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第7話: 団地再生の時代-近代ハウジングの修復と再生
第7話 団地再生の時代 -近代ハウジングの修復と再生- 公営住宅団地のイメージを一新した団地再生:ホリー・ストリート団地(ハックニー区) (1) パブリック・ハウジングの危機 1970年代,インナーシティ問題の深刻化と公営住宅団地への影響 都市の空洞化の進展 ロンドンの人口推移(1661-2007) 千人 千人 8,000 1,200 7,800 1,100 主要8都市の人口推移(1961-2007) バーミンガム バーミンガム 7,600 1,000 7,400 900 グラスゴー 7,200 800 7,000 リーズ 700 リバプール 6,800 600 6,600 シェフィールド 500 6,400 ロンドン エディンバラ 400 6,200 6,000 マンチェスター 1961 1971 1981 1991 2001 2007 7,977 7,529 6,806 6,890 7,411 7,557 ブリストル 300 1961 1971 1981 1991 2001 2007 ・戦後の一貫した人口・産業の分散化政策 ・富裕層、中間所得層の郊外への流出 ・主要都市の人口減少と都市の空洞化、低所得層の集中化 イギリス産業の衰退と地域の貧困化 ・’70年代の環境危機、エネルギー危機と資源エネルギー 消費型産業への衝撃 ・イギリス産業(伝統的製造業・民族資本)の競争力低下、 工業都市の衰退( ’70年代、イギリスで200万人の工業 ジョブの喪失) ・インナーエリアの衰退、インナーエリア公営住宅団地の荒廃 ロンドンにおける衰退地区の分布 イングランドで最も衰退した近隣地区(下位10%)を含むインナーエ リアの20区、公営住宅の集中エリアとほぼ重なっている 出典) Social Exclusion Unit (2001), A New Commitment to Neighbourhood Renewal : National Strategy Action Plan 衰退し荒廃した公営住宅団地の様子 写真出典) Urban Task Force DETR(1999), Towards an Urban Renaissance インナーエリア公営住宅の状況 犯罪やバンダリズム、反社会的行為の集中 したインナーエリアの公営住宅団地 ロンドン自治区 の社会住宅比率 (2000.4) % 出典)GLA, Homes for a World City: The Report of the Mayor’s Housing Commission, 2000.12 団地再生事業の開始 1981~、優先団地プロジェクトPriority Estate Project 1985~、エステート・アクションEstate Action ・ コミュニティの参画と自立・自助、住宅の民営化(住宅協会等への移管) ・物的環境の改善と雇用対策、職業訓練、青少年教育、犯罪防止などのコミュニティ再生対策の推進 公営住宅団地再生プログラムの概要 団地環境再生事業 • • • • • 住宅協会(Housing Association)、Local Community Housing Association、Local Housing Companies 等の非営利法人または地方自治体による事業実施 団地再生計画・デザイン、事業への居住者参加の促進 事業完了後、居住者の選択に基づき住宅を自治体またはHA、CBHA等に移管 多様な住宅タイプの導入-社会的バランスの確保(Mixed Community)、事業資金の確保 の両面から社会住宅とともに分譲住宅など多様な住宅タイプを供給すること(Mixed tenure)が原則とされ、そのために自治体、住宅協会、民間事業者のパートナーシップが欠 かせないものとなっている。 