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ディスカッション議事録
Brain Atlas Ideathon 議事録 開催日時・場所:2015 年 7 月 16 日(木) 9:45 〜 18:00 理化学研究所 脳科学総合研究センター東棟 1F セミナー室 参加者: ※以下敬称略 山口 陽子 理化学研究所 加沢 知毅 東京大学 横田 秀夫 理化学研究所 浅井 義之 沖縄科学技術大学院大学 宮本 大輔 東京大学 磯野 由依 理化学研究所 惠本序珠亜 中部大学(Web 参加) 於保 祐子 理化学研究所/BReNt- Brain Research Network 朴 希原 東京大学 福田 哲也 東京大学 松田 圭司 産業技術総合研究所 佐藤 明 東京理科大学 西部 弘純 理化学研究所 前田 真秀 理化学研究所 森井 陽子 理化学研究所 山崎 寛明 東京大学 渡我部昭哉 理化学研究所 池野 英利 兵庫県立大学 Alexander Woodward 理化学研究所 奥村 嘉宏 理化学研究所 山森 哲雄 理化学研究所 石井 信 京都大学 観音 隆幸 金沢大学(Web 参加) 桝本 現 理化学研究所 Brain Atlas Ideathon 議事録 セッション 1(10:00-11:30) [1]横田 秀夫 「VCAT による 3 次元画像処理」 -質疑加沢: データのフォーマットは何ですか? 横田: ローカルなデータ形式は VCAT.ビットマップのスライスデータと元データと,それと ともにマスクのデータを合わせて持っているような形式となっています. それにくわえて,VCAT5 では,マルチページ TIFF を使って扱っています.よって,他のもので も使いやすい形式です.入力は,撮影のモダリティによって幅広いです.私達は,データの入り 口から出口までをクラウド上でメタデータをつかって一括管理しています. 加沢: か? たくさんの人が関わっていると思いますが,ライセンスはどうなっているのでしょう 1 横田: VCAT のフレームワーク自体は完全フリーで公開しています.プラグインに関しては, 作った人の権利関係がありますので,ライセンスに関しては,作った人の希望に合わせています. 個人で公開してもらっても良いし,こちらに委託して貰えれば,自分のところのサイトでも公開 できます. 加沢: ハッカソンで,VCAT を使って何かをやりたいときとかに,プラグインで自分が作った ソースを提供して,それがコンパイルできないといった状況になった時に,それについての相談 は可能ですか? 横田: ます. ハッカソンなどで作って,その場でということであれば,十分サポートはできると思い 加沢: それは素晴らしいですね! 形式はベジエですか? セグメンテーションを曲面で表現されていましたが,その 横田: 基本はボクセルです.修正するときは,ボクセルから一旦曲面にします. 加沢: 一旦生成してから元に戻す感じですか? 横田: というよりは,ボリュームとサーフェスを併せ持っている感じです.一つのインタ フェースの中に共存させるトリッキーなことをやっています. 池野: 共通のプラットフォームは,他の OS で動かないと苦しいと思うのですが,その辺はど うなっていますか? 横田: 今のところは Windows 系列のものでしか動きません.その他への展開はどうしようかと 思っています. プラグインに関しては,そこまで OS への依存関係がないから,それだけでも使えるものは使っ ていただけるかと思います.ボクセルはデータ容量が大きいので,大きなメモリを持った PC が 必要になります.なので,将来的には大きなサーバを用意して,共通の環境のもと,各人がそこ にデータを持ってきて,各々解析して,結果を持って帰っていくというような使い方はありなの かもしれない,というように思っています. 池野: そういったシステムを作るときには UNIX の方が良くないですか? 横田: Linux にはバリエーションが多いですよね.そうしたものを全部管理するのも大変なの で,今のところは Windows でやっているという感じです. [2]浅井義之 「PhysioDesigner プロジェクトにおける可視化ツール」 -質疑池野: visual programming の時には,モジュールをつないでプロセスを記述していましたよね. AVS なんかでも,visual programming 的な面が結構面倒だと思っていて,もう少しコンパクト にもできるのではないかとおもいますが,今のところ,そうした GUI 的なところが主流なので しょうか? 浅井: モデルが小さい時には visual programming が有効で GUI でやるのもわかりやすくて良 2 いです.しかし,サイズが大きくなってくると,おっしゃる通り見えなくなる,どこに何がある かわからなくなります.よって検索機能の強化は必要だと考えています. GUI のものとあわせて,python ターミナル上で API 直打ちできる機能も開発しています.XML モデルの記述を作るオーソライジングツールとして.モデルをつないだり消したりは,どちらの UI でもできるようにしています. 池野: 研究をやっていく上では,いくつものツールを使うことになりますし,その中で,自分 のセンスにあったものとあっていないものがあって,使いやすさに差があります.統一的な操作 スキームがベースにあると嬉しいです.例えば OS をみんなが使えるっていうのはその成功例. GUI とインタプリタがどちらもあるのは良いけど,いろいろなレベルのモデルがシームレスに記 述できるのですか? 浅井: インタフェースの統一感は大事で,GARUDA プロジェクトでもそういうことはやってい ます.とりあえず今はまだ,Garuda アライアンスではインタフェースの統一をアプリケーション には強く求めてはいないですが,形式を一緒にしておけば,アプリが違っても,複数のアプリを 拡張として使うことができるのではないかと考えています.メニューで別アプリを選択してデー タを送るとかして,同じ感じの GUI が出てくれば,拡張機能として使いやすい.逆に違うと戸惑 いの原因になるといったように.ガイドラインを作っても良いのかもしれません. 加沢: 多数のモデルの共存について聞かせてください.XML の階層化だと思うけれど,システ ムバイオロジーでは XML が流行っていましたよね.それは the only way なのでしょうか? 浅井: only ではないと思います.ただ,XML にのっとって行けば,ソフトウェアとして扱いや すいという面はあります.しかし,どうしてもタグが増えきて,サイズも大きくなって無駄なと ころも多いです.そこについては考え中といったところです.また,今は XML を使っています が,簡単な表記の方が,大きなデータを扱うのには良いかもしれません. メリットがあるとすれば,システムバイオロジーの方で細胞の中の情報をシグナル伝達の回路で, 色んなものがモデル化されている. 最近のニューロシステムバイオロジーでも,シナプスのなかの構造とか出てきています.そう いったものを細胞内の現象として,SBML(Systems Biology Markup Language)で記述されて いるモデルを用いつつ,膜電位以上のニューロンのネットワークなどは,PHML で書いていって インテグレートできるように進めています.これを細胞内から細胞以上の機能を統合した,多階 層なモデルを,しかもそのときにマルチな技術をインテグレートしながら,多階層性なモデルを 作ることができます.XML 同士で親和性が高い. 加沢: もうひとつあって,大規模計算でスパコンに乗せてくるとなると,python で XML は扱 えるが,効率という面では,あまり大規模実行の効率性重視のところとは噛み合っていなくて, どうするか迷っているところです. 浅井: 今はフリントというシミュレータを開発していて京でも動きます.それはモジュールを 持っていて,その階層構造で表現されています.モジュール内では,変数間のやりとりが密なの で,そこは分けると通信のコストが大きいため,並列化はモジュール単位で行います.そうする ことで,通信はかなり抑えられて,並列にできます.