で異なった符号長
4095 の PN 符 号 で 拡 散 し て 送 信 し た 。 結 果 の 誤 差 を 図
5 に示す。赤い線は移動側,青い線は固定側を表す。
誤差は単一のパイロット信号時よりも少し増えたが,
同程度であった。移動側よりもむしろ固定側の方が誤
差が大きいが,それについては後に検討を加える。
- 30 -
同一の拡散符号であってもタイミングが異なって
ビ ー ム 形 成 の 実 験 は 当 セ ン タ ー の 5.8GHz ギ ガ 宇 宙
おれば識別可能である。但し,拡散符号のタイミング
太 陽 発 電 無 線 電 力 伝 送 シ ス テ ム [8] の ビ ー ム 形 成 サ ブ
は同期していないと,タイミングが合ってしまうこと
シ ス テ ム ( 図 6) を 利 用 し て 行 っ た [9] 。 中 央 に 見 え る
が あ る の で , 正 し く 同 期 し て い る 必 要 が あ る [ 6]。
12×12 素 子 の パ ッ チ ア ン テ ナ ア レ イ の 各 素 子 に 半 導 体
Phase Error [deg]
送信機から 4 ビット移相器を通して給電されている。
12
実験は上下方向には同相で励振する 1 次元ビームで行
っ た 。15 度 方 向 に ビ ー ム を 向 け た 場 合 の 測 定 結 果 を 例
と し て 示 す 。橙 は 計 算 値 を 黄 が 等 位 相 差 励 振 ,青 が 同 シ
8
ス テ ム に 組 み 込 ま れ て い た Woodward-Lawson 法 [10]に
4
よるものである。サイドローブが少し増えているが,
0
0.5 度 以 内 の 誤 差 に 止 ま っ て い る 。 送 受 電 の 最 短 距 離
-4
は 3.3m で あ る 。
-8
-12
Direction Error [deg]
Movable
Fixed
-1
0
1
0
1
x [m]
(a) Phase Error
2
1
0
-1
-2
-1
x [m]
(b) Direction Error
図5
2 つのパイロット信号送信時の誤差
図7
5. ビ ー ム 形 成 実 験
ビ ー ム 形 成 例 (15 度 方 向 )
6. レ ト ロ デ ィ レ ク テ ィ ブ シ ス テ ム
ソフトウエアレトロディレクティブシステムとし
て の 総 合 的 な 実 験 を 図 8 の 配 置 で 行 っ た[ 9]。4.8GHz
の SS 変 調 さ れ た パ イ ロ ッ ト 信 号 送 信 機 を 固 定 し , 受
電アンテナを動かすことによって,到来方向の測定に
よって形成されたビームパタンを測定した。受電アン
テ ナ の 素 子 間 隔 は 0.64 波 長 (4cm)で あ る 。 パ イ ロ ッ ト
信号送信アンテナがパタン測定に与える影響を少なく
するために,その高さを低くしている。種々のパイロ
ッ ト 信 号 位 置 で の 実 験 を 行 っ た が , 正 面 か ら 75cm 動
か し た 約 12 度 方 向 (青 い 縦 の 線 )の 場 合 の 例 を 図 9 に 示
す 。約 2 度 ず れ た 10 度 方 向 に ビ ー ム が 形 成 さ れ て い る 。
このずれは到来方向の測定誤差に起因する。またビー
ム形成サブシステム単独の場合のパタンよりも歪んだ
ものになっている。
図6
ビーム形成サブシステム
- 31 -
図 8
パイロット信号固定時のパタン測定
図 11
ビームパタン測定中の到来角の変化
パ イ ロ ッ ト 信 号 送 信 ア ン テ ナ を x=75cmの 位 置 に 固
定 し 、図 8の 配 置 で の ビ ー ム パ タ ン 測 定 時 に 同 時 に 測 定
し た 推 定 到 来 方 向 を プ ロ ッ ト し た も の を 図 11に 示 す 。
縦軸が到来方向の瞬時値,横軸は時間である。データ
は一定時間ごとに平均をとる以前の生データであり、
ランダム誤差を含んでいる。本実験では受電アンテナ
を 設 置 し た X-Y ポ ジ シ ョ ナ を 、5cm 移 動 さ せ た 後 に 15
秒間停止させることを繰り返し行い、ビームパタンを
図 9
パイロット信号固定時のビームパタン
測 定 し て い た 。図 11で は 15 秒 ご と に 区 切 っ て 表 示 し て
い る が 、到 来 方 向 の 時 間 的 変 化 の 幅 は 、ほ ぼ 15 秒 に 一
致 し て い る 。こ の こ と か ら 、X-Y ポ ジ シ ョ ナ の 高 さ が
高 い た め に ,本 来 一 定 で あ る べ き 到 来 方 向 が ,X-Y ポ
ジショナの位置によって反射波の状態が変化し、固定
されているパイロット信号の到来方向推定に影響を及
ぼ し て い る と 考 え ら れ る 。図 5も 同 様 な 配 置 で 測 定 さ れ
て お り 、固 定 側 の 伝 搬 測 定 に 影 響 を 与 え た と 考 え ら れ ,
再 現 性 が あ る こ と の 説 明 も で き る 。こ れ が 図 9の パ タ ン
のひずみに影響を与えている可能性もある。
前 節 で 示 し た よ う に 2方 向 か ら の パ イ ロ ッ ト 信 号 の
図 10
レトロディレクティブ動作例
到来にも対応できるため,測定されたそれぞれの方向