コミュニティ・経済開発事業 • • • • • 職業訓練、就業機会の提供(団地建設作業を含む)、自営業支援(ワークスペースの提供等) 幼児保育、青少年育成(アート、スポーツ、サイバーカフェ等) ヘルスケア、カウンセリング 高齢者、母子世帯等のケア 住宅地管理に関する教育、指導(Housing Manger の育成等)、CBHA (Community Based Housing Association ), 住民自主管理組織(TMO Tenant Management Organization)設立 支援など(持続可能性を確立するための出口戦略) イギリス公営住宅団地再生関連年表 1970年代 石油危機、国内製造業の衰退、インナーエリアの荒廃(失業、貧困、犯罪)の進行 1977 白書「インナーシティ政策:The Policy for the Inner Cities」 1979 サッチャー政権発足、公営住宅払い下げ(Right to Buy,1980), 公営住宅の民間移転 (1986)等の民営化政策の推進 1981,85 主要都市のインナーシティ公営住宅団地での住民暴動の発生 団地・住民の社会的孤立、コミュニティの喪失が原因として指摘される 1981 優先団地プロジェクト(Priority Estate Project), 居住者参画、自主管理の試行 1985 エステート・アクション(Estate Action)-コミュニティの自立・自助、公営住宅の民営化を 基本とする本格的な団地再生事業のスタート 1988 1988年住居法、自治体公営住宅から社会住宅への方向転換 テナント・チョイス制度(HAや住民組織への公営住宅移管) 1991 シティ・チャレンジ・プログラム(City Challenge Program)、地域間競争的予算配分 1990年代 自治体による大規模自発移転(LSVT: Large Scale Voluntary Transfer)の進展 独立行政法人:団地再生機構(Housing Action Trust)による団地再生推進 1995 ERCF (Estate Renewal Challenge Fund) 低質公営住宅団地の住宅協会への移転促進 1996 エステート・アクションを単一再生予算制度(SRB: Single Regeneration Budget)に統合 1996 住居法に地方住宅会社(Local Housing Companies)を位置づけ 1997 ブレア政権発足 1998 Social Exclusion Unit, 近隣再生国家戦略(Bringing Britain Together) 発表 New Deal for Communities (NDC):全国39の最貧困近隣地区でのパイロット事業 2000 住宅白書 Quality and Choice: A Decent Home for All- The Way Forward for Housing-, Housing Stock Transferの促進、社会住宅の品質向上、近隣再生政策の強化等を宣言 2001 近隣再生国家戦略(National Strategy for Neighbourhood Renewal) アクションプラン 下位10%の最貧困コミュニティ(841地区)を含む88の自治体(20のロンドン自治区を含む) で近隣再生事業を開始、 Neighbourhood Renewal Fund (£900m) (参考)1961年以降の所有関係別住宅ストックの推移(イングランド) 1961 1971 1981 1991 2001 2007 千戸 % 千戸 % 千戸 % 千戸 % 千戸 % 千戸 % 持家 6,068 43.9 8,334 51.9 10,653 59.5 13,237 67.3 14,818 69.9 15,449 69.6 地方自治体 3,382 24.5 4,530 28.2 4,798 26.8 3,899 19.8 2,812 13.3 1,987 9.0 0.0 410 2.3 608 3.1 1,424 6.7 1,886 8.5 社会 住宅協会 住宅 小計 0.0 3,382 24.5 4,530 28.2 5,208 29.1 4,507 22.9 4,236 20.0 3,873 17.5 民営賃貸 4,377 31.7 3,201 19.9 2,051 11.5 1,927 9.8 2,152 10.1 2,866 12.9 合計 13,827 100.0 16,065 100.0 17,912 100.0 19,671 101.9 21,206 100.0 22,188 100.0 出典) Housing Statistics 2007/2008 住宅種別ストック ロンドン 2005年 サッチャー政権の住宅政策 イングランド 1980 住居法:住宅購入権 1981 パーカー・モリス基準の 廃止 1985 エステート・アクション 1988 住居法:地方自治体を 住宅の供給主体から 後方支援者に再定義、 テナント・チョイス制度、 大規模自主移管事業 (LSVT) 注) 1980-2007年、公営住宅の売却・移管は約310万戸。 