時間がかかるところは,XML から計算コー ドをつくるというところが長いですが,そこが終われば並列計算できます. 面白いのは,京の上で使って行く時に普通は,心臓シミュレータなど特化したシミュレータを開 発しチューニングを行っていくことになると思うのですが,我々の枠組みでは汎用シミュレータ が京にチューニングできれば,他のどんなモデルでも,(ニューラルネットワークなども),京 で動かすことができます. 3 加沢: そうは言いますが,なかなか一般の人とかは,そういう使い方はできないですよね.も うひとつあって,可視化のところでは,止まっているものを見るだけなら,GPU 積んだ普通の PC でも可能だと思いますが,シミュレーション結果の可視化に関しては,クラスタマシンを用意 するなどして,並列化頼りにならざるを得ないと思います.そうしたところへの対応はどう考え ていますか? 浅井: 京でなくても,各大学や機関がもっているハイパフォーマンスなクラスタに対応可能な ので,プロジェクトとして京を使えなくても汎用並列シミュレータとして利用可能です.可視化 の並列化はまだチェックしなければなりません.考え中です.シミュレーションの並列化と同じ ように進めていけると思います. [3]宮本大輔 「神経細胞形態抽出を中心とした Vaa3D による画像処理とプラグイン開発」 -質疑池野: 結局,Vaa3D でというのは,広く使えるプラットフォームで,金と人が必要というのが あると思います.そうしたバックグラウンドがあれば共通のプラットフォームを提供して,普及 させることが可能かもしれないけれど,それこそ横田先生のところのような感じでないとできな いのではないですか?コントリビュータとして参加するには,そうしたハードルがあるように思 います. 宮本: こういったところも,今回のハッカソンのような機会を利用して,日にちを集中して, みんなに実際に触ってもらうことで,知ってもらい,普及させていきたいというように思ってい ます. 加沢: 大規模のデータの読み込みのところが気になりました.読み込ませる元データがハイレ ゾなのですか?それとも,イメージピラミッドみたいな感じですか? 宮本: ハイレゾからの事前に処理も可能ですが,基本的には,イメージピラミッドで低いもの から高いものまで用意しておいて,それでやっていくという形になります. Brain Atlas Ideathon 議事録 フラッシュトーク 1(11:30-12:00) 磯野由依 -発表内容NIJC では研究データの DOI 登録をやっていて,論文と同じように研究データについてもそうし たものをつけておくというプロジェクトをやっている.論文と同じように引くことができるので, 研究者にもメリットのあるものである. 登録の条件としては,データの永続性が保たれていることと,アクセシビリティがあること.ア クセシビリティについては,ランディングページが補償されていることが大事.予めデータベー ス全体で永続性やアクセシビリティが補償されていることがわかっていれば,データベースへの 自動登録が可能になる.それを大勢の人に使ってもらえれば,皆で幸せになれる. -質疑加沢: 範囲を限ったものならば,現在でもできるとは思うのですが,ある程度テストなどはさ 4 れているんですか? 磯野: XML などでやってみてはいますが,API の方とかを本格的にはいじっていなくて,まだ まだといったところです. 加沢: ハッカソンでは,自動登録的なことをやるんですか? 磯野: そうですね.できたらやってみたいと思います. 惠本序珠亜 -発表内容研究では眼球運動の応用をしている.python でデータ解析.脳画像は扱わない. 共通基盤・プラットフォームに興味があって今日は参加した. python には目的に応じて豊富なライブラリがそろっているのでそういうことに関する情報提供が できる. Web 系のライブラリ,グラフィクス系のライブラリなど,python には目的に応じたライブラリが そろっているので,今回のハッカソンでは,その知識が提供できます.GUI や機械学習の知識も あるのでそちらも情報提供できる. -質疑池野: スライドの出ているのは全て python のライブラリですか?それぞれで何ができますか? 惠本: web 系だと,サーバ上で,データを可視化して,それを web ページに貼り付けて,訪問 者にブラウザからそれを見てもらえるようなサービスが出せます. 山口: これらのライブラリはあなたの作品ですか? 惠本: オープンソースです. 山口: ではあなたが実際に開発しているものというのはどういったものですか? 惠本: オープンソースを使って研究に活かしています.視覚刺激を生成したり,フィードバッ クを作成したりしています. 山口: 自分で作ったものについては,公開されているんですか? 惠本: github などで公開する予定はあります. 加沢: web に出すときに使うものは,速さが大事だと思いますが,何を使いますか? 惠本: web で公開するときには,インタラクティブになるから,サーバ側よりはクライアント 側で実装していくということになると思います. 加沢: 自分では何を作ってみたいですか? 惠本: web でいろんな画像情報が公開されていると思いますが,脳には詳しくないので,脳画 像を手軽に扱えて,脳について学習ができるようなプラットフォームができればいいなと思いま 5 す. 池野: 中部大学でまだ学生さんで,若い方が頑張って盛り上げていってください. 朴希原 -発表内容マルチコンパートメントモデルでカイコガの脳をシミュレーションしている.その中で大事に なってくるのはパラメータをどのように設定するかということである.研究室の先輩のプログラ ムで,単一細胞についてのパラメータ推定が可能になった.しかし,実際は複数細胞からなる神 経回路のシミュレーションを行うのが目的であるため,ネットワークの情報を考慮したパラメー タ推定を行う必要があると考えている.例えば,シナプス強度や遅延時間などを推定するパラ メータとして入れて推定を行っていきたい.ハッカソンでは,形態抽出をやりたい. -質疑前田: シナプスはいろいろなところについていて,数が増えてきて多くなってくると,どこに いるのかというのを推定するのはかなり大変だと思いますが,どれくらいの数の設定にすれば行 けると思いますか? 朴: 現在考えているのは,2 つの細胞を同時計測したデータを使ったパラメータ推定を考慮して います.シナプスの数はまだ具体的に考えてはいないですが,今のところは 2,30 個について推 定を行っています. 前田: 全ての多種多様なニューロンについてパッチクランプを行ってやっていくのは現実的で はないと思いますが,どうするんでしょうか? 朴: シミュレーションの対象にしているカイコガの触角葉の神経細胞は 2,3 種類しかないので, 種類自体は少ないため,扱っている細胞の多様性自体は少ないです. 前田: この細胞種とこの細胞種が繋がっている,その間の結合で分かったパラメータを他の組 み合わせにも適応して間を埋めようということでしょうか? 朴: はい.そういう感じです. 前田: その推定というのは,元々どういう分布をしているのかわからないんですけど,最尤値 として得られた頻度値を持って適応するのか?それとも,もう少し大規模な実験があってそれを 組み合わせてパラメータ推論して利用するのか? 朴: まだこの研究を始めてないので具体的には考えておりません.今の質問に答えるのは難し いと思います.すみません. 福田哲也 -発表内容研究は普通のニューラルネットでは捨象されている,生物の神経細胞形態や接続位置を意識して ネットワークを組むことによっていい学習ができないかということをやっている. 6 今は簡単な形態の細胞で行っているが,最終的には皮質の細胞などを参考にディテールなニュー ロンを使って位置関係まで反映したようなネットワークを組むことで学習能力を向上させたいと 考えている. そのためにはたくさんの神経細胞データが必要だと思う.が,形態を抽出することを考えた時に, 実験屋さんに綺麗にとってもらうことを期待するのもいいのですがそれも申し訳ないところがあ るし,ノイズが多いと目で見て抽出というのも難しいので,今回のハッカソンでは高ノイズ耐性 をもちかつ高速な自動抽出手法を開発したい. 