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・室 冬問

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・室 冬問
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金沢大学大学院
医学系研究科集学的治療学
(泌尿器科)教室
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写真①:医学部学生ベッドサイドラーニング風景
約4時間にわたりトランプゲームをまじえながら、医師として、社会人とし
ての教育を行っている。
写真②:実験室風景(AZF遺伝子研究グループのPCR用機器の前で)
修士課程および博士課程大学院生、留学生と指導教員の高准教授
は日夜研究に励んでいる。
写真③:症例検討会風景
朝7時半から開始する症例検討会では、手術ビデオもまじえ活発なディ
スカッションが行われる。
写真④:ミニマム創手術風景
若い大学院生にも執刀のチャンスがある。
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写真⑤:女性泌尿器科外来のスタッフ
女性患者さん以外の男子禁制です。
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金沢大学医学部泌尿器科学教室は1955
年に創設されました。初代故黒田恭一教授
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「最新最善」の医療を提供すべ<、
患者さんの希望を踏まえた
テーラーメードの治療を実践
教室の歴史
色
訴
左 F 藍
金沢大学大学院
医学系研究科集学的治療学(泌尿器科)教室
教授
並木幹夫先生
か、排尿障害、アンドロロジー、腎移植、尿路感
患(男'性更年期障害、ED、思春期性感染症)に
染症など泌尿器関連領域を幅広くカバーでき
対応すべく男性外来も開設しました。
る設備の充実と、専門スタッフの育成に努力し
ています。
このように、当教室では泌尿器癌、アンドロ
ロジー、排尿障害を3本柱に、最新最善の医療
(1955∼1981年)から2代目久住治男教授
例えば、泌尿器癌では手術、薬物療法、放射
(1982∼1993年)に引き継がれ、1995年
線療法などによる集学的治療が行われます
からは私が3代目教授として教室を率いてい
ます。当教室の歩みの中で、北陸3県(石川県、
が、前立腺癌手術では根治性と安全性を保っ
たより低侵雲な手技としてミニマム創内視鏡
規則正しい生活と日々の努力で身体的にも
富山県、福井県)の4大学(金沢大学、金沢医科
下手術を行っています(写真④)。現在はロボ
精神的にもスタミナのある泌尿器科医に
大学、富山大学侭福井大学)が連携し、北陸地
域を中心にいっそう質の高い医療の提供を図
ット手術を視野に入れて準備を進めている最
これから泌尿器科医として巣立っていく若
中です。放射線治療では、2種類の組織内照射
い先生方には、常に高いモチベーションをもっ
(ブラキー・セラピー)技術を病期に応じて使い
て診療に臨んで欲しいというのが私の願いで
す。学部教育では、ベッドサイドラーニング(写
っている点はここ10年間の大きな変化です。
4大学共同で北陸地方会を立ち上げ、さらに
分けています。ホルモン療法にも熱心に取り
をモットーにテーラーメードの治療を実践して
います。
前立腺癌研究会、腎癌研究会蕊ベーシックリサ
ーチ研究会といったサテライト研究会を設置
組んでおり、特に侵雲的な治療を避けたい患
者さんに有用な選択肢として活用していま
真①)を通して医師としての心構え、礼儀作
法、コミュニケーションの取り方を学んでもら
し、各専門分野での基礎および臨床の最新知
す。また、腎癌に対してこれまで骨髄非破壊造
っていますし、卒後教育では、早い段階から積
見について密接な情報交換を行っています。
血幹細胞移植(ミニ移植)を7例に施行するな
極的に手術になじんでもらうなど、泌尿器科医
としてのモチベーションアップを図っていま
ど、先進的治療も導入しています。
教室の構成
アンドロロジーの分野では、男|性不妊症の
す。規則正しい生活と日々の努力により身体
治療に積極的に取り組んでいます。顕微鏡下
的にも精神的にもスタミナを蓄え、最新最善
の医療の提供に努めて欲しいと思います。
平成19年8月現在、教室のスタッフは私以
精巣組織内精子採取術というテクニックによ
下、准教授1名、講師2名(1名は医局長兼任)、
助教5名(病棟医長兼任1名、外来医長兼任冒
り、これまで半ばあきらめられていた無・乏精
名)となっています。北陸3県をはじめ、全国約
30の関連病院で多くの優秀な教室出身者が
なうようになってきています。精子形成遺伝子
活躍中です。
伝子レベルで明らかになりつつあります。ま
子症患者さんにおいても挙児希望の願いがか
の研究も行っており、男性不妊症の原因が遺
た、私が班長を務め、加齢男性性機能低下
最新最善の医療をモットーに、
テ ー ラ ーメ ー ド の 治 療 を 実 践