2005年、イングランドの社会住宅の割合は19%、ロンドンでは25%(公営住宅16%、住宅協会9%) 2003年、わが国の公共賃貸住宅(公営、公社、公団)の割合は、全国で6.6%、大都市圏で7.4% (2) ユートピアへの審判 -アリス・コールマンの近代ハウジング批判と デザイン改善の実践 Alice Coleman(1985), Utopia on Trial:Vision and Reality in Planned Housing 「ユートピアへの審判:計画住宅地のビジョンと現実」 サザーク区、タワーハムレッツ区等の約10万戸の公営住宅団地を調査、 住宅地のデザイン要素と団地内での反社会的行為や犯罪の発生との 因果関係を分析 団地の荒廃を招くデザイン要素 ・1エントランスあたりの戸数 ・1棟あたりの戸数(巨大住棟) ・住棟の平均階数(高層住棟) ・空中歩廊で連結された住宅の戸数 ・入居者が明確な領域的アイデンテ ィティを感じられない団地(混用空間: confused space) ・住宅の窓から目の届かないオープ ンスペースの存在 アリス・コールマン(1923-) 団地内での反社会的 行為や犯罪の発生と 密接な関係を有する ことを立証 パーミアブルな住宅配置(Permeable Housing Layout) Alice ColemanによるDefensible Design の原則(主要項目の抜粋) ① 伝統的な街路網の中に住宅を配置すること(Traditional street layout)。 ② 混用空間をなくし、全てのオープンスペースを専用庭にすること。 ③ 通りへの監視を保つために適切な後退距離を維持すること。住宅前面 の緩衝ゾーン(前庭)は奥行3-5m程度とし、これを超えないこと。 ④ 通りに面する住戸には、エントランスとフェンスを設置すること。 フェンスは腰の高さにし、住宅の窓からの視線を確保するため、障害 物を除去すること。 ⑤ 裏庭の側から住戸へのアクセスを設けないこと。 ⑥ 駐車場は集中方式型ではなく路上に設置し、住宅の領域のなかで 居住者が掌握できるように配置すること。 注: permeableとは、見通しがよく安全・快適な通りがバラエティ 豊かに存在し、きめ細かくネットワークされている状態を意味する。 90年代以降のイギリスでは、Permeability がアーバン・デザインに おける主要な目標、規範として位置づけられるようになった。 モーツァルト団地の再生 (1986-2004, ウェストミンスター区) アリス・コールマンのPermeable Housing Layout の原則に基づくデザイ ン改善試行プロジェクト DICE: Design Improvement Controlled Experiment 団地再生前のプラン(部分) 黒く表示されている部分が住棟 間をつないでいた空中歩廊を 示す。この団地では23の住棟 が空中歩廊でひとつにつな がっていたが、デザイン改善に よって全てが除却されている。 出典)Alice Coleman(1990), Utopia on Trial:Vision and Reality in Planned Housing (Revised Edition), Hirary Shipman デザイン改善実施後のモーツァルト団地 モーツァルト団地の改善プラン オリジナル・サイトプラン 改善後のプラン ①空中歩廊の撤去、 階段室の新設 住棟の分節・独立 ②各住棟の敷地の 区分、フェンスの設置 ゲートの集約 ③混用空間の廃止、 専用庭への転換 ④通りのネットワークの 強化(接道型配置 への転換)、通り への監視の強化 ⑤駐車場の再配置 住宅のテリトリー内に モーツァルト団地再生の様子 ランウェル・ロード団地の再生 (1986-, タワーハムレッツ) モーツァルト団地同様、コールマンの 指導によって実施されたデザイン改善 団地再生前後の比較 上段:団地再生前、下段:再生計画 下の図で黒く表示された部分が新設の低層住宅 を示している。従前の共用オープンスペースが全 て取り払われ、専用庭と新設街路、パーキング、 新たな低層住宅の建設敷地に変えられている様 子がよく解る。 