今回は直接関わるわけではないとは思うが,他に,並んでいる細胞を同時に見て,重なっている ところをどう処理するかはわからないが,複数の細胞を同時にとって細胞の形態と位置関係を 持っているようなデータを使ってネットワークを組んだら面白いとおもう.そうしたものがあれ ば使いたい. -質疑池野:高ノイズ耐性かつ高速というのはニューロンを対象にしている? 福田:そうです.三次元 tiff のノイズに対する耐性 人の手がいるような部分をなくしていきたい. 宮本さんの紹介された Vaa3D の自動抽出がありましたが,ノイズがあるとうまく行かないところ があるので,そういうところを新しい手法で乗り越えたい. 加沢:それは目的であって,アルゴリズムではない.アルゴリズムのあてというか方針というか. 福田:そうですね.勉強中なのですが,セグメンテーションのところで二重閾値みたいなヒステ リシスの閾値を使えればいいかなと.他にはディープラーニングをつかって特徴抽出をするのも おもしろいかなと思います. 横田:対象データは共焦点? 福田:研究室のデータはそうです. 横田:異なる細胞間のインタラクションの部分で,解像度的に厳しくないか? 福田:そうですね.複数の細胞のつながりを研究している人がいてそういうのを生かしたい.ま あ最初は一つの細胞を全自動で抽出するというところから始めたい. 横田:画像情報だけでは分離は難しい.近づいているものかつ前後方向の独立なりなんなりでそ れは並走しているとかいう,とにかく別の情報を入れないと分離は難しいとおもう. 加沢:難しいと思っていると思うけれど,実際やってみると思っているよりも難しい. 池野:今の話は,ニューロンのコネクションの方向とか分岐の仕方とか,人間がやるときはそう いう情報を頭に持っていてやるからできるんだけれど,機械がやるとそういう情報がないから難 しいという意味で,画像だけで勝負すると途切れたらどっちにつないだらいいかとか難しい. 最 近のやつはリコンストラクションまで意識して撮影されているのでいいけれど,昔のデータはそ こまで意識されておらず画像的に神経細胞を見られればいいくらいに考えられて撮られているの で,それまでリコンストラクションできるとすごくいい.そういうアイデアをどんどん出しても らうといいと思います. 今のところ完全な抽出はできないと言われているけれどがんばってくだ さい.ブレークスルーを見せてください. 7 Brain Atlas Ideathon 議事録 セッション 2(12:45-14:15) [4]松田 圭司 「Web 上におけるボリュームデータの表示機構」 -質疑加沢:ちょっといじれば画像取得の API にして画像解析を web 上でできるようになるのでは 画 像全体を呼び出さなくても画像解析が web 上でできる気がします.実質的に許される画像の大き さは? 松田:試したところ 512*512*100 枚で何とか動かすことが可能. 加沢:1024 では厳しい? 松田:ここに出している画像の一つのボクセルが 256 * 256 なので画面に収まることを考えると. また,解像度 2 倍でデータ量が 8 倍になる,データの生成で一番時間がかかるのがデータの読み 込みなので現実的には 512 * 512 です. 加沢:3D の web 上のビューアは見たことがなくていいものだと思うけれど.海外からオファー はないのですか. 松田:今のところ残念ながら.データに応じてつくりこみがひつようなので.今はひとりでやっ ている. 加沢:PHP と java script で何か書き込んでいるということですかね. 松田:それとプログラムをこうやって使えばできるというのを公開していないので,使っていた だけるところがあれば紹介していくという形をとっている. 山口:京大のほうではどんな人がどんな目的で 松田:霊長類研でサルの頭蓋骨をデータベースにして公開している.CT 画像データベースで検索 していただくと 山口:そのデータベースはどんな人がどんな目的で利用している? 松田:把握していない. 霊長類の骨のデータベースということでそれに興味のある人が. 於保:サルの 1 歳から 3 歳の画像の比較ですが,違うモダリティのものをあわせるときはどう やっているのか. 松田:撮影するときに頭部を固定して MRI に入れるのだが,耳のところと目の高さのところに マーカをいれておいてマーカが同じ位置になるように校正する.画像上で回転させて校正する. 於保:エイジングでサイズが変わるとおもうのだけれど,デフォメーションしてあわせるのです か? 松田:座標だけを合わせて,スケールは画面上で拡大縮小して合うようにしている. 8 [5]佐藤 明 「Brain Transcriptome Database (BrainTx) -マウスの脳遺伝子発現アトラス-」 -質疑於保:このデータベースの特徴は 2D だけれども詳細であるということで,これまでのセッショ ンのデータベースとは異なるデータベースになっています.2D から 3D へのレジストレーション はかなり難しいので,いろんな分野の人が協力する必要があるが需要は多い.2D をどのように 3D に取り込むかは INCF のタスクフォースになっていて,UCSD を中心とするグループがプロ グラムを作ったのだが,実際にはマニュアル操作が難しい.ユーザに協力してもらわないと,3D のどの位置に 2D の画像が位置しているか示すことはできない状況なので,いいプログラムがあ れば需要が高いと思います.何かご提案はないでしょうか. 加沢:二次元で表示するときも画像分割するのに感心した.画像の解析をするときには誰でも元 画像がほしいと思うわけですが,著作権の関係で落とせなくなっているということはないのか? 特権ユーザとかには見えるようにする仕組みとかありますか? 佐藤:公開する(している)画像(の,別で保管している元画像)については共有できる.(今 回のハッカソンでのツール開発においての,我々の画像の利用については)特に著作権はない. (ただ,画像を何がしかで外部に公開や引用する際には著作を明らかにしておいてほしい.) (今現在 BrainTx 上での画像表示の際には,画像の一部に)とりあえず著作権表示はしているが (別で保管している元画像の方には表示させていないので,そのまま利用できる.). 加沢:使いやすいデータベースならそのうち誰かが寄ってくると思う.API レベルで処理できる 物をどれだけ用意するかが大事.データベース側から考えるとデータを溜めるだけで終わってし まうが,どこのデータベースに対してもここまでの情報は取ってくれるというのを揃えていると, PF の中で,どこまで取ってくるか,このツールで誰かが成功したから,他の物にも使おうという 動きが出てくることに期待したい.二次元の画像処理は色々なところで確立しているので色んな ことができそうな気はする.遺伝子関係が分からないから何処までやれば何が正解かはわからな いけど,データベース側から「こういうものを求めています!」と NIJC から発信すると興味の ある人にとっていいと思う. 山口:色々なツールがまとまったホームページは重要.NIJC ではソフトウェアセンターでカタロ グを出そうとしているが,詳細な使い勝手を書かずにツールを出しているので,改善していきた いと考えています.遺伝子関係だけというわけではないですよね? それから,ここで紹介された ビューワーのツールは BrainTx 以外の環境でも使えますか? 佐藤:API ツール化(など)はしていないので,ビューワーに関しては BrainTx 上(でのみ使用) ということになると思う. 池野:実験をやっている人はいい道具はないか?と考えるもので,ニューロサイエンスに関係な くても使えるものはないかと気にしている.逆にツールを開発している人からすると,何が必要 なのかと問題依存なので,何が役に立つかが気になる.それがうまくマッチングしている人達は いい成果が出せると思いました.ハッカソンで何が必要なのかというのがマッチングするといい と思います.最後の項目(ツールのまとまった情報を web で公開)はホームページという形でなく ても情報交換できるといいのかなという気がします. 