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国民保護と鳥取県の取組み

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国民保護と鳥取県の取組み
要
Ⅰ
約
国民保護と鳥取県の取組み
鳥取県防災局副局長兼防災危機管理課長
城平 守朗
■国民保護とは(資料P1∼P3上段)
願いしたい。
国民保護とは、日本が武力による攻撃を受
けた時や大規模なテロがあった時に、
県や国、
■自然災害との違い(資料P3下段∼P5)
市町村が住民の皆さんをどのように守るかと
国民保護には、自然災害との違いがいくつ
いう仕組みのこと。そのような中で法律の全
かあるが、やはり人によって起こされるとい
※
1
体の体制では、武力攻撃事態対処法[ ] があ
うのが大きな違い。実際に経験をするという
り、武力攻撃の排除については、自衛隊によ
ことが殆どないため、訓練をやって対処能力
る活動や、米軍の行動がある(P2下)
。
を高めていく必要がある。
武力攻撃事態等における国民保護の位置付け
自然災害との違い
武力攻撃事態対処法
①人の意志によって引き起こされる
→いつ、どこで起こるか予測ができない
→事態が長期間続くこともある
【対処に関する基本理念】
○国、地方公共団体及び指定公共機関が、国民の協力を得つつ、相互に連携協力し、万全の措置が講じられなければならない。
○日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければな らず、これに制限が加えられる場合にあっても、その制限は当
該武力攻撃事態等に対処するため必要最小限のものに限られ、かつ、公正かつ適正な 手続の下に行われな ければならない。
答申
国際人道法の的確な実施
捕虜
取扱い法
対処基本方針に基づいて
対処措置を実施
国際人道法違反
処罰法
②国全体として対策が必要になる
→いわゆる国家の一大事
(国際情勢や外交関係が原因となることも)
承 認
会
安全保障会議
定める事項
①武力攻撃事態であること又は武力攻撃予測事態であること
の認定及び当該認定の前提となった事実
②武力攻撃事態等への対処に関する全般的な方針
③対処措置に関する重要事項
・国民の保護に関する措置
・自衛隊の行動 ・米軍の行動に関する措置 ・その他
国
【対処基本方針】
諮問
③実際に経験して知識やノウハウを積み重ねることが難しい
→戦後、実際の経験がほとんど無い
→県や市町村の取組みもまだ始まったばかり
→武力攻撃や大規模なテロは頻繁に起こるわけで
はない
武力攻撃の排除
特定公 共施設
利用 法
国民保護法
・ 米軍 行動関 連 措置 法
・ 海上 輸送規 制 法
・ 自衛 隊法の 一 部改 正
自衛隊による活動
避難に関する
措置
救援に 関する
措置
被害最小化の
ための措置
米軍の行動に
関する措置
避難についても大きな違いがあり、県外へ
県や市町村の役割は、武力攻撃の排除では
の避難も想定されている。また、普通の自然
なく、
「国民保護法」[※2]によって住民の皆さ
災害であれば避難所への避難が中心になるが、
んに安全に避難していただくこと、救援とし
国民保護の場合には、自分の家の中に避難す
て食糧や医療の提供をすること、それから被
るという緊急避難もある。また、マスクをす
害を最小化するために消火活動等を行うこと
るなどの特別な対応をしなければ、ただ逃げ
であり、現在、県や市町村が一緒になって体
るだけでは安全が守れないこともある。
制を整備して取り組んでいるところ。
このようなことは、現実にはなかなか起こ
その中で特に避難について、国民保護の場
らないが、全く関係がないかというとそうで
合は、大規模になる可能性があるので、住民
はなくて、地下鉄サリン事件[※3]では、一般の
の皆さんの誘導が非常に大事であり、避難を
方が乗る地下鉄で起こっており、スペインの
する時の住民の皆さんの協力が必要となる。
列車の爆破事件[※4]でも通勤ラッシュの時間
そのため、いざという時に備えて訓練への参
帯で二千人以上が死傷している。こういうこ
加、消火や救急搬送、救助の際にも協力をお