出典)Ian Colquhoun(1999), RIBA Book of 20th Century British Housing, Architectural Press ランウェル・ロード団地 デザイン改善の様子 「パーミアブルな住宅配置」理論の影響-伝統的な街路網のなかに配置される集合住宅 パーク・セントラル(バーミンガム) ヒューム地区(マンチェスター) ペピーズ団地(ロンドン, ルイシャム) クラウン・ストリート(グラスゴー) (3) 人間のスケールの回復-高層建築、巨大建築の解体と修復 解体されるユートピア イギリス各地での高層住宅の解体 キャッスル・ヴェール団地の再生 1993~2005, バーミンガム かつての高層住宅群(取り壊し前) サポート付き高齢者者住宅に 改造された高層住棟 32棟の高層住宅が姿を消した団地の全景(2003年) 出典)Castle Vale HAT, Castle Vale Annual Report 2003-4 高層住宅の跡地に建つ低層住宅 チョークヒル団地の再生 (ブレント区、1996-2007) オリジナル・プラン 出典)ブレント区HP 従前の様子(再掲) 写 真 出 典 ) J.Hawkes & F.Barker, London from the Air, 2001 チョークヒル団地再生プラン 出典)ブレント区HP 建替後の様子 ストーンブリッジ団地の再生 (ブレント区、1994~2007) 建替前の団地全景 出典)http://www.fortunecity.co.uk/ 建替前の様子 ストーンフブリッジ団地再生プラン 出典)「賃貸住宅ストックの再生・活用手法に関する研究」 2008 建替後の様子 巨大住棟の分節化 (ナイチンゲール団地、ハックニー区) 切り取られ分割された住棟 (4) スーパーブロックの解体、伝統的な街路網と小街区の再生 ヒューム地区再生プロジェクト(マンチェスター市, 1992-) ヒューム地区 街区構成の変遷 ビクトリア朝時代に形成された タウンハウス街区 1966-71年の再開発による スーパーブロック形成 (5,300戸の公営住宅団地建設) 90年代の都市再生、スーパー ブロックの解体、伝統的な街路 パターンの復元 (3,000戸の公営住宅の解体) 出典) Urban Task Force DETR(1999), Towards an Urban Renaissance, Final Report of Urban Task Force Chaired by Lord Rogers of Riverside, E & FN SPON ビクトリア朝に形成されたヒューム市街地 出典)Manchester Libraries ヒューム地区 1972-1992 写真出典)Hulme Concrete Jungle – 1972ish – 1992ish, http://www.mancky.co.uk/ ヒューム地区再生マスタープラン 出典) Rudlin, D. Falk, N, Building the 21st Century Home ヒューム地区のアーバンデザイン・ガイド(要旨) ‘Rebuilding the City, A Guide to Development, Hulme Manchester ’, 1994 1 Street 通り ・通り、広場、公園に対して正面を持つ建物 ・歩行の魅力を高めるデザイン、通りへの自然な監視、交通弱者の配慮 2 Integration 統合 ・住宅を「団地」として計画、デザインしないこと ・統合された道路パターンと様々な用途を含む通りの形成 3 Density 密度 ・平均開発密度はヘクタール90戸 ・メインストリートと拠点(焦点)での密度の集中 4 Permeability パーミアビリティ ・すべての通りの相互連絡、通り抜けの容易な街路 ・移動ルートの選択性、通りのまとまり・交差部(街角)のわかりやすさ 5 Route & Transport 交通 ・公共交通の導入、トラフィック・カーミング対策の導入 ・通りに面するガレージの禁止、オンストリート・パーキングの設置 6 Landmarks, Vistas ランドマーク、ビスタ ・ビスタの創出、交差点部・コーナー部の建物の特徴あるデザイン ・公共空間とコミュニティ施設との関連づけ、パブリックアートの充実 7 Definition of Space 場所の明確さ ・公共領域と私的領域の明確な区分 ・建物と植栽による明確な公共スペースの形成、適切なD/H比の確保 8 Identity アイデンティティ ・様々な年代の既存建物の活用、場所に応じた建物のデザイン ・多様な素材と仕上げの利用、多様なデザインの導入 9 Sustainability 持続可能性 ・建物の用途の可変性、メンテナンスの容易性 ・建物の各部の高耐久性、省エネルギー基準への適合、自然の保全 