佐藤:開発者(側)と使用者(側)が(うまく)コラボできるといいです(よ)ね. 9 池野:(開発者側は)どこレベルまで要求されているかすら,わからないので.... [6]西部弘純 「Marmoset Brain Atlas の紹介とデータベースの構築に必要な支援ツールの開発について」 -質疑山口:3D にしてからグリッドにするというのはいいが えで開発するということですね? 西部:3D の構築の目的なのですが 狂いなくできるというものがほしい 山口:どうやって その辺のストーリーをフィックスしたう 1 切片ごとの in situ の画像に正確にグリッドが次の切片と 3D にするかということで議論になるとおもうけれど. 西部:それも一つも課題になってくるでしょう. 加沢:グリッドが必要でかつ可変というイメージが分かりにくいので説明をしてください. 西部:グリッドのマス目ひとつ一つの大きさだが,マス目内に遺伝子が発現しているかどうかを 計算させるときにマス目が小さいものから大きなものまで発現箇所に合うようにですね. 加沢:細かくして集計頑張るとうことですか? 西部:そうですね.そういう意味合いです. 加沢:前半のツールはだいたいのことは個別には ImageJ で可能だと思うが,使い方が面倒だか らマニュアルが必要なのと,機能が十分ではないところでどの部分が足りないのかが問題だと思 う.だれかが ImageJ に習熟して,かつ足りない部分を補えば実現できるでしょう.あるいは Pyhton ベースでオートマチックでやる方向もあると思うが,やる人がいるかどうか.具体的な データがあってここまでできればいいというのがあるとやる人はやりやすい.仕様はあるのだろ うが,作る人にしてみるとわくわくするような何かがほしい. 西部:たとえば脳画像の切片画像を提供するとかでしょうか? 加沢:切片からこういうデータが取れたらうれしいというのがあれば可能ではないか.やる人が いるかはわからないけれど. 於保:スケール観が 30000 遺伝子 * 50 枚 だと自動化・自動認識が必要. 加沢:自動だとすると,どこで遺伝子発現しているかという目で見た時の教師データがどれくら いあるかでしょう.どれが発現していてどれがいないか.形態抽出をする時にも目で見ると自分 では形態がわかるけど他人にはわからないみたいなことがあって,教師データがあるとまあまあ 可能かなと思います. 於保:そういう開発はわくわくする? 加沢:仮説があってオートメーションでこれが分かりたいんだと言われればやるかもしれない. 池野:どうやってコンピュータで画像を処理するかを固めないといけない.Fiji とかでだいたい のことは可能だという気はする.ただ同じことを再現するのが難しい.そこでマクロに落として 10 さらに効率化でプログラムにしてというステップを踏むのが必要なのかなと.マニュアルレベル でやってこういう手続をやりたいんだというのがかたまればどういうツールを使うか とか開発 する意義があるかとかが見えてくる. 松田:再構築に関してですが切片を作るときに凍結切片だと思うがスライスが変形すると思う. それを元の MRI に合わせるのはスライスの変形も考慮に入れないといけなくてかなり難易度が高 いのでは? 於保:最初にピクセルサイズを決めてと言っても,回転しただけでもサイズはかわってくるので. 松田:溝のところで開いたり閉じたりして もとの MRI とは一致しない.スケールが一致してい ても凍結や固定するときの固定の仕方で大きさが変わるというのがあるので,切片を重ねていっ て3D にもどすのは難しい気がする.非線形な変形(メッシュ変形?かなにか)が必要な気がしま す. 於保:アレンブレインアトラスだと 250 ミクロンの z スタックでマウスの脳の 3D 再構成をして いて,かなり工夫しているがよく見るとガタガタなんですね.マーモセットは頭が大きくてそれ を 50 枚でカバーするとなるとかなりスパースなデータになると思いますが? 西部:1 切片は 25 ミクロンの厚みになる.一つの脳から 8 遺伝子を染色しているので実際は厚み は 7 切片跳んでいる. 於保:200 ミクロン跳んでいるということですか? 西部:そうです. Brain Atlas Ideathon 議事録 フラッシュトーク 2(14:15-14:45) 於保祐子 -発表内容ViBrismDB の紹介 このDBは,3 次元の遺伝子発現のデータベースで 36000 種類の遺伝子の各々についてその遺 伝子が脳のどこにどれくらいの強度で存在するかを 3 次元の地図にして公開しているものです. 現在公開しているものを改良して,今年度中にこのように MRI 画像上に遺伝子発現のパターンを 表示するようにする予定です.INCF のつくったマウスの標準脳の MRI 画像上に遺伝子マップを 重ねて表示するようなデータベースになります.更に,マウスは生体発達期の 3 日,7 日,21 日 のものを近々に公開予定です.これら遺伝子の共発現のトポロジカルな解析が可能なプラット フォーム機能も持っています. 更にこのデータベースの上にマウスの 2 次元の詳細画像を重ねられたらいいと考えている.Z 方向のディスタンスがスパースなものも多く,こうした位置情報を 3 次元に定位して表示するに はどうするかが課題になります.また,脳活動のダイナミクスのデータベースにも脳の位置情報 の記述がある.それと我々の MRI を重ね合わせるためには,ボクセルにアナトミーの情報をいれ て遺伝子の情報とフィジオロジカルの情報をつないでいかないといけない.このようにして,ボ クセルにいろんなデータを落とし込んだものを作っていければと考えます. 遺伝子の発現のレベルに加えて遺伝子オントロジーの情報をつけることができれば,遺伝子を 中心として種間をつないでいくことができると思う.3 次元上では違った位置にあっても機能は同 じだというような領域をつなげたりすることもできるので種間を超えた比較ができるようなプ ラットフォームを目指している.我々はデータを出しているので,ぜひプログラミングでお手伝 いいただけたら嬉しいです. 11 -質疑加沢:ViBrism と BrainTX のデータの対応というのは,ちゃんとやると座標系の変換が難しいの は知っているが,仮にこうマッピングするというようなマッピングデータはある?アナトミ−の データで. 於保:今はまだやっていない.BrainTX の情報は中心点からの離れ具合が統一されていて綺麗な ので,曲がっていたり,といった非線形性が少なくてよい2D画像データベースです.何かツー ルがあれば我々の3D画像に重ねられるという印象はある. 山口:physiome についてなのですが,これをつなぐメリットはなんですか.電気活動はいいけど physiome を入れるというのは. 於保:将来の計画として,実際に脳の活動電位のダイナミクスのシミュレーションに持っていき たいというのがある.まずラフなアナトミーでもいいからつないでみて,実際どんなことが起こ るか見ていきたい. 佐藤:physiome.jp を見たことはないのですが,脳活動電位,神経レベルの活動や可塑的な状態と かが見られるのでしょうか? 浅井:開発をしているので,これは私から.基本的に元データではなく例えばホジキンハクス レーのようなモデルが入っている.このニューロンはどこそこのニューロンのモデルですと論文 に紹介されたモデルが登録されている.なのでそのモデルは元の論文をたどれば,脳のこの部位 のニューロンのモデルだと思って提案されているというのが分かっている.そしてその部位につ いては,ViBrismDB上で遺伝子情報がある.というのでその部位を経由して,2 種類の情報をつ ないでいこうという話. 佐藤:その遺伝子が動いている時に何か活動電位が出るという? 浅井:そういうモデルがあったらそういう取り出し方もできる.今この枠組みの中で考えている のは,その部位に関係のあるモデルを表示していこうと,モデルに特化したものがあればピンポ イントにこれと出せるし,そうでなければ少なくともその領域のモデルにはこういうものがある と言える.もし使って結果が良ければ,そこから発展させてくださいというスタンス.ちなみに physiome.jp ではなくてダイナミックブレインのデータベースでもいいと考えている. 