(LOH)症候群におけるアンドロゲン補充の有
用'性に関する厚生労働科学研究をスタートさ
当院は北陸地域の星幹病院として、老若男
女を問わずすべての泌尿器疾患患者さんに対
して質の高い医療を提供することを目指して
います。前立腺癌、腎癌などの泌尿器癌のほ
せたところです。
なお、2004年に女性泌尿器科外来(写真
⑤)を開設し尿失禁や性器脱などの治療にあ
たっているほか、2006年には男1性特有の疾
並木幹夫(なみき。みきお)先生
1975年、大阪大学医学部卒。
1987年10月から1年間、米国国
立衛生研究所分子内分泌部門
研究員として所属。1994年に大
阪大学医学部泌尿器科学講座
助教授に就任し、1995年11月か
ら現職・第6回稲田賞、第16回ブ
ルガリア国際医学会賞を受賞。国
内外の多数の学会に所属し、役
員も務めている。石川県臓器移植推進財団理事、金沢市前
立腺癌検診委員会委員長などの公職も勤める。最近は北陸
がんプロフェッショナル養成プログラムの統括コーディネー
ターとして、北陸地区のがん医療の向上に努めている。
rEd
金沢大学大学院医学系研究科
集学的治療学(泌尿器科)における
臨床、研究活動について
金沢大学大学院医学系研究科集学的治療学(泌尿器科)教室
医局痘
溝上敦先生
金:篤輔常 駕態麓撫雛欝震 禦蕊弾鯉 喜篭
名、修士課程1名、中国からの留学生1名、韓国からの留学生1名)、医局秘書4名、実験助手2名の計25名の教室員が勤務して
います。
臨床面では、ミニマム創手術が先進治療として認可されたため、腎摘除術、腎部分切除術、前立腺全摘除術がミニマム創で
施行され、術後の患者の早期回復を図っています。腎部分切除術は、腎機能のさらなる温存を目指し、選択的腎血管阻血術を
行い、良好な結果を得ています。さらに米国で鵬んに行われているロポテイック前立腺全摘除術を当院でも行うべく、スタッフがヘ
ンリーフォード病院に留学し、その準備を進めています。放射線治療に関しては1999年以降前立腺癌に対する外照射併用高線
量率前立腺組織内照射を約240名の患者に施行してきました。治療成績は高リスク群の前立腺癌でも、5年非再発率はアジュヴ
ァントホルモン療法なしの群でも83%、ホルモン療法を併用すれば100%と、手術よりも好成績をおさめています。また、低リスク群に
対しては、本年5月からはより低侵襲の治療を目指し、永久留置小線源組織内照射を開始しました。このように前立腺癌に対して
は、保険診療内のすべての治療が当科では可能なので、患者の状況、QOLを考慮しながら方針を決定しています。外来診療で
は、女性外来、男性外来、前立腺外来の専門外来を開設し、好評を得ています。
研究面では、おもにアンドロロジーグループとオンコロジーグループに分かれ、下記に述べる基礎・臨床の研究を進めています。
また、博士号取得後は米国NIH、ミシガン大学、エモリー大学、ハワイクイーンズメディカルセンター、カナダケベック州ラバル大学な
どに留学させ、研究、臨床での国際的競争力を身につけるように配慮しています。
一人前の泌尿器科医となるためには、臨床経験だけでは不十分で、理論的・科学的な考え方を身につけることも必要と考えて
います。以前は、大学院では基礎研究を中心に行ってもらっていましたが、初期研修制度導入後は入局する教室員が減少した
ために臨床に携わる時間も長くなり、研究を行う時間も減少しているのが現状です。このため、大学院生は臨床研究でも学位が
取得できるように配慮しています。しかし、大学院生は臨床研究だけでなく、積極的に基礎研究を行い、着実に良い結果を出しつ
つあります。
また、今回「北陸がんプロフェッショナル養成プログラム」(統括コーディネーター:並木幹夫)が採択されたのを機にがんプロフ
ェッショナルを目指す若手ドクターが出てきました。
【基礎研究テーマ】
、再燃前立腺癌に対する治療の基礎的検討
【臨床研究テーマ】
●PSAテストストリッフの開発
●前立腺癌のパクリタキセル耐性の機序
・限局性前立腺癌に対するホルモン療法の有用性
・アンドロゲン応答遺伝子の同定
●前立腺癌に対するフルタミド交替療法
●副腎'性アンドロゲンと前立腺癌再燃
●前立腺癌治療に関するQOL調査
・前立腺癌の造骨性骨転移とビスフォスフォネート
・イソフラボン摂取量とエコール産生能からみた前立腺癌発癌リスクの
●男性不妊症とAZF (azoospermia factor)
検討
・ゲノム病としての男性不妊症(染色体内再組み換えの視点から>
●前立腺癌の骨転移とビスフォスフォネート
●ヒト内因性レトロウイルス(HERV)と男性不妊症
・インターフェロン交替療法の有用性
●精子形成とエビジェネティック制御
④難治性腎癌に対するミニトランスプラント
・Y染色体からみた日本人の由来
●さらなる腎機能温存を目指した腎癌に対する腎部分切除術の確立
・Y染色体長腕のパリンドローム構造とヒト進化
・女性尿失禁、性器脱に対する治療
●FSHレセプターの多型性
●STD患者の尿中パピローマウイルスの同定
。精細管微小環境の調節
●LOH症候群に対するアンドロゲン補充療法の有用性
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