10 Hierarchy ヒエラルキー ・街路の段階構成の維持 ・私的領域のセキュリティの確保 出典) Matthew Carmona (2001), Housing Design Quality: Through Policy, Guideline and Review を参考に作成 ヒューム地区 2009 街区構成と建物配置・屋外空間 90年代ヒューム地区再生の様子 ヒューム地区のハウジング Rolls Crescent (1997, North British Housing Association) Homes for Change (1996, Homes for Change/ Guiness Trust ) ホリー・ストリート団地の再生(1991-2009, ハックニー区) ・ハックニー区が区内で最も荒廃した団地を対象 に実施した総合団地再生事業 ・自治体、中央政府、5つの住宅協会、民間事業者 のパートナーシップによるパイロット・プロジェクト ・4棟の20階建て高層、16棟の4-5階建てデッキア クセス住棟を伝統的な街路型配置(Traditional Street Layout)のもとに全面建替 ・計画・設計・建設・運営の全ての段階を通じて 住民の意志を反映させつつ事業が進められ、 「真のコミュニティ・アーキテクチュアの名に値 する」としてHousing Design Awardを受賞 1971年に完成した当時のホリーストリート団地(1,187戸) ホリーストリート 街区構成の 変遷 出典)Levitt Bernstein Asso. 1991年の団地再生計画 再生された『通り』と新しい街並み マーキス団地の再生 (イズリントン区、 1997-2005) 再生前のマーキス団地 マーキス団地(1970-79年建設) 3-5層の準接地型住宅団地(981戸) 最上階のルーフストリートをデッキで 結びつけた「連続住宅街」 (Darbourne and Dark設計) ・行き止まりが多く、見通しの悪い 道路網 ・狭く、込み入った歩行ルート ・暗くて、物騒な地下駐車場 ・複雑で住民の目の行き届かない オープンスペース ・外部からのアクセスが容易で 危険なルーフストリート ・入居者の転出、空家の増大 ・バンダリズム、犯罪等の横行 など、団地の荒廃の進展 Marquess Estate 配置計画図 建替と改善との複合による街区、空間構成の再編(ハイブリッド手法による団地再生) ・部分建替の導入による新たな道路ネットワークの形成(移動の容易さの確保) ・通りに面する街区形成型住宅の導入(建替街区)による監視性の向上 ・ルーフストリートの閉鎖、分断による安心、安全の確保(改善住棟の一部) ・主要な通りにおける用途複合型住棟の導入 ・分譲住宅(新規供給の50%)の導入によるコミュニティのバランス持続性の確保 ・ファミリータイプの限定、子供の人口割合の低下による反社会的行為の抑制 出典) Graham Towers, An Introduction to Urban Housing Design : At Home in the City , Architectural Press , 2005 既存住棟の改善 新設された階段室 閉鎖されたルーフストリート 建替街区と通りの形成 新たなアーバンブロックの形成 用途複合型の住棟 監視性を考慮した住棟デザイン (5) 街路建築の再生・アクセス形式の改善 エンジェルタウンでのコミュニティ 企業による住棟改善の試み (ATCP: Angel Town Community Project Ltd., 1992) 再生前のエンジェルタウン 典型的な荒廃団地 連続するデッキアクセス住棟群 デッキアクセス型住棟から伝統的な テラスハウス型式への改造 ・通りに面する各住戸のエントランス (接地階用、上層階用)と階段の新設 ・廊下の撤去と居室への改造 出典)Urban Design Group: Case Study 新たなエントランスが設けられた住棟、廊下が撤去され居室に改造されている エントランスの設置(接地階用、上層階用) 1階部分のガレージの撤去、 店舗、カフェ、バー、ワーク ショップ等の施設への転換 エンジェルタウンのデッキアクセス住棟改造例-階段室型への改造 ノース・ペカム団地(サザーク区)におけるデッキアクセス住棟の改造例 住戸の独立性の向上と通りの活性化、 安全性の向上 ニュージャージー州 ラドバーン(1928-) (6) ラドバーン・デザインの改善 ラドバーンの スーパーブロック フットパス側 ラドバーンの典型街区プラン クルドサック側 出典) Clarence S. Stein(1957), Toward New Towns for America (revised edition) 英国に導入されたラドバーン・デザイン ペデストリアン側 ラトン・ブッシュ (ハーロー・ニュータウン) のレイアウト 出典) F.J.