前田 真秀 -発表内容Brain/MINDS にかかわっていて MRI や切片画像,遺伝子情報や時系列まで含んだようなデー タセットをデータベースにためこんで,それに対してどのようなメタデータをつけ,解析すると きにどのように効率的に探すことができるのかということを考えている. データサイズが大きなものもあるので動かすのが大変.ダウンロードするにも時間がかかる(生 データならなおさら). ストレージの近いところで作業したい.そんなプラットフォームがあるとよい. 処理履歴(どういうデータを使ったか,何をやったか,何が出てきたのか)が書かれている状況がよ い. こういうことができる環境の候補としては Python(科学技術計算によく用いられライブラリも豊 富)ユーザ側での環境構築や設定の必要がないことを考えるとブラウザベースが良い.そういう 12 意味で IPython Notebook が最近発達してきている.これは,見た目はマセマティカに近い. ページ上に Python コードが埋め込まれていてその実行結果のグラフを表示したり,Javascript や WebGL が動くページが作れる. これを計算サーバ側に仕込んでおいて,セキュアな認証でつなぐことができればデータを自分の ローカルに持ってくる必要がなく,サーバ側(特に革新脳の場合はデータストレージの隣に大き めの計算機があるの)でそれで計算ができるのではと期待している. データストレージと計算サーバをつなぐ太い回線を使って,色んな物を比較したり検索したりが できて更に計算結果が保持できる.サンプルを一つの web ページのような形にしておいて他の人 に実行してもらえる. そして,データベース外部のデータを加えたときにどうなるかという解析もできる. 例えばアレンは Python を使ったデータダウンロードのコードを配っているのでそういうものを 配置して具体的にダウンロードしてもらって,こちらのデータベース上のデータと合わせて計算 できる. そういうものができたらいいと思います. -質疑宮本:iPython notebook はあまり使った事がないのだけれど,ユーザにこういう操作させないと かセキュリティにかかわる機構はある? 前田:なんでもたたけると思う.今できることはサーバ側で iPython を動かして,(例えばこち らでポートだけ指定してそのポートに来た人はパスワードだけ打ってもらう),入った後はシェ ルつまり SSH とおなじように使えると思います.何でもできるのがよくて悪いところだと思いま す. 加沢:ハッカソンのときにデータベースをいじるのはいいと思うけれど.ハッカソンの 3 日の期 間でなにをやりたいですか. 前田:あいまいですが,今考えているのはバックエンドにあるストレージがあってこその話だか ら,その中でデータベースができれば,よく使われるクエリを作ってやってそれを簡単に iPython にロードができるようになれば一般ユーザの敷居がさがる.サンプルを書いて配るとい うようなこともできるのでこの部分だけ変えてくださいという形での提供はできると考えていま す. 加沢:iPython データ処理するサンプルを作りますか?具体的には何を.遺伝子の二値化とか やってみます? 前田:もちろんライブラリが走るのでできなくはないが,今考えているのはバックエンドにある コンピュータ(例えば HPC)を如何に効率的にそこにジョブを投げて回収してくるかというよう なことに今は興味があるので,裏方の話に興味がある.これを立てているローカルのサーバ上だ けで計算するという事になった場合には計算リソースがそんなに増えるというわけではないので, そこに見通しが立ったらそのようなアプリケーションの提供もできるのかなと. 加沢:目に見えるもののほうがたのしいのでそういうものを考えてほしいかなと. 前田:プラットフォームとしてこういうものはどうなのかという立場なので. 加沢:結構あいているらしいので何かやってほしい人は前田さんに交渉してくださいということ で. 13 森井 陽子 -発表内容革新脳プロジェクトに参加中でビューワーの検討をしている.イメージやドキュメントデータ を取り込んで管理すると同時に,画像を Web 上で見せるということを考えている. Web 3D Brain Viewer について MRI DICOM データには dwv,トレーサーインジェクション Tiff データには openlayer3(jpeg で見せる),in situ のデータには Openslide+OpenSeadragon を使って Web 上でイメージを見 せている. 次のステップとして考えているのは web 3D viewer のこと.これは jsc3D という javascript を 使ったサンプルで,元のデータは STL や OBJ データで作らないといけないが,ここではサンプ ルとして clara というサイトで作った stl データをのせている. clara では細かいデータを積み上げていって 3D イメージデータを構築する.STL や OBJ 形式な どでファイルをエクスポートできる. clara では rotate させたりとか,アノテーションをつけたり表示させたりできる.ほかに拡大縮 小も. 3D データを作るところは他の先生の技術を使い,検討したいのは 3D web viewer にどんな機能 があればいいのかということ. 解像度を含め,どんな情報が表示されたらいいのか,どんな情報とリンクしたら便利なのか, ImageJ の Web 版のようなものがあって,自分のデータもオーバレイ,加工できたらいいのかを 検討していくため,参加者の方のアイデアをお借りしたい. ハッカソンでもトライアルとしてこういうことができればと考えている. -質疑松田:私のと同じような感じ.ボリュームデータだとどうしても大きくなるので,クライアント 側かサーバ側で処理するかの仕分けをどうしていくのか.たぶんサーフェスデータだけをクライ アントに送ってやっていると思うが,それを必要に応じて分けていく必要があると感じた. 加沢:いくつかのデータを集めて,表示の仕方もいくつかやって,評価基準を決めてベンチマー クを作ってというのも面白いと思う. 森井:3D の javascript はたくさんある.その中でどれが今後拡張性があるのか,情報を色々埋め 込みたいということをよく聞くが,どうやったら統合できるのかということが見えていない.ま だ検討段階です.こういうのを作ってほしい,というのがあれば実装に入れられると思う. 佐藤:神経科学の世界ではコネクト―ムという分野が盛んになってきていて,神経繊維がどのよう に走ってどことどこのニューロンがつながっているかを解き明かそうというのがあって,3D の脳 とかに,ヒトだとあまりないが,革新脳で MRI とかの画像を使っていると思うが,脳神経の線維 を 3D で見られるようにマッピングしたり,3D の脳の領域を囲んで断面を表示したりして,その 中からとってくるようなそういうのがあればいいなと思う.クルクル回るようなのはよくあるの でオリジナリティがあるのがほしい. 山崎 寛明 -発表内容自分の研究では開発ではなく,ウェット特に神経細胞のイメージングをやっている.神経細胞 を染めるときに細胞周辺に電極を刺す必要がある.その時に,ターゲットが不明瞭なことが難し 14 い点として挙げられる.脳は色がなくコントラストがないことが原因である.また焦点を合わせ るのも難しい.それで,今まででよく見えてなかった脳の部分を可視化してくれる,かつ,どこ に電極をさしたほうがいいのかを教えてくれるシステムを提案する. -質疑加沢:理屈上ね,結構出来そうです.普通の 2 次元とか 3 次元を扱えるようなフラットフォーム なソフトウェアと画像のマッチングがリアルタイムで出来て,かつ電極のコマンドコントロール をそこから送れるような物があれば,同時にやるのは難しいから Python バインディングがちゃ んとあるような画像が扱えるソフトウェアがあれば,それだけで,行きそうなきもするんだけど, 実際結構大変だよね. 山口:電気生理用のナビゲーションシステムとして X,Y,Z の座標を決めてそこに持っていくもの があるけど? 