への複数ビームの形成あるいは時分割によるビーム形
図 10 は パ イ ロ ッ ト 信 号 送 信 機 を 受 電 ア ン テ ナ と 同
時に動かし,レトロディレクティブ動作をさせたもの
成で複数方向に送電できるしシステムの構築も可能で
あ る [11]。
で あ る [9]。後 述 の よ う に 精 度 向 上 の た め に ,受 電 ア ン
テナの素子間隔は 2 波長と長くしている。青い線が受
7. 送 電 周 波 数 と 同 一 周 波 数 で の パ イ ロ ッ ト 信
電電力,赤い線が到来方向のずれを表している。受電
ア ン テ ナ 位 置 が 正 面 か ら 76cm を 超 え る 到 来 角 に な る
とグレーティングローブと同じ原理で曖昧さが生じる
ため,大きなずれとなる。これは,複数のアンテナ間
隔で到来方向を測定することにより除去可能である。
76cm を 超 え な い 範 囲 で は 小 さ な 誤 差 で 到 来 方 向 が 測
定 さ れ ,受 電 電 力 も 最 大 2dB 程 度 の 低 下 で 収 ま っ て い
る 。 た だ し , -51cm か ら -76cm ま で の 間 の 電 力 低 下 の
原因まだわかっていない。
号送信実験
SPS で は 送 電 環 境 下 で パ イ ロ ッ ト 信 号 の 到 来 方 向 を
検出する必要がある。異なった周波数帯にすればよい
のであるが,周波数の利用状況が厳しいことを考える
と 同 一 周 波 数 が 望 ま し い 。 そ こ で SS 変 調 パ イ ロ ッ ト
信 号 が 広 帯 域( 現 在 は 1MHz 程 度 )で あ る 点 を 生 か し ,
図 12 の ブ ロ ッ ク 図 で サ ー キ ュ レ ー タ と ダ ウ ン コ ン バ
ー タ を 経 た 10.7MHz の 中 間 周 波 数 帯 の 逆 拡 散 前 に 図
13 の よ う に 狭 帯 域 の 帯 域 除 去 フ ィ ル タ を 用 い て 送 電
波を除去することにより送受同一周波数での実験を行
っ た [12, 13]。 各 ア ン テ ナ か ら の 送 電 電 力 は 9dBm で ,
- 32 -
反 射 電 力 は ダ ウ ン コ ン バ ー タ の 出 力 で -7 か ら -12dBm
に 対 し ,パ イ ロ ッ ト 信 号 は -60dBm と 50dB ほ ど 弱 い 条
件 下 で 図 13 の フ ィ ル タ に 入 力 さ れ た 。
た 結 果 が 図 14 で あ る 。こ の よ う な 送 電 下 で 到 来 方 向 を
測定することが可能であることを示しているばかりで
な く , 間 隔 を 広 く す る こ と に よ り , 0.5 度 以 下 に ま で
誤 差 が 減 少 す る こ と が わ か る 。 文 献 [ 9] で も 5.8GHz
システムで,同様に誤差の素子間隔依存性を確認して
いる。
実 際 の SPS で は ア ン テ ナ は 2 次 元 に な る 。そ の 場 合 ,
方向検出用のアンテナを送電面に設置する必要がある。
本 方 式 で ,送 受 同 一 周 波 数 あ る い は ,同 一 周 波 数 帯 を 用
いれば単一のアンテナを利用できる。ビーム形成サブ
シ ス テ ム [8]で は ,2 周 波 共 用 ア ン テ ナ を 利 用 し て い る 。
Little ら に よ る レ ト ロ デ ィ レ ク テ ィ ブ シ ス テ ム [14] で
は,受信素子の部分には送電素子を設置しない方式と
なっている。
Gain [dB]
図 12
システムブロック図
8. SPS へ の 適 用
40
SPS の 場 合 , ア ン テ ナ の 素 子 数 が 極 端 に 多 い の で ,
20
ランダム誤差によるビーム誤差は非常に小さくなる。
0
しかし到来方向測定に誤差があるとその方向にビーム
が形成されてしまう。2 素子だけで到来方向を測定し
-20
-60
-80
-100
10.694
た 場 合 の 誤 差 に つ い て 議 論 す る [7]。( 2)式 よ り ,到 来
channel1
channel2
channel3
channel4
-40
方 向 の 誤 差 δθ は 小 さ く , 位 相 誤 差 を δφと す る と き ,
∆θ ≈ λδφ/(2πd)
( 3)
と 表 さ れ る 。素 子 間 隔 d=500m で 波 長 λ=5.17cm と す る
と
10.696
10.698
10.7
Frequency [MHz]
図 13
δθ ≈ 1.65×10 - 5 δφ
10.702
と な る 。36,000km の 静 止 軌 道 か ら の 場 合 に は ,δφを 度
帯域除去フィルタの特性
で表すと,地上での誤差の距離は
δr= 5.9×10 2 δφ
と な り , 到 来 方 向 誤 差 1 度 あ た り 10m の 誤 差 と な る 。
こ れ は 実 現 可 能 と 考 え ら れ る が , 素 子 間 隔 が 500m と
広い場合の位相差測定法,複数の到来角測定による精
度向上,位相誤差そのものを減らすこと,さらには多
くの素子による到来方向測定結果の有効利用などが課
題である。
な お , 図 12 に 示 す よ う に , 逆 拡 散 器 は そ れ ぞ れ の