オズボーン、L.ホイティック著、扇谷弘一、川手昭二 共訳(1972) 『ニュータウン-計画と理念-』 クルドサック(パーキング・コート)側 プリモス・グローブ団地再生(マンチェスター市、2003-) プリモス・グローブ団地のレイアウト(再生前) プリモス・グローブ団地再生計画 出典) Ian Colquhoun(2008), RIBA Book of British Housing; 1900 to Present Day Second Edition ラドバーン・レイアウト改善の前後比較 住宅の正面(玄関)をフットパス側に持つ Radburn Layout 住宅の正面(玄関)を通りの側に持つ Traditional Street Layout 道路パターンの改善:事業前後の比較 出典) John Punter(2010), Urban Design and the British Urban Renaissance ネットワークされた通り 既存住棟改善の様子 ↑入口が通りに向くように180°回転された住棟 多くの住宅が通りに向かって正面、入口を持つように 改造され、セキュリティの向上が図られた。 (7) コミュニティのバランスと持続性の創出 Creating Sustainable Communities (英国政府の都市計画の基本目標) 生活質の高さが将来にわたって維持される持続可能な近隣の実現にとって、 Balanced, Mixed Use, Walkable Communities が基本的要件 多世代、多様な所得階層、様々なライフスタイルの人々の共存する Mixed Neighborhood(Social Mix) の利点 ・人々の多様な居住ニーズへの対応 ・コミュニティ施設やサービスへのニーズのバランスの確保 ・必要に応じて、住宅を住み替えながら地域に住み続けられる機会の提供 (lifetime communities) ・偏りのない健全なコミュニティの形成 ・コミュニティの自助、共同扶助の促進 ・多様な人々の生活を通じてのコミュニティへの監視、安全性の向上 ・住宅の多様化によるコミュニティの視覚的変化と多様性の創出 Mixed Community, Balanced Community の形成のための多様な住宅 タイプのミックス →住宅のタイプがレイアウトやデザインによって区別されることのない invisible mixed tenure, 一つの街区、住棟内に多様な住宅タイプを組み込む pepper potting approach の有効性を指摘 (出典)DTLR/Commission for Architecture & Built Environment(2001), Better Place to Live by design:a companion guide to PPG3, Thomas Telford ミクスト・コミュニティ実現への試み ・居住階層の多様化(新たな雇用の創出など) ・幅広い住宅タイプの複合(Mixed-tenure) ・住宅の種別が外見から区別されることのない デザインやレイアウト トロウブリッジ団地の再生 (ハックニー区、 2000-03) 様々な住宅タイプを混在させる “pepper potting” という考え方 を最初に導入した団地再生 トロウブリッジ団地の住宅タイプ構成 出典) DTLR, CABE (2001), Better Place to Live by design:a companion guide to PPG3 トロウブリッジ団地のハウジング セントラル・オークリッジの団地再生(ベイジングストーク市) 視覚的に見分けのつか ない住宅タイプ・ミックス “invisible pepper-potted tenure” 手法の採用 セントラル・オークリッジ団地 の 住宅タイプ構成 出典)Oakfern Housing Association(2002), Delivering Regeneration: Central Oakridge Basingstoke Sustainable Placemaking セントラル・オークリッジ団地のハウジング