山崎:私が一番難しいと思っているのはやっぱりターゲットがよく見えないっていうところです. 山口:目でしっかり識別出来ないですか? 山崎:目を一回離してしまうと,また戻った時によくわからなくなってしまうのが多いです.後, プレパレーションがずれたりすることも有ります. 加沢:オーバレイして同じポイントが動いたら動くようにして欲しいんだ.なるほど.この輪郭 線がサンプルが動くにしたがって動いてほしいと,そういうことね? 山崎:そういう物が欲しいです.視野を動かした時に分かり難くなりますので. 池野:あの,実際実験やる時ってかなり色んな要素があって見ているだけじゃなくてやっぱり応 答のパターン,発火の仕方も見ているんじゃないですか,そういう部分もいると思うし,人間の 目で見えなくてもいいから近赤外線とか波長を変えてみることも必要だと思います.あと,普通 カメラでやると平面になっちゃうから奥行きが非常にわかりにくいので,それを含めた情報を 撮ってきて画像処理をしていくといいと思います.面白いですね. 渡我部 昭哉 -発表内容実はこのアイデアソンハッカソンの趣旨が分かっていません.森井さんから脳マッピングがテー マだという話を聞いて参加させてもらいました. とりあえずやっていることの説明をします.インフォマティクスでこういうことができたらとい うのがたくさんあります.今はトレーサーインジェクションをやっている.どういうデータが出 ていて何が問題かを私の視点からお話します.目的はブレインアトラスをつくる.マーモセット の前頭葉のニューロンは脳全体に投射しているのだが,その投射マップをつくるのが目標. ウイルスの蛍光トレーサを使うと外から見えるくらい強力に発現させることができて,それを ティッシューサイト 1000 というもので解析している. 原理はアガロースに埋めてくっつける.対物レンズとミクロトームがあって,切って撮る,切っ て撮るを繰り返す.元の土台は動かないので出来上がった画像は勝手に 3 次元再構成ができる. マーモセットの脳はマウスに比べでかいのが問題.23x28 フレームの画像で撮影するが,一フ レームでピクセル数が 832x832 で拡大すると 1 つのニューライトが見えてくる. 緑赤青の 3 チャネルで撮るのだが,本当は違うチャネルを使って3種類のトレーサでできればい 15 いのだが,マーモセットの脳はバックグラウンドが高くて,特に赤のチャネルでは自家蛍光がシ グナルより強いので,結局トレーサーは1種類,赤チャンネルはシグナルを自家蛍光から分離す るために使わざるを得ない. ただし単純に差分をとるだけでもかなりバックグラウンドは軽減できるが,シグナルだけとりだ すにはある閾値で切るだけでは難しく,そこが一つの重要な課題です. もう一つの重要課題は3次元的な理解.なぜ 3 次元再構築が必要かというと,一番重要なポイン トはコモンスペースをつくるため.一つの脳には一つのインジェクションしかできない.複数の インジェクションを統合して全体像を見ようと思ったら,何らかの形で正規化し,「標準脳」的 なものに落とし込まないといけない. そのためには 同じところを同じところに合わせる必要があるが,それが難しい.脳の角度がずれ るとスライスでは不可能.3 次元に対して 3 次元でレジストレーションする必要がある. 歪みはあると思うが,そのゆがみを直してできるだけ正確に正規化できれば,アノテーションも 自ずからついてくるし,統計的な解析が可能になる.その前には,シグナルとバックグラウンド をどう分けて,定量するかという課題を解決する必要もありますが. 3次元化についてもう一つ言うと,マーモセット前頭葉はとがってる. 大脳皮質のニューロンは 表面に垂直にカラム状に並んでるのでどう切っても曲がってしまってダメな面がでてくる.3 次元 データを 2 次元でどう理解するかという,地球儀をどう平面で理解するかみたいな話.も未解決 な問題. データサイズがでかいのも問題.少なくしようとしても,一つの脳で1.5TB になってしまう. これだけのデータ量をどう効率的にハンドリングしていくかも今後解決していくことが必要. -質疑加沢:サンプルデータをアップすることはできる? 渡我部:ボスに相談してみます. 加沢:全体じゃなく一部でもいいのですが. 渡我部:たぶん可能かと思う.無制限というわけにはいかないが. 加沢:難しい問題ですが 脳の中には連続性・不連続性があって,不連続なところは不連続に扱 わなくてはいけなくて,一方連続なところは誤差で扱えるが,不連続なところは誤差があるとで きない.そこを区別,つまり脳の組織のセグメンテーションをやるかがカギなのだと思う. データがでかいのは,並列化・素子化をやればうまくいくはずだけれど,言うは易しなのでだれ か頑張ってください. 森井:ちなみにコピーだけで 8 時間かかります. 加沢:そういう場合はなるべくデータを動かさない様にいい形式でデータを格納して部分的な データをとるだけで処理できるようにしないといけなくて,特に分割されているところでも,の りしろをつけないと継ぎはぎもできない.今の時点ではデータに無駄が生じても一つ一つ分割し て処理していくんでしょうね. Brain Atlas Ideathon 議事録 セッション 3(15:00-16:30) [7]池野英利 「ニューロンのセグメンテーションと標準脳へのレジストレーション」 16 -質疑加沢:どなたか? 於保:ありがとうございます.最初の方の実際的なところは非常に勉強になりました.最後に, ニューロンの 3 次元に定位なさっているところがあって,ランドマークを使ってという話だった んですけど,実際いくつぐらいのランドマークで定位できるものでしょうか? 池野:だいたい 10 個弱ですね.当然ながら沢山ランドマークを選んだ方が一見いいように思うん ですけど,実はランドマークをそこまで正確に打てるかと言うとそれもなかなか難しいです.今 のところ,だいたい 10 個弱ぐらいでやっています.一応,どのぐらいでできるかな,どのぐらい 精度があるかなということを評価していまして,ランドマークの近くでは 10 ミクロン程度で,ラ ンドマークから離れると 20 ミクロン程度の誤差が有ります.まあ,20 ミクロンって結構大きい ように見えますけど実は奥行方向が難しくて,1 個ずれるだけでものすごくずれるので難しいです. 於保:実際ランドマークを剛体変換だけで全部合せる事は多分出来ないですよね.そうすると, ランドマークの相方の誤差が一番少なくなった物を正解とするようなことをやっていらっしゃい ますか? 池野:そうことです.当然剛体変換だけでは合わないので,そうですね. 加沢:考えて見たらあれですよね,ランドマークの誤差値が単なる誤差の合計である必要はなく て,ベイズぽく考えるなら何が重要かという基準値が別にあるはずです. 於保:2D の画像を3D に合わせたいことがあった時に,もうちょっと難しいことをこんなに さっとやっていらっしゃることを見て,もしかしたら,2D の中にランドマークを打ってそれに 合うような3D にランドマークを打てればあわせられますよね?10 箇所ぐらいのランドマークを 打ってればできるのかなと思ったんですけど, 池野:そうですね.どこの面ということがわかればそれを挟み込むような格好になるので 於保:挟み込むためのランドマークさえあれば,プログラム的には合わせられそうですか?あり がとうございます. 池野:今のところ,私達の方法で結構ランドマーク依存になってしまうので,最後の調整として はやっぱり明るさとかですね,脳領域のパターンを考慮した最終的な処理をしたいなと,それを 含めた形にしたいなと思います.後,ランドマークは正しいという,ある程度答えがあってそこ が固定されるとかなり制限になる. 於保:私達もレジストレーションしてるんですけど,画像のパターンでミューチュアルレジスト レーションとか非剛体のレジストレーション幾つか試しています.結局外形形状だけ合せるよう にしたものが結局は簡単で良かったりして,中の画像を合せるというのはモダリティが同じ画像 だったらいいですけど,モダリティの違う画像同士で中の情報まで合せるのは一見いいようだけ どちょっと困ったなと思って悩ましいところがあることを経験していたので,人の目で見たラン ドマークの方がいいのかなと思った次第です. 