アンテナに必要なわけではなく,近い範囲では同一タ
イミングの符号で逆拡散は可能である。したがって,
到来角測定を行う各素子に逆拡散器が必要な分けでは
なく,かなりの大部分はミクサーだけで代用可能であ
図 14
ア ン テ ナ 間 隔 0.6λ お よ び 4.8λ の 場 合
る。
の到来方向測定誤差
到 来 方 向 θ は 素 子 間 の 位 相 差 φと
sinφ = (2πd/λ) sinθ
9. む す び
スペクトル拡散変調を用いたパイロット信号によ
( 2)
る到来方向測定とビーム形成システムの組み合わせに
という関係であるので,素子間隔 d が大きいほど感度
よるソフトウエアレトリディレクティブシステムの原
が高く,位相差の測定誤差の影響を受けにくくなる。
理と実験結果を紹介した。到来方向の測定,ビーム形
そ こ で 0.6λ お よ び 4.8λ の 素 子 間 隔 で 到 来 角 を 測 定 し
成,複数方向への送電の可能性,レトロディレクティ
- 33 -
ブシステムの構成,パイロット信号と同一周波数での
送 電 の 可 能 性 な ど を 示 し た 。 ま た 現 状 の 誤 差 で も SPS
の実現が可能ではあるが,更なる位相差測定の精度向
上ならびに多素子測定による精度向上法などを追求し
ていく必要がある。
文
献
[1] H. Matsumoto, ‘Research on Solar Power Station and
Microwave Power Transmission in Japan: Review
and Perspectives,’ IEEE Microwave Magazine, vol. 3,
no. 4, 36--45, December 2002.
[2] D. L. Margerum, ‘Slef phased arrays,’ in Microwave
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[4] L. D. DiDomenico and G. M. Rebeiz, Digital
Communications using Self-Phase Arrays, IEEE
Trans. MTT, vol. 49, no. 4, 677--684, 2001.
[5] M. Omiya and K. Itoh, ‘A Fundamental System
Model of the Solar Power Satellite, SPS2000,’ Proc.
ISAP1996, 2, pp. 417--420, 1996.
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[8] 「 5.8 ギ ガ 宇 宙 太 陽 発 電 無 線 電 力 伝 送 シ ス テ ム 取
扱 説 明 書 」 , 三 菱 重 工 業 株 式 会 社 , 2002
[9] 摩 湯 美 紀 ,「 マ イ ク ロ 波 電 力 伝 送 の た め の ソ フ ト
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京 都 大 学 工 学 部 学 士 論 文 , 2004
[10] D. M. Pozar, Antenna Design Using Personal
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[11]新 島 , 橋 本 , 松 本 , マ イ ク ロ 波 送 電 に お け る 均 一
振幅励振フェイズドアレイの最適化,信学総大,
B-1-126, 2003.
[12]Hashimoto, K., H. Matsumoto, N. Shinohara, and K.
Tsutsumi, SSPS Beam Control with Spread Spectrum
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Joint Workshop on Space Solar Power System),
Kyoto, Proceedings, pp.125-131, 2003.
[13]K. Hashimoto, K. Tsutsumi, H. Matsumoto, and N.
Shinohara, SSPS Beam Control with Spread
Spectrum Pilot Signals, submitted to Radio Science
Bulletin, 2003
[14] F. E. Little, S.J. Kokel, C.T. Rodenbeck, and K.
Chang, G.D. Arndt, and P.H. Ngo, Development of
Retrodirective Control Transmitter for Wireless
Power Transmission, JUSPS’03 (2003 Japan –
United States Joint Workshop on Space Solar Power
System), Kyoto, Proceedings, pp.145-155, 2003.
- 34 -
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