とは何時何処で起こるかわからないというこ
-2-
要 約
と。
のためにはその場から離れる、逃げるという
ことが必要となる。化学剤が使用された場合
自然災害との違い
には、風上の方に、かつ高台の方に逃げる、
④避難の場所を選ぶ
→県外への避難もある
→屋内(自宅など)への緊急避難もある
屋内であれば目張りをするなどの対応が必要
になってくる。このような自分の身を守ると
身の安全を守るために
⑤逃げるだけでは安全は守れない
→避難するときに特別な対応が必要なことも
→時には外出することが危険な場合もある
< 武力攻撃などが発生した場合>
● 弾道ミサイルやゲリラ等による攻撃
・突発的に発生することもある(ゲリラなど)
・核・生物・化学兵器な どが使用され ることも考えられる
・行政機関の指示があるまで、近くの堅牢 な建物や地下街に避 難
● 着上陸侵攻や航空攻撃
・事前にある程度攻撃が予測できるが、攻撃対象が広範囲になる
・航空攻撃の場合は、近くの堅牢な建物や地下街に避難
・行政の指示に従って避難
国民保護の取り組みはまだ始まったばかり
で、行政側も経験が無く、住民の皆さんにも
協力をしていただきながら、皆で知識やノウ
※詳しくは・・・
『武力攻撃やテロなどから身を守るために』 を御覧ください。
ハウを積み上げていく努力が必要だと考えて
いる。
いうことをしていただくことが非常に大事。
また、武力攻撃が発生した場合、弾道ミサ
■身の安全を守るために(資料P6)
イルとかゲリラによる攻撃というような時に
ここからは、テロなどが発生した場合に、
は、行政機関の指示があるまでは近くの頑丈
自分の身をどのようにに守るかということに
な建物や地下に避難することが重要。そのあ
ついてお話したい。
たりの詳しいことは、今日配布している「武
力攻撃やテロなどから身を守るために」[※5]と
身の安全を守るために
いう冊子を後ほど見ておいていただだければ
<テロなどが発生した場合>
●近くで爆 発が 起こったら・・・
・テーブルなどの下に隠れて身を守る
・口と鼻をハンカチ などで覆って その場から逃げる
・現場に近づかない
・化学剤などが使用されていることも考えて行動しましょう
と思う。
■県や市町村の取組み(資料P7)
●化学剤などの使用が分かったら・・・
使用された物質によって、特別な対応が 必要
⇒ テレビやラジオ、防災行 政無線 等で情報をよ
く聞いて行動
・化学剤(神経剤、窒息剤など)の場合
風上の高台へ逃げる
屋内では窓閉め、目張りをして室内を密閉し窓の無い部屋へ 逃げる
汚染された服や時計、コンタクトレンズはビニール 袋を密閉 して処分
県や市町村は、予め対策を立てておく必要
があり、国民保護計画というものを作ってい
る。ただし、計画を作るだけではなくて、や
・生物剤(細菌やウイルス、毒素)
密閉性の高い屋内の部屋などに避難
はり訓練をして対処能力を向上させていくと
・核爆発が起 こったら・・・
塀などの陰に身を隠すか、近くのコンクリート建物や地下 施設へ避難
屋内では窓閉め、目張りをして室内を密閉し、窓の無い部屋へ 逃げる
いうことが必要。また、その中身を皆さんに
お知らせして、国民保護を理解し、自ら自分
身の回りで急な爆発が起こったら、落下物
の身を守る方法を知っていただくことが必要
から身を守るためにテーブルなどの下に隠れ
なので、そういう取り組みを行っているとこ
たり、煙や粉じんを吸い込まないように目や
ろ。皆さんも、そういったことを知っていた
鼻などをハンカチなどで覆って逃げるなどの
だき、一緒に訓練に参加していただくことを
対処が必要。化学剤が使用されている場合も
是非お願いしたい。
あり、何かあった所に近づくのは危険。安全
-3-
要
約
った方の確認など、それぞれの地域で、地域
●県や市町村は・・・
・予め対策を立てておく ⇒「国民保護計画」
・日ごろからトレーニングを積んでおく ⇒訓練の実施
・住民の皆さんに、いざ、というときどうすれば良い
のか知っていただく
⇒周知広報
にあった確認方法を検討していただくことも
●住民の皆さんは・・・
・いざ、というときのことを、日ごろから考えてみる
⇒心構え