池野:結構明確な点が決められるならランドマーク結構有効です.おっしゃる通りで,モダリ ティの違う画像とか同じものであっても明るさが違うとそれだけで難しくなります.しかも, ミューチュアルインフォーメーションでやると結構時間がかかって 3 日間もかかって出てきた結 果がメタメタで使えないとこもあります. 於保:ありがとうございます. 17 [8]Alexander Woodward 「A practical tutorial for brain image registration using the ANTs normalization tools」 -質疑Alexander: Any questions? 池野:ITK already provides registration functions. So, what’s the difference between ANTs and original ITK? Alexander: ANTs is basically the ITK functionality, packaged into some executables. So you have a nice toolkit based on ITK that is called ANTs. If you want to actually use ITK directly, you can achieve the same result. If you are not interested in programming, you can write some scripts, and use ANTs to achieve the result. 池野:Is it easy to use for registration? Alexander: ANTs provides registration and segmentation, along with some low-level image manipulation tools together. 於保:Thank you. Actually, many of my colleagues are using ANTs, ITK SNAP and ITK libraries. We have so many programs and functions in ANTs. It is difficult to select, which is the best for my case. There are so many options. Alexander: I understand your problem because there are a lot of parameters that you have to choose. I have spent a bit of time gaining an intuition into what the parameters do. One of the long-term goals is to have some automated image registration pipeline. I think it is possible as long as you have some idea what you are putting into the system. Then you can decide on the parameters for each algorithm. 於保:Thank you very much, I`ll ask you some time. 加沢: I have a question. I cannot understand the detail of ANTs. Can I see the formulation of the objective function? Alexander: For ANTs, I showed a general formulation for large deformation diffeomorphic mapping algorithm, this is the general form. 加沢:I guess that, Lv squares term is the L2 normalization term? Alexander: yes. 加沢: On depending the nature of image, can you use this measure L1? Alexander: Your question is whether you can change the type of norm? Yes, It is certainly possible. I don’t know what the resulting registration would be like. But, the point of this formulation is that it gives a geodesic path between moving images and fixed images. It means it is the smoothest possible path. 18 加沢:Probably when we want to registration to another neuron image, L1 measure is more useful? Alexander: I’m interested to know, if you have some idea, I’m happy to hear. NOTE (A. Woodward): A useful requirement is to define a unique distance measure between two points. Therefore, the L2 norm satisfies this whereas an L1 norm is ambiguous. Also I’d like to say that the second term, which is the data term, is quite critical. For example, when I tried to register histological images to MRI images, the image appearance is quite different, so you need to take care in the assumptions you make - you have to decide what aspects are similar. So, that’s one challenge for registering between different modalities. Not just in this algorithm, but in general, how to define similarity between data. 加沢:Thank you. [9]奥村 嘉宏 「XooNIps プラットフォーム基盤システムの実装と拡張」 -質疑加沢:こういう資料を持っておくと結構詳しくても大抵のフラットフオームは XooNIps が基盤な のでちょい見してから奥村さんに質問するだけでだいぶ違うと思います. 宮本:すみません,ちょっとデリゲートについて伺いたいですけど,その場合,処理はすぐユー ザに返るのでしょうか? 奥村:そのデリゲートに仕込まれたコールバック関数の各実装によります.自身の処理が終わっ た後にきちんとマナーよく返してくれるものもあれば,完全に処理を乗っ取って別のページに飛 ばすようなことをやっているものも有ります. 宮本:つまり,キューだけ突っ込んですぐに返すというのが自然で良くあるパターンですね?何 がしたいのかというと,データを登録する時に,例えば 3 次元の TIFF 画像を登録しますよね?