・何をすべきかを知る、備える
友会[※8]に訓練に参加していただいたが、役割
必要。
避難誘導ということで、消防団、自主防災
組織、自衛隊OBの隊友会[※7]、警察OBの警
分担というものをもっと明確にする必要があ
るという意見もあった。そのほかにも色々御
意見をいただいており、今後、計画等の見直
・日ごろからトレーニングを積んでおく
⇒ 訓練に参加する、家族で実践してみる
しをしていきたい。
■今後の取り組み・まとめ
県と市町村の国民保護計画は、ほぼ完成し
本日、この講座に参加された皆さんに知っ
ている。訓練は、平成17年度から毎年取り
ていただきたいことは、自然災害以外に色々
組んでおり、今日のようなフォーラムは、平
な災害があるということ。国民保護の取り組
成15年度から毎年実施している。
み・対策の中には、県や市町村等の行政、消
防局、警察などが行うことがあり、一方でご
■国民保護訓練での課題(資料P8∼P10)
家庭や地域の皆さんで行うことがあるという
平成18年度の国民保護の訓練[※6]は、化学
こと。このことを御理解いただくためにも、
剤のテロを想定し、米子で行った。これには
是非住民の皆さんに訓練に参加していただき、
多くの住民の皆さんにも参加をしていただき、
どのように自分の身を守るのかということを
ありがとうございました。
是非考えていただきたい。
H18年度の国民保護訓練
そして、県や市町村や消防や警察、それか
ら自衛隊の皆さんは、それぞれの立場でどう
• 化学剤によるテロを想定し、鳥取県立武道館で負傷者の救
出・救助訓練、加茂地区で住民避難訓練などを実施。
• 国、県、米子市が共催し、関係機関、地元住民、消防団など
約1,400名が参加。
• 平成18年11月26日(日)実施
いう取り組みが必要か、あるいはどういう備
えが必要かということを、また改めて考えて
いただいて、取り組んでいただきたいという
ことを申し上げて、終わりたいと思う。あり
がとうございました。
訓練で明らかになった課題については、防
災行政無線や広報車の放送が聞き取りにくか
ったという意見があった。住民の皆さんに情
報をどう伝えるかということは非常に大事な
ので、今後、対策を考えていかなければなら
ないと考えている。
また、避難住民の安否確認や地域の中に残
-4-
要 約
※1
正式名称は「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確
保に関する法律」
(平成15年6月6日成立、同月13日施行)。武力攻撃事態等への対
処について、基本理念、国・地方公共団体の責務、国民の協力等について定められてい
るもの。
※2
正式名称は「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」
(平成16
年6月14日成立、同年9月17日施行)
。武力攻撃事態や緊急対処事態(大規模テロな
ど)において、国民を守るため、国や地方公共団体の責務、住民の避難、救援、武力攻
撃災害への対処等に関する措置について定められている。都道府県や市町村が作成する
国民保護計画についてもこの法律に規定されている。
※3、
4 ・地下鉄サリン事件
平成7年3月20日、東京都内地下鉄でサリンが散布され、多数の死傷者が発生した。
・スペイン列車爆破事件
平成16年3月11日、スペインのマドリード市内の3つの駅で大規模な爆発が起こ
り、多数の死傷者が発生した。
※概要については配布資料のP4下段、P5上段を参照
※5
「武力攻撃やテロなどから身を守るために」(平成17年9月、内閣官房作成)
内閣官房ホームページからも入手可能 → http://www.kokuminhogo.go.jp/
※6
平成18年11月26日、国、鳥取県、米子市が共同で国民保護共同実動訓練を実施し、
71機関、約1,400名が参加した。
※7
「社団法人隊友会鳥取県隊友会」 県内に在住する自衛隊OBで組織されている団体
※8
「鳥取県警友会連合会」
県内に在住する警察OBで組織されている団体
-5-
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