で きればその時点で,プロジェクションなりサムネイルなりを生成した上で,データに登録したい ですけども,やっぱりそういう処理って時間が掛かるので処理自体はすぐに返したい,しかもそ ういうコードはデータ登録のところに埋め込みたくないなというのが今までの感情としてあった ので今回ご紹介して頂いた仕組みを利用すると割りと素直に実装できるのかなと思ったんですけ ど,そういう理解でよろしいでしょうか? 奥村:そういう理解でいいと思います.ただし、XOOPS は基本的にすべてがイベントドリブンであ り,ウェブからアクセスがあった時に動作するという仕組みですので,例えば cron とかでローカ ルから時間がかかる処理を横から叩いて実行する仕組みを別途実装してあげなければいけない, 基本的には,これらのタスク処理をキューとしてデータベースの中に突っ込んでおいて,後は他 に任せる形になると思います.この機能を使えばその一端は実現できると思います. 宮本:分かりました.ありがとうございます. 加沢:その他,どなたか? 宮本くんが今 XooNIps に触っているので質問し易いと思うんだけど, なんか,今年サイトをちょっと変えようとか? 奥村:多分,なかなか XOOPS プログラムやサイトのプログラムの全体をわからないと難しいとこ 19 ろはあると思うので,実際には触って見て何をやりたいかという目的があって,その目的を実現 するためにはこういう機能が使えるよという視点から紐解いて行く話にはなると思います.その 時にこういう機能があることを分かっていると比較的作るためのコードの量が減ると思うので紹 介させて頂いた次第です. 加沢:ちなみに,直接関係あるかどうか分からないですけど,pico に Multi-language(言語切替 機能)をかませるとよくバグるのはよくご存知だと思いますけど,あれのフィルタリングの順序 とかは今の話から演繹して調べるとどこか出てきます?つまり,元の pico に書いてある HTML が 変な形でフィルタリングされていて多分順番によって結果が違うから思った通りの結果がでない と思うんですけど. 奥村:実は Multi-language のフィルタはプリロードを使っていて,プリロードの中でさらに一番 最後に実行してくださいね,っていう関数を登録しています.出力のバッファリング機能を用い てバッファリングしたすべての HTML の出力に対して,Multi language のタグをひっぺがす処理を やっていますので,実はその文字化けやサイトのレイアウトが崩れるかどうかというのはモ ジュール側で知るすべがないのが現状です.実行されるのはすべてのレンダリングが終わった段 階でフィルタが掛かります. 加沢:なるほど.ありがとうございます. 宮本:やっぱり Multi-language の処理は XooNIps などのもう少しいい場所でできると,やはり Multi-language でタブが不完全だったりした時に完全にサイトが崩れてしまって,かなりひどい 状態になります.せめて,そういう時はエラーを出すなり,無理やり閉じて貰うなり,そういう ようなフィルタリングをかませるような段階があればいいと思いますけど,それについて何か? 奥村:基本的に言語タグを引っぺがす処理をする関数が HTML のタグを超えられるのが問題ですよ. タグを挟んで色んなタグも削るのができるのが問題で,ストリクトにやりたければ言語タグの間 に HTML のコードを挟めない正規表現のパターンにしてやれば崩れた表示は,言語タグがそのまま 表示されるような見た目には出来ます. 宮本:その場合,間にボールドとかを含むのも出来ない? 奥村:たとえば,BR タグなど HTML タグだったらブレイクの条件にしてしまうっていうのも一つで すし,特定なタグだけ,例えば,デザインが完全に崩れそうなものは DIV とか境界条件にしてし まうとかですね. 加沢:自動的にエラーを検出する仕組みは作れないか? 奥村:機械がみてエラーかどうかわからないです.最終的な出力と言うのが分かっても最終的な 出力というのが正当な HTML かどうかという判断は難しいです. 加沢:ファイルの形式を決めてしまえば検出できるんじゃ無いか? 奥村:いいんですけど,HTML のバリデータってまともな物がないじゃないですか.XHTML で完全 に XML の開くタグと閉じるタグがマッチしていますという書式が前提だったらいいですけど, HTML の規格は開いたままのタグも許可していますので…「完全に XHTML で準拠しているサイトで す.それを前提にエラーをチェックしてください」なら出来ます.HTML の場合はどうするか?で すね. 加沢:なんか上手くチェックをかます仕組みがあればいい? 奥村:世の中にある HTML は間違いだらけなので,ちゃんとしたバリデータにかませると本当に 20 数%ぐらいしかまともなサイトって実はないのが現状です.その中で人間が見てなんとなくちゃん と見えていると判断している部分があるので,なかなかそれを機械に判断させるのは難しいとこ ろです. 加沢:その他,どなたか? それでは全体討論に移りたいと思います. Brain Atlas Ideathon 議事録 全体討論(16:30-18:00) -最後のまとめ加沢:最後に,各チーム議論の内容について,ちょっとずつまとめて話して頂きたいと思います. 先にローカル組からお願いします. 池野:それではローカルでのアプリケーションチームから始めます.どちらかと言うと処理プロ トコルを作るという話になると思います.チームレジストレーションです.発表の中でもありま したけど,2 次元の画像(スライスなど)は結構手に入ります.ただし,それを 3 次元の脳の中でど こに位置するのかを決めるのは非常に難しいことです.その問題を何とか解決することを目標に してハッカソンでやっていこうと思います. 基本ツールは ITK の中のレジストレーション機能を使って処理ができれば良いと思っています. 例えば,MRI の画像をベースに脳のモデル(標準脳)を考える,それにモダリティの違う画像を入 れ込む.染色したものとか,遺伝子発現しているものを入れ込む.基本的にどこで発現するのか を分かっている物をテストデータして使って進めて行くというのが 3 日間のタスクになります. 森井:それはチームでやることでしょうか? 池野:はい. 山口:どのデータを使ってやる予定ですか? 於保:INCF からオープンソースで出ている MRI のマウス標準脳と CDT-DB(BrainTx)の in situ hybridization のデータを使ってやります. 加沢:はい,こちらのチーム 前田:松田先生のシステムを拡張したら幸せじゃ無いかと考えています.基本的には,先程も話 があったようにバックエンドではビットマップのスタックがあるので,そこに色んな物を重ねて ビットマップのスタックを作っておけば,それぞれが任意の角度でスライスされた画像がブラウ ザ側に帰ってくる.ビットマップのスタックをどう作るかという話については,今対応している のは DICOM が基本なので,そこら辺を拡張するために Bio-Formats を使って NifTi であるとか そういう物を受け取れる仕様にすれば受け取る物を増やす事ができる.これが 1 つ目. もう 1 つは,今革新脳でマーモセットのブレインをやっているのですけれども,そこで端川先 生が付けられたアノテーションがあるんですね.それをこちらからアップロードしたマーモセッ トの脳に対してブラウザの裏側でレジストレーションして,レジストレーションした結果をアノ テーションと重ねてビットマップのスタックを作り,それの任意の断面を返すというような物が できるのではないかと思います. 加沢:私は途中ずっと個別に議論をしていて,皆さんとは相談出来ませんでした.ただ,私とし ては,データベース上の情報に対して個別に処理しようと思うと,普通やる時は,大概データを 落として解析することになってしまいます.そこで,ある種のデータだけを検索して,そのデー タを解析して,その情報をまたデータベースに付加するという仕組みを自動でできるようにしよ 21 うと考えています.多分,SWC を検索して,L-measure とかを使って,その値をデータベースの メタデータとして返すということぐらいをやろうかなと考えています. 加沢:思ったより有意義な事になりました.本番は 9 月です. 22